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◆ξ゚⊿゚)ξ殺人鬼は微笑むようです 二 其の三

前の話/インデックスページ/次の話

66 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 22:58:24.87 ID:2zlA92og0


二 其の三



67 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:00:37.70 ID:2zlA92og0
ξ゚⊿゚)ξ「ただいまー……」

家に戻り、無人の部屋に私の声が響く。
何故無人だと分かったのかというと、玄関には妹の靴がなかったからだ。

ξ゚⊿゚)ξ(部活かしら……)

一応、私も美術部に幽霊部員として存在しているが、行ったことは一度もない。
零は、あれで水泳部で、部内でも結構優秀な存在らしい。
彼女の得意種目は何だっただろうか?

ξ゚⊿゚)ξ(そんな事も知らないのか、私)

冷蔵庫を開けて、オレンジジュースの紙パックを引っ掴む。
コップなどという物は用いず、直接口をつけて飲む。
女らしからぬ行動だが、こんなもんだ、実際の女なんて。
男が見てない所では何をしているか分かったもんじゃない。

ξ゚⊿゚)ξ(脇剃ったり毛剃ったりなんて絶対見られたく無いわ)

冷蔵庫をもう一度見る。
どれも調理を必要とする材料ばかりである。



68 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:02:52.39 ID:2zlA92og0
制服を脱ぎ散らかして、適当な服に着替える。

ξ゚⊿゚)ξ「はー、お腹すいたなあ」

居間のソファに倒れこみ、壁にかけてある時計を見た。
時刻、七時二十三分。
私が機関の人間として行動を起こすまで後約二十五分。
今の内に少しでも胃に物を詰めておきたいのだが。

ξ゚⊿゚)ξ「零早く帰ってきてよー」

そう言えば、何で零が家事を全部してくれることになったんだろう。
何時決めたのだろう。

昔から零はよく出来た子で、可愛くて、自慢の妹だった。
勉強もよくできたし、運動も難なくこなしたし、世間からも評判はよかった。

それに比べて私はどうだろう?
こんな、不良じみた外見で、頭もすこぶる悪くて、運動なんて走るだけで息切れするほどだ。

つくづく、零の存在が偉大だと思い知る。
きっと私は、彼女がいなかったら今頃のたれ死んでいただろうな。

と、零への感謝と尊敬の意が強まった頃、玄関の扉の開く音が聞こえた。



70 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:06:03.83 ID:2zlA92og0
ξ゚⊿゚)ξ「あ、零ー、ご飯ー」

居間へと彼女が無言で入ってくる。

ξ゚⊿゚)ξ「零?」

彼女は、あからさまな無視を決め込んでいた。
私を見ようともせず、直に冷蔵庫へと向かい、食材を出し始めた。

ξ゚⊿゚)ξ「お、お姉ちゃん、今日は親子丼が食べたいなあ……」

零は静かにまな板を取り出し、玉葱を刻み始めた。

ξ;゚⊿゚)ξ「れ、れいさーん」

トン、と心地よいまな板を打つ包丁の音が止んだ。

ζ(゚- ゚ ζ「私のごはんより、コンビニの方が美味しいから買ってきたら?」

……この子、まだ怒っているのか。
頭をかく。面倒くさい女だ、本当。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、機嫌直してよ、悪かったって」

ζ(゚- ゚ ζ「…………」



72 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:09:02.78 ID:2zlA92og0
零は、その後いくら話しかけても、何も反応してくれなかった。
胸に怒りと悲しみが広がる。

ちらりと時計を見た。
七時四十五分。

ξ-⊿-)ξ-3「……私、出掛けてくるから。ご飯もいいや」

ζ(゚- ゚ ζ「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「零」

何の操作をしているのか理解できない私だが、それでも零が調理している姿を見つめて言った。

ξ゚⊿゚)ξ「ごめんね」

ζ( - ζ「!」

零の表情は見ることはなかった。
何かを察しはしたが、私は振り返らず、家を出る。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、やべ」

そういや、私今日死ぬかもしれないじゃん。



75 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:12:01.86 ID:2zlA92og0
マンションの敷地内にある公園から、私は内藤と電話のやり取りをしていた。

『どうかお、気分は』

ξ゚⊿゚)ξ「って、言われても、何とも」

緊張感の無い人だお、と内藤が呟いたのが聞こえた。

『今回は、犯人が見つかるまでずっと探し続けてもらわなきゃならんお』

ξ;゚⊿゚)ξ「は?」

『まあ今日中に見つかるとも思えないから、数日間徹夜になると思うけど、そこのところおkかお?』

ξ#゚⊿゚)ξ「よかないわよ!」

そんな、ふざけんな!
最近妙に肌荒れもしてきてるんだ、これ以上肌が荒れたらどうしてくれるんだ!

『そんなもん僕は知らないお。いいかお、これは命令なんだお。背いたらどうなるか――』



76 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:15:05.66 ID:2zlA92og0
くどいので切断。
ツーツーと虚しい音が耳をつくが、どうでもよかった。

ξ゚⊿゚)ξ「やってらんないわよっ」

ふざけおって。
何で私がそんなこと、しなきゃいけんのだ……。

ξ;゚⊿゚)ξ「……うぅ……」

だが、意外と体は正直なようです。
ええ、あの時と同じですよ。食人事件とね。
体が求めてるんだ、極度の緊張感を、極限状態を。
実感したくてたまらない。
またあの甘い痺れを体感したいのだ。

ξ;゚⊿゚)ξ(何か、これだけ見るとただの変態女ね……)

果たして私は変態なのか否か?
答えは次回!

ξ;゚⊿゚)ξノシ「いや全力で否定しますがな!」

答えは無い!



79 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:18:02.07 ID:2zlA92og0
さて、しかしどう行動しようか。
前回――食人事件――の時は、現場は私の住んでいる近くだったから、そこを回って行っただけだった。
だが今回の場合、私の持ち場では事件は発生していない。
現場はすべて今北町で起きている。
となると、怪しい場所を回ってみるのが一番なのだが……。

人ごみの多い場所。
アーケード街や如何わしい場所を回るが無理。見分けがつかない。
人の少ない場所。
住宅街や公園などを回るが無理。そもそも人の居ない場所に来るのか?

そもそも、今回は情報が少ない。
犯人の特徴すら挙がってないし。
それで犯人を見つけろなんて無理無理。
警察とか探偵とか専門の人間なら分かるかもしれないけれど、私は今を時めくピチピチギャルよ?
そんなもん、分かるわけがないでしょうが。

ξ;゚⊿゚)ξ「わっかんねえええええええええ」

結局、私はマンションの近くに戻っていた。
無駄な出費が出たなあ……通行費って請求できるのだろうか。

ξ;゚⊿゚)ξ「っつーか既に言いなりになってるぞ私!」



80 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:21:02.42 ID:2zlA92og0
結構私は行動派だったようである。
意外と一生懸命に探してるなあ私も。

携帯の時計で時刻を確認する。

ξ;゚⊿゚)ξ「もう九時五十分かあ」

と、突然腹の虫が鳴いた。
そう言えば、何も食べていなかったっけ。

ξ゚⊿゚)ξ(お小遣いがもうぱあだよぱあ)

ちなみにお金のやりくりまで零が見ていてくれたりする。
本当、実際零には頭が上がらない。
後で、もう一度謝らないといけないな、こりゃ。

姉らしからぬ、ってとこね。
年長者なのに訳の分からない意地はってたのは私の方だったのかも。
零を傷つけたのは私だしね。

ξ;゚⊿゚)ξ「流石にお金の事は怒られそうだけど……」

まあ、仕方があるまい。
後できっちり内藤達に請求しよう。



82 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:24:01.44 ID:2zlA92og0
コンビニに入り、その涼しさに癒される。
相変わらず外は暑い。
適当にサンドウィッチを数点と飲み物を買い、レジへ向かう。

( <●><●>)「二百五十二円が一点、百十五円が一点……」

ξ゚⊿゚)ξ(私もバイト始めようかなあ。家もそろそろ厳しくなってきたみたいだし)

( <●><●>)「三点で合計五百六十七円になります」

ξ゚⊿゚)ξノ「あ、千円からで」

( <●><●>)「千円のお預かりになります、四百三十三円のお返しになります」

……コンビニってどうなんだろ。
そう言えば前に不良が、コンビニは楽だし金稼げるしバイトには
もってこいと言っていた気がする。

それに、ここはマンションから近いし、よく来てるから顔馴染みの店員さんとかもいる。
他のチェーン店よりも私の好みの品ぞろえだし、いいんじゃないだろうか。

ξ゚⊿゚)ξ(後で求人雑誌でも見るかなあ)

コンビニを出るとき、ちらりと時刻を確認する。
十時丁度だった。



84 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:27:02.22 ID:2zlA92og0
マンションの敷地内にある公園のベンチに座って、サンドウィッチを頬張る。

ξ゚~゚)ξ(しっかし、やっぱ見つかんないわね)

そりゃそう簡単に見つかるわけはないだろうけど。
けどこれってあんま意味無いような気がするんだよなあ。

ξ゚⊿゚)ξ「……よっ……」

スキニーパンツのベルトに挿んでおいた匕首を取り出す。
街灯の明かりを受けて鈍く輝いた。

ξ゚⊿゚)ξ「こんなの、持たされてもねえ」

犯人と出会わないとも限らない。また出会うとも限らない。
襲われたらこれで応戦しろって言われても、私は格闘技の経験もなければ喧嘩したことすらない。
ましてや、刃物の扱いなんて。

ξ゚⊿゚)ξ「ん?」

マナーモードにしていた携帯電話がポケットの中で振動する。
取り出し、画面を見ると内藤から着信が来ていた。



86 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:30:01.96 ID:2zlA92og0
ξ゚⊿゚)ξ「何?」

一先ず食事は終了し、私は携帯電話を耳元に当てる。
片方の手には匕首を持ち、それを色々な角度から観察する。

『どうかお?何か変わりはないかお?』

ξ゚⊿゚)ξ「そんなの分からないわよ。色々な場所を回っては見たけど、何も」

『そうかお……』

そこで一旦会話が止まる。

『変わった感じはなかったのかお?』

ξ゚⊿゚)ξ「いや、だから分かんないって」

何をそうしつこく訊いてくるんだこいつは。

『じゃあ、今何処にいるんだお?』

ξ゚⊿゚)ξ「美歩マンションの公園で食事休憩よ。文句ある?」



88 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:33:40.77 ID:2zlA92og0
すると、内藤は美歩マンション、美歩マンション、と呟き始めた。

『津出さん、ちょっといいかお』

と、雰囲気が変わる。

ξ゚⊿゚)ξ「……何よ」

『そこ、丁度今北町との境界線だおね?』

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。確かにこのマンションより東は今北で、西は美歩よ」

『事件の現場のそれぞれの位置、覚えてるかお?』

ξ゚⊿゚)ξ「……?いいえ」

『まず、現場は何れも今北町で起きている。これはおkだおね?」

ξ゚⊿゚)ξ「覚えてるわよ」

『じゃあ、まず一件目だお。一件目は今北駅の線路脇で起きていたお。
 実は、この件の被害者の推定死亡時刻は十時半で、その少し前に美歩駅から今北駅、つまり
 西行きの電車が一本通ってたんだお』



90 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:36:05.88 ID:2zlA92og0
ドクンと胸が高鳴った。

『二件目。これは一件目よりも西より、更に美歩街に近づいていたお。
 三件目は何故か東に行ってるけれども、実はどれも死亡時刻が十時代で――』

ξ;゚⊿゚)ξ「……まさか」

ふと、視界の先、暗闇の中。
街灯に照らされてこちらに近づいてくる男の姿が見えた。

『おそらく、犯人は美歩町に居る可能性が高いお。
 まあ、もう少し離れた位置でやればいい物を――』

内藤の声が遠ざかっていく。
私は右手に握る匕首を握りしめ、ゆっくりと立ち上がった。

ξ;゚⊿゚)ξ「おいおいおいおい」

鼓動が速くなる。
いや、そんな、違うって。

『――津出さん?どうしたんだお、津出さん?』

相手の顔が見えた。



91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:37:30.56 ID:hs1k0Zx00
本日のクライマックス



92 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:39:05.55 ID:2zlA92og0
( <●><●>)

ξ;゚⊿゚)ξ(さっきのコンビニの定員!)

その眼から、私は敏感に感じ取っていた。
前にも味わったことのあるもの。
そう、プレッシャーだ。それも尋常ではない者の、足が竦むほどのもの。

ξ;゚⊿゚)ξ「ない、とう」

『どうしたんだお』

それでも精いっぱい声を振り絞る。
直感した。はたまた鬼違いだから分かるのだろうか。

ξ;゚⊿゚)ξ「犯人、いた」



93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:40:38.93 ID:dXmxLyVAO
あっはああああああああああああああ
きたあああああああん



94 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:42:26.76 ID:2zlA92og0
ξ;゚⊿゚)ξ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

とにかく私は走る。
走る走る走る走る!
何故走るかって?決まってるでしょ。

( <●><●>)「ますますますますますますますますますます」

ξ;⊿;)ξ「ひいいい!!キモイよおおおお!!」

後ろから鬼違いがおっかけてきてるんですもん。
しかも某未来兵器みたいに腕と足直角にして走ってるし!
キモイ上に目が怖い。

『津出さん、大丈夫かお、津出さん』

ξ;⊿;)ξ「大丈夫じゃねえよおおお!!殺されるわボケエエ!!」

『何だ、全然余裕そうじゃないかお』

ξ;⊿;)ξ「ざけんなカスがあああああああ!!」



96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:43:59.19 ID:7PsagpdFO
ますますますますますますますますますますますます



97 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:45:01.10 ID:2zlA92og0
チラッと背後を見る。

( <●><●>)「待って下さいよ逃げないで下さいよ話くらい聞いてくれてもいいじゃないですか」

ξ;⊿;)ξ(独り言があまりにも不気味です!)

何かをブツブツと呟いている。
奴は突然、大型ナイフを取り出すと、私に襲いかかってきたのだ。
咄嗟の事に私は買った食べ物を置いて走り出す。
すると奴は追っかけてきた。

『ちゃんと指示通り、人通りの少ない場所選んでくれてるかお?』

ξ;⊿;)ξ「お、おお、お前な!そんな余裕があるかバカタレ!!」

『そりゃ困るお、事後処理するのは僕じゃないけど、上が煩いからできるだけ目立たないy』

ξ;⊿;)ξ「いいから早く助けろおおおおおお!!」

いいですか、皆さん。
私、鶴子は、今とんでもなく大きな声を出してると思っていますね?
いいえ、それは違います。
私、実のところ超小声で叫んでおります。
走りながら気を使うのって死ぬほど疲れるね!



98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:46:37.25 ID:kvn4XbaqO
ますますますますますますwwwww



99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:48:13.79 ID:7PsagpdFO
マジキチ



109 :◆io1Iv96tBU:2009/09/06(日) 23:58:26.33 ID:2zlA92og0
『仕方がないお。津出さん、今何処だお』

ξ;⊿;)ξ「え、ええと」

辺りを見渡し、視界に看板が見えた。
美歩小学校、西へ五百メートル。

ξ;⊿;)ξ「び、美歩小学校の近く!」

『そこかお。うーん……』

早く!頼むから!お願いしますから!

『そこから東に、今北西公園があるから、そこに誘導してくれないかお?』

ξ;⊿;)ξ「分かったそこに逃げますからなんとかしてくださいいいいいいい!!」

『ご武運を』

プツッ、ツーッ、ツーッ。

ξ;⊿;)ξΣ「切れたあああああ!?」



111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:59:59.77 ID:hs1k0Zx00
ブーン「ごブーンを」ガチャ



121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:10:20.53 ID:7F5b50FUO
>>111
不覚



112 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:00:56.65 ID:0NazITYc0
ええい、こうなったら腹くくってやる。

ξ;⊿;)ξ「こ、粉糞めっ、勝負だこの鬼違い!」

( <●><●>)「何を言っているか分かりませんが望むところです」

ξ;⊿;)ξ「ワイは浪速のシューマッハやー!!」

追いつかれたらそこでジ・エンド。
スーパーオーガガールツンちゃんはそこで死んでしまうのだ。
それだけはアカン、アカンで。

兎に角、私は無我夢中で走った。
右手には匕首、左手には携帯を握りしめ、死ぬ気で走った。

ξ;゚⊿゚)ξ(! 今北、西公園!)

大きな通りに出て右折。
すると、見据える先には広い敷地を誇る公園があった。

ξ;゚⊿゚)ξ「うおおおおおおお!!」

見事、公園内へと侵入。
や、やったで!ワイはやったんやー!



113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:02:47.68 ID:dg0uEQKe0
浪速のシューマッハwwww



115 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:04:05.56 ID:2zlA92og0
が。

ξ;⊿;)ξ(内藤の姿が見当たらねえええええええ!!)

立ち止まって辺りを見渡すが、どこにも誰もいない。
辺りは伸びきった雑草と寂れた遊具があるのみで、今しがた入ってきた入口には、
奴が、鬼違い店員が佇んでいた。

( <●><●>)「もうお終いですか」

右手の、重量感のある大型ナイフをチラつかせて、奴は近づいてくる。
私は後ずさった。
お互いの距離は数メートルを隔ててはいるが、奴が襲いかかったらお終いだ。
逃げられる場所を探す。
後方には遊具が並んでいる。却下。
前方には鬼違いが。左右を見渡すが……どちらに逃げても追い付かれるだろう。
私の体力も限界に近かった。
ああ、糞、体力つけときゃよかった。

ξ;゚⊿゚)ξ「あーあ……はぁ……はぁ」

ぺたりと地面に座り込む。
終わった終わった。ゲームオーバー。ジ・エンドだ。
逃げ場無し。打つ手無し。



117 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:07:05.60 ID:0NazITYc0
( <●><●>)「くりくりとした、大きくて可愛らしい目だ。お譲さん、視力はお幾つかな?」

ξ;゚⊿゚)ξ「こう見えてもコンタクトでしてね、左右とも0.4よバーカ」

すると、鬼違いは微笑む。

( <●><●>)「何、見えているだけ、いいのですよ」

だから、と奴はその大型ナイフを振りかぶる。

( <●><●>)「私に、よこしなさい」

ああ、殺されるのか。
ゆっくりと、自分に迫りくるナイフ。
きっと、あれは私の顔を斜めに大きく切り裂いていくだろう。
そしてこの鬼違いは私をめった刺しにし、右目を持ち帰るのだ。

ξ; ⊿ )ξ「零、ごめん。先、逝くわ」

畜生。
最後に零のごはん、食べたかったなあ。



119 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:10:08.37 ID:0NazITYc0
しかし私の閉じようとした眼は、或る物を捉えた。
影だ。
それも、そいつは上空から降ってくる。
果たして私の知る限り、そんな芸当をできる人間がいただろうか?
ああ、居たな。一人。
そいつは自分を超感覚の持ち主とのたまい、戦闘の才能を持つと言った。

( <●><●>)「うおっ!?」

蹴りが、目の前の鬼違いを吹き飛ばす。
鬼違いは私の横を通り過ぎ、地面に倒れ伏した。

ξ;ー;)ξ「おっせーよ、このバーカ」

知らないうちに涙がこぼれていた。
そりゃ、誰だって泣くって。
死にかけて、助かったんだ。
もう二度と愛しの妹に会えなくなるところだったんだ。
それを喜んで何が悪い。泣いて何が悪い。

( ^ω^)「何時の時代もヒーローは遅れてやってくるもんだお」



120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:10:11.56 ID:dIcZY/4r0
何故かわからんが
>最後に零のごはん、食べたかったなあ。

>最後に零のぱんつ、食べたかったなあ。
に見えた



123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:12:37.74 ID:uIYihnlaO
>>120
お疲れのようですね。



124 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:13:01.37 ID:0NazITYc0
内藤という奴は、実のところ掴み所の無い奴だ。
飄々としていて、自由で、自分勝手で。
だのに、それが不思議と似あっている。

( ^ω^)「さてそこの鬼違い君」

内藤は両手に、やはり包丁を握っていた。
左手には中華包丁を、右手には剣のような包丁を握っている。

( ^ω^)「あ、この右手の奴は関東型の鰻包丁だお。よく切れるおー」

ξ;゚⊿゚)ξ「いや、知らんがな」

そんなやり取りをしていると、奴は起きあがった。

( <●><●>)「成程、真打の登場ですか」

( ^ω^)「おっおっ。そうだお」

内藤が右手の包丁を奴に向ける。

( ^ω^)「残念だけど君の相手は僕がさせてもらうお。女の子ばっかり狙いおって、この変態」



128 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:16:00.93 ID:0NazITYc0
( ^ω^)「一応、これも任務の一つだから聞くけど、何故こんなことをしたんだお?」

( <●><●>)「おや、貴方は理由を聞きたいのですか?」

( ^ω^)「レポート書かないといけないんだお。じゃないと先生に怒られちゃうお」

すると、鬼違いは笑いだした。
低く、気味の悪い笑い声だ。

( <●><●>)「何ですか、貴方。もしや私を課題研究の対象にでもしているんですか?」

( ^ω^)「まあ、結構君らは注目度高いお?自覚してないだろうけど」

はあ、やれやれ、と鬼違いは呟く。

( <●><●>)「私はね――」

そして、私は一瞬で理解した。
何故、こいつが右目を持ち帰るのか。
何故、右目でなくてはならないのかを。

( <○><●>)つ●「右目が義眼でしてね、見えないのですよ」

その鬼違いは、自分の指を右目に突っ込むと、眼球を取り出した。
だが神経は繋がっておらず、それが作りものであることを理解する。



129 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:19:08.49 ID:0NazITYc0
( ^ω^)「ほうほう。右目が義眼とな」

( <○><●>)つ●「くっ、私の右目が疼くっ!!」

( ^ω^)「微妙なネタだお」

ふうんと内藤が呟いた。

( ^ω^)「で、何故持ち去ったんだお」

内藤が、シャツの胸ポケットから何かを取り出した。
あれは、レコーダーか何かの類だろうか?
内藤が何かのボタンを押す。

( ^ω^)「あ、どうぞ」

( <○><●>)「…………」

内心、あの鬼違いもこの状況を理解できてないんだろうな。
いきなり自分を攻撃してきたうえに、理由を問いただされ。
挙句相手のペースにのせられている。



131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:20:47.32 ID:F123tMKE0
豆知識:眼球は10歳で大人になる



132 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:22:02.23 ID:0NazITYc0
( <○><●>)「私はね、元々はちゃんと右目もあったし、視力だって悪くなかったんですよ」

( ^ω^)「ほうほう」

( <○><●>)「ところが、ある日のことです」

奴の語った内容はこうだ。
ある日、奴はいつものようにバイト先へと向かっていた。
彼はお気に入りの音楽をいつもウォークマンで聴いている。
当然外界の音は遮断され、彼は音楽以外、何も聞こえてはいない。

( <○><●>)「悲劇は起こったのです」

建設中の高層ビル。
その下を彼は歩いていた。
しかし、上では些細な事故が起きていたのだ。
ボルト。金具の一つであるボルトが、地上に落ちたのだ。
高さ云十メートルの高さからその僅か数グラムの鉄の塊は落ちてくる。

( <○><●>)「何を思ったか、私はその時、空を見上げたのですよ」

きっと、天気がよかったから、空を仰ぎ見たくなったんだろう。
それが間違いだったのだ。



133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:22:05.77 ID:ec+9sX0eO
静まれ…っ!
俺の右目…っ!
しえん



134 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:25:01.49 ID:0NazITYc0
そのボルトは、確かに小型で、持っても重さを感じることはないくらいのものだ。
だが万有引力の力が働き、それが凄まじい速度で、彼の、鬼違いの右目を貫いたのだ。

( <○><●>)「以来は義眼で過ごしてきました」

だが彼は我慢がならなかった。
それまで広く感じていた世界が狭まり、遠近感は崩れた。
慰謝料だの金などは問題じゃない。
彼は写真を趣味としていたのだ。
見える世界を納めるはずの写真すら、変わってきてしまった。

( <○><●>)「分かりますか?いいえ分からないでしょうね。世界が崩れることはとても恐ろしい事なのですよ」

そこで彼はある日思いいたったのだ。

( <○><●>)「目だ。目があれば、きっと私はまた、今まで見ていた世界を取り戻す事が出来るはずなんです」

だから奴は殺して回り、右目のみを持ち去っていった。

そこで奴は話を終える。
内藤がそれに合わせてレコーダーの停止と思わしきボタンを押した。



135 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:28:02.49 ID:0NazITYc0
( ^ω^)「で、見えたのかお?」

内藤が包丁を握りなおして問う。

( <○><●>)「…………」

それに奴はだんまりを決め込んだ。

川 ゚ -゚)「そりゃそうだ。神経が途切れてるんだから、眼球を詰めたって見えるわけがない」

ξ;゚⊿゚)ξ「直!?」

川 ゚ -゚)「遅れたな。内藤から連絡があったんだ」

突然、公園の入り口にそいつは現れてそう言った。

確かにその通りだ。視神経の通っていない状態では、そんなもの何の役にも立たない。
頭の悪い私でもそれくらいは分かる。

( ^ω^)「なるほどね」

けれど、と内藤が続けて、二本の包丁を構える。



137 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:31:02.17 ID:0NazITYc0
( ^ω^)「たかだか三人を殺したとはいえ、君を野放しにはできんお」

再び、内藤はあの晩の殺意を纏った。
月下、そこに奴は居る。
殺人鬼内藤。
そしてそれに対して、相手の鬼違いは大型のナイフを構える。

( <○><●>)「私はね、まだ死ねないのですよ。
        何れ、世界をこの目でしかと見て、それを記録に残さねばならない」

二人の獲物が、妖しく、鈍く輝く。

(#<○><●>)「貴様の目をよこせえええええええええええ!!」

駆ける。
まるであの時と同じだった。
あの時も内藤にドクオは駆けて行った。
そして、ナイフを弾かれ、刺され、バラバラに切り分けられたのだ。

ξ;゚ -゚)ξ「ゴクッ」

息を呑んだ。
今、これから目の前で人が死ぬ。
直を見た。

川*゚ -゚)「いいね、ゾクゾクするよ」



139 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:34:01.63 ID:0NazITYc0
鬼違いが多い。
ここには私を含め、鬼違いが三人も居る。
直は生命が散る様を見るのが目的といった。
何故そのようなものを求めるのかは理解できない。

ただ。

ξ;゚ -゚)ξ(これは――)

素直に、気持ち好かった。
張り詰めたこの緊張感、何時訪れるとも知れない死の瞬間。
今ここには、完全な極限状態がある。

( ^ω^)「ふぅっ!」

内藤が、鬼違いの横一文字の一線を、身を低くして回避。
右足は一歩踏み込み、体は右へと軽くひねっていた。

ガラ空きになっいていた。
鬼違いは、もう、隙だらけだった。

( ^ω^)「おぉっ!!」

まず、内藤の左手の中華包丁が、鬼違いの左腕を吹き飛ばす。
その瞬間に、内藤は鬼違いの足を払い、バランスを崩す。
次に、内藤の右手の包丁が、鬼違いの首を貫いた。



140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:36:21.00 ID:hR4ogXru0
内藤かっくいー



141 :◆io1Iv96tBU:2009/09/07(月) 00:37:01.03 ID:0NazITYc0
その光景は一瞬だった。
血飛沫が上がる。内藤が包丁を引き抜くと、風が通るような音が喉から断続的に続いた後、静かに止んだ。

死んだのだ。
今、目の前で。
前に見たドクオの時よりも、さらに近くで私はそれを見た。

だのに。
私は不思議と興奮していた。

ξ; ⊿ )ξ「…………」

何も言えず、右手に握る匕首を見つめる。
匕首は、まるで自分も切り刻みたいとでも言うかのように、月光の光に鈍く輝いていた。




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