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◆/ ゚、。 /『The Rainmaker and“Lemegeton”』のようです…… 第二夜「天国はまだ遠く」

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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:01:09.86 ID:5tKSzhvc0


/ ゚、。 /『小さき鍵』とレインメイカーのようです……



――How many miles to Babylon?
  
  Three score miles and ten.
  
  Can I get there by candle-light?
  
  Yes, and back again.
  
  If your heels are nimble and light, You may get there by candle-light.




                         (『How many miles to Babylon?』より)


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:04:15.21 ID:5tKSzhvc0
――第二夜――
「天国はまだ遠く」

('A`)「……ん、」

目が覚めたのは暗い部屋の中だった。男は、――「ドク=O=キャンサー」は椅子に縛り付けられていた。
記憶が曖昧だが、とりあえず逃げようと思いがちゃがちゃと手を動かしてみるも、無意味。
覚醒し始めた頭で状況を把握しようとするも、暗すぎて何がなんだか分からない。
――その時。

「…Birds of a feather flock together And so will pigs and swine……」

('A`)「…歌?」

歌が聞こえてきた。隣の部屋からだろうか。
右側の壁、僅かに漏れる光でドアの位置が把握できる。

やがてドアは開き、一人の青年が現れた。
ラフな格好をした人の良さそうな、柔和な笑みを浮かべた青年だった。
…手には拳銃を持っていたが。

/ ゚、。 /「Rats and mice will have their choice And so………あれ、おはようございます」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:07:14.43 ID:5tKSzhvc0
言いながら、男を監禁した青年は手探りで電気をつけた。無機質な光が室内を照らす。
小さな部屋で、前方にパソコンの乗った事務机と大きな本棚があるだけだった。どうやら仕事用の部屋らしい。

イオは男に背中を向けて腰掛け、机横の写真だらけのコルクボードやカレンダーを少し眺める。
…しばらくすると椅子を回転させ向き合うような形を取った。

/ ゚、。 /「お名前は」

('A`)「……ドク=O=キャンサー。大体皆は『ドクオ』って言うからそれでいい」

/ ^、。 /「いい名前ですね」

ニコリ、と微笑むが、その右手はそれとなく凶器を示している。
つまり遠回しに脅しているのだ。ドクオに対し、「答えなければ殺す」と。

/ ^、。 /「僕は鈴木=フラメス=イオリエと申します。『イオ』と呼んでくださって結構です」

('A`)「…ここはアンタの家か?」

何故か自己紹介を始めたイオに、ドクオは訊ねる。
もう恐れなどない。どっちに転んでも、死ぬのはほぼ確実なのだから。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:10:15.09 ID:5tKSzhvc0
/ ゚、。 /「そうですけど」

不思議そうな顔で答える錬金術師。
どことなく、小動物を思い出させる表情だ。

('A`)「…俺を監禁して何がしたい?」

/ ^、。 /「ハハハ……。別に何もしませんよ。聞きたいことがあっただけです。僕の探してる人を知っていそうだったので」

('A`)「?…一体誰だ?」

/ ゚、。 /「残念ながら名前は知りません。でも、凄い美人らしいです」

要領を得ない受け答え。しかし、ドクオには何となく心当たりがあった。
自分に依頼を持ってきた、あの美人。イオが探しているのはソイツだろうと感じた。

/ ゚、。 /「脅迫状もあの人が用意したんでしょう?」

('A`)「…ああ、そうだけど……」

確かにそうなのだが、彼には何故分かったのか理解できなかった。
…イオからしてみると単に覚えのある香水の匂いがついていただけの単純な話なのだが。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:13:14.48 ID:5tKSzhvc0
/ ゚、。 /「…それで、」

柔和な笑みを少しだけ真剣そうに変え、訊ねる。
黒い瞳がドクオを真っ直ぐに捉えている。爬虫類を思わせる嫌な目線だった。

/ ゚、。 /「その美人さんの連絡先、知ってます?」

('A`)「…残念ながら聞いてないよ。俺はアルバイトみたいなもんだから」

自嘲気味に笑いながら素直に答えた。
…小金欲しさに下らない悪事など働くもんじゃない、と今更ながらに後悔する。
イオは、そうですか、と繋げるとドクオの後ろへ周り込んだ。

――やがて両手が楽になった。
どうやら本当に「聞きたいことがあっただけ」らしい。

/ ^、。 /「もう僕は貴方に用はありません。どこへでもご自由に消えてくださって結構ですよ。僕は大学がありますから」

(;'A`)「あ、ああ……」

釈然としないドクオを尻目にさっさと部屋を出て行ってしまった。
しばらくの後、バタン、という音がしたので、本当に学校へ行ったらしい。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:16:14.64 ID:5tKSzhvc0
一人部屋に残されたドクオはなんとなく、――本当になんとなくイオのことが気になった。
普通はFOXへ引き渡すところをあえて自分の部屋に監禁して。上司まで騙して。
そのくせ、一つ二つ質問をしただけで開放してしまった、あの錬金術師のことが。

('A`)「…う~ん」

パソコンの電源を入れてみる。勿論ロックがかかっていた。
仕方ないので隣のコルクボードを眺めてみる。件のイオは旅行好きな人物らしい。外国らしき写真が多かった。
現地の人と撮ったものらしく、ある写真ではツインテールの少女と小太りの少年と一緒に映っていた。

('A`)「…イイ人っぽい……」

柔和な笑みが特徴的な青年。
写真を見ても皆笑顔であることから、良い人っぽい、ではなく実際良い人なのだろう。

('A`)「…ん?」

――ある二つの写真で目が留まった。
小学生ぐらいの子供達が数人映っている写真だ。もう一つは、イオらしき子供と可愛らしい女の子とのツーショット。

どちらも取り留めのないものだ。
しかし、何故か他の写真とは違う雰囲気をドクオは感じた。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:19:14.46 ID:5tKSzhvc0
/ ゚、。 /「いい写真でしょ?」

(;'A`)「うわっ!」

/ ゚、。 /「旅行に行くとよく分かりますよ。この世界には、人の想いが溢れているんです」

いつの間にか戻ってきていた部屋の主が感慨深そうに語る。
「大学行ったんじゃなかったのか」というドクオの問いに対し、イオは一言。

/ ^、。 /「ちょっと用事ができまして」

机の引き出しを開ける。整理された中から刃渡り十センチ程度のナイフを取り出し、懐へしまう。
その時だった。

/ 、 /「いっ……!」

(;'A`)「おい、大丈夫かよ」

折り畳み式のそれで指を切ってしまったのだ。
手入れされた女のような指先より、赤い血が流れ出る。
何か止血できるものを探そうとしたドクオをイオは軽く制した。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:22:14.80 ID:5tKSzhvc0
/ 、 /「…これぐらいなら、すぐ直りますから」

事実数秒もしないうちに血は止まった。
――それだけではない。傷口も塞がってしまったのだ。
残った血を舐め取るともうどこを切ったかのさえ分からなくなってしまった。

('A`)「…お前」

/ 、 /「ハハハ……。いや、僕は普通の人間ですよ?ただの人間です」

ただの人間にそんな自己修復能力があるわけがない。
問い詰めるドクオに、再び乾いた笑いを漏らしたイオ。やっと表情を取り繕って言う。

/ ゚、。 /「…僕は錬金術師ですからね。不老不死の研究の副産物、ってやつです」

(;'A`)「………」

錬金術師は神に祈らない。神の大いなる作業を再現するのが彼等だからだ。
ある意味で、魔法使いよりも科学者に近い。
ドクオが人生で初めて出会った錬金術師は、外待雨のような笑みでこう告げた。

/ ^、。 /「冗談です」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:25:15.04 ID:5tKSzhvc0
……………


秋も深まり始めた町並みを二人の男が歩いていた。
少し汚れた白衣を纏った人の良さそうな男と、運が悪そうな男。
「用事がある」と言ったイオに、「ついて行っていいか」と了解を取り、こうなっている次第である。

/ ゚、。 /「僕思うんですけどね、」

唐突にイオが口火を切った。
街路樹は紅葉が始まっていた。もう一ヶ月もしないうちに落ち葉の絨毯となるだろう。

/ ゚、。 /「強い人には三種類いると思うんです」

('A`)「…どんな三種類なんだ?」

/ ゚、。 /「ただ『強い』という事実がある人と、強くならないといけなかった人、最後に強くなりたくて強くなった人」

分かりやすいようにという配慮か指を三本立てた。
ボディランゲージが多いことから、彼の外国での暮らしが長さが読み取れる。
話の要点が掴めないが、相打ちを打っておくドクオ。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:28:14.46 ID:5tKSzhvc0
イオは少しだけ無表情になり、遠くを見ながら呟いた。

/ ゚、。 /「怒れば勝てるとか…、仲間が死ねば勝てるとか…、そんな都合の良い『奇跡』は存在しないんですよ」

('∀`)「…誰かからの受け売りか?」

ありゃバレちゃいましたか、と笑う。優しそうに顔を変えて。
そして小さく呟いた。
「でも僕はそれでも強くなりたいなぁ」と……


――通りの角を曲がると公園が見えてきた。寂れた公園だ。秋晴れだというのに子供が一人もいない。
代わりと言ってはなんだが、ベンチには黒い山高帽を被った男が座っていた。
燕尾服を着た彼は足を組み新聞を広げている。

その隣にイオは無言で座った。
もう座れそうになかったので、ドクオは適当な木の幹にもたれかかった。

/ ゚、。 /「…鍵、見つかりましたか?」

隣の男に向かって尋ねる。
冷たい風に掻き消えてしまいそうな小さな、――それでいて、どこか熱の篭もった声で。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:30:44.39 ID:ATuTvUiYO
1日に2スレとか、無理すんなよー


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:31:15.10 ID:5tKSzhvc0
( "ゞ)「…昨日、帝都で目撃情報があった」

記事を捲りながら男が返した。
少しだけ目を見開いた錬金術師はどうにか体面だけ取り繕うと、どこでですか、と更に小さい声で訊ねた。
新聞を畳み、立ち上がった彼は小声である大通りの名前を告げた。昨日大きな事故があった通りだ。

/ ^、。 /「ありがとうございます」

( "ゞ)「…兄弟よ」

立ち去ろうとしたイオを、帽子の男が引きとめた。
白い背中に向かって声を投げかける。

( "ゞ)「お前がやろうとしていることは不可能に近いだろう。――それこそ奇跡でも起きない限りは、な」

止まった錬金術師は振り返らない。振り返らず、歩き出した。
二、三歩踏み出したところで、

/ 、 /「…いいこと教えてあげましょうか。僕は科学者なので、奇跡なんて信じていません」

「信じるのは自分の力だけです」と加えて、ドクオを連れ公園を出て行った。
帽子の男は少しだけまるで可哀想なものを見る目をしたが、――やがて同じように立ち去って行った。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:34:14.04 ID:5tKSzhvc0
……………


('A`)「…さっきのは誰だ?情報屋か?」

当然の疑問を口にするドクオ。
対し、イオはうんうんしばらく悩むと一言。

/ ゚、。 /「死神仲間かなぁ…」

('A`)「…それも、冗談か?」

確認を取ろうとする彼を若き死神は笑った。それは本当です、と付け加えて。
ドクオが胡散臭そうな目をするのに気づいたのか、ふぅと一息つくとイオは言った。

/ ゚、。 /「…今から二年ほど前の話です。僕に訳の分からない、――つまり『東邦の蒼い死神』という異名がつくキッカケとなった事件の話」

はにかみながら、聞きたいですか?と訊ねる。
隣の男は、言いたいんだろ?と挑発的に返すことにした。
鼻で笑う『東邦の蒼い死神』こと、鈴木=フラメス=イオリエはボツボツと話し出した。

――高校生の時分に出会った、『死神』についてのお話を。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:37:13.81 ID:5tKSzhvc0



――バビロンまでは何マイル?
  
  70マイルです。
  
  ロウソクともして行けますか?
  
  はい、行って帰って来れますよ。
  
  足が速くて軽かったら、ロウソクともして行けますよ。




――第二夜 終――

…What is the meaning of this song?



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 22:40:15.68 ID:5tKSzhvc0
ご支援ありがとうございました。
マザーグースは隠喩が多いらしいです。
調べてみると、面白いかもしれません。


>>14
慣れてますから。
今日、こっちは短いですし。極端に。


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