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◆/ ゚、。 /『The Rainmaker and“Lemegeton”』のようです…… 第五夜「裏切りと少女の涙」

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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:34:48.29 ID:GHeTsR6l0


/ ゚、。 /『小さき鍵』とレインメイカーのようです……



――Solomon Grundy,
  
  Born on a Monday, Christened on Tuesday,
  
  Married on Wednesday, Took ill on thursday,
  
  Worse on Friday, Died on Saturday,
  
  Buried on Sunday.
  
  This is the end Of Solomon Grundy.




                         (『Solomon Grundy』より)



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:37:06.31 ID:GHeTsR6l0
――第五夜――
「裏切りと少女の涙」

(∩A;)「うぅぅ……」

人目もはばからず、ドクオは泣いていた。帝都VIPのある大通りだった。
雨は電車に乗っている間に止んでしまったようだ。街には先ほどまで重宝していた雨具を、恩知らずにも億劫そうに持つ人が行き交っている。
そんな中の一人、大きな群青色の傘を持つ白衣の男。

/ ゚、。 /「…え?なんで?今の話のどこに泣き所が?」

(;A;)「だって……先輩可哀想過ぎるだろ!」

/ ゚、。 /「そうですかね」

ほんの少し汚れた白衣。その上、ちょうど左胸の辺りで拳を握る。
女のような手入れされた指先に僅かながら力が入った。それでいて、表情は至極自然だ。

/ ゚、。 /「…あの人も、自分がまともな死に方できないことぐらい、覚悟してたと思いますけど」

都合良く自分だけ救われようとするような弱い人間じゃありませんでしたから。
…そう付け加え曇天を見上げる。同じはずなのに、大好きな雨なのに、何故か今日は冷たい気がした。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:40:05.55 ID:GHeTsR6l0
鈴木=フラメス=イオリエは知っている。ずっと昔から、それこそ物心の付く前から知っている。
――たとえ一度でも泥に塗れた人間は一生救われることはない、と。
原因が周囲にあろうが全く関係ない。残酷なことだが、所詮それはただの言い訳に過ぎない。

/ 、 /「…人を傷つけることができる人間は、背景云々以前に人としての『程度』が低いんですよ……」

殺されたから殺して、それでいいのか?
…いいわけがないだろう。その為の倫理であり法だ。『人間』という理性を持った獣が生きていく為の、ルール。

だからこそ彼は『FOX』に所属している。
憎むべき悪を合法的に殺す為に。ただ、それだけの為に。

/ ^、。 /「まぁ、昔話はもういいです。そろそろ着きますよ?」

('A`)「…っていうか何処に向かってるんだ?」

当然の疑問を口にする。駅から十数分歩いているが、目的地らしい目的地は見えてこない。
そもそもドクオはイオがどういう目的で動いているのかさえ知らないのだ。行き先など分かるはずもなかった。
対し、本当に人の良さそうな笑みを浮かべ、レインメイカーは言う。

/ ^、。 /「もうすぐです」


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:43:05.60 ID:GHeTsR6l0
大通りを抜け小さめの通りに入る。ここを真っ直ぐ行けば「占い通り」という道に出るが、その前に左に曲がる。
…すると少し先に大きめの公園が見えてきた。
かなりの規模を誇っているようで、上空から見れば都心に緑の穴が空いているのが分かるだろう。

軽快な足取りで公園の中に入るイオ。
すると――

/ ゚、。 /「……!」

――蛇のようにうねる何かが、顔面目掛けて飛んできた。
ガキィィン!と金属のぶつかる音が響き渡る。その凶器――先に短刀のついた朱色の鎖を傘で弾いた音だった。
咄嗟に銃を構えようとするアウトローなドクオ。が、よく考えてみれば没収されたままだ。仕方なくファイティングポーズ的な姿勢を取る。

「…中々死なないもんだし。特待生クン」

/ ゚、。 /「神のいたいけな子羊である貴女が、理由もなく人を殺そうとするのはどうかと」

(;'A`)「…ッ!?」

女の声に答える新人隊員。
効果音で言えば、「ぬめり」か。風景に完全に溶け込んでいた女が眼前に姿を現す。
…正直な話、ドクオはかなり驚いた。その鮮烈な美しさもそうだが、どう考えても周りに馴染む服装をしていなかったからだ。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:46:05.24 ID:GHeTsR6l0
髪は滑らかな金髪。それを一纏めにし、――つまりポニーテールにしている。
両の瞳はどこかの西欧の海のように蒼く、光を宿している。顔立ちもはっきりと断言できる『美少女』だった。
…しかし、問題はそこではない。

(;'A`)「…何このSMねーちゃん」

ラフな格好の女。彼女には皮の首輪があった。互いの手首は繋がれており、十センチも開くことはない。
また籠手に当たる部分には細い鎖が幾重にも巻かれていた。防具のつもりだろうか。
よく見れば分かるが片方の足首にも金属性の枷がある。服に隠れていて見えないが鎖が身体中に巻き付いているはずだ。

服装もまた身体のラインを強調する修道服のようなもので奇妙なバランスを醸し出している。
――つまり見た目は完全に「SM中の外人(修道女プレイ)」だった。
そんなイオと同じくらいの、特徴しかない少女は――何故か塀の上から自己紹介を。

ノリ, ^ー^)li「特務機関『FOX』第零遊撃部隊所属、ジャンヌ=H=ラウラだし。貴方は?」

(;'A`)「…はぁ、ドクオです」

ノリ, ^ー^)li「よろしく。ラウラか、もしくはジャンヌと呼んだらいいの」

FOX第零遊撃部隊は「最強の戦力」と評されるほどの部隊なのだが……彼の認識では「変態の集まり」になりそうだ。
目のやり場に非常に困るドクオ。曖昧な笑みを浮かべるイオ。面白いものを見つけた、と言わんばかりの眼をしたジャンヌ。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:49:08.60 ID:GHeTsR6l0
/ ゚、。 /「『マレフィキウムの鎖使い』が帝都でお買い物ですか?」

ノリ, ゚ー゚)li「別に好きで来てるわけじゃないが。仕事だ、ちょっと『彷徨う影』や人攫いの件の処理にの」

もういつものことなので気にしてない、と言わんばかりに服装その他には突っ込まない。
塀の上でしゃがみ、僅かながら見下ろすようにしジャンヌは言った。
イオは無表情になりかけた顔を直しながらも傘の具合を確かめる。幸い、特に大きなキズはないようだ。

/ ^、。 /「異端と異教徒の殲滅は司祭様のお仕事でしたっけ。大変ですね」

ノリ, ゚ -゚)li「我が宗派では司祭は男性しかなれないんだし。大体、その理屈で言えばお前も異教徒だろーが」

/ ゚、。 /「あれ。『錬金術は、地表を支配しているキリスト教に対して、いわば地下水をなしている』は有名だと思いますが」

('A`)「(……もしかして、仲悪い?)」

ドクオには霊感がないので分からない。が視るべきものが視れば、二人の呪力がぶつかり合いを起こしているのは明白に分かるだろう。
『東邦の蒼い死神』の重たい雨の日の空のような、暗く冷たい灰色の精気。
対し、『マレキフィウムの鎖使い』の神代の武器が火花を散らしているような、黄金色と白銀色の魔力。

訳の分からない宗教・魔術専門用語を交えながら自身の有能性を誇示するように敵意を放つ。
ドロドロとした嫌な、それでいて離れられない空気。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:52:11.74 ID:GHeTsR6l0
あまりの濃さの呪力に体調を崩しかけた連れを気遣い、適当なところで話を切り上げる。
…というか、さっさと探しに行きたいのだ。長い間求めている『鍵』を。

/ ゚、。 /「…では自分達はこれで失礼致します」

ノリ, ^ー^)li「ああ。そこの貧相なのも元気でな」

('A`)「え?あ、はい……」

塀の上に乗っていたジャンヌは片手から鎖を伸ばしヒュンヒュンと回し始める。
人に当たれば骨が折れる程度の速度になったところで、右斜め上空に向け投擲した。先にあるのは日照権の関係で低くなったビルだ。
それが屋上の手すりに撒きついたのを確認すると、勢いを十分につけ跳躍し、さっさとその場から立ち去ってしまった。

('A`)「…人間って、飛べるんだな。ビルまで飛び上がれるんだー…」

/ ^、。 /「そのうち慣れますよ。あんなのばっかりですから、僕の周り」

('A`)「慣れたくねぇよ」

眉間に縦の皺を刻み言い返す。面白いことは好きだが、めんどくさいことは嫌いだ。
このままついて行っていいものか僅かながら悩む。しかしここで退くと後々後悔しそうな気がする。
『愉快さ』と『命』を天秤にかけるのはどうかと思うが、危なくなれば逃げればいい。それだけのことだ。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:55:05.77 ID:GHeTsR6l0
――足止めを喰らってしまったので、少し急いで公園の中に入る。とんでもない規模だ。地図が大型ショッピングモールのそれのごときである。
また管理人は相当寛大らしく、一角にはホームレスのものと思われるダンボールハウスがある。
…いくつかはいやに良いテントなので、サバイバルゲームにも使われているのかもしれない。

('A`)「…あの、塀の上に乗ってた人」

歩きながら唐突に呟く。腕を組み、目を瞑り思い出しつつ、どう言うべきか悩む。
見かねたのか、懐中時計で時間を確認しながらイオが応じた。

/ ゚、。 /「ラウラですか?スリーサイズと性的嗜好ぐらいなら分かりますけど」

(;'A`)「いや、気になる……けど、そうじゃなくて……」

噴水のある小さな広場。子供を連れた奥様方がちらほらと見える。
天気が良くなり始めたので散歩にでも来たのだろうか。
そんな中を歩く二人の男、その小柄な方は気になっていた質問をぶつけた。

('A`)「なんで塀の上にいたの?」

/ ゚、。 /「え?趣味ですけど」

(;'A`)「(言い切られた!!)…意味、なかったのか……」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 21:58:06.32 ID:GHeTsR6l0
にこやかに笑いながら部署は違えど件の彼女の一応の同僚、鈴木=フラメス=イオリエは言う。
この複雑かつ広大な公園でもその足は迷うことはない。相当に記憶力が良いのか、もしくは馴染みの土地なのだろう。

/ ^、。 /「全く、色々見えちゃうから止めて欲しいんですけどね」

('A`)「…?あまり一般人に見られないほうがいいのか?」

首を横に振りつつ軽い否定を。男性にしては眺めの、綺麗な黒髪が揺れる。
それもありますけど、と前置きをし、

/ ^、。 /「あの人、下着着けないので」

(;゚A゚)「…マジでェ!!」

…サラッと爆弾発言を。常緑樹の中に驚きの声がこだました。
迷惑なのは鳥達で、同じかそれ以上にびっくりしたのかバサバサと飛び立っていってしまった。

/ ゚、。 /「どちらもただの趣味ですよ。意味ないです」

(-A-)「そうか……」

今度会うことがあれば……、と決意したドクオであった。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:01:12.44 ID:GHeTsR6l0
――やがて辿り着いたのは小高い丘のような場所だった。公園が一望……とはいかないが、眺めはそれなりに良い。
流石にここまで来る人間は少ないのか、たった二人。

ノハ*゚⊿゚)「ぬぉぉおおお!!」

一人は真っ赤な長髪が目立つ少女だった。制服から察するに近隣の高校の生徒。
スカートなのもおかまいなし――もっとも中はスパッツで気にする必要はないのだが――で、ひたすら一生懸命にブランコを漕いでいた。
何故そんなにも楽しそうなのかは不明だが、それ以前にあまりの勢いで一回転してしまいそうだ。

从*゚ーノリ「…あ、いつかの灰色の人ですね。こんにちは」

もう一人は、可愛い髪飾りを付けた中学生ぐらいの少女だ。
クリクリとした大きな瞳が印象的で、派手ではないが割と可愛い方なのかもしれない。
近くのベンチに座っており膝にはスケッチブックがある。脇にある本のタイトルは「長いお別れ」で、しおりが半分ぐらいのところに挟まれていた。

ブランコに熱中する少女はひとまずスルーして、ベンチの彼女の方へ。
ドクオとしては赤髪の女の子が密かにタイプなので気になっているが、付き添いの分際でわがままはいけない。
子供用の笑顔を湛え、イオは軽くしゃがみ目線を合わせた。

/ ^、。 /「久しぶり」

从*゚ーノリ「ご無沙汰でしたね。忙しかったんですか?」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:04:09.97 ID:GHeTsR6l0
錬金術師は曖昧に笑いながら、まぁね、と答えた。ドクオは彼が少し戸惑ったように思えたが気のせいだろう。
買収でもするつもりなのだろうか。ポケットを探り、棒付きの飴を二つ取り出した。澄んだ赤と青。
…白衣から出てきた食物は口に入れるのを躊躇いそうなものだが、それに気づいていないことからイオのズレ具合がよく示されている。

/ ^、。 /「えっと、こっちは……」

('A`)「ドクオ。…初めまして?だと思うけど、名前は?」

从*^ーノリ「ルカです。好きなものは本を読むことと絵を描くこと。嫌いなものは古典的なナンパです」

グサリ、という効果音が非常に似合いそうなやり取りだった。
…ドクオは二つ分かったことがある。一つにこの子は相当絵が上手いこと。二つに可愛い顔して毒吐くこと。
まぁまぁ、と慰めながらイオが訊ねた。

/ ゚、。 /「占い師さん、は――」

从 -ーノリ「あんな人、知りません」

/ ^、。 /「――やっぱり。喧嘩中なんだ」

探し人である占い師、同時にルカの師匠でもある占い師は、基本的に駅から伸びる大通り付近か占い通りで営業をしている。
そこにいないということは……つまり、何かあったということは明白だった。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:07:05.83 ID:GHeTsR6l0
从#-ーノリ「だって聞いてくださいよ!」

いきなり立ち上がり叫ぶ少女。
適当に相槌を打つイオとドクオの二人。後者は、あまりの迫力に圧倒され気味だ。

从#゚ーノリ「私じゃ、画家になんてなれないって言うんですよ!?」

('A`)「………へぇ」

足元に落ちたスケッチブックを拾い上げる。描いてあるのは公園の風景か。一輪の花。
鉛筆だけのラフなものだったが、それでも十分過ぎるほど上手い、と特に芸術の教養もない彼は感じた。
言い表すことができないが、なんとなく暖かい感じがしたのだ。

――だから言ってしまった。
素朴な、それでいて少女の心を抉る感想を。

('A`)「色、塗ればいいのに」

从 -ノリ「………」

ストン、と力が抜けたように座り込む。
小さなこうべが垂れている様子は何とも痛ましい。膝の上で握られた拳は震えていた。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:10:06.02 ID:GHeTsR6l0
レインメイカー、『雨を降らせる者』であるイオは溜息をついた。
手にしていた二種類の飴を隣の彼に示し、小さな声で聞いた。

/ ゚、。 /「…どっちが青い飴に見えますか?」

('A`)「どう見ても右だろ?」

当たり前のように答えたドクオに再び溜息を漏らし、首をゆっくりと横に振る。
まるで、「何にも分かってない」と言うように。

/ ゚、。 /「あなたにどれくらいの知識があるのか知りませんけどね、」

珍しく若干イラついたように言葉を紡ぐ。普段が笑顔なだけあり、相当怖い。
心配した赤髪の少女が駆けてきた。それを手で制し、彼はポツリと言い放った。

/ 、 /「…世の中には、それが分からない人もいるってだけの話です」

ポト、ポトと。少女の小さな手の上に涙が落ちた。
肩を震わせ、唇を噛んで……

…ルカという少女は女性には非常に稀な『全色盲』で、それでも画家になりたかった。
――たったそれだけの、単純な話だった。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:13:06.85 ID:GHeTsR6l0
……………


(-_-)「……はぁ」

( ゚∀゚)「今日八回目だぜ、溜息。俺と会ってから二分経ってねェから、単純計算で十二秒に一回は溜息だ」

帝都の真ん中を中心に四分割したその南、――南ブロックのオフィス街の幽霊会社のビル。その外に設置された非常階段だった。
本日休業の占い師が座っていた。疋田退と言い、「占い師ヒッキー」として少しだけ有名だ。
目を細め、肩を落とし、いかにもな感じで落ち込んでいる。

( ゚∀゚)「ンなに気になるんなら大人しく謝りにいきゃいいじゃねェか」

ボリボリと、茶色く染められた頭を掻く。右目が三白眼のコートの男。一言で表すなら「不良」だろうか。眉毛もない。
他人には「ジョルジュ」と名乗っている彼。四六時中不機嫌そうに見える顔をめんどくさそうに変えた。
対しヒッキーは顔を背けると、気になってない、と一応の虚勢を張る。

しかし知り合いであるジョルジュからしてみると、夢遊病患者のごときに街をふらつき歩いている彼の姿は……
…いや、それだけではなく、ガタイの良い兄ちゃんにぶつかりブン殴られても全く動じない様はどう考えても異常でしかなかった。
普段なら平謝りしつつダッシュで逃げるというのに。

(-_-)「…気になってなんか、ない……」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:16:05.58 ID:GHeTsR6l0
( -∀-)「(ったく……。ヘタレ一般人のクセに、なんで訳分からんねェところで頑固なンだよ…)」

/ ゚、。 /「まったくですね」

(;゚∀゚)「ぬおっ!!」

いきなり隣に現れた人の良さそうな白衣の男、――鈴木=フラメス=イオリエを見、二歩ほど後ずさる。
対し、柔和な笑みを湛えた青年はビシッと指を指す。落ち込む占い師の眉間に向かい、だ。勿論ジョルジュなど視界に入れてはいない。
そして完全に意気消沈しているヒッキーにトドメの一撃を。

/ ゚、。 /「…大事な人と、いつまでも一緒に居られるなんて思わないことです」

(;-_-)「………え」

――占い師の、その能力の電源が入る。
『視通す力』だ。誰かの過去と、現在と、そして未来を見通す力。嫌いだった力。
…でも誰かを助けることができる確かな力。

(;∩_-)「これ、は……」

久々の暴走と、覚醒。
確かに視えた目の前の青年の過去。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:19:05.90 ID:GHeTsR6l0


――矛盾の中、幸せな日々。


『来週、僕誕生日なんだ』


――甘やかな牢獄。


『…だから、デートしようか。プレゼント用意してきて』


――伝えられなかった言葉。


『その時はちゃんと答えを聞かせてね』


僕は、あなたを――



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:22:06.40 ID:GHeTsR6l0
――意識が現在に戻る。ヒッキーも、ここまで深い所に潜ったのは、潜らされたのは久しぶりで少し疲れていた。
冷や汗もかいているようだ。背筋が冷たくなった。
目の前の錬金術師は顔色一つ変えず、むしろニコニコと笑みを倍増させていた。

/ ^、。 /「後で後悔しても遅いんですから。ね?」

(;-_-)「……そうだね。こないだも言われたよ、そんなこと」

この若い男は、どれほどのものを抱えているのだろうか。
…おそらくヒッキーは知ることはない。なんとなく分かってしまったのだ。この人間の本質が。どうしようもない部分が。
だから、あえて触れることはしない。けれど、代わりに自分のことぐらいは……。

(-_-)「…謝りに行くよ。今すぐ」

/ ゚、。 /「そうですね、それがいいと思います。……でも、」

――電話が鳴った。国民的なある歌手のファーストシングルだった。
はい、と短い返事で電話に出たのはイオだ。頭を振りながら受け答えを。
…その間、表情が一瞬。僅かに一瞬だが愉悦の笑みに変わったのをジョルジュは見逃さなかった。
そして死神は携帯をしまうとニコリと笑い最後の宣告を行った。

/ ^、。 /「…ちょっと、遅かったかもしれませんね」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:25:15.83 ID:GHeTsR6l0


――ソロモン・グランディー

  月曜日に生まれた。 火曜日に洗礼うけて。
  
  水曜日に結婚した。 木曜日に病気になって。
  
  金曜日に重くなった。 土曜日に死んで。
  
  日曜日に埋められた。
  
  これで おしまい。
  
  ソロモン・グランディー




――第五夜 終――

…Man knows so much and does so little.



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/21(土) 22:28:07.76 ID:GHeTsR6l0
ご支援ありがとうございました。
まとめは、くるくるくーるさんです。

色覚障害者が出てきます。
…インド哲学では「人間が感じられるものは幻想に過ぎない」そうです。
とすると、目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりする方々は、もしかすると一番高位な存在なのかもしれませんね。

全色盲。
『夢』について、具体的な説教が聞きたい方は先週投下した短編をどうぞ。



本日の英文は格言。
宇宙船地球号?の人の言葉でございます。
格言の場合の「Man」は「You」と同じく訳さないものが多く、これもそうです。



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