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◆/ ゚、。 /『The Rainmaker and“Lemegeton”』のようです…… 第七夜「君影草の誉れ」

前の話/インデックスページ/次の話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 20:52:25.07 ID:tIp9efVj0


/ ゚、。 /『小さき鍵』とレインメイカーのようです……



――Jack and Jill went up the hill
  
  To fetch a pail of water;
  
  Jack fell down and broke his crown,
  
  And Jill came tumbling after.






                         (『Jack and Jill』より)




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 20:56:01.27 ID:tIp9efVj0
――第七夜――
「鈴蘭の誉れ」

( ・∀・)「…勘違いしないでくれよな。殺してないからね」

何人目かの護衛、――と言うよりは「構成員」の方が正しい連中を切り捨てた揚羽は、聞かれてもいない質問に答える。
顔も名前も素性も。嘘で固められた背の低い彼が何を思って自分に協力しているのかヒッキーは分からない。
…あるいは裏稼業というのはそういうものなのかもしれなかった。

(-_-)「…えっと」

( ・∀・)「右。そんで階段降りたら、多分そこにいるよ」

暗に「一人で行け」と言っているのは分かる。
しかし月明かりだけの屋敷でどれだけ具体的な指示を出されたところで容易に実行できるものではない。
と、言うよりも。

(;-_-)「(…もしかして、恋人かなにかと勘違いされていたりする……?)」

…その場合、疋田退という人間は占いに興味を持った女子中学生をはべらしている最低野朗になるわけだが……
悲惨なことに簡潔かつ理解しやすい文にするとそうなってしまうのであった。


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 20:59:42.61 ID:tIp9efVj0
(;-_-)「………」

――それとなく護衛を伺い見るとウインクを返された。
本人的には感動の再会を二人きりにして邪魔しないという憎らしい演出のようだが、当の二人にするととんでもない間違いである。

ただの『師匠』と『弟子』なのだ。
それ以上でもなく、それ以下でもなく、つまりは“それでしかない”関係。
だからこそ心地良い繋がりで、同時に失いたくない居場所。お互いにとってそれは同じだろう。

そう説明をすれば当たり前のように返事が。

( ・∀・)「分かってないなぁ。それが、『好き』ってことでしょ?」

(;-_-)「――ッ!!」

…もしかすると、ヒッキーは今までの人生で一番驚いたかもしれない。
「顔が真っ赤になる」という表現。大袈裟だと思っていたが、初めてそれを実感できた瞬間だった。

かあっと身体の芯が熱くなるのが分かった。
血液と衝撃が四肢を駆け巡って心臓は早鐘のように打ちまくる。
『焦燥』や『恐怖』が何か別のモノに塗り替えられ、頭が真っ白になった――。


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:02:40.43 ID:tIp9efVj0


( ・∀・)「…ま、別に僕はどうでもいいけどね~」

――隣に立つ男が発した気の抜けたトーンの一言で、やっとヒッキーは現実世界に帰還した。
熱を帯びた身体も少しは治まったようだ。

(;-_-)「(あっっっぶねぇ!自分で自分が何考えてるのか分からなくなってた……)」

吊橋効果、おそろしや。
…そんな感想を持ちながら暗闇の中を手探りで進み始める。
そうだ。そういうことは後からゆっくり考えればいいのだ。大事な人を救い出した後で、ゆっくりと。

( ・∀・)「僕の所に救世主は来なかったけど……」

――君は、あの子のヒーローになれるんでしょ?
その時、後ろから聞き取れるどうかのギリギリの声量で流れてきた言葉は、今までのふざけた調子とは一線を画するものだった。
僅か数秒に治まり切ってしまうその文章が、全てが偽物の男の『本物』だとヒッキーは気づかない。

(-_-)「…………?」

…ただ、一度振り返り小首を傾げただけ。
彼に一介の裏稼業の事情は分からず、――つまりは所謂『それはまた別のお話』であったのだ。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:05:40.44 ID:tIp9efVj0
……………


――クトゥルフ神話。
ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが描いた小説世界を源泉とする作品集。
コズミック・ホラーとして大成したものであり、人間の理性を超えた絶対的存在が数多く登場する。

テーマについては諸説あるが、

/ ,' 3「……人間風情の力など運命の前では無意味、ということかの」

/ ゚、。 /「それには同意しますけどね」


――ずるり、


そんな、気持ちの悪い効果音が聞こえた気がした。
杖の動きに呼応し表れたのは青黒い煙。酷い悪臭と共にそれは姿を現す。

四足。体液なのか、脳漿のような青い液体を全身から滴らせている。
触手の如き舌。イオはナメクジを想起した。
獲物を補足すると決して逃がさないと伝わることから「猟犬」の名がついているが、どう好意的に見ても犬には見えなかった。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:08:40.90 ID:tIp9efVj0
/ ゚、。 /「ティンダロスの猟犬……」

…不浄。その言葉がなによりも似合うそれを、人は『ティンダロスの猟犬』と呼んだ。
場に鋭角さえ在れば何処からでも出現する化物。
古代ギリシア人によれば、身を守る術は身辺を曲線のみで構成することのみ。

規格外の生物に対し、若き錬金術師がとった行動は簡潔。
白衣をはためかせ回避行動を取りながらの投擲。試験管の中身は『万物融解液』である。
あらゆる呪力を崩壊させる賢者の産物は、呼び出された使い魔をも分解せし得るはずだった。


――だが。
状況は、何一つ変わりはしなかった。


/ ,' 3「ほっほっほ。…無駄なことを」

……つまりは幻覚だった。
敵対する三匹ほどの猟犬はイオの頭の中に存在するに過ぎない。
万物融解液はそもそも物質に反応するものだ。…彼がやったことは全くの無駄だったのだ。

/ ゚、。 /「(かと言って、触れて無傷、とはいかない……)」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:11:40.35 ID:tIp9efVj0
――荒巻の使う幻術。それは究極の催眠と言える。
たとえそこに実在せずとも、脳髄が「痛み」等を知覚してしまった時点で身体にも影響は及ぶ。
思い込み。洗脳。操想。…呼称はどれでもいいが、この場合、痛みどころか触れた瞬間精神崩壊が待っている。

/ ゚、。 /「(屋敷の造りが単調なのは『感覚遮断性幻覚』の誘発の為か……)」

『感覚遮断性幻覚』とは高速道路での事故にも関係する事柄である。
長時間単調な作業を続けると大脳は慣性化し感覚刺激量は低下し意識可能範囲は狭まり……結果的には一種の催眠状態に陥ってしまうのだ。
それはリングワンダリングや雪山での遭難にも通じるとされる。

/ ゚、。 /「(…加えて、匂いと音。共感覚も交えてる……)」

サイケデリックス。幻覚剤。あるいは、脱法ドラッグ。
シャーマンや魔女術には御馴染みの植物性アルカロイド。神経伝達物質と類似の構造を持つ為、その摂取は変性意識状態を起こす。
使い方さえ間違えなければ精神疾患等の有効な治療法だが、これは間違っていると言わざるを得ない。


…あらゆるものを組み合わせた方式。科学と魔術の融合と言っても過言ではない。
もはや足元さえ覚束ない始末。耐性がなければどうなっていたかなど想像もしたくなかった。
イオは、荒巻の術中に完全に嵌っていた。

/ -、- /「……怠った。前と違って相手のホームだと言うことを、忘れてた」


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:14:40.36 ID:tIp9efVj0
憎憎しげに呟いたレインメイカー。
単調な廊下を進みながら、回避行動を取り続けていた。
対し、追う形となった幻術師はいぶかしむ。

/ ,' 3「…普通の人間ならば、そろそろ崩壊してもおかしくないのじゃが……」

/ ^、。 /「死神、ですからね。僕は」

普通の人間の恐怖じゃ足らないんですよ。
そんな減らず口を叩きながら、なおも屋敷を巡っていく。
並べられた象と人間のハーフのような石像が襲ってくるのを傘で防御しつつ、ある地点で立ち止まった。

後ろには人の生き血を吸うとされる神格。
やがては荒巻と猟犬達も追いついてくることだろう。

向かって右方向の壁。なんの変哲もない、壁。
イオは――

/ ゚、。 /「よいしょ」


――迷うことなくその壁に、突っ込んだ。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:17:41.36 ID:tIp9efVj0


……身体への衝撃はなかった。しいて言えば、肩が僅かに痛む程度か。
勢い余って倒れた身体を起こしパンパンと白衣を払う。

出た場所は三階大広間。豪奢な机や椅子が目立つ成金趣味的な場所だった。
その前方はガラス張りだったらしいが、ヒビが入っていた。おそらくは同行者が行った爆破テロの余波だろう。
距離を取り、傘を放り捨て、通り抜けた壁。否、開け放たれた扉にコルト社最小の銃の狙いを定める。

/ ,' 3「驚いた。まさか、」


――ダンッ!ダンダンッ!!


連続した発砲音。
遅れて表れた荒巻を迎えたのは25口径の弾丸三発。

/ ,' 3「…老婆心で忠告じゃが、人の話は聞け」

忌々しげに呟く老人は無傷。
どうやら、その先ほどから見せていた姿もさえも幻術らしい。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:20:41.26 ID:tIp9efVj0
心の底から残念そうな顔をする死神。
一度咳払いをし、荒巻は賛辞の言葉を言い直す。

/ ,' 3「驚いたな。少しでも疑念があれば“壁”にぶつかっていたじゃろうに」

/ ゚、。 /「生憎ながら記憶力には自信があるんです」

柱の影に隠れながら再度、発砲する。今度の狙いは妖しく灯るロウソクだ。
スタンドが倒れ、血のように紅いカーペットが燃え上がる。事前に可燃性の液体を撒いておいた成果である。
そんなことを繰り返しながらイオは言う。

/ ゚、。 /「貴方の幻術は大したものですが結局それは恐怖に限ったものです。視覚を操作して誤魔化しても、絶対的な距離は違わない」

屋敷の構造を完璧に暗記し、階段の上り下りや右折左折の回数を数え、自身の歩幅を元に現在地を割り出す。
…言葉で言うほど簡単なことではなかった。もはや記憶力の問題ではない。
異常と言って過言ではない自分への自信。いや、理論への自信か。それに荒巻は少しの恐怖を覚えた。


火は部屋全体に広がっていた。
焦り始める主に、敵対者は、悠然と告げる。

/ ゚、。 /「…同じように貴方はおそらくこの場に居る。それが所詮一流の限界ってことです」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:23:40.37 ID:tIp9efVj0


――まさに、その瞬間。
耳に届いた小さな舌打ちと時を同じくして偽者の姿が消えた。


/ ,' 3「…………」


…ひび割れたガラスの前。
少し高くなったその場から、錬金術師を見下ろすようにして、老人が立っていた。

/ ゚、。 /「…み~っけ」

片手で、緩やかに、構える。
うざったらしい二匹の猟犬はいない。いつの間にか溶けて消えてしまっていた。

/ ゚、。 /「火のせいで集中力が乱れましたね。無理もないことですけど」

――それを狙っていたのだから。
『幻術』という精神世界に干渉する魔術においては集中力の散乱は致命的である。
だからこそ一度破られてしまえば、――幻術師は、弱いのだ。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:26:39.79 ID:tIp9efVj0
/ ,' 3「アレを使わずにここまでやるとはな……」

正直驚いたぞ。と微笑を湛えながら繋げる。
だがそれは決して良い印象を持たせるものではなかった。――そう、どこまでも醜悪な。
創作物の中の異形達のように――醜悪な、笑みだった。

/ 、 /「…くつくつくつ。そんなことどうでもいいですから、さっさと教えて下さいよ」

/ ,' 3「そう焦るな若造。――こちらもまだ、切札を出していないのじゃから」

――言うが早いか、幻術師は走り出す。
咄嗟に発砲するも――当たらず。本人も再三言うように射撃はあまり得意でないのだ。
最初に三発。燭台を倒す為に三発。そして、今の一発。
「M1908 ベストポケット」の装弾数は六発+一発。弾切れだった。

それなりに速いリロード。
しかし、荒巻はなお速くスペルを言い放つ――!

/ ,' 3『……That is not dead which can eternal lie, ――』

祝詞。詠唱。呪文。…なんでもいい。
大事なのはそんなことじゃ、なかった。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:29:40.54 ID:tIp9efVj0


ああ、それは――
どうしようもない恐怖、抗うことのできぬ運命。
人の身に余る、最悪の……


『――And with strange aeons even death may die』


――スペルが終わる、杖が煌く。
続くのは時空連続体の外側、どこでもない世界、魔術の到達点。

幻術でも幻覚でも、ない。
極めて明確な終焉にして――始まりだ。

醜悪、下劣、反吐。
汚らわしい。忌わしい。


どうすればいい?――どうすることもできないに決まっている。
もう終わっているのだから――


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:32:40.16 ID:tIp9efVj0








――其は永久に横たわる死者にあらねど、

   測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるもの――












16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:35:39.66 ID:tIp9efVj0
……………


――さほど長い付き合いではないが、これほど衰弱した彼女を、ヒッキーは初めて見た。
いや、身体的な事柄で言えば健康そのものなのだろう。だが、……目に光がなかった。
乱暴に鉄格子の鍵を外し、駆け寄る。

从 ーノリ「……!」

――光が灯った。
ヒッキーは一瞬で分かった。自分を待っていたことが。
彼女は、他の誰でもなく、……確かに彼を待っていたのだ。

愚かしく馬鹿らしい。
全くもってその通りだろう。


だが、
やはり人間には、理屈ではどうしようもならない部分があるのだ。
淡く、儚く、澄んだ、なんとも形容し難い中身が。




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:38:49.26 ID:tIp9efVj0
それを目の当たりにし、構うものか、と占い師は思う。
この関係性にどういう名称が相応しいかなど、どうでもいい。
いつかは別れの時が来ることも――分かっている。

でも、
それでも、

(∩_;)「――よかった……っ、本当に、無事でよかった……」

从 ーノリ「…そんなに心配しなくても。私は、ちっとも怖くなんてなかったんですから」

――抱き締め感じる暖かさは本物で、
来るはずの別れの時は――きっと、今じゃない。

从*^ーノリ「信じてましたから。…師匠が来てくれるって」

久遠の時と比べれば、実にちっぽけ。
人間など矮小で脆弱で……言ってしまえば宇宙の塵に等しい。
何の為に生きているのかさえ、もはや不明確で不透明。

しかし、そんなことは問題じゃない。
そんなことは――どうでもいい。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:41:43.25 ID:tIp9efVj0


短い人生。儚い生涯。生者必滅会者定離。
そんな世界で、傍に居るべき人と、一緒に居たい人と、巡り合えるという奇跡。
そして、それはまだ続いていく。

(;_;)「…僕は……本当に心配したよ?君が、こんな……」

从*^ーノリ「あはは。師匠って友達少ないですもんねー。…同窓会でもハブられちゃうタイプ?」

――それだけで、全て許せる。
生きてきた甲斐があったと、実感する。
続く幸せ。それはきっと終わらない幸せ。

(∩_;)「…いや、少なくはないよ。三人は確かにいるし……」

从;゚ーノリ「友達の数が一桁って……本当に仕方ないですね、師匠は」

真実。
これが、彼と彼女の真実。




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:44:40.16 ID:tIp9efVj0




――ああ、なんて幸せ。
僕は本当に……


从*-ーノリ「――仕方ないですからあと少しの間だけ、……傍に居てあげますよ」

(∩_;)「グスッ……。よろじく、お願いします……」


僕達は、本当に、どうしようもないぐらいに――『幸せ』だ。
誰にも負けない自信がある。
世界中で一番幸せだという自信がある。


ありがとう。
…ありがとう、僕の大切な友達。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:47:44.11 ID:tIp9efVj0
……………


――という感動の再会より、数分後。
あともう少しで恋仲になりそうな師匠と弟子は、

(;-_-)「ヤバイ!どこ、ここ!?」

从;゚ーノリ「っ!――ありえないですよ、むしろよく辿り着けましたね!!」

迷っていた。
単調かつ広大な屋敷の中で、完全に、迷っていた。
右往左往しながら言い争う二人。

(;∩_-)「それはガイドがいてくれたからで……」

从;゚ーノリ「役立たず!駄目人間!ロリコン!!」

(;-_-)「ロリコン言うなっ!!」

…そうは言っても、「あのー、そろそろ離れてくれませんか?」という一言まで抱擁を続けていたヒッキーは、傍から見れば立派なロリコンである。
主観的見解と客観的見解は往々にしてすれ違うのだ。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:50:41.89 ID:tIp9efVj0
爆発音が連続して聞こえる。屋敷には火が回り始めている。映画のワンシーンのような光景だ。
クライマックスということか。…脱出できる保障はどこにもないが。

(;-_-)「あっ、ちょっと待って……」

こめかみを押さえ、立ち止まる占い師。
憶えのある感覚だった。
脳の端っこが溶けていくような、あるいは鈍い痛みのような……


――しかし、手を引っぱりながら少女は、

从;゚ーノリ「私のおっぱいの感触を思い出すのは止めてくださいっ!」

(;-_-)「違う!断じて違う!この状況でそれはありえないでしょ!!」

从;-ーノリ「…また私の純潔が……。Bが…うぅ……」

何か呻く少女。控えめなそれを守るようにしながら涙ぐむ。
「大丈夫、まだ成長するよ」と慰めたところ、殴られた。どうやらそこではなかったらしい。
…コントをしている場合ではない。少しずつ煙が満ちてきている。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:53:45.30 ID:tIp9efVj0
(;-_-)「――ッ、こっちだ!」

今度は逆に手を引いて走り出す。
情けない姿が多過ぎて忘れられ気味だが、彼は超能力者だ。

从;゚ーノリ「どこに、向かってるんですか!?」

(;-_-)「道知ってそうな人のところっ!!」

――T字路。ここは、多分右。階段を駆け上がる。息が切れてきたが、止まるわけにもいかない。
ここで並びが逆転した。弟子が師匠を引っ張る形になる。

从*゚ーノリ「休み時間は鬼ごっこをしてますからねっ」

(;-_-)「最近の学生って幼いな!僕が君ぐらいの頃は、」

从*^ーノリ「引き篭もってたんでしょ!前に、師匠が言うところの『友達』さんから聞きました!!」

(;-_-)「それはしばらくの間だけだって、彼女も言ってたじゃん!!あとそれには已むに已まれぬ事情が――」

目の前の大きな扉。
占い師の感覚はここだと告げていた。
だから勢いに任せ、迷うことなく、思い切り蹴り開ける――!!


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:56:43.13 ID:tIp9efVj0
……………


/;-、。 /「この……外道が。まさしく、そのままの意味での、外道が……」

視界が赤い。否、紅い。
先ほど額を割った所為だろうか。血が流れていた。
形勢逆転。蒼き死神は、大人しく撤退の算段を立てていた。

/ 。゚ 3「どうした……?奥の手を、出さぬのか……」

――距離を測る。
詰められないように、円形に。
容易には逃げられない。そんなことは重々承知。

/;-、。 /「(…よし、)」


鍵は諦める。
今回は、諦めよう。
次は万全の準備をして、それで――



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 21:59:41.76 ID:tIp9efVj0

と、そこへ。


――ドンガラガッシャァァァン!!


(;-_-)「いってぇぇぇぇっ!勢いつけ過ぎたっ!!」

从;゚ーノリ「もうホントに馬鹿なんじゃないですか、師匠はっ!」

――縺れるようにしながら、何か二匹ほど、反対側の扉を蹴破るようにして登場。
机の残骸に身体をぶつけたらしく悶絶している。

/ 。゚ 3「…………」

/;-、。 /「…………え?」

呆然となる二人の魔術師。
連れて来たイオにしても想定外の事態だった。「無事に帰れたら裏稼業廃業させてやる」と物騒なことを考えた。

……目を閉じ、緩やかに思考をも閉じるレインメイカー。
戦闘は一先ず置いておこう。懸案事項だが、あえて。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:02:43.75 ID:tIp9efVj0
ここは、とりあえず突っ込みから入ろう。

/;-、。 /「……あの、このシリアスシーンで身体密着させてイチャイチャしないでもらえます?」

(-_-)「え?」

从//ーノリ「…ぁ、……」

――イチャイチャ、とまでは行かないが、完全にラブコメモードの二人に対し。
…師匠の片手は少女の背中の下に入り込んでいる。もう片方はあろうことか控えめな胸に触れていた。
スカートは捲り上がり服ははだけている。両者の顔の距離は十センチあるか、ないか。加えて少女は耳まで真っ赤である。

完全に押し倒しの体勢。
行為に及ぶ五秒前。

(;-_-)「違う!違うんだよ、これはっ!!」

/;-、。 /「…いや大丈夫です……。あなたがそういう人間であることは、分かって、ましたから……」

(;-_-)「分からないで!それは誤解だから!!」

――疋田退。彼のキャラが固定された。
占い師、引き篭もり、友達が少ない。そして、ロリコン。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:05:41.61 ID:tIp9efVj0


――閑話休題。口と頭から赤い液体を滴らせるイオを認識した二人の乱入者が冷静になったところで。
色々あったが、とりあえず冷静にしたところで。
……ちなみに荒巻は微笑ましそうに見守っていた。好々爺である。

/;-、。 /「分かりますか、僕は今ピンチです。それでも本気を出せば逃走可能でした、しかし――」

手の甲で血を拭い、少し遠い位置にいる彼等を指差す。
…占い師と、その弟子の一般人を。

/ -、。 /「あなた達二人の乱入のせいで台無しです」

そう言い荒巻を――いや、荒巻“だった”ものを睨む。

――人間には鱗はない。
――霊長類の血液は、赤だ。緑ではない。
――何より気配。全く人らしくはなかった。

粘液を滴らせた姿は、びちゃびちゃとした足音は、違った。
まるで、異形。まるで、異能。
まるでそれは――


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:08:40.74 ID:tIp9efVj0
/ ゚、。 /「…どうやら爺さん、眷属になったみたいですね」

……ヒッキーは、聞かなかった。聞こうとしなかった。聞きたくなかった。
その感覚は超能力とは僅かに違う。『第六感』と言ってしまえば近く感じるが、違う。
直感でも理屈でもない。

――魔術の教養や素質がない人間でも地脈が淀んだ場所には近づかない。
知っているのだ。生きとし生けるものとして、生き残った種族として、深く暗い部分で理解しているのだ。
その危険を。その害悪を。その恐怖を。


(;-_-)「…………」

――よく似ていた。
ああ、どうしようもない。素直にそう思った。

これが絶対か、
これが世界か、
これが運命か、

どうしようもない。
自分には、いや自分以外の誰であっても、どうすることもできない。


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:11:43.76 ID:tIp9efVj0
…一介の占い師が世界の広さを知った、その時。
ところで、とイオが言った。

/ ゚、。 /「――あなたの弟子、奪われてますよ?」

(;-_-)「っ!!」

振り返った瞬間、杖で薙ぎ払われた。
再び身体をぶつけたが、そんなことは大した問題ではない。
問題は――

从;゚ーノリ「あ、あ……」

――助け出したはずの少女が、甲殻類のような薄赤色の化物に捕縛されていることだ。
多数の足の一本。鉤爪で服を引っ掛けられていた。
思わず叫ぶヒッキー。
だが何も変わらず。精々少女の目から涙が溢れたぐらいである。

/ 。゚ 3「…ふむ。取引と、いこうかの……」

その化物の隣にいた化物が、そう呟いた。
勝者の余裕を持ってのことだった。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:14:39.86 ID:tIp9efVj0
……………


――内容はなんてことはない普通のもの。
たとえ応じても、やがては殺されるであろう――そういう類のものだ。
だから聞くことはしない。一度姿を隠し、相談する。

……イオが提示した作戦は短いものだった。
極めて簡潔で、分かりやすいものだった。

/ ゚、。 /「では、どうかお元気で」

(; _)「――ッ!」

立ち上がった彼を引き止めることは、……ヒッキーにはできなかった。
それはシンプル。一人を犠牲にして二人を助ける。
即ちイオが犠牲になり、残りが逃げる。これ以上ないぐらいに単純明確な答えだった。


疋田退は殺すのだ。
もっとも鈴木=フラメス=イオリエは認めないだろうが……
自分と愛しい人の為に、他人を、――見殺しにするのだ。


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:17:43.85 ID:tIp9efVj0


『どんな想いで、何を護りたいのか。その為にはどの力を使うべきなのか』

イオは言った。レインメイカーはのたまった。
若き錬金術師は嘯いた。新米のFOX隊員は呟いた。東邦の蒼い死神は言葉を投げつけた。

『そんな当たり前のことを考えられない者に、真の意思は力を貸してはくれません』

無表情ではなかった。笑顔だった。
…それも、どこかシニカルで、心の奥底から出たもののような。

『僕は貴方達を守りたいと思いました。それだけですよ』

ああ、こうして笑うのか。ヒッキーは思った。
いつも笑顔の好青年の、本物の笑顔。少し不器用な感じもある、真実の笑み。

『では、どうかお元気で』

疋田退が感じた“彼”。
…それはただの。何も変わらない――



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:20:43.82 ID:tIp9efVj0


/ ゚、。 /「――そういうわけです。僕と引き換えに、その子、離してあげてください」

仕込んでいた呪物を、一つずつ丁寧に床に置き、最後に拳銃を放り捨てた。
降伏のポーズ。両手を挙げた。
いぶかしむように片方の化物が尋ねる。

/ 。゚ 3「…そんな約束守るとでも?」

/ ^、。 /「僕が知る限り、貴方はそういう“人間”ですよ。――『荒巻=ルートウィヒ=ラセータ』さん」

下らない通り名ではない、本名を使った。もはや、ほとんど知るものはいない名を。
その意図は他の誰にも図りかねるものだった。
おそらくは同じ錬金術師や降霊術師の家系の者としての、地下に住まう存在としての、もしくはプロのプレイヤーとしての――。


ふん、と荒巻は鼻で笑った。
そしてどこにでもいる老人のように、

/ ,' 3「…変わったな。本当に、見違えたぞ」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:23:42.74 ID:tIp9efVj0
対し、イオは笑う。
そうですね。一呼吸置き、

/ ^、。 /「…もし、本当にもしですけど、僕が変わったとすれば――」

/ ,' 3「言わずとも良い。…全く、無粋な奴じゃな。そういうことは言わないものじゃ」

――それは『恐怖』という理屈ではない感情を操る彼だからこそ分かった事実。
理屈では説明不能なことなど、あまりに容易く人間の全てを変えてしまうことなど、――他には一つしかない。

/ ,' 3「約束しよう。この子は、見逃す」

やれやれと言わんばかりに首を振り、溜息混じりにそう言った。
「ありがとうございます」と恭しく頭を下げる錬金術師。そして、ゆっくりと歩み出す。
反対側からは開放されたルカが不安そうな足取りで歩いてくる。

両者共に納得した結末。
だが――

( _ )

――納得の行かない者、一人。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:25:24.23 ID:QY6+SnRNO
/;`、。/ ←これじゃ駄目だったのかと凄まじいツッコミ欲が湧く


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:26:45.57 ID:tIp9efVj0


/ ,' 3「あるいは、こうなる運命じゃったのかもしれんな。最初からお主は気になっておったよ」

一歩。

/ ^、。 /「やめてくださいよ。僕にとっては、……ただの知り合いってだけです。祖父経由のね」

また、一歩。

/ ,' 3「それも運命めいているじゃろうに。いや、わしが運命なのか。…しかし、おかしなものじゃな。あれほど彼奴を恨んでいた――」

更に、一歩。

/ 、 /「――あの人の話はやめて下さいよ」

/ ,' 3「…そうじゃな」

青年と少女が、すれ違った――



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:29:41.08 ID:tIp9efVj0


――その、瞬間。
占い師が飛び出した。
交差と同時に眷属の一匹がルカを捕まえようとする。それより“速く”。

(#-_-)「うぉぉぉおおお!!」

前方の二人を追い抜き、全速力で、荒巻に向かう。
それは同じく理屈ではなかった。理性の選択でもないし、本能的な行動でもない。

/ ,' 3「…残念じゃよ」

しかし必死の抵抗も空しく長い杖で再び簡単に薙ぎ払われてしまった。
顔面に喰らい、その足元に転がるヒッキー。
悲しそうな目でそれを見下ろし見下し疑問を投げかける。

/ ,' 3「聡い選択とは言えんな。“返すつもりはない”と見破ったのは立派じゃが……。交渉としてはあれで良かっ――」

( _ )「――良くない」

全然、良くない。
はっきりとした意思を持って、彼は繰り返した。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:32:48.81 ID:tIp9efVj0
( _ )「利害とか恐怖とか、そうじゃないんだ。…そこは僕の居場所なんだ」

床に這い蹲りながらも、確固たる意思をもって。
…約束を守る気など最初から更々なかった化物はそこで不審感を憶えた。

/ ,' 3「(動かぬ……)」

――杖が、動かなかった。
目の前に平伏す男によって掴み取られていた。

( _ )「…アンタが『運命』だって言うんなら、言ってやるよ……」

……それは大した事柄ではない。
杖のことなど、彼が誰を思い出しているのかなど、大して意味を持たない。

この状況。
ルカはもう一匹の化物に捕らわれ、イオはやがて敗北するだろう。
約束は守られず、何も残らない。それは彼がどうしたところで揺らぐことのない、運命。

どうしようもない。
変えようのないことだった――



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:35:39.53 ID:tIp9efVj0

(#メ-_-)「――運命よ、そこをどけェ!!そこは僕の居場所だァァァ!!!」


――彼が普通の人間だった、ならば。
時が止まった。雷鳴の如き何かが聞こえた気がした。あるいは鋭い呼気のような……。――おそらくは聞き間違いだろう。
刹那、化物の頭が白く染まる。力が抜ける。全てが失われる。
それはつまり――

/;。゚ 3「うぐぁぁぁあぁああああ!!!!」

――精神、干渉。
メンタルテレパシーの超能力者の最終にして最強の奥義。
超能力でも魔術でも異界の化物でも関係はない。精密に構築された論理の撹乱粉砕。

名状し難き『主人』と繋がっているのは、力の源である魔術核は、その杖。『レンのガラス』が埋め込まれた呪物。
そして、召喚師としての特性。召喚師は幻術師と違って制御不能に陥ると“呪力がフィードバックする”。
この精緻な術式。異形としても相当に辛いはずだ。

/ 。゚ 3「が…っは……」

幻術も、呼び出した仲間も、呪力の供給さえ途切れた。
それでも、まだ――死なない。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:38:45.73 ID:tIp9efVj0


/ 、 /「くつくつくつ。…安心してくださいよ、爺さん」

一瞬だった。精神干渉によって生じた僅かな隙を突いた。
気配を殺し尽くし、いつの間にか暗い色合いの傘を拾い、煙の中、すぐ前方にいた。
構え。左足を引き右足を出したもの。人の構え。

/ 、 /「僕としても約束を守る気なんて更々なかった。変わりましたよ、本当に」

体重はつま先立ちの左へ。右はあくまでも軽く。重心が下がる。片方の膝が折れ、腰を限界まで低くそれでいて背中は曲げず。
瞬間、滑るように前へ飛び出す。“次の動作”ではない全くの同時で。――即ちは一挙動で一足一刀の間合いを詰める。
踏み込みと寸分違わぬタイミング。中段、添えていた右手を外す。そして、低くなった地点から体重を乗せ喉元を抉るように左手を突き出す――!!

――何の変哲もない、突き。
しかしそれは避けることは勿論防ぐことすら許さぬ、一撃の元に相手を降す、滅多に使わぬ必殺技。

/ 、 /「――僕も貴方と同じです」

…嫌な打撃音が響いた。
為すべき返しを全く行わず、左を牽き付け突き抜け体当りした所為で、両者共に吹き飛ぶこととなった。
勢いを殺すものは何もなかった。結局、そのままガラスを突き破り爆発の中へ落ちていった――。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:41:40.86 ID:tIp9efVj0
……………


从*-ーノリ「無茶しますね……」

(メ-_-)「…かもね」

――残された師匠と弟子。当面の脅威は取り除かれた。化物はもういない。
ただの燃え尽きる途中の屋敷で、二人は寄り添うように座っていた。

否。“座っていた”わけではなかった。
煙を多量に吸い込んだことによる一酸化炭素中毒で動けなくなっていたのだ。
イオが撤退を決めたのは、揚羽が先に逃げたのはこの理由もあった。あの眷属達はどうだか知らないが、人間にとって火災現場は好ましくない。

徐々に――身体が麻痺していく。
ゆっくりと、しかし確実に。やがては意識も失われるだろう。
待っているのは、穏やかな死。

(メ-_-)「…ごめんね」

从*゚ーノリ「何言ってるんですか。純潔についてなら気にしてないですよ、今更あれくらい」

(;メ-_-)「そうじゃなくて……」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:44:47.39 ID:tIp9efVj0
心肺停止か。それとも焼死か。
どちらでもいい。少なくとも一人では、ないのだから。

(メ _)「助けられなくて、ごめん……」

从*^ーノリ「ふふ。別にいいですよー。助けに来てくれたことだけで、十分です」

――あと、どれぐらい持つのだろうか。
短い時間で、何を言わなければならないのだろうか。

(メ-_-)「…ルカちゃん」

从*゚ーノリ「なんですか?」

(メ-_-)「…大好きだよ。多分、世界中で一番、今の君がさ」

从*^ーノリ「……私も、好きですよー。隣に居てくれる師匠のこと。結構本気で」

何も変わらなかった。赤面することもなければ、何も。いつも通りの、穏やかな雰囲気。揺らぐことのない関係性。
…言葉は流れて。……気持ちは動かず。………花の意味は誰にも分からない。

――しいて変わったと言えるのは繋いだ手に力が入ったことだけだ。
そして、結局はそれだけで十分だった。ここで終わるのも、それほど悪くは、ない。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:45:50.46 ID:vEvqdBEaO
作者のブログってどこだっけ?


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:47:58.79 ID:tIp9efVj0


――と、その時。
彼等から見て右方向、コンクリートの壁が砕け散った。
トラックでも突っ込んできたのかと思うほどの爆音が響き渡る。

「…けほ。直線は無理がありましたね……」

彼女はいつも通りの服装――即ち彼女専用の特務用コスチューム――だった。
両腕、両足、関節部分には輝く橙、金属製の防具のようなものが。手を覆っているそれは肉弾戦用の武装でもある。
スリムな体躯。黒い髪。意思の強そうな眼。

(;メ-_-)「…はは。全く変わらないねぇ、トソンちゃんは」

(゚、゚トソン「お久しぶりです。そう言うあなたは、……変わったらしいですね。おそらくは良い方向に」

彼女は、――都村トソンは憎らしいほど最高のタイミングで、あわや手遅れになるんじゃないかというところで、到着した。
ヒッキーの旧友でもある彼女は、あくまでも冷淡に事務的に言う。

(-、-トソン「特務機関FOX第零独立遊撃部隊所属、都村トソン。対象を発見。……これより救出します」

これが運命だというのなら――中々僕は神様に愛されてるな。
そんなことを思い、ヒッキーの意識は途切れた。


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:50:43.23 ID:tIp9efVj0
……………


――結末というか、今回のオチ。
その後。屋敷の外にて。爆発と燃え盛る火炎の中に消えた若き錬金術師が、割と普通に、しかも笑いながら戻ってきた後。

(゚、゚トソン「正座」

/;^、。 /「え~っと……」

(-、-トソン「せ・い・ざ。そこに。今すぐに」

(・∀ ・) 「まぁまぁ、そう怒らなくても――」


ガシャァァァン!!
アー!ソウコウシャガ イチゲキデッ! …ドースンダヨ コレー


(゚ー゚#トソン「あなたもですよ?」

(∀ ) 「はいどうもすみませんでした……」


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:53:40.30 ID:tIp9efVj0
くどくどと説教を始めるトソン。ミスFOX。絶対正義。
こっそり逃げようとする度に投げられたり絞められたりの第十一独立機械化混成部隊の二人。
そして、回し蹴りの一撃の下に粉砕された車両を前に、責任の押し付け合いを始める一般兵達。

从;゚ーノリ「…あの人、昔からああだったんですか?」

(メ-_-)「いや、もうちょっとだけ人間的だったんだけどね……。おかしいな」

――そんなわけで、今回の事件は一応のところ終了である。
占い師とその弟子が何を得たのか、何が変わったのかは分からないが。



――更に蛇足が許されるなら。
場面はその数週間後、街中の小さな展覧会までに飛ぶ。
退院したドクオと色んなことから、主に始末書の類から開放されたイオがそこに訪れていた。

その中、銀賞の絵。
街の風景を描いた絵の前で。

('A`)「…いい絵だな」

/ ゚、。 /「そうですね」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:56:40.43 ID:tIp9efVj0
/ ゚、。 /「『色』というものは、物体に付属しているわけではなく、反射した光波を人間が認識しただけのものです」

――目の前の絵。小さなキャンバスに描かれた、その作品。ほとんど白黒なのだが、何故か人の左胸の部分だけに色が塗ってあった。
色とりどりの様々な。一人として同じものはない。似ているようで、同じところもあれど、皆違う。
けれど孤独ではないのだ。絵の中の人達は一様に誰かと手を繋ぎ合っている。

/ ^、。 /「…だから、全色盲の彼女が見たこの世界こそ――偽りのない真実なのかもしれませんね」

('A`)「それはいいが……この子が持ってる花って、前と同じ花だよな?」

まさしく鈴のような一輪の花。スズランである。
タイトルもそのまま『スズラン』で、ドクオにはさっぱり意味が分からなかった。
画面端に描かれた一人、右胸透明色の人間に注目していたイオは、知らないんですか?と返す。

/ ゚、。 /「鈴蘭の花言葉。アレって毒がありますけど、ロマンチックな花言葉なんですよ」



――その花に込めた意味。
彼女が想う人に、それは伝わったのだろうか――。



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 22:59:44.33 ID:tIp9efVj0


――ジャックとジル 丘を登った
  
  桶に水を汲みに
  
  ジャックが転んで 頭に怪我した
  
  ジルも後から 転んで落ちた





――第七夜 終――

…Every Jack has his Jill.
I hope that you will always be as happy together as you are today!!




49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:02:54.23 ID:tIp9efVj0
ご支援ありがとうございました。
まとめは、くるくるくーるさんです。


『色』という概念は物体が反射させた光波を脳が認識しそれに人が名前をつけただけのものです。
人間とそれ以外では可視域が違いますし、そもそも超音波や電磁定位などで物質を把握している生き物はほとんど不必要。
…ルカは世界が白黒にしか見えない全色盲ですが、イオの言っていた通り、彼女の見ている世界こそ『真実』なのかもしれません。


本日の呪文は、呪文ではありません。「クトゥルフの呼び声」より抜粋。
本物を引っ張ってきても良かったのですが、うっかり発音できてしまって何かとんでもないもの召喚しちゃうと困るでしょう。
実際の神格には老君神呪も攝邪咒も効果ないと思うのでw。
……ところで異形のモノ達は、僕の拙い表現で分かってもらえたでしょうか。



…後日、ブログにて本筋には関係ないオマケを載せます。
では軽く質問にお答えして消えます。


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:05:30.65 ID:9EYLT39mO
乙華麗


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:06:36.82 ID:tIp9efVj0
っと、訂正。
「――その花に込めた言葉。 」は、「――その花に込めた意味。」に訂正。
タイトルも「鈴蘭の誉れ」から「君影草の誉れ」に。



>>34
少しネタバレになってしまうのですが……
/ ゚、。 /の笑顔が不自然なのは「偽りだから」ということの他に身体的な問題が関係しています。
んで、あえてです。


>>43
旧名「杞人之憂」で、現在は「世界はグー・チョキ・パーと言うけれど」です。
ほとんどリンクされてないので頑張って見つけて下さい。ネタ満載です。
あと、ブログ名はちょくちょく変えます。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:10:42.66 ID:QY6+SnRNO
ほっぺたの位置まで目を下げなきゃ笑えないのか……難儀だ。


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:22:49.33 ID:Mlmr7g6fO
作者の文はいつ見ても回りくどいな
自分がバカなせいもあるけど

ブログの配色は何故あんなことになった…


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:25:20.51 ID:QY6+SnRNO
配色より、古い記事からしか読めない仕様をつっこむべきだと思う。


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:29:04.38 ID:Mlmr7g6fO
それは元からだから慣れたよ
でも確かに読みにくいな


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:35:33.99 ID:QY6+SnRNO
ぶんてな経由で最新跳べば問題ないんだけどね


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:48:56.43 ID:tIp9efVj0
おお、残ってた。
では気紛れに答えます。


>>53
申し訳ないです。
「難しいっぽいもの」が大好きな子供なのです。

>>54
直しましたー!!
携帯で見ると異様に見づらいことに気がついたので、改善しました。



では、これにて。


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:54:15.97 ID:QY6+SnRNO
いや、PCでも見づらかったというか、安価ミスってね?


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:59:13.49 ID:tIp9efVj0
>>58
今は新しい記事から見れます。
携帯からも、仕様を変えたのでかなり見易いですよ。


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/31(日) 00:08:13.68 ID:CGbfibxlO
まあぶっちゃけるとブログも作品もほとんど読まないんだけどさ…
投下の勢いだけは買ってるのよ…


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/31(日) 00:13:27.10 ID:vdeCIld70
>>60
にゃはは。それは仕方ないです。
なんてたって『局所解』なんですから。
投下の勢いは、自信があることもないこともないですが。


では、ここらでお暇。
件のブログを更新しないといけないので。


前の話/インデックスページ/次の話

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