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◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋ギコ~のようです  八日目 午前

前の話/インデックスページ/次の話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:14:52.86 ID:GHeTsR6l0
誰になんと言われようが断固として投下し死なない限りは絶対に完結させるつもりのこの作品。死んだらごめん。
まとめは、ブーン速。さん、面白蛇屋さん、ブーンがまとめブログを武器にさん、そしてくるくるくーるさん。


珍しく今日は王道な感じ。
少しの間、かなりぶっ飛んだバトル物になりますが、よろしく。


…では、いきましょう。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:17:06.72 ID:GHeTsR6l0
【本日出てきそうな一行人物紹介】
(,,゚Д゚)…ギコール・ハニャーン。ヘタレで馬鹿で世間知らずな良い人。ついでみたいな設定で召喚師。あとアレを統べる存在?
( ^Д^)…プギャー。全身真っ黒な八咫烏。超強い現実主義者。あと今日は珍しく怒ります。
(#゚;;-゚)…でぃ。猫又と見せかけて実はただの半妖。前の主人の遺品貰ってパワーアップ。あと本日出番少ないぜい?
o川*゚ー゚)o…キュー。雪の神様らしい妖狐。一言で言えばバイ。あと、上と同じく。
ミ,,゚Д゚彡…フサ。雑魚キャラみたいなウールヴヘジン(狼男的な)。暇人。あと、上と(ry
イ从゚ ー゚ノi、…いづな。管狐で鎌鼬。なぜか偉そう。あとまさかの展開。

【本日のスポット参戦キャラ】
|゚ノ ^∀^)…レモナ・エルシール。超可愛く活発な僕っ娘。超能力で最高位。あと典型的トリックスター。
lw´‐ _‐ノv…シュール。色々めんどくさそうな少女。レモナの友達。あと、え?意外に凄くね?
(´・ω・`)…ショボンヌ・S・ハイドレード。ロビー国の現国王陛下。かなりの魔法使い。あと神様の直系。
(゚、゚トソン…都村トソン。今でこそただの奥さんだけど、凄い人。ついでに偉い人。あとドンマイ……
(-_-)…疋田退。割と凄い占い師。グレーゾーンの人。あと別現行に登場します!
('、`*川…伊藤ペニサス。「バーボンハウス」経営の情報屋さん。未婚。あと実は……

【今宵のテーマ】
想いと過去と魔法使い。

【あまったスペース、本日の投下クイズ】
(´・ω・`) & ハハ ロ -ロ)ハ &( ・□・)
…共通しているのは?



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:19:13.36 ID:5c2jJ/5d0
)・・・・かな・・・しえん


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:20:05.52 ID:GHeTsR6l0
困った時は助けを呼ぼう。
電話のボタンをプッシュして、あの番号にかけるんだ。
彼が出たらこう言うのさ。

「もしもし○○ですか?今すぐ助けに来てください」

…ってね。
決断の時は来た。あるいは、終わりの時が。
しばらく「助け屋」は休業だろう。もしかすれば、一生……


(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋ギコ~のようです


八日目 午前
『リクエストD.C.!時を越える戦い?』



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:23:06.01 ID:GHeTsR6l0
どこかの世界の、いつかの時間。
とある国の、とある町の、夕暮れの公園のベンチだった。
ギコール・ハニャーンは普段には決して見せることのない機敏さで、その場を離れた。

(; Д)「はぁ…はぁ……」

身体が重い。ギコは思う。まるで衣服の全てが鉄となったようだ。
心臓がおかしな速度で鼓動を刻む。息が荒い。寒気がする。

…なんだこの感情は?
そうだ、これは――

|゚ノ*^∀^)「…気づいちゃったね」

――これは『恐怖』だ。
…膝が笑ってしまっている青年を前に、はだけた服装の女子学生、レモナは悪戯っぽく笑った。
それは天使のように。あるいは、悪魔のように。

|゚ノ ^∀^)「えへへへ……。どうして、気づいたの?」

服を正しながら訊ねる。
夜が、すぐそこまで近づいた公園。少女は一歩、また一歩と距離を詰める。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:26:04.59 ID:GHeTsR6l0
(;-Д゚)「…俺も同じだから。珍しいな、って……」

自身の左胸、――ではなく、右胸を抑えつつ語る。
手には確かに振動が伝わってくる。普通ではありえない鼓動が。
…それは、「内臓錯位」と呼ばれるものだ。身体の臓器が全て左右反対になる症状。

(;゚Д゚)「心臓が右にあるんだね……」

|゚ノ ^∀^)「…うん。そうだけど、それだけじゃないでしょ?」

肯定。…が、それだけではないのだ。確かに珍しい症状ではあるが、それに恐怖する必要などない。
つまり、ギコール・ハニャーンが『恐怖』を感じたのはもっと違う事柄だ。

――彼は知っていたのだ。
知らないはずなのに。もう何千年も昔のはずで、資料すらほとんどないというのに。
魂に刻まれてしまった『恐怖』は記憶喪失程度では癒えやしない。昨日のことのように鮮明に思い出せる。

|゚ノ -∀-)「…仕方ないよね。僕、頑張ったもんね。ごめんね、ギコールお兄ちゃん」

自分で自分を納得させ、数度頷く。揺れた栗色の髪に魔力が集い始めていた。
どういうことか。…考えたくなかった。思い出したくなかった。厳密に言えば、はっきりとはしていない。
でも分かる。ここにいたら、死ぬということぐらいは。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:29:05.11 ID:GHeTsR6l0
すう、と息を吸い込む。顔が上がり、目は閉じられた。
少女は神様に祈るかのように両手を握る。そして、その血色の良い唇から歌が紡がれた。

|゚ノ -∀-)「―――……」

古い歌だ。…古いどころではない。遥か昔、それこそ神話の時代に作られた一編の詩。
音楽を愛したとされる神様が作った歌。それが数千年の時を越え今ここに顕現していたのだ。
よほど心を込めているのか、思わず聞き惚れてしまいそうだ。

…しかしギコは一心に思っていた。
死ぬ、と。ここにいたら間違いなく殺される、と。

(; Д)「…動か、ない……っ」

無情にも足が固まってしまい身動きが取れない。逃げようにも逃げられず、必死で自分を鼓舞するも、無意味。
そんな彼の背後に立つ一つの影。
シュールはその小さな手でギコに触れ、一言呟く。

lw´‐ _‐ノv「…対象を設定。ギコール・ハニャーンの記憶を、『開ける』」

――瞬間。
決して取り戻してはならなかった記憶達が、一気に戻ってきた。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:32:05.71 ID:GHeTsR6l0
――それは絶叫だった。いや、断末魔と言うべきか。
身体中の痛点を同時に抉ったかのような、『痛み』という感覚さえ消えそうな激痛。そんなものを想像させた。
…そして、声の主が自らの主人だと悟った時……

(;^Д^)「…ッ。急ごう……」

彼の仲間達の足は、一層速まることとなった。
今かなりの数の人外達が集結している。数にして十ほど。生まれも育ちも種族も違う彼等だが、最低限の想いぐらいは共有していたのだ。
各々最も身軽な形態を取り、夜の街を駆ける。

すっかり暗くなった空。それは夜のせいだけではないだろう。
重々しく広がる曇天が闇を増幅させているのだった。しとしとと降り出した雨は身体に纏わりつき、不快感を催させる。


やがて、彼等は公園に到着した。自然界ではありえないような眩い光に満ちたその場。
そのブラックライトのような光の正体をプギャーは知っている。

(;^Д^)「魔力……」

…暴走する膨大な魔力が世界を変容させていたのだ。
光が捩れ、風が吹き荒れ、空間に穴が空いた。それでも破壊力を失わないドス黒い力は液体となって地面を伝わり、絶叫と共に流れてくる。
――その中心にいたのは……


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:35:05.42 ID:GHeTsR6l0
……………


…どこか遠くの場所から、声が聞こえた。
この数十年。暖かい言葉に満ちた人生でも拭い去ることのできない、絶対的な『淀み』。
忘れていたようでいつでもそこにあった。そこにいた。確かに、存在していた。


――『ニンゲンノナリソコナイメ』
――『ヨルナ!ケガラワシイバケモノ』
――『オマエサエイナケレバ、アンナコトニハナラナカッタノ二』


(,, Д)「あぁ……」

身を裂くような激痛の中、自分が自分ではない何かに変わっていく哀しみの中。
…それでも『ギコール・ハニャーン』という人間は涙を流す。
どれほど時が流れようとも罪は消せない。分かっている。分かっていて、自分はああしたのだ。

(,,;Д;)「…めん、……」

その言葉はもう、遅い。


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:35:28.85 ID:YUL8/kMrO
位置が逆になるのは錯位でなくて逆位だった気がす

横槍スマソ、支援


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:38:07.50 ID:GHeTsR6l0
――だが同時に下劣な言葉とは一線を画するものも蘇ってきた。
それは誰かの笑顔だった。もしくは、優しい何か。感謝の気持ちでもあった。


――『…誰がなんと言おうが、お前は確かに私の息子だ』
――『じゃ、今この瞬間より僕の独断で僕と君は親友ね!よろしくっ!!』
――『ありがとう。ありがとう、ギコ……』


…なのに。それなのに、全部自分が壊した。
生まれ育った街も、優しかった両親も、好いてくれていた女性も、初めてできた親友も、全部全部全部ゼンブゼンブゼンブぜんぶぜんぶぜんぶ――

――全て、跡形もなく消えて、最後に自分だけが残った。

どうして忘れていたんだろう?
単純な疑問と溢れ出るほどの罪悪感が束になり、この『人間』を溶かしていく。
そんな中。最後に残ったものは単純だった。

(,, Д)「…ごめんなさ、い……」

…今更過ぎた一言の謝罪。もう二度と伝えることのできないその言葉。
そして――


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:41:07.18 ID:GHeTsR6l0
……………


(,, Д)『――ウオオオオォォォおおおおッ!!』

…世界の果てまで響くような、耳を劈く咆哮だった。神話の中の化物のような、圧倒的な波動だった。
彼を形成していた全ての記憶が砕け散り、ぐちゅりぐちゅりというプレス機で無理矢理身体を押し潰すような感触と共に訪れるは一つの回帰。
震える四肢からは圧縮された魔力が流れ出す。高純度なエネルギー体となったそれは公園のアスファルトをあっさりと溶かしていく。

( ^Д^)「…なにをした……?」

…公園の入り口。数人の男女がいた。
正しくは人の形を取った人外。その先頭に立っていた、全身真っ黒な男が吼える。
並大抵の存在ならば、その声だけで全身を硬直させるに至るだろう神の使いの激昂。

(#^Д^)「俺の主人に何をしたァァァ!!!」

普段の冷静さの欠片もない、激情故の行動。
流れる風を掌握し自分の真後ろに配置。拳を握り、韋駄天のごとき速さで元凶に突撃する。

――対し、レモナは笑って手を挙げただけだった。
歌が終わった。それに呼応するかのように背中から伸びた三対の光の翼が煌く。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:44:05.86 ID:GHeTsR6l0
振り上げた右手には光で構成された銃器。
暗い空を穿つように引き金を引き、どこまでも無邪気に笑いながら言った。

|゚ノ*^∀^)「…出ておいで!僕の、兵隊!!」

(;^Д^)「ッ!」

カメラのフラッシュを何十倍にも強化したような、一撃で失明しかねない光がプギャーを襲う。
咄嗟に目を瞑りやり過ごす。黒が白に染まっていくのを人外達は見ることとなった。
光が治まったのを感じると再び走り出そうと間合いを取る。


――そこへ、水竜が襲い掛かった。
全身水でできたうねる化物。噛み砕かんと顎門を見せ付けているその竜を、彼は見たことがあった。
加えて声が響く。

「…千年経とうが、全然進歩がないじゃないの」

(;^Д^)「………」

聞き慣れた、ほんの千年前まで毎日のように聞いていたその声。
誰かはすぐに分かった。が、信じられやしなかった。遠い昔に別れたはずだったのだ。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:47:05.74 ID:GHeTsR6l0
続いて、またもや声が飛んできた。
若い声だ。チャラチャラとアクセサリーの音も同じく聞こえた。
これに反応したのはいづなだ。少女の姿をした管狐は、素人目に見ても明らかなほど身体を強張らせた。

「…まさか、僕のことを忘れたなんて言わないで欲しいんだよ」

イ从;゚ ー゚ノi、「馬鹿なッ……」

二歩、三歩とたじろぐ。目の前にいたのは二人の男だ。
一人はツナギを着た体躯の良い男。指先には長方形の紙が挟んであった。
もう一人はタイトなジャケットとジーンズを着た青年。カチャカチャと手の中で小さな竹筒を転がせている。

それだけなら普通だった。前者の男は少し珍しい格好をしているが、それでもまだ理解できた。
だが、ある決定的な異常があった。
それは――

N| "゚'` {"゚`lリ「…プギャー」

('(-∀-∩「ああ、結構お久しぶりなんだよ」

――どちらも、既に死んでいるはずの存在だということだ。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:50:05.87 ID:GHeTsR6l0
……………


――ナパーム弾が連続で投下されているように激しい光を放つ公園。
その少し先。あるビルの屋上だった。おびただしい数の観測機器が設置されており、一種の基地と化している。
白衣を着た研究員が数名忙しそうに行き来している中、ショボンヌ・S・ハイドレードは到着した。

(´§ω `)「ふぅ……」

(゚、゚トソン「…聖痕、開いてますよ」

顔の右半分に浮かび上がった呪力で刻まれた紋章、――『聖痕』を出したままの彼に身重の新妻が指摘をした。
御三家と呼ばれる特定の家系にしか扱うことのできないそれは、まさしくこの世界の魔術の深淵に他ならず、境地である。
不快感しか覚えない赤黒い液体が滴る眼を押さえ、ショボンは言う。

( ∩ω`)「…意外と大変だったもので」

部下に任せて抜けて来たが、白で統一された正装は僅かながら泥と血で汚れていた。
あの拾い子にそうとう手酷くやられたらしいのは容易に想像できた。それでも流石に遅れは取らなかったようだが。

かつて小さかった彼がここまで成長したことに敬意を表し、車椅子の都村トソンは少しだけ微笑む。
怪訝な顔をされたが別に気にするものでもない。格付けは既に終わっているのだから。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:53:08.61 ID:GHeTsR6l0
(´・ω・`)「…始まりますね」

最低限の身嗜みを整え、若き国王は言った。視線の先には光が見える。直視すれば眼が焼かれてしまいそうだ。
横に設置されていたモニターを伺えば記録的な数値。『魔術』という異端の法則を科学でデータ化できるようになったのはここ数十年の話だ。
しかし、どうやら今回のは相当なレベルに位置するらしい。計測器がミシミシと音を立てている。

(´・ω・`)「…どちらが死ぬと思いますか?」

(゚、゚トソン「それは『FOXとして』か、『都村トソンとして』か、どちらで答えればいいのでしょう」

(´-ω-`)「後者でお願いします。僕は自らの信ずる神の代理として訊ねているので」

そうですね、と車椅子を少し引く。寒さを凌ぐ為かストールを取り出し膝にかけた。
都村トソンは、この青年と同じく――あるいはそれ以上の『業』を背負い続けている彼女はゆったりと目を閉じる。

(-、-トソン「私は……」

(;´ ω `)「っぅ!!」

――そこまで言いかけたところでショボンが蹲った。
先ほどと同じように右目から血を流し、刻印は意思に関わらず顕現してしまっている。
共鳴でもしているのだろうか、と適当に結論付けたトソンは、「魔術もめんどくさいですね」と言いつつハンカチを差し出したのだった。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:56:05.15 ID:GHeTsR6l0
……………


(-_-)「…空」

('、`*川「え?今日は雨よ」

そうじゃない、と占い師は返した。カウンターに座り安い酒を飲みながら考えるのは『心』のことだ。
超能力とはめんどくさいもので、見たくなくても見えてしまう。
以前、『ギコール・ハニャーン』という人間の心を見ることになった彼は、『空』と形容した。

(-_-)「…ま、いつも青空ばっかじゃいられないよね」

('、`*川「???」

手が震えていた。これだけ距離が離れていても影響を受けてしまうのはヒッキーの有能さ故か、それとも。
多分後者だな、と思い右手を押さえる。しかし左手自体も痙攣していたので意味がないことに気づいた。アルコール依存症のようだ。
グラスを引っくり返さないように細心の注意を払い、口へ運ぶ。

(-_-)「夜が来るな……」

ポツリと呟くと代金を置き、席を立つ。未熟な弟子のケアに行く為だ。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 20:59:05.61 ID:GHeTsR6l0
……………


耳に入れただけで身体を凍てつかせるような悪魔の咆哮。雨に吸収されることもなく、ただひたすらに、夜空に向かう。
その身を侵食するのはどうしようもない罪悪感と暗く冷たい感情。誰にも伝わることもない、慟哭。
…そんな「主人の殻を被った何か」を救いたい人外だが、目の前には二人の敵。

ミ;゚Д゚彡「どういうことなんだぜい……?」

o川 -ー-)o「幻術……は、ありえないか」

驚きを隠せない。死人が生前と全く変わらぬ姿で存在するなど、考えられない。
あるにはある。が、それは神代の魔法使いにしか使えない禁忌の中の禁忌のはずなのだ。こんな少女が再現できるはずもない。
二人の死者は各々に準備をしながら語る。

('(゚∀゚∩「人を見るなり幻術とは、失礼にもほどがあるんだよ」

N| "゚'` {"゚`lリ「こっちだって好きで出てきたわけではないさ」

そのまま視線を少女へ、レモナへ投げた。
「変容しつつある何か」を好奇の眼差しで見つめている彼女からは悪意を感じ取ることはできない。
…むしろ、もっと純粋な。だからこそ、タチの悪い。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:02:07.10 ID:GHeTsR6l0
|゚ノ*^∀^)「僕はギコールお兄ちゃん――まぁ、もうすぐ元に戻っちゃうんだけど――に用事があるから……」

いつもの笑顔を三倍増しぐらいにして、指を弾いた。
後ろに隠れていたシュールが音もなく姿を現す。本当にいいの?と確認を取るが、レモナは取り合わない。

lw´‐ _‐ノv「…どうなっても知らないから」

未練がましくそれだけ言うと、羽毛が落ちるような柔らかさでしゃがみ込んだ。
濡れた地面をまさぐり、満足気に頷く。
そして――

lw´‐ _‐ノv「…対象を設定。現地点から指定地点に向かい地脈を、『開ける』」

――その言葉は、当然のように破滅を呼んだ。
空間が爆ぜた。人の身には余る星の力の暴走だった。
傷口を抉るように無理矢理開かれた地脈が、眩い白色の破壊が、公園のモノ達を飲み込んでいく。

|゚ノ ^∀^)「ばいばーい♪」

人外連中が最後に見たのは、大きくブンブンと手を振る悪魔の少女。
そして、小さな子供が駄々を捏ねているような、彼等の主人のものらしき嗚咽。
…結局どれ一つ変えることは叶わず、ただ蹂躙されるだけであった。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:05:05.18 ID:GHeTsR6l0



――やがて、音が戻った。
どこまでも白く染められた世界が色を取り戻した。

だが。

イ从;゚ ー゚ノi、「どこだ、ここは……?」

二日酔いを何倍も酷くしたような激痛に苛まれながら、立ち上がり見た景色は全くの別物だった。
それは山中の少し開けた場所。ことごとく人工物を廃したかのような、土と緑だけの、不自然な自然だ。
三半規管に異常が出ているのは相手側も同じのようで若い方の魔術師は大きく咳き込んでいる。

('(-∀-;∩「…やっぱり、この作戦は無理があったんだよ……」

イ从;゚ ー゚ノi、「お前……」

こめかみを手の平で押さえながら呟く青年。
今から数年前。FOXに雇われていた若き飯綱使い。名は「野鎌なをる」と言う。
もしくはいづなの主人であり保護者であり恋人。
…記録上では確かに死んだはずの魔術師だった。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:08:05.16 ID:GHeTsR6l0
N| "゚'` {"゚`lリ「…自分でやるべきだったな」

( ;^Д^)「一応言っておきますが、今日は彼岸じゃないですよ。アベさん」

なをるの隣。酔いを醒ますかのように頭を振っているのは、最も有名かつ最も有能だったと伝わる陰陽師。
もはや歴史上の人物だが八咫烏であるプギャーにとっては顔馴染みのようだ。
ざっと千年ほど前に死んでいるはずだが、普通に何故かツナギ姿で復活していた。

…推測できることは二つ。
一つ。ギコール・ハニャーンは現在危機で、邪魔な人外は遠くに飛ばされたということ。
二つ。そして、どう考えてもこの二人の魔術師を処理しなければ主人を助けに行くことは不可能であること。

(;#゚;;-゚)「どういうことですか!どういうことなのです!!」

刀を抜き、でぃが叫ぶ。我を忘れる寸前、といったところだろうか。
やっと思考が回復してきた飯綱使いがその問いに非常にめんどくさそうに答えた。

('(-∀-∩「…『俺の屍を越えて行け?』」

イ从゚ ー゚ノi、「なんで疑問系なのだ」

辛辣な突っ込みが入る。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:11:05.26 ID:GHeTsR6l0
('(゚∀゚∩「ま、詳しいことは彼に聞けばいいんだよ」

――次の瞬間だった。人外達は等しく凍りついた。
一瞬にして重力が何倍にも増したかのような奇妙な威圧感。何かいるのだ、そこに。
気儘にふらつくようにソイツは姿を現す。

「…つまり対峙してしまった以上、殺すしかないってことでしょ?」

(;#゚;;-゚)「ッ!!」

夏用の学生服。右腕が返り血で真っ赤に染まり、雨により流れていた。
まるで人ではないかのような澄んだ白髪もしっとりと濡れ、対照的に黒の瞳は濁っている。また右目はなんとも気だるそうに閉じられていた。
おそらく意図しているわけではないのだろう。しかし、その存在が現れたその時より周囲の全てが跪いた。空も、大地も、生き物も、等しくだ。

昔のように武器はない。徒手空拳。だがそんなことが問題になろうか。
…ただ全てを蹴散らし圧倒的に君臨する本物の化物は一歩一歩ゆっくりと近づいてくる。魂の抜けた笑みを湛えながら。
でぃは知る。その歩幅が自らの寿命なのだと。理屈などなく、説明などできるはずもない。まさしく『正体不明』の、何か。

( -∀・)「…さぁ、行こうか。華麗に、……激しく」

――そして、ワンサイド・ゲームが始まる。
十年の時を越え、この場に姿を現した、どこまでも狂った天使によって。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:14:07.02 ID:GHeTsR6l0


八日目 午前 終



本当に大事な記憶は細胞一つ一つにまで刻まれる。
それだけの話だ。忘れたくても忘れられやしないのだ。
蝕む恐怖も。染める悲哀も。身を焼く激情も。――勿論、深く甘い親愛も。

…それはまた、次のお話であるのだが。



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