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◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋GU~のようです 十一日目 深夜

前の話/インデックスページ/次の話

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:12:09.95 ID:tsVWVuI50




(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!!」~助け屋グロウアップ~のようです



十一日目 深夜
『限界バトル?ホームランこそ野球の醍醐味!』



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:15:10.26 ID:tsVWVuI50
――どこかの世界のいつかの時間。
具体的に言ってしまえば、霙が降るグラウンドにて。人間みたいな化物と化物みたいな人間が激突していた。
そして初回。ワンアウトも取らずに、

大 ←一塁手。藁人形D。

(;゚Д゚)「………」

一人、殉職した。
ベンチには額縁に入った彼の写真。それに向かい、誰彼ともなく黙祷を捧げる。
――さて。

lw´‐ _ |゚ノ ^∀^) ゴチャゴチャ

( -∀・)「…お嬢のデチューンもそろそろ終わるし、改めてルールを確認しよう」

( ^Д^)「『死人が出るような技は使用禁止』ってことで」

|゚ノ#^∀^)「別に僕は何もしてないもんっ!!」

('(゚∀゚#∩「君は存在自体が危険なの!!」

o川*゚ー゚)o「あ、生きてた」


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:18:08.56 ID:tsVWVuI50
ミ,,゚Д゚彡「別に普通の技は使っていいってことか?」

( -∀・)「いや、基本的にはなしだよ」

o川*-ー-)o「つまんないのー」

( -∀・)「……基本的には、ね」


――そんなこんなで。改めてスタートである。
レモナ側の投手は交代。『正体不明』がマウンドに上がる。

( -∀・)「別に得意ってわけじゃないけどさ――っと!」

(;^ω^)「おおっ!?」

あっさりと三球三振。続くでぃも、凡打に打ち取られた。
…別に野球は得意ではない。
得意ではないのだが、

( -∀・)「朝比奈家の人間に『苦手』って文字は似合わないでしょ?」

そういうことだった。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:21:10.87 ID:tsVWVuI50


――続いて。
三番にしてピッチャー。
「助け屋」一の万能選手がボックスに入る。

( ^Д^)「……いい機会だ」

( -∀・)「?」

( ^Д^)「お前の高い鼻をへし折る、な」

意趣返し。先日の一件は終わったが、キューと同じく彼とて許したわけではない。
むしろまだ怒っている。

( ^Д^)「俺は一時期AA……北米マイナーリーグの選手をやってたことがある。半端な球は、打つからな」

(;゚Д゚)「(いよいよ経歴が滅茶苦茶になってきた……)」

千年間、かつて最高峰の力を誇った陰陽師ははてさて何をやっていたのか。
周遊でもしていたのではあるまいな。
むしろ何故野球をやろうと思ったのかがギコにとっては激しく疑問だったりする。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:24:08.51 ID:tsVWVuI50
( -∀・)「ふぅん。あっそ」

――初球。高めのストレート。見逃す。
プギャーの目測だが140キロを超えていた。伊達に『朝比奈家』を名乗っていないらしい。

( ^Д^)「(弟はあんなに頼りなかったのに……)」

――二球目。再びストレートだ。
ブゥン、という大きな音で空振りをする。

( -∀・)「……全然駄目じゃんよ」

右手でピース――を反対向けにしながらニヤつく。
ファックサイン。彼なら分かるだろう、という考えによりやっている。挑発以外の何物でもない。


( ^Д^)「…………」

当然、今までの二球はわざと見逃した。
『正体不明』という存在の人間性から考えるに次も全く同じコースだろう、と。
それなら――楽にスタンドだ。

( ^Д^)「(一点取って、逃げ切りだ)」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:27:09.16 ID:tsVWVuI50
追い込まれ、――追い込ませた運命の三球目。
と、その前に投手は口を開いた。

( -∀・)「クイズターイム」

(;^Д^)「は?」

( -∀・)「プロ野球チーム『シベリアホワイターズ』所属、甘いマスクで人気の背番号三十三番の若きエースと言えば?」

( ^Д^)「(撹乱、か?)」

そのまま大きく振り被る。流れるようなスリークォーター。
コントロールとスピードを両立させたフォームから繰り出されるのは、草野球にしてはレベルの高いストレート。
しかし、そうだとしても同じ球が三球も通用するはずもない。

( -∀・)「っ!」

ビシュッ

( ^Д^)「(取った――ッ!!)」

腰を回し、高めの球を打ち抜くよう軌道を描く。
先ほどとほぼ同じコースだ。ホームランとは行かずとも間違いなく長打になる。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:30:08.41 ID:tsVWVuI50
――そのはずだったのだが。
ミートの寸前。信じられないことが起きた。

(;^Д^)「(――ボールがねぇ!!?)」

視界からボールが消えたのだ。
当然バットは空を切る。そして無情にストライクのコール。


…捕手であるアベのミットには上品に球が鎮座していた。
それを満足気に眺め、『正体不明』は何かを懐かしむように語り出す。

( -∀・)「……今から二十数年前、僕は一人の捨て子と会った。この世の全てが敵ー、みたいな顔をしてたっけ」

(,,゚Д゚)「え?」

( -∀-)「名前すらなかった。番号だ。“三十三番”ってね。話題がなくて困った僕は言ったんだ」

――三十三か、良い数字だね。
僕が一番好きな野球選手の背番号だ。

(;^Д^)「………そうか、そういうことか」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:33:09.26 ID:tsVWVuI50
( -∀・)「……それがキッカケなのかは知らないけど、アイツ、本当にプロになっちゃったよ」

それが――投球前に言ったクイズの答え。
高校時代の素直ではなかった朝比奈もらのが「俺の友達」「大した奴」と賞賛した男。

( -∀・)「決め球の名前はそのまま『No.33』だ。…僕が好きだと言ったマイク・スコットと同じ球種だね」

――三球目。彼が投げたのはSFFだった。
「スプリットフィンガード・ファストボール」と呼ばれる高速フォーク。
一球目と二球目の高めの球は、打者の直前で落ちる変化球を生かす為のものでしかなかった。

それはシベリアホワイターズのエースと同じ。
全く同じ、戦法だ。

( -∀・)「能力じゃなくて純粋に真似ただけだから数段劣るけど……それでも、消えたように見えたでしょ?」

( ^Д^)「…してやられたり、ってか……」

伊達に『朝比奈』を名乗っているわけではない。
それは濃い血が成せる強烈なまでの才能と――執念と言って過言ではないほどの努力。

故に、超能力などがなくとも、ここまでのコピーを可能にする。
それが彼の家系。決して妥協を良しとしないという性分がここにも如実に現れていたのだった。


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:36:10.59 ID:tsVWVuI50
……………


――割合マジな感じになってきたところでチェンジ。
レモナ側の攻撃。先頭打者がボックスに入る。

大 ←藁人形A。

( ^Д^)「…………」

ストラーイクッ バッターアウト!

と、さっさと一番を三振に切って取り、続く二番。

大 ←藁人形B。

( #^Д^)「…………タイム」

|゚ノ ^∀^)「なに?」

( #^Д^)「お前のチームには藁人形しかいねぇのか」

しかも、式神のくせに微動だにしないという体たらく。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:39:11.98 ID:tsVWVuI50


――結局三体の藁人形を相手しただけで終了。もはや意味が分からない。
…なんにせよ攻守交替。意気揚々とバットを持つ男。

ミ,,゚Д゚彡「よっし、ホームラン狙うぜい」

一分後。

ミ,,^Д^彡「ゴメン。無理だった」

o川*^ー^)o「うん。それで許されるのは、ギコ君だけ」

ガスッ ボコッ バキッ

( ^Д^)「四番に置いたのは失敗だったな」

ボコボコにされるフサを見ながらのんびりとそんなことを思う。
狼男は丈夫なので、心配するギコや貞子が少数派だ。

( ´_ゝ`)「俺はお前等に頼んだのが失敗だと思い始めてきたよ……」

(;゚Д゚)「あ、なんかすいません……」


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:42:12.34 ID:tsVWVuI50
(#゚;;-゚)「いえ、当初は占い師さんに来て頂いて相手の球種を読ませるという作戦だったのですが、相手が当主様なので……」

(;゚Д゚)「サラッと凄いこと言っちゃった!!」

「テレパスで球種を読んではいけない」とはルールに書いてはいない。
…書いてはいないが……そんなことが許されるのはどこぞの学園都市のみである。

(´<_` )「いや、元より無理強いしたのはこっちだしな」

( ´_ゝ`)「全力でやって駄目なら、仕方ないさ」

(,,;Д;) ジーン……

青春っぽいことを言いつつ打席に入る。
普段の調子の良さで忘れがちだが、仮にも商店街チームのキャプテンと副キャプテンなのだ。

――そして、二分後。

( *´_ゝ`)人(´<_`* )『イエーイ、ムリムリー!!』

o川*^ー^)o「…………」

ガスッ ボコッ バキッ


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:45:08.89 ID:tsVWVuI50
……………


――二回の裏。「助け屋」ピンチである。
ワンアウト、ランナー二塁・三塁。
続くバッターは、

|゚ノ*^∀^)「がんばっちゃうぞー!」

レモナ。
最強――それ故に理由がない少女。
『特異点』としての力は封じられているが……如何せん、彼女は素で強い。
全ての意味で。無論、容姿も含めて。

|゚ノ*^∀^)ノシ「ギコお兄ちゃぁぁんっ!今からそっち行くからねー!!」

(,,;Д;)「帰りたい……。なんで、あんな可愛い子相手なのに、涙が止まらないんだろう……」

多分、細胞レベルでトラウマになっているから。
以前のような拒絶症状はないのでマシになったとも言えるが。


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:48:09.48 ID:tsVWVuI50
二塁は今日も今日とてツナギ姿のプギャーの師匠。
そして、三塁には『正体不明』の何か。ホームスチールでも狙うのかと思いきや、

( -∀・)「……痴女はキャラ作りで実は処女でしょ?」

o川;゚ー゚)o「えっ、いや一人ぐらいは――」

( -∀・)「『一人ぐらいは』か。なるほど、エロっ娘アピールはやっぱ嘘なわけね。ハハッ、恥ずかしい人だ」

o川; -)o「くうぁ!!」

( -∀・)っ「でもご安心。あの子なんて処女だし。もう、マジ貴重品だよ」

(;#// -/)「うにゃぁああ!当主様っ!!」

( -∀・)「…それで相談なんだけどさぁ、来週末空いてる?」



|゚ノ ^∀^)『…………』(゚Д゚;)

――サードを口説いていた。
もはやカメリアコンプレックスでもなんでもない。ただの女誑しだ。


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:51:15.13 ID:tsVWVuI50
o川;゚ー゚)o「――でも、襲うでしょ?多分じゃなく、容赦なく淫らに襲うでしょ?」

( -∀・)「襲わないっての。僕は言われないとやらないからね。……それとも何?怖いの?」

o川;>ー<)o「しょんなことない!!(噛んじゃった……)」


|゚ノ ^∀^)「ヤタちゃーん、タイム。ボール貸して」

(;^Д^)「(ヤタちゃん?)ああ……」


o川//-/)o「ふくぁ!…ちょっとぉ、いきなり手ぇ握ったりしないでよ……」

( -∀・)「予行練習だって。……あ、手綺麗だね」

o川;゚ー゚)o「あわ、あわわ……」

( -∀・)「んー。でもマニキュアはイマイチ。今度僕が塗ってあげるよ」


lw´‐ _‐|゚ノ ^∀^) ゴチャガチャ


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:54:16.02 ID:tsVWVuI50
lw´‐ _‐ノv「おしまい」

|゚ノ*^∀^)「よし。お兄ちゃんなんか――」

バッターボックスから出て、大きく振りかぶる。
狙いは勿論――。

( -∀・)「それにすっごく目綺麗じゃん。……ねぇ、もっとよく見せてよ」

o川//-/)o「…え、あっと、そんなに顔近づけないでよ……」




|゚ノ#^∀^)「――死んじゃえっ!!」

チュン

(; ∀)「ごはぁっ!!」

――本日二発目のリアルレーザービームは胸部に激突。
辛うじて剣を召喚し防ぐも、レモナの全力投球、音速の二倍ちょいの衝撃波には無力だった。
なをると同じように吹き飛び雑木林に突っ込む。


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 21:57:13.23 ID:tsVWVuI50


( *´_ゝ`)ミ,,^Д^彡『グッジョブッ!!』(´<_`* )

( ^Д^)「今日のMVPは決まりだな」

( ^ω^)「今度焼肉奢ってやるおー」

|゚ノ*^∀^)「えへへ」

モテない同盟の三人が全力で親指を立てる。
敵と味方を超えた、何か熱い絆のようなものが生まれた瞬間だった。

川;д川「ヤバイですー!血ダラダラ出てますっ!!」

(;゚Д゚)「はわわわ……」

そして焦る常識人達。でぃに至っては半泣きである。
『正体不明』の色男は防御空しく額をバックリ割っていた。

( ,'3 )「いい加減野球せんかい」

…最後に冷静なツッコミが入り、試合再開。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:00:50.24 ID:tsVWVuI50
……………


大 ←代走。藁人形E。

N| "゚'` {"゚`lリ「そろそろ操るのが辛くなってきたな……」

( ^Д^)「手伝いますよ」

N| "゚'` {"゚`lリ「助かる」

――さて。
走者が藁人形だろうがピンチなのは変わらない。
バッター、レモナ。

( う∀-)「よく覚えておきなよ、助け屋さん。ホームランに勝るバッティングなんてないってことをさ。……あー、いて」

ベンチで止血をしながらそんなことをほざく、とんでもない女誑し。
世界ヒモ選手権などがあれば優勝間違いなしだろう。

o川;゚ー゚)o「今のって……」

(#゚;;-゚)「事実上のホームラン予告なのです」


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:03:22.12 ID:tsVWVuI50
(,,-Д-)「………むぅ」

『――おい。お前』

(,,゚Д゚)「(あっ、ギィちゃん)」

――心の奥底より響く声。
神代の英雄、“もう一人のギコ”の声だ。

(,,〃Д゚)『…俺が思うに、おそらくはあのホームラン予告はフェイクだゴラァ』

(,,゚Д゚)『なんで?』

(,,〃Д-)『なんでって言われると困るが……この試合を回してんのがアイツだからな』

頭に包帯を巻いている途中の――『正体不明』を伺い見る。
あの男のことだ。おそらく先ほどのナンパ騒ぎも意図があるのだろう、というのが彼の弁。

(;゚Д゚)「そぉかな……?」

信じられない、というのがギコの思い。
ギコには、ただの良い人に見えてしまうのだ。
それも正しい。――正しいが、それだけで終わっていないのがあの天災である。


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:06:26.16 ID:tsVWVuI50


|゚ノ*^∀^)「よーしっ。狙うはホームランだっ!!」

ブンブンバットを振り回しつつ、左打席に入る。
レモナは普通に右利き。西川が訊ねてみるとそちらに行ったのは単に“近いから”。
…分かりやす過ぎて分かりにくくなる論理だ。けれど、それが当然のようにまかり通るのがレモナという少女だった。

( ^ω^)「(全員、下がり気味で)」

捕手である西川が守備配置の変更を指示する。
たとえ能力が何も使えなくとも彼女が『最強』であることは変わることがない。
半端なボールは力任せに無理矢理飛ばすだろう。


( ^Д^)「(……おし)」

――セットポジション。
第一球、振り被って――

大 ダッ

(;^Д^)「!!」


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:09:07.10 ID:tsVWVuI50
投げる――と同時に藁人形Eが駆け出した!
また、

|゚ノ ^∀^)「こう?」

左手を添えるように。押し込む――プッシュバント。
レモナの長打狙いと見せかけ、その実。定石通りのスクイズである。

(;^Д^)「チッ!」

一塁側、ギコの隣を狙ったのだろうか。
そのバントは上手く行かなかったようで投手であるプギャーに捕球された。
ホームは間に合わない、との判断。身体を半回転させ、確実にアウトを取る為一塁に――

(;^ω^)「プギャー、違うっ!“そっちじゃない”お!!」

ギコに送球した後、怒声とも言えるほどの叫びを受けて振り返る。
そこで見たものとは。

( ^Д^)「え――っ!」

( -∀・)「ばーか」


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:12:07.81 ID:tsVWVuI50
N| "゚'` {"゚`lリ「っ!!」

――今まさに三塁を回った二塁ランナーの姿。
しまった、と舌打ちする。これはただのスクイズじゃなかった。

(;^Д^)「ツーランスクイズっ!?ご主人、ホーム!」

即ちはツーランスクイズ。
走者二・三塁の時にスクイズバント。そして一塁に送球する間に、三塁走者だけでなく二塁走者もホームインする奇襲戦法。

…普通、スクイズ警戒時は遊撃手は三塁よりのカバー、二塁手は一塁カバーに回る。今回も人ならざるものの反応速度で以て迅速に動いた。
だがそれが命取り。後退守備→スクイズの為の前進、という動作の間に“誰も二塁ランナーを見ていなかった”。
初回の藁人形三連続も。先ほどのナンパ騒ぎも。

(;^ω^)「これの為の布石かおっ!!?」

( ,'3 )「賢しいガキじゃろう?……殴っても構わんぞー」

――『正体不明』は現在、高校生時程度の能力しか持たない。
しょっちゅう体育の授業を休んでいた彼。それは――病苦の為激しい運動を禁じた故の止むを得ない措置だった。

今日も同じだ。走者を藁人形に任せるほどに、限界が近かった。
彼という切札がいなくとも。二点入れば、後は守り切れるという判断――!


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:15:08.65 ID:tsVWVuI50
――だが。

(,, Д)『それだって、読めていたんだぜゴラァ』

(;#゚;;-゚)「!!」

二つ声が重なった。
音ではなく、音源そのものがブレたように感じた。


(,,〃Д゚)「――おっしゃぁぁああ!!」

川;д川「え?誰ですかー?」

ファースト、交代。
「助け屋」社長、ギコール・ハニャーンに代わりまして――神代の英雄、ギコール・O・ハイドレード!!
いつの間にかプギャーのすぐ隣にいた。そんな彼は送球を激突寸前、ほぼ零距離(素手)でキャッチ。
一歩、二歩、そして三歩で飛ぶ。ハンドボールのジャンプミドルシュートみたいな勢いで、

( #〃Д゚)「死ねゴラァァァアア!!」

かつ、あまり洒落になっていない言葉を吐きつつ――投げる!!
剛速球。レモナとは違い、パワーは調整されている。これならばギリギリ間に合うかもしれない。


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:18:09.99 ID:tsVWVuI50
と、思われたのだが……


スポッ

(,,〃Д゚) 「……あれ?」

投げた瞬間すっぽ抜け、てんてんと真後ろに転がって行った。
でぃが寒さに震えながらも拾う――が、アベは既にホームインした後である。

ミ;-Д-彡「…………」

o川;゚ー゚)o「ね、ねぇ。もしかして、さ……」

川;д川「野球、やったことなかったり……?」

(,,〃Д゚)「……………………そう言えば、なかったぞゴラァ」


( ;_ゝ;)『バカァァァァアア!!』(;<_; )

――全員でツッコミを入れているうちにレモナが本塁へ。
駅前公園火雨霧糲洲連盟、三点先取!


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:21:09.82 ID:tsVWVuI50
……………


( ´_ゝ`)「マズイ。これはマズイぞ」

(´<_` )「四回終わって一点しか取れていない。しかも、最後の攻撃だし」

――あらかじめ決めたルールにより、交代した選手の再交代が認められている。
最初から狙っていたのか。マウンドには体力を回復させた『正体不明』が登っていた。

( -∀・)「あと三人で終わり?早いねー」


o川#゚ー゚)o「くっ……。……アイツ闇討ちしちゃ駄目かな…」

ミ,,-Д-彡「落ち着くんだぜい。それは普通にルール違反」

o川*>ー<)o「大丈夫っ!この雪の中なら――バレないっ!!」

(#゚;;-゚)「いやバレる・バレないの問題ではないのです。そこが明らかな間違いなのです」

三対一。
駅前公園火雨霧糲洲連盟、以前として有利。


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:24:10.37 ID:tsVWVuI50
( ,'3 )「どうじゃい、ワシのチームは。凄いじゃろうて」

(;^ω^)「凄いけど……」

凄いけど、ほとんどこちらのミスで取られたようなものである。
化物みたいな人間と人間みたいな化物の勝負だったはずなのに……随分と程度が低い決勝戦になったものだ。

(;゚Д゚)「えと……どうしよう?」

( ^Д^)「待って下さいよ、ご主人。今ワイヤーが仕込み終わったところで――」

(;゚Д゚)「殺す気!?勝てないと見るや、殺す気なの!!?」

( ´_ゝ`)「落ち着け、社長さん。昔から言うだろう。勝てば官軍――」

(´<_` )「――負ければゴミクズって」

(,,;Д;)「違う!色々違う!これで勝っても官軍じゃなく、殺人犯だよ!!」

金がかかると人は変わる。
銀行券の魔力を垣間見たギコール・ハニャーンだった。


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:27:08.91 ID:tsVWVuI50


(,,゚Д゚)「――つまりは、あの人を退かせればいいんだよね?」

( -∀・)「やれるもんならやってみれば?僕は、頑固さと執念深さには定評があるんだよ?」


(,,-Д-) ゴソゴソ…

lw´‐ _‐ノv「探し、物はこ、れ?」

(,,゚Д゚)「あっ、ありがとう」

シュールから受け取ったのは携帯電話。
操作しやすいように機能は少なめだ。それで電話をかける相手は――、

『――もしもし?』

(,,^Д^)「もしもし、つーさん?今すぐ来てっ!!」

異端医、高岡翼。
闇医者でもある彼女は年中無休なのだ。


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:30:13.99 ID:tsVWVuI50
(;-∀・) ダッ

|゚ノ ^∀^)「あれ、お兄ちゃん?」

――そして、見るや否やあっさり逃げ出す「頑固さと執念深さには定評がある人」。
マウンドには勿論。

大 ←藁人形E、再び。


( ^Д^)「ええっと……これは?」

o川;゚ー゚)o「どういうこと?」

(,,^Д^)「ギコハハハ!」

ギコは笑う。彼は知っていた。
あの「頑固さと執念深さに定評がある」というのは事実だということを。
『朝比奈もらの』という人間は自分で決めたルールは絶対に破らない、ということを。

(,,゚Д゚)「よしっ。これで反撃だ!」



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:33:10.46 ID:tsVWVuI50
……………


(ノリ_^_-^ノリゝ「あ、本当にこんな天気でも試合やってる~」

( ´_>)「ほんっっっっとうに馬鹿だな。兄者達は」

――通りすがりの高校生達の感想。
しかし、最悪の天候の中行われた“超”野球も終わりを迎えようとしていた――!


五回の表。ギコ達の攻撃。最後の猛攻。
ツーアウト、満塁。バッターは、

川;д川「無理!無理です!本当に、こんなの無理っ!!」

(,,^Д^)「貞ちゃん頑張って!」

( ^Д^)「そうですよ。頑張ってください。(どうかご主人に回さないで)」

o川*゚ー゚)o「大丈夫。できるって。(少なくとも確率的にはギコ君よりも)」

川;д川「誰か代打~っ」


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:36:14.95 ID:tsVWVuI50
と、その時だった。
響いてきたのはあまりにも流麗な調子の言の葉。

イ从゚ -゚)「……おや。いつだったかの、艶女さんではないか」

o川;゚ー゚)o「えっ!?……あ、」

――血が凍るような美少年がそこにはいた。
女のような立ち振る舞いに加えて、艶やかな黒の後ろ髪を軽く纏めている。眉目秀麗をそのまま具現化したような切れ目の男。
赤い和傘を持った立ち姿は絶妙に幽婉。洗練された日本刀。

用事を問えば守備につく少女――シュールを指し言った。
「迎えだ」と。

(,,゚Д゚)「わ……」

イ从゚ -゚)「何かお困りのようだが」

(;゚Д゚)「えっ!?あ、うん。そうだけど」

息を飲み、呼吸が止まりかけていたギコに平然と話しかける。
周りを見れば似たような状況。――それほどまでに、圧倒的な存在感。


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:39:10.62 ID:tsVWVuI50
事情を説明すると、なるほど、と呟き二度ほど頷いた。
そして貞子からバッドを受け取ると黙ってバッターボックスに入る。
――不思議と誰も止めることはない。


唯一、いぶかしむような視線を向けたのが相対した投手。
つまりはレモナだった。

|゚ノ ^∀^)「……葵ちゃん?…ううん、今は『八重垣八雲』って呼んだ方がいいのかな?それとも――」

イ从゚ -゚)「どちらでも構わない。知っているだろうが私は――いや、“僕は”君のことが嫌いだ」

|゚ノ*^∀^)「アハハッ!僕は葵ちゃんのこと……大好きだよ?」

イ从 -)「………。お前のそういうところが――」

嫌いなんだ、と。
あまりにもハッキリ告げて、少年は構えた。
…神主打法。全身をリラックスさせ力をくまなく使う、長打狙いの打法。

イ从゚ -゚)「…助け屋さん。私は野球をしない。何故か分かるだろうか?」

(;゚Д゚)「……?分からないけど…」


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:42:35.50 ID:tsVWVuI50


少年は、シニカルに不敵に微笑んだ。ついでに鼻で笑う。年不相応のいやに似合ったその仕草。誰かに似ていた。
…ギコにはその“誰か”が分からなかった。
しかし、直感的に理解した。


記録は塗り替えられる為にある、と。
どんな伝説も必ず、新時代の強者に破られてしまうのだと――。


イ从゚ -゚)「ならば代わりに覚えておくといい。ホームランに勝るバッティングなどないということを」

(;#゚;;-゚)「えっ?」

その台詞は、との指摘は叶わなかった。
彼の真剣な顔を見ると、声をかけるのが躊躇われたのだ。

|゚ノ*^∀^)「アハハハハハッ!!」

大きく振り被る。力一杯のオーバースロー。
能力がなくとも――彼女は『最強』だ。ただの素人ならば打てる道理などない。


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:45:46.32 ID:tsVWVuI50


イ从 -)「私は――」

――走るボールは微妙に変化する曲者。
直球でありながら変化球。彼女の性質を表したようなそれは、


カキィィィン!!


(;゚Д゚)「うそ……」

打ち、砕かれた。
……白球は空に消え。
心地良い音。そして誰かの言葉と共に寒空へ吸い込まれていった。


イ从-ー-)「――全打席、ホームランを打ちたいんだ」


事も無げにバットを放り捨てる。
――それはどうみても明らかなホームランだった。


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:48:21.62 ID:tsVWVuI50


十一日目 深夜



――勝った。確かに勝利した。しかし釈然としない。
「結局前座ってことか?」とはフサの呟き。正体不明の高校生に全部持っていかれた。
どうにも気になる……

と、もやもやする「助け屋」に依頼。
久々に登場の占い師の弟子のお願いとは……?



…それはまた、次のお話であるのだが。




71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/20(土) 22:51:10.89 ID:tsVWVuI50
ご支援ありがとうございました。
此度はこれで終了です。重要キャラが、美味しいところを持っていったと……


次回は……どうだろう。まだコメディかな。
もっと露骨に。馬鹿な話を。
じゃ、用事があるので。



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