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◆( ゚∀゚)ジョルジュは取り戻すようです <第五話>

前の話/インデックスページ/次の話

1 : ◆BXpnga8YvJwe :2009/09/12(土) 21:10:51.96 ID:IqguxfWt0

第五話
短編にうつつを抜かしててごめんなさい

まとめサイト
 くるくる川 ゚ -゚)
 ttp://kurukurucool.blog85.fc2.com/

 自作品置き場
 ttp://xcyv9xdvhq.sakura.ne.jp/

諸注意
 ※ショタホモ
 ※激しく閲覧注意
 ※酉変えた



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:13:11.39 ID:IqguxfWt0
<第五話>

                      - 1 -

己の手が、己の視界の中で正面の灰皿に伸びる。
もう大分伸びた灰を叩いて落とし、再び口に運ぶ。
吸い口からフィルターを通して喉に送り込まれる煙は、刺々しい感覚だけを残して気管を
通過する。

煙草がもたらすものは霊感、すなわちインスピレーション、と語った作家がいる。
それは確かだ。

だが。
意識の覚醒と明瞭化をいつも彼にもたらすはずのその煙草からは、今日に限っては何の
味も感じなかった。
  _
( -∀-)「……」

目を閉じて、もう一口吸う。
同じだ。ただ、喉が燻されるだけだった。

理由は、分かっている。
  _
( ゚∀゚)「……」

事務所の中を見回す。



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:16:08.77 ID:IqguxfWt0
目の前のアルミデスク。その向こうの、ガラスの天板のテーブル。
その脇に、申し訳程度に置かれた観葉植物。左右の壁沿いのロッカーと書架。

事務所内にいる人間は、彼だけだ。
昨日までは、違った。

ジョルジュは、まだ半分以上残った吸いさしを灰皿に叩き付けるように押し付け、消す。
灰が舞い灰皿の周囲に落ちるが、頓着しない。

ただ座って「終業時刻」を待つだけの生活に代わりはない。

今は。
一人で待つその一日が、ただ、長い。



―― 一度はジョルジュの元を去ったしぃ。追っ手の目を逃れて数日を共に過ごしたしぃと
   ジョルジュだったが、遂にギコ社長の部下、ドクオとブーンの二人に補足され、ジョルジュは
   暴行を受ける。

   「明日の正午までにしぃが戻らなければ、殺す」
   ドクオのその言葉にも関わらず、ジョルジュはしぃを彼等の元から逃がそうとする。

   だがジョルジュの傷を見たしぃは、自身が原因でこれ以上ジョルジュに危害が及ばぬよう、
   ギコの元に戻るためにジョルジュの部屋を去った。
   引き留める言葉も届かず、負傷したジョルジュは一人、残された――





4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:17:51.71 ID:IqguxfWt0
三角巾で不格好に吊った右腕。その付け根の右鎖骨が、また痛んだ。
  _
( ゚∀゚)「……くそっ」

忌々しげに呟き、机に置かれた煙草のパックに再び手を伸ばす。
空だ。逆さにして振るが、パックからは褐色の刻んだ葉が落ちるばかりだった。
舌打ちをしてパックを放り投げる。

ゴミ箱を外れて落ちたそれを見もせずに、彼は立ち上がった。





6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:20:54.90 ID:IqguxfWt0
雑居ビルを下りる。

昼前は、日光は南東のビルに遮られ付近一帯は日陰になる。
気温の上がりきらない現在、吹く風は涼しかった。

/ ,' 3「ん、おはようござ……長岡さん?
    何じゃ、何じゃ。どうしたんじゃ、その怪我?」

使い古した箒を持って立っていた荒巻老人が、ジョルジュの姿を認める。
眉をひそめ、駆け寄ってきた。

当然ジョルジュ自身には見えないが、顔にも傷を負っている。
片目の周りは内出血で鬱血しており、頬には擦り傷もある。
何より、ジャケットの片袖から腕を抜き、片腕を三角巾で吊っていた。
  _
( ゚∀゚)「……ん、ああ。おはよう、荒巻さん」

挨拶もそこそこに、荒巻老人の脇を抜けようとする。
煙草が切れているときの煙草飲みは、おしなべて機嫌が悪い。

今の彼の場合は、それだけではないが。

/ ,' 3「ど、どうしたんじゃ、一体。
    病院には、行ったのかね? いや、それより、どうして。
    まさか、あの、この前のガラの悪い人たち。あれかい?」

しかし老人はジョルジュの進路に立ちはだかり、上擦った声で続ける。
彼は答えない。答えず、身体の向きを変える。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:18:07.63 ID:lFE3Z8Ii0
今日もえっちぃシーンはありますか



7 :>>5毎回必ず一度はあるよ:2009/09/12(土) 21:23:41.68 ID:IqguxfWt0
  _
( ゚∀゚)「……別に、何もないさ。
     煙草が、切れてるんだよ。買いに行くだけだ。通してくれ」

/ ,' 3「し、しかし……じゃな。
    すまんの。あの時ちゃんと注意しておけば。しかし――」

ジョルジュの言葉を意に介さずに、焦った様子で荒巻は言葉を継ぐ。
  _
(  ∀ )「……」

/ ,' 3「そ、そんな怪我して。病院には行っとらんのかね?
    長岡さん、大丈夫かい? それに顔色も悪いようじゃが……」

ジョルジュは動かず、ただ俯いている。
やがて気遣いの言葉を続ける荒巻に向かい、唇をほとんど動かさず。
ぽつり、と呟いた。
  _
(  ∀ )「…………よ」

荒巻は、その声に気付かない。

/ ,' 3「悪いことは言わん。とりあえず看て貰うだけでも――」


  _
(  ∀ )「……うるさいんだよ」





10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:27:49.51 ID:IqguxfWt0
/ 。゚ 3「――っ!」

流石の好々爺も言葉を失い、言葉を切りジョルジュの顔を見上げる。
そして、絶句した。

人懐っこく、態度は悪いものの気さくで人当たりの良い、話し好きな男。
普段のジョルジュに接する者なら、大抵の者が彼に抱く印象だ。
荒巻老人にとっても、それは同じだった。

だが、今の彼は違う。

引き結んだ唇。怒りとも憤りともつかない感情の充満した、それでいて冷えた眼。
身長は老人に勝るものの、俯いた状態から睨め上げる瞳は、殆ど三白眼に見える。

/ 。゚ 3「あ、あ、あの」

その底冷えのする視線に、老人は身体を硬直させた。
  _
(  ∀ )「大丈夫だ。放っておいてくれ。
     俺の言ってる意味、分かるか?」

全く感情の感じられない声に、老人は顎をがくがくとふるわせて、何度も頷く。

/ 。゚ 3「あ……ああ、うん。ああ、す、すまないの。
     あ、わ、わしは、これで」

口ごもりながら途切れ途切れに謝罪の言葉を呟くと、逃げるように去っていった。



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:30:20.34 ID:IqguxfWt0
ジョルジュはそれを無言で見送る。老人の姿が見えなくなると、溜息を吐いた。
  _
( ゚∀゚)「……くそっ」

悔恨の声を吐き、一度天を仰ぐ。無意識のうちに懐のポケットを探るが、煙草はない。
老人を威圧するつもりは、なかった。
だが、普段通りに接する余裕もなかった。
  _
( ゚∀゚)「……ったく。
     明日からあの爺さんに、どうやって接すりゃいいんだよ……」

自身に恨み言を吐く。

原因は、明確だ。
彼は常に、一人の少年のことを考えている。

つい少し前まで彼の元におり、今はいない少年。
身体の触れ合いを持ち、そして彼のことを、臆面もなく「大好きだ」と言い、笑った少年。
彼を守るために、己の身を犠牲にした少年。
  _
( ゚∀゚)「……しぃ」

その名前を呼ぶ。
  _
(  ∀ )「お前……それで、ホントに良かったのかよ……?」

その疑問には、誰も答えない。
風が吹き、ジャケットの襟を揺らした。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:30:39.63 ID:tvz+GgQIO
あれ?
普通のエロゲよりずっとエロ比率高くね?



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:33:59.88 ID:IqguxfWt0
ジョルジュの生活は変わらない。
朝起きて事務所に向かい、日暮れまで煙草をくわえて過ごす。
日が沈むと自室に戻り、あり合わせの食材で簡単な料理を作って食べ、弱い酒を飲んで寝る。

それだけの生活が、数日間続いた。
  _
( ゚∀゚) 「……」

出掛けに、無表情でキッチンを見る。
キッチンシンクには使用済みの食器、灰皿、ビールの空き缶が山積みになっている。
初めてしぃが部屋を訪れた時と同じだ。

この部屋には、もう、しぃが暮らしていた痕跡は微塵も残っていない。
  _
( ゚∀゚) 「……元通り、か」

傷は、癒えている。
切傷や挫傷はほぼ消え、顔の傷も目立たない。
鎖骨だけは、治癒を待つために三角巾で腕を吊り、固定している。

詰まるところ、今までと何も変わらない。
ただ、起こる前の状態に戻っただけだ。

全てが荒廃していた。



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:38:29.50 ID:IqguxfWt0
いつも通りに事務所の戸を開き、灯りを点ける。
窓を乱暴に引き開け、外の町並みを一瞥する。
手荷物をテーブルの前のソファに乱暴に投げ出し、窓際の定位置に座った。

後は、何もすることなどない。
袖机から灰皿と煙草を取り出し、テーブルに置く。それを吸って、日暮れを待つ。
それだけだ。

朝の低い太陽と夕日は、地上二階の事務所には辛うじて差し込むのみだ。
光を受けた灰皿の影が机上に伸びるのを見て、ジョルジュは事務机に頬杖を付いた。
  _
( ゚∀゚) 「……増えたな。煙草」

カートンで補充したはずの煙草が、引き出しにはもうほとんど残っていない。
乱暴に破られた包装紙の奥に、二箱ほどが覗いているだけだ。
  _
( ゚∀゚) 「……」

自身の健康には、何の感慨もない。
無言で、椅子に深く掛け直す。

一本、取り出してくわえ、火を点ける。
灰に変わったそれを灰皿に落とし、吸い切ると灰皿に捨てる。
また次の一本を取りだし、くわえ、点火する。

時間は、灰に変わる。

薄く傷跡が残る頬は、凍り付いたように動かない。
ただ細められた両目が、煙の中、中空を睨んでいる。



18 : ◆BXpnga8YvJwe :2009/09/12(土) 21:42:02.10 ID:MnBWQQlpP

――意外な「客」が事務所を訪れたのは、日が傾きかけた頃だ。

ピンポン。

軽いドアチャイムが、室内の死んだ空気に響いた。
ジョルジュは入り口の曇りガラスに憂鬱げに視線を遣る。
そこに黒い人影が立っているのを認め、しかしそれを無視した。

チャイムは、二度三度と繰り返される。
彼は、動かない。

ピンポン。

ピンポン。

ピンポン。

ピンポン。

電子音が、均等のタイミングで繰り返し響く。
初めの内こそ無表情で聞き流していたジョルジュだが、顔をしかめて悪態を付いた。
  _
( ゚∀゚) 「……るせえ。
     こんな場末のクソ探偵なんぞ頼ってる暇があったら、てめえでどうにかしやがれ」

吐き捨て、止まないチャイムを尻目に手元の雑誌をめくる。
今まで一度でもこの探偵事務所を訪れた者なら、激怒することは間違いない台詞だ。



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:48:34.17 ID:MnBWQQlpP
ピンポン。

ピンポン。

ピンポン。

ピンポン。

しかし。
チャイムはまるで機械仕掛けで鳴り続けているかのように、全く等間隔で鳴り続ける。

メトロノームのようにリズムを刻み続けるその電子音にジョルジュはしばし耐えていたが、
それが百回を超える頃、遂に忍耐も限界に達した。
  _
(# ∀ ) 「……くそッ!」

雑誌を、ばさり、と机に叩き付けて伏せ、天板を掌で叩いて立ち上がる。
靴音も荒くドアまで歩み寄り、力任せに引き開けた。



――瞬間。
ドアの隙間から伸びた腕が彼の襟を掴み、ドア脇の壁に押し付けた。


  _
(; ゚∀゚) 「ぐ、ッ!」

全身に受けた衝撃が鎖骨に響き、彼は呻く。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:51:54.34 ID:MnBWQQlpP
腕の主は無言で首を傾けてジョルジュの目を覗き込むと、静かに言い放った。

('A`)「お前は、耳が悪いのか? それとも、足が悪いのか?
    どっちだ?」

声には、僅かな苛立ちの色がある。
陰気な造作に、情動の乏しい表情筋を貼り付けた顔。
ギコの部下、数日前にも彼をしたたかに痛めつけたドクオが、そこに立っていた。





23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 21:55:09.10 ID:MnBWQQlpP

                      - 2 -

突き放すように腕をほどかれ、ジョルジュは床に座り込む。
  _
(; ゚∀゚) 「……つッ……!」

目の前の男に弱みを見せたくはなかったが、鎖骨の傷はそう言っていられる状態ではない。
ドクオは静かに事務所に踏み込むと、後ろ手にドアを閉じ、施錠した。
ジョルジュは、それを冷静に見た。

恐怖はない。

銀行に勤め、情報屋と人脈を持ち、脅迫まがいの交渉を続けてきた。
ヤクザまがいの人種に絡まれた経験など、枚挙に暇がない。

ややあって床に左手を突き、立ち上がる。
  _
(; ゚∀゚) 「へッ、いらっしゃい。忘れ物でも?」

そして。

恐れるのは身体に受ける傷ではなく、自分の身体以上に大切なものを奪われることだ。
あの頃は金や地位、そして行員としての自分のプライドや名声。
いまは、そのどれとも異なり、そのどれよりも価値があるものを。

それが存在しない今、下手に出る理由はなかった。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:01:18.97 ID:IqguxfWt0
ジョルジュの全身に満ちているのは、肉体的な痛みの他には、諦念だけだった。
視線は険しく、この状態でなお怯えはない。
予想したものとは少し異なる彼の反応に、ドクオは無言で眉を上げる。

('A`) 「……元気そうだな」
  _
( ゚∀゚)「お陰様で。血の気が多すぎたのが困りものでね。まあ、右腕は利かねぇけど、
     ガキみてぇに毎晩イチモツ握り締めて過ごすほど盛んでもないしな……へッ」

('A`) 「そうか。なら――」

ジョルジュの、三角巾で吊った右半身からのボディブロー。
右腕が動かない彼には、防御の術はない。
痣の残る腹部を再び打たれ、ジョルジュの身体がくの字に曲がった。

('A`) 「――もう少し、構っておくべきだった」
  _
(; ゚∀゚)「ッぐ……ってェな……ッ、ごほっ!」

俯いたまま、ジョルジュの語気は荒い。

('A`) 「まあ、いい。今日の用は、違う。
    ……プレゼントだ。社長から、渡せと言われてる」

ドクオは、懐から薄いプラスティックのケースを取り出した。
透明なケースには、ラベルの貼られていない光学ディスクが収まっている。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:04:10.23 ID:IqguxfWt0
目前で屈むジョルジュの後頭部を、それで叩く。
ケースの中でディスクが浮き、かしゃり、かしゃりと音が立った。

('A`) 「ペットの、預かり賃代わりだそうだ。
    見ろ。見て、後悔しろ」

ジョルジュの視界に入るよう、それを床に投げ捨てた。
  _
(; ∀ )「こ、後悔……? おま、え……ッ!!」

('A`) 「殺しはしていない。あのガキは、金がかかってる。
    あとは、自分で見ろ……じっくり、な」

彼の正面にあるジョルジュの頭頂部の髪を掴む。
正面、事務所の奥に向かって真っ直ぐ押した。
  _
(; ゚∀゚)「っ、でッ!!」

ジョルジュはそのままよろけ、後ろに尻餅を着く。
その顔を覗き込み、ドクオは嘲笑った。

('A`) 「あのガキ……具合はどうだった? 良かっただろう?
    あの社長が仕込んだんだからな。使用料を貰いたいぐらいだ」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:07:44.25 ID:IqguxfWt0
  _
(# ゚∀゚)「……てめえ……!!」

怒るジョルジュの視線をかわし、背を向ける。

('A`) 「――あばよ。ホモ野郎」

鍵を開き、ドアを開け放つ。
感情の篭もらない静かな笑い声を残したまま、事務所を去った。

後には、ジョルジュ一人が残される。
その目の前の床には、透明なディスクのケースがある。
  _
(  ∀ )「……」

ジョルジュは床に座り込んでそのケースを見ていたが、ゆっくりと立ち上がり、
そのケースに手を伸ばした。拾い上げ、凝視する。

――ペットの、預かり賃。
殺しはしていない。見て、後悔しろ。
ドクオの言葉を脳裏で反芻する。
  _
( ゚∀゚)「……しぃ……」

そこに収められているものがどんなものなのか、想像は付く。
見るべきではない、と直感した。
どんなものが見られたとしても、それは彼の望むものではないだろうからだ。



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:10:29.42 ID:IqguxfWt0
ジョルジュは身体を震わせる。
湧き起こる感情のままに、手にしたケースを高く振り上げた。
  _
(# ∀ )「く、そお――――ッ!!」

これを床に叩き付けて、踏み潰す。
そして、全て忘れる。

たったそれだけで良かった。
その一動作だけで、全てが終わるはずだった。

そうするべきだった。



だが……その、それだけ、が、できなかった。


  _
(  ∀ )「……く、そっ。
     くそッ……しぃっ……!!」

振り上げた手を、力なく床に下ろす。
垂れ下がった左手からケースが落ち、軽い音を立てて鳴った。





31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:14:10.06 ID:IqguxfWt0
照明のない自室で、彼はリビングのソファに座っていた。
テーブルに置かれたノートパソコンの壁紙の色が、彼の顔を青く照らしている。
  _
( ゚∀゚)「……」

溜息と共に、白く濃い煙草の煙を吐く。
空いた左手はタッチパネルの上を彷徨い、止まり、また煙草に戻る。
その動作だけを、もう十分近くは続けていた。

見てはいけない。
見るべきではない。

そう思う一方で、これを見ることを望んでいる自分がいる。
  _
( -∀-)「……しぃ」

彼の命を守るために、一度は逃げ出したギコの屋敷に戻ったしぃ。
その少年が何をして過ごしているかは、想像に難くない。

だが、そうと分かっていても、しぃの顔を見たかった。
命さえ無事でいてくれればいい。そう祈っていた。
  _
( -∀-)「……あいつは、俺のために」

そうだ。やはり、そうだ。

ジョルジュを救うために、しぃは去ったのだ。
それならば、自分は見届けなくてはいけない。



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:20:13.16 ID:IqguxfWt0
  _
( ゚∀゚)(俺の……せいで、あいつは帰らなきゃいけなかった。
     俺は、止められなかった……)

自分がしたことの責任を、取らなくてはいけない。
見なければ。例えそこに、何が映っているとしても。

そして、ただそれだけではない。
もう一度、しぃの顔を見たかった。

――見なければ。

迷っていた心が、決まる。
だが震える指。その指で、タッチパネルを叩いた。
  _
( ゚∀゚)「……」

静穏モーターの回転音が、低く断続的に響く。プレイヤーがスタートし、映像が再生される。
黒一面のウィンドウ。そこに、スピーカーからの音声と共に映像がフェードインする。
ジョルジュは机に左手を置き、そこに映し出されるものを凝視した。





36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:23:42.90 ID:IqguxfWt0

――プレイヤーの画面に映し出されたもの。
   それは再生前と同じ、暗闇だった。

   映像は、暗闇から始まっている。
   手元で鳴る、がたがた、という音と、虫の羽音のような振動音がなければ、
   映像が既に開始されているとは思えなかっただろう。

   その映像は、どうやらハンディタイプのビデオカメラで録画されたものらしかった。

   スピーカーの近くで鳴る音。そして、低い唸るような音。
   暗闇の中で、二種類の音が続く。

   不意に――レンズキャップが外されたのだろう――黒一色だった画面は明転する。
   初めは、白い靄のような物体がただ、フレームの闇の中でゆらゆらと揺れているだけだった。

   掠れた呻き声が振動音に被さる。
   同時に、白い靄は鮮明になり、カメラの前にある「もの」が、照明の中に浮かび上がる――


  _
(; ゚∀゚)「……っ!!」

そこに大写しにされたもの。
それを見たジョルジュの表情が、歪んだ。





37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:26:41.70 ID:IqguxfWt0

                      - 3 -

再生される映像。そこに映っているのは……人間の下半身だった。
正確に言えば、臑から臍の上までを、正面下からややローアングルで撮影したものだ。
その人物の顔はフレームアウトし、見えない。

だがジョルジュには、その身体の持ち主が誰であるか、瞬時に判別が付いた。

その臍で輝き、揺れているティアドロップのボディピアス。
それを彼は、一度だけその目で見たことがあった。
  _
(; ∀ )「しぃ……ッ!!」

予想はしていた。
しかしそこに映っている人間の状態は、彼の予測を遙かに上回っていた。



――しぃは、両脚を大きく開き、膝を不格好に曲げた前屈みの姿勢を取っている。
   それは、両膝に掛けられた拘束具のためだった。

   開いた両膝に締められたベルト。その間に、長さ60センチほどの黒いバーが渡され、
   金属のジョイントでベルトに留められている。
   それが支え棒になり、しぃは両脚を閉じることができない。

   その股間にあるもの。
   画面が明転する前から響き続ける振動音の発生源が、それだった。



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:30:35.84 ID:MnBWQQlpP
   ローアングルで撮影されているため、両脚を大きく開いたしぃの股間は、完全に
   照明の下に晒されている。

   その肛門に突き立てられた棒状の物体が、モーター音を立ててくねっているのが、
   はっきりと見えた。その本体は、しぃの体内に完全に埋没していた。
   バイブレータだ。

      『……ぅ、……ぐ、ぁ……っ……!』

   押し殺した声が、また響く。

   しぃの下半身を拘束しているのは、それだけではなかった。
   カメラが動き、時折力なく動く股間に、その股間で屹立する肉茎に、寄る。
   未成熟なその部分にも、拘束が施されていた。

   無毛の肉茎の根本と、左右の睾丸。
   その三カ所に金属製のリング状の物体がきつく食い込み、しぃのその部分を締め
   上げている。

   睾丸は左右に大きくくびり出され、根本を絞られて鬱血している。
   肉茎は勃起したまま血流を遮られ、赤黒く腫れ上がっていた。

   カメラが、徐々に上に動く。

   窮屈な姿勢で下半身を拘束されたしぃ。
   その腹が、胸が、肩が画面に映り、そしてしぃの苦痛と、恐怖に歪んだ顔を映した。
   その首には、脚の拘束具と同じように、黒い革の首輪が掛かっている――



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:34:33.59 ID:MnBWQQlpP
  _
(; ∀ )「あ、ああ、しぃ……っ……」

照明の乏しい中でも、カメラはしぃの全身を克明に捉え、画面に映し出す。
そのしぃの上半身に、そして左目の周囲に、はっきりと内出血の痕跡が見て取れた。
腫れた左目は閉じかかり、涙を溢れさせていた。



――掠れたしぃの声を、マイクが拾う。

   (*;o;)『あ、っぐ……っ、や、やあっ、やめて、やめてぇ、っ。
        やだよ、ボク、やだ……恥ずかしい、よッ、撮らないでえ……ッ……!』

   顔を撮影されるのを見たしぃは、身をよじってレンズから逃れようとする。
   しかし、腕は使えない。両腕は身体の後ろで組み合わされ、下半身と同様に、
   幅広の黒い皮革製のベルトで拘束されていた。

   (*;o;)『やだ、やだよおっ……ッう、ああああぁぁっ、い、イヤぁっ! いや、いやあっ!
        やめてよぉ! こんなの、こんなのッ……み、見られたく、ないよお……ッ!』

   声が響く。しぃは首を激しく左右に振り、涙を流しながらカメラに向かって懇願する。
   しかし、カメラは微動だにしない。
   しぃの顔を、そして拘束された下半身を、交互に撮影し続ける。



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:38:49.18 ID:MnBWQQlpP
   不意に、カメラはしぃの下半身を映したまま、動きを止める。
   フレームの外……カメラを持つ人間とは別の方向から、腕が差し出された。

       『ひ、あ……あああぁぁ……ッ!?』

   伸びたその手は、しぃの肛門を責め続けるバイブレータの底部を握った。
   カメラは、その手元にズームする。

       『あ、あああぁ――やああぁ、ッ!』

   恐怖の声。
   それにも構わずにその腕は、掴んだバイブレータを、しぃの肛門から力任せに引く。

       『あぐ――ッあああああああああぁぁぁぁぁッ!!!!』

   スピーカーが音割れを起こす程の悲鳴。
   それと共に、しぃの肛門の筋肉が、内側から押し開かれる。

   そこから、黒く、太い、いぼ状の凹凸に覆われたバイブレータの本体が、ずるり、と
   音を立てて15センチほど引きずり出された。
   それでもなお、先端はしぃの身体に埋まっている。

   しぃの腰ががくがくと震え、大きく上下した。
   過度の刺激を加えられた周囲の粘膜は赤く腫れ、ひだが伸びきっている。
   それにも構わず、その腕の主はまた、力任せにバイブレータをしぃの身体にねじ込んだ。

   突き出た突起の形に、入り口の筋肉が異様な形に変形しながらも、それを飲み込む。



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:43:14.10 ID:MnBWQQlpP
       『あ……がッ…………!!!!!』

   勃起した状態で拘束され、萎縮することを許されない肉茎が、大きく震えた。
   カメラは大きく引き、しぃの全身を映す。
   顔を紅潮させて俯き、肩で大きく息をしていたしぃの隣に、一人の男が姿を現した。

   恐らくは、先程までしぃの身体を弄んでいたのと同じ男だ。
   カメラは、その男の顔に寄る。

   (,,゚Д゚)『初めまして、か。
        ウチのペットが粗相をしたようだな。一言詫びておく』

   男はそう言い、笑った――


  _
(  ∀ )「……こいつが……」

異様な光景の中で、初めて見る顔。
その顔には特に印象はない。だが、その眼は、異様な輝きを発している。

ドクオの瞳には、感情が感じられなかった。だが、この男の目はそれともまた違う。
生気のない、爛れて濁った瞳。
この男の精神は、既にどこか一部、タガが外れている。そう見えた。
  _
(# ゚∀゚)「こいつが……ギコ……!」





43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:47:26.96 ID:MnBWQQlpP
――男は、喋り続ける。

   (,,゚Д゚)『しかし、勝手なマネをして貰っては困るな。
        こいつは……俺のペットでね。それなりに投資しているんだよ』

   言って、しぃの前髪を掴み、無理矢理カメラを向かせる。

   (,,゚Д゚)『お陰でこの通り、再教育が必要になった。
        全く……くくっ。本来なら、損害賠償ものだぞ? く、くくっ』

   (*;ー;)『やぁ、やだ……ぁっ、やだ、止めて。
        ギコさん、おねッ、お願い……します、ッ……!』

   顔を上げられながらも、しぃは懇願する。
   ギコはしぃの言葉を無視する。

   (,,゚Д゚)『お前も、困ったペットだな。そんな我が侭を言う子に育てた覚えはないぞ?』

   カメラを一瞥し、しぃの後ろに回り込む。
   身を屈め、しぃの身体から突き出したバイブレータを、再び握った。

   半ば程まで引き抜く。

   (*;o;)「あぐうぅっ!!」

   再び、押し込む。

   (*;o;)「あ、ッぐ、ぎぃッ――――!!」



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:52:01.01 ID:MnBWQQlpP
   抜き差しを、何度も繰り返す。
   引き出されたバイブレータの本体には、恐らく潤滑剤だろう、半透明の粘着質の
   物質がまとわりつき、糸を引いて床に落ちる。

   (,,゚Д゚)『ほら、どうだ。そろそろ、言う気になったか?
        お前は、あの探偵さんに言うことがあるだろう? どうだ?』

   手を緩めずに、しぃに問う。しぃは、答えられる状態ではない。

   (*;ー;)「ッ、あ、ぐッ、ふうあぁぁ……ッ、や、やだあぁ……いやああぁぁ……!」

   それでもなお、しぃは首を振る。
   開いたままの口から、唾液が零れ落ちた。

   (,,゚Д゚)『そうか。なら、再教育の続きだな。……高岡』

   その声に答えて、画面のギコとは反対側の奥から、一人の女が姿を現した。
   いや、女ではない。
   全裸の姿は女に見えるが、その股間では、ギコやしぃと同じ、勃起した肉茎が揺れている――

  _
(  ∀ )「くそ……くそッ!!」

歯を食いしばり、それでもジョルジュは画面を凝視する。
攻められ涙を流すしぃではなく、その背後で笑うギコを。
その顔を、表情を、怒りと共に記憶に焼き付ける。



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 22:57:31.62 ID:MnBWQQlpP
――ギコは、喉の奥で、くくっ、と笑う。
   笑い、しぃの肛門を犯し続けていたバイブレータを、勢いよく引き抜いた。

   (*;o;)『ひ、ぎッ――――!!!』

   腰を震わせる。
   崩れ落ちようとするが、ギコがその腕を戒める拘束具を掴み、止める。

   (,,゚Д゚)『おっと。まだ、これからだろう?
        高岡。こいつを、もっと悦ばせてやれ』

   男性器を持った女に――高岡に、声を掛ける。

   从 ゚-从『……はい』

   高岡は頷き、しぃの股間の脇に座り込んだ。
   カメラを遮らないように脇によけ、手を伸ばしてしぃの肉茎に指を添えた。
   金属のリングで拘束され、血管を浮き上がらせた、しぃの肉茎に。

   (*;o;)「あ、ひぃッ? あああ、や、あ、うあ、ああああ、ああああああ!!!」

   項垂れていたしぃが突如顔を起こし、狂ったように声を上げる。

   どれほどの時間か分からないが、締め付けられ続けた肉茎は、触れられただけで
   言葉に表しがたいほどの刺激を伝えているに違いなかった。
   それは、決して快感だけではない。



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:01:21.31 ID:IqguxfWt0
   从 ゚-从『ん……ッ……』

   手指を上下させ、しぃの肉茎に這わせる。

   (*;o;)『あ、ぐッ、ああやッ、や、いやあああぁあぁっ!! ひ、痛い、い、いたいいっ!
        痛い、いたいよおお、あぐッ、やめ、やああああぁっ!』

   言葉は、既に断片的でしかない。
   それでもしぃは、唯一自由に動かせる腰をくねらせ、反抗する。

   (,,゚Д゚)『せっかく、俺が仕込んでやったんだ。痛くはないだろう?
        この程度で痛がっているようでは……次は、どうするんだ?』

   その腰を、ギコが後ろから片手で押さえる。
   もう片方の手でスラックスのジッパーを下ろす。

   カメラに晒されたしぃの下半身。
   その後ろから、ギコは腰を突き出した。

   (*;o;)「あ、う……? ッ、ひ――――ぃッ!!」

   カメラが寄る。さらけ出されたしぃの下半身。その肉茎は、高岡が愛撫している。
   そしてバイブレータに犯されていた肛門には、ギコの肉茎が、根本まで埋没していた。

   (,,゚Д゚)『は、ははッ。だらしのない身体だな。
        何故だ? お前は、外に逃げ出して誰とでも交尾するような、悪いペットなのか?
        なあ……どうなんだ? なあ、ッ!!』

   強引にしぃの身体を犯しながら、ギコはぎらついた瞳をカメラに向ける――



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:05:50.74 ID:IqguxfWt0
ギコの視線は、しぃでも高岡でもなく、ジョルジュを真っ直ぐに見ている。
生気の感じられなかった瞳には、今はありありと、ある一つの感情が浮かんでいる。

それは――嫉妬だ。
  _
(  ∀ )「……は、ッ。
     そうかよ……そういう、コトかよ……」

余りにも単純で、そして幼稚な動機だ。
ギコは、ジョルジュに嫉妬しているのだ。
だからこそしぃを犯し、その映像を彼に送りつけているのだ。



――ギコはしぃの両の太股に下から腕を差し入れ、角度を付けて持ち上げる。
   M字に大きく脚を開かれたしぃの、高岡が掴む肉茎と、ギコに挿入された接合部が
   カメラの前に大きく、鮮明に映し出された。

   じゃらり、と金属音がした。
   照明の外で良くは見えないが、しぃの身体は拘束されているだけでなく、上から鎖か
   何かで吊られているようだった。

   (*;o;)『はあッ、ふッ、やあっ、あぐっ、ああああ、ん、んッ……!!
        あ、熱い、痛い、うぁぁ、壊れちゃう、ボク、からだッ、壊れちゃうッ……!!』

   高岡は手を離し、髪をかき上げる。
   そして首を曲げ、腫れ上がったしぃの肉茎を、今度は口に含んだ。

   从* -从『ンっ、ん、むぅ……ッ……んんっ』



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:10:54.33 ID:IqguxfWt0
   (*;o;)『んん、ぎッ――――んはあッ!?』

   しぃの声の調子が変わる。

   柔らかい舌で触れられる感触は、しぃの肉茎に、今度は快感を与えている。
   高岡は、唾液を絡めた舌でしぃの肉茎を愛撫し続ける。
   ギコに肛門を犯されながら、しぃはこれまでとは違う声を上げた。

   (*///)『んん、んんんんッ……あぁ、はあぁ……ッ……!』

   このような状況でも、快感を与えられれば、それに意志とは無関係に反応する。
   それは、しぃが今までに彼らから受けてきた仕打ちの証でもある。

   (,,゚Д゚)『くく、っ。そうだ。いい子だ……くくくっ』

   从* -从『く、んっ、はむ……ちゅううッ』

   高岡の口が立てる水音が、ギコの満足げな声と共に室内に響く。
   しぃは一際大きなあえぎ声を上げ、身体を震わせようとする。

   (*///)『は、あ、あくッ……んんン、んああああぁあッ!
        ……ぁ、あ……あああ……ッ!?』

   しかし。
   肉茎の根本をリングで締め上げられているため、射精を行うことができない。
   肉茎は痙攣するが、そこから精液が吐き出されることはなかった。

   (*///)『ああ、や……あああぁぁっ、やあ……ッ!
        こんなの、こんな……ヤダあぁ……っ、いやぁ、いやあああっ!!』



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:15:30.07 ID:IqguxfWt0
   高岡の舌は、なおもしぃの肉茎を刺激し続けている。
   通常なら既に射精に至ってもおかしくないほどの快感を与えられながら、
   決して射精することはできない。

   (*///)『やだ、いやあ、こんなの、ヤダ……ボク、ッ!! あ、ッ!!
        やだよぉぉッ!! ふぁあ、っ、ボク、あ、ヤダ、おかしく、なっちゃうッ!!
        ああう、うぁあああああぁぁぁぁぁっ!!』

   高岡に肉茎を咥えられたまま髪を振り乱し、狂ったように首を振るしぃ。
   その髪を掴み、しぃに挿入したまま、ギコは耳元で囁いた。

   (,,゚Д゚)『しぃ……楽に、なりたいか?』

   (*///)『あ、ああ……あああ……、ッあ!!』

   しぃは、首を振る。しかしその途端に肉茎に舌の刺激を加えられ、仰け反る。
   ギコは、しぃに呼びかける。カメラの方を指差し、続ける。

   (,,゚Д゚)『……言え。教えてやった通り、あいつに聞かせてやれ。
       そうすれば、楽にしてやる。お前がして欲しいとおりに、してやるぞ?』

   (*///)『あッ、くッ……あ、やッ、あ、あああ、あ、あ……ッ!!!』

   しぃの顔がアップになる。
   その眼は……伏せられ、首を振り、そして、肩を大きく震わせて、カメラを見た――



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:21:11.36 ID:IqguxfWt0
  _
(  ∀ )「しぃ……ッ」

ジョルジュは、画面を見詰めている。
両手を、血の気が失せて白く変色するほどに握りしめている。
そうしていないと、激情に任せてノートパソコンを叩き壊してしまいそうだった。
  _
( ;∀;)「く……っ、しぃ、しぃっ……!!」

ジョルジュは涙を流していた。
涙を流して、ただ画面の中のしぃを見詰めていた。



――しぃの表情は、目まぐるしく変わる。
   怯え、羞恥に紅潮し、そして肉茎と肛門に加えられる刺激に眉を寄せる。

   (*///)『あ、ぐッ、くふぅッ、やだ、やだああぁぁ……ッ!
        言え、あひッ、っ、ないッ。やだぁぁっ……ッぐ……ッ!!』

   窮屈な格好で拘束され、天井から吊られ、さらけ出した肛門を犯され。
   締め上げられた肉茎に与えられる快感に身をよじりながら、歯を食いしばる。

   (,,゚Д゚)『……言え。楽に、してやる』

   しかし……そのギコのささやきが、限界だった。

   大きく一度全身を震わせ、カメラを見るその瞳の中で、何かが崩れるように見えた。
   糸で繰られるように、こくり、と頷き――喉を大きく鳴らして、しぃは、口を開いた。



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:25:35.83 ID:IqguxfWt0
   (*;ー;)『んく、あ、あ――っ――』

   震える唇から唾液を流しながら、か細い声で話し始める。

   (*;ー;)『あ……あ、ああ。
        ジョ、ジョルジュ……さん、ッ。ボ、ボク……いま、しあ、幸せ、だよ。
        ギコさんに、飼われて、ッ、すごく、幸せだよ……ッ。ボク、ボクは……』

   その表情が、一気に崩れた。

   (*;o;)『ボ……ボク、はっ。ボクは……変態、です。
        女の子の格好をして、それで……ッ、こうやって、縛られて……、
        ギコさんのペニスに、おし、ッ、お尻の穴を、犯されるのが、大好きな、
        へ、へん、っ、変態、です……ッ、う、ああぁ……ッ……!』

   恐らくは、ギコに指示されていたであろう内容を、続ける。

   (*;o;)『ボクは、こうやって……ッ、こう、やって、犬みたいに犯されるのが
        大好きな、ギコさんのッ、ペットです、っ。ギコさんの、っ、所有物
        ですっ。だか、ッあ、ら、ボクのこと……ボクのことっ。
        忘れて、下さ……い……ッ……」

   言葉を切る。
   見る間にその顔が歪み、両眼から涙がこぼれ落ちる。

   (*;o;)『……ッ、ひっ、く……。
        っく、うぅ、ぅあああああああああぁぁ――――ッ!!』

   全て言い終えて、号泣した。



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:30:39.73 ID:MnBWQQlpP
   そのしぃをさらに激しく突き、ギコは高笑いする。

   (,, Д )『ふっ……く、はははッ!  聞いたか? こいつ、自分のことを、
        変態だと、ペットだと認めたぞッ! くくっ、ははッ……なあ、探偵!
        はは、ははははははッ!!!』

   突きながら、高岡に命じる。

   (,, Д )『高岡! 外してやれ』

   高岡はしぃの肉茎から口を離し、しぃの肉茎と睾丸を戒めていた拘束具に手を掛けた。
   ぱちん、と音が鳴り、三つの金属の輪が床に落ちる。
   その瞬間、項垂れて震えていたしぃが、身体を起こした。

   (*///)「うあっ、あ……あああぁ、っあああああぁぁっッ!!」

   高岡は腫れ上がったしぃの肉茎を握りしめる。
   自身の唾液で濡れそぼったしぃの肉茎を、先端から根本まで大きく擦った。
   包皮が引き摺られ、肉茎と同じように鬱血した亀頭が覗く。

   (*///)「あ、ひ、がッ、ンああぁ――――ッ!!!!」

   数度擦られただけで、既に限界を超えていた。
   しぃは叫ぶ。叫びながら、押さえつけられていた精液を、弾けるように射精した。

   背後から抱えるように抱かれていたしぃの肉茎は、大きく自身の顔に向けて跳ね上がる。
   自分自身の顔に向けて、しぃは大量に射精する。
   背後から貫かれたまま、飛び散った精液は、しぃ自身の顔面を犯した。



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:34:36.67 ID:MnBWQQlpP
   (*///)「うぅ、ぶッ、ぅふあ……ッ……!」

   跳ねた肉茎を、高岡がさらに捉える。
   唾液と精液まみれのそれを握り、さらに激しく擦った。

   (*///)「あ、あ……っ、あああっ?
        や、ダメッ、もう、やあああぁ――っ!!」

   限界まで拘束され、解き放たれた肉茎。
   射精の余韻が残るその肉茎を、さらに休む間もなく刺激される。
   さらに腸内に侵入したギコの肉茎が、腹の中をかき回すように動いた。

   肉茎と接合部から、同時に粘ついた水音が立つ。
   射精の余韻が消える前に前後を同時に刺激され、しぃは叫び声を上げ続けた。

   (*///)「あ、はッ、もう、もう、ボク、も、お、ッ――!!
        あああぁ、イヤあああぁぁッ、んはああああぁぁあぁッ!!!!!」

   そして、顔から、自身の精液を滴らせたまま。
   しぃは、高岡の手の中に、立て続けに射精した。
   勢いを失った二度目の精液は、高岡の掌に、とろり、と流れる。

   (*,,゚Д゚)『よし……よし、いい子だ。それでこそ、俺のペットだ……ッ。
        いいか、しぃッ。御褒美だッ、出すぞっ。こぼすなよ――ッ!』

   ギコの腰の動きが、大きくなる。
   立て続けに射精し疲労しきったしぃは、無表情で虚ろな目のまま、かすかに頷く。



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:39:52.62 ID:9XulwmOIO
勃起した



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:40:36.70 ID:MnBWQQlpP
   ギコの腰のストロークが、長く、早くなる。
   抱え上げた姿勢で大きく一度突き込み、ギコも身体を震わせた。

   (*,, Д )『く、あ――ッ!!』

   (* - )『ふ……あ、あああぁぁ、ぁぁ……』

   自分の力では指一本動かすことができないしぃ。
   その腸内に、ギコの精液が注ぎ込まれる。
   括約筋を緊張させ、肉の門の入り口を締めて、しぃはそれを受け容れた。

   (*,, Д )『ふ…………うっ』

   射精が終わったギコは、しぃをの身体を無造作に床に下ろす。
   しぃは両脚を大きく開き、射精されたばかりの肛門をカメラに向けて晒したまま、
   俯せに転がった。

   (* - )『あ……ッ……』

   腫れ上がった肛門に加える力を維持することができず、力を抜く。
   長時間バイブレータとギコの肉茎で拡げられていたそこは、弛緩して丸くぽっかりと
   開き、鮮やかなピンクの腸壁を覗かせた。

   呼吸に合わせてひくつくそこから、白く濁った精液が流れ出た。

   カメラはゆっくりと動き、しぃの上半身を映す。



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:48:47.94 ID:MnBWQQlpP
   腫れた片目。自分自身の精液と唾液と涙で濡れ、力なく床に押しつける顔。
   呆け、表情を失った顔は、既に何も見ていなかった。

   だが。

   その口元が、微かに動いている。
   表情のない憔悴しきった顔で、しかし、しぃは無音で何事かを呟いている――



ジョルジュはディスプレイに食いつかんばかりに顔を寄せる。
しかし、聞こえない。
しぃが何と言っているのか、どんなにボリュームを上げても聞き取れない。
  _
( ;∀;)「何だよ。何だよ、しぃっ。
      聞こえないぜ、もっと、もっと大きな声で言ってくれよ……しぃ……ッ!!!」

聞こえるはずなどない。
しかし、彼はディスプレイの光点の集合に声を掛け続ける。
  _
( ;∀;)「なぁ……しぃ、頼むよ……っ。教えてくれよ。
      そんな目に、俺のためにそんな目に遭って、なにが言いたいんだよッ!」

映像は、まだ続いている。しぃの口元。それを、見続ける。
その口元を真似て、動かす。繰り返し、その僅かな唇の動きをなぞる。
  _
( ;∀;)「……ッ!」



62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:53:37.15 ID:IqguxfWt0



――た、



   す、



   け、



   て。





63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/12(土) 23:57:32.19 ID:IqguxfWt0
たすけて。

たすけて。たすけて。たすけて。助けて……。

しぃは、その単語だけを、繰り返している。
この映像を見ているであろう自分自身に、助けを――求めている。
彼は遂に、それに気付いた。
  _
( ;∀;)「あ、うああ、あ……しぃッ!!」

画面に縋り付き、震える指で画面の中のしぃの顔を繰り返しなぞる。
涙を拭った指がディスプレイに水滴の尾を引き、滲んだ色彩を浮かび上がらせた。

しばらくしぃの顔を写した後、唐突に画面は黒一面に戻った。

プレイヤー下部の再生位置を示すバーは、ウィンドウの右端に達している。
再生が終了したのだ。
  _
( ;∀;) 「……ッ……しぃ…ッ……!」

暗くなったプレイヤーの画面を映し続けるディスプレイを抱くように抱えたまま、
ジョルジュは涙を流した。

しぃの残した言葉を噛みしめながら、その名前を途切れ途切れに呼び続けていた。



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:00:38.58 ID:8tNaW6aCO
これがいわゆる鬱勃起という奴かな



65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:02:03.81 ID:3j63WHl1P
――開かれたカーテンの外は、暗闇に変わっている。
リビングには照明は灯っていない。ノートパソコンも、電源を切られて閉じられている。
窓の外の電飾の明かりが、俯く彼自身の顔を揺れて照らしていた。
  _
(  ∀ )「……」

無言で俯いている。
言葉を発することも、これ以上涙を流すことも、机上の煙草に手を伸ばすこともなく、
ジョルジュはただ、そうして座っていた。

驚愕、衝撃。そして怒り、後悔、憐憫。
幾つもの感情が渦を巻き、胸中で荒れ狂っている。
  _
(  ∀ )「……」

沈黙。

やがて、複雑な色と形の幾つもの感情と思考が、ゆっくりと動き始める。

それはうねり、蠢き――そして、気が遠くなるほど長く感じられる時間を経て、
たった一つのベクトルを持った感情に変わっていく。
彼にとっては既に過去のものになったはずの感情との、それは再会だった。



――その色は、目も眩むほど鮮やかに、赤い。
膨れあがる炎のように激しく、そして音を立て弾ける熾火のように熱い。





66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:06:49.67 ID:3j63WHl1P
  _
(  ∀ )「……っ」

静かに、立ち上がる。
彼はゆっくりと、照明のないキッチンに向かった。

シンクの上、天井に据え付けられた棚に手を伸ばす。
その奥を探り、一本のバーボンウイスキーのボトルを取り出した。
隣に伏せられたショットグラスと共に左手に提げ、リビングに戻る。

――イライジャ・クレイグ、12年。
ビンテージを演出するラベルにその銘柄が大きく、時代がかった字体で綴られる。

取り上げたそのボトルを両腿に挟み、左手一本で開封する。
ボトルの口から仄かに甘く、そして重い薫香が室内に広がった。
  _
( ゚∀゚)「……2年ぶり……だな」

ビール以外の酒を飲むのは、久しぶりだった。
ちょうど2年前――銀行を退職し、探偵事務所を開く前以来だ。

バーボンウイスキーの芳香を嗅ぐと、過去を思い出す。
  _
( ゚∀゚)「……だから、嫌だったんだよな」

仕事が終わり深夜に帰宅すると、ほとんど毎日、洋酒を煽ってからベッドに入った。
その日あったことを回想し、或いは近づいた商談の成功を祈って。
独り手段を選ばず戦い続けた、捨て去った過去の栄光の象徴だった。



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:10:44.66 ID:3j63WHl1P
ボトルを静かに傾ける。

リキッドルビー……この銘柄に特有の、一般のウイスキーより赤みがかった琥珀色。
粘度のある液体はボトルのネックで空気に攪拌されて軽快な音を立てながら電飾の
明かりを映し、柔らかくグラスの中に移っていく。

グラスを差し上げ、外の光に晒す。
鼻腔の奥が広がるような熱を持った香り。
強い揮発臭が抜けた後に、適度に重く、絡みつくような、甘い果実と花が香る。

それを、一気に煽る。

94プルーフ、47度のアルコールが口腔に浸み、食道を灼き、胃に滑り降りる。
燻されたオーク樽の滋味と舌に響く甘い後味を残し、身体の芯から熱を立ちのぼらせた。

芯はあるが決して重すぎないミディアム・ヘビーの飲み口と、強めの揮発臭の裏から
顔を覗かせる、果実、そして「ブーケ」と呼ばれる複雑な花のフレーバー。

……過去を甦らせるには、最適の気付け薬、だ。

グラスをテーブルに置き、煙草に火を付ける。
酒に熱され潤った喉を、煙草の煙が冷やし、乾かす。
  _
( -∀-)「しぃ……」

あの頃の彼にはなく、今の彼が持っているものがある。
そして逆に、あの頃の彼は持っていたが、今の彼からは失われたものがある。

いま彼は、その失っていたもののひとつを取り戻しつつあった。



68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:14:05.84 ID:3j63WHl1P
  _
(  ∀ )「……社長。感謝するぜ」

汚されたしぃの呟きは、耳から離れない。
そのしぃを嬲り、ジョルジュを睨み、笑ったギコの顔は決して忘れない。

――たすけて

助けて。
今の彼にとって、それは懇願の言葉ではない。

新たな、依頼だ。
  _
( ゚∀゚)「……『どんな客でも、依頼があれば最大限相談に乗る』。
     ウチのモットー、忘れたワケじゃないよな? ……なあ、しぃ」

ここにはいない少年に、語りかける。
  _
( ゚∀゚)「今度の依頼は、キャンセルはきかないぜ。
     だから……覚悟して待ってろよ」



――彼の胸にある感情。そして、取り戻した過去の所有物。
それは、闘志、という名前で呼ばれるものだった。





70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:17:49.97 ID:3j63WHl1P

                      - 4 -

深夜。歓楽街に面した、都心の雑居ビル。
その通りに面した屋外の階段を上る一つの人影があった。

(´・ω・`) 「……」

ショボンだった。
ここは、彼の「オフィス」が入っている雑居ビルだった。
ジョルジュの事務所に比べると狭く、通路も階段も雑然としている。

廊下に転がるファストフードの包み紙や煙草の吸い殻に目もくれず、歩く。
ドアには彼の名前の表札も、無論社名すら入っていない。

ドアの前で立ち止まり、ふと下界を見る。
この時間になっても衰えることのない人通りと目映い電飾を遠い目で見る。
その柔和な表情は、感情を隠すのには好都合だ。

(´・ω・`) 「……ふむ」

一つ頷き、ドアノブに手を掛ける。
その時、視界の端に知った顔が現れた。

(´・ω・`) 「やあ、こんばんは。
      こんな時間になんて、珍しいね。……ジョルジュ」



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:21:59.96 ID:3j63WHl1P
  _
( ゚∀゚)「ああ。最近めっきり夜型になっちまってな。商売の調子はどうだ?」

顔を見せたのは、ジョルジュだった。

(´・ω・`) 「この業界も不況でね。
      みんな、他人様の台所を覗くよりは、自分の所を固めたがってる。困ったものさ。
      で、君のその怪我も、不況のせいかい?」

三角巾で吊られた彼の肩を差し、冗談めかして言う。
彼も唇の端を上げ、肩を竦めた。
  _
( ゚∀゚)「まあね。文字通り、身を切られるほどの不況、ってやつだ」

(´・ω・`) 「ははっ。それは、ご愁傷様。
      ここまで来たからには、用があるんだろう? 入りなよ」

詮索はしない。

ドアを開き、ジョルジュを招く。
彼は無言で頷き、ショボンに続いてドアを潜った。





72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:26:30.39 ID:3j63WHl1P
ショボンは部屋の電気を付け、すぐに机上のリモコンを取るとスイッチを入れた。
高熱を発するパソコンを保護するため、彼は一年中エアコンを点けている。
天井の吹き出し口が唸りを立て、直風を浴びたジョルジュは顔をしかめた。
  _
( ゚∀゚)「冷てっ……いてて。
     おい、冷やしすぎは傷に障るんだ。止めてくれよ」

(´・ω・`) 「怪我は放っておけば治るけど、パソコンは勝手には直らないからね。
      まあ、いつも通り、その辺に座って待っててよ。あ、煙草は……」

言うよりも早く、ジョルジュは既に煙草に点火している。
ショボンは首を振り、ディスプレイの前の定位置に腰を下ろした。

パソコンの休止状態を解除すると、キーボードを叩き始める。
その打鍵音だけが、室内に鳴り響いた。
画面を見ながら、ショボンはジョルジュに話しかける。

(´・ω・`) 「そういえば、坊やは元気かい?」
  _
( ゚∀゚)「……。
     ……ああ。まだ、元気だろうな」

曖昧な回答。ショボンは気を留めることなく、画面を見たまま会話を続ける。

(´・ω・`) 「で、今日はどんな用事で? 見ての通り、僕は暇じゃないんだ。
      それに君とは、もう『長岡ファイル』以外の話をする気はないしね」



73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:30:36.80 ID:3j63WHl1P
ショボンの口から出た言葉にも気付かぬ風で、ジョルジュは答えた。
  _
( ゚∀゚)「ああ、そうだな。
     実は、頼み事が二つばかりあったんだけどな……片方はもう解決したよ。
     だから、つごう残り一つだ」

ショボンは初めてキーボードを叩く手を止め、ジョルジュを見る。
まだ世間話しかしていない。それなのに、何が解決したのか。
小さな目が、そう言っている。
  _
( ゚∀゚)「なんだよ、その目は。不思議か?
     まあ、いいやな――」

そこで言葉を切り、ジョルジュはショボンを見た。
視線を険しくし、確認するように、ゆっくりと続けた。


  _
( ゚∀゚)「ショボン。お前だな?
     あいつを……しぃを、ド変態の社長野郎に売ったのは」



室内の空気が、一気に張り詰める。

ショボンはディスプレイから顔を上げ、彼の顔を見た。
その顔には、表情がない。ジョルジュの顔を見返すと、呟くように返した。

(´・ω・`) 「……何故、だい?」



75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:38:08.83 ID:/kdFW/+r0
  _
( ゚∀゚)「お前がしぃに会ったのは一度きりだよな。
     そのとき、お前は気付かなかった。だが今は、知ってる」

首を振り、肩を上げて大きく息を吸い込み、吐いた。
同時に、吐き捨てる。
  _
( ゚∀゚)「お前――なんでしぃが男だって知ってる? 俺は、教えた記憶はないぜ。
     どこでどうやってそれを知った? 言ってみろよ」

ショボンは、再び沈黙した。
ジョルジュは、その彼の顔を睨み、やはり黙する。

やがてショボンは、根負けした、と言いたげな表情で、肩を竦めた。

(´-ω-`) 「……ご明察。
      君の所で、メイド服姿の子供を見た。そう彼等に伝えたのは、僕さ。
      男の子だとは、向こうに聞かされるまで知らなかったけどね」

前回にジョルジュと会った直後。
ショボンは、タカラ・ホールディングスに連絡を取った。
そして、社長の身辺を気に掛ける人物がいることを報告した。

返ってきたのは、意外な質問だった。
その人物の近くで、「少女」を見かけなかったか? と。
そこで彼は、ギコ社長の自宅から一人の少年が消えたことを知ったのだった。



76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 00:41:54.23 ID:/kdFW/+r0
  _
( ゚∀゚)「なぜ……って聞くのは、野暮だよな」

(´・ω・`) 「まあね。タカラ・ホールディングスのガードは、固い。君に話した通りね。
      僕も含めて、同業者はみんな、あの会社にパイプを持ちたいと考えてる。
      その交渉のネタに使えるなら、迷わないよ。でも……」

ジョルジュの肩を見て、俯く。

(´・ω・`) 「……まさか、君までそんな目に遭うとはね。
      流石に、心が痛む。悪いことをしたね」

その言葉に、ジョルジュの眉が、ぴくり、と動いた。
「そんな目に遭った」のは、彼だけではない。他にもっと、彼以上に。

――たすけて、と。
  _
(  ∀ )「俺だけなら、笑って済ませただろうな。因業だ、ってな。
     だけど……残念ながら、そうじゃない」

顔を上げ、ショボンを見る。

(;´・ω・) 「……!」

ショボンは、息を呑んだ。

冷酷な眼……人間を、ではなく、出来損ないの置物をでも見るような視線。
その眼には、前職を退いて以来感じられなかった、ジョルジュの本性が現れていた。
それは紛れもなく、彼が「帝王」と呼ばれていた頃のものだった。



82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:00:17.16 ID:3j63WHl1P
  _
(  ∀ )「なあ、ショボン。
     お前が何をして日銭を稼ごうが知ったことじゃねぇ。だが、俺の邪魔はするな。
     次に俺と、身の回りの人間を売ろうとなんかしてみろ――」

テーブルに左肘を突き、ショボンに向かって身を乗り出す。


  _
(  ∀゚)「――俺は、お前を潰すぜ。
     今後一生、陽の当たる場所を歩けなくしてやる」



潰す。
情報屋としてのショボンの生命を絶つことは、彼には不可能ではないだろう。
彼には、財力がある。そして過去に築いた裏街道の人脈は、まだ完全に失われてはいない。

(;´・ω・) 「……っ……!」

その冷徹な視線に、ショボンは完全に呑まれた。
ショボンは、これまでジョルジュに「敵」として相対されたことはない。
初めての経験だった。

知らず知らずに震えた指が、キーボードのキートップを小刻みに叩く。
手元から、かちかち、と小刻みな音が立っていることに、気付く精神的余裕もなかった。



84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:03:32.60 ID:/kdFW/+r0
(;´・ω・)「あ……あ、ああ」

唇を震わせ、上擦った吐息のような返事を漏らす。
がくがくと頷き、ショボンはそのままうなだれた。

ジョルジュはそのショボンの様子を見ていたが、やがてゆっくりと姿勢を戻した。
椅子に深く腰掛け、俯いて煙草の煙を吐くと、ジャケットの胸ポケットに手を差し入れた。
  _
( ゚∀゚) 「とりあえず、その話は保留だ。
     頼み事はまだある。そっちの話をさせてもらうぜ」

(;´・ω・)「……」

視線を合わせずに、頷く。その額から汗が流れ落ちた。
彼は懐から取り出したものを机に置き、ショボンに向かって滑らせた。

畳まれた紙切れと、市販のUSBメモリ。
その二つがショボンの手元のキーボードに当たり、止まる。

(;´・ω・)「……?」

まず紙片を手に取り、広げて中身を覗き込む。
見る間にその両目が見開かれた。顔を上げ、伺うような視線でジョルジュを見る。

(;´・ω・)「ジョルジュ。君、これで一体何を……?
      それにこんなの、大仕事じゃないか。いつまでに全部要るんだい?」
  _
( -∀-) 「期限はない。可能な限り、早く、だ」

質問には答えず、目を閉じ、切り捨てるように返す。



86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:06:52.99 ID:/kdFW/+r0
  _
( -∀-) 「お前一人じゃなくてもいい、使えるモノは何でも使って構わない。
      代わりに……報酬は、十分に用意してあるぜ」

そう言って、机上のUSBメモリを指した。
ショボンはそれを恐る恐る、といった体で取り上げ、机の下のパソコンに差し込む。
手早くウィルスチェックを行うと、中に入っていたファイルを開く。

その表情が、今度は驚きに変わった。

(;´・ω・)「これは……?
       ジョルジュ。もしかして、これって!」
  _
( -∀-) 「ああ、そうだ。お前がノドから手が出るほど欲しがってたモノだよ。
      ……それが、『長岡ファイル』だ」

当時の政界・財界を初めとする、資産者、有力者、またその候補者のリスト。
そういった人間の資産から私生活に至るまで、あらゆる情報が整理され、納められている。

無論、中には当時の職を退いている者、死んだ者も含まれる。
だが逆に、成功を収め、今では情報を得ることが困難な立場にある者はそれ以上に多い。
その人選にもまた、ジョルジュの先見の明が活かされていた。

(*´・ω・)「すごい……これはすごいぞ。想像以上だ。
       これさえあれば、僕は……!」

ディスプレイに映し出された自衛官――現在は防衛省幹部に就任している――のデータを
見て、ショボンは目を輝かせ、歓声を上げた。
ジョルジュの恫喝を受けた怯えは、きれいに吹き飛んでいる。



88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:10:17.38 ID:/kdFW/+r0
  _
( -∀-) 「そいつは、お試し版って奴だ。全体の1割程度の量しかない。
      仕事が終われば、引き替えに全部のデータを渡す。それが代金だ。
      安いとは言わないよな?」

(*´・ω・)「あ、ああ、当然さ。
       君も人が悪いね。今までずっと、捨てたなんて言い張っていた癖に。でも……」

手元の紙に書かれた内容に目を走らせる。

(´・ω・`)「これは、難しいな。僕の専門外のモノも含まれてる。
      それなりに時間を貰わないと、難しそうだよ?」

片目を開き、手をひらひらと振る。
  _
( -∀゚) 「さっきの俺の話、聞いてたか? 急ぐんだよ。
      これ以上俺を苛立たせるのはやめろ。念願のファイルと心中する羽目になるぜ」

(;´・ω・)「……わ、分かったよ。他ならぬ君のためだ。手は尽くす。
      用意が整ったら、すぐ連絡するよ」
  _
( ゚∀゚) 「違う。俺のためにも、お前自身のためにも……だ。頼んだぜ」

(;´・ω・)「う、うん」



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:13:22.04 ID:/kdFW/+r0
商談は終わった。

ジョルジュは立ち上がり、周囲に灰皿代わりの容器を探した。
キーボードの脇にジュースの缶を見つけると、その飲み口に吸い殻を押し込んだ。
中身が残っていたそれは、じゅう、と音を立て、焦げ臭い臭いを室内に広がらせる。
  _
( ゚∀゚) 「待ってるぜ。じゃあな」

(´・ω・`)「……ジョルジュ」

歩き出す彼を、ショボンが呼ぶ。
その手には、ジョルジュが彼に渡した紙片がある。
  _
( ゚∀゚) 「ああ、飲みかけで悪かったな。代わりのジュース代はツケとけ」

(´・ω・`)「違うよ。
      ……差し支えなければ、ひとつだけ、改めて教えて欲しい。
      君は一体、これから何をする気なんだい? これじゃ、まるで……」

ジョルジュを見、言葉を切る。

その背中には、かつての彼が見えた。



92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:16:36.68 ID:/kdFW/+r0
ジョルジュは、静かに笑った。笑い、答えた。
それは、静かな笑み、静かな言葉だった。

既に、迷いはなかった。


  _
( ゚∀゚) 「――取り戻す。
      あいつを。そして、俺自身を」








                                   <第五話 終>



93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:18:16.43 ID:ejUifoPXO
かっこいいよおおぉぉおぉ

一々色んなツボを突く…



95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:22:22.83 ID:2k9GN9Hz0
乙!
次回にも期待期待



96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:23:19.79 ID:/kdFW/+r0
「また さるったな
「ああ これで 108かいめ た゛

実は次回、最終回です
その前になんか別のを投下するかも知れないけど、未定

>>93,95
ありがとうね

じゃまた



98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:25:34.48 ID:ejUifoPXO
なん…だと…

まあでもこれ以上引っ張るよりかっこいいよね



99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 01:32:36.55 ID:/MPkWfCjO
乙!
次で最後か……寂しいけどwktkなんだぜ



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