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◆( ^ω^)笑顔とは、のようです プロローグ

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6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 21:50:08.53 ID:H8QdwBMVO



   プロローグ



 その日、僕は死のうと思った。
 八月の終わりの日が暮れた、風の気持ち良い深夜零時のことだった。
 別に嫌なことがあったわけじゃない。
 ただ漠然と唐突に、死にたいと感じたのだ。







9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 21:51:57.34 ID:H8QdwBMVO
 だから僕は自転車をのんびり漕いで、近所の公園に向かった。
 その公園は大きな池があって、ブラックバスやブルーギルが釣れることが有名だった。
 公園の柳が生えている駐輪場に自転車を置いて、僕は公園へ向かう。

 柳の葉は暗闇の中で更々と揺れている。
 かつてこれを見て幽霊だと言った昔の人の気持ちが分からず、僕はとても綺麗だと感じた。



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 21:54:30.38 ID:H8QdwBMVO

 公園に着くと、端に立っている一本の街灯に照らされて、遊具達が佇んでいた。
 ブランコ、滑り台、大きなアスレチック、ロープウェイ。
 どれも古くて砂まみれで、影を纏っている姿は、まるで百年経って風化した建築物を思わせた。

 誰も居ない公園に僕の足音だけ響く。
 ふと頭上を見上げた。
 星が綺麗な夜空だった。

 名も知らない星が濃紺の中で輝く様を見て、名前なんて人間が着けた無意味なものなんだ、と思い返した。
 だって、その名を呼ばれなくても彼らはこれから先もそこで輝き続けるのだろうから。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 21:55:52.92 ID:H8QdwBMVO

 視界を前へ戻し、僕は公園を歩いていく。

 公園の柵を超えると、隣には池がある。
 その池の淵に僕は立った。
 淵は石畳を敷き詰められて、波打ち際では音も無く池の水が揺れていた。

 どこかで魚が飛び跳ねて、ちゃぽん、と音が響いた。

 僕は立ち尽くして、深呼吸する。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 21:57:27.80 ID:H8QdwBMVO




 ―――分かってるんだ、死ぬ勇気なんか無いことくらい。




 僕は思うだけだ。

 いつも考えるだけ考えて、何もしないんだ。

 ここにいることだって、ただ衝動的な何かに浸りたいだけなんだ。

 もう一度空を見上げる。
 変わらぬ星がある。
 彼らは何も思わない。
 嘲笑いも慰めもしない。

 切なくともそれはとても有難くて、感傷的なことだと、僕は感じた。
 帰ろうと思い、ゆっくり振り替える。



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 21:58:45.22 ID:H8QdwBMVO



 公園のブランコに人がいた。



 驚いた僕は、その人を凝視した。

 ブランコに乗っていたのは女の子だった。
 白いワンピースを着ていて、さらりとした長い金の髪を揺らす彼女はどこか幼く、幻想的で。

 距離にして三十メートルはあろうか。
 とても遠く感じて、彼女の顔なんてほとんど見えないはずなのに。
 僕を真っ直ぐ見ているその瞳から、僕は目を離せなかった。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 22:00:03.99 ID:H8QdwBMVO

 美しい、と思った。
 一枚の、素晴らしい絵画を前にしている気持ちだった。
 彼女の紅色の薄い唇が動き、言葉を作る。

 その声は聞こえなかったが、意味は確かに伝わった。




 今晩は、と。







18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/26(土) 22:00:48.08 ID:H8QdwBMVO






    ( ^ω^)笑顔とは、のようです







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