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◆( ^ω^)は船に乗るようです 第二話/後編  ~『そして動き出す奴等』

前の話/インデックスページ/次の話

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:11:13.53 ID:MZqBYZnr0
从 ゚∀从「何の真似だぁこりゃあ」

レストラン『ザ・ワールド』の店内。
そこには足を組み優雅に座っている、スーツ姿の女性と

('、`*川「は、早く逃げましょうよぉ!」

おろおろと慌てふためくウェイトレスの姿があった。

从 ゚∀从「この閉鎖状況だ、何処に逃げても無駄だろ。はい火」

('、`*川「は、はい」

女性が火のついていない煙草をす、と差し出すと、ウェイトレスは慌ててそれにライターで火をつける。
それを勢い良く、オーガ宜しくその根元まで灰になる程吸い込み、盛大に吐き出した。

从 ゚∀从「さって、行きますか」

('、`*川「い、行くってどこに……?」



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:13:51.51 ID:+JxpIXzJO
ドキッ怪人だらけの船上パーティー



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:14:39.23 ID:MZqBYZnr0
ウェイトレスは辺りを見回し、呟く。
覆面をつけた男達、総勢五人が、店の床に転がっていた。
全員意識を失っているようで、ぴくりとも動かない。
死んではいないようだが、意識を取り戻す気配もない。

从 ゚∀从「そりゃ決まってんだろ、さっきの声は聞き間違えようもねぇ」

テロリスト達から奪い取った、サブマシンガンと弾薬、スタングレネードに催涙弾、プラスチック爆薬など物騒な装備を整理しながら。

从 ゚∀从「国際的指名手配犯、『ニューソク』の偉大なる指導者ロマネスクの面ァ拝みにだよ」

ハインリッヒ高岡、職業は刑事。

从 ゚∀从「荒巻の野郎が船に乗り込むっつー情報があったからきてみりゃ……とんだ大捕物になりそうだぜ」

だがにたりと笑むその表情は、どちらかと言うとこの女こそがテロリストだと思わせるような物だった。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:15:54.44 ID:MZqBYZnr0
('、`*川「あのー……私はー……」

从 ゚∀从「ああ? どっか隠れてろよ」

('、`*川「おいていかないでくださいよおおおお!」

从 ゚∀从「こら! すがりつくんじゃねえ! 離れろ!」

('、`*川「嫌です怖いです部屋に戻りたくないですお願いしますうううう!」

从 ゚∀从「じゃーまーだああああああああ!」




( ^ω^)は船に乗るようです 第二話/後編
 ~『そして動き出す奴等』





6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:16:36.61 ID:MZqBYZnr0
( ФωФ)「君は今の状況を理解しているのかね?」

船長室に、その男は居た。
ロマネスク=ニューソク。
他のメンバーが完全武装をしている中、一人だけ覆面もつけておらず、衣装も高級そうなスーツだ。

( ゚∀゚)「んあ? ああ、わかってるわかってる」

向かいに立つのは、連続解体殺人の罪で警察に囚われ、死刑判決を受けたはずの男、ジョルジュ。
そしてその周囲には、銃を構えた総勢二十名の男達。
全員覆面をつけており、無駄なくジョルジュを囲っていた。
引き金を引けば即座に殺されるであろうその状況で、解体魔はへらへらと笑っている。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:18:21.57 ID:MZqBYZnr0
( ФωФ)「君は……我々の大事な同士を二人殺した。二人とも、勇敢な戦士だった」

どこか遠い目をして、ロマネスクが言う。

( ФωФ)「これは許されざる、大変許されざる罪だよ。ジョルジュ君」

( ゚∀゚)「あと二十一人ぐらいなら増やしてもいいんっすけどねぇ」

その言葉に、場の空気が殺気で膨れかえる。
つまりこの男は『お前も含めてこの場に居る全員も殺してやろうか』と言っているのだ。

( ФωФ)「…………」

ロマネスクは静かに右手を上げた。
同時にじゃこ、と銃が構えられる音がする。
ジョルジュに部下二人を殺されたテロリストの構成員、アルファ1も彼を包囲し銃を向けている一人だ。

(仇をとらせてもらう……)

指を弾く音がぱちんと鳴った瞬間、即座にジョルジュの身体は穴だらけになるだろう。
だが。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:19:35.18 ID:MZqBYZnr0



  _
( ゚∀゚)「――――」

一瞬だった。
瞬きなどしていない、照準を合わせてからかすかにも視線をずらしていない。
なのに、ジョルジュの姿が消えていた。





9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:23:29.64 ID:MZqBYZnr0
彼等が偉大なる指導者と仰ぐ、ロマネスクの前にジョルジュは居た。
グルカナイフを、掲げれられた右手を切り裂こうとするように、振り下ろされている。

テロリスト達は全員言葉も無く、呆然としていた。
ジョルジュの速度を目で終えなかったこともあるがそれ以上に。

ロマネスクが、たった三本の指で、速度と体重の乗ったナイフを完全に止めていたからだ。

( ФωФ)「自分の目の前に居る存在が誰なのか……自覚が足りないのではないのかね?」

その問いに、ジョルジュは、これ以上はありえない、と言うほどの満面の笑みを浮かべる。
  _
( ゚∀゚)「……はっ、面白ぇじゃねえか、おい」



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:24:37.70 ID:MZqBYZnr0
お互い、硬直したように動かない。
立ち位置的に、引き金を引くわけにも行かず、全員が固まってしまっている。
その状況が二分程度続いて、最初に動いたのはロマネスクだった。

( ФωФ)「銃を降ろせ」

指導者のいう事は絶対。
ざっ、と音がして、全員が同時に指示に従う。
  _
( ゚∀゚)「……?」

( ФωФ)「ジョルジュ、ジョルジュ長岡君」

ロマネスクはゆっくりと刃を解放し、右手を下ろした。

( ФωФ)「いい……実にいいな、君のその技術、高く評価しよう」

( ゚∀゚)「そりゃどうも」



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:25:34.81 ID:MZqBYZnr0
だがジョルジュは警戒を解いていない。
ナイフを止められた事はたいしてショックではなかった、それぐらいならいくらでも経験がある。
彼が不満なのは、目の前の男を殺そうと思って殺せなかった事だった。
普段の彼なら即座に次の行動に移っただろう、だが、目の前の存在は即座に解体しきれるほど弱くは無いようだ。
その間に、周りの銃弾は自分を貫くことが出来る。

( ФωФ)「我輩は君を歓迎しようと思う」

その台詞は、上から者を見る言葉。

( ゚∀゚)「…………」

( ФωФ)「望みだったのだろう? 強力な組織の後ろ盾が」

す、とロマネスクは、手を差し出す。
一瞬、苦々しい顔をしてから、ジョルジュはその手を取った。

最悪のテロリスト集団と最悪の解体魔は、こうして一つの線で結ばれた。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:28:44.50 ID:MZqBYZnr0
川 ゚ -゚)「さて、現状の確認といこうか」

クーの声は狭い室内に、聞こえる程度に響いた。

川 ゚ -゚)「まず、認めたくない事だが、このVIP号はテロリスト達に占拠されてしまった様だ」

(´・ω・`)「しかもあの『ニューソク』が、ね」

(`・ω・´)「何の目的なんだろうなぁ」

( ^ω^)「ツン達が心配だお……」

クーが起き上がり、状況の進展についていけず右往左往していたブーンの下へ、ショボンとシャキンが駆けつけるのに二分とかからなかった。
そして扉を破壊されていない2005号室に一端避難し、股間を押さえて蹲るテロリストから装備を奪い、扉を閉め、ベッドで簡易的なバリケードを作って、とりあえず落ち着いた。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:31:41.39 ID:MZqBYZnr0
川 ゚ -゚)「ヒートが傍にいるから、恐らく大丈夫だろう」

( ^ω^)「ヒートちゃんも……その?」

言い難そうにしているブーンに、クーはいや、と否定を添える。

川 ゚ -゚)「アイツはサイボーグだ」

( ^ω^)「……えええええええええええ」

いや。
ゾンビよりかは現実的な存在なのかもしれないが。

川 ゚ -゚)「奴は対戦車ミサイルの直撃程度なら耐えられるし、内蔵兵器は五十二種類を数える。人間相手なら無敵だろう」

( ^ω^)「どんな装甲だお」

それはもう殆ど『攻略不可能』な部類の兵器ではないだろうか。



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:32:30.99 ID:MZqBYZnr0
(´・ω・`)「その、申し訳ないんだが、一応聞いておきたい」

ショボンがす、と右手を上げ

(´・ω・`)「クーさん、貴女のその身体は……」

川 ゚ -゚)「ああ」

自らの身体を見下ろし、つまらなそうに

川 ゚ -゚)「母の研究の結果だ。『人間の可能性の延長』、その到達点の一つとしてな」

死なない身体。
生きている死体。
どういったところで、人間離れしているのは間違いなかった。

川 ゚ -゚)「生きている死体、というのも正確ではないな、私の身体はこの状態で『固定』されるように出来ているのだよ」



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:34:42.79 ID:MZqBYZnr0
(`・ω・´)「それが破壊されると『固定』された状態に戻ろうとする?」

川 ゚ -゚)「そう、流石に頭を壊されたら『固定』されている部分を記憶している場所がなくなるから、無理だろうと母は言っていたが」

人間の可能性の延長などではなく、人間という存在からの脱却ではないのだろうか。
そんな事をブーンは思ったが、口には出せるわけも無い。

川 ゚ -゚)「私の肉体は人為的に作り出されたものだ。神への反逆とも受け取れなくは無いだろうが……」

そこで一端言葉を区切り、

川 ゚ -゚)「少なくとも、君達の目的とは何の関係もない」

(´・ω・`)「そうか……なら、僕達の敵ではないね」

川 ゚ -゚)「そうとってもらえれば嬉しい」

ショボンは安心した風に息を吐く。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:37:29.59 ID:MZqBYZnr0
( ^ω^)「つーか、その、僕からもちょっといいお?」

(`・ω・´)「おう、どうした」

ただ一人、完全に何の技能も無い、純粋に凡人のブーンが言う。

( ^ω^)「吸血鬼……って、マジですかお?」

クーの身体を見た後で、お互いの状況を報告し合ったとき出てきた単語がそれだ。
ショボンとシャキンの武器(杭と金槌、さらに十字架と聖水とにんにく、銀のナイフに鎖)を確認しても未だ納得行かなかった。
『生ける屍』の肉体が人工的な研究結果の産物であると説明されると、『科学って凄いなぁ』と言う理屈でなんとなく理解できなくもなかったのだが。

(´・ω・`)「マジだよ。大マジさ。僕らはこの六年間ずっとそいつを追ってきた」

その名は、

(´・ω・`)「ドクオ=ドーティ=ムゥートゥークォ、間違いなく現代最強の吸血鬼さ」

(`・ω・´)「俺達がこの船に乗ったのも、元々はアイツがここに来たからだしな」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:39:22.80 ID:MZqBYZnr0
射撃ゲームが上手かったのも、ある程度納得の行く理由になる。
要するに、場数をこなしているのだ。

( ^ω^)「何で吸血鬼がこんな娯楽船にわざわざ……」

(´・ω・`)「奴の寝床だよ」

( ^ω^)「寝床?」

(´・ω・`)「ああ、吸血鬼はそれぞれ自分の寝床として棺桶を持っている。先祖の灰を泥で固めて塗って焼いた物を内側に塗りたくってる特別な奴でね」

想像したらなんとなく気持ち悪くなり、ブーンは心を落ち着かせるために深呼吸を行った。



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:41:50.56 ID:MZqBYZnr0
( ^ω^)「それが何でこの船にあるんだお?」

その問いに答えたのはシャキン。

(`・ω・´)「盗まれたんだよ」

( ^ω^)「盗まれた……ってそんなモン盗んだ馬鹿がいるんですかお」

(`・ω・´)「あれ、一時期ニュースでやってたじゃんか」

ショボンが、その台詞を引き継ぐ。

(´・ω・`)「怪盗アラマキが米博物館に保管されていた、吸血鬼の柩を盗み出したってね」

( ^ω^)「怪盗アラマキ……ってあの怪盗アラマキかお!?」



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:44:02.47 ID:MZqBYZnr0

ブーンが目を見開いて驚く。
登場のたびにマスコミを賑わすその男は、一般市民にとってバーローにおけるキッドのような存在なのだ。
そしてその「吸血鬼の柩」はマジで本物だった、という事らしい。

( ^ω^)「……はぁ、それで、何でVIP号に」

(´・ω・`)「アラマキを支援してる企業がVIP号建設に出資してるんだよ」

こともなげに言うショボン。
当たり前だが、華麗に盗みを行う怪盗と言っても個人で活動しているわけではない。
ある程度規模の大きな組織の支援を受けることで、国内でも国外でも仕事は非常にやりやすくなる。
当然、支援側からの依頼を受けて動かなければならないこともある。

(´・ω・`)「というか、元々その柩を盗み出してほしいと依頼をしたのが僕らなんだよね」



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:45:31.83 ID:MZqBYZnr0
( ^ω^)「そうなのかお!?」

(`・ω・´)「ああ、ドクオも自分の柩が米博物館にあるのは知っていた。取り返そうと暗躍はしてたのは確認してる」

(´・ω・`)「実際に何度か戦闘したしね」

だが、巨大な博物館だ、監視カメラの目は常にあるし、昼間は人が多く力技で、という事も出来ない。
ましてや吸血鬼が出現する事を期待して、ハンターが常時待機しているとなればなおさらだ。

(´・ω・`)「だから今回、こっちから餌を吊り下げてみたのさ。VIP号の貨物室に『吸血鬼の柩』を載せる」

そうすれば、奴は必ず来る。
千載一遇のチャンスなのだから。

(´・ω・`)「僕らは吸血鬼の気配を感じ取れる、『今この船に乗っている事』だけは間違いないよ」

( ^ω^)「…………」



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:46:29.25 ID:MZqBYZnr0
自分の知っている世界が壊れていく感覚を、ブーンは味わっていた。
二転三転する状況に、知る事のなかった世界の裏側を垣間見ている自分。
それなのに、この手にはそれに関わる力も、何もないのだ。

川 ゚ -゚)「君達の事情は理解した、この騒ぎに乗じて吸血鬼を倒すつもりかい?」

(´・ω・`)「ああ、ここは幸い海の上だ。 奴に逃げ場はないし上手く突き落とせればそれで勝利だしね」

( ^ω^)「お? でも吸血鬼なら船から逃げるぐらい簡単にできるんじゃ……」

(´・ω・`)「吸血鬼の代表的な能力はいくつかあるね、霧になる、狼になる、蝙蝠になる、不死の肉体」

右手の指を折って、それを数えていく。

(´・ω・`)「だが、同じぐらい弱点がある」

今度は左手の指を折る。

(´・ω・`)「日光に弱い、鏡に映らない、許可を取らねば人家に入れない、十字架に弱い、銀に弱い、聖別された物に弱い、そして」

五本の指を折り終え、今度は開いて加算していく。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:48:46.53 ID:MZqBYZnr0
(´・ω・`)「流れる水に弱い。この船の上でなら奴は吸血鬼としての能力を振るえるだろうけど、下が海になったらもう無理だ」

( ^ω^)「つまり、ショボン達がその吸血鬼をしとめるには格好のチャンス、だと?」

(`・ω・´)「理解してくれて嬉しいぜ」

川 ゚ -゚)「船がテロリストに占拠されている限り、船が着岸する事は無い、吸血鬼は船から下りることができない、か。お誂え向きだな」

(´・ω・`)「ちょうどよかった、とはあまり言いたくないけどね」

ショボンはぼそりと呟いた。

(´・ω・`)「死者が多すぎる」

それは、二つ隣の2005号室に移動する間だけでもわかった。
死体が見えたし、血が見えた。
臭いがしたし、悲鳴が聞こえた。

( ^ω^)「…………」

楽しいはずの、二泊三日のクルーズ。
実際に楽しかった、一日目。
その最後が、こんな事になるとは。



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:50:14.09 ID:MZqBYZnr0
(´・ω・`)「とりあえず、これから君達はどうする?」

( ^ω^)「お?」

ショボンは多少申し訳なさそうな顔をして言う。

(´・ω・`)「僕らの第一目的は吸血鬼を狩ることだ。そのための行動をする、当然危険が伴う。クーさんはまあ大丈夫かもしれないけど……」

(`・ω・´)「悪いけど俺等二人で勝てるかどうかもわからん、ついでにテロリストに勝てるとも限らん、技術はあっても肉体はただの人間なんでな」

要するに、守ってやる余裕は無い、と言うことだろう。

( ^ω^)「……僕は」

川 ゚ -゚)「うむ、わかった」

まだ何もいってないんすけど。

( ^ω^)「何がわかったんだお?」

川 ゚ -゚)「ああ、携帯電話が使えん」



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:52:04.08 ID:MZqBYZnr0
「は?」「え?」「お?」
と、三人が同時に自分の携帯電話を取り出す。
そこには確かに『圏外』と刻まれていた。

川 ゚ -゚)「どこかに妨害装置があるようだな、これでは助けが呼べんし連絡も取り合えん」

(`・ω・´)「無線はあるけど」

(´・ω・`)「二人分だけね」

顎で自分の鞄を指し示し

(´・ω・`)「ドナルド社が軍事用に開発した、妨害電波に一層強いシステムの無線。最前線の戦場じゃ今はこれ以外使われてないね」

何でそんな物持ってるんだ、と聞くのは野暮だろう。
テロリスト達も無線で会話していたから、それを装備しているのかもしれない。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:52:54.29 ID:MZqBYZnr0
川 ゚ -゚)「とりあえず、私はツンとヒートを探しに行こうと思う」

クーはやるべきことを頭の中で整理しているのか、目線をうろうろさせながらいった。

川 ゚ -゚)「お互いの安全確保の為にも、速めに合流して戦力を整えるに越した事はあるまい」

君もツンのことが心配だろう、と付け加えられ、ブーンは頷いた。

川 ゚ -゚)「篭城するにしても脱出するにしても、必要な物はあるしな」

( ^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「食料だ」

( ^ω^)「あ」

そう。
室内には水道や、備え付けの小型冷蔵庫に入っているジュース等はあるが、食べ物類は無い。
ルームサービスなど頼める状況では無いし、何をするにしても必要になるだろう。



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:54:27.44 ID:MZqBYZnr0
川 ゚ -゚)「とりあえずこの部屋を拠点に活動すると言うのはどうだろうか、連絡は……」

ちら、とクーが双子に視線を向けた。
ショボンは参った参った、と両手を挙げ。

(´・ω・`)「……しょうがないね、無線を貸すよ」

(`・ω・´)「いいのか?」

(´・ω・`)「双子のシンクロで何とかしよう」

そう言って、自分の荷物をごそごそとあさり、取り出されたのは耳にかけるタイプのマイクと小さなボタンとメモリがついたものだった。

(´・ω・`)「ボタン押せば通じる。ただ船の規模がでかすぎるからあんまり離れると通じないかもしれない」

川 ゚ -゚)「わかった、気をつけよう」

クーがそれを受け取ると、ブーンに流れ作業の様に回された。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:55:50.90 ID:MZqBYZnr0
( ^ω^)「へ?」

川 ゚ -゚)「君がつけてくれ」

( ^ω^)「な、何で僕が」

川 ゚ -゚)「私は何かあったとき最前線に立つ、壊れたら困るからな」

そういわれれば妥当な役割配分の気がして、ブーンはしぶしぶと無線を装備した。

(´・ω・`)「あと、できれば使ってほしくは無いけど、これも」

ショボンが差し出したのは、テロリストが持っていたサブマシンガン。



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:58:59.39 ID:MZqBYZnr0
( ^ω^)「これ、は……」

(´・ω・`)「身の安全を守る為には、必要なものだ。相手は殺す気でくるんだからね」

受け取ったそれは、ずっしりと重く、手にのしかかった。
だら、と脂汗が一筋、ブーンの頬を伝う。

( ^ω^)(引き金を引けば、人を殺せる、武器……)

特別な運命など無い、ただの一般人。
それでも凶器を持てば、誰かの命を、指を動かすその動作だけで行う事ができる。
その重さを、物理的にも精神的にも、ブーンは感じた。

( ^ω^)「……なるたけ使わないようにするお」

(`・ω・´)「ああ、本来はそんなもん、持つべきじゃないしな」

だが、持つこと自体は止めようとしない。
それだけ事態は、異常だという事だ。



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:00:30.01 ID:MZqBYZnr0
マガジンもいくつか渡され、使い方を簡単にレクチャーされる。
ブーンの格好は寝間着にサブマシンガン、イヤホン型無線となんとも形容しがたいものとなった。

(´・ω・`)「もう一丁あるけど……使うかい、クーさん」

僕らは自前の装備があるから、と振ると、クーは首を横に振った。

川 ゚ -゚)「いや、私はいい」

(´・ω・`)「……わかった」

そういうと、ショボンは無造作にそれをシャキンへと手渡す。
シャキンも特に何も言わずそれを受けとり、安全装置を確認した。
それから、バリケードに使っていたベッドをずらして、まずはクーが一歩外に踏み出す。



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:01:40.37 ID:MZqBYZnr0
川 ゚ -゚)「……誰もいないな」

正確には死体が転がっていたり、気絶したテロリストがまだ残っていたりはしたが、武器を持って襲ってくるものは居なかった。
扉を破壊され、同行者を殺された者達の嗚咽や悲鳴、絶叫はそこら中で聞こえていたが。

( ^ω^)「…………」

そういうものを見ていると、ブーンはツンのことがものすごく不安になった。
実際、ヒートは強いと言っても、別にツンが強いわけではない。
あの小さな体格で盾になると言っても限度があるだろう。
携帯電話が使えない事を、一瞬忘れ電話で連絡を捕ろうとし、すぐにポケットにしまった。



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:02:45.79 ID:MZqBYZnr0
川 ゚ -゚)「……安心してくれ」

多少に慰めになればいいと思いつつ、クーは言った。

川 ゚ -゚)「私の妹は私以上に埒外な化物だからな」

続いて、ショボンとシャキンが出て、ブーンと同じように多少顔をしかめた。
巨大スパは左へ向い、2001号室を経由して階段を下りる必要がある。
たいしてショボンとシャキンは『こちらから気配がする』と言う理由で、右へ行く事を選んだ。

川 ゚ -゚)「……健闘を祈る」

(`・ω・´)「ああ、そっちも無事で」

言葉を交わし、四人は別々の道を歩き出す。
それぞれの目的へ向って。



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:03:36.53 ID:MZqBYZnr0
…………………………
……………………………
………………………………

( ・∀・)「ふむ」

白衣に黒い旅行トランクを抱えた男がいるのは、2031号室。
名をモララーといい、職業は医者だ。

彼の部屋にも当然の様にテロリストが乗り込んできたが、彼に被害らしい被害は無い。
当然だろう、足元に転がっているその乱入者の額からはメスが生えているのだから。

扉が開いた瞬間、投擲されたそれは今まさに部屋に踏み込もうとしていた二人の頭を正確に貫いた。



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:05:26.81 ID:MZqBYZnr0
そしてその出来事を終えてなお、この男に動揺や不安、恐怖などと言った感情は浮かんでいない。
あるのは、つまらなそうな顔だけだ。

( ・∀・)「やれやれ、人間と言うのはどうしてこう」

かつかつ、と死体に近寄り、メスをずるりと引き抜く。
ハンカチで丁寧に血をぬぐって、白衣裏のポケットの中に仕舞いこんだ。

( ・∀・)「面倒な事をするのか」

ざ、と白衣を翻し、男は何も恐れる事がないように部屋を出て行った。
恐らく、ある意味最もイレギュラーな存在が、誰の目に留まることも無く動き出した事を、当然のことながら知るものはいなかった。



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:06:38.28 ID:MZqBYZnr0
一方その頃。
違った形での出会いを果たした者達がいた。

ξ゚⊿゚)ξ「えーっと……」

困惑した様子のツンと。

ノパ⊿゚)「すげー! 本物だー!」

大興奮ではしゃぎまわるヒート。

/ ,' 3「……どうしてこうなったのかのう」

困ったように頭をかくのは、その二人を腕に抱いている怪盗アラマキ。

( ´_ゝ`)「そこを動くなあああ!」
(´<_` )「う、動いたら撃つ、撃つぞ!」

パスタハウス『ミッシェル』の前で、銃を向けるのは二人の男。



少しずつ動き出した状況と、これから動いていく状況。
全てが重なった時、VIP号が辿る運命。
予測できる者がいるとしたら、それは神だけだろう。

~To Be Continued…





43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:10:09.57 ID:MZqBYZnr0
( ^ω^)は船に乗るようです は

・支援してくださった貴様等愛してるぜ
・化物語はじまた
・実は三話は書き終わってるので投下しようかどうか悩んでいる
・まとめサイト様
・祝・シルバーウィーク

の提供でお送りしました。



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:14:32.02 ID:503IopGj0
乙、面白かった
次が来るなら支援するぜ



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:20:04.19 ID:MZqBYZnr0
速めに投下できるよう用事を済ませてくるので、スレが残ってたら投下させていただきます。

だめだったらまた明日!



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■この記事へのコメント

  1. ■ [くるくる名無しさん]

    ノードックンでフィニッシュです。
    伏線が色々でてきたね
  2. ■Re: ( ^ω^)は船に乗るようです 第二話/後編  ~『そして動き出す奴等』 [名無しの柴犬さん]

    続きまだ~
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