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◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋ギコ~のようです 七日目 深夜

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27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:15:14.43 ID:5tKSzhvc0
困った時は助けを呼ぼう。
電話のボタンをプッシュして、あの番号にかけるんだ。
彼が出たらこう言うのさ。

「もしもし○○ですか?今すぐ助けに来てください」

…ってね。
ギコール・ハニャーンは知り合いが多い。
袖振り合うも多生の縁、とはよく言うが、まさかこんな人にまで……


(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋ギコ~のようです


七日目 深夜
『DISTANCE!俺の値段を誰が決めた?』


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:18:14.91 ID:5tKSzhvc0
どこかの世界の、いつかの時間。
とある国の、とある町の、暗くなり始めた河原の下流。
そこで本日のメンバーは涼やかな銀髪の青年と出合った。

(´・ω・`)「…貴方達もこれを探していたんですか?」

手には探し物らしきカセットテープが乗っていた。
濡れてはいるが……、まだどうにか動きそうである。一安心のギコ。
目の前の、育ちの良さを感じさせる青年は少し語尾を強めて繰り返す。

(´・ω・`)「貴方達も、これを探していたのですか?」

(,,゚Д゚)「そうだけど……」

爪゚ー゚)「依頼でな!」

青年は二、三度頷くと「ショボンと言います」と軽く頭を下げた。
同じように自己紹介するギコ達。珍しいことに、ショボンにもじぃや西川が視えているようだった。

(´・ω・`)「…どちらからの依頼で?」

(,,゚Д゚)「んー、渡辺さんっていう歌手です。落し物探しで」


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:21:14.79 ID:5tKSzhvc0
そうですか、とまた三度ほど自らを納得させるように頷く。
そして、このように訊ねてきた。

(´・ω・`)「…これ、何が中に入ってるか分かります?」

――聞くと同時、青年は儀礼剣に手をかけた。
先ほどまではそんなものなかったはずなのに。いや、そんなことどうでもいい。

次の瞬間。
ギコの眼前を何かが薙いだ。

(;#゚;;-゚)「ッ!!」

ほとんど反射的に刀を抜き、その何かを受け止める。
ガキィン!!という音が夜の河原に響き渡った。一瞬で木刀から白刃に変化したらしい。

(#゚;;-゚)「…危ない、ですね……危ないのです……」

(´・ω・`)「気絶させるつもりだったのですが」

距離として3メートル弱か。ちょうど居合い斬りのように構えるショボン。
でぃにはそれだけで分かる。彼が、相当の使い手だということを。この胸を締め付けられるような妙な威圧感から。


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:24:15.14 ID:5tKSzhvc0
完全に反応できなかったギコール・ハニャーン。
…とりあえず聞いてみた。ギコには威圧感程度効かないのだ。

(;゚Д゚)「…そのカセットの中身って……?」

(´・ω・`)「………魔道書の原典」

ボソリと言った言葉に、全員が凍りついた。
魔法に関わりのあるモノなら誰でも分かるが、そんなもの、河原に落ちていていいものではない。
たかだか字を書いた紙を束ねたものが元で何百人もの死者が出る。
…それが『魔道書の原典』である。

(´・ω・`)「…中に三曲入っているんですが、どれも、音として記録された魔道書です」

(;^ω^)「そんなものが……」

(´・ω・`)「そのうちの一曲の著作権が僕の兄にあります。で、探しにきました」

…どうやら、彼も『魔法使い』らしい。
しかも兄が原典を書いてしまえるような人間なら、弟である彼も相当であるはずだ。
事実、先ほどの一撃も『何が』『どうして』『どうなった』のか全く検討がつかないのだ。
ただ重力が増しているかのような異様なプレッシャーだけがでぃのに圧し掛かる。


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:27:14.48 ID:5tKSzhvc0
(;#゚;;-゚)「(これが教えてくれなければ、確実にやられていましたね…やられていたのです……)」

受け止められたのはこの遺品のおかげだ。
ショボンに出会った時から木刀が震え出していた。何かに共鳴するように。
運が良かった、木刀のおかげ、というよりも、当主様の加護があった、の方が正しいかもしれない。

(´・ω・`)「…見たところ、貴方達は何も教えてもらってないらしいですね」

爪゚ー゚)「そーだよ」

(´-ω-`)「ではもし……」

目標物を軽く掲げる。しかし油断はできない。
先ほどの攻撃もカセットが下に落ちる数秒の間に、全て終わってしまっているのだから。

(´・ω・`)「…もし、これが聞かせただけで人を殺せるようなシロモノだとしたら……どうします?」

(;゚Д゚)「!!」

――全身の血液が凍った気がした。
青年は、魔法使いは、ショボンは尋ねた。
「それでも、僕からこれを奪り還しますか?」と……


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:27:33.20 ID:1U4vLIfG0
まさかのキチレコ


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:30:14.72 ID:5tKSzhvc0
……………


いづなの認識では、「女を押し倒すのは男の特権」だと思っていたのだが、今宵それは崩れ去った。
…自分が女に押し倒されたからだ。

o川*゚ー゚)o「ちょ~っと、ごめんね」

風呂上りに来た浴衣の帯を解かれる。発育途中の四肢があらわになる。
抵抗したい彼女だが、両手を上で押さえつけられているのでどうしようもない。

o川*-ー-)o「なるほど、ね……」

イ从 ーノi、「………」

キューが見ているのは下腹部だった。
そこにどう考えても不自然な、意図的に作られた傷があったのだ。
――手の平大の魔法陣が。

o川*゚ー゚)o「(基本は陰陽五行……で、『精気の精製』を目的にしているから内丹術も入っているわけね。器用としか言いようがないわ)」

指先で、傷痕に触れる。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:33:13.81 ID:5tKSzhvc0
――その瞬間、いづなの身体が跳ねた。
ビクンビクンと二回ほど。痛みに身をよじるかのように。

o川;゚ー゚)o「…え、まさかこれって……」

イ从 ーノi、「そうだ」

涙で潤ませた目を背ける。
見たくないものを目にした時のように。
同時に、それが絶対に必要なことを分かっているかのように。

イ从 ーノi、「…これは。我が人化する為に。魂に直接刻んだ魔法陣だ……」

――世の中には、人の命を使って発動する魔法など幾らでもある。
橋を作る際に埋められる娼婦。湖に投げ込まれる青年。一部分の臓器の為に殺される子供。

近代では地脈を使ったそれと同じく「御法度」とされる魔法。
この場合は『自分の身体で精気を作り出す』という方式だが、まぁ大体は同じである。
生命力により発動する魔法。

イ从 ーノi、「…木に縛り付けて。一晩中かけて。熱した銀のナイフで刻むのだ……」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:36:14.10 ID:5tKSzhvc0
想像もしたくもない。
魂に直結しているということは、つまり、魂を直接傷つけられているということだ。
それを一晩中。縛り付けられて。

イ从 ーノi、「痛みで意識がなくなって。…痛みで意識が戻って。その繰り返しだった……」

o川;゚ー゚)o「…どうして?」

キューは思わず聞いていた。理解ができなかったのだ。行動の意味の。
対し、いづなは当然のように言った。

イ从 ーノi、「…主は『人魚姫』を知らないのか……?」

――可哀想な人魚姫。
結ばれるべき王子様は、さっさと死んでしまった。

「あんなヤツ嫌いだ」という言葉が頭の中でリピートする。
きっと、こういう意味だったのだ。

イ从; ー;ノi、「…なんで皆いづなを置いて行くのだ……」

…それはキューの初めて見る、恋に破れた少女の泣き顔だった。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:39:14.68 ID:5tKSzhvc0
……………


(´・ω・`)「…どうします?」

揺さ振るように訊ねる青年。
下を向き黙り込むギコ。

――しかし、思いもよらない奴が流れを切った。

(;^ω^)「そんなわけないお!」

西川だった。
ジン、という精霊の西川だった。
煙の身体を震わせ、声を大にして彼は言う。

(;^ω^)「…あの人が、悪い人なわけがないお!あんな綺麗な目をした人が……」

(´・ω・`)「この国では一般に右目に魔眼が宿るとされています。その右目がないのですから、そのような環境で育った証明になりませんか?」

冷静な物言い。
確かに、その通りだった。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:42:18.03 ID:5tKSzhvc0
(,,-Д-)「…でも、それでも俺はその音を返してあげたいです」

黙り込んでいたギコが小さな声で言葉を紡ぐ。
確固たる信念をもって。

(,,゚Д゚)「そういうものは持つ人次第なんです。きっとそれは大切なもので、だから……」

(´-ω-`)「……そうですか」

…言葉は遮られた。
ショボンがテープを放り投げたからだ。ギコの方へ向かって。
慌てる助け屋を尻目に、彼は踵を返した。

(´・ω・`)「ならいいです。無礼を詫びておきます。…どうか、これからも良い魔法を」

それだけ告げ、闇の中へ消えて行った。
そこで初めて気づく真実。

(;゚Д゚)「…あ。……あの人、隣の国の王様だ……」

――驚愕の声が夜の河原に響いた。
それを後ろに聞きながら、ショボンは、魔法使いは、ロビー国の現国王陛下は微笑んだのだった。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:45:14.38 ID:5tKSzhvc0
……………


从//ー'从「案外早く見つかったのね。優秀ね」

依頼の品を眺めながら、昼間と同じテラスでの会話。
…ギコは恐る恐る聞いてみた。

(;゚Д゚)「…あの、中身って……」

从//ー^从「今から流してあげるわよ。ただし、そんなに面白いものじゃないけれど」

古びたデッキを取り出しテーブルの上に置く。テープをセットし、巻き戻し、準備は終わった。
再生ボタンが押され音楽が流れ始めた。音質は、やはりよくない。
いや。というよりも……

『…おい、なんか僕のパートだけ多くないか?』
『私はなんでベースなんだ。というか、なんでエレキベースとバイオリンが共存してるんだ、この楽譜』
『しかもピアノとドラムと歌ですか?もう少し統一感を……』
『うるさい!作曲者である僕に逆らうな!先生が喜びそうなのを書いたらこうなったのっ!』

…これは、どうも練習の様子らしい。


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:48:14.21 ID:5tKSzhvc0
从//ー'从「昔ね、私達の先生に歌をプレゼントすることになってね」

ラジカセからはワイワイガヤガヤ、まるで普段のギコ達のような賑やかな声が聞こえている。
年は小学生ぐらいだろうか。演奏も上手いのだが、どこか拙い。

从//ー'从「A面はその時の練習の録音。B面は本番の時の。…聞く?」

無言で頷くギコを満足そうに見、セットし直す。
…聞こえてきたのは先ほどまでとは全く違う、ぴったりと息の揃った演奏だった。
全く違う個性を持ったモノがたった一つを形作る。音楽の本質を表現したような曲である。

从//ー'从「…別に私、歌手なんて職業やってるけど、歌うことが大好きってわけじゃないの」

(,,゚Д゚)「え?」

从//ー'从「…でも、昔褒められちゃったから。『上手いね、綺麗な歌声だ』って。だから歌ってるの。また褒めてほしくて」

流れてくる曲は澄んだ水が流れていくような心地良いものだった。
ギコは音楽のことなどまるで分からない。が、この歌は好きになれそうな気がした。
「本当に大事な記憶はね、身体中が、魂が覚えてるんだよ」
…昔、親友がそんなことを言っていたのを思い出した。
きっとこれが渡辺にとっての『始まりの音』なのだ。


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:51:18.25 ID:5tKSzhvc0
从//ー'从「…だけど、私に音楽を教えてくれた人も、音楽を与えてくれた人も、他の人も、遠くへ行ってしまったわ」

星空を見上げる。
もう届くことのない、見ることさえできないものに手を伸ばすように。

从//ー'从「今、私の歌声は地球上ならどこでも届くかもしれない。でもね、それじゃ足りないの。…もっと綺麗にもっと遠くまで届かないと」

( ^ω^)「………」

从//ー'从「銀河の果てでも、ブラックホールの中でも。天国に居ても、地獄に居ても」

たとえ違う時代……ううん、違う世界でも届くような歌じゃないと。
そう付け足した彼女の片目は潤んでいた。澄んだ瞳が夜空の浮かんだ月を写している。

从//ー^从「――そうじゃないと、また褒めてもらえないじゃない?」

(,,-Д-)「そう、ですね……」

ニコリと微笑んだ彼女は美しかった。
儚げで、まるで夜空に取り残された月のように。
もう夢が叶わないことを分かっているとしても、歌い続けなければならない。
それが彼女の選んだ生き方なのだから。


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:54:19.02 ID:5tKSzhvc0
从//ー从「…ねぇ、皆」

帝都では星が見えない。
こんなにも空が近いというのに。本当に、届きそうなぐらいに近いのに。
――決して届かない。

从//ー从「始まりは皆同じだったのに……」

手を伸ばす。
決して届かないことは分かっている。
…でも、それでも渡辺は手を伸ばした。見えることのない夜空の星々へ。

从//ー'从「――随分と、遠くへ離れてしまったものね」

曲目が終わり、音が消えた。
ガチャガチャと巻戻しが始まった。

从//ー'从「…助け屋さん。本当に大切なモノは絶対に手放しちゃ駄目よ。…絶対にね」

ギコは無言で頷いた。その日は星が綺麗な夜だった。
帝都では見えなかったが……
――本当に、星が綺麗な夜だったのだ。


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 21:58:10.28 ID:5tKSzhvc0


七日目 深夜 終



この世の何事も変わらないままではいられない。
思いもよらない出来事で幸せな日々が終わることも、なきにしもあらずだ。
世界の壊れる音がする……

…それはまた、次のお話であるのだが。



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:00:24.07 ID:5tKSzhvc0
ご支援ありがとうございました。
来週より一部も最終パートですが、どうぞ最後までよろしく。

…では、用事がありますので。


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