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◆('A`)兄妹は夏休みに冒険するようです ―第三章「八月三日」―

('A`)兄妹は夏休みに冒険するようです インデックスページへ

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/08(水) 23:58:56.71 ID:+a1OGk1R0
―第三章「八月三日」―

ξ#゚⊿゚)ξ「せいっ!」

ツンが放つ剣、その切先から伸びる稲妻の鞭。
それを必死に受け止めていた。

ξ#゚⊿゚)ξ「余所見、しない!」

衝撃。
剣にばかり注意をとられていた俺は、躱すすべなく蹴り飛ばされる。
壁にぶつかり、ようやく止まった。

(;'A`)「う…っげぇ」

重い、ハンマーのような一撃が鳩尾に入った。
息がつまり、呼吸ができない。



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/08(水) 23:59:53.45 ID:+a1OGk1R0
ξ゚⊿゚)ξ「ま、こんなところかしら。いったん休みましょう」

うめきながら反対側を見た。
クーがモナーさんに剣術をおそわっているのが目に入る。
きらきらと光を放つ太陽の下、親子を彷彿とさせるほんわかした空気。
今の俺にはうらやましかった。

(;'A`)「ゲホッ、ツン…スパルタすぎ…」

ツンは腰に手を当てて、倒れた俺を見下ろしている。
スカートの中が見えそうになり、思わず顔をそらした。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオがどん臭すぎるのが悪いのよ。魔法の方はそれなりだったのに」

さっきまでは魔法の練習、今は剣術を習っていた。
せっかく剣を持ったのだから、とモナーさんに提案されたのだが、ここまできついとは思わなかった。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:01:03.42 ID:M3OYxF3A0
('A`)「魔法…ちょろっと炎が上がった程度だったけど、あれでいいのか?」

魔法の講座を思い出す。
クーはずいぶん熱心に聞いていたが、あまりに長い話に俺は半分、舟をこいでいた。

ξ゚⊿゚)ξ「ええ。はじめてじゃ普通は何も起こらないもの。ドクオは上出来、と言ってもいいわね」

その話を要約すると、魔法とは剣を通して心の色を投影するものだとか。
それも、物心ついたころから変わらないという深層心理上の心。
即ち、三つ子の魂百まで。
表面上別人に見えるほどの何かがあったとしても、奥底にあるモノは変わらないそうだ。

(;'A`)「といってもなぁ…。モナーさんみたいになれるのかな」

そして魔法が現す形。
これはイメージによって生み出される。
モナーさんのように竜をイメージできれば、と思ったのだが…。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:02:45.17 ID:M3OYxF3A0
ξ゚⊿゚)ξ「モナー様が使う竜。あれに限った話じゃないけど、魔法には確固たるイメージがいるわ。
     ただの想像とか、人の魔法の物真似では作れないわよ」

(;'A`)「ってことは、モナーさんは本物の竜を見たってことか…」

モナーさんが生み出した竜。
吹きあがる炎、鱗の一つ、牙の一本まで精巧に造られていた。
当然俺は本物の竜を見たことはないが、それは生きているものと何ら変わりないように思えた。

ξ゚⊿゚)ξ「竜ってのは、ほとんど天災みたいなものね。たまに現れてはその場にある全てを破壊しつくす…。
     …モナー様は良く無事に帰って来れたわね…」


モナーさんの魔法について思いを巡らせていると、一つのことを思い出した。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:03:31.69 ID:Aeku4se+O
早すぎワロタ
絶倫支援


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:03:58.18 ID:M3OYxF3A0
('A`)「なあ…ショボンっていったい何者なんだ?」

炎の竜。それに相対する氷の騎士。
モナーさんが敵意を隠すことなくぶつけていた彼は…。

ξ゚⊿゚)ξ「…ショボンは盗賊団の頭よ。ただの盗みじゃなくて、秘宝専門のね」

トレジャーハンター。
そんな呼び名が似合うのだろうか。

ξ゚⊿゚)ξ「あいつは…魔法の腕も確かだけど、それ以上に、超能力使いなのよ」

(;'A`)「魔法とは別に…?」

聞きなれない言葉。
魔法というだけで俺にとっては、手の届かない奇跡だったというのに。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:05:08.40 ID:M3OYxF3A0
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、あいつは鼻が利く。財宝なんかを目ざとく発見する勘、ね。
     それが本当なのかは分からないけど、世の秘宝を巡る争いの裏には
     必ずあいつがいるって言うのがもっぱらの噂ね」

('A`)「せこい盗賊とは一味違うってことなのか…」

この要塞内の風呂に当然のように現れたことといい、やはり只者ではなさそうだった。

( ´∀`)「……規模は大きくても、やってることはただの窃盗モナ」

いつの間にか後ろに回っていたモナーさん。
横には汗を流し、荒い息を整えているクーがいる。

川;゚ -゚)「ふぅ…ふぅ…。兄さん、そこの水筒を取ってくれないか」

リュックの隣に置いてある水筒。
それをわたそうとした時、クーのお腹が音を立てた。

川*゚ -゚)「む」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょうど二人も終わったみたいだし、お昼にしましょうか」

腰に剣をしまい、ツンがそう言った。
その彼女の腹も、きゅるきゅると声を上げた。

ξ///)ξ「……」

(;'A`)「賛成。俺も腹減った…」



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:05:51.80 ID:dK6F/R/7O
絶倫だなぁ 支援


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:06:20.34 ID:M3OYxF3A0
('A`)「でも…魔法だけじゃなくて超能力なんて物まであるなんて…」

持ち込んだカップ麺を食べながら言った。
湯を沸かす際にさっそく魔法を使ってみたのだが、なかなかうまくいかず結局モナーさんにやってもらった。

( ´∀`)「モナモナ。単に僕たちの常識…魔法で説明できないことを超能力と総称してるだけモナ」

ずるずると麺をすするモナーさん。
気に入ってもらえたようで、嬉しかった。

ξ゚⊿゚)ξ「そういう意味で言うと、あなた達がやって来た鏡も超能力みたいなものね」

ツンは、はじめは首をかしげていたが、今ではガツガツと食べている。
三分で出来ると聞いた時は、なんとも微妙な顔をしていた。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:07:31.07 ID:M3OYxF3A0
川 ゚ -゚)「私も何か使えたらな…」

ため息を吐きながらクーが言葉を漏らした。

( ´∀`)「剣術は凄いんだし、魔法だって焦らなくてもそのうちうまくいくモナよ」

スープまで飲み干すと、モナーさんは笑みを受けベながら言った。
クーも口を少し歪める。

川 ゚ ー゚)「剣道部だったからな。それにはちょっと自信があるぞ」

知らなかった。
昔はスポーツ全般が駄目だったクーが、剣道を始めていたとは。
離れていた時間は、あまりにも長すぎた。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:09:13.22 ID:M3OYxF3A0
ξ゚⊿゚)ξ「モナー様、二人とも結構練習しましたし、実戦で試してみるのはどうでしょうか?」

いつの間にか食べ終わったツン。
口を布巾で拭っている。

( ´∀`)「どこかいい場所でもあるモナ?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい。近頃ヴィップ郊外の洞窟が魔物の巣になり始めていると聞きますから。
     下級の魔物ばかりとはいえ、駆除に回せる人手がないので放置されているそうです」

まるでネトゲのクエストみたいだな。
苦笑し、そう思った。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:10:21.94 ID:M3OYxF3A0
川 ゚ -゚)「私たちでも戦えるのか?」

問題はそれだった。
剣と魔法、修練はしたが、いまだ自信を持てる領域ではない。

ξ゚⊿゚)ξ「まあ、クーの剣と…ドクオの魔法があれば、難なく突破できるはずよ」

ツンは俺たち…特に俺の方をジト目で見る。
しっかりしろ、と怒られている気がして委縮する。

( ´∀`)「僕達の仕事を押し付けたみたいになって悪いモナ…。でもいい経験にはなると思うモナよ」

音もなく立ち上がったモナーさんが、長剣で空中に文字を描いていた。
次に紙を取り出すと、そこに文字が写される。

( ´∀`)「これを、洞窟南西にある詰所に持っていけばいいモナ」

紙を受け取ると、討伐許可証とある。
その下にモナーさんのサインも入っていた。



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:10:58.05 ID:ncUidnmqO
はや!
支援


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:11:26.14 ID:M3OYxF3A0
(*'A`)「ありがとうございます! クー、行くよな?」

二人から寄せられた信頼。
くすぐったいような、嬉しいような奇妙な思い。

川 ゚ -゚)「ああ、当然だ」

森の方から、一陣の風が吹く。
汗でぬれた体には、心地よかった。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:12:33.38 ID:M3OYxF3A0
飛翔魔法。
イメージするのは、大空を羽ばたく鳥。
苦手なあの魔法を、自分で使うことになるとは思わなかった。

(;'A`)「はぁ…」

ξ-⊿-)ξ「…しっかりしなさいよ。使うのはドクオしかいないんだし」

ため息をつく俺。
そんな俺を見て嘆息するツン。

川*゚ -゚)「兄さん、頼む」

横をちらりと見ると、キラキラした瞳で見つめるクー。
いまさら無理だ、とは言えない。

( ´∀`)「落ち着いて、集中すれば大丈夫モナよ。炎を出した時と原理は同じモナ」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:13:59.65 ID:M3OYxF3A0
( A )「……」

目をつぶり、自分の中に潜り込む。
そこに一筋の道を見つけ、辿っていく。
一羽の小鳥。
両手で抱え込むイメージ。

('A`)「ッ!」

今度は逆に、「俺」へと戻っていく。
落とさないよう慎重に、しかし出来る限りの速度で駆け抜ける。
光が、見えた。

(;'A`)「!」

剣を振り下ろす。
桜色の魔法陣が描かれ、足元でくるくると回り出した。



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:15:34.78 ID:M3OYxF3A0
ξ;゚⊿゚)ξ「成功、ね…」

ツンが魔法陣に目を向け、言った。
描かれた幾何学模様。
それを理解することはできないが、ツンの言葉を聞いてようやく安心した。

(;'A`)「ふう……」

大きく息を吐いて、深呼吸。
強張ったままの手には、達成感が残った。

( ´∀`)「良かったモナー。それじゃ、頑張ってモナ」

一歩後ろへ下がり、手を振るモナーさん。
汗で湿って色を変える剣の柄を離し、手を振り返す。

(;'A`)「それじゃ、行くか」

クーの手を引き、魔法陣へと乗せる。
この数日間でいつの間にか、普通に手を握ることができるようになっていた。

川 ゚ -゚)「うむ」

軽く俺の服の裾を掴むクー。
不安はない。
二人一緒ならきっと――

体が、浮いていくのを感じた。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:16:50.53 ID:M3OYxF3A0
慎重に剣を動かし空を進んでいると、森の中に建物が見えた。
古びた外壁に、木の蔦が絡みついている。
あれが件の詰所だろうか。
剣を下げ、魔法陣を地上へとおろして行く。

足が地についた後、歩いて詰所に入る。
気分は悪くない。
自動車と同じで、自分で操縦すると酔わないのだろうか。

中にいた初老の男が、こちらを向いた。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:18:32.35 ID:M3OYxF3A0
( ・-・ )「む、何か御用かな?」

('A`)「その…モナーさんからの…」

ポケットから許可証を取り出し、手渡した。
男は眼鏡をかけると、中に目を通す。

( ・-・ )「おお、討伐か。ありがたい、頑張ってくれよ」

にこやかに笑いかけてくる。
期待には応えたい、と思った。



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:19:32.74 ID:M3OYxF3A0
細い道を歩いていく。
森の、匂い。

川 ゚ -゚)「空気がおいしいな」

手を広げ、周りの木々を見回すクー。
その黒髪が、さらさらと流れる。

('A`)「ああ、日本じゃ、なかなか味わえない」

田舎の話なんかでたまに聞くが、本当に空気に味があるとは。
うちもお世辞にも都会とは言えないが、こんな感覚は初めてだ。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:20:37.12 ID:M3OYxF3A0
川 ゚ -゚)「兄さん。あれがそうか?」

クーが足を留めて木々の向こうにある洞穴を指差す。
中は暗く、何がいるか分からない。

('A`)「ん、そうかもな…。見てみるか」

頭を下げて、木の枝を避けながら近づく。
足元の草がちくちくとくすぐったかった。



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:21:37.43 ID:M3OYxF3A0
(;'A`)「む…」

しかし、近付いても中の様子は分からない。
耳をすましてみるが、物音も聞こえない。

川 ゚ -゚)「入るしかないんじゃないのか?」

クーが剣を抜き、くるくると弄びながら言った。

('A`)「そのために来たんだしそうするしかないか…」

覚悟を決めて剣を抜く。
鉄の無機質な冷たさが、不思議に俺を奮い立たせてくれた。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:22:45.65 ID:M3OYxF3A0
中に入り、松明に火をつける。
付近が明るくなるが、やはり何の気配も感じない。

川 ゚ -゚)「…ここじゃ、ないのか?」

剣を構えながら歩くクー。
炎で照らされる横顔。

(;'A`)「でも…このあたりにはここしかないと思うんだが…」

洞穴なんてそんなに沢山あるとは思えなかった。
それに、いくつもあるのなら、モナーさんが説明しているはずだ。



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:23:56.09 ID:M3OYxF3A0
川 ゚ -゚)「……兄さん、火を消してみろ」

突然クーが立ちどまり、小声でそう言った。
その顔は、険しい。

(;'A`)「えっ」

混乱しているうちに、クーが剣で火を払った。
一瞬で暗闇に包まれる。

(;'A`)「な、なんだよクー」

川 ゚ -゚)「あれだ」

剣で指すその先に、小さな灯りが見えた。
ゆらゆらと揺れる炎。
鉄がぶつかるような、カチカチという物音。

(;'A`)「先客…ってことか?」

川 ゚ -゚)「だろうな。魔物達がいないのも恐らく…」

なら、敵ではないのだろうか。
考え込んでいると物音が、止まった。



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:25:48.25 ID:M3OYxF3A0
脂肪がついた大きな体。
手に握られた双つの剣。
それは本来両手でようやくもてるほどの太く、長い刃。

そして、背筋が凍るような殺気。
気づけば、膝ががくがくと震えだしていた。

( ^ω^)「誰だお?」

その殺気とは逆に、穏やかな口調。
しかしそれは言外に、答えなければ殺す、と告げていた。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:27:13.66 ID:M3OYxF3A0
川 ゚ -゚)「それはこっちの台詞だな。私たちはモナーさんの依頼で魔物退治に来た者だ」

一歩前に出ながら言うクー。
その瞳は、確かな強さを秘めていた。

( ^ω^)「そりゃご苦労だおね。でも…もう必要ないお。ブーンが、全部倒したお」

こともなげに言い放つ男。
しかし三人を除き、何一つ生きている者のいない洞窟。
ブーンという男の言う事が、事実だと示していた。

川 ゚ -゚)「…答えろ、お前は何者だ」

剣を向ける。
そこには、わずかな躊躇もなかった。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:29:06.04 ID:M3OYxF3A0
( ^ω^)「ブーンは、ショボン様配下。一番隊隊長だお」

一瞬耳を疑った。
ショボンは、これほどの男を部下としているのか。

川 ゚ -゚)「そうか、ならば遠慮はいらないんだな」

さらに一歩踏み出す。
ブーンの間合いの中。

( ^ω^)「あんたらがモナーの犬だっていうんなら、ブーンも容赦はしないお」

だらりと垂らした双剣を、握りなおすブーン。
胸の前で十字に構える。
わずかに響く、金属音。



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:30:05.24 ID:M3OYxF3A0
( ^ω^)「ブーンは、ショボン様配下。一番隊隊長だお」

一瞬耳を疑った。
ショボンは、これほどの男を部下としているのか。

川 ゚ -゚)「そうか、ならば遠慮はいらないんだな」

さらに一歩踏み出す。
ブーンの間合いの中。

( ^ω^)「あんたらがモナーの犬だっていうんなら、ブーンも容赦はしないお」

だらりと垂らした双剣を、握りなおすブーン。
胸の前で十字に構える。
わずかに響く、金属音。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:32:11.36 ID:M3OYxF3A0
川;゚ -゚)「っ!」

ブーンの言葉、一秒と間が開かないうちに、激しい火花が洞窟内を照らした。
耳触りな甲高い音が響き渡る。

( ^ω^)「よく、防いだお」

姿を一瞬のうちに消したブーン。
音速に近い一撃は、しかしクーの剣によって動きを止められていた。
軽く、息を吸い込む。

( ^ω^)「ブーンが扱う魔法は風。見たことは、ないかお?」

突如クーが壁に叩きつけられる。
ブーンは変わらず、大剣を交差させたまま。

川;゚ -゚)「な――」

クーが驚愕に目を見開く。
叩きつけられた衝撃よりも、手も触れずに吹き飛ばされた驚きが顔に現れていた。

( ^ω^)「ここまでだお」

ブーンが双剣を振り上げる。



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:33:09.90 ID:M3OYxF3A0
その凶刃は人間でさえ、紙でも切るかのように両断するだろう。
理解するよりも早く、駆けだしていた。
魔法なんてものは、とっくに頭の中から消えてしまった。

(;゚A゚)「うああああああああああぁぁぁぁ!」

悲鳴とも怒声ともつかない声を上げていた。
震える足に渇を入れ、感覚が失われた指に力を入れた。

ブーンがこちらに気付いた。
ショボンと同じ氷の眼。
剣を下ろし、こちらを見据えている。

思わず立ち止まってしまいそうになる。
喉はからからで、網膜はまともに前を映さない。



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:34:05.28 ID:M3OYxF3A0
でも、それでも止まらない。
昔、救えなかった人がいた。
救わなかった、俺がいた。

( A )「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

声が枯れるほどの叫びは、その断末魔だ。
我武者羅に剣を振るい、走り続けた。
打倒すべきは自分自身。
動けるのに、動かなかった、俺。
救わなかった、俺。

( ^ω^)「……」

鈍い金属音が響く。
一歩たりとも下がらず、受け止めるブーン。
ここにきて初めて、その目はまっすぐに俺を見つめていた。



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:35:08.10 ID:M3OYxF3A0
( ^ω^)「お前の名は、なんだお」

(; A )「……ドクオだ」

ブーンがぽつりともらした呟きに、答える。
奴はドクオ、と小さく声を上げ、

( ^ω^)「……いい目だったお」

二振りの剣を腰に納めると、静かに姿を消した。
しかし俺は、追う事も、声をかけることもしない。



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:36:09.13 ID:M3OYxF3A0
( A )「無事か、クー」

からん、と音を立てて、床に落ちる剣。
僅かな外の光を反射した鋼が、暗い洞窟の中を照らした。

川;゚ -゚)「兄さん?! 気をしっかり持て!」

クーの声が聞こえる。
その澄んだ声がそばにあることが、たまらなく、嬉しかった。



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:37:13.79 ID:M3OYxF3A0
――――
―――
――


雨が地面を叩く音。
怒鳴るような女性の声。
険しい男性の声。

( A )「う……」

川;゚ -゚)「兄さん? 目が覚めたのか?」

目を開けると、クーの顔がすぐ前にあった。
泣きそうな、笑顔。

ξ-⊿-)ξ「…良かった……」

少し離れた扉の近く、ツンが目をつむりながらいった。
その隣に、モナーさん。



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:38:28.54 ID:M3OYxF3A0
( ´∀`)「ドクオ。痛みはないモナ?」

そのモナーさんが、俺のほうへ向かってくる。

('A`)「あ…ええ、大丈夫です。俺は…?」

頭を上げ、周りを見渡す。
数日間寝泊まりしていた部屋。
ヴィップに、戻ってきていた。

川 ゚ -゚)「あいつが去った後、兄さんがふらりと倒れたんだ。それで詰所の爺さんに連絡してもらって…」

ξ゚⊿゚)ξ「私が迎えに行ったってわけ。まったく…外傷も何もないのに目が覚めないから焦ったわよ」

ツンが腕を組みかえながら言う。
落ち着かずちらちらと、部屋の小物に目をやっている。



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:39:31.78 ID:M3OYxF3A0
( ´∀`)「まあ、無事なら良かったモナ。それで、ドクオ」

いつも通りの柔和な笑顔を浮かべたモナーさん。

( ´∀`)「今すぐ、帰る支度をするモナ」

しかしいつもと違うその言葉。

外に聞こえる雨音が、強く耳に残る。
まだ、降り止む様子はなかった。



―第三章「八月三日」・END―





44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:43:33.34 ID:M3OYxF3A0
投下終了。
序章の時に書きたいと思っていた物とかけ離れて一人歩きする作品に。
どうしてこうなった…。

最後のモナーの言葉は私の代弁ですね。
次回から本来の筋に戻れれば…。

質問などあればどうぞ。



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:45:58.38 ID:ncUidnmqO
乙なんです><
次回も楽しみにしてます


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:50:06.41 ID:f6E2ugbG0 BE:1185508883-2BP(123)
sssp://img.2ch.net/ico/onigiriwattyoi.gif
投下予定を


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 00:52:17.45 ID:M3OYxF3A0
>>48
早ければ、二、三日後には投下出来ると思います。



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/09(木) 01:21:17.57 ID:jRNezY3tO

やっぱペース早いと嬉しいな




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■この記事へのコメント

  1. ■ [くるくる名無しさん]

    ドックンドックン~!ふぅん!クーにゃーんにゃーん
    また、家族一緒に暮らせるようになってよかった(´;ω;`)
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