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◆*(‘‘)*ふたりは!ディスガイザーのようですl从・∀・ノ!リ人  第1話 「掌」

前の話/インデックスページ/次の話

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:00:37.21 ID:9K/cX2n90
おれの顔を隠していたのは、暗闇だけじゃなかった。
濃い色のサングラスと鼻の上まで引き上げたマフラーが、全てを覆い隠していた。

それでもおれは視界の不自由を感じない。
常人よりよっぽど早いスピードで、路地裏の壁面を全速力で走れる。
ブーツの底を貫いて、足の裏から生やした金属片が、しっかりと壁面をつかむ。

はぁ、はぁ、はぁ。

どくん、どくん、どくん。

荒く、不規則な呼吸。喉元までせり上がって跳ねる心臓。
それらは疲れによるものでも、運動によるものでもない。


おれは脅えていた。

何に?
おれたちと、おれたちを生み出した者、抹殺しようとする者、全てに。

おれたちは恐怖していた。


秋風に、少々気の早かった分厚いコートと赤いマフラーが翻える。おれは、走る。


-----------------------×8--キ-リ-ト-リ-------------------------------



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:04:04.99 ID:9K/cX2n90


*(‘‘)*ふたりは!ディスガイザーのようですl从・∀・ノ!リ人

第1話 「掌」





23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:07:08.11 ID:9K/cX2n90
小春日和の風が小学校の白いカーテンを揺らしている。
天高い青空に紗のような雲が薄くたなびき。
優しい午後の陽光の中には柊の花の香り。


*(‘‘)*「はわ~……ねむ……」


3-2教室の窓際。
私、沢近ヘリカルは机に突っ伏して外を眺めていた。


( `ー´)「……はい、じゃあ以上で今日の連絡は終わりじゃネーノ!」


担任の若い男性教師の、日直さん、という声で号令がかかる。


「きりーつ、れい! さようならー!」

「「「さよーならぁー!」」」


クラスメイトのきゃいきゃいと騒ぐ声が教室中に溢れた。
大あくびと共に、うんと伸びをする。



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:11:30.47 ID:9K/cX2n90
その大きく伸び上がった両腕と顔の間。
両側から小さな白い手が現れた。


l从・∀・ノ!リ人「へーりかるちゃんっ! ずいぶん眠そうなのじゃ!」

*(゚う‘)*「妹者ちゃぁー……」


こんな良い天気、給食食べた後、昨日の深夜映画で寝不足、と三拍子が重なっているのだ。
当たり前の現象だ、と私は思う。

うんうんと頷きながら、既に空色のランドセルを背負った妹者ちゃんに急かされ、机の中身をまとめ始めた。


l从・∀・ノ!リ人「はやくはやくぅ!」

*(‘‘)*「妹者ちゃん早すぎですよー」


お気に入りのピンクのランドセルを背負い、私達は教室を出る。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:15:04.71 ID:9K/cX2n90
*(‘‘)*「ネーノ先生さようならぁー!!」l从・∀・ノ!リ人

( `ー´)「はい、さようならなんじゃネーノ」


教員机から手を振る担任に挨拶をするが早いか、廊下をぱたぱたと蹴り出して行く。
小学生は元気いっぱいなのだ。


( `ー´)「あーあー。走って転ぶんじゃネーノ?」


*(;‘‘)*「どあぁーっ!?」

l从;・∀・ノ!リ人「ひやぁ! ヘリカルちゃん大丈夫なのじゃー!?」


リノリウムと上履きのゴム底の擦過音と、柔らかい物が固い平面に落ちる音。
それに続く私の奇声に、担任は苦笑の溜息が聞こえた。
私は鈍い痛みにうめき声をあげた。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:19:48.89 ID:9K/cX2n90
*(;--)*「あででで~」

l从;・∀・ノ!リ人「だいじょぶなのじゃ?」

*(;‘‘)*「うん、ちょっとアザできただけですー」


妹者ちゃんと並んで校庭を横切り、家路を歩む。
沢近家は妹者ちゃんの暮らす流石家の向かいである。


*(‘‘)*「妹者ちゃん今日も夜まで一人ですか?」


くる、とかかとで振り向きながら問う。


l从・∀・ノ!リ人「うん。姉者もシャキン義兄さんも、今日はおそいのじゃ」

*(‘‘)*「そか。
     ……ウチよってきます?」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:24:00.95 ID:9K/cX2n90
妹者ちゃんの家族環境はかなり特殊だ。
元はご両親とお姉さんと、双子のお兄さんたちという大家族だった。
しかし、現在はお姉さんと、その旦那さんとの3人暮らし。

ご両親は4、5年前に亡くなって。
お兄さんたちは、同じ頃から東京でお仕事。
お姉さん夫婦と一緒に暮らしている。


l从^∀^ノ!リ人「うんなのじゃ!」


彼女はきっとそんな環境を引け目とは思っていない。
その原因の一つが、幼馴染の私、ヘリカルというわけである。
自他ともに認める事実なので、隠しはしません。はい。


*(‘‘)*「んじゃコンビニ寄ってこ。
     ジュースとおかし無いですしー」


ランドセルから、精一杯背伸びした長財布を取り出しながら。
私達はコンビニエンスストアの自動ドアをくぐった。



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:00:13.07 ID:3LC5ccKTO
さすが兄弟が・・・仕事・・・!?



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:28:16.65 ID:9K/cX2n90
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ-------------------------------


朝が過ぎ、昼が訪れた。

背中一面に鉤型の刃物を生やしてコンクリートに引っ掛かる事数時間。

立体駐車場の外壁にぴたりと張り付いているのも限界だった。
眼下では今だに特殊捜査員がおれを探してるんだろう。

重力に引っ張られて落ちていかないよう、サングラスとマフラーはお役御免。
丸めてポケットに突っ込む。

その手でそっと取り出した携帯電話を操作して、仲間に連絡する。
ワンコールも無い内に表示が通話状態になった。


『貴方から連絡があることはわかってますよ、レッド』

「アヒャヒャ?」

『まだまだ下には特捜員が沢山いるようです』

「あぁーう、アヒャっ!」



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:32:24.16 ID:9K/cX2n90
『え、それはいけませんよ。
 一般人の迷惑も考えて御覧なさい』

「あひゃぁあ……」

『我慢ですよ、我慢。ね?』

「アッヒャ!」

『良い子です』


子供扱いしやがる。
彼はいつでもそうだ。

でも、おれ意外にもそんな感じだから、怒るのは勘弁してやっているのだ。


『ふふ、それはありがとう』

「っ、アッヒャァァっ!」


そんな所まで読まなくていいのになぁ。



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:36:18.56 ID:9K/cX2n90
『良いではないですか。貴方が会話できるの、私だけなんですから。
 仲良くなった方がお互い楽しいでしょうに』

「あぁあーひゃ、アヒャウ」


それで楽しいのはお前だけだ。


『……ええと、帰還方法を考えるんでしたね』


逃げたな。


『今回の捜索は随分と警察犬を導入しています。
 貴方、何かニオイのついた私物を落としませんでしたか?』



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:40:03.27 ID:9K/cX2n90
「あっひゃん」

『え、手袋!? それはまた……随分と御あつらえ向きな』

「アヒャ、あひゃひゃっ?」

『いえいえ、大丈夫です。
 まずは……そうですね』


手始めに、留守の一般民家に空き巣に入れ。

ブルーめ。随分と俗っぽいミッションを指定してきたものである。
抗議の声は、彼の含み笑いとミッションの詳細にかき消された。

楽しいのはお前だけだと小一時間。


-----------------------×8--キ-リ-ト-リ-------------------------------



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:44:24.03 ID:9K/cX2n90
l从・∀・ノ!リ人「ヘリカルちゃん、にもつ交代するのじゃ」

*(‘‘)*「んー。あそこの角まではこびますよー」


ジュースパックの入ったコンビニ袋と、軽いお菓子の入ったそれを分担して。

曲がり角ごとに交換で運んできたが、飲み物ってどうしてこんなに重いのだろう?
パパの事はチビガリ貧弱と思っていた。
しかしママ用のビールケースを重ねて運べるって事は、脱いだら凄いのかもしれない。

……いや、あんまり凄くなかったな。


l从・∀・ノ!リ人「はい、こーたい」

*(‘‘)*「おかしは軽くてえらい子ですねぇ!」

l从・∀・ノ!リ人「ジュースわるい子なのじゃ?」

*(‘‘)*「ダイエットのてきですから」

l从;・∀・ノ!リ人「それは……おかしもなのじゃ!」



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:48:19.89 ID:9K/cX2n90
身も蓋もないような話をしながら角を曲がると、我が家の門柱が見えた。

駆け寄って玄関のドアに手をかける。


*(‘‘)*「れ? しまってる」


がち、と固い手ごたえ。
すぐにランドセルを開いて鍵を探した。


l从・∀・ノ!リ人「おるすなのじゃ?」

*(‘‘)*「みたい」

l从・∀・ノ!リ人「妹者おじゃましてもいいの?」

*(‘‘)*「かって知ったるってやつです!」


ドアを開けて、靴を脱ぎリビングに入る。
テーブルの上にメモを発見。



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:52:25.90 ID:9K/cX2n90
『ヘリカルちゃんへ
  
  パパと2人で、おかいものに行ってきます。
  おやつは、れいぞうこですよ。
  
  手洗いうがいをしてね!』


*(‘‘)*「おかいものみたいです」

l从・∀・ノ!リ人「なるほどなのじゃ。
         ん、ヘリカルちゃん、後ろにも書いてあるのじゃ!」

*(‘‘)*「んんー?」


『ついしん

  今日のお手伝いは、おふろそうじです。
  がんばって♪』



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 00:56:04.78 ID:9K/cX2n90
*(‘‘)*「おふろそうじです」

l从・∀・ノ!リ人「手伝うのじゃー!」


重いジュースパックを冷蔵庫に入れて、お菓子の袋をテーブルにおいて。
2つのランドセルは私の部屋へ。


l从・∀・ノ!リ人「おふろ洗い~♪」

*(‘‘)*「おふろそうじ~♪」


靴下を脱いで、濡れても良いように、体操着のハーフパンツに履き替えて。
いざ風呂場へ!



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:00:20.90 ID:9K/cX2n90
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ-------------------------------


まずい。
何がまずいかと言うと、全部まずい。

空き巣中に子供が帰ってきた。

しかも自分は今、都合上動けない。

まずい。
最悪通報される。

心底うらむぞ。ブルー!

ああ、どうしたらいいんだ。

夜の闇でサングラスをかけても良く見える目も、今は開くこともできない。
壁を走ることの出来る足も、すくんで動かない。

なぜならば……



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:05:18.04 ID:9K/cX2n90
ぱた、ぱた、ぱた。


『おふろそうじ~♪』

『おふろあらい~♪』


ぱた、ぱた、ぱた。


なぜならば!


がちゃり。


*(‘‘)*「おふっ……ッ!?」l从・∀・ノ!リ人


おれは今


(; ∀ )「っ!!」

*(;‘‘)*「……」l从;・∀・ノ!リ人



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:08:40.50 ID:9K/cX2n90


シャンプー中であるからだ!!



「「ぎゃぁああああああああ!!!!」」
「アヒャァアアアアアアアア!!!」


ばったん。


-----------------------×8--キ-リ-ト-リ-------------------------------



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:14:48.74 ID:9K/cX2n90
*(;‘‘)*「……」

l从;・∀・ノ!リ人「……」


妹者ちゃんと私は、閉じた風呂場のドアに手をかけたまま、放心したように立っていた。

数分後。
思い出したように擦りガラスの向こうの人影が動き、シャワーの音が静寂を破る。

ざあざあと降り注ぐその音で我にかえった。
横の妹者ちゃんも金縛りが解けたようで、2人で顔を見あわせ。


l从;・∀・ノ!リ人「ヘリカルちゃん」

*(;‘‘)*「妹者ちゃん」


こしょこしょ話の音量で、私達は現状を把握しようとした。



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:18:24.89 ID:9K/cX2n90
l从;・∀・ノ!リ人「お、おちつくのじゃ。
         えっと、ここはヘリカルちゃんの家で間違いないのじゃ?」

*(;‘‘)*「うん。ママの手紙もあったし……」

l从・∀・ノ!リ人「お客さんなのじゃ?」

*(‘‘)*「ううん、そんな話聞いてないです。
     玄関の鍵閉まってたですぅ」

l从・∀・ノ!リ人「……東京に行ってたお兄ちゃんが帰って来たのじゃ?」

*(‘‘)*「私1人っ子ですよう。
     それは妹者ちゃんのお兄ちゃんです」


ここまで一気に話す。

そして、一瞬の間。

そうか。あいつは、



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:22:25.75 ID:9K/cX2n90
*(‘‘)*「へ、へんたいだー!!」l从・∀・ノ!リ人


そうかそうか。
変態か。
その上空き巣か。よーしわかった。ヘリちゃん通報しちゃうぞー!



*(‘‘)*「たいへんだ。おまわりさんにデンワしよう!」

l从・∀・ノ!リ人「えっデンワするのじゃ!?」

*(‘‘)*「うん、捕まえてもらわなきゃ」

l从・∀・ノ!リ人「でも、本当にどろぼうなのじゃ?
         まちがいだったら……」

*(‘‘)*「知らない人がおふろでシャンプーしてるんです!
     これはデンワしなきゃ!」


つーほーするんです! と、声を上げたとき。
タイミング良くシャワーの音が止んだ。



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:27:23.15 ID:9K/cX2n90
『……ぁ』

*(;‘‘)*「ひぃ!」


曇った擦りガラス。
そこに、不審者の指が器用に文字を書いた。


*(‘‘)*「『た』」

l从・∀・ノ!リ人「『お』」

*(‘‘)*「『る』」

l从・∀・ノ!リ人「『と』」

*(‘‘)*「『つ』」

l从・∀・ノ!リ人「『て』?」


『あひゃ……』


たおる?
ああ、コレ。はいどうぞ。


『あっひゃ!』



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:31:41.89 ID:9K/cX2n90
l从・∀・ノ!リ人「……ほんとに知らない人なのじゃ?」

*(‘‘)*「うん」


知らないよ、というも、妹者ちゃんの目は疑いの眼差しだ。


l从・∀・ノ!リ人「知らない人とは思えないのじゃが」

*(‘‘)*「ですよねー」


『あひゃ!』


がちゃ。

ノブの回る音がして、私達は身を縮めた。
ゆっくりと開く浴室のドアから、暖かい蒸気と、知らない顔。


|∀゚;)「っあ、ひゃ?」



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:35:49.53 ID:9K/cX2n90
らんらんと輝く瞳と、不自然に作った笑顔。
高校生か、もしかすると大学生かもしれない。
パパより、妹者ちゃんの家のシャキンさんより大きい背丈と、太い腕。

私達は背中に氷を入れられたように直立した。


*(;‘‘)*「ひぃ!」

l从;・∀・ノ!リ人「ころさないで!」


即座に両手を挙げ、全身で無抵抗の意を表す。

パパママさようなら。
死ぬ前に愛しいアノ人に会いたかったよ!

涙目の私達に向かい、腰タオル一丁の不審者は必死にかぶりを振っていた。



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:39:30.57 ID:9K/cX2n90
(; ゚∀゚ )「あひゃ! あひゃひゃっ!」

*(‘‘)*「ほえ?」

(  ゚∀゚ )「アヒャン!」


そうっと右手を差し伸べてくる。
私達の目線と同じ高さで、控えめに。

その右手からは、何故か。
私達を叩こうとも、つねろうともしない意思が漏れ出していた。


l从;・∀・ノ!リ人「こ、こうなのじゃ?」


妹者ちゃんが、おそるおそる不審者の右手を握り返す。



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:43:11.92 ID:9K/cX2n90
(  ゚∀゚ )「あひゃ!」


握った手をぶんぶん振って、友好の意を表す。
そして、私の目の前にも、もう片方の手を差し出す。


*(‘‘)*「左手のあくしゅはライバルがするんですぅ」

(; ゚∀゚ )「あぅ」


少々怯んだ後に、妹者ちゃんに解放された右手がそろりと出てきた。


*(‘‘)*「こうですか?」

(  ゚∀゚ )「ひゃっ!」


ぶんぶん。
腰タオル一丁の目の前で、私達は顔を見合わせ。
破顔した。



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:47:40.01 ID:9K/cX2n90
-----------------------×8--キ-リ-ト-リ-------------------------------


危なかった。
実に、危なかった!

それもこれも、あいつの所為である。


『まず、適当な民家に空き巣に入りなさい。

 風呂にでも入って、体のニオイを変えなければ。
 ホテルでも構いませんが……多分この時間では清掃が入っているでしょうね。

 あ、ラブホテルならいけるんじゃないでしょうか? 窓からちょちょいと。

 それから……そうですね、服も。問題ないようなモノを失敬して下さい。

 どうやって、って。
 コトに励んでいる間に足元から掠め取ってくればいいじゃないですか。

 何、嫌だ? ならば空き巣ですね。はい決定。

 ……非人道的って……貴方、捕まりたいんですか?
 
 窃盗罪。
 はは、微々たる事ですよ。では、御武運を祈ります』



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:48:58.84 ID:RjpzHg2JO
あれ、まさかのグロぼの…?



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:51:01.09 ID:9K/cX2n90
帰ったら殴ってやろう。
あ、ダメだ。首の骨を折ると面倒だし。

デコピンの刑、もダメだな。
しっぺの刑……折れる。

あの軟弱者め。
仕返しにまで気を使わせるとは!

考えた末に、目の周りにメンソレータムを塗る刑に決めた。

腰タオル一丁で一人納得していると、後ろから声を掛けられる。

耳の上で二箇所をお団子にし、後は後ろに流す、という女児特有の髪型。
そんな少女が布の塊を差し出していた。


*(‘‘)*「はい、これ。
     パパの洋服の中では一番大きいんだけど」

(  ゚∀゚ )「アヒャ!」


ヘリカル、と名乗ったこの家の少女から服を受け取る。
携帯のメール画面に『ありがとう』と打ち込み、少女に見せた。



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:55:14.79 ID:9K/cX2n90
ヘリカルの後ろから、ショートカットの少女がもう一人現れ、画面を覗き込んだ。


*(‘‘)*「どーいたしましてです」

l从・∀・ノ!リ人「わるものに追われているなんて、たいへんなのじゃ」


……嘘はついていない。
2人には、自分はヘリカルの両親の古い友人だと説明した。

サイズの小さいシャツを羽織り、ダボついたカーゴパンツに脚を突っ込む。


*(‘‘)*「アヒャさん。ジュースのむです?」

(  ゚∀゚ )「あう」

l从・∀・ノ!リ人「オレンジなのじゃ!」

(  ゚∀゚ )「ひゃ!」


大きく頷くと、少女達は台所の方に駆けて行った。
確かに、昨晩から公園の水しか飲んでない。
その上走り通しであった。

ありがたく馳走になるとしよう。



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:56:35.18 ID:RjpzHg2JO
餌付けされてね?w



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:59:15.12 ID:9K/cX2n90
*(‘‘)*「はい。おかしもいります?」

(  ゚∀゚ )「アヒャン?」


良いのだろうか?


l从・∀・ノ!リ人「きらいなのじゃ?」

(  ゚∀゚ )" 「あひゃうぁー」


願っても無い栄養食である。
くれるならば、戴こう。

3等分された板チョコと、コップ1杯のオレンジジュース。

がつがつと食して、ふぅと息をついた。

もう一度携帯を開いて、メッセージを打ち込み、見せる。



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:02:18.08 ID:9K/cX2n90
(  ゚∀゚ )『ごちそうさま。おいしかったよ』

*(‘‘)*「はぁい」

l从・∀・ノ!リ人「良かったのじゃー」

(  ゚∀゚ )『じゃあ、おれはそろそろ行かなくちゃ』


コートから財布を抜き取って、パンツのポケットに詰め。
携帯電話をぱちんと閉じる。

靴、は……ニオイがうつっているから諦めよう。
台所から1枚抜き取ってきたゴミ袋に、着ていた服を全て詰め込み、靴も放り込む。

中庭に面した窓を開け放つと、ふんわり芝と土の匂い。
室内を振り返る。
笑顔で手を振って、外へ飛び出した。


-----------------------×8--キ-リ-ト-リ-------------------------------



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:06:03.61 ID:9K/cX2n90
*(‘‘)*「……あんなとこから」

l从・∀・ノ!リ人「行っちゃったのじゃー」

*(‘‘)*「やっぱり、どろぼうだったんじゃないです?」

l从・∀・ノ!リ人「おふろ入ってただけなのじゃ」

*(‘‘)*「パパの服と、おかし」

l从・∀・ノ!リ人「あ、」


妹者ちゃんと2人、ぽかんと窓を見上げた。

開け放した窓を閉めようと手を伸ばす。
その耳に、玄関の方からの喧騒が聞こえた。

大きな犬が何頭も吼える声。
男の人が誰かを呼ぶ声。

高々とドアチャイムが響き渡った。



60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:12:04.62 ID:9K/cX2n90
*(‘‘)*「はーい?」


チェーンをかけたままドアを開いた。
そこには、スーツの男の人が立っていた。

  _
( ゚∀゚)「やーこんにちは。お嬢さん」


悪い奴っぽい。
あと眉毛。

  _
( ゚∀゚)「この辺で変な人見なかった?」

*(‘‘)*「え?」


訂正。
きっとアヒャさんを追いかけてる悪い奴だ。


*(‘‘)*「知らないー」
  _
( ゚∀゚)「おーかしィなあ?
     ワンちゃん達がここだって言うんだよねぇ?」



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:16:14.62 ID:9K/cX2n90
がるぐる、がるぐる。
大きな犬が唸り声をあげる。


l从;・∀・ノ!リ人「ヘリカルちゃん、どうしたのじゃ……?」

*(‘‘)*「知らないですうっ!
     私達しか居ないもんー」

「じゃぁさァ」


眉毛の男の後ろから、保健室の先生みたいな格好の女性が現れ。


从 ゚∀从「ん……何にも無いなら調べてもいいよなァ?」
  _
( ゚∀゚)「高岡さん、ついて来てたんですか」


にかりと笑い、私達と目線を合わせるようにしゃがんだ、高岡という女性。

赤いVネックのセーターから、控えめな白い胸元が見えた。
上から着た白衣のポケットに入った手が大きいニッパーを取り出す。

ばきん。



62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:20:42.70 ID:9K/cX2n90
*(;‘‘)*「は、え!?」

从 ゚∀从「オラ、全員入れ!
      家宅捜索だ」


断ち切られたドアチェーン。
どかどか踏み込む大型犬とスーツの男達。

高岡はドアの前でニッパーを弄び、眉毛はその横でうな垂れていた。

 _
(;゚∀゚)「高岡さぁーん……
    どーすんですかコレ」

从 ゚∀从「経費で落としてv」
  _
( ゚∀゚)「落ちっかなあ」


後ろでは、妹者ちゃんが震えていた。


l从; ∀ ノ!リ人「ぁ、うあ……」

*(‘‘)*「妹者ちゃん?」

(-@∀@)「高岡さん、長岡さん。生活反応ありません。
      ニオイも風呂場で途切れてます」



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:24:22.27 ID:9K/cX2n90
犬を連れて入っていった中の1人が外の男女に声を掛ける。
やっぱりアヒャさんの事だ。
なんなんだこいつら。なんなんだチョコボール。


从 ゚∀从「ん、ちくしょ、せっかく良い所まで追い詰めたのにな」
  _
( ゚∀゚)「あのヤロー暴走しやがるな」

*(‘‘)*「ぼうそう……」

从 ゚∀从「ん? そーさ。
      放っておいたら、日本どころか全世界が奴らのモンになる」


そんな、テレビのヒーローショーのような台詞を吐く。
悪い顔のせいで悪役にしか見えないのに、だ。


l从・∀・ノ!リ人「どうして?」

从 ゚∀从「アイツらは暴走してんだ。
      止めてやらなきゃ、奴ら自身もブッ壊れるんだよ」

*(#‘‘)*「ぼうそうなんて、してなかった!」

l从#・∀・ノ!リ人「そうなのじゃ!
         優しかったのじゃ!」



65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:28:04.37 ID:9K/cX2n90
高岡は、私達の言葉に噴出し、こういった。


从 ゚∀从「やっぱ、お前ら会っただろう。
      レッドに」

*(‘‘)*「レッド?」


やはり私の頭にはヒーロースーツの戦隊リーダー。
高岡は、言ってる事は正義の味方だけど、やってることは悪役だ。

正義のヒーローを追いかけてるのは、悪い奴に決まってる。


从 ゚∀从「ん、違うか?」

l从・∀・ノ!リ人「知らないのじゃ」

从;゚∀从「あれェ? 決まったと思ったのにな」
  _
( ゚∀゚)「カッコわりーっす」

从 ゚∀从「うるせー! んじゃとりあえず、総員撤収!
      捕獲はまた今度」



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:34:06.04 ID:9K/cX2n90
またゾロゾロ家から男達が出ていく。
その男達の足音に負けないように、妹者ちゃんが声を張り上げた。


l从#・∀・ノ!リ人「アヒャさんは動物じゃないのじゃ!
         ほかくじゃないのじゃ!」

从 ゚∀从「アヒャさん?
      レッドの事じゃねーの、それ」

*(‘‘)*「ちがうよ!」

从 ゚∀从「喋れなくて、『あひゃ』しか言わない男なんだが?」

l从・∀・ノ!リ人「……ぁ」


アヒャさんがレッドで。
レッドは暴走してて。
暴走止めないとアヒャさんも日本もどっかーんで。

優しそうで。
喋れなくて。
掌が大きくて、あったかい。



68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:38:14.27 ID:9K/cX2n90
( ゚∀゚)「っと、心当たるよなぁ?
     風呂から逃がしたんだろ? おい!」

从 ゚∀从「やめーろって長岡。怖がってる」


怖がってなんか、ねぇよ。


*(‘‘)*「……レッドさん、捕まえるんですか」

从 ゚∀从「ん、そーよ?」

*(‘‘)*「捕まえたら、レッドさん。
     どっかーんってなりませんか?」

从 ゚∀从「ならねェよ」

*(‘‘)*「絶対?」

从 ゚∀从「あたしがさせねー」

l从・∀・ノ!リ人「へりかるちゃん……」



69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:42:39.35 ID:9K/cX2n90
高々と腕組みして、私は言い放った。


*(‘‘)*「本当に約束すんなら、教えてもいーですよ?」

l从;・∀・ノ!リ人「ヘリカルちゃんっ!?」


高岡は、ちょっと面食らった。
そして、大口あけて笑い出した。


从 ゚∀从「あっはは! 分かった。
      心配なんだ?」

*(‘‘)*「そーです」

从 ゚∀从「教えてくれなくていい。
      だから、アンタ達で捕まえてくれない?」

*(‘‘)*「いーですよ!
     ……ん?」



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:46:22.76 ID:9K/cX2n90
何だと?
教えてくれなくていい?

ワンモアセッ!


从 ゚∀从「だーぁら、アンタらが協力してくれりゃぁいーの!
      地球のハッピー。アタシらハッピー。奴らも、ハッピーさ」


何それ。
私達に何が出来るって言うのだ。

ただの小学3年生に。


从 ゚∀从「アンタらは、レッドと接触しちまった。
      もう既にこっちの人間だよ」

l从・∀・ノ!リ人「こっちって何なのじゃ?」

从 ゚∀从「地球環境清浄協会。
      レッドと仲間を助けられるのは、事情を知ってる子供だけ」


他の協会員は全員大人。
アンタらしかいないんだ。

だなんて、そんなの、信じられない。



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:50:09.69 ID:9K/cX2n90
( ゚∀゚)「高岡さァン!
     まさかアレを……」

从 ゚∀从「大丈夫だろ。
      そろそろ実用できる」


信じられないけど。


*(‘‘)*「妹者ちゃんは、」

l从・∀・ノ!リ人「ヘリカルちゃん。
         それはダメなのじゃ」

*(‘‘)*「わかった」

从 ゚∀从「手伝うか?」

*(‘‘)*「うん」l从・∀・ノ!リ人


アリスのチェシャ猫のような笑い方。



73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:53:17.91 ID:9K/cX2n90
機嫌の良さそうな高岡は、私達の肩を掴んだ。


从 ゚∀从「痛ぇぞ? 傷は残らねぇケド。
      辛いし、大変だぞ」

l从・∀・ノ!リ人「ビビると思ってるのじゃ?」

*(‘‘)*「ナメてるね、高岡さん」


眉を上げる高岡の横を妹者ちゃんがすり抜ける。

音も無く、死角から。
呆れ顔の長岡に近づき、玄関脇の壁にもたれた彼の右膝に左足で飛び乗る。

助走をつけた彼女の膝蹴り。
狙うは、片足の重量バランスを崩した長岡が上げた顎。
掬い上げるような打撃が脳を揺らす。

久しぶりに見た。
効果はなかなか。



75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:58:33.74 ID:9K/cX2n90
ど、と。
白目をむいた長岡の倒れる音。

そちらを振り返った高岡の耳の下を控えめに突く。


从;゚∀从「う……っ!?」

*(‘‘)*「高岡さんは女の人だから、一瞬だけ。
     くらっとしたでしょ」


首筋を押さえ、地面にぺたりと座る高岡。
その瞳は、脅えや驚きではなく。

ただ知識欲に燃えているように見えた。


从 ゚∀从「名前は? お嬢ちゃん方」

*(‘‘)*「沢近ヘリカル」

l从・∀・ノ!リ人「流石妹者」

从 ゚∀从「ヘリカルと妹者か」



76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:00:09.92 ID:9K/cX2n90
よろしく、と差し出された高岡の掌。
アヒャさんのそれより、細く、白く、柔らかく。
そして、ひやりと冷たかった。



第1話 「掌」 おわり





77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:01:46.30 ID:9K/cX2n90
支援など、レスありがとうございました

こんな過疎地でさるに出くわさなかった

質問などあれば受け付けます



78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:05:49.22 ID:RjpzHg2JO
乙です
ジャンルは幼女グロバトルって感じですかね?



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:08:47.89 ID:9K/cX2n90
>>78
なんという新ジャンル
まだ模索中ですが、バトルらしいバトルはあんまり期待できません
グロはそこそこです

プリキュアっぽいほのぼの書こうとしてたのに



80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:11:59.62 ID:9K/cX2n90
見てくれた人お疲れ様でした
とりあえず今日はこれで

ID:RjpzHg2JO特にありがとう

おやすみなさい



81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:15:44.64 ID:RjpzHg2JO
>>79
じゃあグロぼのでいけばいいと思うよ!
おやすみー



82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:18:54.78 ID:RLnFRv740
乙。腹が黒そうな主人公でwktk



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:41:58.50 ID:/V8vDY+MO
ククク…幼女か…



84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 03:43:37.47 ID:MC/16tkUO
面白かった。続きに期待。
乙!



85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 05:20:13.84 ID:WxVqeXZT0
新たなグロぼのかちくしょう


正直好物です



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