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◆( ゚∀゚)ジョルジュは命を売るようです 第三話 「フレンズ」

前の話/インデックスページ/次の話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:23:17.10 ID:CShGu6Ci0

今宵もこっそりと投下しましょうか


まとめサイトさんのURLです
ttp://kurukurucool.blog85.fc2.com/blog-entry-109.html
ありがてぇ・・・



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:25:23.48 ID:CShGu6Ci0



第三話 「フレンズ」





3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:30:10.05 ID:CShGu6Ci0


汗が肌から滲み出て、頬を伝い、顎から滴って、地面に落ちた。

月の光が、随分低い位置から差し込んでいる。
あれからどのくらい時間が経ったのだろう。

俺の腕が、悪魔の腕に為り代わってから。

(; ∀ )「・・・」

右腕が重い。
自然と腰が折れ、膝が沈む。

左手で恐る恐る、右腕を触る。
固い。弾力というものがまるでない。
鉄のようだ。

(; ∀ )「・・・」

それは元の腕よりも一回り太く、そして長いように思われた。
新しい居場所に体を馴染ませるかのように、ときおり自分の意思とは関係なく引き攣った。

気味が悪い。

(;゚∀゚)「悪魔の腕・・・」

熱い。



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:33:15.63 ID:CShGu6Ci0
( ゚ω゚)「・・・」

( ゚ω゚)「主よ・・・」

そいつはおもむろに、手に持った光の剣を頭上にかざした。

( ゚ω゚)「現れましたお・・・奴の・・・・・右腕ですお・・・あなたの仰ったとおり・・・」

( ゚ω゚)「距離を置かなくては・・・・・私をお許しください・・・新たな光を・・・」

そいつの呟きに答えるように、剣が形を変えていく。

なんてふざけた野郎だ。
どんな武器でも自由自在だと?
こちとら丸腰だぜ。

(;゚∀゚)「くそっ」



とにかく、納得はいかないが理解はした。

要するに、目の前の変態はあり得ない力を持っていて、俺を殺そうとしているらしい。
俺はこの場を乗り切らなければならない。
悪魔の力を使って。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:38:14.74 ID:CShGu6Ci0
(;゚∀゚)「・・・」

(  ω )「ああ・・・主よ・・・父よ・・・・・」

そいつの持っていた剣は、長大な白い弓へと変貌を遂げていた。
本当に、納得がいかない。

(;゚∀゚)「おい・・・」

声は、微かに震えていた。

( ゚∀゚)「俺は悪魔の心臓を持っている」


出来たばかりの右腕の拳を、握ってみる。
大丈夫。動く。俺の意思どおりに。

( ゚∀゚)「さっきまで死のうと思ってたけど」

( ゚ω゚)「殺す・・・」

( ゚∀゚)「あんたに殺されそうになって気が変わった」

( ゚∀゚)「俺は生き残るぞ・・・どんな手を使ってでも」



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:40:55.76 ID:CShGu6Ci0
男が動いた。

左手に握った弓を俺に向け、右手で光の弦を掴み、後ろに引く。
矢は見えないが、きっと何かが放たれるのだろう。

咄嗟に右腕を持ち上げ、頭を庇う。

(#゚∀゚)「うおおおおおお!!」

身を低くして、駆け出す。

( ゚ω゚)「愚図が・・・」

そいつが右手を弦から放すと同時に、俺の右の太腿に穴が開いた。

皮膚が裂け、筋肉が断たれ、骨が粉砕され、コンクリートの地面が破壊された。

(;‐∀゚)「ぐぁっ・・・!」

あまりの激痛に膝を折る。

すぐさま、その傷口が塞がっていく。

黒い皮膚、黒い筋肉、黒い骨。

駄目だ。
これ以上悪魔に体を渡すわけにはいかない。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:45:03.67 ID:CShGu6Ci0
崩れかけた体勢を戻し、男を見る。
そいつは第二射目の準備に入っていた。

(;゚∀゚)「よく見ろ・・・」


矢が放たれた。
何の音も前触れもない。

レーザービームのような残像だけが、悪魔の右腕の甲にぶち当たった。

( ゚ω゚)「!?」

(;゚∀゚)「あっぶねぇ・・・」

(;゚∀゚)「いくら矢が速くても、目線でバレバレだぜ、バーカ」

心臓の前に置いた、悪魔の手。
一か八かの賭け。

もし悪魔の腕さえも貫かれていたら、終わりだった。
冷や汗が額を流れ落ちる。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:46:48.44 ID:CShGu6Ci0
(;゚∀゚)「どうやらあんたの力でも、悪魔の盾には及ばないみたいだな」

(#゚ω゚)「黙れ・・・黙れお・・・・・くそっ、くそっ」

(#゚ω゚)「見下すなお・・・・・ゴミ風情が・・・神の使いを・・・見下すなお」

( ゚∀゚)「・・・神の使い?あんた宗教家か?」


( ゚ω゚)「・・・」

( ゚ω゚)「・・・いまあれは、神と言ったか・・・? 言ったお・・・汚れた存在が口にしていい言葉じゃないお・・・・・よくも」

( ゚ω゚)「殺す・・・最上の苦しみを与えて・・・・嬲り殺す・・・」

呟く男の顔は、薄暗闇でもはっきりと分かるほどに、赤黒く変色していた。
できればそのまま怒りのあまり、脳の血管が破裂して逝ってもらえれば助かるのだが。

現実はそうもいかない。


この、イカれた現実は。



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:49:58.09 ID:CShGu6Ci0
(#゚ω゚)「死ねお!」

( ゚∀゚)「ぅおっと!」

さらに射ってきた光線を、右腕で受ける。
痛みはない。悪魔の腕は、想像以上にタフだ。

俺の頭も冷えてきた。
そろそろ、反撃開始と行こうか。


( ゚ω゚)「・・・主よ」

例によって、奴の握る武器が変化していく。
もう驚かないぞ。次の武器は何だ。

( ゚ω゚)「感謝いたします・・・あなたの寛大さに・・・」

( ゚ω゚)「・・・これで、あの悪魔を・・・砕きましょう・・・主よ」

光が形作るのは、太くて長い柄。その先に、数本の棘が突き出た球体。


モーニングスターだ。

(;゚∀゚)「・・・この野郎」

( ゚ω゚)「殺す」



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:54:23.15 ID:CShGu6Ci0
まるで木の枝であるかのように、奴は軽々とモーニングスターを振るった。

(;゚∀゚)「うぁっ!」

咄嗟に右腕で攻撃を受け止める。
あまりの衝撃に、肩が外れそうだった。

(#゚ω゚)「おおっ!」

(;゚∀゚)「ぐっ・・・!」

さらに一撃。二撃、三撃。
湾曲した攻撃の軌道を、やっとの思いで捉える。
目では追えるが、体がついていかない。

どうする。

(#゚∀゚)「・・・くそがっ!」

( ゚ω゚)「おっ!?」

タイミングを計って、奴の攻撃を弾き返した。
男がよろめいた隙に、バックステップで距離をとる。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:56:34.40 ID:CShGu6Ci0
(;゚ω゚)「く・・・何を」

( ゚∀゚)「・・・」


かなり危険な賭けだが、やるしかない。
もしも俺の推測が外れていたら、奴に絶好の攻撃の機会を与えてしまう。

( ゚∀゚)「大丈夫・・・」

これだけ古い建物だ。
きっと使われているに違いない。


(#゚∀゚)「いくぞっ!」

掛け声とともに、男に向かって走りだす。
そして跳躍。


( ゚ω゚)「―――!?」


ダンクシュートと同じ要領だ。
男の頭上に達したところで、天井に向けて右腕を振り上げる。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 18:58:26.20 ID:CShGu6Ci0
(#゚∀゚)「ふっ!」

コンクリートに腕を突き刺す。
助走のエネルギーを利用して、埋まった右腕をそのまま薙ぐように振り抜き、さらに天井を抉る。

俺の予想は見事に的中していた。


( ゚∀゚)「アスベストだ!」

白くて細かい建築材が、天井の破片に紛れて大量に降り注いだ。
まるで吹雪に見舞われたような光景。

男を飛び越えて地面に着地し、再び右腕を盾に。

( ゚∀゚)「これだけの量を一度に吸いこんだら、ただじゃ済まないぜ!」

(; ω )「お・・・!」

こんなちゃちな脅しをかけることが、本当の目的じゃない。

本来の目的は、敵の混乱と―――


眼潰し。



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:01:28.71 ID:CShGu6Ci0

(; ω )「ぐっ・・・」

暗闇を埋め尽くす断熱材の霧。
奴には俺の姿が見えないだろうが、俺には奴の姿が見える。


白く輝く、モーニングスターが。


(#゚∀゚)「オラァッ!」

戸惑う男に肉薄し、右腕をその腹に叩きつける。
しかし寸前のところで、武器の柄でガードされた。

手ごたえはあった。

(; ω )「・・・っ!!」

男の身体が浮き上がり、弧を描いて後方へ吹き飛んだ。
鈍い音を立てて壁に背中から衝突し、地面に崩れ落ちた。

壁には、隕石が衝突した跡のようなへこみができていた。



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:02:51.01 ID:CShGu6Ci0
(;゚∀゚)「すっ・・・」

(;゚∀゚)「・・・げえ」

まるで風船を殴ったかのようだ。
ソイツの身体が、信じられないくらいに軽く感じられた。

矢を防ぎ、コンクリートを砕く。
化け物じみた力だ。

これが、悪魔の力。


(メ ω )「・・・ゴフッ・・・・!」

男は芋虫のようにうずくまって、血と涙を垂れ流していた。

致命的なダメージのようだった。

(メ;ω;)「グゾが・・・ごろじでやる・・・」

(メ;ω;)「・・・主よぉ・・・」

全身が痙攣して、目線は定まっていない。
背骨が折れているのではないだろうか。
胴体がおかしな形に歪んでいる。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:04:51.90 ID:CShGu6Ci0
(メ;ω;)「・・・・ゲホッ・・・うゥ・・・」


こいつ、死ぬんじゃないか?

( ゚∀゚)「・・・」


もし死んだとしたら・・・俺はどうなる?

そう言えば、こいつの使っていた武器が見当たらない。
いつの間にか、消えてしまっている。

あの意味不明な、光の武器。

(;゚∀゚)「・・・正当防衛、だろ・・・?」

誰に言うでもなく、呟いた。


(メ ω )「・・・ゲボッ・・・」

(;゚∀゚)「おい、だ、大丈夫か・・・?」

恐る恐る近づいて、声をかける。

自分で殴っておいて、なんて言い方だ。



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:07:14.04 ID:CShGu6Ci0
(メ ω )「・・・ゴボッ!ゴホッ!」

男の口から、断続的に血が吐き出される。
その度に、ビチャビチャッ、という湿った音が周囲に鳴り響いた。

(;゚∀゚)「うわ・・・やべぇだろ・・・・・おぇ」

(;゚∀゚)「・・・助からないかも・・・」


「だいじょうぶ」


背後から声。

( ゚∀゚)「―――!」

(* ー )「まだ死なないから」

女の声だ。
再び、心臓が跳ねあがった。

すばやく振り返る。



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:11:34.70 ID:CShGu6Ci0
(* ー )「流石ね。まさかこんなに早く順応するなんて」

小柄な人影が、荒れ果てた室内をゆっくりと横切り、こちらへ向かってくる。

今度はなんだ、ちくしょう。

(* ー )「普通なら、発狂してもおかしくない状況なのに」

(* ー )「すんなりと悪魔を受け入れて、あまつさえ利用するなんて・・・」

体型と声から察するに、少女のようだ。
俺と同じか、少し年下くらいだろう。

誰だろうと、油断はできない。
右手を前に、腰を落として構える。

(;゚∀゚)「・・・」

(* ー )「だいじょうぶ。私はあなたを傷付けたりしない」

(;゚∀゚)「・・・誰だよ、あんた」



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:15:40.98 ID:CShGu6Ci0
(;゚∀゚)「あんたも、こいつも、一体何者なんだよ?俺に何の用があるんだ?」

(* ー )「助けに来たのよ」

醜く凶悪な腕を前にした俺に、臆せず向かってくる。
微笑んでさえいる。

(;゚∀゚)「こいつの仲間なんだな・・・?」

(*゚ー゚)「仲間とは少し違うかもしれない」

(*゚ー゚)「同じ人種。 神の使いよ」

少女は立ち止まった。
月明かりが、その顔を照らしだす。

儚げな顔つきをした少女だった。
やはり、年齢は俺と変わらないように見える。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:18:53.10 ID:CShGu6Ci0

(*゚ー゚)「助けに来たのよ」


室内が、眩しいほどに明るくなった。

少女の背中に、一対の翼が現れた。
穢れなき純白の翼。

光の翼。


(*゚ー゚)「彼と」

言葉が出ない。
時が止まる。


少女は言った。

(*゚ー゚)「あなたを」


一陣の突風と、舞い落ちる羽根。

気づいた時には少女は目の前から消えていた。
死にかけていた男と共に。



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:27:37.69 ID:CShGu6Ci0




朝になる。
ゆっくりと、しかし確実に昇っていく、真新しい太陽を眺めた。

疲れた顔で道路脇に座り込んだ伊藤に、声をかける。

( ^Д^)「・・・眠いか?」

('、`*川「少し・・・」

少し。そんなわけない。
伊藤の目の下には、くっきりとしたくまが出来ている。

今横になったら、道路だろうとどこだろうと、いびきをかいて眠りこんでしまうだろう。

( ^Д^)「どこいったんだろうなぁ・・・ジョルジュ」

そう呟くのも、もう何度目か分からない。
本当に、どこに行ったんだろう。

( ^Д^)「ジョルジュの姉ちゃんも・・・」



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:30:32.57 ID:CShGu6Ci0
昨日の光景が蘇る。

バスケのリングを破壊したジョルジュは、そのまま逃げるようにどこかへ行ってしまった。
ジョルジュを迎えにきた彼の姉に、教師はそう告げた。
彼女はそれを聞いて、取り乱して教師に「嘘だ」とつめ寄った。


从 ∀从「・・・」


体育館の惨状を見て、俺たちの目撃談を話して聞かせた後の彼女は、まるで死人のようだった。

从 ∀从「弟を見たら・・・」

从 ∀从「ここに連絡して・・・お願い」

(;^Д^)「あ、あの」

从 ∀从「迷惑かけて・・・ごめんなさい」



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:32:23.66 ID:CShGu6Ci0
血の気の引いた彼女の顔を見て心配になり、思わず訊いた。

(;^Д^)「こ、これからどこに行くんですか?」


从 ∀从「・・・」

从 ∀从「ジョルジュを探しに・・・」

あれからずっと、俺たちはジョルジュの行方を追っている。
手がかりは無し。収獲も無し。
もう街から出てしまっていたとしたら、成す術もない。

夜明けの街の路地で、死んだ目で道路に座り込んでいるくらいしか、することがなかった。

( ^Д^)「俺が・・・あんな顔をしていたから」

('、`*川「・・・なによ」

( ^Д^)「ジョルジュはどこか行っちまったんだ・・・親友の俺が」

( ^Д^)「でもビビッちまって・・・まさかジョルジュが」

('、`*川「・・・うるさいわね・・・男のくせに女々しいこと言ってんじゃないわよ」



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:39:13.82 ID:CShGu6Ci0
( ^Д^)「だってあり得ないだろ?あんな・・・それにリングをぶっ壊して・・・」

( ^Д^)「誰だってビビッちまう・・・」

( ^Д^)「何か・・・おかしなことが起こってるんだ」

('、`*川「・・・何かって、なによ」

( ^Д^)「わかんねえ・・・」

遠く、自動車の排気音が聞こえた。
自転車の鈴の音、鳥の鳴く声、足音。

世の中は今日も、何事もなかったかのように動き出す。

( ^Д^)「・・・」


足音が聞こえた。ごく、近い場所で。
煤けた建物がひしめき合う早朝のこの路地のどこかで、俺たち以外の誰かが、歩いている。



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:40:02.89 ID:CShGu6Ci0
俺は耳をそばだてて、欠伸をする伊藤を手で黙らせた。

('、`*川「・・・なに?」

( ^Д^)「しっ・・・」

ゆっくりとした、重い足音だ。
それは路地の先から、俺たちのいる方に向かってきている。
曲がり角になっているので、姿は見えない。

( ^Д^)「・・・」

( ^Д^)「誰だ・・・?」

声をかける。

足音が止まった。

( ^Д^)「そこにいるのは誰だ・・・?」

( ^Д^)「・・・・・ジョルジュか?」

逆方向に駆けだす音。

間違いない。ジョルジュだ。
俺は疲れも忘れ、全力で走りだした。



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:43:00.94 ID:CShGu6Ci0
角を曲がると、見覚えのある男の後姿が見えた。
怪我でもしているのか、右腕を破いた服で覆っている。

走りながら、大声で呼びかけた。

(;^Д^)「ジョルジュ!待てよ!なんで逃げるんだ!」

(; ∀ )「・・・!」

(;^Д^)「ずっと探してたんだ!」

(;^Д^)「一晩中、ずっと! おかげでガキの使いも見逃した!」

(;^Д^)「・・・お前の姉ちゃんだって、心配してたぞ!」

一瞬ジョルジュの足が止まりかけ、またすぐに動き出した。

やけに速い。追いつけない。

(;^Д^)「・・・くそっ!」

駄目だ。
あいつは止まる気がない。
このままじゃ、こっちがガス欠だ。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:46:23.06 ID:CShGu6Ci0
(;^Д^)「正面は行き止まりだぜ!」

ジョルジュは俺の声を聞いて、素早く右の道に方向転換した。
口の端が上がる。

( ^Д^)「騙されたなぁ!そっちが行き止まりだ!」

息を切らして角を曲がり、前方を見据える。
工事途中で閉鎖された施設を前に、ジョルジュが立ち尽くしていた。

( ^Д^)「徹夜で歩き回ったんだ・・・この辺は俺たちのテリトリーだぜ」

(; ∀ )「・・・」

( ^Д^)「どうしたんだ?なにがあったんだよ?服がボロボロだぜ」

(; ∀ )「く・・・くるな」

( ^Д^)「学校のことなら気にするな。お前に責任は問わないってよ。皆もいつもどおりさ」

(; ∀ )「やめろ・・・近寄るな・・・俺は」

( ^Д^)「つーか、まだ体操着だったのかよ。だせぇだろ、それで街を歩くのは」



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:53:47.59 ID:CShGu6Ci0
(; ∀ )「俺は・・・俺は・・・」

( ^Д^)「腕、怪我してんのか?どれ、見せてみろ。まさか厨二病ではあるまい」

ジョルジュの異常な怯え方に、俺は眉をひそめた。
涼しい朝の気温にも関わらず、額に汗をにじませている。

こいつは一体何を恐れているんだ?

( ^Д^)「俺が怖いのか?そりゃあ図体はでかいけどよ、今さらじゃねえか」

(; ∀ )「違うよ・・・タカラ・・・俺は」

( ^Д^)「帰ろう。ここは危険だ。鉄骨やらコンクリートやらが降ってくる事故が、多いらしいぜ」

(; ∀ )「俺は・・・俺が怖いのは――――」


('、`*川「おーいっ」

伊藤が、ようやく俺たちに追いついた。
曲がり角を曲がって、息を切らせてこちらに駆けてくる。
疲れた顔に笑みを浮かべ、腕を振り上げている伊藤の、遥か頭上。



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:56:12.02 ID:CShGu6Ci0
クレーンに吊るされて長い間放置されていた鉄骨が、揺れた。


( ^Д^)「伊藤――」


巨大な鉄の塊が、伊藤に向かって降下していく。

まるでスローモーションだ。
俺も伊藤も、鉄骨でさえも、水の中を歩くように、酷く緩やかに動いていた。


(;^Д^)「―――」


間に合うか?
いや、無理だ。
距離がありすぎる。

伊藤は死ぬのだろうか。

死ぬ?伊藤が?

そんな馬鹿な――――



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 19:58:37.71 ID:CShGu6Ci0
轟音が鳴り響いた。
鼓膜が震え、空気が破裂した。
地面が揺れた。

鉄骨が、目の前で直立している。

(  ∀ )「・・・」

その真下に、ついさっきまで俺の傍にいたはずのジョルジュが、伊藤を庇って立っている。

(;^Д^)「・・・ジョルジュ・・・?」

あいつは右腕一本で、巨大な鉄骨を受け止めていた。
その右腕は異様に黒く、歪に肥大化している。
不気味な突起が肘の方へいくつか突き出て、呼吸するかのように一定のリズムで蠢いている。

凶悪な形の五本の爪が、鉄骨の先端を切り裂き、捻じ曲げていた。

(;^Д^)「そ、それ――――」

(  ∀ )「俺が怖いのは」

ゆっくりと、鉄骨が倒れていった。
チェーンソウで根元を切り取られ、命を失った大木のように。


( ゚∀゚)「俺だよ。タカラ」




35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:06:56.25 ID:8qKlDSA+O
何故かモンスターエンジンの「ゴッドハンド洋一」を思い出した支援


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:07:41.58 ID:CShGu6Ci0




( ゚∀゚)「ひと月前のことだ。俺が学校に初めて登校した、前日」

( ゚∀゚)「書斎の本棚に、見覚えのない本があったんだ・・・埃をかぶって、いやに古そうだった」

( ゚∀゚)「聖書だった。黒い革の表紙に、銀押しの十字架。俺はそれを手に取って、埃を払って、ページを捲った」

( ゚∀゚)「次に、信じられない苦しみがきた。発作なんかと比べ物にならない痛みと吐き気と苦しみだった」

俺は言った。


( ゚∀゚)「そして悪魔に出会ったんだ」


伊藤の部屋のソファーに座って、俺はタカラと伊藤に向かって言った。
時計を見上げると、時刻は昼に近かった。

( ^Д^)「悪魔ってのは・・・あの悪魔か? 地獄に落ちた人間を苦しめる・・・的な」

( ゚∀゚)「分からない。あいつが自分でそう言ったんだ」



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:10:14.82 ID:CShGu6Ci0
('、`*川「どんな顔だったの?」

( ゚∀゚)「それも分からない。声しか聞こえなかった。でも確かにいたんだ。あの十字路に」

( ^Д^)「十字路?」

包帯を巻いた右腕が、ピクリと動いた。
タカラから借りたXXLサイズの服の上からでも、それが分かった。

( ゚∀゚)「そう、十字路。とにかく、俺はそこで悪魔と取引をしたんだ」

( ゚∀゚)「俺の心臓と、悪魔の心臓を」

二人は真剣な顔をして、俺の言葉を聞いていた。
普通なら笑いを噛み殺しながら馬鹿にするところだ。

彼らの存在が、言い表せないほどにありがたかった。

( ^Д^)「心臓・・・」

( ゚∀゚)「俺の弱りきった心臓を、奴はなんの躊躇もなく受け取った。俺は代わりに悪魔の心臓を手に入れ」

( ゚∀゚)「・・・今に至るわけだ。何か質問は?」



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:14:27.60 ID:CShGu6Ci0
∩('、`*川「はい」

( ゚∀゚)「伊藤」

('、`*川「悪魔はどうなったの?」

( ゚∀゚)「・・・さあ。死んだのかもしれないし、生きているのかもしれない」

( ^Д^)ノ「あい」

( ゚∀゚)「タカラ」

( ^Д^)「その腕は」

タカラは目線だけ俺の腕に向け、言った。

( ^Д^)「悪魔の心臓と・・・関係があるんだな?」

( ゚∀゚)「・・・分からない。推測できることは、三つだけだ」

( ゚∀゚)「一つ目は、俺の身体能力が異常に発達していること。二つ目は」

( ゚∀゚)「・・・怪我をした部分が、黒くて強力な正体不明の身体に生り代わるということだ」

( ^Д^)「・・・」



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:15:38.36 ID:CShGu6Ci0
信じているのか、信じていないのか。
ただ俺には、彼らに事実を打ち明けることしかできない。

タカラがまたしても手を上げた。

( ^Д^)「三つ目は?」

( ゚∀゚)「・・・」

( ゚∀゚)「・・・・・神の使い」

( ^Д^)「なに?」

( ゚∀゚)「神の使いとかいう頭のおかしな奴が、俺の命を狙っているということ」

さらに訳の分からない顔をした二人に、深夜の襲撃の話をかいつまんで聞かせた。

若い男が突然襲ってきたこと。彼が神の使いと名乗った(?)こと。
光の武器を使ったこと。右腕を切り取られたこと。代わりに生えてきた右腕でぶちのめしたこと。
さら突然少女が現れて、男を連れて消えたこと。

話している最中に自分でもバカらしくなってきてしまい、最後はほとんど投げやりになってしまった。

それでも二人は笑わなかった。
じっと、俺の目を見ながら話に聞き入ってくれた。



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:16:31.79 ID:CShGu6Ci0
( ^Д^)「・・・大変だったなぁ」

('、`*川「すごいね、ジョッくん」

(;゚∀゚)「な、なにが?」

('、`*川「私だったら、きっと自暴自棄になってる。そうでなかったら、その力を使って悪いことばっかりしてるかも」

(;゚∀゚)「えぇ・・・」

( ^Д^)「俺なら総合に参戦するね」

(;゚∀゚)「・・・お前ら」

緊張の糸が、不意に切れてしまった。
二人と一緒にいるこの空間があまりに温かすぎて、心に詰まっていた塊が溶け出してしまった。

( う∀;)「・・・わ、悪い・・・」

涙が溢れだし、止まらなくなってしまった。



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:17:19.90 ID:CShGu6Ci0
( ;∀;)「あ・・・」

( ;∀;)「・・・あ、あのさ」

( ^Д^)「おう」

( ;∀;)「きっと、いま、よくないことが・・・起こってて」

( ;∀;)「・・・悪魔とか、意味、わかんないし」

('、`*川「うん」

( ;∀;)「俺の右腕も、気持ち悪くて、見せられないし」

( ;∀;)「学校も壊して・・・二人に迷惑かけて」

( ^Д^)「お前の姉ちゃんにも」

( ;∀;)「うん・・・」

( ;∀;)「でも、こんな俺を、探してくれて・・・家に入れてくれて・・・一緒にいてくれて」

( ;∀;)「本当に、ありがとう・・・」



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:21:30.76 ID:b1s6CqOz0
二人ともいい奴だ…


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:21:58.10 ID:CShGu6Ci0


ひとしきり泣いた後、伊藤が言った。

('、`*川「当たり前じゃん。友達なんだから」

( ゚∀゚)「・・・え?」

('、`*川「悪魔とか、そういうの関係ない。ジョッくんはジョッくん」

('、`*川「長岡ジョルジュ。君は悪魔なんかじゃないよ」

( ゚∀゚)「・・・」

( ^Д^)「そうだ」

( ^Д^)「宿題をちゃんとやってきて、バスケが上手くて、泣き虫な」

( ^Д^)「・・・俺の親友だ。遠慮なんかいらねえよ、ジョルジュ」

タカラが差し出した大きくて分厚い手を、俺は左手で握り返した。



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:27:37.02 ID:CShGu6Ci0




深夜3時過ぎ。
一晩続いたジョルジュの捜索の疲れのせいで、俺たちはあのあとすぐに眠りこんでしまった。
ようやく目を覚ましたのが、ついさっきのことだ。

俺はジョルジュが目を覚ます前に、アイツの家を訪れることにした。
ジョルジュの安否をハインさんに伝えるため、そして着替えやらなんやらを奪還するためだ。
長岡家は携帯電話を持たないし、こんな時間に電話をかけるわけにもいかない。
そもそもハインさんが家に帰っているのかも疑わしい。

だからこの俺が自らあいつの家に参上しようというわけだ。
一人だけ起きてて暇だったし。

( ^Д^)「・・・ここだよな」

小学生のころ、ジョルジュの家には何度も行った。
5年以上経つ今も、その道順は忘れていない。

念のため表札で「長岡」の文字を確認してから、家の中に入る。
合鍵の隠し場所も変わっていなかった。

音を消して、勝手に失礼する。




45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:28:59.35 ID:CShGu6Ci0
( ^Д^)「・・・ハインさん、帰ってるみたいだな・・・」

車庫に車が停めてあった。流石に二日間もぶっ通しでジョルジュを探すことはできなかったんだろう。
彼女を起こさないように、隠密で足を運ぶ。

( ^Д^)「どこだ・・・ここか・・・? ジョルジュの部屋・・・」

なんとなく見覚えのある部屋のドアを、慎重に開く。
やはりビンゴだったようだ。

ジョルジュの通学カバンや、脱ぎ散らかされた服が床に転がっていた。

( ^Д^)「んだよ・・・俺の部屋といい勝負だな・・・この汚さ」

( ^Д^)「えー・・・着替え、着替え・・・と」

持参したビニール袋の中に、手当たり次第に衣服をぶちこむ。
ついでに勉強道具も持っていこうかと悩んだが、やめた。

二年近く休学していたジョルジュに、すでに成績で追い越されそうな勢いだからだ。

( ^Д^)「さて・・・服はこんなもんだろ・・・」

( ^Д^)「次は・・・」

部屋を出て、静かにドアを閉める。



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:32:19.09 ID:CShGu6Ci0
忍び足で、リビングに向かった。
でかい図体が、初めて邪魔に感じられた。

( ^Д^)「失礼しまー・・・す」

リビングのテーブルの上に、手紙を置く。
ハインさんに、弟の無事を知らせる内容だ。

ジョルジュは今も元気に生きている。
故あって今は会うことはできないが、いつでも姉のことを愛している。
体に気をつけて。

そんな感じだ。

( ^Д^)「・・・いいんだよな・・・?」

ジョルジュは、ハインさんにだけは自分の体を見られたくない様子だったので、こういう書き方しかできなかった。
久しぶりに手紙なんか書いたもので、脳みそが干からびた雑巾みたいになってしまった。

( ^Д^)「・・・」

その時、ソファーに誰かが横になっていることに気が付いた。

ハインさんだった。



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:33:17.21 ID:CShGu6Ci0
从‐∀从「・・・」

暗くて表情は分からないが、きっと疲れているのだろう。
小さな寝息が、寂しそうな響きと共に伝わってくる。

( ^Д^)「・・・すみません」

リビングを出るとき、かすかに、ジョルジュの名前を呼ぶ声が、聞こえた気がした。








( ^Д^)「・・・」

最後に、どうしてもしなければならないことがあった。
ジョルジュが悪魔とやらに会うきっかけとなった、あの聖書だ。

確かめる必要がある。
その存在と、理由を。


十字路、とジョルジュは言った。



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:35:50.29 ID:CShGu6Ci0
( ^Д^)「・・・ここが書斎か」

広い部屋だった。

左右の壁際は本棚と本で埋め尽くされている。
大きな机と、革張りの肘掛椅子が、部屋の中心に陣取っていた。

( ^Д^)「黒い表紙に・・・銀の十字架」

これは骨が折れそうだ。
なにしろ数えきれない数の本が並べられている。
おまけに暗闇で、電気は点けられない。
ハインさんが起きるかもしれないからだ。

(;^Д^)「うわー・・・頭が痛くなってくるぜ」

俺は本があまり好きじゃない。
意味もなく字が小さいし、書いてあることも理屈臭い。
気取っていて、読んでいると段々腹が立ってくる。
せいぜい絵本が限度だ。

要するに、俺はさっさとこの部屋から出てしまいたいのだ。

(;^Д^)「・・・なんだよこの本の数・・・」



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:38:27.68 ID:CShGu6Ci0
( ^Д^)「どこから集めてくるんだろうねぇ・・・そりゃあ本屋か」

( ^Д^)「ツタヤとか・・・そういえば借りてたDVD返してねえや・・・あれ今日までだったか・・・?」

ブツブツとつぶやいていると、不意に風を感じた。
視線を動かして見ると、窓が開いていた。
大きな窓だ。両開きで、白くて薄いカーテンがかかっている。

( ^Д^)「あれ・・・窓、開いてたかな・・・」

それが今、開いていた。
そこから、冷たい夜風が流れ込んできている。

開いていたか?



( A )「お前は、だれだ?」


男の声。
低くて、敵意に満ちている。

恐怖で、身体が固まる。



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:41:01.82 ID:CShGu6Ci0
( A )「長岡ジョルジュか? いや違うな・・・ただの人間だろう?」


あいつは何と言っていた?

神の使い。そうだ。

まさか。

( A )「なんでお前みたいな人間がここにいる? お前はだれだ?」

( A )「・・・答えろよ」

部屋の中が、急にはっきり見えるようになった。
目が慣れてきたのか?

そうじゃない。
男の手に向かう、光の粒子。

(;^Д^)「光の・・・武器」

( A )「ん? 知ってるか?」

(;^Д^)「・・・神の使い」

( A )「・・・・・知ってるな」



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:43:11.88 ID:CShGu6Ci0
('A`)「長岡ジョルジュのことを」

足元で、何かが光った。本だ。
一冊の、分厚い本。

表紙を飾る味気ない銀の十字架が、男の手に集まる光を反射した。

(;^Д^)「っ・・・!」

咄嗟にそれをひっつかんで、部屋を出た。
肩にビニール袋を担ぎ、玄関へ飛ぶように走った。
額から、とめどなく汗がにじみ出た。

怖かった。

(;^Д^)「ハァッ、ハァッ!」

靴も履かずに玄関を飛び出て、扉を閉めようとして、気づいた。
家の中に、ハインさんがいる。

奴を家の中に留まらせるわけにはいかない。

(#^Д^)「オラァッ! 変質者! 出てこいや!」

時刻も考えず、玄関から続く廊下の奥に向かって怒鳴った。
キラリと何かが光ったかと思うと、一本のナイフが直線を描いて飛んできた。



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:44:47.41 ID:CShGu6Ci0
(;^Д^)「うぉっ・・・!」

頬を掠めたその光の武器は、勢いを失わないまま、家の向かい側の塀に突き刺さり、乾いた音を立てた。

('A`)「変質者って言ったの、だーれーだー?」

玄関から、男がゆっくりと出てきた。
相変わらず恐怖で足が震えていたのだが、自然と安堵のため息が漏れた。

(;^Д^)「俺だよ、ボケ! 目ん玉ついてんのかああ!?」

('A`)「・・・サイコーにムカつくな、お前」

服が詰まった袋を背中に抱え、手にはいかがわしい聖書、履き物は靴下のみという変質者スタイルで、俺はさらに挑発した。

(;^Д^)「変質者は変質者らしく、馬鹿みてーに追いかけてこいよ!」

(#'A`)「黙れコラ」

肩に激痛。叫ぶのに夢中で、攻撃に気付けなかった。

ちくしょう。



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:46:49.57 ID:CShGu6Ci0
(; Д )「いっつ・・・!」

(#'A`)「変質者はテメーだろーが」

左手をポケットに突っ込みながら、光るナイフを手に歩み寄ってくる。
よし、いい感じだ。


(; Д )「・・・」


このまま、夜の鬼ごっこと洒落込もうか。


捕まったら、死だ。




57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:47:40.02 ID:CShGu6Ci0




寝惚け眼で時計を見ると、短針は4を過ぎたところで止まっていた。
いつの間に寝てしまったのか、分からなかった。

('、`*川「ん・・・」

お風呂にも入っていないし、歯も磨いていない。
目覚めのコンディションは最悪だ。
おまけに部屋は男臭いし、お菓子のゴミが散乱している。

('、`*川「・・・タカラ・・・?」

そうだ。今日はタカラとジョッくんが部屋に泊まったんだ。
ジョッくんがバスケのゴールを壊して、ジョッくんがいなくなって、探して、見つけて・・・

('、`*川「・・・タカラ、どこ?」

('、`*川「ジョッくん、起きてる? タカラ、どこ行ったか知ってる・・・?」

('、`*川「トイレかな・・・あの馬鹿・・・電気くらい点けなさいよ」

手探りで紐を見つけ、二回引っ張る。
一瞬遅れて、部屋が蛍光灯の光に包まれた。



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:50:14.17 ID:CShGu6Ci0
('、`*川「まぶし・・・」

目が慣れてから、部屋を見渡した。

('、`*川「・・・?」

猫足テーブルの上に、ノートの切れ端が置いてあった。
適当な蛍光ペンで、走り書きが記されている。

眠りに落ちる前には、無かったものだ。
それも、二枚。

一枚目のメモを読む。
誰の物かは、読む前から分かっていた。



『用事で、少し外に出る すぐ戻る   寺生まれのTより』



('、`*川「・・・馬鹿じゃないの、こいつ」

('、`*川「・・・」



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:51:32.76 ID:CShGu6Ci0
二枚目。誰の物かは分かっている。

でも、手紙を持つ手が震えだすのを、どうしても止められなかった。




『用事で、少し外に出る』


『たぶんもう戻らない ごめん ありがとう   長岡ジョルジュより』



60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:53:17.69 ID:66kGJRTGO
まとめ読んできたおもしろい


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 20:59:50.03 ID:CShGu6Ci0
今日の分終わりです

読んでくれた人サンクス!
支援くれた人もサンクス!

次からさらに厨二病全開で行きますので、エチケット袋は忘れずにご用意ください。

くるくるさんサンクス!



ではノシ



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 21:04:39.40 ID:51dp23x20
むしろスクエニはあえてガングロにしたんじゃね?


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 21:05:22.51 ID:51dp23x20
>>63
ごば
いいSSだった


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 21:08:45.04 ID:x9kPqayV0



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/14(火) 21:14:17.72 ID:XUAuGQKvO
>>62

>>63
なんとゆう誤爆www


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