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◆ξ゚⊿゚)ξ陰ト陽ノ絵巻のようです 姑獲鳥の巻

インデックスページ/次の話

1 :代理:2009/10/17(土) 14:39:58.00 ID:NGCtfQja0
( ^ω^) 悪霊退散!

('A`) 悪霊っぽい顔してるけど俺は悪霊じゃねーよ



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:44:15.56 ID:mQ7qKBmaO
>>1

感謝の意を表する!

昨日、退魔師稼業が来ていて見劣りすると思われますが、
宜しければお付き合い願い奉ります。

この話は以前総合に投下した話の後日談になります。ので少しわかりにくいかもしれません。

※管理人追記※
( ^ω^)僕のご主人様のようです(リンク先:玉兎の夢さん)



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:45:27.21 ID:mQ7qKBmaO
抜粋「百物語評判」

「産の上にて身まかりたりし女(おなご)、其の執念、此のものとなれり
其のかたち、腰より下は血に染めて、
其の声、をばれう。をばれうと鳴くと申しあらわせり」

この世には、科学では解明出来ない事象がたくさんある。
もし、アナタの身にそんな事象が起きても落ち着いて欲しい。

人に仇なす其れを討ち滅ぼす者がいるからだ。

ξ゚⊿゚)ξ「今は昔、京の都に人ならぬ力を操る者あり」

其の者。純白の浄衣(じょうえ)に身を包み

ξ゚⊿゚)ξ「古井戸より冥界へと行き来し、死者と語り、物の怪とたわむる」

其の者。漆黒の夜を往き闇に生きる

ξ゚⊿゚)ξ「数多の式神を使役し、
      満月の夜には獣にまたがり天をかけたとゆふ」

其の者。全知全能の力にて万魔を祓う。

人はよふ…其の者、陰陽師なりけり。



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:46:35.40 ID:mQ7qKBmaO





ξ゚⊿゚)ξ陰ト陽ノ絵巻のようです

姑獲鳥の巻







6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:48:32.30 ID:mQ7qKBmaO
朝、新しい朝だ。希望の朝。ついでに言うならば日曜日の朝だ。

もし、これで今日、陰陽省に呼ばれてなければ最高だろう。

あぁ、眠たい。ダメだ。寝よう。
私は睡魔に負け二度寝を始める。
どうせ陰陽省には今日中に行けばいいのだ。
そう思い、寝返りをうつ。


ふにょん


擬音にするならこんな感じか?
コレでなければプルプルとかふにふにとか…
とにかく柔らかくて弾力のある“ツインボム”が私の顔を覆う。

柔らかさを楽しみながらそれに顔を埋める。
とても幸せで心地よい気持ちの中、私は眠りの世界に……



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:49:58.70 ID:mQ7qKBmaO
爪'ー`)「いやん」

ξ゚д゚)ξ「……」クワッ

いけるか!



只今、非常にバイオレンスな映像が流れています。少々おまちください。



爪メ'ー`)「ねぇ。何で殴るのかな?殴るかな?痛いな?
良いじゃないか?良いよね?一緒に寝るくらい。答えは聞いてないけどね」

ξ ー )ξ「……だ ま れ 。つか服着ろ」

鏡に映った生まれたままの姿のフォックスを睨みつけながら、
私は髪をとかして整える。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:51:09.93 ID:mQ7qKBmaO
私の名前はツン。ある点を除けば何処にでもいる女子高校生。
ある点とは…それは、私が陰陽師と呼ばれる職業を兼任していると言うこと。

そして、この女性の名はフォックス。
私と無理矢理に契約した式でありお稲荷様らしい…

パンクかつビッチでGALな服装を愛し、キチガイじみた言動を繰り返す。
そして唐揚げ弁当をこよなく愛するこの女、
傍目には若くて綺麗、更にスタイルも良くトドメに頭もいい。

だが……一般常識が無い。と言うか真正の変態だ。

( ^ω^) オイスー

ξ゚⊿゚)ξ「あ、おはよう。ブーン」

爪'ー`)「おぉ。ホライゾン。君からも彼女に言ってくれ。
     生肌の温もりで布団を温めてあげたと言うにツンときたら…
     全く、嘆かわしい。酷い話だよ」

(;^ω^) オッオッオッ

困った様子で窓のあたりを彷徨く半透明の幽霊。
彼の名は内藤ホライゾン。私の式神。その第一号だ。
フォックスは元々彼の式だったのだがその彼がこんな状態、
その為にフォックスは私と契約を交わした。らしい。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:53:05.68 ID:mQ7qKBmaO
私と彼の馴れ初めは本当に不思議な物だった。

雨の降るある日。
私は、怪異「赤帽子」に遭遇した。

赤帽子に襲われ、死の危機に直面したとき…彼は私を守るために私にとりつき、
そして赤帽子を討ち祓ったのだ。

その時、成り行きから契約してしまったのだが…

彼は生前、高い能力の陰陽師であったらしく
私が陰陽師として活動するさいにアドバイスをしてくれる、
とても頼りになる存在だ。ただ、通常、彼は喋ることが出来ない為、
体を預けなければならないのが少し大変で有るのだが。
因みに彼は未だに死んではおらず、ある理由により肉体から魂を分離している。

難しく話すと長くなるのだが、
彼のせいで私は陰陽師に就任した意味合いが強い。



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:54:31.51 ID:mQ7qKBmaO
ξ゚⊿゚)ξ「フォックス。服、来た?」

爪'ー`)「着たよ」

ξ#゚⊿゚)ξ「着 て な い 」

しぶしぶと下着姿の彼女はローライズのショートパンツを履き、
革のノースリーブジャケットを引っ掛け、
愛用しているらしいシャネルの五番を吹きかける。
行けるよ。のんびりした声で彼女は準備が出来たことをしらせる。

今日は陰陽省の上司、ショボンさんに仕事を依頼されていた。

時計は8時27分。今から行けば昼に陰陽省庁につくはずだ。
私は母に出かけてくると告げ、家を出る。
今日もデジタルパーマが決まってるぞ。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:56:14.25 ID:mQ7qKBmaO
朝、新しい朝だ。希望の朝。今日もあの愉快な男は顔を見せるだろうか。

私は今、どんな顔をしているだろう。

恋する乙女か?それとも悲しみに暮れる未亡人?

それとも…冷たい氷のような顔だろうか……

なぜ、あの男は私につきまとう。なぜ、私に優しさを持ってふれる…

気持ち悪い。
本当に気持ち悪い。雪の化身たるこの私が…
あんな男一人に心を揺るがされるなんて。

だが、同時に心惹かれる自分がいる。其れもまた気持ち悪い。

私はどうしたら…良いのだろう。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:57:13.95 ID:mQ7qKBmaO
('A`)「おーい。まさかベンチで寝てるとか無いよな?」

視界に広がるのはその男。鼻の頭が付きそうな距離に彼はいた。

川;゚ -゚)「っっすぅ…」


いやぁぁああああああああああ!!


<(;'A`)>「ぐあああああ!!耳が!!ミミガー!!」

川;゚ -゚)「きっ!!貴様!!いきなり顔を近くに見せるな!」

(;'A`)「声は掛けたぞ!あの滑り台のあたりから!」

彼は直ぐ近くの滑り台なる遊具を指差しながら耳をぱしぱしと叩く。
意味があるのかは分からないが……

(;'A`)「あぁ!!クソ。いつもより3オクターブ以上高い声を出すとか、
    何処のアニメだ!!」

彼は、私に毎日会いに来る。名前はまだ知らない。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:58:11.47 ID:mQ7qKBmaO
すまない。と声をかけてしまいたい。
だが、かければ私はおそらく弱くなる。
彼という優しさにきっと溺れてしまうだろう。

('A`)「ほら、アイス。……となり、座るからな」

川 ゚ -゚)「ふん。キャラメル味か…お前、この味が本当に好きだな」

(;'A`)「それは俺の台詞だ。この間ストロベリー味を買ってきたら、
    地面に叩きつけて『何だこれは!!』とか言い出したくせに」

ハーゲンダッツと描かれた箱の開封口を開けて、アイスを取り出し無言で貪る。

('A`)「なぁ。なんでアンタ、この公園にいるんだ」

川 ゚ -゚)「……待へ…。よし」

口にくわえていたアイスを胃に押し込みゴミになった箱を、ビニール袋に戻す。



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 14:59:06.86 ID:mQ7qKBmaO
  _,
川 ゚ -゚)「お前、親に言われなかったのか。
     人が食事しているときに声をかけるな。と」

(;'A`)「ち…沈黙に耐えられなかったんだよ。」

川 ゚ -゚)「ふん。軟弱者め、
     私がここにいる理由を聞きたいのか?」

('A`)「あーうん。他にもアンタの事、知りたい。
    そろそろ1ヶ月近い割に俺、アンタの名前すら知らないから…さ」

そう言い、彼は俯きながら左手首を握る。

確かに彼は1ヶ月もの間、私に対し何をするでなくアイスを渡して、
隣に座って、どうでもよい内容の、差し障り無い話をして時間になれば立ち去る。



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:00:01.41 ID:mQ7qKBmaO
話しかけたり、話題をふるのは常に彼であり、
私はただ受け答えをするだけだった。

それでは不公平だ。

川 ゚ -゚)「私の名は素直クール。私がこの公園にいる理由はだな…」

('A`)「クール…クーって呼んでも良いか?」
 _,
川 ゚ -゚)「人の話は最後まで聞け」

全く、人の話を遮りおって…
勝手にしろ。と言い、目を閉じて言葉を紡ぐ。

これは罪の告白なのか…それともただの自己満足か、私はこの男を試す。

川 ゚ -゚)「…なぁ、もし私が夫と我が子を殺し食らった鬼だ。
     だから私はここで毎日子供達を見ている…と言ったらどうする?」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:03:04.14 ID:mQ7qKBmaO
沈黙。

当たり前の反応だ。もう、会えないな。
そう思いながら、ベンチを立とうとする。その時だ。

('A`)「あー。その言葉が真実だって仮定して答えるな…」

顔はまだ俯いたまま、何かを捜すようにゆっくり話し始める。

('A`)「もし、もしさ。それが本当でも。
    アンタは何時も、此処にいる。
    朝も、昼も夜も、ずっと此処で子供達を見守ってる。
    だから、クーは悪い奴じゃない…俺、信じるよ」

クサいセリフをよくもまぁ…

川 ゚ -゚)「ふん。それより時間だぞ。
     せいぜい汗水垂らしてはした金を稼いでこい」

公園の時計はもう直ぐ8時40分だ。



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:06:10.66 ID:mQ7qKBmaO
(;'A`)「うへぇ…」

彼は、立ち上がり「じゃあな」と歩いていく。

私はじっ、と彼の背中を見つめる。
じっ、と。ただ見つめる。抱きついてしまいたい。

だが、それは出来ない。

('A`)「クー!」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

('A`)「俺、ドクオ!鬱田ドクオ!ドクオだから!!」

必死に名前を私に伝える彼。だから名前で呼んでやることにした。

川 ゚ー゚)「分かったから早く行け。ド ク オ 」

「ドクオ」は満足そうに駆けていった。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:10:36.86 ID:mQ7qKBmaO
「目眩坂」を駆け上がる。

目眩坂。急な角度と長さから学生達からそう名付けられた坂だ。
それが定着し、この界隈にすむ人はみなそう呼んでいる。

(*'A`)「クーか…へへへ」

早く夕方になれ。そう思いながら、俺はバイト先へ向かう。



('、`*川「あら…」

('、`*川「ふふふ。色男ねぇ…あの殿方がよろしいかしら…」

そんなドクオを見つめる一人の女がいた。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:12:09.10 ID:NGCtfQja0
ドクオが色男……



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:13:30.89 ID:mQ7qKBmaO
陰陽省。
都内の一等地、その中でも厚生労働省や文部科学省等
の立つ中に同じくらいの規模で立つ政府機関だ。

陰陽省の基本構造は鉄筋コンクリートならぬ鉄板コンクリートであり、
壁の一枚一枚に約3cmの複合装甲板がしこんである。
階層は地上10階まであり、地下はなんと三階まで。
各階の作りは長い直線廊下に各階大部屋が一つ。
その中を無数の壁で区切り、部屋としている。
この特異な部屋割りにより待ち伏せや奇襲、
籠城が容易となっており退路として地下には下水道や地下道に繋がる扉まである。

バブル経済時に国が傾きかねない資金を投じて建てられ、
日本国内において陸上自衛隊基地や、
米軍駐屯地以上の堅牢さを持つ鉄壁の政府機関。

それが陰陽省である。



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:16:08.63 ID:mQ7qKBmaO
「とてとて」と歩き、省庁の玄関前へ立つ。私は鞄からカードを取り出す。

ξ゚⊿゚)ξ「さて…フォックスー?」

爪'ー`)y‐「え?なにかい?」

ξ゚⊿゚)ξ「歩きタバコはやめーい!!」

つい習性でフォックスに突っ込みをいれてしまったが目的は別。

爪'ー`)つ□「タスポ…じゃなくてパスだろう?分かってるさ」

ξ゚⊿゚)ξ「ついでに歩きタバコも止めなさい」

陰陽省は先の構造的な堅牢さに加えて多数の予防線を張っている。
先ず、省庁の半径2.5kmの位置に視覚、及び精神的な結界を
1.5kmの位置に物理的な結界を、
0.5kmの位置には敵対者に対しての攻撃設備まである。
この結界はある程度融通が聞く結界で、
陰陽省に対して目的があり、存在を知り、
敵意を持たず、又、如何なる悪意も持たない者には効果が薄い。

だが、目の前の自動ドアは違う。

陰陽省に入るための正面玄関はパスを提示しない者に対して
対妖怪用の(人間なら消し炭になるくらいの)電撃を浴びせるのだ。
これだけでなく、陰陽省内外には多数の呪術的、科学的なトラップが多数配備されている。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:19:08.92 ID:mQ7qKBmaO
なぜここまで異常な堅牢さをこの建物に要求したかと言うと、
陰陽省に仕える陰陽師の職務内容が関係している。

では、陰陽省の歴史や目的について語ろう。

陰陽省は前身となった明治三年に廃止された陰陽寮の流れを受け継ぎ
陰陽省と名付けられた。
その歴史は古く、
大正辺りには旧陰陽寮のノウハウを基に再編されていたらしい。

次に、目的…まぁ仕事内容だ。

私達、陰陽師は陰陽省に仕えることを義務としており、
勝手に陰陽師は名乗れない。
と言うか、現代の陰陽師と世間一般の陰陽師はまるで別物だ。
陰陽師の職務。それは陰陽道の業にて未来を占い、暦を決め、時に祈祷をする。

のではない。

違うのだ。かつての陰陽師はそうしていたが、
現代に置いて陰陽師の行う仕事は全て、コンピューターが代わりに行える。

では、陰陽省の目的とは何か?

はっきりいおう。化け物退治だ。
世代交代により現世に現れた古の妖怪変化達を退治して回る。
人の心に闇があるかぎり終わりのないイタチごっこ。
それが人の世を守る陰陽師の本懐。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:22:03.42 ID:mQ7qKBmaO
ξ゚⊿゚)ξ「あいっかわらず、省庁内もガランとしてるわね」

爪'ー`)「むしろ、人が犇めく(ひし)省庁内は悪夢だよ」

私は誰もいない受付へと歩いてゆく。

陰陽省は基本人手不足だ。猫の手どころか式の手を平然と使う程度に。

いた。

「うぇ~ん。ろこちゃん、見捨てないでぇ…」

ξ゚⊿゚)ξ「もしも~し。たぬこさんですか?」

「おぉ!ツンちゃん!?ろこちゃぁん!!ツンちゃんですよ!」

そう声を発しながら、受付の机の上で人の形に折られた紙がクルクル踊り出す。



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:26:47.09 ID:mQ7qKBmaO
このコミカルな紙片は人形(ひとかた)だ。
ただし、これは本来の使い方ではなく「たぬこさん」が
自らの法力で式として操ってるだけで、
人形は穢れを祓ったり、呪いを移したり、
人に見立てて呪う際に使うものである。

「なに?ツンかぇ…たぬこ。ここはしばしまかせたぞ」

「はい!って…うぇ~ん。お願いだから見捨てないでくださぁい…」

「たわけ。ショボンのとこに連れていくついでに飯(はん)を取ってくるだけじゃ」

「あぁ。ならぁ…わたぁしぃは…」

「たぬきそばだな」

爪'ー`)「共食いだな」

ξ゚⊿゚)ξ「共食いね」



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:30:11.41 ID:mQ7qKBmaO
キィと受付より向こう。
位置的には階段の向こう側の扉が開く。

因みに、この階段は各階を繋ぐようには組まれていない。
一階から二階、二階から地下一階と言うようにおかしな作りだ。
又、エレベーターも存在しない。

リi、゚ー ゚イ`!「ツン。久しいのぅ。そっちの女狐(めぎつね)も息災のようじゃな」

爪'ー`)「やぁ。狼女、ショボンは三階?」

彼女の名は狼娘(ろこ)陰陽省の受付嬢その一だ。

从´ヮ`从ト「ろこちゃん!!わたぁしぃにもぉ会わせてくだぁさぃ…」

ξ゚⊿゚)ξ「どーも。ご無沙汰してます。たぬこさん」



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:35:12.45 ID:mQ7qKBmaO
こっちの垂れ目でトロい話し方の人は狸娘(たぬこ)さん。受付嬢その二だ。

从*´ヮ`*从ト「うわぁ~い。ツンちゃ、ツンちゃ、ツンちゃちゃぁ!」

私の手を取り上下に激しく振り回す。
相変わらず、感情表現が激しい様で…。

リi、゚ー ゚イ`!「おぅ。それと、妾もついて行くぞぇ。
       あのしょぼくれはほっとけば、
       五時まで食事もとらずに働くからのぅ」

爪'ー`)「ははっ!じゃあ僕は油揚げ付きの唐揚げ定食ね」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、たぬこさん、
      すみませんがショボンさんに顔を見せてきます」

从*´ヮ`*从ト「いってらっしゃぁい」

そう言い、彼女は来た部屋へと戻る。
あの部屋は符や浄衣、法力を含んだ服や装飾品を作る部屋で、
陰陽省内でも「詰め所」と呼ばれるかなり忙しい部署だ。

ご愁傷様。



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:40:31.09 ID:mQ7qKBmaO
「カツカツ」と螺旋階段を進んで行く。

リi、゚ー ゚イ`!「たぬこの奴…ちゃんと仕事しとるかのぅ…」

爪'ー`)「ツンデレツンデレ」

ξ゚⊿゚)ξ「にしても…今日は出払ってるんですか?」

リi、゚ー ゚イ`!「長岡は例のらいぶはうす事件の調査。杉浦は出張。
       いるのはたぬことしょぼくれと小津地と妾のみじゃな」

らいぶはうす事件。
最近、巷でライブハウスに通う若者が次々と失踪している事件だ。

私達は四階から三階へ降りて行く。
本当に、この建物はめんどくさい作りだ。
一階から三階に行くのに六階分の移動距離、正確にはそれ以上が必要なんて職員は大変なだけだ。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:45:12.48 ID:mQ7qKBmaO
ようやく三階に到着。
ろこさんが「どうぞ」とドアを開けてくれる。
見かけはガサツで年寄り臭い話し方だが、ろこさんはこういう所がちゃんとしている。
どこかの電波来つ寝に見習わせたい。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、すみま」

爪'ー`)「うむ、ご苦労様」

ξ#゚⊿゚)ξ「フ ォ ッ ク ス 」

爪'ー`)「弱いものは自分より強いものにひれ伏すものさ」

リi、゚ー ゚イ`!「そうじゃのう。ならばお前の口に泥でも詰めて、
       妾の足下にひれ伏させるかのぅ」

ξ゚⊿゚)ξ「良いですね。手伝います」

(;^ω^)オッオッオッ

(´・ω・`)「やるなら外でやりなさい。
      今朝もたぬこくんに服を台無しにされて気が滅入ってる所なのです。」

奥の机から妙に張りのある声がする。声の主はこの階そのものの主。
陰陽省長官直属特別遊撃隊「初平ショボン」さんだ。



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:49:02.80 ID:mQ7qKBmaO
まぁ、私も行為とその考え方には賛成だがね、と彼も続ける。
冷静になって考えると陰陽省ってこんな人ばっかだ…

ξ゚⊿゚)ξ「ショボンさん。仕事、ですよね」

おいおい。僕は厭(いや)だよ。仕事も泥団子もね。それでも守りたいニートがあるんだ!
と主張するフォックスを無視してショボンさんに挨拶する。

(´・ω・`)「あぁ、そうだったね。ろこくん?」

リi、゚ー ゚イ`!「おっと、仕事の話かぇ?なら妾が先じゃ、
       しょぼくれよ。そち、飯はどうするつもりじゃ?」

(*´・ω・`)「食事?仕事を始めたばかりではありませんか…
      おや…」

時計は12時を既に回っている。
集中していると時間の流れの感じ方が違うという奴だろう。
ワーカーホリックのショボンさんらしい。



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:53:18.76 ID:mQ7qKBmaO
(*´・ω・`)「では、サンドイッチを」

ξ゚⊿゚)ξ「私も同じ物をお願いします」

リi、゚ー ゚イ`!「われさきに」

ろこさんは頷き退室する。因みに、「われさきに」とは陰陽省で使われる隠語だ。
意味は心得た。了解。把握。はい。等に思えばいい。

(´・ω・`)「さて、今回の仕事の話です」

立ち上がり、私に背を向けてブラインドを眺めながら話し始めるショボンさん。

(´・ω・`)「最近、この辺りにとある妖怪が出没している。
      本来なら杉浦に任せたかったんだが、出張中でね。
     さらに先日、別な妖怪がいる可能性も有ると通達が来た。
     申し訳ないのですが出向いて頂けませんか?」



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:54:58.11 ID:mQ7qKBmaO
受けるも受けないもここに来た時点で答えは決まっている。
私はショボンさんに続きを促す。

ξ゚⊿゚)ξ「つまり、単独では大した戦力になりえない…
      目標の種類は分かっているのですか?」

(´・ω・`)「えぇ。第一目標は姑獲鳥、
先ほど来た情報の方は雪女らしいとの事。
      はっきり言って姑獲鳥よりこちらの方が強力な個体のはずです」

「ゴクリ」と息をのむ。最悪、二体の妖怪を相手にしなければならない…

爪'ー`)y‐「ふぅ…一服一服と…
      大丈夫さ、姑獲鳥と雪女。
      この二体は片方は陸で空に影響出来て、
      片方は空を飛ぶ位しか出来ない。
      つまり両方を相手取るときは地上のみに気をつければいい」

フォックスの発言にショボンさんと私は同時にある単語を口にする。

「 省 庁 内 は 禁 煙 で す ! 」

( ^ω^)゛コクコク



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:56:37.40 ID:mQ7qKBmaO
爪'ー`)「……おーい!ツーンちゃーん」
 _,
ξ゚⊿゚)ξ「姑獲鳥の手掛かりは見つかった?」

陰陽省で軽く食事を済ませ、私達は足での調査を始めた。時計は5時位だ。

相手が生き物であるため基本、陰陽師は足を使い目標を探す。
アナクロニズムに聞こえるかも知れないが、
闇に隠れている妖怪達には、足が一番なのだという。

因みに警察組織にコネが無い訳ではなく、妖怪退治と言う職務上、
陰陽省は隠匿第一。下手に騒ぐ訳にはいかず結果足での捜査になるのだとか。

そういう訳で私達は住宅街を歩いて回って居る。
だが、会うのは子供かおばさんのみ。妖怪変化の類は見られない。



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 15:58:22.06 ID:mQ7qKBmaO
爪;'ー`)「この辺りで、関係修復をするべきではないかなと、
     僕は提案したいんだけどなぁ?」

ξ゚⊿゚)ξ「…ニコ中め」

爪;'ー`)「う…さわらぬ神に祟り無し。かな?」

流石にやりすぎたかな。とも思う。
フォックスは基本的におしゃべりである。むしろうさぎじゃないが
淋しくて死んでしまうのかも知れない程度に他人と一緒に居たがる。
悪意が無いのは分かるが、かと言ってそのままは不味いと思い
軽く無視し続けたが逆効果だったかも知れない。

彼女にしてみればいきなり私は不機嫌になって、
その理由が自分みたいなのだから居心地が悪くて当然だ。



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:03:00.33 ID:mQ7qKBmaO
ξ゚⊿゚)ξ「怒ってないわよ」

爪'ー`)「…」

フォックスが特徴的なジト目でじぃと見つめてくる。
フォックスは美人だ。それも生半可なレベルじゃなく。
もし私が男なら劣情を抱きかねない視線に耐えられず、私は彼女の手を取る。
私は意志が弱いな。でも、なんかかわいそう。でしょう?

ξ゚⊿゚)ξ「アンタねぇ…なんでそんな外見で地味にいじけてんのよ……。
      そういえば雪女は…どうなの?」

爪'ー`)「いじけては…いないさ。うん。
     雪女は…障害にならなければ探し出して相手取る必要はないね。強いし。」

と告げて、空を見上げる。

ξ゚⊿゚)ξ「姑獲鳥は大体分かるんだけど…雪女って結局どんな妖怪なの?
      妖怪にしては伝説的と言うか、割とイメージが先行してるわよね」



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:06:16.35 ID:mQ7qKBmaO
爪'ー`)「そぅ…だねぇ。雪女。
     ユキノメ、ユキオナゴ、ユキジョロウ等の名称で呼ばれる妖怪だ。
     幾つかパターンがあるが一般的なのは、
     雪の降る中一人暮らしの男の家に訪ねるケース、
     吹雪の中で道行く人に赤子を抱かせるケース等が有る。
     さて、ツン君。何か気付いた事は?」

ξ゚⊿゚)ξ「ん…もしかして、雪女って姑獲鳥と親戚?
      姑獲鳥も子供を抱かせたりするらしいし」

爪'ー`)「60点。でもかなり良い線いってる。親戚と見るには十分だよね。
     岩手県の遠野地方では姑獲鳥の様に子供たちを連れ去るという話や
     山形県の上山地方では赤子を抱かせて雪の中に押し込めたり、
     最上郡では雪女=姑獲鳥という意見もあるね」

どうやらスイッチが入ったらしい。
フォックスは「トントン」と愛用のピアニッシモと呼ばれるタバコを取り出し、
チョークの様に持ち説明を始める。その姿は教師の様だ。



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:08:17.30 ID:mQ7qKBmaO
爪'ー`)y‐「で、陰陽省はと言うと山形県最上郡と同じ様に
      雪女=姑獲鳥と認識している。
      ただし、雪女は姑獲鳥よりも上のレベルにはしてるけどね。
      僕の見解では、雪女は姑獲鳥に似た条件下で場所が雪国、
      そして変化した人物の精神状態により姑獲鳥になるか、
      雪女になるか、で別れる」

ここで息継ぎをしながらタバコを弄ぶ。
そのまま腰に左手を回し、上を見るような仕草の後話を続ける。

爪'ー`)y‐「小泉八雲。知ってるよね?
      彼の怪談とゆう小説に雪女は語られている。
      その中では…知ってるよね?小泉八雲?kaidanだよ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「え…」

爪'ー`)y‐「OK。なら、あらましを教えてあげよう。
      武蔵の国にいた樵(きこり)の師弟が吹雪で山から降りれなくなった。
      その時、年老いた師が雪女に殺されてしまう。
      しかし、弟子は雪女の好みの顔立ちなのだったのだろうな
      雪女は弟子には誰にも話すなと告げて立ち去ってしまった」



46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:11:05.70 ID:mQ7qKBmaO
爪'ー`)y‐「その後、弟子はお雪なる娘と一緒になり、子を十人もうけたが、
      ある日…お雪に話してしまう。かつて、雪女に出会ったと…
      次の瞬間、お雪はかつて見た雪女となり夫を…」

ξ;゚⊿゚)ξ「やったの?」

爪'ー`)y‐「いんや。夫を手に掛けることは出来なかった。
      我が子を見て思い止まり、雪煙に身をかえ姿を消した。
      その後は二度と姿は表さなかったとのことだ」

ξ;゚⊿゚)ξ「…さいですか」

爪'ー`)y‐「ちょっと難しかったかい?
      まぁ要は大きなカテゴライズ内では同じと
      考えて差し支えないのさ。ツン…」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしかしたの?」

爪;'ー`)y‐「さ ん け つ w w w 」

ξ゚ー゚)ξ「ばっかじゃないのwww」

どうやら、心配は要らないようだ。近くに公園がある。そこで休もう。
私はそう彼女に提案した。



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:14:34.21 ID:mQ7qKBmaO
ξ゚⊿゚)ξ「でも、なんだって小泉八雲?」

公園のベンチに腰掛け、フォクスに続きを促す。
突然に小泉八雲なんて言い出したのだから何か考えがあるのだろう。

爪'ー`)「雪女の性質。
     雪「女」なんだよ。あくまでね。
     情が深く又、儚い。そしてなにより気まぐれなのさ」

ξ゚⊿゚)ξ「???」

爪'ー`)「もしかしたら、仲間に引き込めるかもしれないって話!」

ξ゚⊿゚)ξ「え!?…確かにたぬこさんや、フォクスみたいな話も…」

爪'ー`)「た~だ、顰蹙(ひんしゅく)を買ったら敵になるよwww」

ξ゚⊿゚)ξ「なるほど…気をつけます」

「わー、ボールがぁ!!」

ξ;゚⊿゚)ξ「え!?」

爪;'ー`)「とぉ!?」



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:19:12.15 ID:mQ7qKBmaO
顔を声のした方を向くと、結構な速さでサッカーボールが飛んでくる。
本気でかわしたり受け止めようとすれば出来るだろうが、
私がやれば超人的な動きに、フォックスがやれば超常的な現象が起きてしまう。

ξ゚⊿゚)ξ(フォックス。癪だけど適当にぶつかるわよ)

爪'ー`)(なら僕が当たろう。一応、式神だからね)

ξ>⊿<)ξ「キャッ!?」

爪;'ー`)「ウワッ!」

バシィ

川 ゚ -゚)「ふむ。なかなかどうして、手応えがあるな」

爪'ー`)「へぇ…」

ξ゚⊿゚)ξ「え…」

川 ゚ -゚)「それ、今度は手加減してやるんだぞ」

「おねーちゃんありがと!」

ボールはすんでの所で当たらなかった。
親切な女の人が、受け止めたからだ。
その人はボールを子ども達へと返してあげ、受け止めた右手を見ている。

しかし、結構な速さだったがよく止められた物だ。



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:24:41.23 ID:mQ7qKBmaO
ξ;゚⊿゚)ξ「すみません。あの…手、大丈夫ですか?」

川 ゚ -゚)「あぁ、何て事無いさ。君たちの座っているベンチなのだがな、
     割と、ボールやらじゃれついてくる猫や子どもが多いんだ」

猫や子どもなら構わないがボールは危ないからな。気をつけてくれ。
と女性は告げて公園の外へ歩いていく。その姿を見てフォクスが訝しがる。

爪'ー`)「あの女…、どこから氷を…」

ξ゚⊿゚)ξ「氷?」

爪'ー`)「気付かなかったのかい?
     彼女、白煙がのぼるような氷を取り出して右手を冷やしてた」

ξ゚⊿゚)ξ「まさか…」

爪'ー`)「妖気は感じられなかったがね…」



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:29:03.69 ID:mQ7qKBmaO
その後、暫く話をフォックスとし、
現時刻は6時近い。そろそろ切り上げるべきか…

(;'A`)「あーあの、すみません」

ξ゚⊿゚)ξ「え?」

爪'ー`)「おや…君は?」

(;'A`)「えっと…すみません。そこに…」

男はオドオドと何かを手で表す。

川;'A`)「こんな感じで…こういう…女の人が居ませんでしたか?」

ジェスチャーは髪の長い女性を表しているようだ。
フォックスは何か気付いたのだろう。訳知り顔でニタニタしている。

ξ;゚⊿゚)ξ「はぁ…?」

爪'ー`)「ふぅん。」

爪'ー`)「それは…黒髪で透き通る目をした女性かい?
     それとも銀髪、碧眼の雪の化身の事かな?」

(;'A`)「え?」

爪'ー`)「いや、良いんだ。その女性なら…」



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:34:05.05 ID:mQ7qKBmaO
「つい」と右手で公園の外を指し示す。

爪'ー`)「その彼女さんなら…ついさっきまで公園にいたよ。
     まだ、追えばまにあ…」

「キャァアアアア!!」

ξ゚⊿゚)ξ「悲鳴!?」

(;'A`)「クー!?」

爪'ー`)「やはり知り合いだな。走るぞ。
     もしかしたら最悪のケースの場合も有る」

ξ゚⊿゚)ξ「えぇ。人払いがかけられているみただしね…
      すみません。どこかに隠れて…」

('A`)「出来るか!俺は行くぜ!」

ξ゚⊿゚)ξ「ま、待ちなさい。…待って!!」

こちらの話を聞かず駆け出す男の人。
意外に足が速く、止めようとしたが振り払われてしまう。

爪'ー`)「チッ、行っちまいやがった…
     これだから、パンピーは困る。連れ戻すよ」



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:38:08.17 ID:mQ7qKBmaO
彼の後を追い、私達が悲鳴の元にたどり着いた時、二つの意味で衝撃を受ける。

なぜなら

「何を…」

('A`)「…クー…?」

爪'ー`)「怪異雪女…」

川 ゚ -゚)「ふふ、元気な赤子だな」

ξ゚⊿゚)ξ「貴女…その子を放しなさい!」

クーと呼ばれた、先の女性が母親を襲い、赤ん坊を奪っていたのだ。

('A`)「クー…?クー!?これ、どういう事なんだよ!」

川 ゚ -゚)「ドクオか。見ろ。ここまで元気な赤子は珍しいぞ」

「だぁだぁ!!」

川 ゚ -゚)「ここまで元気ならば…」


「 さ ぞ や 、 美 味 か ろ う な 」



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:43:03.44 ID:mQ7qKBmaO
聞きたくはなかった。
ドクオ。と言う男の人の口振りや人柄から、
彼女が悪人ではない人だと思ったのだ。

その彼女の口から赤ん坊が美味そうなどと聞きたくはなかった。

ξ ⊿ )ξ「…現出火精…」

ξ゚⊿゚)ξ「燃え尽きなさい!」

「ドォ」と燃え盛る火球が「怪異雪女」に向かい打ち出される。

川 ゚ -゚)「ふん」

ξ゚⊿゚)ξ「キャッ!?」

だが、陰陽の術により生まれた火球は瞬時に姿を変えた彼女に打ち返されてしまう。
これが雪女…、火術は得意ではないが、これでは圧倒的過ぎる。

川 ゚ -゚)「なる程な、陰陽師という奴か…赤子が泣いてしまうだろう?」



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:47:21.59 ID:mQ7qKBmaO
私達に告げる彼女は透き通る銀髪碧眼。
それに白い死装束のような着物を纏い、帯は咲き乱れるような紅色…

('A`)「クー、その姿は…」

川 ゚ -゚)「お前には見られたくなかった…けど、もう遅いな」

('A`)「なぁ…クー。本気なのか?」

川 ゚ -゚)「?何のことだ?」

('A`)「俺…俺…!!」

川 ゚ -゚)「!?来たな…伏せろ!」

「シャアアアア!」

爪'ー`)「!そう言うことか!!」

空を見上げるクーさん。そして飛来する巨大な…鳥?
それがドクオさんを狙っている。
フォックスは機転を利かせてドクオさんを蹴り飛ばした。

(メ'A`)「いてぇ!!」

爪'ー`)「僕みたいな美人に蹴られたんだ。ありがたく思って欲しいな」

蹴り飛ばされたドクオさんは非難の声を上げる。
だが、幸いにもドクオさんは蹴られた時の傷だけですんだみたいだ。



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:52:13.05 ID:mQ7qKBmaO
ξ゚⊿゚)ξ「…なによ!あのサイズ!」

爪'ー`)「夜行遊女(うぶめどり)だ!」

川 ゚ -゚)「…ほら、立てるか?」

('A`)「クー…説明…」

川 ゚ -゚)「 あ と だ 。お前は、この子と親を連れて遠くへ行け。
     出来れば空から見えない場所がいい」

空には人間の倍以上のサイズの巨大な鳥がいた。
だが、逆光で見にくいが、あれは鳥と呼ぶには少々無理がある。
そんな外見の何かが私達を狙って居る…!?

('A`)「クー…分かった。けど必ず帰って来るから。
    後、クーだって人 の 話 を 遮 る じ ゃ な い か 」
 _,
川 ゚ -゚)「意外に根に持つな。さぁ、行け。ドクオ!!」

クーさんに背中を押されドクオさんは親子を連れて走ってゆく。
どことなく、クーさんは不機嫌そうな…嬉しそうな顔をしている。



60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:55:22.88 ID:mQ7qKBmaO
爪'ー`)y‐「誤解してすまなかったね。まさか、守ろうとしてたとは」

ξ゚⊿゚)ξ「守る…?どう言うこと?」

川 ゚ -゚)「あの親子が夜行遊女に襲われそうになっててな。
     強硬手段に出た」

爪'ー`)y‐「でもさ、素直すぎwwwあの発言だと襲ってたようにしか見えない」

川;゚ -゚)「ん…そ、そうか…」

ξ゚⊿゚)ξ「そうですね。ですから…協力、しませんか?
      あれを落とすには火力不足なんです。結構」

川 ゚ -゚)「そうだな。そうさせて貰おう」

そう会話を交わし、私達は陣形を整える。
ドクオさんはもう、人払いの陣を出た頃だろう。



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:57:34.63 ID:mQ7qKBmaO
(;'A`)「絶対に外には出ないようにして下さいね。
    さっきの化け物が襲ってくるかもしれませんから」

俺は親子を家まで送り届けた。
お母さんは終始ヒステリーを起こしそうなくらいに動揺していた。
それは俺も同じだ。けど、俺にはクーが、クーがいるから、
だから冷静でいられた。そして、力になりたいと思った。

今頃、向こうは終わっているだろうか?
終わってなければ俺は多分、足手まといだ。
けど、クーのそばに居たい。
クーを傷つける奴が居るなら盾になってやる。誰にも触らせない。
そう思うと自然と足が動き、力が湧いてくる。

('A`)「俺って、どうしようもなくクーが好きなんだなぁ」

呟いて、自分の気持ちを確かめる。
あぁ、やっぱり好きなんだ。だからこんなにも熱くなれる。

そんな時…



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 16:59:24.44 ID:mQ7qKBmaO
「ピシリ」音に直すならこんな感じの、
ガラスか何かにヒビが入る様な音が響き渡る。

ピシリピシリ

(;'A`)「なんだ…これ…黒い霧が…」

ピシリピシリ

黒い霧があたりに立ちこめる。まるで俺を…囲むように。

(;'A`)「……ヤバい?」

パリン

割れた。何かが割れた音が響き、辺りが黒い霧に包まれる。

('、`*川「うふふ。」

('A`)「あ…。あの、今、この辺り危ないんです」

('、`*川「あらぁ…わたくしを守っては下さりませんの?」

(;'A`)「守ります!けど…
    けど、それはすごく大きくて強いから…
    だからご自宅の方が安全なんです」

('、`*川「あらぁあらぁ…」



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:01:22.38 ID:mQ7qKBmaO
羽のような物が舞う…

('、`*川「やっぱり素敵なお方…」

(*'A`)「え?」

('、`*川「うふふ。良いではありませんか。
     あぁ…貴方の様な殿方様がわたくしの夫であれば、
     どれほども良かった事か…」

(*'A`)「え?あぁどうも…さぁいきましょう。ね?」

羽が降り積もる。

( ー *川「はい。参りましょう。ですが…」


「そ の 前 に 我 が 子 を 抱 い て は 下 さ り ま せ ん か ? 」

羽が舞い、降り積もる中…

「 お ぎ ゃ あ 」と赤ん坊が泣く。

腐り、爛れ、虫に食われ、なお生きる化生の赤ん坊が泣く。
そして女の背から翼が開く。

「怪異姑獲鳥」



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:02:53.20 ID:mQ7qKBmaO
(;'A`)「な…」

( ー *川「如何なさいました?さぁ…」

('、`*川「 お 抱 き に な ら れ て 下 さ い ま せ 」

其の女。背に巨大な翼を抱き。
其の姿。血染めの腰腰巻きにより血に染まり。
其の声。子をおぶわれよと人を惑わし。
其の赤子。生きながらに逝くる。
其の者。即ち夜行遊女。其の者。即ち姑獲鳥なり。

(;'A`)「ぅぁ…止めぇ…!嫌だ!」

「グシャリ」

( 、 川

ドクオの払った手が…赤子を落とした。
赤子の頭はアスファルトにぶつかり熟れた果実のように弾ける。

( 、 #川「ああああああ!!己ぇぇえい!」

(# A )「俺は、クーと…死ねるかぁ!」





68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:04:52.49 ID:mQ7qKBmaO




「其の想い!しかと聞き届けた!」

「奉請!招雷天命 天神道真 急急如律令!心ばかりに負いてゆかれよ!!」






70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:07:40.38 ID:mQ7qKBmaO
( 、 ;川「ギャアアアアアァァァァァア!!」

(;'A`)「ら…雷撃…?誰が…」

「リーン」と鈴の音が辺りにこだまする。
その音源は目眩坂、その頂にこちらに背を向け立っている。

「今は昔、京の都に人ならぬ力を操る者あり」
「古井戸より冥界へと行き来し、死者と語り、物の怪とたわむる」
「数多の式神を使役し、
      満月の夜には獣にまたがり天をかけたとゆふ」

声の主が振り返る。同時に彼女を中心に式符が舞い散り姿を変える。
その姿は純白の浄衣姿。
振り袖をたなびかせ、少女は気高く宣言する。

ξ゚⊿゚)ξ「人はよふ…其の者、陰陽師なりけり!」



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:08:22.05 ID:mQ7qKBmaO




其の者。純白の浄衣(じょうえ)に身を包み
其の者。漆黒の夜を往き闇に生きる
其の者。全知全能の力にて万魔を祓う。

それ即ち陰陽師なり。






73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:10:45.24 ID:mQ7qKBmaO
川*゚ -゚)「ドクオ…無事だな…良かった…良かったぞ!」

('A`)「クー!そう言えば…彼女は…」

爪'ー`)y‐「ツンデレ、所謂(いわゆる)陰陽師さ。
      まぁ今の彼女は最強の陰陽師と一体化している。
      高みの見物と行こうじゃないか?」

('A`)「陰陽…師?」

爪'ー`)y‐「そう、ああいった手合い専門の退治屋さ」


ξ゚⊿゚)ξ「怪異姑獲鳥…その悪意、 祓 わ せ て い た だ き ま す ! 」

( 、 #川「己!小癪な小娘がぁ!」

ξ゚⊿゚)ξ「ヤァッ!」



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:12:30.26 ID:mQ7qKBmaO
襲いかかる姑獲鳥を一蹴。
吹き飛んだ姑獲鳥は悪鬼の如き形相でツンに再び迫る。
陰陽師はそれをいなし、距離を取る。

ξ゚⊿゚)ξ「現成津田 入精神気!」

( 、 #川「己!己!己ぇぇえ!この屈辱!わたくしを足蹴にするなど…」

ツンは剣の印にて自らに活精の術をかけ、符を取り出す。
その符にはドーマンと呼ばれる九つの直線による格子が刻まれている。

ξ゚⊿゚)ξ「終わりです」

姑獲鳥が翼を使い空から奇襲をかける。だが、遅すぎた。
遅すぎたのだ。ツンは既に呪の準備を終えていた。

('∈`#川「★●◇#&@■□♀!」

耳をつんざくような奇声を発し、飛来する姑獲鳥。
ツンはそれに対し、符を放つ。

ξ゚⊿゚)ξ「悪鬼退散!!」

符から放たれた閃光を受け姑獲鳥はバランスを崩し落下し始める。
そこへツンは飛び移り、落下する姑獲鳥の背へ剣の印を突き立て横に切る。

ξ゚⊿゚)ξ「兵に臨みて闘う者は皆、陣烈前みて行く!」



75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:16:02.62 ID:mQ7qKBmaO
(;'A`)「うわっ!?」

川;゚ -゚)「くっ」

爪'ー`)y‐「どうだい?姑獲鳥…これが、現代の陰陽師さ」

最後に縦に印を切り、姑獲鳥は閃光と消える。
その閃光は凄まじく、見慣れてない二人のゲストには強かったらしい。

ξ゚⊿゚)ξ「式符 現成真姿」

ツンの浄衣が白い紙片へと戻り、闘いが終わりを告げた。



76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:19:20.23 ID:mQ7qKBmaO
(´・ω・`)「ご苦労様でした。
      クールさんに関しては私から上層部へ報告をしておきます。
      恐らく来週には登録も終わるでしょう」

ξ゚⊿゚)ξ「はい。ありがとうございます」

(´・ω・`)「ふふ。そう堅くならずに、別に責めてるわけでも、
     私が異常性愛者な訳でもありませんよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「はぁ…」

爪'ー`)「まぁ、あれだ。本人は気付いてないんだよ。ククク…」

(*´・ω・`)「ふむ。でしたら、親睦を深める為にも食事でも如何でしょうか?」

爪'ー`)「おーと?ソイツはいけないな。
     我がご主人様はこれからある場所に行く予定でね。
     ショボンはまた今度だ」

ξ;゚⊿゚)ξ「えーと、それじゃあ、失礼します」

(´・ω・`)「ふむ。致し方ないですね。では、又、連絡をします」


爪'ー`)y‐「本当に、本人は気付かない物さ。ね?ツン」



77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:23:48.15 ID:mQ7qKBmaO
あの後、陰陽省に連絡を取り事後処理を行って解散となった。

又、雪女ことクーさんは人間社会との共存を望んでおり、
私は報告も兼ねて後日、その事を伝えに陰陽省へと出向いた。
恐らくクーさんは認定登録を行い、普通の、人間の生活を送れるようになるだろう。

あぁ…それと私がこの後行かねばならない所とは、ドクオさんの家だ。

色々、迷惑をかけたし挨拶ぐらいはするべきだろう。

とりあえずは、それでこの件はおしまい。


爪'ー`)「ふむ。このアパートだったかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「うん。調べによると、鬱田ドクオ…ドクオさんは、
      コンビニのバイトで生計を立ててる今時のフリーターって所ね。
      彼にはお世話になったし挨拶しときましょう」

「103…103号室」と表札をみてゆく。あった。鬱田…間違い無い。


ピンポーン



78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:27:39.40 ID:mQ7qKBmaO
「どちら様ですか?」

女の人の声だ…彼女!?報告書には無かった!?
しかも私が連れているこの来つ寝はKYだと言うに…

爪'ー`)「すみませ~ん。娘娘ガールズです。鬱田さんのお宅でしょうか?」

バカーー!!!!デリヘルかよ!!超修羅場るじゃないの!!
そして「ガチャリ」とドアが開かれてしまう。

川 ゚ -゚)「ドクオなら…あぁ、この間の陰陽師じゃないか」

ξ゚⊿゚)ξ「あ…」

爪;'ー`)「い…」

川 ゚ -゚)「う?」
 ヒョイ
ミ('A`)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ爪'ー`)「お!!」

( ^ω^) オッ!



81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:30:42.29 ID:mQ7qKBmaO
川 ゚ -゚)「あぁ、私ならしばらく前からドクオの家に厄介になってるぞ」

(*'A`)「うん。まぁそう言うことなんです」

とりあえず、ドクオさんのお宅へ上がり込み、事の顛末を聞く。
何でも、あの後、プロポーズ紛いな告白をしてOKを貰ったのだとか…

ξ゚⊿゚)ξ「いつの間にそんな仲に…」

爪'ー`)「男女の仲はなんとやら。良いじゃないか!
     性犯罪に手を染める犯罪者予備軍が一人消えたのだから!」

川 ゚ -゚)「全くだ。こうしてそばで目を光らせれば犯罪には走るまい」

(´'A`)ショボーン

(´^ω^)ショブーン

いや、なんというか…ドクオさんご愁傷様です…



姑獲鳥の巻 完





82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:35:09.02 ID:VyxorjiCO
乙!



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:37:41.02 ID:mQ7qKBmaO
姑獲鳥の巻 おしまいです。

ここまで、この様なつまらない公開自慰行為にお付き合い頂き、目から鱗が出る所存であります。

巻と称すように、少しだけ続く予定で御座ります。
もし、再び遭遇する様でしたら目を通していただけるとありがたいです。

では、何か質問が有るようでしたらお願いします。



84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:44:29.83 ID:UnrnEAcx0

面白かった



85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/17(土) 17:54:18.87 ID:mQ7qKBmaO
特に質問はないかな?

それでは、次巻 伏せる鬼の巻で会いましょう。



インデックスページ/次の話

■この記事へのコメント

  1. ■ [くるくる名無しさん]

    ドックンドックン~!ふぅん!クーにゃーんにゃーん
    ドックンも実は妖怪な展開かと思った
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