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◆ξ゚⊿゚)ξ陰ト陽ノ絵巻のようです 九頭龍の巻 中

前の話/インデックスページ/次の話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:10:15.95 ID:o+jhQuZ20
かたかた、頼んだぞ。


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:11:20.08 ID:o+jhQuZ20
よし。立った。

でっかいお久しぶりです。というか、覚えている人はいるのだろうか?
はじめての方。はじめまして、この話はヒーローオタクとクソビッチが仲良く化け物退治をします。
派手に著名な建築物をぶっ壊すし、全体的に化け物にくれてやる慈悲なんざねぇってノリですね。
次に待っていた方。さぼっていた訳じゃないのよ?話すと長くなるから産業にすると

バックアップ無しなのにもしもし大破
書き直した
ERROR:アクセス規制中です!!

泣いた。

まとめはくるくる川 ゚ -゚)様
http://kurukurucool.blog85.fc2.com/?mode=m&no=360

それでは、九頭龍の巻 中 始まります。

又、長く時間も空きましたし、いきなりハイテンションなんざついてけねーよ。って方もいるはず。
なので作者がギコを設定したときにイメージした曲をようつべから引っ張ってきましたので
聞きながらテンションを上げていってみて下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=IOw35JUZzrg


よろしければこの公開自慰行為(オナニー)にお付き合い願います。


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:13:32.50 ID:o+jhQuZ20
はじめに

この作品内には和製へヴィメタルバンド陰陽座の語り、同をモチーフにした文が出てきます。
現在、作者の耳に陰陽座関係者からの苦情は届いておりませんので使用を継続しますが
不快なので使用しないでほしい等、ありましたら投下中か申し訳ありませんが
まとめのくるくる川 ゚ -゚)様のインデックスページにコメントいただければ使用を
停止することを確約します。

「前回までのあらすじ」

ノパ⊿゚)「みんなァ!!!!元気かァ!!!!ヒーちゃんは元気だぞッ!!!!」

ノパ⊿゚)「じゃあ、張り切ってあらすじだ!!
    東京都にそびえ立つ鉄壁の政府機関、陰陽省!そこに所属する
    若干17歳の少女ツンデレ。彼女は普通の人では使えない特殊な
    力により怪異達から人々を守る陰陽師だった!!!」

ノパ⊿゚)「そんな彼女も学生。偶には友達と遊びに行ったりもします。
    そういう訳で友達達と食事をとっていたツンだったが怪異は
    そんなツンの都合などお構いなし!てかそんな訳ってどんな訳だ!」

ノパ⊿゚)「命令無視をして邪神へと突撃するツンとフォックス。
    覚醒する邪神クトゥグアこと、友人ギコ。
    そして暗躍する赤い蛇と黒い山羊。いったい東京はどうなってしまうのか!?」

ノパ⊿゚)「以上!!出番がもらえてうれしかったヒーちゃんでした!!!!!」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:16:08.95 ID:o+jhQuZ20
この世には、科学では解明出来ない事象がたくさんある。
もし、アナタの身にそんな事象が起きても落ち着いて欲しい。

人に仇なす其れを討ち滅ぼす者が居るからだ。

ξ゚⊿゚)ξ「今は昔、京の都に人ならぬ力を操る者あり」

其の者。純白の浄衣(じょうえ)に身を包み

ξ゚⊿゚)ξ「古井戸より冥界へと行き来し、死者と語り、物の怪とたわむる」

其の者。漆黒の夜を往き闇に生きる

ξ゚⊿゚)ξ「数多の式神を使役し、
      満月の夜には獣にまたがり天をかけたとゆふ」

其の者。全知全能の力にて万魔を祓う。

人はよふ…其の者、陰陽師なりけり。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:20:05.77 ID:o+jhQuZ20





ξ゚⊿゚)ξ陰ト陽ノ絵巻のようです

九頭龍の巻 中






6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:23:06.14 ID:o+jhQuZ20
こういうのを青天の霹靂って言うのだろうか?いや、違うな。
何故なら、ある意味でクーやツンちゃん、後……ダイオード君と言った、
人外やそれに携わる人々と関わりを持ってしまった時から予想は出来ていた。
ただ、出来ればいきなり実践じゃなくて練習から入りたかった。

この気持ちに嘘偽り無い。俺はチキンでヘタレだから。
それもクーから御墨付きを貰うくらいにだ。

(;'A`)「フィレンクトさん!あっちの路地にまだ人がいます!」

俺が指差した路地は今、ちょうど激しい攻防が繰り広げられている。
生身の俺じゃあ手が出せない。そんな場所だ。

(‘_L’)「解りました。ドクオさんは都民の皆さんを誘導してあげて下さい」

(;'A`)「……そうっすね」

180cmを超える巨漢である彼の手に掛かれば蛙の化け物達も
瞬く間にけちらされるだろう。
それに比べて俺はとても小さい。体とかそんなんじゃあない。存在自体が小さいのだ。
矮小……。まさにその通りだ。確かに、俺は逃げまどう人々よりも冷静でいられる。
確かに、俺は陰陽師の人達の手助けをしている。だが、圧倒的に足りないのだ。
覚悟が、力が……気持ちだけでいったい何が守れると言うのだ。

俺は……ひどく小さい。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:25:44.11 ID:o+jhQuZ20
  _
( ゚∀゚)「お、頑張ってるな!めちゃくちゃパニクるかと思ってたのによ」

(;'A`)そ「実際パニクってますよ。……ジョルジュさん!」

そう、俺に声をかけてくれるのはジョルジュ・長岡さん。
「何かしなければ」そう思い、群をなす蛙の化け物たちへ飛び込んだ俺を、馬鹿な俺を助けてくれた人物だ。
俺は、フィレンクトさんの持ち主(?)のジョルジュさんに返事を叫ぶ。
こうでもしなければプレッシャーに押し潰されそうだった。
  _
( ゚∀゚)「バーカ!パニクってる奴があんなふうにフィレンクトに指示を出せるか。
     お前は今、この中で……そう、分を分かってるから俺らよか冷静だよ!」

フィレンクトさん。彼は元冥府の官吏(閻魔王の補佐)でかなり頭がキレる。
きっとジョルジュさんは使い物にならないなら好きに動いて良いとでも指示していたのだろう。
  _
( ゚∀゚)「それにな、お前はトーシロなんだからきっちりサポートしてくれりゃあそれで良いんだ。
     そしてそれが出来てる。それで充分なのに前に出て怪我でもされたら……
     たぶん、お前の嫁さんに冷食にされちまうwww」

('A`)「でも、俺だけ何の役にもたてなくて……」
  _
( ゚∀゚)「ネガティヴ過ぎんだよ。お前が助けた奴らはお前が役立たずなんて誰も思わねぇよ。」

そう言われ、俺は辺りを見回してみる。

え……


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:29:40.28 ID:o+jhQuZ20
「ありがとう!」
「助かったよ!」
「ありがとうございます……」

(;'A`)「え。……俺は、ただ……何かをやらなくちゃって」

道行く人は何故か俺に礼を述べる……どうしたらいいか分からない。
俺は気がつけば両手の指先を繋げて右往左往していた。

(‘_L’)「気持ちだけでは無力ですが、想いの無い者は更に無力です。
      やることは一つ。のはずですよ。ドクオさん?」

あぁ、そうか。ありきたりの取って付けたような彼の言葉……
けど、これ以上ない程の励ましの言葉だ。
確かに、俺は弱いさ。けどだからこそ出来る事もあるはずだ。
彼の言葉、その意味がわかった気がした。だったらさ……

力はある。なら、俺は想いを……志を曲げないで行けばいい。

('A`)「フィレンクトさん。いや……フィレンクト。
    ……空は今、クー達が引きつけている。けど……」

(‘_L’)「陸は、それ以上の雑魚が犇めいていますね」

('A`)「片っ端から蹴散らして回ろう。ジョルジュさん。この辺一帯、俺たちに任してください」
  _
( ゚∀゚)+「へ。好きにしな。俺は原宿でカワイコちゃん達を助けてくるぜ」



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:33:33.15 ID:o+jhQuZ20
……ここにいるのは俺たちだけだ。

('A`)「分かりました。フィレンクト……!!」

後には引けない。俺はもう戦う為の意志を手にしたから。やれるだけやってやるさ。

(‘_L’)「さて、教育の時間ですね……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

丸の内区内を飛行する紅の一反木綿。そして座すのは銀髪碧眼の雪女。

ツンがお台場に向かって居た頃、同じく待機命令を無視して出動した陰陽省のメンバー達は、
各々独自の判断で暴れまわる怪異を駆逐して回っていた。
各人員が最も得意とする領域を担当し、陸上班、救助班、空中班に分かれ各々の役目を果たす。
空中班のダイオードとクーも又、それに漏れず空を舞うシャンタク鳥を相手取り大立ち回りを見せている。

/ ゚、。 /「ねぇ!そろそろ、頃合いじゃないかな!?」

川 ゚ -゚)「そうだな……あまり多くを相手取るのも大変だろう。
     合図したら一気に加速してくれ」

/ ゚、。 /「んー。りょーかい」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:36:48.92 ID:o+jhQuZ20
そんな話をする二人の背後、いや周囲には無数の鳥、鳥、鳥。
シャンタク鳥と呼ばれる鳥とは似ても似つかわない飛行型の怪異である。
端から見れば、この二体の妖怪達はただ逃げ回っているだけにも見えただろう。
だが、二人は逃げ回って居たのではない。
連れ立ち、誘う。つまり東京一帯に出現したシャンタク鳥をここ丸の内区に誘導していたのだ。

川 ゚ -゚)「今だ!!」

クーの合図を皮切りに、ダイオードは凄まじい勢いで加速する。
突然の出来事に完全に出遅れたシャンタク鳥達に向けて、囲むように凍える風が吹き荒ぶ。
クーの雪女としての能力の一端だ。

都会の摩天楼に吹き荒れる吹雪の中、紅色の雪女は
彼らをあざ笑うように優雅に、華麗に、そして容赦なく吹雪の中を踊り狂う。
その姿は一種の芸術品の様でもあった。

/ ゚、。 /「とっつ、げぇ~きッ!!」

川 ゚ -゚)「遠慮するな。全弾持っていけ!」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:40:59.58 ID:o+jhQuZ20
二人は吹雪の中を縫うように逃げ惑う怪鳥達に向け、必中の精度で氷のつぶてを見舞う。
弾けては咲き乱れる氷塊に一度でも当たれば瞬く間に氷の妖花へと姿を変えるであろう極寒の天界。

もはや、攻勢は逆転したと言って差し支えない。
だが、そんな阿鼻叫喚の渦中に置いて未だに抵抗を続けるものもいる。
まだ生きていたい。死にたくない。そんな思いを込めて、
雪女へと襲いかかる怪鳥たち。
だが…

/ ゚、。 /「そぉい!!」

それは許るされる訳が無かった。一縷の希望さえも打ち砕く氷塊。
それは先ほどまで隣を飛んでいた彼らの仲間だ。
そう、ダイオードが凍らせたシャンタク鳥を巻き取り、モーニングスターに見立てて
振り回したのだった。鈍い音を立て音速で振り回される氷塊は次々と怪異をたたき落として行く。

从;゚∀从「情け容赦ねぇなぁ。この分じゃあオレの出番はなさそうだ……」

全く、新顔のくせに派手にやってくれるぜ。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:45:24.03 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

( ゚д゚ )「チッ。以外にしぶといな……」

从´ヮ`从ト「そんなちっとんべぇの攻撃じゃあ、だぁめでぇすぅ。
       ぼっこす勢いでいがないと……」

( -д- )「……トソン頼む」

まさに迂闊だった。不注意だったとしか言いようが無い。
部署が違うとはいえ武の神格である彼女が受付をしている意味に気づくべきだったのだ。
俺は激しい後悔をしつつ、トソンに「通訳」を頼む。
「ぼっこす」ってなんだよ!!戦いが終わったら「はんごろし」が待ってるってなんだ!!
「もこぉがわにいごいてくれ」ってなんなんさ!!方言なんて大嫌いだ!!

(゚、゚トソン「そんなすこしの攻撃じゃあ意味がない。
     破壊するぐらいの勢いで叩き潰して下さい。」

( ゚д゚ )「おk。叩き潰す……か」

俺たちは今、都内で暴れているデカい化け蛇。母なるハイドラを相手にしていた。
確かに、狸娘言うとおりあの巨体相手に火器や刀は効果が薄いだろう。それに対して、
彼女のの式「紙」達は随分と健闘している。
だが、このままではいずれ式「神」を使わざるおえなくなるだ


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:48:35.06 ID:o+jhQuZ20
( ゚д゚ )「電気ショックや毒……ダメだな。ハイドラは首が再生するんだったか?」

(゚、゚トソン「はい。ヘラクレスは切り落とした首を焼いて再生出来なくしたらしいですが……
     このままでは前衛のシャキンが押し切られてしまいます。」

更に、トソンは「そもそも」と言葉を続ける。

(゚、゚トソン「ハイドラは中央の首が不死身ですので、
     一撃で完全に存在を消滅させねばなりません。」

( ゚д゚ )「化け物め……」

思案する。頭脳労働担当の俺に……出来ることを。

( ゚д゚ )「すまんが、トソンも前衛を頼む。パンドラはまだ調整中だしな」

(゚、゚トソン「了解。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(`・ω・´)「……ムッ!」

前衛。しかし、まさか初仕事がこんな大きなものになるとは思いもしなかった。
僕は、計九つの首から迫る顎門(あぎと)、その全てを紙一重で
防ぎきりながらミルナ殿の打開策とやらを待つ。前後左右、更に上下からくる全方位攻撃……



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:51:26.05 ID:o+jhQuZ20
(;`・ω・´)「そう長くは持たないぞ」

弱音を吐きたくはないが、事実だ。そう長くは持ちそうにない。
あの連続攻撃は、一度空中に逃げれば際限なく仕掛けてくる。
故に、地上で回避を続けているが……もうじき逃げる場所すら破壊されてしまう。
それだけは避けなければ。

3 'ω`)「ふりゃーい!!」

(`・ω・´)「外見に似合わずッ!!」

全く、醜悪な外見なのにも関わらずハイドラは随分と可愛らしい発音で声を上げる……
もっとも、彼女自身が何を言ってるかはわからないが。

じつは怪異には怪異独自の言語体がある。
日本の妖怪にカテゴライズされるものは複数の言語体を使えるが、
外来の怪異はその怪異独自の言語しか使えない。
分かりやすく言うなら妖怪は殆どが数カ国語を話せる。
それに対し、海外の怪異はネイティヴで部族ごとの言葉しか話せない。
その理由はもともとの成り立ちにある。
日本の怪異は人の持つ恐怖や不の感情を元にするが海外の怪異は信仰心やエゴを元にしているため、
日本の怪異のようにコミュニケーションをとるための能力にかけているのだ。

(゚、゚トソン「そうですねッ!!」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:54:29.22 ID:o+jhQuZ20
僕とハイドラの間に走る影……トソンだ。「ゴツ」と鈍い音を立て、
ハイドラはその顎門。それを無理矢理に閉じられて受け止められる。

(;`・ω・´)「助かりました……」

飛び込んできたタイミング、受け止める際の踏み込み……
さらには掴み抱えるその姿勢さえも完璧に理にかなった一種の美術品。
当然だ。彼女は電気娘これが彼女のライフワーク。
当たり前なのだ。蹂躙して、殲滅して、破壊する。そう、彼女はそれこそ呼吸をするように。
必然だ。彼女を守りたくなるのは。彼女はこんなにも幼く儚い(かよわい)のだから……

(゚、゚トソン「ぼっこす勢いで……」

「ガツリ」彼女は両手で閉じた顎門を持ち直し、ゆっくりと「持ち上げ始める」。

(;`・ω・´)「あああ……危ないですから……」

(゚、゚トソン「叩きつける!!」

3;'ω`)「ふりゃふりゃーい!!」

ゆっくりとだが彼女は確実にハイドラを……持ち上げてしまう。
叩きつける……?まさか……!?


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:56:33.65 ID:o+jhQuZ20
間一髪、彼女の意図に気づいた僕は全力で後退する。
もちろんジェスチャーで狸娘さんにも伝えるのを忘れない。

(;`・ω・´)「投げる気です!!下がって!!!」

今まで、出したことの無いような大声で下がるように指示を出し、振り返るとそこには……

(゚、゚トソン「はぁああああああ!!」

木々をなぎ倒しながら首を掴んでハンマー投げのスタイルでハイドラを振り回す彼女が居る。
もう、好きにして下さい……

轟音。投げられ、ここ新宿御苑のまだ改築途中な温室の中へ叩きつけられた
ハイドラは土埃を舞いあげてじたばたと暴れ狂う。その姿はわがままな子供にも似ていた。

3 'ω`)「ふりゃーい!!」

(゚、゚;トソン「しまった……ッ!?」

暴れ回りながら密かにトソンに向けて尻尾を叩きつけようと振り下ろすハイドラ。
しまった。敵の情報が少なかったからかトソンは予期してなかったのだろう。

(;`・ω・´)「トソン!!」

だが、現実は無情だ。「ズシン」とトソンに叩き下ろされる巨大な蛇の尾。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:58:10.11 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
動かない。
人と機械と怪異の混ぜものである私の体。
つまり本能が、反撃と思考停止を弾き出したためだ。
闘争心と恐怖が互いに打ち消しあい、結果、機械の判断を上回っている。

このままではいけない。逃げなくては……
逃げる?闘うんだろう?殺して壊して否定し尽くす。それが歯車。

何のために生まれた。何のために生きる。
シャキンのため?袂を分けた主のため?自分のため?

迫る。迫る。迫る。迫る。

動け。動け。動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け

お願いだから動いて……
こんな無価値に死にたくはない。何でも良い。動いて。死ぬのは怖い。





誰か……助けて!!

       「 俺 、 参 上 ! ! 」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 20:59:07.88 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

着地。命中寸前にかすめ取った少女を見やり安堵する。怪我はしていないようだ。

<_プー゚)フ「 俺 、 参 上 ! ! 」

決まった。最高に決まった。ヒーロー様の参上だ。
その上、狙った訳じゃないが、美少女を怪異の魔の手から救い更にその怪異を秒殺する。
最高にCOOL(カッコイイ)だろ?

(゚、゚トソン「あの、放して下さい。」

<_プー゚)フ「おっと、気にするな。あの九岐大蛇(くまたのおろち)なら
       俺が片づけてやる。お嬢ちゃんはそこで見てな!!」

( ゚д゚ )「褒めてやりたいが……お前は勘違いしている」

从//ヮ//从ト「は、破廉恥なのでぇすぅ」

(#`・ω・´)「よし、先ずは貴様の命から仏の元に送らせてもらう」

は?何で?まず浮かんだ単語がこれだ。
その時、ふと手に違和感を感じ見てみると少女が俺の指をねじ伏せていた。

<_フ;゚ー゚)フ「いだだだだだだだだだ!!!!!折れる!むしろ折れた!」

(゚、゚トソン「おっかいてあげます。あら、感染りましたか。」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:01:18.51 ID:o+jhQuZ20
<_フ;ー;)フ「一体、俺が何をしたんだ!」

泣きそうになりながら、いや泣きながら俺は心の底から抗議をする。
指はギタリストの命だぞ!いくら俺が鬼でもここまでやらねぇっつうの!!

( ゚д゚ )「胸。思いっきり触ってたぞ」

把握。

<_フ;д;)フ「すんませんしたッ!!」

土下座する勢いで謝る。むしろ土下座した。やけにやあらかいと思ったぜ……

(`・ω・´)「しかし、良いタイミングですね」

そう言いシャキンは刀をしまう。どういう事だ?

( ゚д゚ )「確かに。玄象ならばやれるな。だが……確実に潰せるか?」

<_プー゚)フ「誰に言ってるんだよ。俺は鬼だぜ?例えるなら鉄砲玉よ。
       ダイナマイト刑事よ。で、何?何?何の話?俺にも1つ噛ませろ」

「フ」とシャキンは薄く笑う。その余りに自然な姿につい、つられてしまいそうになる。

( ゚д゚ )「玄象を最大出力で鳴らせ。あのフライ女朗を消し炭にする位にな」

消し炭。ね……上等。端から塵すら残す気はねぇよ。お残しはいけねぇよなぁ。
だが、……そいつは結構骨が折れそうだぜ。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:05:08.73 ID:o+jhQuZ20
<_プー゚)フ「そりゃあ良いが、奴を消し飛ばすにはちょいとまだ早いぞ」

巨大な怪異には還元楽は効果が薄い。理由はズバリ巨大だから。
頭悪く聞こえるかも知れないが実際、デカい物を溶かしたり、温めたりするには
多少なり、時間がかかるものだ。もちろんそれは還元楽にも当てはまる。
要は還元楽の性質の一つ。対象が現界する縛りを解く為に、音を使うが、
それに比例して強いやつやデカい奴を帰すにはある程度ダメージが入っていないといけないのだ。
本来なら地味にダメージを与えて、還元楽を至近距離から叩き込むが奴は生憎様、すぐに再生しやがる。

(`-ω-´)「すみません。ちょっと目を閉じていてもらいたい」

( ゚д゚ )「どうするつもりだ?」

腕を組みながら思案するシャキン。どうやら何かアイデアが浮かんだようだ。
こういうときコイツの様な頭が回る前衛はとんでもない事を言い出すもんだがそれが又、有効だったりする。
これは長い間、退魔屋をしていた俺の自論だが、あながち間違っていないもんだ。

(`-ω-´)「奴にダメージを入れる手段がありますので、試してみたいのです」

<_プー゚)フ「よしきた。なら、任せるぜ?」

そう言い、目を閉じる。
鈍い破壊撃音が聞こえたのは直ぐだった。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:08:21.08 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  ⌒V⌒
(V)o∧o(V)「■■■■■■■■!!」

左の鋏で首をつかみ、右の鋏を閉じて叩きつける。
怪異アミキリの変異体。それは巨大なザリガニだ。
正確にはザリガニを基本にして背中に当たる部位に昆虫の羽を備え、
蟹のように歩行可能な足を備えた姿をしている。

その本来の姿を知るフォックスさんは良く僕をザリガニ男と呼ぶが止めていただきたい。
なぜならこの姿は好きになれないから。
その変化した姿で持って殴る。ひたすらに閉じた鋏で殴る。
首を切り落とすのも容易だが再生されては意味がない。
故に打撃で攻め続ける。そんな時だ、軽快なギター音が鳴り響いたのは。

<_プ ゚)フ「おうおう。何だそれ、何だそれ、何だそれ!!
       そんな姿に変身とかおもしれェじゃねぇか!!」

鬼伏寝の鬼 エクストは僕の背に乗りギターを掻き鳴らし始める。
真蛇の面を被り、鬼の力を完全に発揮した彼……。
鬼という種族は本当に奇妙なものだ。変異体になっても人であり続ける。

本当にうらやましい。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:11:35.62 ID:o+jhQuZ20
その彼が奏でる音色は破壊的で歪んだハイスピードソロ。
聞けば誰もが眉をひそめ嫌悪感を抱くような歪な快楽奏鳴曲(メカニカルソナタ)。
ですが……

デ ス メ タ ル は 嫌 い じ ゃ あ り ま せ ん ! !

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

還元楽 赫夜姫(かんげんがく かぐやひめ)

トチ狂った弦は赫色の月を照らし出し姫をその月に返す。
そんな意味を込めた最悪なメロディは寧悪なる大蛇を打ち据える。

烈しいビートが命を刻み、鮮々たるリズムでハイドラを帰して行く。
集団戦でも使えるようにピンポイントで響くように調節した玄象をかき鳴らす。
だが、足りない。まだ、足りない。

なら、どうする?『エクストプラズマン』は派手なアクションが売りだろ?

<_プ ゚)フ「まだ、食い足りねぇってか!?あぁん?」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:15:20.56 ID:o+jhQuZ20
がっつくな。夜も寝れないほどに愛してやるよ。今すぐに、
激しくベッドを軋ませて……お前という楽器を掻き鳴らす!!

跳躍。風を切りながら落下し、着地するのは中央の首の額のあたり。
俺は笑いかけてやると瞳と瞳が絡み合う。その眼は俺に対する殺意で漲っていた。
おいおい。逝く時に笑えない奴は不幸だぜ?

<_プ ゚)フ「還元楽!!」
      
   「   月   光   」   

俺のオリジナルだ。第三楽章をたっぷりと堪能しやがれ!!

玄象を奴の頭に振りかぶり、叩き付け、焼きつける。

さぁ、殺戮タイムだ!さぁ、処刑楽曲だ!さぁ、異形の魔物を絞首刑に処せよ!!

先程よりも烈しく、残酷なる太陽の反射光をフルオートで
叩き込むかのように狂いなく、歪みなく、メロディを響きわたらせる。
本当に最高のステージだぜ。狂ったように掻き鳴らせ!!


     「    滅    !    !    」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:18:15.28 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(´・ω・`)「さて、ここが本丸ですか……」

ここまで乗せて頂いたグリフォンに丁寧に礼を述べ、エノクの中に戻ってもらう。
彼は式であるため本来必要のない行為だが、だからこそ必要な事だ。

第一ホテル東京シーフォート。
全く、確かにクトゥルーは危険な存在だが彼女たちは本質を見極めていない。
だから、通り道に面したこのホテルを見逃したのだ。

(´・ω・`)「今回の事件。思ったより根が深そうですね」

私の見解。
今回、クトゥルーなどという邪神が出現した事態に陥ったが幾つか不明な点がある。
一つ、ルルイエの存在。ルルイエと呼ばれる寝所が今回出現していない。
一つ、邪神が未だに全力を出さない。いや、出せないが正解だろう。
一つ、準備すら悟れなかったこと。

以上から考え、今回のクトゥルーには何らかの外的要因が影響しているのは間違いない。
恐らくは、その外的要因によりクトゥルーは実体化をしている。
魔術的な見地から見れば何らかの生贄を捧げるのがセオリーだろう。
だとしても、土地的に見て東京近郊は地脈が悪い……
ある程度、魔術の知識があり脈を読める魔術師なら陣を敷く場所が読めてしまうものだ。


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:22:31.14 ID:o+jhQuZ20
そして、突き止めたのがここだ。
ここならば条件を満たし、更に要塞化する必要がない。
私がもし、東京一帯を壊滅させたいならまずここを選ぶだろう。
その点は評価しても良い。だが、相手方は時間をかけすぎだ。

(´・ω・`)「さぁて、久々にお仕事を致しますか……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ξ゚⊿゚)ξ「アレが、邪神クトゥルーか……」

何となくに呟く。意味などは無いのだろう。
フォックスはまだ合流していない。
あのクソビッチの事だから心配はしてないが、やはり一人は少し心もとない。
そんな事を考えていた時だ。

爪'ー`)y‐「正確にはCluh-luh。発音は舌の先を口蓋にしっかりとつけたまま、
      唸るように吠えるように、あるいは咳をするようにその音節を出せばいい」

ξ゚⊿゚)ξ「ご丁寧にありがとう。大丈夫?」

振り返ると、腰に手を当てながら香水(お気に入りらしいシャネルの五番)を吹きかけているフォックス。
まさに余裕って感じで、あれだけの数を相手にしたのだから少しは息を切らせなさいよ。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:24:48.69 ID:o+jhQuZ20
爪'ー`)y‐「うん。まぁね。てかアレだわ。室井さん!レインボーブリッジ
      橋ごと封鎖しちゃいましたって感じぃ↑↑?」

ξ゚⊿゚)ξ「GAL語とか使うな。イントネーションに殺意を覚える」

しかも古い。感じぃ↑↑とかいつの時代だ。ヤマンバGALの時代でしょう。

爪'ー`)y‐「おいおい……つれないな。じゃあ、なぜなに行っとくかい?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。ぶっちゃけ、アレが邪神なんて強力な存在に見えないし」

言ってから気が付いた。「ぶっちゃけ」もなかなかに古い。
だが、フォックスは気にした素振りもなく腰を降ろす場所を探し始める。

爪'ー`)y‐「この辺で良いだろ。さぁて……じゃあ邪神 クトゥルーの説明だね。
      邪神 クトゥルー。正確には『Cluh-luh』なお、この表現も間違いだ。
なぜなら奴は人間が、いや生物が口にできる名前では無いからね」

海岸線の遊歩道に備え付けられたベンチに腰掛け、彼女は足を組む。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花とはまさにこの事だろう。
本当になにをしていても絵になるのは彼女の持つ魅力の一つだ。
何らかの補正でもかかっているのだろうか……



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:27:15.30 ID:o+jhQuZ20
爪'ー`)y‐「又、奴は非常に多くの名前を持つことでも有名でね。
      クトゥルー、ク・リトル・リトル、クルウルウ、クスルー、
      トゥールー、チューリュー、九頭龍etc.etc.」

爪'ー`)y‐「これらをまとめて奴を指している。
      その登場はラヴクラフト原作のクトゥルフの呼び声。
      作中に置いて奴の姿もある程度描写されているが目の前にいる以上、言及はひかえようか」

言いえて妙な話だ。なぜなら、存在しないものであるはずの怪異を
90年位前に一人の詩人が作り上げていたのだから……
あるいはクトゥルーとは彼が生み出した怪異なのかもしれない。
その奴の姿は台場からでも十分によく見えた。
タコに似た頭部、イカのような触腕を無数に生やした顔、巨大な鉤爪のある手足、
てらてらと光った鱗に覆われた山のように大きなゴム状の身体、
背には蝙蝠や悪魔のような細い翼を持つ異形の、
……まるで安い三流ホラーのモンスターのような怪異。それが邪神 クトゥルー。

爪'ー`)y‐「最大の特徴は周辺、それも狙って飛ばせるテレパスにある。
      コイツが厄介でね。普通の人間ならまず発狂するような内容を平然と垂れ流す。
      稀に芸術家が奴のテレパスからシンパシーを受けたりするらしいが、まぁ非常に稀な話さ」

ξ゚⊿゚)ξ「……浄衣で防げるかしら……」

爪'ー`)y‐「無理だね。ただ、テレパスを送るにはチャンネリングが必要だ。
      だから心を護るための守護結界を結べば良い」



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:29:41.49 ID:o+jhQuZ20
チャンネリング。
要は、周波数を合わさねばいけないと言うことだ。

ESPの俗語で電子データやらの運輸経路をチャンネルと呼ぶことに由来した言わば造語に近い。
意味合いとしては、人がPS等の超常現象を引き起こすには
必ず、何らかの超自然的なチャンネルを合わさねばならない。

これは魔術や方術にも共通しているが最大の特徴はチャンネリングには自己の決定権が殆ど無い事だ。

魔術、方術は自ら切り開いたあぜ道だがチャンネリングの場合は最初から
自分の中にアスファルトの舗装された道が出来ているとでも形容するべきか……

そのため、本物の超能力者はその殆どが能力を上手く操れない。
スプーンをねじ曲げたり、千里先を見通す力、自然発火もその一端であり本来の使い方とは別物だという。

そして、……フォックスはそのチャンネリングを妨害すれば良いと言っている。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:32:31.51 ID:o+jhQuZ20
爪'ー`)y‐「ついでだ。ラヴクラフトについても話しておこうか?
      本名、ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
      彼についての僕からの考察を言わせて貰えば一言だろうな」

爪'ー`)y‐「 彼 は 不 幸 な 男 だ 」

そこで一端区切り足を組み直す。
彼女は右手にタバコを持ちながら左手で硬貨を「ぱたぱた」と
親指を除く四指の上で回して弄びながら言葉の続きを紡ぎ始める。

爪'ー`)y‐「彼は30過ぎまで重い神経症を患っていた。
      這いよる混沌。名状しがたき悪意。冒涜的等々の
      独創的な言い回しは彼の見た悪夢や絶望から来たものだ」

爪'ー`)y‐「更に、神経症が治まってきてからは筆舌にもし難い貧困が彼を待っていた。
      彼の作品は殆どが死後に弟子のダーレスにより出版された物でね。
      収入のない彼は文字通り霞を食べる生活をした時期もあったらしい」

「ピィン」硬貨を親指ではじき、跳ね上げる。「クルクル」と回り落ちていく硬貨……
それはこれから聖戦という地獄に堕ちていく私たちを暗示しているかのように、
緩やかに、そして真っ直ぐに堕ちていく……

それをフォックスは顔の高さでつかみ取り、私に「裏か表か?」と訊ねてくる。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:35:26.02 ID:o+jhQuZ20
ξ゚⊿゚)ξ「表」

「正解はどちらでもない」と言い放ち、彼女は硬貨を落とす。
なるほど……そのまま砂地に突き刺されば上にあたる部分は側面に当たる部位だ。

このひねくれ者が!!

爪'ー`)y‐「最も、彼は旅行好きでも有名でね。
      金銭的に余裕のある時はバスを乗り継ぎ旅行をしたらしい」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなの……でも、彼は不幸ではないと、私は思う」

絶対的、もしくは相対的に見れば彼は不幸だ。
だが、趣味があり、たまにとは言え旅を出来ていたのだ。
心を病んでいたのだろうが、彼からしたら不幸ではないのかもしれない。

ξ゚⊿゚)ξ「元々、不自由な彼からしたら不幸なんて当たり前のものよ」

爪'ー`)「そう?まぁ死人に口無し。今となっては分からないけどね」

風向きが変わる。向かい風が急激に追い風になってきたようだ……
潮風に流れる髪を手で押さえ、これから始まるであろう戦いの結末を思い目を閉じた。



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:38:03.22 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(´・ω・`)「はいはいっ!」

やはりと言うか、どうやらここが首謀者の砦のようだった。
なぜ、分かるかというとこの抵抗の激しさ。
と言うか、抵抗があると言う事はその時点でここが怪しいですよと自白して
いるようなものだというに……その辺、戦略的にどうなのでしょうかね?

無数の銃口からフルオートで吐き出される5.56mmの弾丸をワルツのリズムで
かわしながら薄汚れた床を走り回る。その醜悪なる姿を隠そうともしない深きものども。
彼らの持つ最新の肉塊製造装置の十字砲火はレストランを瞬く間に戦場へと変えた。
かわし続けてはや三分。反撃はまだ一度たりともしてない。
なぜならば首謀者の顔を拝んではいませんから……
確実に任務遂行を行うために一番必要なもの。それは洞察力だ。

恐らく、この戦いを反撃などを行わずに長引かせれば自らが優勢と判断した指揮官が
現れるはず……そこで一網打尽にする。そのために私は今も攻撃の中をかわし続けている。

(//‰ ゚)「ようこそ。我が魔術陣へ。歓迎しよう……鉛玉で。ですがね」

(´・ω・`)「そういう話し方は止めていただきたい。キャラが被ります」

全く、たかだか異形の身に窶した魔術師風情が……
彼はくぐもった声でくつくつと笑い、手を降ろす。部下への「撃て」の合図だろう。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:40:28.06 ID:o+jhQuZ20
私は瞬時に吐き出された鉛玉の幕からすかさず身を隠す。
コンクリ製の壁を容易く撃ち抜く銃弾か。一体、どんな仕掛けなのやら……
突如現れた異形の悪夢。おそらくは待ち望んでいた今回の首謀者だろう。
種族は深きものども。ただ、言葉を理解しておりその言動や立ち振る舞いは魔術師のものだ。
となれば、おそらく何らかの方法で怪異となった魔術師。

(´・ω・`)「やれやれ。敵の数は10人以上……失礼。10匹以上といった所か」

少なくはない。むしろ一人で相手にするには多すぎる位だ。
だが、相手が悪かった…。

影から向こう側を伺えば、直後に乱射されている鉛玉が頭を掠めてゆく……
どうやら穏便にはすみそうに無いことを確認した事ですし、ここらで幕引きとしましょう。

(´・ω・`)「なるほどね」

ゆっくりと隠れていた物陰から姿を表す。
その場所は、彼にとって少しばかり予想外だったのだろう。
その場所とは即ち……


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:43:12.36 ID:o+jhQuZ20
(´・ω・`)「ようこそ。Gate of hell(バーボンハウス)へ。
      このケルベロスはサービスだ。まずは襲われて欲しい」

私が隠れて居た場所とは、戦場になっていたレストランエリアのカウンターの中。

ちょうど、バーテンがお客様をもてなすような形になる。
バーテンはもちろん私。さぁ……注文をきこうか。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

空と海からの波状攻撃が開始される。
日本。と言う平和の代名詞である国とは思えない程のミサイル、
対艦砲が次々と発射されてゆくのを見守る。
不謹慎な話だが、私にはこれが徒労であると分かりきっていた。
分かって居てもどうしようもない。発射は止められ無いのだから。

だが、それでも被害は抑えることが出来る。
今、私達がここで怪異の上陸を阻止すればかなり被害は抑えられる。だから、ここに来た。

だが、現実は見たとおりだ。何もできない。


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:45:34.57 ID:o+jhQuZ20
ξ゚⊿゚)ξ「フォックス。私達ってヒドく汚いわよね」

爪'ー`)「汚いの定義が定かではないが……僕は今まで薄汚れた事ばかりしてきた。
     だから今更、懺悔とか後悔とかしないよ」

初めて聞くフォックスの過去。独白とも取れるが……
私には迷うなと言ってるようにも聞こえる。

視界には叩き落とされる玩具の戦闘機。
轟沈する湯船に浮かんだ軍艦……奴は怪異だ。怪異そのもの。

ある物書きによりこの世に産み落とされた幻想の邪神。
私にアレを倒せるのだろうか?

たった一撃で、戦闘機や軍艦を破壊する化け物を……

難しいだろう。だが、
アレを野放しにして良いのか?神を冒涜するような容姿だとか、
世界を混沌に孵す邪悪なる司祭だとか、邪悪なる神々、旧支配者の一柱とか、
そんなものは関係ない。

今、私は奴を見て胸が押し付けられる様な錯覚を覚えている。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:49:08.43 ID:o+jhQuZ20
ξ゚⊿゚)ξ「あの怪異が腕を振るえば何百人もの自衛官達が死んでゆく。
      ……、助けられたかも知れない命。……なのよ。ね?」

それだけは確か。

爪'ー`)「だな。もし後悔しているならその気持ち悪さを忘れなさんな。
     それに、僕たちは何のために、誰のために此処にいる?
     割り切るな。むしろ感情にまかせて闘えばいいんだ。
     さぁ、景気づけにいつもの奴を頼むぜ?」

いつもの奴ね……。そうね、初めて貴女に出会った時に教えてもらった名乗りを
あの邪神にも聞かせてあげようじゃない。無数の怪異を屠るその時に必ずあげた自らの誓い。
その意味と、言葉を理解したすべての異形が恐れおののく退魔の言の葉。

私は一歩前に歩き出し、全身の法力をかき集める。

ξ゚⊿゚)ξ「今は昔!!」

邪神はもう、目と鼻の先の距離にいる。
逃げることは出来ない。道はとうの昔に崩れ落ちた。
さぁ……弾丸よりも速く轟け!!吼えろ鬼神の咆哮を!!
恐怖の叫び、怒りに燃えろ……今こそ燃え上がってその炎を見せつけろ!!

法力が簡易浄衣の式符に集まり、光の渦と共に純白の世界が広がる。


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:51:14.63 ID:o+jhQuZ20
顔を上げ、一心不乱に目の前の邪神への闘志をたぎらせる。
この想い。もう止められないし、もちろん止める気もない。

私が背負った全ての未来のために。今、命を燃やし尽くそう。

ξ゚⊿゚)ξ「京の都に、人ならぬ力を操る者あり!」

其の者。純白の浄衣(じょうえ)に身を包み

ξ゚⊿゚)ξ「古井戸より冥界へと行き来し、死者と語り、物の怪とたわむれる!!」

其の者。漆黒の夜を往き闇に生きる

ξ゚⊿゚)ξ「数多の式神を使役し、
      満月の夜には獣にまたがり天をかけたとゆふ……」

其の者。全知全能の力にて万魔を祓う。

ξ゚⊿゚)ξ「人はよふ…其の者、陰陽師なり!」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:52:43.94 ID:o+jhQuZ20





   簡 易 浄 衣 乃 式 符 展 開 ! !







42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:55:06.90 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(´・ω・`)「呆気ない。余りに弱すぎますね……
      あれほどの栄華を極めた異能探偵も怪異の身になってしまえば……
      と、言うことですか」

私の目の前で補食されるかつての英雄。
その姿はどこか、私に礼を述べているかのような錯覚さえ覚えさせる。
彼は死んだような目で、快感に溺れるようにケルベロスの胃の中に収まってゆく……
これで障害は取り除いた。だが、現実はいまだ好転なし。
つまりはクトゥルーを実体化させている術は消えていないということだ。

となると恐らく、このホテルのどこかにクトゥルーを呼び出した柱がいるはず。
探さなければいけない。
いくら不完全でも邪神と正面からやりあっては可愛い部下達が怪我をしてしまうかもしれませんから。

私はタイタス・クロウと呼ばれた深きもの、その残骸を一瞥しそれを咀嚼する愛犬に注意をする。

(´・ω・`)「ケロ。あまり食べると太りますよ?」

「くぅん」と悲しそうに声を上げ、ケルベロスはエノクへと帰ってゆく。
よしよし。後でもっとおいしい餌をあげますからね。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:56:36.71 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(。 。)
メ川川キ「■@§&◆←ゝ-£〒!!」

爪'ー`)y‐「だから、日本語で喋れっつうの!!」

フォックスは火術片とかしたピアニッシモを惜しみもなく邪神へと投げつける。

ついにお台場に上陸したクトゥルー。
クトゥルーにより破壊された流通センターの廃墟を舞台に私達は幻想の邪心と対峙していた。
相剋する二つの魂は互いに引き合い弾きあう。

爪'ー`)「チッ、冒涜的な手榴弾(タバコ)が切れた!!」

ξ゚⊿゚)ξ「冒涜的な手榴弾ってなによ!!」

思わずツッコミを入れてしまう。毎度ながらコイツはふざけてるのか
本気なのか分からない所がある。多分、意識してないのだろうが……

爪'ー`)そ「何ィ!?這いよれを知らないのか!?これだからゆとりはッ!!」

カチンと来た。ゆとりは関係ないでしょうに。いや、むしろ普通知らない。きっとそうだ。


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 21:58:34.97 ID:o+jhQuZ20
ξ#゚д゚)ξ「知るか!?この壊れたオンボロラジオ!!」

罵声と共に全力でダッシュ。
心で念じるのは急急の如律令。電子の帯が右手に集まり、一気に加速する。

爪*'ー`)「オンボロラジオとは何だい?あれか?中古って事か?いや~ん♪」

頬を赤らめんなァァアアアア!!
まるで私がやらしい事を言ったみたいじゃないの!
って、危ない!?

ξ゚⊿゚)ξ「下がりなさい!」

見れば、クトゥルーが腕を振りかぶっている。
奴のサイズは単位で表すならkmを使うくらいだ。
そのため、離れていた私には見えても接近戦を仕掛けていたフォックスにはまだ見えていない。

爪;'ー`)「ヤッベェwww」

間に合え。そう念じながら私は先ほどよりも早く走る。
狙うのは、ヒットバックよりも攻撃でのモーションストップが有効だろう。
なんせあのサイズだ。実際には直撃してなかったが、仮にバンカーバスター辺りを
直撃させてもびくともしない可能性がある。ならば、一点に衝撃を集中させ受け止めれば良い。


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 22:00:25.11 ID:o+jhQuZ20
成功するかは分からない。だが、何もしないよりかは可能性がある。そう、「可能性」だ。

瓦礫を足場に全力でジャンプ。フォックスとは入れ替わりに飛び出すと
腕とおぼしき部位に加速した電子の迸りを叩きつける。
(。 。)
メ川川キ「ギャアアアアアア!」

攻撃の衝撃が体を駆け巡り、私は殴りつけた辺りを足場に見立て蹴り、奴の側から離れる。
手応えはあった……!

爪'ー`)「まだまだァ!」

苦しみ、動きが鈍る邪神に待ってましたとばかりに追い討ちをかけるのはフォックスだ。
その手に持つのは爆る刺殺刀。
爽快なステップで瓦礫をかわしながら真っ直ぐにクトゥルーに向かい駈けてゆく。
したたかにも、その間に次々と爆刀を投げつけ突き刺すのを忘てはいない。

爪'ー`)y‐「コイツを!」

彼女は奴との距離が目と鼻の先の位置で瓦礫を踏みつける。
すると衝撃で瓦礫が空中へと舞い上がる。

爪'ー`)y‐「突き刺す!」

フォックスは舞い上がった瓦礫を次々と蹴り飛ばし空中で縦横無尽の動きを見せる。


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 22:02:04.56 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

爪'ー`)y‐「更に、激しく!」

着礫し、跳躍する瞬間にも投げる!
これでもかと、全力で、激しく、愛を込めて!!
激しく朝まで愛し合おうじゃないか!えぇ?カミサマ!?

爪'ー`)「うちつけるように!」

ピロートークにはまだ早い。セックスよりももっと早く感じさせて……
そう願を掛けてただひたすらに、奴に向けて鋭い牙を叩き込む。
一撃一撃が入る度に体をエクスタシー。いや、オーガズムが駆け抜けてゆく。
だから止められないのさ!!SM嬢よりも過激で、
吉原の泡姫よりも気持ち良く、PV女優よりもブッ飛んだこの仕事はね!

爪#'ー`)「ぶち込む!」

そうさ、私の前では誰もがみんなチェリーボーイ。さぁ、私の股間にキスをしなッ!!



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 22:04:40.89 ID:o+jhQuZ20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

圧倒的な空中剣舞。
フォックスは両手に六本も爆刀を引っさげてその全てをクトゥルーへと叩き込む。
僅か二、三秒の出来事にもかかわらず、無数の墓標が立つ墓地のようになった邪神を見て、
その速さに驚愕し、また、これを一斉に起爆したらどうなるのか……

ξ;-⊿-)ξ「ゾクゾクするわね……」

爪'ー`)「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

なおも、投擲を続けるフォックス。既に足場は瓦礫から邪神の体に移行し、
彼女は今、邪神の右腕辺りを走りながら自身の足元や振り払おうと、
伸ばした左腕に向け爆刀を投げつけている。
その動きには容赦はない。そして絶頂の時を迎える。

爪'ー`)「これくらいで良いだろ!さぁ……堕ちなッ!!」

フォックスは邪神の体表を走るのを止め、今度は体を重力に任せて自由落下させる。
真っ逆様に落下し、その体が地表へとどんどん近づいてゆく。

クトゥルーはその様を見て、今までの礼とばかりに足を振りあげてフォックスを踏みつぶそうとする。


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 22:07:21.99 ID:o+jhQuZ20
だが、フォックスの落着はクトゥルーの足を踏み降ろすのよりも早い。

ξ;゚⊿゚)ξ「フォックス!」

瞬間、私は目を疑ってしまった。
反発力という奴だろうか?理論的には反発係数は無音、無衝撃で尚且つ
他のエネルギーに変換されなかった場合
1/1。
分かりやすく言うならば、物を下に叩きつけた場合、
仮に重力を計算に入れず、他のエネルギー形態に運動エネルギーが変換されなかった場合、
反発力は変化せずに落とした高さまで跳ね上がるという話だ。

彼女はそれをやってのけた。
もちろん、質量落下運動の為重力の影響を受けるし人間の体は固いビリヤードの玉でもない。
反発係数が1になる可能性は、ゼロである。
それを彼女はやってのけた。

恐らく、落着寸前に若干膝を曲げていたのだろう。
そして落着と同時に一気に跳ね上げ、マイナスのエネルギー分を自身の身体能力で、
補い無理矢理に先ほどまで居た高さまで飛び上がったのだ。


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 22:09:17.06 ID:o+jhQuZ20
爪'ー`)「ビエン!!」

彼女は頂点に達した時、両手を伸ばし取り出した爆刀を広げてみせる。
あぁ扇情かな。まぐわい、空中で絡み合う二つの視線とその想い。
それは即ち……

 さ よ う な ら 。

(メ メ)
メ川川キ「!!!」

回転し、捻りを加えた爆刀が三つずつ目に向けて撃ち出される。
命中し吹き出る鮮血。その激痛にクトゥルーは思わず両目を覆い隠し怨磋の叫びを上げる。
だが、まだ終わりではない。……彼女が投げていたのは爆発する両刃の刀なのだから!!
着地した彼女はまるでフラメンコを踊るように柏手(かしわで)とヒールでリズムを取る。
直後、クトゥルーに突き刺さった爆刀が立て続けに爆発を行い、

爪'ー`)「オーレッ!!」

フォックスが背を向けて、ポーズを決めた瞬間に大爆発が起きる!
火の粉がまるで桜吹雪のように舞い、フォックスの美貌が艶やかに彩られる……

ξ゚⊿゚)ξ「やった……!?」

静寂が下弦の月夜を照らす。朧の黄泉路を歩くのは絶望か希望か。

九頭龍の巻 中 完



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 22:13:56.44 ID:o+jhQuZ20
ここでおしまいです。
それでは、批評、質問等が有るようでしたらお願いします。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/28(日) 22:39:37.86 ID:Dy6zQQmU0



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