◆スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋ギコ~のようです 六日目 深夜

前の話/インデックスページ/次の話

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:10:10.61 ID:VJuETjBu0
困った時は助けを呼ぼう。
電話のボタンをプッシュして、あの番号にかけるんだ。
彼が出たらこう言うのさ。

「もしもし○○ですか?今すぐ助けに来てください」

…ってね。
皮肉なもので、本当に大事なモノってのは持ってない人間の方がその大事さを知っている。
さて、「助け屋」ギコール・ハニャーンはどちらだろう。

ちゃんと気づけて大切にできる人間か、全て失った後に後悔する人間か……


(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋ギコ~のようです


六日目 深夜
『夜想曲!汚れなき愛の救世主?』





28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:13:11.16 ID:VJuETjBu0
どこかの世界の、いつかの時間。
とある国の、とある町の、かつてある少年により殺戮が行われたその場所。
そこでギコール・ハニャーンは珍しく怒っていた。

(#゚Д゚)「…もう一回だけ言ってやる。でぃちゃんから、離れろ」

仮面の男は、自らの右足の下にいる存在を一瞥。
そこには少女がいた。高価な寝巻きに身を包んだ、『半妖』という穢れた存在。
名前は『でぃ』という。

(# ;;-)「…っ……」

服は右の肩口から背中にかけて破れ、血が垂れる背中が露出している。
着物が映える白の四肢も血と傷と泥で台無しである。
そして、顔は痛みに……いや、役に立てない歯痒さで歪み、今にも涙が零れそうだった。

( ・□・)「………」

…仮面の男は特に抵抗もせず足を退ける。
軽く蹴り飛ばすようにでぃを主人の方へ押しやった。



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:16:12.28 ID:VJuETjBu0
――だが、それが更にギコの精神を逆撫でする。

(# Д)「お前ェ……」

普段笑顔かもしくは泣き顔しか表さない顔面は、般若と見紛うばかりに怒りに染められた。
握り締めた両の拳。
利き手の関係のせいか、右の手の平には爪が突き刺さり血が滲んでいた。

倒れたでぃを引き寄せる。
俯けだった先ほどまでは見えなかった部分の傷。それを見た時、ギコは頭の中でブチブチと何かが千切れる音を聞いた。

(# Д)「………」

「こんなに怒ったのはいつ以来だろう。最後は高校の時かな」
…などと頭の右端、いまだ僅かに残る冷静さを欠いていない部分で考える。
ちなみに、その部分でさえ「話を聞く」という選択肢は提示しなかった。いかに彼がご立腹か分かるだろう。

首の後ろが熱い。
いや身体中がだろうか。
脊髄を中心に熱がどんどん伝播していく。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:19:10.98 ID:VJuETjBu0
――その時。
頭の中に電撃が走ったような感覚が。
…忘れていた記憶の一片を、一瞬だが思い出したような……

だが今の彼にとって、「昔の自分」などという些細なことはどうでもよかった。
そんなことよりやるべきことがあるだろう?

(#゚Д゚)「うぉぉおぉおおおっ!!」

特に武術の心得もない。
作戦を立てられるほど頭は切れない。なおかつ、その沸騰した頭で何か考えられるはずもない。
なら取るべき行動は一つだ。

力の限り拳を握り、膝に力を溜め、走り出す。
大地を蹴る足は不安定で時々転びそうにもなるが、そんなことで止まってられる場合ではない。
…不思議なことかな。
一度も転びはしなかった。

――振りかぶった右手を思い切り振り抜く。
ガタガタな型だが、確かに想いは込められたと思う。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:22:10.84 ID:VJuETjBu0
( ・□・)「…フン」

対して相手。
無表情に、いや仮面を被っているのだから無表情は当たり前なのだが、ギコを弾き飛ばす。
手袋をはめた手を横薙ぎに振るった。

(; Д)「ぶへぁっ!!」

想いだけで勝負に勝てるのは一部の人間だけである。
平均以下の身体能力しかない彼は、ニ回転して近くの樹木にぶつかった。

(#-Д゚)「っぅ……」

腕が当たった右肩周辺と激しく打ち付けた背中、
…平たく言えば全身が痛い。
受け身すらまともに取れなかったので、もしかするとどこか骨折しているかもしれない。

(# ;;-)「…ご主人、様っ……」

でぃも立ち上がろうとするが身体が言うことを聞かない。
「『半妖』なんだからもう少し頑張れるはずだろ」と自分自身に文句を漏らす。



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:25:10.57 ID:VJuETjBu0
(,,-Д゚)「……なんで、こんなことするのさ」

頭から流れる血が片目に入る。
額を割ったせいか少し冷静になってきたようだ。質問をする余裕が出てきた。
…もっとも大前提として「よっぽどのことがなければ許さない」のだが。

( ・□・)「……関係ナイ」

ザラザラとした、不自然な声が告げる。
やはり男なのか女なのか分からない。

――しかし、その時でぃが叫ぶ。

(;#゚;;-゚)「ご主人様っ、彼の目的は復讐です!…以前の紛争で殺された両親の仇を――ッ!!」

余計なことは言わせない、と言外に語るように光線が飛ぶ。
咄嗟にでぃは避けた。
通り過ぎた平たい光は後ろにあった木を焼き貫通する。

…当たっていたならば十中八九死んでいただろう。
全く、前の当主に稽古をつけてもらって本当に良かった。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:28:11.25 ID:VJuETjBu0
血が流れ出る肩を押さえる。
円を描いて走りながら、相手を撹乱するように叫ぶ。
回りながら距離を測るのは武道では至極一般的な作戦である。

(;#゚;;-゚)「昔あったロビー国の紛争っ!その時、この国はFOXから部隊を派遣したのです!その時――」

再び光線が飛ぶ。
足元に来たそれを真上の枝に飛び乗り回避。
相手の原理が分からないので対策を練ることができない。

( ・□・)「………」

――ふっ、と男の意識がでぃに向いた瞬間。

(#-Д゚)「不意打ちパ――ンチっ!!」

( ・□・)「っ!」

真反対から走りこんできたギコの不意打ちが顔面を狙う。
片目瞑ったままなので狙いは曖昧だが、とりあえず当たるのは間違いない。



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:31:11.00 ID:VJuETjBu0
そのギコの右拳が炸裂――

(; Д)「――ひんぐぅ!!」

――炸裂、しなかった。代わりに仮面の男の回し蹴りが炸裂した。
もろに顔面に喰らい、再び地面に転がり伏す。
…口の中を切ったようだ。血の味が滲む。

(;-Д゚)「(くっそ…。当たらない……し、速い!!)」

必死で立ち上がるも、身体の芯まで入ったせいか視界がぼやける。
その様子を心配しながらもでぃは叫び続ける。

(;#゚;;-゚)「――その時、FOXの隊員によって、ほとんど無差別な虐殺が行われたのです!多分、彼はその生き残りなんじゃ――」

( ・□・)「…シャベリ過ギダ」

地を跳ねるように距離を詰め、傷ついた彼女を力任せに殴り飛ばす。
こちらはそれなりに鍛錬を積んでいるので一撃で落ちることはないが……
既に、意識が飛ぶ程度のダメージは蓄積していた。



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:34:12.06 ID:VJuETjBu0
倒れたでぃにトドメの一撃が飛ぶ。
距離は5メートルもない。傷ついた身体では到底避けることなどできないだろう。

光が飛ぶ。
平たい白色の束が迫る。

(# ;;-)「(あぁ……)」

――久しぶりに、死を覚悟する。
思えば今まで幸せ過ぎたのだ。
拾われて、名前を貰い、育てられ、また捨てられるも、再び拾われることができた。

(# ;;-)「(本当に、幸せ過ぎました……)」

辛いことがなかったわけではない。が、それを余りあるほど幸せなことが多かった。
しかしその幸せの大半をくれた人は満足に恩義を返せないうちに死んでしまった。
…だから。

(# ;;-)「…今まで本当にっ……ありがとうございました…」

…だから、ギコには最後だけでもお礼を言いたかった……



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:37:12.22 ID:VJuETjBu0
…でぃは当たり前だが死んだことがない。
なので、最後の瞬間がどのようなものか知らない。
だから気づかなかった。危機を脱したことを。

「…なんて、言うかさ……」

別れの挨拶の後、彼女に最初に降りかかったのは――

(,,-Д^)「…そういうのは、なしにしようよ。家族なんだからさ」

――痛みでも衝撃でもなく、聞き馴染んだ主人の声だった。

(#゚;;-゚)「えっ……」

でぃは目を疑った。
背中しか見えないが、自分の目の前にいるのは間違いなくあのヘタレの主人のはずである。
だがそれなら疑問が出てくる。

( ・□・)「…ソンナ、馬鹿ナ……」

…あの光線は、どこへ消えた?



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:40:12.04 ID:VJuETjBu0
…信じられないことだ。
だが目の前の光景。でぃの前に立ち、右腕を突き出したギコの姿を見る限り、結論は一つしかないだろう。

( ・□・)「…掻キ消シタ…!?ナゼ……」

当然の疑問。

(#-Д゚)「そんなこと俺が知るかっ!」

…無茶苦茶な返答。

理屈など興味はない。
どうせ馬鹿だから理解できない。

やるべきことはやっぱり一つ。
馬鹿にできることは、ただ三度拳を握り、振り抜くだけだ。

(#゚Д゚)「うおぉぉおおおお!!」

…この戦いを終わらせる為、他でもない『家族』を守る為……



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:43:12.00 ID:VJuETjBu0
――が、やはりギコなので。

(; Д)「――げふっ!!」

拳は受け止められ、地面に引き倒され、足が踏み下ろされた。
いや、まぁ当たったちゃあ当たったが。

( ・□・)「…ッ。…一体、オ前ハナンダ?調子ガ狂ウ……」

内臓を潰すように足に力を込める。
悲痛な叫びが漏れる。
…しかし、ギコは激しく身体を襲う痛みに耐えながらも毅然に言うのだ。

(,, Д)「……俺は『助け屋』だ。…で、今日は俺が家族を守った…。…最初会った時は庇うのがやっとだったのに……」

( ・□・)「………」

(,, Д)「…今の俺じゃあ、アンタは止められない……」

…どうやら元の調子に戻ったようだ。
暴力での解決は彼らしくない。



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:46:10.27 ID:VJuETjBu0
(,, Д)「…でもっ!次は手を取るぞ……」

( ・□・)「!」

(,, Д)「その次は腕…。次は足……」

踏みつけられながらも、脅しをかけるように続ける。
怒りを含んだような、でも同時に優しさもある声で。

(#-Д゚)「…首」

――空気が、張り詰める。
状況としては以前と男が有利なはずなのに、少し後ずさってしまう迫力があった。

(;-Д゚)「…足。…って足はもう言ったっけ……」

脅すだけ脅しておいて、最後に『助け屋』ギコール・ハニャーンはこう宣言した。

(,,-Д゚)「とっ、とにかく、一生かけても俺がアンタを止めてみせる!!」

…あくまで「救う」という意思を込めて。
昨日読んだマンガの台詞そのままだが。馬鹿である。



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:49:11.20 ID:VJuETjBu0
( ・□・)「…ダカラ、今ハ殺スナ、カ?」

足を退ける。
変わらず、ギコの視線は射抜くよう。

( ・□・)「…嫌ダ。ココデ死ネ」

(;-Д゚)「――ッ!!」

手に光が溜まる。
それが発射されようと瞬いた瞬間――

『…前方、突風、風速適当に』

( ・□・)「……チィッ!」

――突如として一陣の風が男を吹き飛ばした。
声と共に訪れた突風は、正確に相手だけを狙った一撃である。

…つまり、『魔法』だろう。



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:52:11.14 ID:VJuETjBu0
「…おいおィ。うちの近所で何やってるんだィ?」

声が響いてきた場所。森の奥より、誰かが現れる。
服装は和服。
紫を基調としたそれは高貴で艶めかしい。

右腕には抜かれた日本刀。左手には鞘。
綺麗に波打った刃が月光を反射している。

顔は四十近いとは思えないほど若々しい。
独特の江戸っ子口調も一役買っているだろうか。

…ギコが知る限り、そんな特徴的な人物は一人しかいない。

『前方、四角、一辺3メートルの空間、重力二倍。ただし「ギコール・ハニャーン」と「朝比奈でぃ」は除く』

神様しか使えない、とまで言われた究極の魔法を自身の『言霊使い』という性質と合わせ、容易に使用する彼女。

ハソ ^-^リ「…ここは、天下の朝比奈家の眼前だよォ?」

即ち、朝比奈家現当主、朝比奈捺だった。



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:55:10.34 ID:VJuETjBu0
ハソ ^-^リ「お前の狙いはうちの弟だろ?無関係な人を巻き込んでんじゃないよ」

( ・□・)「………」

形容し難い圧力。胸が締め付けられるような、全身から力が奪われるような……
例えるならば「閻魔の前に引き出された罪人」と言えばいいだろうか。
…そのようなものを受け、男はたじろぐ。

数分のにらみ合いの末。

( □)

――観念したのか音も無く暗闇に紛れていった。
引き止めず見送る姿勢は、「いつでも相手になってやる」という意思の表れなのだろう。
脅しの為に抜いた刀を納め、向き直る。

ハソ ゚-゚リ「…さて、ギコール・ハニャーン。答えは見つかったかィ?」

なんとも気だるそうに訊ねる。
なちは分かっている。ギコがもうちゃんと答えを出せていることを。
わざわざ聞くまでもないのだが、それでも。
…想いは、言葉にしなければ伝わらない。



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 20:58:11.14 ID:VJuETjBu0
(,,-Д゚)「…えっと、なんて言うか……上手く言えないけど……」

告白前の中学生のように鼓動する胸。
落ち着かせようと深呼吸するも、打ち身のせいで涙が出てきそうだ。
カッコいい言葉も見つからない。

(,,-Д゚)「…でぃちゃんを背負うことは、多分、できません」

否定。後方のでぃが哀しげな顔をする。
ギコは、でも、と繋げ口にする。率直で簡潔な飾り気のない言葉を。

(,,-Д゚)「――少なくとも、俺は皆と一緒に居たいです。…皆、大好きで大事な『家族』だから」

緊張の為か、大きく息を吐く若き主人。
…いや、『主人』というよりは『家族の一員』と言うべきか。
彼等を繋ぐのは主従の関係ではなく、もっと別の……具体的に何なのかは分からないが、きっと暖かいものなのだろう。

ハソ ーリ「…分かってるなら、いいさ」

――少しだけ微笑み、なちは立ち去った。
その背中は、「うちの男共はなんでこんな簡単なことが分からないのかねィ」と言わんばかりであった。



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 21:01:10.90 ID:VJuETjBu0



六日目 深夜 終



症状名、全身打撲。
「鍛え方が足りないんですよ」とプギャーが言うのもご尤もか。
しかし、まぁ、依頼人は待ってはくれない。
…そしてなんか今回のは報酬が期待できそうだぞ……!?

…それはまた、次のお話であるのだが。





前の話/インデックスページ/次の話

■この記事へのコメント

    ■コメントの投稿

    管理者にだけ表示を許可する

     

    検索フォーム

    お知らせ

    管理人へメール

    トップバナー画像をうざったい感じにしてみました。

    カレンダー

    09 | 2017/10 | 11
    1 2 3 4 5 6 7
    8 9 10 11 12 13 14
    15 16 17 18 19 20 21
    22 23 24 25 26 27 28
    29 30 31 - - - -

    Team 2ch @ BOINC

    待ち続けている人がいる。
    だから僕らは回し続ける。
    ~まだ見ぬ誰かの笑顔のために~

    banner-88.gif
    CPUの時間
    ちょっとだけ
    貸してください
    (BOINC Team 2ch Wiki)

    ブーン系“短編”小説更新状況

      プロフィール

      kuru

      Author:kuru
      特に何も無いよ。

      カウンター

      トータルアクセス:
      ユニークアクセス:
      閲覧者数:



      クリックで救える命がある。
      上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。