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◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋ギコ~のようです 八日目午後

前の話/インデックスページ/次の話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:22:39.88 ID:9x9ju1dH0
誰になんと言われようが断固として投下し死なない限りは絶対に完結させるつもりのこの作品。死んだらごめん。
まとめは、ブーン速。さん、面白蛇屋さん、ブーンがまとめブログを武器にさん、そしてくるくるくーるさん。


お笑い要素がなくなります。
始まり方も真面目な感じになります。
一連の騒動が終わるまでは。まぁ、二部からは元に戻るので。つまりすぐ戻ります。


…では、いきましょう。



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:25:09.79 ID:9x9ju1dH0
【本日出てきそうな一行人物紹介】
(,,゚Д゚)…ギコール・ハニャーン。ヘタレで馬鹿で世間知らずな良い人。ついでみたいな設定で召喚師。あと………
( ^Д^)…プギャー。全身真っ黒な八咫烏。超強い現実主義者。本日出番はワンカットです!
(#゚;;-゚)…でぃ。猫又と見せかけて実はただの半妖。前の主人の遺品貰ってパワーアップ。あと、おそらく勝敗の鍵握ってますぜ。
o川*゚ー゚)o…キュー。雪の神様らしい妖狐。一言で言えばバイ。あともしかすると……
ミ,,゚Д゚彡…フサ。雑魚キャラみたいなウールヴヘジン(狼男的な)。暇人。あと来週からは活躍します?
イ从゚ ー゚ノi、…いづな。管狐で鎌鼬。なぜか偉そう。あと上に同じく。
爪゚ー゚)…じぃ。麒麟という神獣。鈴がリンリン鳴る。あと可愛い。
( ^ω^)…西川。自称ソロモン王の一番弟子のジン(精霊的な)。モクモクしている。あと本日大活躍。

【本日の敵勢力?】
|゚ノ ^∀^)…超可愛く活発な僕っ娘。超能力で最高位。あと、まぁ迷惑ですよね。
( -∀・)…『正体不明』。人間であることを捨てた化物。いつの間にやら喫煙者に。あと未だに超モテる。
('(゚∀゚∩…野鎌なをる。二年ほど前に死んだ飯綱使い。一時期FOXに傭兵として雇われていた。あとロリコン?
N| "゚'` {"゚`lリ…アベさん。千年ほど前に死んだ著名な陰陽師。普通に子孫を残している。あとプギャーの師匠さん。

【今宵のテーマ】
正体不明の魔法使い

【あまったスペース、本日の投下クイズ】
仙人の移動手段と言えば?


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:28:05.98 ID:9x9ju1dH0


―― I do not know why I am so sad; there is an old fairy tale that I cannot get out of my mind ――




(,, Д)「もしもし○○?今すぐ来て!」のようです


八日目 午後
『スーパーソニック ――戦いのサガ―― 』






10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:31:05.80 ID:9x9ju1dH0
――どこかの世界だった。いつかの時間だった。
山の中だった。雨が降っていた。人じゃないモノが沢山いた。

( -∀・)「…さぁて、何か質問はある?」

その筆頭。夏用の学生服を着崩している、片目を閉じたままの何か。
透き通るような白い髪と、濁りながらも儚い光を宿した黒の瞳。鼻梁の通った日本人的な煩くない顔立ち。どこか、人ではないような魔力。
…そんな『正体不明』は軽口を叩き続ける。

( -∀・)「まぁさっさと僕達を倒さないと、あの坊ちゃん……死ぬけどね?」

(;#゚;;-゚)「…当主、様……?」

( -∀・)「余の顔を見忘れたか、……って死んでから十年経ってるのか。年取ったなぁ、僕。そして大きくなったなぁ、我が家臣」

容姿に限れば白髪を除き全く変化がない当主は懐から何かを取り出す。それは煙草だった。細巻きの煙草でシガリロと呼ばれているもの。
咥えると、マッチを出す動作さえ億劫というように小首を傾げる。…やがて火が点いた。身動き一つ、目線すら動かさずに火を点けた。

(;^Д^)「(…チッ。俺達以上に化物な奴が出てきたか……)」

紫煙を燻らせる彼。超能力なのか魔術なのか。ならば何の現象を、どの系統の、どういう方式で引き起こしたのか。
…それが既に理解できない。当たり前だ。だからこそ『正体不明』の呼び名がついたのだ。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:34:05.70 ID:9x9ju1dH0
( -∀・)y‐「…胸は……ああ、あんまり成長してないね。そういうのも魅力の一つだけど、さ」

('(-∀-∩「同感なんだ――」

イ从゚ ー゚ノi、「黙れロリコン」

元恋人から辛辣な言葉の剛速球を喰らい、その場に蹲る飯綱使い。真剣味の欠片もない。
相手はたった三人。だがどれも一筋縄でいかないどころか、できることなら戦闘は避けたい類の存在だった。
こちらは十人。種族で言えば八咫烏、猫又、銀狐、鎌鼬、狼男、件、ジン、夜行、麒麟に首なし騎士。数の上では優勢だ。

( -∀・)y‐「で、どうする?今お姉ちゃんにサシで勝ったところだから割と機嫌いいんだよねー。人生初だったり」

N|;"゚'` {"゚`lリ「…まさか……」

( -∀・)y‐「というわけで、クイズにしまーす。どーせ、そっちに勝ち目なんざ一ミリだってないんだからさ」

やっぱり、と項垂れる二人の仲間。どうやら常時この調子のようだ。
――だが一人。短気な狼は、この状況で馬鹿にされたことが限りなくムカついたらしい。

ミ#゚Д゚彡「――ふっざけんなァァ!!」

飛び出した。両足に力を込め、人狼化はないにしても明らかに人間の限界を越えている脚力で以て。


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:37:06.25 ID:9x9ju1dH0
――しかし。
ノーモーションで、攻撃が開始される。

(  ∀)y‐「…はぁい、第一問」

ゴシャァァア!と何かが蹴り飛ばされる音が響いた。『正体不明』が文字通りフサを「一蹴した」音だった。吹き飛び後ろの巨木にぶつかる。
十メートル強は離れていたはずの二人。その距離を一瞬にして縮めたことになる。それは行動を攻撃にすることさえ許さない、という意思表示か。
生前と同じく完全に人を見下した笑みを浮かべ、問題を述べる。

( -∀・)「今、僕はどういう理屈で何をしたのでしょうか?」

ミ; Д彡「…が、……」

( -∀・)「両サイドから飯綱使いと陰陽師の猛攻を受けつつ一所懸命考えて、ね?」

指が弾かれる。と同時、二人の魔術師が走り出す。
アクセサリーをつけた軽い感じの飯綱使いは両の指先に竹筒を挟み、右に回り込む。
ツナギを着た大柄な陰陽師は左に回る。目を細め、散開する「助け屋」メンバーに対し三種類の符を投げ放つ。

( -∀-)「あー、作りかけのオムライスどうしようかなー……」

――そして、最後の一人は空気に腰掛け今晩の夜食について考える。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:40:05.36 ID:9x9ju1dH0
……………


――タンパク質の焼けた匂いがした。男はそれが嫌いだった。何故かと言えば、「人を焼き殺した時の匂い」だったからだ。
発生源を辿ると、自身の顔面であることに気づいた。顔の右半分、王家の紋章である聖痕が出ていたのだ。
他の人間より不恰好な、まさに傷痕のようなそれを開放するのは久しぶり……というより、表に出てくるのが久しぶりだった。

(,,〃Д゚)「………」

|゚ノ ^∀^)「久しぶり?それとも、初めましてなのかな。僕的には初めましてなんだけど……」

目の前の少女が声をかけてくる。スカートで腰にジャケットを巻いた軽装、レモナ。
栗色のセミロングの髪を持つ大変可愛らしい少女で、将来どれほどになるか楽しみになる容姿。

――が、男は嫌悪感しか覚えなかった。
背中についた二対の翼に。だから、消し飛ばそうとする。右手をかざし、光を放つ。

|゚ノ*^∀^)「アハ♪」

対し、レモナは跳ねるように右へ飛び光線を避けた。まるでそうなることを予想していたかのような動きだった。
羽ばたき手頃な木の上に乗る。見下された気がして非常に気に食わない。
いぶかしむような視線を向けるも、少女はひたすらに楽しそうでしかない。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:43:05.44 ID:9x9ju1dH0
(,,〃Д゚)「…俺が誰か分かってんのかゴラァ」

|゚ノ ^∀^)「『タロス・ギコール・O・ハイドレード・プネウマ』…ロビー国の叙事詩に出てくる、哀しい英雄君♪」

(,,〃Д-)「分かってて呼び出したってこたぁ、死ぬつもりってー解釈でいいんだな?」

何年か、何十年か、何百年か、それとも何千年か。
久々にアッシャー界に顕現した神代の魔術師。あの社長とは似ているようで決定的に違う。顔が同じでも中身が全く違うのだ。
纏うオーラは闇色。右手の甲に現れた紋章は視るだけで脳を汚染してしまう。声ですらドス黒く跪いてしまいそうな威圧感がある。

そんな悪魔を前にしても少女は笑みを崩さない。
――まるで、眼前の化物は自分と同類だと言わんばかりに。

|゚ノ*^∀^)「だって、僕は君と戦いたくて呼び出したんだもん」

(,,〃Д゚)「……正気か?」

|゚ノ*^∀^)「うやむやだったんでしょ?僕のご先祖様との勝負は」

…ああ、なるほど。神代の化物、ギコは納得した。
何故こんなにも嫌悪感しか覚えないのか。また『ギコール・ハニャーン』という人間は、何故あんなにも恐怖を感じていたのか。
簡単だ。…数千年前のクソのような惨劇を昨日のことのように覚えていたからだ。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:46:05.70 ID:9x9ju1dH0
|゚ノ ^∀^)「…あ、ちょっと待ってね。歌うから」

(,,〃Д゚)「歌?」

|゚ノ*^∀^)「うん。僕の武器との約束だから」

再び跳躍し地面に降り立った天使は、リクエストある?と笑いながら訊ねた。
本当に無邪気で可愛らしい笑みだ。一瞬で心を奪われるほどに。犯して貫いて引き裂いて砕いて潰して粉々にしてやりたいほどに、魅力的な。
携えた三対の光の翼も同じくだ。千切りとって踏み躙りたくて仕方がないのだ。

嗚呼、と溜息が出る。背筋に奇妙な感覚が走る。
――泣かせてやりたい。悲鳴を挙げさせたい。這い蹲らせたい。命乞いをさせたい。ただただ存在を蹂躙したい。
懐かしい思い。数千年振りの。翼の色や形は違うが、少女は紛うことのないあの天使の子孫なのだろう。

目を閉じる。しばし考え、やがて口を開く。
口元が綻ぶのが分かった。メインの前の前菜を食べている気分だった。

(,,〃Д-)「…オアシスの『スーパーソニック』を頼む」

下手くそだったらその場で殺してやるからな、と前置きし、手近なベンチに腰を下ろした。
周囲のアスファルトは乗っ取りの影響で溶けていたが関係ない。そんなもので困るほどヤワではない。
――冷たい雨も、深い夜も、気色の悪い緊張感も。どれも今を引き立たせるスパイスでしかない。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:49:05.99 ID:9x9ju1dH0
……………


(;^Д^)「メンバーを分けます。自分とフサは陰陽師を、いづなとキューは飯綱使いを、残りはあの『正体不明』を」

八匹の管狐が真言と共に開放された瞬間。あるいは、水銀で書かれた三種の符がそれぞれの効力を持ち襲い掛かった刹那。
プギャーはそう呟き、かつての師の元に走り出す。おそらく至上最高の陰陽師の元へと。

o川*゚ー゚)o「…いづなちゃん」

イ从 ーノi、「行くぞ」

俯き答える。自分を『人間』に変えた家族。格上であることは分かっている。
…それでもだ。彼を止めるべきなのは自分だと、いづなはちゃんと理解していた。それがどんなに辛いことでも。

( ^ω^)「おー。…でも、あの子供に残り全部は割き過ぎじゃないかお?」

(# ;;-)「…貴方は、当主様がどういう存在なのか知らないからそんなことが言えるのです……」

…ガタガタと膝が笑ってしまっていた。怖いのだ、どうしようもなく。
新しいシガリロを吸い始めた青年。アレを敵に回すということがどういうことか、一緒に暮らしていたことのあるでぃは知っているのだ。
もう『人間』である必要はない。と言うよりは、もうなれやしない。…ならば人の皮を被ったアレはなんだ?


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:52:05.64 ID:9x9ju1dH0
(  ∀)「…ま、『化物』だよね」

――西川の隣を何かが通り過ぎた。一陣の風?いや、違う。
…シーンはゆっくりと振り返る。夏服の学生服を着崩した何かがそこにいた。

(;・-・ )「ッ!!」

回し蹴りをモロにもらい、首のない馬から転げ落ちる。
それでも真後ろの存在に向かい振り向きざまに逆袈裟に斬り上げる。が、上体を軽く振って避けられた。

( -∀・)「さっさと当ててね。……死なないうちにさ」

( ∵)「…もらった!」

――また消えた。更に数十メートル後方へ、今度は木にもたれかかる。余裕だった。遊んでいた。むしろ、どうでも良さ気だった。
高速移動のトリック。それを当ててみろという。

( -∀・)「ヒント。仙術系の魔術の一つとされる。科学方面ではロケットに関係する」

でぃが走った。二歩で距離を詰め、譲り受けた刀を振るう。
しかし、バックステップであっさりと逃げられる。ポケットから手すら出していない。
背を向け先ほど座って場所に向かい歩き出す。攻撃できるものならしてみろ、背中はそう言っていた。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:55:08.22 ID:9x9ju1dH0
( ^ω^)「簡単だお。アンタの移動の理屈なんて」

――やがてぽつりと西川が呟いた。引き裂いたような笑みを浮かべる正体不明。
足を止め、振り返る。それは初めて彼等を『敵』と認識した瞬間でもあった。相手をするに値すると認められたということだ。

( -∀・)「じゃあ一撃入れてみてよ」

( ^ω^)「……望むところ、だお」

やたら自信満々なジン。そう言われると周囲は余計に心配してしまう。
少し離れた地点、木の陰に隠れていたじぃが聞く。おっかなびっくり、という具合に。
おそらく瑞獣たる麒麟は『君主』の器を持つ相手が苦手なのだろう。奴は一応『朝比奈家二十七代目当主』という肩書きも持っている。

爪;゚ー゚)「大丈夫か……?」

( ^ω^)「大丈夫だお。似たような魔術は僕のとこでも使ってたんだお。それに、いくら速く動こうとも――」

――姿が消える。高速の攻撃が始まる。
が。自称ソロモン王の一番弟子は余裕だった。全身の力をくまなく使い真上に飛び上がる。
そして、そこに来るはずの相手に向かい、高々と勝利宣言を。

( ^ω^)「――どこに来るか分かっていれば、楽勝だお!!」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 20:58:09.54 ID:9x9ju1dH0
……………


――夜の公園に二匹の化物。
一匹は天使。数千年前、神様が創り出した英雄と戦った天使、その子孫の少女。
もう一匹は悪魔。同じく数千年前ロビー国を救い、と同時に国民の八割を虐殺したと伝わる神代の青年。

…どちらも真偽は明らかではない。
事実ならば「世界と神様が仲が悪い」ことの一因だが、もはや当事者を除き誰にも真実は分からない。
そもそも真相が分かったところで誰が得をする?今更懺悔したところで過去を取り戻すことなどできやしないというのに。

(,,〃Д-)「八十二点だな」

|゚ノ*^∀^)「えへへ……」

歌が終わった。呼応するようにレモナの右手に光が集い始めた。鮮烈で圧倒的な光そのもので構成された武器。
やがて光は色付き一つの形を取る。ちょうどロングソード程度の長さの剣だが、心を焼き尽くすような美しさを内包していた。

|゚ノ*^∀^)「…いいでしょー。『ルクス・デカログス』って言うんだー。羅刹剣だよ」

古代ギリシャ語の名を借りた剣は彼女自身と同じく、――優美で、壮大で、高潔で、純粋で、何よりも残酷な輝きを備えている。
元は名などなかったのだが、数年前にレモナを唯一負かした相手が名付けたのだ。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:01:12.99 ID:9x9ju1dH0
|゚ノ ^∀^)「これは一番目の剣。『ソール』って名前。一番扱いやすいやつ♪それでね――」

(,,〃Д-)「(帰っていいかな……)」

木の上に乗りながら自慢の武器を紹介し始める。「第一の剣」と言う呼称から複数形態があることは容易の想像できるが、どっちにしろ興味はない。
彼女の先祖も――つまりギコと殺し合いをした相手も――お喋りだったが、それはどうやら遺伝らしい。
そうこう考えるうちに形態が変化し今度は弓の形になる。身の丈に不釣合いなほど巨大なそれは魔力で作られたコンポジット・ボウのようだ。

|゚ノ ^∀^)「…これが『アリュギュロトクソス』で、一番好きなやつだ………よッ!!」

(,,〃Д゚)「ッ!」

――番えられていた矢が飛んだ。最小の力で瞬間的に引かれ、放たれた。
雷光のごとき速度で空気を切り裂きながらギコを狙う。かわした彼の代わりに公園の地面が犠牲になり、アスファルトが吹き飛んだ。
これは神の武器である『神器』に相当するかもな、と推測しながら距離を取る。身体振って軌道から逃げる度に建物が、木が、地面が犠牲になっていく。

|゚ノ ^∀^)「んー、当たらないなぁ……。じゃあ――」

一回聞いただけでは到底覚えられそうにない名を持つ長弓を空に向かい放り投げる。
空中で分散した武器は、それぞれが一尺八寸程度しかない世界最小の矢――打根のような槍になり夜空に配置された。まるで星のように。
何番目か形態。槍と矢の中間の名は『ルー』と言う。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:04:07.84 ID:9x9ju1dH0
雨雲のせいで星は雲の切れ間から顔を除かせる分しか見えない。
それは先ほどまでの話で今は違った。

(;〃Д゚)「(数は――クソッ、本物の星と混じってどれがどれだか分かんねぇぞゴラァ!!)」

――絵に描いたような星空だ。それは高価なプラネタリウムを見ているような印象を覚えさせた。
幾千もの輝く光がギコを照らしている。否、狙っていた。雨のように降り注ぐ矢はギコの身体に何十もの穴を空け、残虐な光は下界を染め切るだろう。
全身の毛が逆立つ。身体と精神のなまりは恐ろしい。神代においてなら全て見切り避け切ることもできたやもしれない。

…が、今は死なないだけの最低限の行動すら儘ならない。
間違いなく致命傷を負うことになる。

対し少女は余裕に満ちた表情で、高々と、堂々と手を挙げる。背中の三対の翼が煌いた。
いつだったか仮面の女にしたのと同じように。広げた掌を握りラストコールを。

|゚ノ*^∀^)「君は、やっぱり僕が壊すべきだよね?……流星雨となれ、『ラウファーダ』」


――死の宣告。
そして、満天の星空が落ちてくる――!!




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:07:07.88 ID:9x9ju1dH0
……………


――地球の自転の速度を知っているだろうか。
赤道上で1700キロメートル毎時。気づかないだけで惑星というのはとんでもない速度で回転している。
ロケットは基本的に東向きに打ち上げられるのだが、これは自転の速度を重力からの脱出に役立てようという考えだ。

また、仙人の術には「縮地」というものがある。平たく言えば瞬間移動。仙人は広い中国を移動する為の足としてこういった魔術を生み出した。
諸説あれど一つには「大地の力を利用する」という地脈や自転運動を用いる法があるのだ。

そしてソロモン王。72柱の魔神の喚起はあまりにも有名だが、それ以外。
『大いなる鍵』に示された、七惑星を利用した儀式もしくは護符魔術。それぞれの角度や位置、その他諸々を利用した魔法。
瞬間移動に対応する術式はないが、それでも星の力を利用している部分は共通していると言っていい。

( ^ω^)「…つまり、『一定の方角にしか動けない超高速移動』だお!!」

…好きな場所に動けるのなら、わざわざ剣の軌道から逃げる必要はない。
『一定の方向に』なおかつ『微調整の効かない』高速移動なのだ。これを考慮すれば回避は容易い。
相手の現在地から真っ直ぐ、東から西へ線を結び、そのライン上を注意する。それだけの単純な対抗策。

――事実、今まさに真下を通るところだ。立ち止まった。目標が視認できないことに少なからず驚く。
勝ちは決定したも同然だった。後頭部に向け、思い切り拳を振り下ろす。


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:10:07.92 ID:9x9ju1dH0
――が、刹那。またもや消えた。
同時に響くでぃの声。必死の静止の声だった。

(;#゚;;-゚)「避けてください!危険なのです!!当主様は――」

(;^ω^)「――上ッ!?」

…上空にいた西川、その更に上から声が落ちてきた。「もう遅い」。そんな一言だった。
放射される濃厚な殺気に咄嗟に顔を庇った。判断は正しかったと言えるだろう。次の瞬間、西川の身体は火に包まれていたのだから。
ズドォン!という心臓に響く音を聞いた。…それが、自分自身が地面に叩きつけられた音だと彼は理解したのだろうか。

( -∀・)「…ハハッ、正解だよ。でも、これで一人脱落だねー」

再び消え、近くの常緑樹の枝に腰掛ける正体不明。方向の限定された高速移動。そのはずなのに瞬間的に上空まで移動した。どういうことか。
…その正体はでぃが何を言ったのかが示していた。西川には届かなかったが、彼女はこう言っていたのだ。
すなわち、「当主様は短距離だけど『テレポート』もできる」と。

( -∀・)y‐「じゃ、第二問に行こっか。解答者は減っちゃったけど、まだ続けるんでしょ?」

十年の時が経ち『人間』という制約は跡形もなく消え失せた。残ったのは神のごとき才能と世界を操る力、果てなく狂った心。
これが『正体不明』だった。あまねく力を使いこなす化物。ありとあらゆる方法で敵を排除する生物。
――その前では、まともな常識など邪魔でしかなかった。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:13:10.42 ID:9x9ju1dH0


八日目 午後 終



…どうしてこんなに哀しいのか僕は訳が分かんないよ
もう遠い昔の話なのに
なのに、心の奥から離れない



―― できることならば、互いに幸せに終わる物語を ――




42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:16:11.63 ID:9x9ju1dH0
ご支援ありがとうございました。
今日は正直短かったです。すいません。
質問はしばらく受け付けます。


来週はないと思います。
…レモナの剣は無論「レイヴ」からですが、各形態の名称が何から取られているか分かった人はいるんですかねー……
『ラウファーダ』は『ルー』の異名なんですが…

正体不明の術式「自転を利用した高速移動」は科学的な話もありますが魔術的な観点からです。
解脱した仙人は世界を乱すことはない→流動する世界を達観している→流れに乗る・乗らないは意のままである、みたいな屁理屈。
…彼等の考え方『タオイズム』は昨今西洋で注目を集めているそうですよ。


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:29:12.10 ID:9x9ju1dH0
…あの、書いてる自分が質問するのもおかしいんですが……
ケルト神話と北欧神話って別物ですよね?
自分は北欧の方には詳しくないのでよく分からないんですが、違うんですよね?


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:42:47.99 ID:PqXla3850
完全に別物
ケルト神話はイギリス、北欧神話はノルウェーなどのゲルマン人の民話を元に編纂された物だったはず


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/28(土) 21:52:31.99 ID:591kUdHMO
うん。

北欧はノルウェー、デンマーク、アイスランド、スウェーデンを中心とした
キリスト教が布教する前のゲルマン民族の宗教。

ケルトはアイルランド等のケルト系民族のみに見られる神話じゃね?


前の話/インデックスページ/次の話

■この記事へのコメント

  1. ■ [(´・ω・`)]

    まとめお疲れさまです
    相変わらず面白い作品だなあ
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