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◆( ゚∀゚)ジョルジュは取り戻すようです <プロローグ>

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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:25:38.19 ID:DDQVHrfkP

※閲覧注意




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:27:43.30 ID:DDQVHrfkP

<プロローグ>
  _
( ゚∀゚)「……あーあ。
     俺、何やってんだ?」

腕に抱えた紙束を見下ろし、ジョルジュはこの日何十度目かの溜息を付いた。

平日の昼の高級住宅地。
数十分は歩き回っているが、人の姿はない。
ただ高い門と整然と刈り込まれた植え込みがそびえ、続いている。
  _
( ゚∀゚)「おっと、電柱発見。
     せっかくだから、三枚ぐらい貼っとくか……いや、止めとこう」

左脇に紙束を抱えたまま、右のポケットから器用にセロハンテープを取り出す。
電柱の表面を軽く手で払い埃を落とし、紙束から一枚抜き出して貼り付けた。
  _
( ゚∀゚)「……」

貼ってから、その文面を見る。
  _
( ゚∀゚)「……ま、いいか」



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:29:21.00 ID:DDQVHrfkP


     ※ 迷子のペットを探しています! ※

  ・元気な子供のペットです

  ・体長50センチぐらい、丸い目と大きな口が目印です

  ・しっぽにリボンをつけています

  ・ひなたぼっこが大好きです

  ・名前を呼ぶとうれしそうに舌なめずりします

  ・ハエなどの羽虫が大好物です



  名前は『 ザラキーマちゃん 』です

  見つけた方は xxx-0881-1919(おっぱい いくいく)
  長岡探偵事務所まで!
                                」



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:32:09.15 ID:DDQVHrfkP
この手の貼り紙に付き物の写真は、ない。
  _
( ゚∀゚)「……ふうっ」

春先ではあるが、日差しは白く強い。
アスファルトの照り返しを受けて溜息を付く。
  _
( ゚∀゚)「ま、ダメモトだよな。
     無理なら無理で、次の手を考えるかな」

ジャケットの胸ポケットから煙草を取り出し、手近な塀に寄りかかってくわえる。
100円ライターで火を付け、胸一杯に吸い込んで吐き出した。

軽く目を瞑る。
  _
( -∀-)「ったくよぉ……なんで俺は、こんなトコでこんなコトしてんだ?
      ……いや。分かってるんだよ。分かってるんだけど、こう……」

弁解めいた独白。
天を仰ぎ、目を閉じたまま煙を吐く。
閉じた瞼に陽の光が差し、橙色に染まるように感じられた。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:34:50.92 ID:DDQVHrfkP



――依頼主が事務所を訪れたのは、週末の昼過ぎのことだった。



川 ゚ -゚)「なんだここは。犬小屋か? それともウサギ小屋か?
     入り口に、探偵事務所、と書いてあったから来てみたのだがな」

ドアを開くなり言い放った声に、ジョルジュはそれと気取られないように肩を竦めた。
  _
( ゚∀゚)「いや、残念ながらどっちもハズレ。
     正真正銘の人間小屋だよ」

川 ゚ -゚)「そうか。悪いな。
     だが、小屋にしては飼い主がいるような身なりには見えんが。
     野良人間か?」

眉一つ動かさずに言い放つ女。
その身なりに素早く視線を走らせて、頭の中でソロバンを弾く。

それは、前職からのジョルジュの癖だった。
半ば以上、習慣化している。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:37:41.50 ID:DDQVHrfkP
シンプルな着衣は、一見してそれほど金がかかっているようには見えない。
それはつまり、見た通り安物か、さもなくば余程金がかかっているかのどちらかだ。

そしてこの女の場合、程なく後者だと判断が付く。
  _
( ゚∀゚)(上から下までで、しめてざっと7、80万。
     バッグも含めりゃ、100は行くかな。上客だな)

頭の棚の奥にソロバンをしまいながら、答える。
  _
( ゚∀゚)「あいにく、飼い主兼ペットでね。
     用件は何だい? 俺みたいな社会の底辺をあざ笑いにでも?
     それなら悪いけど、相手は駅前にたむろしてるヒマ人相手にしてくれねえかな」

川 ゚ -゚)「悪いが、その気はない。
     急いでいる。すぐにでも話したい」

柔らかい物腰の裏に、他人に指図するのに慣れた人間特有の無遠慮さが見え隠れする声。

女は古いソファを無言で見つめていたが、やがて慎重に埃を払う。
ハンカチを取り出してその手を拭い、さらに裏返してソファに敷いてから腰を下ろした。
  _
( ゚∀゚)(いちおう、毎日拭いてんだけどな……)

ジョルジュはそれを見届け、女の差し向かいに腰を下ろす。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:40:00.62 ID:DDQVHrfkP
  _
( ゚∀゚)「はいはい。
     んで、ご用件は?」

川 ゚ -゚)「ペットを捜して貰いたい」
  _
( ゚∀゚)「……ペットぉ?」

思わず、オウム返しに聞き返す。

ペットの探し手程度、金持ちがわざわざこんな所まで来なくても、いくらでもあるだろうに。
女は口を開いたままのジョルジュに頷き返すと、ハンドバッグを開き手帳を取り出した。

川 ゚ -゚)「ああ。この子だ」

ページを捲り、挟んであった四つ切りの写真を取り出す。
彼はそれをテーブル越しに受け取り、覗き込む。
  _
(; ゚∀゚)「ちょ、おま、こいつ……」



そして、絶句した。





10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:43:45.90 ID:DDQVHrfkP
川 ゚ -゚)「ザラキーマちゃんだ。どうだ、可愛いだろう?」
  _
(; ゚∀゚)「あ、いや。その……まあ、そうだな。
     つうか、致死率高そうな名前だな……それより!
     こいつって、その……」

写真と女の顔を交互に見ながら言葉を濁した。

川 ゚ -゚)「ああ、見ての通りだ」
  _
(; ゚∀゚)「いやでも、こいつって……トカゲ、だよな?」

川 ゚ -゚)「違う。コモドオオトカゲだ。
     探偵の割に無学な奴だな」

即座に女は訂正する。
  _
(; ゚∀゚)「コモドオオトカゲ、ってさ。
     あーっと……ペットにしていいんだっけか?」

川 ゚ -゚)「いや。違法だ」

……写真に写っていたのは、鮮やかな青い鱗の、大きなトカゲだった。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:48:20.07 ID:DDQVHrfkP
コモドオオトカゲはワシントン条約で保護された動物だ。
これを破った場合、日本では「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に
抵触し、最大で一年以下の懲役、または百万円以下の罰金を課される。
つまり、犯罪行為だ。

ちなみに、コモドオオトカゲその歯から猛毒を分泌する。
噛まれれば、大人でも命が危ない。

川 ゚ -゚)「だから。わざわざこんな所まで来て、ここのようないかがわしい、
     社会の底辺に吹きだまるゴミの山にたかるハエに依頼している。
     金なら払う。異論は?」

ジョルジュは腕を組み、瞑目する。

実は、特に悩んでなどいない。
どんな客でも、依頼があれば最大限相談に乗る。
それが「長岡探偵事務所」のスタンスだ。

ただ、ポーズは必要だ。
少なくとも、不必要に安値で買い叩かれない程度には。
  _
( ゚∀゚)「……ハエ扱いされんのは困るけどさ。
     出すモン出してくれりゃ何だってするぜ?
     ゴミの山漁りでも、もちろんペット探しでも。それに……」

明るい色のブラウスの開いた襟から覗く、豊かな胸の盛り上がり。
ちらり、とそこに視線を向ける。
  _
( ゚∀゚)「……あんたのその、たわわなおっぱいを毎日マッサージでも。何でもござれだ」



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:53:29.09 ID:DDQVHrfkP
川 ゚ -゚)「そうか。見下げた……失礼、見上げた根性だ。
     では頼もうか」

女は、一向に意に介さない。
  _
( ゚∀゚)「ぜってぇワザと言い間違えただろ……アンタ。
     ま、いいけどな。
     じゃ、その金の話だけど。とりあえず……こんぐらいかな?」

テーブルの上の電卓を手早く叩き、数字を女に見せる。
  _
( ゚∀゚)「これが基本料金。必要経費は別途になるけど、いいかい?」

続く言葉は女に聞こえないよう、心中で付け足す。
  _
( ゚∀゚)(ま、迷惑料にチップ、リスク分の上乗せ込みで……だけどな)

女の身なりと依頼の内容からから彼が割り出した報酬額は、相場の5割増しだった。

川 ゚ -゚)「ふむ」

電卓を覗き込み、女は腕組みして眉を寄せる。
  _
(; ゚∀゚)(やべ。ちっと吹っ掛けすぎた……かな?)

彼が提示した金額に疑問を持っているのだろうか。



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:54:52.21 ID:smYkp9U/0
支援
ながらなのか…?


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:56:11.72 ID:DDQVHrfkP
内心冷や汗を流す彼をよそに、女は電卓に手を伸ばした。

磨かれた爪の細い指が、電卓のボタンに触れる。

川 ゚ -゚)「相場というものが良く分からんが……いいだろう。
     この程度は出すが?」

女の指が、電卓の文字盤を押す。
「×」、「2」、そして「=」。
  _
( ゚∀゚)「……予想外。
     マジで?」

川 ゚ -゚)「ザラキーマちゃんは家族同然だ。
     無論、払った分の働きはして貰うぞ」
  _
(; ゚∀゚)「あ、ああ。了解だよ。えーと……」

川 ゚ -゚)「クーだ」

その女、クーは手帳のページを破り、電話番号を書き付けると机に置いた。

川 ゚ -゚)「見つけたらここに。何もなくても、最低1日おきに連絡しろ。
     経費で遊び回られては、さすがに困るのでな」

それだけ言って、彼女はソファを立つ。
来たときと同じように無言でドアを押し開け、頭を下げるどころか、振り返りすらせずに
出て行った。



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:56:26.04 ID:kM3GwJm80
ながらでこれだとしたら、俺は驚く


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 21:57:56.31 ID:DDQVHrfkP
  _
( ゚∀゚)「……あー、よろしく」

別れの挨拶を呟く。
それは彼女が去ってから10秒ほども後であり、従って彼女の耳には当然届かなかった。
  _
( ゚∀゚)「しっかし、どうしたモンかね?」

ぎしぎしとソファを鳴らしながら、ジョルジュは独りごちる。
その手から、ひらり、と写真が落ちた。

写真は、クーの態度のように素っ気なく半回転し、同じくテーブルに残されたメモの上に、
裏向きに軟着陸した。



30 :リアルタイム校正中でした。もう終わった:2009/06/12(金) 21:59:37.28 ID:DDQVHrfkP



――そして、出来ることと言えば、たったこれだけだ。



真昼の住宅地をあてどもなくさまよい歩き、見付けた電柱に張り紙を貼る。
30分もしないうちに、左脇の張り紙は最後の一枚になっていた。
  _
( ゚∀゚)「どれだけ効果があるか、分かったもんじゃないけどな。
     しっかし、違法ペットじゃ写真付けるわけにもいかねえ。
     ……ま、やれるだけのことはやった、ってことで納得しとくかな」

手に残ったそれを見つめながら呟く。
  _
( ゚∀゚)「……」

辿り着いた路地の先。
目の前を塞ぐ公道に面した門扉に、ふと目を遣る。

他のどの家よりも幅広く、高い鉄柵。
その内側には、ジョルジュの事務所が4~5個は収まりそうな庭が広がっている。
  _
( ゚∀゚)「けっ。ったく、土地の無駄遣いしやがって。
     こんなモン造るから、俺の事務所が手狭になんだよ」

整えられた植え込みに、青々と茂る芝生。磨かれた石畳が続く庭の奥には、彼が
事務所を構える雑居ビルに匹敵する大きさの邸宅がそびえ立っていた。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 22:01:13.78 ID:wmvYdkMw0
こういうハードボイルドいいな


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 22:01:15.84 ID:DDQVHrfkP
  _
( ゚∀゚)「……」

また溜息をひとつ吐き、門扉越しに中を見回す。
その溜息は、だが疲労から来るものとは違う。
  _
( ゚∀゚)「……俺は……いや、やめとこう。
     昔を振り返らないのが、俺の主義だしな」

呟き、邸宅の玄関を見る。

その彼の瞳にあるのは、羨望の色ではない。
もっと暗く、重い、何か。
それがひととき、細めた目の奥で光った。



その時、風が吹いた。


  _
(; ゚∀゚)「っとと――ありゃ?」

邸宅を見ていたジョルジュの腕から、張り紙が逃げ出す。
紙切れは風に煽られ、門扉の隙間から庭に飛び込む。

思わず門扉に手を付く。
吹き込んだ張り紙は、彼の目の前で庭の植え込みの奥に舞い飛び、消えた。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 22:03:05.53 ID:DDQVHrfkP
  _
( ゚∀゚)「……あーあ」

見送ってから、気の抜けた声を上げる。
  _
( ゚∀゚)「やっべ、やっちまったな」

庭に入らなければ、飛んでいった張り紙は取り戻せない。
だが、その為だけにこの邸宅の門を叩くのも気が引けた。

一瞬迷うが、結論はすぐに出る。

昔を振り返らないのが、彼の主義だ。
  _
( ゚∀゚)「ま、いっか。別に見張られてるワケでもねぇし。
     今日の所はこれで上がり、って神さんが言ってくれてるんだよな、うん」

やや気まずそうな視線を邸宅の庭に投げかけた後に、腕組みをして頷く。
  _
( ゚∀゚)「そうと決まれば、業務終了、と。
     いやあ、いいコトをした後は気分がいいぜ。
     んじゃ、帰るとすっか!」

自分に言い聞かせるように、また頷き。
行進でもするように大きく腕を振り振り、ジョルジュはその場を後にした。



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 22:06:11.25 ID:DDQVHrfkP



――その人物が庭に舞い込んだ張り紙を見付けたのは、ジョルジュが去ってから数分の
後のことだった。



    「あ――」

静かな庭に、ためらいがちな声が上がる。

    「……?」

かがみ込み、庭石に引っかかっていたその紙切れを手に取る。
文面に目を走らせ、次いで立ち上がり周囲を見回す。

    「……これって……」

立ちつくすその人物の、張り紙を持つ手とは反対側の手。
困り果てた様子で、その手の中にいる「もの」を見下ろす。

    「……ザラキーマ……ちゃん?」

張り紙に印刷された、そのトカゲのものとおぼしき名前。
それを困惑気味に口に出すその人物の脇で、鮮やかな青い鱗のトカゲが、ゆるゆると
目をしばたたかせた。



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/12(金) 22:09:22.11 ID:DDQVHrfkP

    「…………っ」

脇のトカゲ、手にした張り紙、外の世界に繋がる門扉を。
そして振り返り、邸宅の大きく、厚く、重い扉を。

それら全てを何度も、目まぐるしく見て、唾を飲み。
やがてその人物は、意を決して一歩を踏み出した。



視線の先は――閉ざされた門扉の閂だった。






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