◆スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

◆('A`)兄妹は夏休みに冒険するようです ―序章―

('A`)兄妹は夏休みに冒険するようです インデックスページへ

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 13:41:58.46 ID:b2sm7NsE0
―序章―

川 ゚ -゚)「兄さん、これはこっちでいいのか?」

('A`)「ああ、そこに置いてくれ。手、挟まないように気をつけろよ」

昔ながらの日本家屋。
築何年になるのかも分からない。

(;'A`)「ふぅ…」

埃まみれの椅子を軽く払い、腰を下ろす。
舞い上がった埃に咽そうになる。

('A`)「いったん休憩だ…。これだけ物が多いとやってられん」

川 ゚ -゚)「そうだな、しかしなんでこんなになるまで放っておいたんだ」

薄暗い物置を指差す俺の妹、クー。
無造作に置かれた箪笥、机、そして――鏡?



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 13:42:57.87 ID:b2sm7NsE0
('A`)「…あんな鏡、うちにあったか?」

ただの鏡ではない。
金の縁に派手な装飾。
率直に言うと、趣味が悪い。

川 ゚ -゚)「なんだ兄さんも知らないのか。どう見てもミスマッチだったからてっきり兄さんの趣味かと」

(;'A`)「俺にそんな成金趣味はないぞ?」

川 ゚ -゚)「むぅ。となると、とう…あの人の物か」

('A`)「……かもな」

気まずい空気に包まれる。
既に他界した俺の親父。
母がクーを連れてこの家を出た日から、その話はタブーになっていた。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 13:44:07.30 ID:b2sm7NsE0
('A`)「しかしまあ、なんでこんなものを」

間が持たない。
仕方なく立ちあがり、鏡にへばりついている埃を雑巾で拭う。
だが感触がおかしい。

手が、鏡に突き刺さっていた。

('A`)「え?」

正確にはめり込んでいたというべきか。
鏡面に当たることなく。

川;゚ -゚)「兄さん?!」

クーが駆け寄り、俺の手を引き抜く。
慌てて確認するが、血も出ていなければ違和感もない。
鏡は、先ほどと変わらずそこに佇んでいる。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 13:45:35.13 ID:b2sm7NsE0
(;'A`)「なんなんだよこれ……」

恐る恐る手を伸ばすが、その途中クーに腕を掴まれる。
その目は、頼りなく揺れていた。

川 ゚ -゚)「やめよう。危険だ」

はっとする。
わざわざ地雷地帯へ突っ込むような真似をする必要はない。
またクーに…辛い思いをさせたくない。

('A`)「分かった。そろそろお昼にしよう」

歩いて居間へ向かう。
無駄に敷地が大きく、移動にも少し時間がかかる。
この家の主人となり、唯一不満なのがそれだった。

クーは、やはり無言で、ゆっくりついてくる。
思わず手を引いて走りたくなるが、きっと…その資格は俺にはないのだろう。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 13:47:11.70 ID:b2sm7NsE0
('A`)「食べたいものはあるか? ちなみにそうめんだと俺はうれしい」

だから話しかける。
俺にできるのはそれだけだったから。

川 ゚ -゚)「そうめんか…うん、久しぶりにいいかもな。兄さんの手抜きっぷりが目に見えるが」

('A`)「そうめん舐めんな。適度な手抜きこそ料理の神髄だ」

調理場に入り、麺を取り出す。
水を火にかけ、皿を用意する。
昔はこれだけでも一苦労だったが、今では手慣れたものだ。

川 ゚ -゚)「…手伝おうか?」

少し離れた所から声がかかる。

('A`)「んー、それじゃあ冷蔵庫からめんつゆ取り出して適当に薄めて。あと、わさびを加えておいてくれ」

調理場の端にある小さな冷蔵庫を指差す。
もともとこの家にあった巨大なものもあるのだが、一人暮らしでは邪魔なだけだった。

川 ゚ -゚)「味は私好みでいいのか?」

('A`)「あーうん適当で―」

なあなあに返事をして作業に戻る。
…これが失敗だった。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 13:48:48.92 ID:b2sm7NsE0
(゚A゚)「なあ…辛いぞこれ…」

鼻がつーんとして涙が出る。
舌がぴりぴりしてまともに味が分からない。

川 ゚ -゚)「む、そうか?」

俺のめんつゆと取り替えて一口。
もぐもぐと口を動かし…

川 ゚ -゚)「ちょうどいいな」

この化け物め。

('A`)「…俺、ちょっと休んでくる」

頭がくらくらしてきた。
居間を出て、自室へ足を向ける。
クーが不思議そうな目で見るが無視だ無視。



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 13:50:24.81 ID:b2sm7NsE0
ジー、ジージー。
ああ、うるさい。
蝉の鳴き声が耳に障る。

('A`)「夏休み、か」

親父が死んでも疎遠になったままだった母。
しかし毎年、夏休みの間だけはクーを預けてくれる。
…単に手間がかかるからと押しつけただけかもしれないが。

('A`)「今年は何をしようか…」

せめて夏休みの間だけは一緒に遊びたかった。
でもこうやって考えているうちにあっさり終わってしまう夏休み。
今年こそは、今年こそは、と。

そんな事を考えていると、足が止まった。
そこは――あの古びた鏡がある、物置。



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 13:51:31.26 ID:b2sm7NsE0
(;'A`)「あー、道を間違えたか」

今みたいにぼけっとしていると、こうなる。
あまりに大きすぎる家の弊害。
小さなころは、クーとかくれんぼなんてして遊んだものだった。

('A`)「……」

鏡が、目に入る。
気がつくとその縁へ手をかけていた。

危険だ、とクーの声が思い出された。
しかし声は弱弱しく、今の俺には届かなかった。

頭を、突っ込む。
ぬめり、とも言える気味の悪い感触を超え。


――俺はそこに、世界を見つけた。

―序章・END―




インデックスページへ/次の話へ

■この記事へのコメント

    ■コメントの投稿

    管理者にだけ表示を許可する

     

    検索フォーム

    お知らせ

    管理人へメール

    トップバナー画像をうざったい感じにしてみました。

    カレンダー

    09 | 2017/10 | 11
    1 2 3 4 5 6 7
    8 9 10 11 12 13 14
    15 16 17 18 19 20 21
    22 23 24 25 26 27 28
    29 30 31 - - - -

    Team 2ch @ BOINC

    待ち続けている人がいる。
    だから僕らは回し続ける。
    ~まだ見ぬ誰かの笑顔のために~

    banner-88.gif
    CPUの時間
    ちょっとだけ
    貸してください
    (BOINC Team 2ch Wiki)

    ブーン系“短編”小説更新状況

      プロフィール

      kuru

      Author:kuru
      特に何も無いよ。

      カウンター

      トータルアクセス:
      ユニークアクセス:
      閲覧者数:



      クリックで救える命がある。
      上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。