◆ξ゚⊿゚)ξ殺人鬼は微笑むようです 三 其の四
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124 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:44:45.48 ID:FfmGANbz0
三 其の四
127 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:48:18.21 ID:FfmGANbz0
内藤という人間は、果たして何なのだろうか。
奴は私の事をよく知っている。
だが私は奴の事を、そこまで詳しくは知らなかった。
確かに数週間前、奴を観察していたから、学校生活での奴を理解している。
だが、私は奴の本質の部分を理解していなかった。
何故、奴が鬼違いを殺す事になったのか。
何故、機関などという所に属しているのか。
何故、学生として過ごしているのか。
疑問は尽きることを知らない。
その実、奴は謎ばかりだったのだ。
川 ゚ -゚)「で?」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?いや、その」
次の日。
私は直と共にまたもや図書室で、仲好く弁当をつついていた時に疑問を口にした。
幸い既に夏休みに突入したので、図書室には人がいないから、こういう話を口に出せる。
何故夏休みなのに学校に居るかって?補講だよ糞め。
まあ直がいたのには驚きだけども。
130 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:51:00.09 ID:FfmGANbz0
しかし、今日の直はどこか不機嫌だった。
何故か苛々している様子で、態度も素っ気ない。
ξ;゚⊿゚)ξ「いや、だから、直なら内藤の事詳しいんじゃないかなあって思って」
川 ゚ -゚)「そんなもん、直接本人に聞け」
あっさり拒否された。
それができないからお前に聞いてるんだが……。
川 ゚ -゚)「ビビってるのか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「び、びびっとらんわ!」
これは嘘。
正直、聞くのが怖い。
何だか触れちゃいけない事のような気がするし。
下手して逆鱗に触れでもしたらそれこそ御陀仏だ。
川 ゚ -゚)「……何れ話す機会が来るだろうよ」
そうとだけ言って直はオムレツを頬張る。
あ、それ私が楽しみに取っておいた奴だぞ!
131 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:54:01.35 ID:FfmGANbz0
ξ;゚⊿゚)ξ「しっかし、あんた今日はやけに機嫌悪いわね」
_,
川 ゚~゚)「当然だ」
もぐもぐと口を動かしながらそう言う。
ちょっと可愛いと思ってしまった。
ξ;゚⊿゚)ξ(えええ私そっちの気あるのか!?)
つーか前々から思ってたんだよ。
なんか私女と絡むと変な感じになりますよね。
特に零と居ると百合ってますよね。
ξ;゚⊿゚)ξ(これはちょっとマズイかも)
自分の隠れた性癖に若干戸惑いつつも直の言葉を待つ。
川 ゚ -゚)「げふっ……ほら、昨日の」
ξ゚⊿゚)ξ「昨日?」
川 ゚ -゚)「見れなかったからだ」
133 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:57:00.84 ID:FfmGANbz0
ああー……そうか。
直は、鬼違いが殺される瞬間を見れなかったな。
昨日のやりとりを思い出す。
( ^ω^)「あ、もしもし、空かお?」
『どうした内藤。何かあったか?』
( ^ω^)「あー、その、犯人見つけたんだお」
『なんだと?場所は何処だ?』
(;^ω^)「その、あー……もう殺しちゃったんだけど」
『……は?』
(;^ω^)「と、とりあえず、車まわしといてくれないかお?死体運びたいから」
『死ね』
プツッ、ツーッ、ツーッ。
死体をシートで包んでいる私に、そんなやり取りが聞こえてきた。
内藤は私に振り替えると、やれやれと肩をすくめて私の作業を手伝うのだった。
136 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:00:02.59 ID:FfmGANbz0
ξ;゚⊿゚)ξ「けど、そこまで怒らんでも……」
川#゚ -゚)「馬鹿野郎、これは私にとっては死活問題だ」
そこまで言いますか。
川 ゚ -゚)「お前はいいさ、目的を果たせてるんだから。私は次の事件までお預けだよ」
そう言って直は憂鬱そうに溜め息をつく。
まあ、そうだな。
私は昨日、それなりに強い緊張感を味わった。
お陰か何なのか、今日目覚めたとき、何故かすっきりしていたのを覚えている。
川 ゚ -゚)「肌はまだ荒れとるがな」
ξ#゚⊿゚)ξ「うっせ」
ところで、と直が呟く。
川 ゚ -゚)ノ「ん」
直が手を差し出して、私におねだりをする。
137 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:03:05.63 ID:FfmGANbz0
ξ゚⊿゚)ξ「……はいはい」
私はあらかじめ持ってきた鞄から、昨夜素直に頼まれた物を引っ張りだした。
川*゚ -゚)「ほお、これがその化粧水か。中々どうして、そそるね、うん」
直曰く。
この容器の中には死の香りが詰まっていると言う。
まあそりゃそうだ。人を殺して、そしてその死体から得た血を使って作ったんだ。
これは或る意味、直の求める物に近いんじゃなかろうか。
川 ゚ -゚)「死に様が見れなかったのは残念だがこれで我慢するとするか」
直がコットンを取り出し、そこに液体を数滴落とす。
それを彼女は頬に塗りたくる。
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
まあ、流石に慣れたもので。
少し前の私なら、きっと直を軽蔑し、嫌悪を抱いていただろう。
だが悲しいかな私の順応力よ。
既に仕方ないと言った感想しか抱かなかった。
138 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:06:00.88 ID:FfmGANbz0
川 ゚ -゚)「ところで津出」
直がパッティングしながら私に訊ねる。
川 ゚ -゚)「お前、何だかんだで内藤の事結構好いているんじゃないか?」
ξ ⊿ )ξ「ブボオ!!」
飲んでいたミルクティーを噴き出す。
おk、ちょいと待ってはくれませんか直さん。
私は決してそのようなもの内藤に抱いたりしてはいませんが。
川 ゚ -゚)「そうは言っても、聞いてる限り実に相性もよさそうだし、言うことは聞いてるし、いい感じに思えるが」
ξ#゚⊿゚)ξ「ざけんなゴルァ!誰があんな豚野郎!」
まあ落ち着けよ、と直が宥める。
お前のせいだろうが!
川 ゚ -゚)「だが、不思議とあいつと一緒に居ると、安心するだろ」
そう言われて私はぎこちないながらも少しだけ頷く。
認めたくはないが、事実だ。
139 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:09:00.53 ID:FfmGANbz0
何だかんだで、あれは頼りになるし、いざとなると心強い。
前回、私を助けてくれた件もあるから少なからず感謝も抱いてはいる。
川 ゚ -゚)「先に言うけど、私と内藤は付き合ってるとか、そういう関係ではないぞ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?」
と、衝撃の事実が明かされた。
マジで?あんな息ぴったり相性抜群そうな直と内藤が実は恋仲ではないとな?
川 ゚ -゚)「昨日言ったと思うがな、津出よ」
すっと私を指す。
お前も内藤も、好きだなそれ。
川 ゚ -゚)「私達は人を殺さない。内藤が居るからな」
それが答えだと言ったよな。
そう直は確認してきて、私は頷く。
川 ゚ -゚)「私達が安全な鬼違いたる理由さ。奴がいるから私は殺さずに済む。
そしてそれはお前にも言えるんだ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……え?」
144 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:12:01.72 ID:FfmGANbz0
と言われても、よく分からない。
川 ゚ -゚)「答えは簡単だ。内藤と鬼違いが戦闘を繰り広げる。この時点で既にお前は極度の緊張感を得ているからだ」
言われてはっとした。
そういえば……欝田ドクオの時も、若手益男の時も、そして昨夜も。
どれも私は緊張感に包まれ、身動きもできない状態ばかりだった。
昨日なんて腰を抜かすほどだったし。
川 ゚ -゚)「まあ当然だな。普通に生きていれば、殺し合いなんか生で見る経験あるわけない」
慣れないものばかりを見たんだ。
血だとか、刃物だとか、歪んだ顔だとか、変形した身体だとか、死体だとか。
川 ゚ -゚)「だからお前は殺さないで済むのさ」
毎度、刺激は違う。
状況も違うから、経験したことのない緊張感が私を襲ってくる。
一先ず、私は安心して人間らしい生活を送れるとみていいのだろうか?
最も、それは内藤があってこそ成り立つ生活なのだが。
川 ゚ -゚)「まあそうだな、そんなとこだ」
ああ、と実感する。
私って、直とまったく一緒だったんだな、って。
147 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:15:00.45 ID:FfmGANbz0
内藤という人間がどんな人物かは私にはまだよく分からない。
知っていることと言えば包丁オタクで殺人鬼だということくらいだ。
ξ゚⊿゚)ξノ ガラッ
自分の教室の戸を開いて、自分の席に座る。
ふいに視線を感じて私はそちらを向いた。
( ^ω^)「津出さん」
なんとこの殺人鬼も補講だったらしい。
まあ普段寝てばかりだから当然かもしれないが。
これ、と言って内藤が親指と人差し指をくっつけて私に見せる。
ああ、報酬か。
ξ;゚⊿゚)ξ「後でいいわよ……っていうか、なんかそういうの渡されると、やっぱり実感が湧くわね」
別に自分が殺したと言う訳ではないのだけれども。
だがその封筒の厚みを見ると、嫌が応でも考えてしまう。
あれが人間二人分を殺して手に入るものだ。
凡そ云百万。
人の命って言うのは、高校生の私から見ても、安いのかもしれない。
人の命を金に換算したら、平均はどのくらいだろうか?
私はその平均を越えられるだろうか?
150 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:18:00.80 ID:FfmGANbz0
無理だろうな、と思う。
人殺しに関与して、犯罪を正当化する世界で私は生きている。
そんな汚れた魂を換算したところで一円の価値もないだろう。
だが、内藤にはそれはどのように映っているのだろうか。
奴は金を渡されるとき、それをどのような想いで見ているのだろうか。
単なる札束程度にしか思っていないんだろうか。
それとも汚れた物だと、軽蔑の眼差しを向けるのだろうか。
内藤は人間だ。
ただ超感覚を持っていて、殺人鬼なだけで、後は人間だ。
私や直とは違う。人殺しに慣れているだけの人間だ。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、内藤」
( ^ω^)「なんだお?」
奴は何時でも微笑む。
そのにこやかな顔は、果たして誰に向けているのだろう?
鬼違いに殺された人々へだろうか。
はたまた殺してしまった鬼違いへだろうか。
それとも、自分に向けてだろうか。
156 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:21:03.25 ID:FfmGANbz0
ξ゚⊿゚)ξ「……誕生日、いつよ」
(;^ω^)「は?何だおいきなり」
私は忘れない。
慈悲も情けもないと思っていた殺人鬼のあの表情を。
悲しみに包まれた内藤のあの弱さを。
ξ#゚⊿゚)ξつ「いいから教えろコノヤロー!!」
(^ω^;)「いでっ!な、何も殴る事ないだろうお!言うから、言うから!」
奴が何時から人を殺しているかは分からない。
奴が殺す時、何を思っているのかも分からない。
だが殺人鬼は微笑んだのだ。
体を血に染め、それでも、弱々しく微笑んだ。
そう。
悲しく、切なく、寂しげに。
続
157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:21:57.14 ID:GU4YiSYSO
今一番期待されている新作である
158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:22:00.49 ID:bwcoBoYMO
今日は終わり?
159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:22:37.50 ID:DKJF0BRmO
乙!!
……か?
163 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:23:25.01 ID:FfmGANbz0
おじゃんでございます
今回内藤が使用した包丁は以下の物でございます
http://www.houcyoya.com/img/tojiro/F-929.jpg
鮪引き、鮪包丁とも言います
一見刀と見間違えるようですが、この包丁、とても撓るので解体には持ってこいです
大きいもので二メートルなんてのも存在しております
質問受け付けします
至らない点があるでしょうかあるでしょありますよね
162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:23:21.00 ID:OcxsvH420
乙ー毎度楽しいよー
、
ζ ,
_ ノ
( ( (. )
. -‐ ) ‐- .
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i ヾ<:;_ _,.ン |
l  ̄...:;:彡|
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. . ' . ; .丶 ト , . ..,:;:;:=:彳:::::::::::::::::::::::::::..
. ,:´ . ' ' `、 ヽ、.. ....::::;;;ジ.::::::::::::::::::::::
,' . 簍鶸鑼 ; `.  ̄ ̄
,, -'''" . . 駲刪櫑躪 . ' ';゛`'丶.、.......
. '´ ! . 膚順棚斷. ' , ;::::::::::::...`.::::::::....
i ヽ、..._,.__魎鬱蹠撫.,,__,.,..ノ.::::::::: !::::::::::::...
. ヽ、 ,: '.:::::::::
`=ー--、....,,,,,______,,,,,... --‐=''´..::::::
``" '' 'ー───‐―‐' ''' "´
169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:27:33.67 ID:stagsvBE0
乙
次回は内藤を苦戦させてくれ
あとツンを戦わせてくれ
170 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:28:32.30 ID:FfmGANbz0
>>162
ありがとうございます
いただきます
精子臭いです
>>169
次回は今回よりもギャグ大目にしようと思っていたのでまた別の話に回します
ツンはどうなんでしょう。戦うんでしょうか
171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:33:41.20 ID:GU4YiSYSO
ツンが戦ったらブーンとの関係性が薄れてしまうのではないだろうか
173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:37:15.21 ID:FfmGANbz0
>>171
今後の展開、どうするか迷ってるんですが、それが非常に大きいですね
トゥルーエンドかバッドエンドか。いっそ二通りやってみたい気もします
それでは私、少々まとめの方々と乱交してきますのでお暇させていただきます
ありがとうございました。また来週ノシ
前の話/インデックスページ/次の話
124 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:44:45.48 ID:FfmGANbz0
三 其の四
127 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:48:18.21 ID:FfmGANbz0
内藤という人間は、果たして何なのだろうか。
奴は私の事をよく知っている。
だが私は奴の事を、そこまで詳しくは知らなかった。
確かに数週間前、奴を観察していたから、学校生活での奴を理解している。
だが、私は奴の本質の部分を理解していなかった。
何故、奴が鬼違いを殺す事になったのか。
何故、機関などという所に属しているのか。
何故、学生として過ごしているのか。
疑問は尽きることを知らない。
その実、奴は謎ばかりだったのだ。
川 ゚ -゚)「で?」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?いや、その」
次の日。
私は直と共にまたもや図書室で、仲好く弁当をつついていた時に疑問を口にした。
幸い既に夏休みに突入したので、図書室には人がいないから、こういう話を口に出せる。
何故夏休みなのに学校に居るかって?補講だよ糞め。
まあ直がいたのには驚きだけども。
130 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:51:00.09 ID:FfmGANbz0
しかし、今日の直はどこか不機嫌だった。
何故か苛々している様子で、態度も素っ気ない。
ξ;゚⊿゚)ξ「いや、だから、直なら内藤の事詳しいんじゃないかなあって思って」
川 ゚ -゚)「そんなもん、直接本人に聞け」
あっさり拒否された。
それができないからお前に聞いてるんだが……。
川 ゚ -゚)「ビビってるのか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「び、びびっとらんわ!」
これは嘘。
正直、聞くのが怖い。
何だか触れちゃいけない事のような気がするし。
下手して逆鱗に触れでもしたらそれこそ御陀仏だ。
川 ゚ -゚)「……何れ話す機会が来るだろうよ」
そうとだけ言って直はオムレツを頬張る。
あ、それ私が楽しみに取っておいた奴だぞ!
131 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:54:01.35 ID:FfmGANbz0
ξ;゚⊿゚)ξ「しっかし、あんた今日はやけに機嫌悪いわね」
_,
川 ゚~゚)「当然だ」
もぐもぐと口を動かしながらそう言う。
ちょっと可愛いと思ってしまった。
ξ;゚⊿゚)ξ(えええ私そっちの気あるのか!?)
つーか前々から思ってたんだよ。
なんか私女と絡むと変な感じになりますよね。
特に零と居ると百合ってますよね。
ξ;゚⊿゚)ξ(これはちょっとマズイかも)
自分の隠れた性癖に若干戸惑いつつも直の言葉を待つ。
川 ゚ -゚)「げふっ……ほら、昨日の」
ξ゚⊿゚)ξ「昨日?」
川 ゚ -゚)「見れなかったからだ」
133 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 22:57:00.84 ID:FfmGANbz0
ああー……そうか。
直は、鬼違いが殺される瞬間を見れなかったな。
昨日のやりとりを思い出す。
( ^ω^)「あ、もしもし、空かお?」
『どうした内藤。何かあったか?』
( ^ω^)「あー、その、犯人見つけたんだお」
『なんだと?場所は何処だ?』
(;^ω^)「その、あー……もう殺しちゃったんだけど」
『……は?』
(;^ω^)「と、とりあえず、車まわしといてくれないかお?死体運びたいから」
『死ね』
プツッ、ツーッ、ツーッ。
死体をシートで包んでいる私に、そんなやり取りが聞こえてきた。
内藤は私に振り替えると、やれやれと肩をすくめて私の作業を手伝うのだった。
136 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:00:02.59 ID:FfmGANbz0
ξ;゚⊿゚)ξ「けど、そこまで怒らんでも……」
川#゚ -゚)「馬鹿野郎、これは私にとっては死活問題だ」
そこまで言いますか。
川 ゚ -゚)「お前はいいさ、目的を果たせてるんだから。私は次の事件までお預けだよ」
そう言って直は憂鬱そうに溜め息をつく。
まあ、そうだな。
私は昨日、それなりに強い緊張感を味わった。
お陰か何なのか、今日目覚めたとき、何故かすっきりしていたのを覚えている。
川 ゚ -゚)「肌はまだ荒れとるがな」
ξ#゚⊿゚)ξ「うっせ」
ところで、と直が呟く。
川 ゚ -゚)ノ「ん」
直が手を差し出して、私におねだりをする。
137 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:03:05.63 ID:FfmGANbz0
ξ゚⊿゚)ξ「……はいはい」
私はあらかじめ持ってきた鞄から、昨夜素直に頼まれた物を引っ張りだした。
川*゚ -゚)「ほお、これがその化粧水か。中々どうして、そそるね、うん」
直曰く。
この容器の中には死の香りが詰まっていると言う。
まあそりゃそうだ。人を殺して、そしてその死体から得た血を使って作ったんだ。
これは或る意味、直の求める物に近いんじゃなかろうか。
川 ゚ -゚)「死に様が見れなかったのは残念だがこれで我慢するとするか」
直がコットンを取り出し、そこに液体を数滴落とす。
それを彼女は頬に塗りたくる。
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
まあ、流石に慣れたもので。
少し前の私なら、きっと直を軽蔑し、嫌悪を抱いていただろう。
だが悲しいかな私の順応力よ。
既に仕方ないと言った感想しか抱かなかった。
138 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:06:00.88 ID:FfmGANbz0
川 ゚ -゚)「ところで津出」
直がパッティングしながら私に訊ねる。
川 ゚ -゚)「お前、何だかんだで内藤の事結構好いているんじゃないか?」
ξ ⊿ )ξ「ブボオ!!」
飲んでいたミルクティーを噴き出す。
おk、ちょいと待ってはくれませんか直さん。
私は決してそのようなもの内藤に抱いたりしてはいませんが。
川 ゚ -゚)「そうは言っても、聞いてる限り実に相性もよさそうだし、言うことは聞いてるし、いい感じに思えるが」
ξ#゚⊿゚)ξ「ざけんなゴルァ!誰があんな豚野郎!」
まあ落ち着けよ、と直が宥める。
お前のせいだろうが!
川 ゚ -゚)「だが、不思議とあいつと一緒に居ると、安心するだろ」
そう言われて私はぎこちないながらも少しだけ頷く。
認めたくはないが、事実だ。
139 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:09:00.53 ID:FfmGANbz0
何だかんだで、あれは頼りになるし、いざとなると心強い。
前回、私を助けてくれた件もあるから少なからず感謝も抱いてはいる。
川 ゚ -゚)「先に言うけど、私と内藤は付き合ってるとか、そういう関係ではないぞ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?」
と、衝撃の事実が明かされた。
マジで?あんな息ぴったり相性抜群そうな直と内藤が実は恋仲ではないとな?
川 ゚ -゚)「昨日言ったと思うがな、津出よ」
すっと私を指す。
お前も内藤も、好きだなそれ。
川 ゚ -゚)「私達は人を殺さない。内藤が居るからな」
それが答えだと言ったよな。
そう直は確認してきて、私は頷く。
川 ゚ -゚)「私達が安全な鬼違いたる理由さ。奴がいるから私は殺さずに済む。
そしてそれはお前にも言えるんだ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……え?」
144 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:12:01.72 ID:FfmGANbz0
と言われても、よく分からない。
川 ゚ -゚)「答えは簡単だ。内藤と鬼違いが戦闘を繰り広げる。この時点で既にお前は極度の緊張感を得ているからだ」
言われてはっとした。
そういえば……欝田ドクオの時も、若手益男の時も、そして昨夜も。
どれも私は緊張感に包まれ、身動きもできない状態ばかりだった。
昨日なんて腰を抜かすほどだったし。
川 ゚ -゚)「まあ当然だな。普通に生きていれば、殺し合いなんか生で見る経験あるわけない」
慣れないものばかりを見たんだ。
血だとか、刃物だとか、歪んだ顔だとか、変形した身体だとか、死体だとか。
川 ゚ -゚)「だからお前は殺さないで済むのさ」
毎度、刺激は違う。
状況も違うから、経験したことのない緊張感が私を襲ってくる。
一先ず、私は安心して人間らしい生活を送れるとみていいのだろうか?
最も、それは内藤があってこそ成り立つ生活なのだが。
川 ゚ -゚)「まあそうだな、そんなとこだ」
ああ、と実感する。
私って、直とまったく一緒だったんだな、って。
147 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:15:00.45 ID:FfmGANbz0
内藤という人間がどんな人物かは私にはまだよく分からない。
知っていることと言えば包丁オタクで殺人鬼だということくらいだ。
ξ゚⊿゚)ξノ ガラッ
自分の教室の戸を開いて、自分の席に座る。
ふいに視線を感じて私はそちらを向いた。
( ^ω^)「津出さん」
なんとこの殺人鬼も補講だったらしい。
まあ普段寝てばかりだから当然かもしれないが。
これ、と言って内藤が親指と人差し指をくっつけて私に見せる。
ああ、報酬か。
ξ;゚⊿゚)ξ「後でいいわよ……っていうか、なんかそういうの渡されると、やっぱり実感が湧くわね」
別に自分が殺したと言う訳ではないのだけれども。
だがその封筒の厚みを見ると、嫌が応でも考えてしまう。
あれが人間二人分を殺して手に入るものだ。
凡そ云百万。
人の命って言うのは、高校生の私から見ても、安いのかもしれない。
人の命を金に換算したら、平均はどのくらいだろうか?
私はその平均を越えられるだろうか?
150 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:18:00.80 ID:FfmGANbz0
無理だろうな、と思う。
人殺しに関与して、犯罪を正当化する世界で私は生きている。
そんな汚れた魂を換算したところで一円の価値もないだろう。
だが、内藤にはそれはどのように映っているのだろうか。
奴は金を渡されるとき、それをどのような想いで見ているのだろうか。
単なる札束程度にしか思っていないんだろうか。
それとも汚れた物だと、軽蔑の眼差しを向けるのだろうか。
内藤は人間だ。
ただ超感覚を持っていて、殺人鬼なだけで、後は人間だ。
私や直とは違う。人殺しに慣れているだけの人間だ。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、内藤」
( ^ω^)「なんだお?」
奴は何時でも微笑む。
そのにこやかな顔は、果たして誰に向けているのだろう?
鬼違いに殺された人々へだろうか。
はたまた殺してしまった鬼違いへだろうか。
それとも、自分に向けてだろうか。
156 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:21:03.25 ID:FfmGANbz0
ξ゚⊿゚)ξ「……誕生日、いつよ」
(;^ω^)「は?何だおいきなり」
私は忘れない。
慈悲も情けもないと思っていた殺人鬼のあの表情を。
悲しみに包まれた内藤のあの弱さを。
ξ#゚⊿゚)ξつ「いいから教えろコノヤロー!!」
(^ω^;)「いでっ!な、何も殴る事ないだろうお!言うから、言うから!」
奴が何時から人を殺しているかは分からない。
奴が殺す時、何を思っているのかも分からない。
だが殺人鬼は微笑んだのだ。
体を血に染め、それでも、弱々しく微笑んだ。
そう。
悲しく、切なく、寂しげに。
続
157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:21:57.14 ID:GU4YiSYSO
今一番期待されている新作である
158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:22:00.49 ID:bwcoBoYMO
今日は終わり?
159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:22:37.50 ID:DKJF0BRmO
乙!!
……か?
163 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:23:25.01 ID:FfmGANbz0
おじゃんでございます
今回内藤が使用した包丁は以下の物でございます
http://www.houcyoya.com/img/tojiro/F-929.jpg
鮪引き、鮪包丁とも言います
一見刀と見間違えるようですが、この包丁、とても撓るので解体には持ってこいです
大きいもので二メートルなんてのも存在しております
質問受け付けします
至らない点があるでしょうかあるでしょありますよね
162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:23:21.00 ID:OcxsvH420
乙ー毎度楽しいよー
、
ζ ,
_ ノ
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169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:27:33.67 ID:stagsvBE0
乙
次回は内藤を苦戦させてくれ
あとツンを戦わせてくれ
170 :◆io1Iv96tBU:2009/09/12(土) 23:28:32.30 ID:FfmGANbz0
>>162
ありがとうございます
いただきます
精子臭いです
>>169
次回は今回よりもギャグ大目にしようと思っていたのでまた別の話に回します
ツンはどうなんでしょう。戦うんでしょうか
171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:33:41.20 ID:GU4YiSYSO
ツンが戦ったらブーンとの関係性が薄れてしまうのではないだろうか
173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:37:15.21 ID:FfmGANbz0
>>171
今後の展開、どうするか迷ってるんですが、それが非常に大きいですね
トゥルーエンドかバッドエンドか。いっそ二通りやってみたい気もします
それでは私、少々まとめの方々と乱交してきますのでお暇させていただきます
ありがとうございました。また来週ノシ
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