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◆(,,゚Д゚)消去士のようです Chapter 1   What A Fuckn' Morning

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2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:20:58.87 ID:XkOcTEsD0
それは実に寝覚めの悪い朝だった。
例えるなら、気分よく酔っ払っていたところ、酒瓶の中身が小便だったと知らされたような。
それくらいに最悪な朝だ。
もっとも、この街で寝覚めの良い朝を迎えることは、容易ではないのだけれども。


気づくと玄関の扉はすでに粉々に破壊され、黒服の大男たちが俺の寝室になだれ込んでくるところだった。
黄ばんだシーツにしがみついて、ブラインドの隙間から射し込む朝日に顔をしかめて目を開ける。
見知らぬ男たちの顔が、パンツ一枚でベッドの上に丸くなっている俺を見下ろしていた。

( ФωФ)「ギコ・カードボードだな」

(,,-Д゚)「ん………」

( ФωФ)「警視庁から逮捕状が出ている。今すぐ顔を洗って髭を剃り、髪をとかして服を着ろ」

( ФωФ)「言っておくが、まともな服だ。持っていないのなら、我々が貸し与えてもいい。さっさと目を覚ませ」

(,,-Д゚)「ちょっと待て……なんだ…警視庁?なんだそれ……誰だいあんた」

( ФωФ)「説明する義務はない。貴様はただ我々の言葉に従って、飼い慣らされた犬のように大人しくしていればいいんだ」





3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:23:19.68 ID:XkOcTEsD0
酷く頭が痛み出した。
今日は何日だったか、それすら思い出せない。
俺は体を起こして周囲を見渡し、欠伸をした。

(,,゚Д゚)「わかった…わかったよ。とにかく………なあ、俺の煙草どこだ?」

( ФωФ)「そんなもの私が知るわけないだろう。あまり私を怒らせるな」

そう言うとその偉そうな男は懐に手を入れ、鈍く光る鉄の塊を取り出した。
思わせぶりな手つきで、それをチラつかせる。

(,,゚Д゚)「あったあった……まったく、煙草の箱には足でもついてんのかね…俺はこんなところに置いた覚えはないぞ」

( ФωФ)「いいか、私は穏便に済ませたいんだ。貴様が私の言葉に素直に従えば、それで全てはうまくいくんだよ」

(,,゚Д゚)「ライター、ライター……くそ、いつだってライターってやつは勝手にどっかいっちまうんだ……」

(,,゚Д゚)「なあ、あんた火持ってない?」

右頬に衝撃が走った。
首がねじれ、口内に鉄の味が広がる。
大男は俺の痛む頭を掴み上げ、冷静な声で言った。

( ФωФ)「まともな服を着ろ。貴様に必要なのは、それだけだ」



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:25:35.41 ID:XkOcTEsD0
右頬に衝撃が走った。
首がねじれ、口内に鉄の味が広がる。
大男は俺の痛む頭を掴み上げ、冷静な声で言った。

( ФωФ)「まともな服を着ろ。貴様に必要なのは、それだけだ」

赤く濁った痰を床に吐いて、俺は仕方なく言った。

(,, Д )「オーライ………言う通りにするよ……」

(,, Д )「ただ…」

( ФωФ)「なんだ」


(,,゚Д゚)「服を着たら、火を貸してくれるよな?」



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:28:10.41 ID:XkOcTEsD0




Chapter 1   What A Fuckn' Morning






6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:31:38.92 ID:XkOcTEsD0
スーツを着るのは何年ぶりだろう。
若かりし頃は仕事のために毎日欠かさず袖を通したものだが、堅気でなくなってからは存在すら忘れていた。
資本主義社会を象徴するような、窮屈で着心地の悪い背広を俺に着せると、男たちは俺を黒塗りの日本製セダンに押し込んだ。
後部座席の中央に座らされ、変わり映えのしない顔の男が二人、腕を組んで俺の両脇を固めている。

( ФωФ)「我々だって悪いとは思っているんだ」

車が走り出すと、あの偉そうな男が言った。
車の後部座席は対面式になっていて、男は俺の真正面に座っている。
対面式の座席を開発した人間を、俺は絶対に許さない。

( ФωФ)「命令なんだよ。人間は何かしらの命令に従いながら生きている」

(,,゚Д゚)「そうかい。あんたの人生観とか、そんな鼠の糞ほども価値のない言葉なんか聞きたくない」

(,,゚Д゚)「いいから火を貸してくれよ。それさえあれば俺は素直になれるんだ」

男は舌打ちして、それでも表情を変えずにジッポを取り出し、俺に手渡した。
実に手間取ったが、これでようやく頭がすっきりしそうだ。
煙草に火をつけ、深く吸った。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:34:43.53 ID:XkOcTEsD0
(,,゚Д゚)「あー…………」

( ФωФ)「あまりいきがるなよ。ギコ・カードボード」

(,,゚Д゚)「それはこっちの台詞だと思うんだけど、気のせいかな」

( ФωФ)「我々だって多少は戸惑っているんだ。上司は我々に、貴様の素性を何も教えてくれなかったのだからな」

( ФωФ)「聞かされたのはお前の名前、住所、そして速やかに連行するようにとの命令だけだ」

( ФωФ)「朝早くからわけも分からずこんな薄汚い街を訪れなければいけない我々のことも少しは考えてくれ」

車内には、ごく静かな音量で、音楽が流れていた。
何気なく耳を傾けると、どうやらビートルズの、星の数ほどもある曲の中のどれかのようだった。
現代風にアレンジされた、カヴァー・ソングだ。演奏しているバンドの名前までは分からない。

( ФωФ)「いったいお前は何者だ?」

(,,゚Д゚)「それを聞くのは命令違反じゃないのかな?」

( ФωФ)「む………」

(,,゚Д゚)「教えてやってもいいけどさ。暇だし」



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:36:50.77 ID:XkOcTEsD0
(,,゚Д゚)「それにこの音楽、酷い演奏だ。頭が痛くなる」

( ФωФ)「ふん、止めてもいいが」

(,,゚Д゚)「頼むよ」

( ФωФ)「どっちにしろ…」

( ФωФ)「リンゴ・スターのドラムだって酷いさ」

(,,゚Д゚)「確かに…」

ピクリとも動かない右隣の男の横顔の向こうに、街の景色が見える。
隙間なく建ち並ぶ灰色の建物が、面白味もなく過ぎ去っていく。
人々は死人のような顔で通りを彷徨い歩き、蒼黒いカラスたちが生ゴミを漁る。


この経済大国でも有数の無法地帯、ヴィップ・シティー。
コンクリートに流れる血が乾くことはなく、死体が空き缶のように転がっている街。
酒を飲み過ぎた夜、ベッドに入って眠りにつき、目が覚めたら地獄だったなんてのはよく聞く話だ。

躊躇なく地面を押しつぶす自動車、空を蹂躙する航空機、生臭い大気。
酷い世界だ。
まったく。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:39:11.07 ID:XkOcTEsD0


(,,゚Д゚)「俺はな、消去士だったんだよ」


車内の空気が、急速に緊張していく。
男たちは表情を歪め、惧れと不安と憤りが質量を成して空間に満ちる。
音楽すらも震えているような気がした。

(,,゚Д゚)「最難関の国家資格を持った、国家公務員だったんだ。それも、産廃処理が仕事の低級消去士なんかじゃない」

(,,゚Д゚)「金と権力を持ったお偉いさん方から依頼をもらい、危険因子を消してまわる上級消去士」

(;ФωФ)「貴様………」

(,,゚Д゚)「怖いか?そうだよなあ。俺がその気になればお前らなんか……」

(,,゚Д゚)「この阿呆が好むゴキブリ色の車と一緒に、この世界から消し去ることができるんだからな。どうだい、消去士を殴った感想は?」

(;ФωФ)「ふ、ふざけるなよ………そんなはずない……貴様のような男が、消去士などと…」

火のついた煙草を、男の目の前にかざす。
灰皿がいつまで経っても出てこないから、仕方無い。
なんとも気の利かない奴らだ。

瞬きの間に、煙草は最後の煙を残して消え去った。
手品でも何でもない。

ただ、消しただけだ。



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:44:46.61 ID:XkOcTEsD0
(,,゚Д゚)「あんたもこうなりたいかい?」

(;ФωФ)「う、撃て!この男を撃ち殺せ!」

(;゚-゚)「しかし……」

(;ФωФ)「私が許可する!こいつはイカれてる――――」

(,,゚Д゚)「どこまでも失礼だな、お前ら」

彼らは一斉に懐へ手を入れるが、もう遅い。

(;ФωФ)「!?……銃がない!?」

(,,゚Д゚)「とっくに消去済みだ。気づけよ、バーカ」

(;ФωФ)「車を止めろ!」

ブレーキが踏まれ、車が揺れる。
甲高い摩擦音が響き、車が完全に停止する前にドアが開け放たれた。
黒服の男たちは我先にと車から飛び出し、前後を走行していた仲間のセダンに乗り込んでいった。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:45:52.51 ID:A1OrnCSEO
いけね
消防士と間違えた



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:46:57.11 ID:XkOcTEsD0



(,,゚Д゚)「逃げ足だけは速いね……」

空っぽの車内でネクタイを緩め、新しい煙草を咥えた。
ライターがないことに気づき、やれやれと首を振って、車から出る。


男がいた。


( ФωФ)「ギコ・カードボード」

(,,゚Д゚)「火、貸してくれよ」

( ФωФ)「貴様のような危険人物を、この国の中枢へ連れていくわけにはいかない」

(,,゚Д゚)「あんたらが連れて行こうとしたんじゃねえか」

(,,゚Д゚)「玄関の扉、弁償してくれないかね」

( ФωФ)「黙れ」

男は理性を失っていた。
彼が抱えている機関銃、ブローニング自動小銃がそれを如実に示していた。



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:49:24.94 ID:XkOcTEsD0
おいおい、突然すぎるだろう。
人がいっぱいいるってのに。

( ФωФ)「私は常に国民の不満に身を晒しながら生きている。これくらいの装備がなくては、やっていられないのだよ」

(,,゚Д゚)「政府の犬も大変だねえ」

( ФωФ)「だろう?」


(,,゚Д゚)「いいから火貸せよ、ボケ」

( ФωФ)「お安い御用だ、糞野郎」

耳を叩く無数の発砲音が響き渡った。


(#ФωФ)「死ねえええええええッ!!」

コンクリートが抉れ、ゴミバケツが吹き飛び、壁が砕けた。
銃声と男の嬌声の中から、薬莢が地面を打つ音が、微かに聞こえる。
他にあるのは、人の叫び声、うめき声、助けを呼ぶ声。
流れ弾ってのは怖いもんだ。
皆さん、せいぜい気をつけましょう。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:52:49.68 ID:XkOcTEsD0

この街は誰が来ようと、誰が出ていこうと、どこまで行っても地獄なのだ。
こんな街に好き好んで住むような奴は自殺志願者か異常者に決まってる。
酒と煙草と女が存在しているだけ、まだマシなのかもしれない。

この世の果ては、一体どこにあるのだろう。



(;ФωФ)「なん………なんで………だ………」

銃声が止んで血飛沫と硝煙が視界から消える頃、男は脂汗を滴らせて目を見開いた。

(;ФωФ)「こ……これほどのものなのか………消去士とは………」

(;ФωФ)「……信じられん………」

(,,゚Д゚)「飛んでくる銃弾を消すくらい、どうってことないさ。位置と概念さえ理解できればそれでいい」

そう、大切なのはそれだけだ。
紙に書かれた文字や液晶に浮かぶ映像、そんなものは大したものじゃない。
重要なのは、どれだけの情報が頭に入っているか、どれだけ正確に仕組みを理解しているのか。
それだけ。他には何もない。

ザッツ・オール。



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:55:38.06 ID:XkOcTEsD0
(,,゚Д゚)「喜べ。俺はあんたを消したりしない。あんたをあんたとして機能させているものには、手を出したりしないさ」

(;ФωФ)「く、くるな……くるな………化け物!」

(,,゚Д゚)「どうせホライゾン省長あたりからの命令だろう?いや、それも知らされてないかな」

(;ФωФ)「何の話だ………何を言っている!」

(,,゚Д゚)「何にせよ、あんたの両腕は危険すぎる。それだけ消去させてもらおうか」

男の悲鳴。
肘から先を失った男は血液を垂れ流しながら泣き叫び、地面をのたうち回った。

消去完了。
せいぜい残りの人生を頑張って生きればいい。
人間ってのはそういうもんだ。


俺は警視庁に公衆電話から連絡を入れた。
この可哀想な男を引き取ってくれと。
出血死しないように手当はしたが、まあ、大丈夫だろう。



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 17:58:12.13 ID:XkOcTEsD0
(  ω )「………」

(,,゚Д゚)「戻ったらさ、上司に伝えてくれ」

(,,゚Д゚)「『俺はこの街から出ない』って」

(,,゚Д゚)「そのあとにアドリブで、クールな罵声を付け加えてくれたら嬉しいよ」


(,,゚Д゚)「そうそう、忘れるところだった」

男のポケットを漁る。
よかった。これでやっと煙草が吸える。

(,,゚Д゚)「なかなかどうして、いいライターだ。記念に貰っとくよ」

(,,゚Д゚)「同情するぜ。せっかく猿より頭がいいってのに」



あんたはもう、火を起こすことができないんだから。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 18:02:57.70 ID:XkOcTEsD0




Chapter 1   End





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