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◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋GU~のようです 十日目午後

前の話/インデックスページ/次の話

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:23:12.10 ID:BZmZXZXC0




(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!!」~助け屋グロウアップ~のようです



十日目 午後
『理解不能の正体不明?ネコミミ・モードで地獄行き!』





24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:26:09.74 ID:BZmZXZXC0
――どこかの世界のいつかの時間。
具体的に言ってしまうと猫耳付けた美青年と童顔の召喚師もどきが向かい合うその場所で。
最初に口を開いたのは、

( -∀・)「にゃおん」

(;゚Д゚)「…………」

( -∀・)「にゃ、お~ん」

猫耳、――もとい『正体不明』だった。
朝比奈の麒麟児は「麒麟も老いれば駑馬にも劣る」という言葉通り、十年で何かこう、釈然としない感じに成り果てた。
いや、元より小洒落た感じの軽い人物で正直高校時代はとても無理をしていたというだけの話なのだが。

意識を失ったでぃを抱き締めるように現れた猫耳は、そのままの姿勢でギコを見る。
唖然。その言葉が最もよく似合った。
とりあえず、

( -∀・)「……ツッコんでよ」

ツッコミを入れろ、とツッコミを入れてみた。
どういう仕組みか分からないが、耳をヒョコヒョコ揺らしながら。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:29:11.69 ID:BZmZXZXC0
(;゚Д゚)「えと……」

――初体面のギコール・ハニャーン。
やたら親しげに女の子の頬を撫ぜている青年を、彼は知らない。
実は一度会っているが覚えていなかった。完璧と言っていいほどに記憶から抹消されていた。

なので。

(;゚Д゚)「…似合って、ますよ」

褒めてみた。
対し猫耳は少女の着物をいい感じに解きながら、目を細める。

( -∀・)「似合ってるんだ。ふ~ん」

頭に乗せた装飾品を触り、二、三度改めて頷く。
ギコが何を話すべきかそもそも誰かを聞くか悩んでいるうちに――

(;-∀・)「っ。ごめん、ちょい隠れる」

(;゚Д゚)「え?あ、はい……」

――何かを察知したのか滑り込むようにベッドの下へ隠れてしまった。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:32:12.50 ID:BZmZXZXC0


ドタドタ、という階段を駆け上がる音。
雨音に負けない勢いで何かが病室の扉を開けた。勢い良く――開け放った。

(;*゚∀゚)「ギコっ!」

(,,^Д^)「あ、つーさんどうも。何かお世話になったみたいで、」

(;*-∀-)「正直今そんなのどうでもいいっ!!」

(,,;Д;)「ぎこーん……」

――開口一番、自らの患者に対し辛辣な台詞を言い放った白衣の女性。「高岡翼」という。
さもすれば高校生ぐらいに見える童顔で、朗らかで快濶さが全身から滲み出ている彼女。この診療所の主であり異端医だった。
『異端医』は文字通り“異端”を専門にした医者だ。妖怪医のようなものだが彼女は割合何でも診ることができる優秀な医者である。

そのつーは、焦燥に駆られた表情だった。
基本的にマイペースな人物なので、ここまで慌てて早口に言葉を投げかけるのは珍しい。

(;*゚∀゚)「今ここに、こう……カッコ良くて、同時に人を小馬鹿にしたようで……それでいて心の奥は優しい感じの男の子見なかったか!?」

(;゚Д゚)「なにその捻くれ者!?」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:35:13.94 ID:BZmZXZXC0
(;*゚∀゚)「うっさい!俺は――」

――何か言いかけ、はっとし、動きが止まる。
一体自分が何を言おうとしたのか。思い出すことさえ愚かしい。そんな風に、思ったのだろうか。
そして、僅かな悲哀を滲ませながらつーは言った。

(* ∀)「――いや、もういい……。ありがとう」

しょんぼりと元気を失くしたように、扉を閉めようとする彼女をギコが引き止めた。
不思議そうな顔。まるで成長しない無垢な笑顔は今日はなかった。

何かを――言わないと。
そう思った。何か、これだけは聞いておかねばならないこと――、

(;゚Д゚)「……その手に持ったの、なんですか?」

――それは右手に握られていた服。女子学生などが着るもので、俗に言う「セーラー服」だった。
…黙って、視線を移す。童顔の彼女が着れば似合うであろう衣装。
しばし黙り、その後。

(* ∀)「…………いつの間に」

――無自覚だった。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:38:10.95 ID:BZmZXZXC0
……………


( -∀・)「……っと、」

階段を降りる音を聞きつけたのか、滑らかな動作で元の位置に戻った『正体不明』の何か。
もう猫耳はつけておらず、服装もただの夏服の学生服だ。

(,,゚Д゚)「あの……」

( -∀・)「――訊かないで欲しいな」

先手を打ち、彼は言った。
さもすれば女のように見える鼻梁の通った顔を柔らかな微笑に変えながら。

( -∀・)「僕は“終わった”人間だから。会うことはできないんだよ」


――“終わった”、ということ。
外れたのでも壊れたのでも狂ったのでもなく――“終わった”。存在が、終結した。
…だから会うことはできないのだ。
二度と、決して。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:41:12.47 ID:BZmZXZXC0
――それはあるいは贖罪で。また、当然の結果と言い換えてもいい。
全てを放り捨てて逃げた自分に対する贖い。一つの正しい――それでいて、ひどく残酷な結末だ。

(,,-Д-)「…………」

ギコは、思う。
よく分からないが多分――もう一人の“自分”は彼と似ている、と。
どちらもきっと、類稀なる誉れ高き才能の、奴隷だったのだ。


( -∀・)「まぁ、それはこの際いいや」

窓際、腰掛けるようにしてもたれる。
愛を喰らって生きる怪物は特に哀しむ様子もない。

( -∀・)「…今日は忘れ物をね」

(,,゚Д゚)「わすれもの?」

( -∀・)「そう」

物憂げに閉じた片目が開きかけ――閉じた。
その魂についた傷は、決して癒えることのない鎖だ。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:44:12.07 ID:BZmZXZXC0
( -∀・)「それは、」

――と、口を開きかけた瞬間だった。
くぐもった女の声。「聞く必要なんかないよ」という、明らかな拒絶の言葉。

その声の主をギコは知っている。

(;゚Д゚)「キューさん……?」

「あったりー♪」

(;゚Д゚)「えと、どこに……?」

…ベッドの上。
ギコが被っていた布団が、がばと跳ね除けられた!

o川*^ー^)o「ここだっ!!」

(;゚Д゚)「うわっ!思いの外近いところに!?」

横たわる患者の足元。
ギプスで固定された右足の近くに、丸まった彼女がいた。
…どうやらずっと隠れていたらしい。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:47:12.38 ID:BZmZXZXC0
(;-Д-)「…なんか暖かいなと思ったら……」

( -∀・)「……気づけよ」

ご尤もなツッコミである。

(;-Д-)「てっきり湯たんぽかなんかだと……」

o川*^ー^)o「残念っ!九尾の狐のキューちゃんの人肌でしたっ!!」

――そう言った銀狐のキューは、今日はパジャマ姿だった。しかも下は下着のみ。
自分大好きで真面目に自分に欲情することもある彼女は、今日も良い感じに服を肌蹴させている。見た目美人大学生なので色々と困る格好だ。
尻尾でさわさわとギコにじゃれつく姿は、思わず生唾を飲み込みたくなるほど。

(;゚Д゚)「って言うかなんでそんな場所に?」

o川*^ー^)o「最初は椅子だったんだけど、寒くなってきちゃって添い寝を……」

( -∀・)「(嘘つけ)」

心の中だけで呟いた『正体不明』は、先日の一件で彼女のおおよその生態を理解している。
…それによればこれも単なる情欲に過ぎない。
オブラートに包めば寂しかっただけ。人肌が恋しかっただけの話。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:50:13.53 ID:BZmZXZXC0


o川*゚ー゚)o「――そんなのの、言うこと聞く必要ないよ。ギコ君」

一頻り遊んだ後、キューは容赦のない一言を言い放つ。
この前は一度は信じたが……それでも、ギコを危機に陥れたという事実は変わらない。
マニキュアも何もない右手に氷柱を発生させ、悠然と狙いをつける。

(;゚Д゚)「えぇ、嫌、でも……」

o川*>ー<)o「駄目ったら駄目っ!私とこの人、どっちが大事なのっ!?」

(;゚Д゚)「えぇぇ!!何そのどっかの奥さんみたいな台詞!?」

私と仕事、どっちが大事なの?……ではなく、私とこの人、どっちが大事なの?は単なる好感度調査である。
日々煮え切らない態度のギコに訊きたくなるのも無理はなかった。

( -∀・)「駄目だなぁ、助け屋さんは」

(;゚Д゚)「え、あの……ところで、誰ですか?」

助け舟を出すように口を挟んできた切れ目の美青年に、今更過ぎる質問を投げかける。
対し彼は、ずずいとキューに顔を近づけられ困惑するギコを、どうしようもなく幽雅に鼻で嘲笑した。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:53:14.03 ID:BZmZXZXC0
( -∀・)「この子の御主人様だよん」

言いつつ“この子”、――でぃに赤い首輪を取り付ける。
猫に鈴をつけるのは当然と言えば当然だが、今彼女は人間の姿なので……猫耳尻尾と相まって特殊なプレイにしか見えなかった。

猫又少女の恩人であり主人であり、戸籍上は叔父である彼。
そして何より、でぃの初恋の人である青年は極めて下劣なことをまるで謳うように呟く。
優しげな、――人を殺してしまうほど優しげな声音で。

( -∀・)「この子やそのお姉さんみたいな、口に出すことも嫌になる類の不幸を経験した女の子」

o川; ー)o「……っ」

( -∀-)「それでも、死を選ばずに生きてきた彼女達は強い。……そして、“だからこそ”弱いんだよね」

――共依存、という言葉がある。
特定の相手との関係に過剰に依存しそれによって囚われている状態。

( -∀・)「心的外傷後ストレス障害。…そういうのがある人は、本当に――虜にしやすい」

甘い言葉で内側に取り入り、壁を溶かし消し去る。
またあるいは彼女等の“信仰”の対象を、こちら側に鞍替えさせてしまう。
それだけで犬以上に従順な奴隷を、……場合によれば死さえも厭わない信者を作ることができる。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:56:11.21 ID:BZmZXZXC0


 心を溶かす。
 精神を犯す。
 存在を、――愛す。


…それこそ、彼が『眷属』と呼んだ人間達の正体。
愛を喰らい生きる獣がそこにはいた。
悟り切ったような微笑を湛え、『正体不明』の何か恐るべき存在はギコに告げる。

( -∀・)「……あるいは君達もそういう関係なのかもね」

(;゚Д゚)「え……?」

( -∀・)「君という個体の『優しさ』に魅せられた、歪なモノの集まり。…僕との違いは自覚があるか、ないかだけのこと」

ねぇ、知ってる?と心地良い音を飛ばす。
彼が語り出したのは「魅」という文字の由来。

( -∀・)「魅力の魅、って文字は……“鬼”で人外を表し“未”で分からないことを示した。
      『はっきりと分からない“何か”で人を惹きつける化物』ってさ、……そんな意味かららしいよ?」



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 21:59:12.06 ID:BZmZXZXC0
――次の瞬間。
唐突に、『正体不明』は地を蹴った。

o川;゚ー゚)o「ちょっ――」

( -∀・)「――優しい女(ヒト)だね、お姉さん」

迎撃すらままならぬ速度で距離を詰め、右手を伸ばす。
そしてキューの側頭部を掠めるように振る。

o川; -)o「っ!」

正体不明の力により、ぐらり、と身体が傾いた。
青年は滑らかに滑り込ませそれを支える。手を伸ばすも――何もできない。
キューは何かを言いかけたが……やがて、意識を失くした。

(;゚Д゚)「あ……」

( -∀・)「よし、これで邪魔者はいなくなった」

呆然とするギコを尻目に『正体不明』は、パジャマ姿の女狐を丁寧に地面に座らせる。
手加減していたのだ。
麒麟が感じたようにこの間は、――確かに加減をされていたのだった。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:02:12.07 ID:BZmZXZXC0
……………


( -∀・)「ゲシュタルト崩壊……じゃない、ね。んと、――そう。感覚知崩しみたいな」

彼が触れたのは側頭部。すなわちは、平衡感覚を司る半規管である。
そこに干渉を受け、立っていることができなくなったキューはせめてと言わんばかりに迎撃を行おうとした。
…が『正体不明』はそれより速く後頭葉にジャミングをかけた。
結果、「視覚性運動盲」の状態を誘発され、はっきりと対象を認識できなくなった彼女はあっさりと意識を奪われた……というわけだった。

――視覚性運動盲。
後部頭頂葉皮質の損傷により引き起こされる空間認識障害。
見ているものは全て静止して見え、動いているものはコマ送りのように見えてしまう。


と、いうことをサラリと説明したのだが。

(,,゚Д゚)「……はぁ、なるほど。凄いですねー」

( -∀・)「(絶対分かってないな、コイツ……)」

なんかスゲー適当に流されてしまった次第である。並みの人間には真似をする気にもなれない妙技なのに。
基本的に物凄く有能な人間の近くで過ごしていた当主様は、ギコのような本当に馬鹿な、言い表せないほどに馬鹿な人の相手が苦手だったりする。


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:05:14.99 ID:BZmZXZXC0


( -∀・)「――ところで、怒らないのかな?」

(,,゚Д゚)「へ?」

( -∀・)「君は、この子の時は、怒ってくれたんでしょ?…それはつまり、彼女よりこの子が大切ってことなの?」

――少し前の夏の日。ギコは、人生で何度もないほど激怒した。
…いやまぁそれは、『正体不明』の心の残滓を取り込んだ所為でもあったのだが、事実は事実である。

対し、今日はさもすれば死の危機かも知れないというのに平気な顔をしている。
それを不思議に思った彼は訊ねてみたのだった。背面を向けての問い。

(,,^Д^)「ああ。それは単に――」

――そこまで言って、響いたのは地鳴り。階段を駆け上がる音。
やべっ、と一言漏らして身を翻し今度は窓の外へ。
ほぼ同時に扉が乱暴にスライドした――!

(;*゚∀゚)「ギコぉぉぉぉおお!!」

(;゚Д゚)「うおっ!!なんすか、つーさん!」


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:08:17.90 ID:BZmZXZXC0
またもや登場したのは異端医・つー。
一階で目を負傷した鬼の治療を行っていたはずなのだが……

(;*゚∀゚)「今っ、ここにっ、こう……髪が黒くて目も黒くて、片目閉じるのが癖みたいな美形で、常時木刀振り回している感じの……」

(;゚Д゚)「何そのヤンキーホスト!?」

(;*゚∀゚)「うっさい!」

正直な感想を言っただけなのに、何故か怒られたギコ。
世の中は往々にして理不尽だった。

(* ∀)「……いや、もういいんだ。…もういないのに。いるはずなんかないのに俺は、――なにやってんだろうな……」

(;-Д-)「(『帰ってきたドラえもん』みたいだ……。言った方がいいのかな?)」

(*゚∀゚) ジー

…そう悩んでいるうちに、いぶかしむような視線が。
どう考えてみても、怪しんでいる。

気を逸らす為に何か言わないといけない。
そう感じたギコは、再び質問を投げかける――。


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:11:11.02 ID:BZmZXZXC0
(;゚Д゚)「あの、つーさん……」

(*゚∀゚)「なんだ」

(;゚Д゚)「…その右手の、なんですか……?」

――小さな手に握られていたのは紺色の布。
ギコは後輩と前に海に行った際に見たきりで、随分久々にお目にかかった。いや、目にする機会はそうそうないものだが。
右手にあったのは紛れもない――スクール水着だった。

紺色萌えアイテムを凝視する童顔の異端医。
やがて、一言。

(* ∀)「…………趣味だ」

――コレクションらしかった。


(;*゚∀゚)「ってか、ギコも人のこと言えないだろっ!?」

返す刀、反撃と言外に示しながら指を指す。
その先にあったのは――絶妙に官能的に縛られた、銀狐の姿だった。
名は菱縄縛りというのだが、ギコはただただ、絶句から弁解のコンボを繰り出すのに忙しかったので気がつかなかったようだ。


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:14:11.58 ID:BZmZXZXC0
……………


( -∀・)「あー、ぶら下がり状態は流石に辛いな……」

(,,;Д;)「ぎこーん!あなたのせいで俺の評価、『病室で眠った女の子にSMプレイをしようとする変態』になっちゃいましたよ!!」

床から叫ぶ青少年を、まぁまぁと宥める。
気にするな、と言ってくるが、あなたはもう少し気にして欲しいとギコは思う。


( -∀・)「…まったく。第六感がない、というのはここまで厄介なんだね」

適当にあしらいつつ『正体不明』は溜息を。
現在彼は病室に「人払い」を施しているので普通なら自然に避けてくれるはずなのだが……
諸事情により、つーにはその類の感覚が以上に鈍いので効かないわけだった。

(  ∀)「しかも元鞘的な共鳴は起こるらしいし、本当に……」

(,,゚Д゚)「……?」

呟いた内容はよく分からなかった。
しかし、ギコには常に微笑を湛えた目の前の存在が、――僅かに違うモノを浮かべたように思えたのだった。


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:17:13.91 ID:BZmZXZXC0


( -∀・)「ああ、それでさっきの話なんだけど」

(,,^Д^)「ギコハハハ!まだそんなこと言ってたんですか?」

大事な臣下の問題を、“そんなこと”と言われ、不機嫌そうに双眸を細める。
だがギコは当たり前に言った。

それこそが、「ギコール・ハニャーン」の自分らしさだと朗らかに主張するように。
それこそが、「助け屋」の「助け屋」たる所以だと返すように。


(,,^Д^)「――だって、自分で言うほど、悪い人じゃないじゃないですか!」


( -∀・)「!!」

(,,^Д^)「つーさんとどんな仲なのか分かりませんけど……あんな優しい笑顔って、本当に好きじゃないと出ないですよ?」

――そうだった。先ほど彼は哀しむ様子など見せなかった。
心の奥から代わりに出てきたのは穏やかな笑顔。旧友と再会した時のような、気恥ずかしさの混じった安心感。
それだけで、たったそれだけで――ギコは“彼”のことが分かったのだ。


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:20:14.03 ID:BZmZXZXC0


(  ∀)「……あは」

『正体不明』の優しき化物は、何度目ともしれない笑みを零した。
思ったのは一つ。
「もしかすると彼は僕以上に甘い毒なのかも」と。

――禁断の果実。
「失楽園」を一節を思い出した。


 私は彼を深く愛している。彼と一緒ならどんな死にも耐えられるだろう。
 …しかし、一緒でないとすれば、たとえ生きていても生きていることにはならないのだ。


(  ∀)「どーりで“アレ”が期待するわけだ……」

誰もが失くしたモノを持っている。
手に入れようともがき苦しみ這いずり回り、――結局諦めてしまったソレを。彼はまだ持っていた。

それはとても崇高な。
…もしかすると、この世界で一番素晴らしいものなのかもしれなかった。


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:23:12.40 ID:BZmZXZXC0
……………


――青年は、ただ黙って家宝の木刀を取り出し、でぃの近くに立てかけた。
名残惜しそうに震えたが彼は何も言わず立ち去っていた。
…ちなみに窓から。

(,,゚Д゚)「大丈夫だったのかな……」

ギコは知る由もないが、今の『正体不明』は学生時代程度のスペックしかないのだ。
時折吐血もしくは喀血を。ふらふら出歩いて良い身体ではない。
『対特異点決戦兵器』であるもう一人のギコが病室に侵入されるまで反応できなかったのは、“もはや敵対存在には成りえない”という揺るがぬ証明だった。

当然のことながら、このギコは気づかなかったが。
情報弱者で馬鹿なのだ。


(,,^Д^)「――まぁ、いっか」

傍らで眠る二人を見ながら言った。
今日も「助け屋」はそれなりに平和だった。



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:26:11.21 ID:BZmZXZXC0


――と、いう甘い話で済むわけもなく。
外の通り。商店街の端で自販機を見ていたプギャーに声をかける影二つ。

lw´‐ _‐ノv「……ほら、檸檬」

|゚ノ; ∀)「何度も言うけど僕はレモンじゃなくて――」

lw´‐ _‐ノv「いいから。謝る」

美少女二人。
割と地味目な方、――シュールがレモナの背中を押す。

|゚ノ; ∀)「あのっ、その……う~んと、」

( ^Д^)「…………」

|゚ノ ∀)「――ごめんな、さぃ……」

逃げる算段をしていた八咫烏は、拍子抜けしたように目を見開いた。
あんなに怒っていたのに、オドオドしながら頭を下げる姿は、すっかり本当にしおらしくなってしまっている。
どういうことだ?と不思議そうな視線を送る。


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:29:11.20 ID:BZmZXZXC0
|゚ノ ∀)「僕は、その……」

(;^Д^)「(――なんだよ、これ)」

ゾワゾワと心がざわめいた。謝罪の言葉は耳に入らない。
ただ、“妙な部分”の歯車が填まってしまった不自然さが襲い掛かってきた。

(; Д)「(ちくしょう、これは――)」

伏せった麗しい顔やよく手入れされた栗色のセミロング。
薄ピンクのキャミソールは、誰が選んだのかは不明だが馬鹿みたいに似合っている。
仄かに香る石鹸の匂い。艶やかな四肢――、

――そして、しっとりと濡れた瞳。


結論。

(* Д)「(くっそ。……可愛い、じゃねぇか)」

改めて近くで見てみると、フサが謳った通り相当に上玉だ。
久しぶりに女を可愛いなと思ってしまった陰陽師。瞑想とか意味ねぇな、と千年越しに考え直したのだった。



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:32:14.52 ID:BZmZXZXC0
――そんな出来事があった頃。
レモナの謝罪の本当の意味を社長が知らされていた。

(*゚∀゚)「…ところで、はい、これ。レモナっちから」

(;-Д゚)「はぁ。――それでその手のものは……」

疑問は流され、とりあえず見てみたら?と促されて封筒を開ける。
小難しい文字が羅列された文書。押された赤い印がやたら目立っている。それは特務機関『FOX』からの“請求書”だった。
下方、やたらアラビア数字の0が並んでいる。「助け屋」を始める時にもらった軍資金が全て飛ぶような金額が。

(; Д)「あばばばば……」

絶句するギコ。対して満面の笑みなのはつーだ。
アニメに出てきそうなメイド服を掲げて、

(*^∀^)「どーせ診察代は払えないんだろ?だから代わりに――」

(,,;Д;)「ぎに゛ゃぁぁぁぁぁぁっ!誰か、助けてぇぇぇぇぇえええ!!」

飛び掛る異端医。尊厳がかかった危機から逃げようとする召喚師もどきを、いつの間にか起きた二人が押さえ込んだ。
今日も「助け屋」は平和だった。
――それなりに、それなりに。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:35:10.72 ID:BZmZXZXC0


十日目 午後 終



――残ったのは多額の借金。
レモナ側も同じなのだが、基本的に彼女も『お嬢様』なので痛くも痒くもない。
バイトを始める「助け屋」メンバー。正規の召喚師の夢は、どうやらまだ遠いらしかった……



…それはまた、次のお話であるのだが。




53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:38:12.35 ID:BZmZXZXC0
次のステップなおまけ


十日目 此の後


――血が凍るような美少年。
その表現がこれほど似合おう者は滅多にいないことだろう。

イ从 -)「…………」

高校の学生服を着た女のような子供。
…ただそれは何処かの「助け屋」社長に代表される、なよなよとした女性らしさではない。
抜き身の刃の如き――触れることすら躊躇われる高き美貌。

イ从゚ -゚)「……」

幽霊が出る、と噂される屋上から見る空に、もう雨雲はなかった。
柔らかに降り注ぐ日差しに少年は静かに目を細めた。



十日目 此の後 終


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 22:41:09.76 ID:BZmZXZXC0
ご支援ありがとうございました。
皆様も、幼馴染との「指きり」にはお気をつけて。思いの外重い行為ですよ、アレは。
そこまでやる奴は流石にいないでしょうが……それでも、愛に応えてこその男伊達ですから。


次回は……う~ん。
野球の話的な何かをしたいと思います。


【雑感、恋愛考証】
愛の名言は掃いて捨てるほどありますが、愛=狂気というのは中々に面白いテーマだと思います。
「恋愛とは神聖なる狂気」とはルネサンス期のもの。「恋に狂うは間違いで、それはそもそも狂気である」はハイネ。
…そう言えば「愛は惜しみなく奪うもの」という言葉が有名ですが、あれは返歌のようなものらしいです。


年月で価値を上げるのはワインと楽器と男の愛だけ。
そして、男が愛して良いのは自分が幸せにできると思った女だけ。

どうぞ沢山恋をして下さい。
愛とは自分を高めていくこと。唯一のルールは相手を幸せにすること。
一人でも立派に愛することができたなら、人生それで十全というものです。


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/27(土) 23:18:44.53 ID:dokKpJUL0
追いついた
>>1
次も楽しみにしてるよー


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