◆スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

◆( ‘ω‘)Channelers のようです 第一六話 『 遭遇、遭遇、また遭遇 ── VS. ブーム② 』

前の話/インデックスページ/次の話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:17:32.90 ID:lpgaWtqf0
 
 あなたが男性であると仮定する。
 ある朝目覚め、鏡で己の姿を確認したところ、若い女の子になっていた。
 あなたはまず、どうするだろうか?

 化粧をほどこし町を練り歩く?
 意気揚々と女湯に乗り込む?
 ベッドにおいて、肉体的な意味での性差を思う存分堪能する?

 答えは単純にして明快。
 驚く、だ。

 向こう三軒まで届くような金切り声を上げるかもしれない。
 泡を吹き卒倒するかもしれない。
 夢の続きに違いないと自分に言い聞かせ、ふたたび布団に潜り込むのかもしれない。
 
 こんな子供だましの謎かけにさしたる意味などないが、
 とある朝における俺の反応が、至極正常といえる範囲のそれであったことに、
 ほんの少しでも理解を示していただけたらと思う。

 世に生きる大半の人間は、もう一方の性を経験することなく生涯を終えることになるのだから。





2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:20:23.73 ID:lpgaWtqf0
 
「……オ、…ん」

('A`) 「……」


 ある朝突拍子もなく訪れた、数時間にわたる女性体験。
 付きまとうはずの様々な問題を憂慮する暇なく、無事に男に戻れたこともあり、
 それからしばらくは、俺自身、楽観的に構えていた節がある。

 生々しい話をするならば……。
 もし次に同じ機会に巡りあえたなら、20数年間で培った童貞力を如何なく発揮し、
 性に対する数々の神秘を、おのれ自身で解明することも考慮に入れていた。
 よこしまなテーゼを導き出すべく、妄想をたくましくしたことも一度や二度ではない。


「……クオさ……」


 そんな俺だが、現在のところは、様々な意味での清廉を保てている。
 弾けんばかりの童貞力は、今日もこの身をフレッシュに突き動かす、未来への原動力だ。



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:23:17.86 ID:lpgaWtqf0
 
 駅での事件をきっかけとして、
 俺は自在に女の子になれる、そんな特異体質に目覚めた……のだと思う。

 思う、というのは、あれ以来殆どいちごオブラートに手をつけておらず、
 変身に対する充分な試行を行っていないためだ。
 生物学的には、変態、のほうが正しいのだろうか。

 己の意思ひとつで自在にトランス ・ セクシャルできる。
 そんな、人によっては夢のような特異性がこの身に宿っている。

 だが、今の俺は日常の退屈しのぎに、
 興味本位で 『 ドクミ 』 に変わる気にはなれなかった。


「おーい……」


 理由はふたつある。
 ひとつは、自分の体が自分のものではないように感じられたからだ。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:25:46.23 ID:lpgaWtqf0
 
 一度。
 あれから俺はたった一度だけ、自宅で変身を試みた。
 自分が本当にオブラートなんぞで女になるのか、きっちり確認しておきたかったのである。

 結論から言うと、俺の全身は完全に女性のそれへ変容していた。

 電気を消した室内、月明かりだけが照らす薄闇の中で。
 生まれてはじめて目にした、一糸纏わぬオンナノコの青白い素肌。


 从゚、゚*リル 『 ……! 』


 姿かたちは変わろうとも、拙者の内面は紛う事なき一般成人男子のそれ。
 抑圧されしリビドーを身に宿す、絶賛思春期継続中のドクオだ。
 ……そりゃあ、興奮を覚えぬわけがない。

 だが。

 闇に浮かぶ肢体を目の当たりにした俺にとって、
 昂ぶり以上にこの心を支配したのは、
 得体の知れない 『 何か 』 に対する漠然とした畏怖、そして罪悪感だった。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:28:23.34 ID:lpgaWtqf0
 
 全身鏡に顔を寄せ、俺はその表情をまじまじと眺めた。

 変身した俺は、自分で述べるのもなんだが、美少女と称して差し支えない容貌である。
 すっと通った鼻、整った形の口唇、長い睫毛に彩られた二重瞼。
 切れ長の明眸は潤み、面前の五体を興味深そうに見つめている。

 ちょっと垂れ気味の目元など、多少は元の面影も残っているものの、
 はっきり言って、普段のドクオとは似ても似つかない、別人の姿。

 加えて、いくぶん小柄になった俺の全身は、なんというか妙に若々しかった。
 他の女体をリアルで見たことがないため定かではないが、
 性差を考慮に入れずとも、肌そのものが若返っているようにすら感じた。

 しぃちゃん達と同じく十六 ~ 七歳、
 いや、ローティーンだと自称したところで……ギリギリいけるか、程度には。


 从 、 リル ( ……鏡に映っている女の子は、果たして本当に自分なのか? )


 ぞくりとした。
 その疑問が脳裏を過ぎった瞬間、あられもない少女の裸体がふいに遠いものへと感じられた。
 途端にやましい気持ちが胸のうちを満たし、鏡から目を逸らす。
 居たたまれなくなった俺は、そのまま大急ぎで服を着込み、さっさと布団へ潜り込んだのだった。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:31:29.47 ID:lpgaWtqf0
 
 臭い毛布の中で身を縮めたとき、ジャージの上から触れた左胸の感触は、
 この世のものとは思えない柔らかさと弾力に満ちており、
 手のひらを中心として、全身に電撃が駆け巡ったことを憶えている。

 がしかし、俺がそのままハイパーおっぱいタイムに突入することはなかった。
 無抵抗の 『 誰か 』 の寝込みを襲っているような、得もいえぬ後ろめたさを感じた。
 自分の行っている行為が、なにもかも、忌むべき嫌らしいものに感じられた。

 アンフェアな方法で 『 女性 』 を堪能しようとしている自分が、
 軽蔑すべき、汚らわしい人間に思えて仕方がなかったのだ。


「あーのー……」

('A`) (……これほどまでに、性転換を活用しない人間も珍しいのではなかろうか)


 ともかく。
 俺はその晩、必死で頭から煩悩を追い払うようつとめ、
 できるだけ自己の柔肌に触れぬよう、大の字になって眠りについたのだった。

 どういうメカニズムなのかは知らないが、やはり翌朝には男の姿に戻っていた。
 あと、ものっそい勢いで風邪をひいた。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:34:15.83 ID:lpgaWtqf0
 
 それが潔癖すぎる、本当にくだらない拘りだということは重々承知している。
 だが、……だが、せめて。


('A`) (はじめては、相手の合意のもとで……)

(゚A゚) (かつ “ ロマンチックに ” 喪失したいんだ!!) チーン


 人に聞かれると失笑どころか爆笑されそうな、この未性年の主張こそが、
 童貞としての自分を構成する精一杯の矜持であり……。

 そんな安っぽいプライドに必死にしがみついて、
 宙ぶらりんのまま毎日を生きているのが、この内藤ドクオという人間なのだ。


 そして、俺が 『 ドクミ 』 になりたくない、もうひとつの理由はというと──。


 ~ ~ ~


(*゚ー゚) 「ドクオさんっ」

Σ('A`) ハッ


 気がつくと、怪訝な表情の女の子がひとり、斜め下から俺の顔を見上げていた。



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:35:26.35 ID:lpgaWtqf0
 








 前
 http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/yutori7.2ch.net/news4vip/kako/1269/12698/1269877788.html


 纏
 http://kurukurucool.blog85.fc2.com/blog-entry-497.html
 http://boonfestival.web.fc2.com/channelers/list.html



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:38:10.09 ID:lpgaWtqf0
 
(*゚-゚) 「もう、さっきから呼んでるのに……」

('A`;) 「あ、ご、ごめん」

(*゚ー゚) 「ほら。 このまま行くと、電柱にぶつかっちゃいますよ」


 我にかえった途端、都会の喧騒が耳になだれ込み、
 林立する灰色と、その下で佇む自分の存在を実感する。


('A`;) (やべ……完全に自分の世界に入ってた)


 国道沿い、ビルの立ち並ぶ通りの幅広い歩道に俺はいた。
 当然人通りは少なくなく、立ち止まった我々を避けるように群集が流れゆく。
 掴んでいた俺の袖を離すと、しぃちゃんは目をぱちくりさせながら言った。


(*゚-゚) 「最近たまに、ギコ君もそうやってボーッとしているときがあるんですよね」


 曖昧な返事のあと、俺達はふたたび並んで歩きだした。
 ……そうだ。 ファミレスを出たのち、しぃちゃんと一緒に徒歩で駅へ向かってたんだっけ。
 彼女を置き去りにしたまま、ひとり考え事にふけってしまったのは些か失礼だった。



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:40:26.74 ID:lpgaWtqf0
 
(*゚ー゚) 「ひょっとして……」


 そうやって頭を掻く俺の顔を覗き込むように、
 しぃちゃんは、横からひょい、と顔をだし、言った。


(*^ー^) 「好きな人のことでも考えてたんですか?」

('A`) 「  」


 好きな人、か……。
 その単語を聞いて真っ先に頭に浮かんだのは、
 ギターを抱えて楽しそうに歌うハインさんの姿だった。


(*'A`) 「……あー……いや……」

(*゚ー゚) 「あ、図星でした?」

('A`) 「えっ」

(;'A`)ノシ 「いやいやいやいやいや! じゃない! そんなんじゃないから!」


 ……違う。 唐突にそんな話題を振るほうが悪いのだ。



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:43:17.16 ID:lpgaWtqf0
 
 必死で否定する俺の様子を見て、しぃちゃんはくすり、と。
 楽しそうに、その目を細くした。

 妙な物言いだが、やはり彼女もそういう話題に興味津々な年頃の女の子なのだろう。
 どことなく、リア充とリア終という人種的な壁を感じつつも、俺は彼女に反撃を試みた。


(;'A`) 「そ、そういうしぃちゃんこそ」

(*゚ー゚) 「ほえ?」

('A`) 「俺なんかと歩いてて大丈夫なの?
    カレ、カレシに見つかったら、こまぺっ」

(*゚ー゚) 「へ……」


 案の定噛んだが、言いたいことは伝わったらしい。


(;*゚ー゚)ノシ 「わ、わたしそんなのいないもん!」


 しぃちゃんはそう言い、慌てて腕を振る。
 アホ束が腕の動きに合わせ、俺の言葉をぴこぴこと否定した。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:45:44.97 ID:lpgaWtqf0
 
 正直に言うと、俺はこういう会話が大の苦手だった。
 ベタなやり取りだが、流れによってはあざとく感じる。
 これじゃあまるで、俺が彼女に探りを入れてるみたいじゃないか。

 ……いっそ、そのまま彼氏自慢へ話題転換してもらったほうが、
 まだよかったような気さえしてきた。


(;'A`) 「そ、そっか。
     ならいいけ……いや、よくはないのかな……?」


 案の定、会話が続かない。  次に放つ言葉が出てこないのだ。
 やはり軽々しく手を出すべきではなかった。
 トークスキルのない人間にとって、こういった話題を持ち出すことは諸刃の剣だ。
 むしろ恋愛うんぬんの話題自体が俺にとっては鬼門なのだが。


(*゚ー゚) 「ドクオさんこそ、カノジョさんのことを考えてたんじゃないんですか?」

('A`) 「……はい?」


 ところが、彼女はさらに、想定外のそのまた斜め上を行く切り返しを放ったのである。



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:48:14.23 ID:lpgaWtqf0
 
 いやいや。
 果たしてしぃちゃんは、俺の外見と挙動のどこをどう見て、そのような事をのたまうのか。


(;'A`) 「いやね、そんなね、まさか俺に限って……」


 溜息交じりに否定しようとしたところで、前から歩いてきた人がぴたりと立ち止まった。


从 ゚∀从 「あれっ」

('A`) 「えっ」


 ……俺のよく見知った女性であり、
 思いを寄せているといっても過言ではない、その当の相手が。

 
('A`) 「……」

从 ゚∀从 「あ……」

(゚A゚;) 「ほわらぁあああああぁぁあ!?!?」



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:50:29.82 ID:lpgaWtqf0
 
 あまりに突然の展開だった。
 ギターケースを抱え、きょとんと立ちすくむ、パーカー ・ ジーンズの女性。
 唐突に現れたハインさんを前に、俺は金魚のように口をぱくぱくさせることしかできなかった。


从 ゚∀从 「ドクオくん!」

(*゚ー゚) 「あ、あの……?」


 アーケード街へ続く横断歩道前にて。
 目を瞬かせ、俺とハインさんのほうを交互に見上げるしぃちゃん。
 ふたりの間で動転し続ける俺。

 しぃちゃんのほうを左手で示しつつ、ハインさんはにっこり微笑んだ。


从 ^∀从 「うひゃ~、可愛い彼女……」


(゚A゚;) 「違いますっ!!」 (゚ー゚*;)


Σ从;゚∀从 「?」


 ようやく絞り出した大声は、しぃちゃんのそれと綺麗にハモっていた。



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:52:35.76 ID:lpgaWtqf0
 
●第一六話 『 遭遇、遭遇、また遭遇 ── VS. ブーム② 』


('A`;) 「違うんだ、ひゃインさん。 これは、えーと」


 しどろもどろになりながら弁解する。
 ダメだ、ダメすぎる。  これじゃあ本当に言い訳をこねているみたいじゃないか。


从 ゚∀从 「あ、ひょっとして妹さん?」

('A`;) 「じゃ、じゃなくて」

从;゚∀从 「そっか」

('A`;) 「あ、いや、けど言ってみればソノ似たようなエエト……」

(*゚ー゚) 「……ですっ。 ドクオさんはおにいちゃんみたいな人です!」


 あたふたしている俺の横で、しぃちゃんがぴょこりと頭を下げた。


(*゚ー゚) 「はじめまして、猫塚しぃといいます。 『 兄が 』 お世話になってます」



47 :>>44訂正:2010/04/12(月) 22:56:47.49 ID:lpgaWtqf0
 
从 ^∀从 「あ、私高岡ハイン。 よろしく~」

(*^ー^) 「よろしくお願いしますっ」


 無難な、そして円滑なやり取りが目の前で交わされていく。
 ハインさんはギターを抱えなおすと、しぃちゃんに問うた。


从 ゚∀从 「ドクオ君のお友達、なんだよね?」

(*゚ー゚) 「お友達というか、ドクオさんの弟さんと同じ学校で、同学年なんです」

从 ゚∀从 「弟さん……確か、ホライゾン君だったっけ?」

('A`;) 「そ、そうです……だよ」


 突然こちらに振られ、俺は慌てて返答を搾り出す。

 結局のところ、コミュニケーション能力も順応力も、二人のほうが遥かに上なのだ。
 うん、そりゃそうだ。  当然ながら誤解の入る余地なんてありゃしないさ。
 ……よ、よかった、多分。



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 22:59:32.21 ID:lpgaWtqf0
 
 ようやく落ち着いた俺は、ハインさんに聞いた。


('A`) 「あ、もう路上は……」

从 ゚∀从 「うん。 さっきご飯食べて、ちょっと用事を済ませに行こうと思ってたとこ。
       余裕があったら、また夜に演るかもだけど」

('A`;) 「そっか。 朝はその……」

从 ^∀从 「気にしないでよ! わざわざ聴きにきてくれて、嬉しかったよ」

(*゚ー゚) 「……!」


 ハインさんの背負ったギターケース、
 それから俺達の会話内容で、概ねの事情を察知したのだろうか。

 あごに人差し指を添え、しぃちゃんは小さく頷いている。
 「ほうほう」 とでも言いそうな様子で。


从 ゚∀从 「二人はどこ行くの? 時間大丈夫?」

('A`) 「あ、うん……問題ないよ」



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:02:17.03 ID:lpgaWtqf0
 
从 ゚∀从 「ごめんね、妹さんとのデートを邪魔しちゃって」

Σ('A`;) 「だ、だからデー……じゃないってば!」

从 ^∀从 「あはは、相変わらずからかい甲斐があるなあ~」

('A`;) 「ったくもう……」

(*゚ー゚) 「……」


 朗らかに笑うハインさんは、やっぱり今日も快活で、魅力的だ。
 午後の陽気が彼女の笑顔をいっそう温かいものにしている。

 こういう遭遇の形ではあったが、会話の機会にめぐり合えたのは素直に喜ばしいことだった。
 正直なところ、離れたくない、もっともっと話をしていたい、そう考えてしまう。



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:04:12.96 ID:lpgaWtqf0
 
 どことなく解散への流れを感じ、後ろ髪をひかれる思いでいると、
 しぃちゃんがおずおずと我々の間に割って入り、言った。


(*゚ー゚) 「すみません、ハインさんの御用事って何時からですか?」

从 ゚∀从 「へ?」

(*゚ー゚) 「もしよかったら……ちょっとだけ時間ありませんか?」

('A`) 「???」 从 ゚∀从


 ~ ~ ~



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:06:44.73 ID:lpgaWtqf0
 

┏                 ┓
 
  从 ゚∀从 (゚ー゚*)  ('A` )

┗                 ┛


┏                 ┓

  (*'A`)  从^∀从V  (^ヮ^*)

┗                 ┛


┏                 ┓

 从 ゚⊿从⊃<゙益゙>⊂(>ε<*) 

┗                 ┛



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:08:33.35 ID:oUbVVODAO
3枚目wwwwww
ドクオの顔がすごいことになっとるwwwwww


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:09:17.68 ID:lpgaWtqf0
 
(*゚ー゚) 「あ~っ! 間違えちゃった、修正修正……」

从 ゚∀从 「見てみて! この顔ちょっとヤバいよ!」

(;'A`) 「お、おおお……お?」


 ──カーテンを抜けると、そこもやはりユートピアだった。


从 ^∀从 「あははははは! これドクオくん半分切れてるじゃん!」

(*^ー^) 「端に寄りすぎなんですよ~」


 プリントシール機の筐体脇、
 設置されたディスプレイへ向かって、ペンを片手にわいわいはしゃぐ二人。

 俺達は、アーケードを抜けた先、大型デパート近くの通りにあるゲームセンター内にいた。
 夢心地から抜け出せない俺の前で、
 今ほど撮った顔写真に、色とりどりの落書きがなされてゆく。


(;'A`) (おお、おおお……)



60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:09:29.02 ID:3WY4iYwO0
三枚目あれドクオなのかwww


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:11:53.68 ID:lpgaWtqf0
 
 日曜日のゲーセンはそれなりに混雑している。
 俺は近くにあるレースゲームの筐体と、『 こちら側 』、
 つまり、黄色いチェーンで区画された煌びやかなテリトリーにいる自分を見比べ、
 その驚きを噛み締めていた。

 俺にとって、プリントシール機はもちろん、
 カップル及び女性専用である、そのゾーンに侵入すること自体、初めての経験だったからだ。
 これは通常有り得ないことなのだ。


(*゚ー゚) 「はいっ、これはドクオさんの分です。 どうぞ」


 しぃちゃんが差し出したシールには、
 女の子たちのきらきら輝く表情の数々と、
 冴えない男ひとりによる変顔ショーが映し出されていた。


(*'A`) 「あ、ありがとう」

从 ゚∀从 「ほら、このドクオくんかっこよくない? 左から三番目」

('A`) 「え?」



65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:14:47.86 ID:lpgaWtqf0
 
从 ゚∀从っ 「これだよ、これっ」


 そう言って、ハインさんは肩越しに俺のシールを覗き込む。
 不意打ちだった。
 思わず、心臓が大きく跳ね上がった。

 写真を指差すのとは逆側の手で、彼女は俺の右肩を掴み、
 寄りかかるようにして体重をかけてきたからだ。
 ハインさんのアッシュ・グレーの髪が、仄かな香りを漂わせながら俺の首筋を撫でる。


(゚ー゚*) )) 「どれどれ? わあ、本当だ」

(*'A`) 「ひ、ひか、光の加減でそう見えるだけだよ……」

从 ^∀从 「まったまたー、ケンソンしちゃってえ!」


 左側からはしぃちゃんが、俺の持ったシールを覗こうと体を寄せてくる。
 ……なんだ、この状況は。  いったい俺の身に何が起きているというのだ。
 落ち着け俺。 素数を……素数を……どうしたらいいんだっけ。

 二人の女の子に挟まれた俺は圧倒的な至福を噛み締めていた。
 嗚呼。 神よ感謝いたします。
 願わくば、時間よ止まれ。 可及的速やかに止まれ。



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:17:17.24 ID:lpgaWtqf0
 
 右腕に伝わるハインさんのぬくもりに全神経を集中させていた俺だったが、
 そのうち、肩から、ふ、と力が抜けた。


从 ゚∀从 「あっと……そろそろ私、行かなきゃ」


 ……うーん、ずっとこうしていたかったが、残念。
 腕時計から視線をはずすと、ハインさんは傍らのギターケースを担ぎ上げた。
 しぃちゃんが、ハインさんに向かって小さく頭を下げ、言った。


(*゚ー゚) 「あの、お忙しかったんですよね? 無理言っちゃったようでごめんなさい……」

从 ゚∀从 「とーんでもない! 何言ってるの、楽しかったよ!」

(*'A`) 「そ、その、ありがとう、ホントニ」


 なおもしどろもどろの俺に対し、
 ハインさんは 「 あははっ 」 と快活に笑いながら、夢の時間の終わりを告げる。


从 ^∀从 「ううん、こっちこそ!
       もし良かったら、今度は二人で聴きにきてね!」



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:19:49.58 ID:lpgaWtqf0
 
(*'∀`) 「はひ!」


 いつも以上に声が上ずったが、
 俺の心はそんな失敗をものともしない充足感に満たされていた。


从 ^∀从ノシ 「じゃあね、お二人さん、ごゆっくり~」


 ハインさんはそう言って出口に向かうと、振り向きざまに笑顔で手を振り、自動ドアを抜けていった。
 本当は一緒に退店しても良かったのだが、
 足早に去る彼女の様子になんとなく躊躇いを覚え、俺は黙って手を振り返すことしかできなかった。


(;'A`)ノ (うーん……)


 ……それにしても。 ごゆっくり、って……。
 なんだかんだで、やはり彼女は俺達の関係にそういった印象を持っていたのだろうか。
 言葉の端のささいな部分に引っかかりを感じてしまう。


(*゚-゚) 「ごめんねドクオさん……なんか、誤解させちゃったみたいで」


 もっとも、それについては、しぃちゃんのほうも同じことを感じたようだった。



72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:22:17.91 ID:lpgaWtqf0
 
('A`) 「い、いやいや、こちらこそその、ゴメン」

(*゚ー゚) 「そんな……謝らないでくださいよぅ」

('A`) 「そ、そっちこそ」

(*゚ー゚) 「え? あ、本当ですねw」


 しぃちゃんははっとした様子で、それからおかしそうに、くすり、と笑った。

 淡く甘美な夢からの離脱を意識すると、
 途端に、周りのゲーム筐体や人の発する雑音が耳へ入るようになるから不思議だ。
 喧騒の中、出来るだけ折り曲げないよう丁寧に、俺はシールを財布へと仕舞った。


('A`) 「あの、ありがとう、しぃちゃん」 バリバリ

(*゚ー゚) 「えw? 何がですかw?」

(;'A`) 「あ、え? いや、何がってその……」 バリ…


 ああ、この言い方じゃあ、俺がハインさんに抱いている気持ちを悟られてしまうかもじゃないか。
 そして、俺の一瞬の後悔をダメ押しするかのように……。



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:24:56.77 ID:lpgaWtqf0
 
(*゚ー゚) 「ドクオさん、ハインさんの事好きなんでしょう?」

('A`) 「 」 バ…

(゚A゚;) 「ああぁぁぁああ! いやいや、そんな!!」


 決定打を浴びせかけられた。
 ……ほんわかしているようで、意外と鋭いのだ、この娘は。


(*゚ー゚) 「態度でバレバレですよっ! あの人、音楽やってるんですか?」

('A`;) 「そ、そう。 うん」

Σ(*゚о゚) 「あ……ひょっとして、ドクオさんのバンド仲間ですか?」

('A`;) 「ち、違うちがう。 俺は楽譜すら読めないシロートだよ」

(*゚ー゚) 「そっか……」

('A`) 「うん。 昔……っていうほど昔じゃないけど、ちょっとね」


 別に隠すようなこともないし、実際は一言で言い表せるような間柄でしかないのだが、
 なんとなく、思いを寄せる相手との関係をぺらぺら話すことに、羞恥を感じてしまう。



76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:27:14.56 ID:lpgaWtqf0
 
 しぃちゃんも俺の躊躇を察したのか、それ以上は聞こうとしなかった。
 二人の間に沈黙が流れる。

 空気を変えるべく、俺は店内の端に設置されている自動販売機へ向かった。


(;'A`) 「その……何か、飲む?」 バリ

(*゚ー゚) 「え?」

('A`) 「お礼だよ。 しぃちゃんのおかげで、その、宝物ができたし」


 写真シール機のシールなんてものに、記録媒体としての価値はほぼ無いと言っていい。
 きょうび、デジカメにPC・安物のプリンタ一台あれば、
 ちゃちなシールとは比較にならない画質の写真が、御自宅で手軽にプリントアウトできる。

 わざわざ数百円の対価を支払い、無地の背景で安っぽい写真を撮る。
 プリントシール機の価値の本質は、コミュニケーションにあるのだ。

 シールに記録された映像の内容そのものではなく、
 『 一緒に撮った 』 という思い出こそが重要なのであり、
 シール自体はそれを思い起こさせるための媒介にすぎない。
 ……と、俺はそう考えている。



78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:29:33.00 ID:lpgaWtqf0
 
 小銭を取り出すふりをしながら、もう一度財布の中のシールを手に取った。
 笑顔のハインさんは、低画質のシールの映像においても、やはり可愛らしかった。


(*'A`) 「……」


 撮影時のことを反芻する。
 カーテンの中で密着し、腕を掴まれたときの高揚感。
 隣で聞こえた彼女の息づかい……。

 俺の人生に、良い思い出なんて数えるほどしかない。
 断言していい。 今日のこれは、俺の20数年の人生で五指に入る、幸せな体験だった。

 ……というわけで、本当はジュース一本で済ますレベルの感謝ではないのだが、
 あまりおごるおごると言うのは体裁が宜しくないし、なにより、格好悪い気がして。
 俺はニヤケ面を見せないよう、自販機のほうを向いたまま、声でしぃちゃんを促した。


(*゚ー゚)つ 「んー、じゃあ……」

('A`) 「……ん?」


 しぃちゃんはしばらくうなっていたが、そのうち、くい、と俺の袖を引っ張った。
 俺が訝しげに振り向くと、彼女は袖を引き、自販機から離れた場所に誘導する。



80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:32:22.38 ID:lpgaWtqf0
 
((( ( 'A`)っ 「?」

(*^ー^)σ「これがいいです」


 そう言って彼女が指差した先には、ぬいぐるみの詰まったクレーンゲームの筐体。


('A`) 「な……んだと……」

(*^ー^) 「……へへえ♪」


 しぃちゃんは袖から手を離すと、そのまま後ろに両腕を組み、いたずらな笑みを浮かべた。


(*゚ー゚) 「一発で取ってください!」


 ……その上、斯様な無茶を述べる始末である。


(;'A`) 「ちょっ……ど、どれ?」

(*゚ー゚) 「あれです、あの、クマの」


 そう言って、『 しまむらくん 』 と 『 ぽ 』 の間にある、小さなクマーぬいぐるみを指差す。



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:34:38.93 ID:lpgaWtqf0
 
(*^ー^)o゙ 「がんばって!」


 頑張るの意味がよくわからないが、ともかく、まあ。
 俺は取り出していた100円玉をそのまま筐体に投入すると、
 台前面のパネルにあるボタンに手をかけた。


(;'A`) 「よっ、ほっ」 フインフインフイン

(*゚ー゚) 「あ、ほら、もうちょっと横ですー」

(;'A`) 「お? おおお???」 ガチャガチャ

Σ(;*゚ー゚) 「ああっ、そっちじゃないですよ」


 クレーンはうぃんうぃん言いながら、
 ツナギを着たいい男のキャラクター、 『 あべもっこり 』 のほうに下りてゆく。



84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:35:56.57 ID:oUbVVODAO
あべもっこりwwwwwwwwwwww


85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:37:36.17 ID:lpgaWtqf0
 
(;'A`) 「ああ……惜しい」


 すごく大きい部分がひっかかったが、
 結局アームがはずれ、ぬいぐるみは元の場所に落下した。


(;'A`) 「ご、ごめん。 取れなかった」

(;*゚ー゚) 「いえ……よかったです、ある意味」


 しぃちゃんはそう言い、ホッと胸を撫で下ろした。
 ううむ。 やはり無理だ。 不器用な俺がそう簡単にぬいぐるみゲット出来るわけがない。
 それもたったの一回こっきりでなんて。


(*゚ー゚) 「すみません、無理言っちゃって。 ありがとうでした」

('A`) 「いやいや……」


 俺は未練がましくガラスの奥を眺めた。
 クマーはつぶらな瞳でこちらを見つめている。
 そうか、彼女はこういうキャラクターが好きなのかな。



86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:37:44.09 ID:3WY4iYwO0
ウホッ


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:38:30.77 ID:oUbVVODAO
すごく…残念です…


88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:40:16.95 ID:lpgaWtqf0
 
 ちょっぴり悔しい気持ちもあるが、仕方ない。
 俺はクレーンゲームから離れるべく、しぃちゃんのほうへと向き直った。

 と同時に、隣のクレーン筐体から、ごと、という音が聞こえた。


(*’e’) 「すげえ! また取れたよ! また!」

(* ・3・) 「ククク……。 拙者にかかればこんなもの、赤子の手をツイストだYO」


 見ると、大き目の取り出し口から、直方体のパッケージを取り出す学生らしき男二人。
 そちらのガラス筐体の中には、日本刀を持った着物の女キャラクターや、
 シールつきの棺桶を構えるミニスカ巫女のフィギュアなどが陳列されていた。


(’e’) 「いや~大量大量。 お前のクレーン捌きは神レベルだわ」

( ・3・) 「何を言うんDA。 こんなの全然大したことないYO」

(*’e’) 「これでドス女ver. ・ 銀獣ver.ともにコンプ……」 フヒヒ

(* ・3・) 「最近はプライズの造形も侮れないでござるNA~」 ムフフ


 二人は肩を揺らして笑う。
 男の片割れは、既にいくつものフィギュアを抱え、手持ちのバッグに収めようとしている。



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:42:56.78 ID:lpgaWtqf0
 
(’e’) 「じゃあ、次はぬいぐるみでもゲットしに行くか?」

( ・3・) 「ぬいぐるみ? んな小さなエモノ、目を瞑っていても楽勝だZE」


 二人組はそこで言葉を切ると、俺達のほうへちらりと視線を送った。


(’e’ ) 彡 チラッ

(・3・ ) 彡 チラッ


('A`)

(*゚ー゚) 「?」


 一瞬だけ目が合う。
 互いの容姿にどことなく同族の空気を感じた……のも、つかの間。
 二人の視線は、手ぶらのままポケットへ収めようとしている、俺の財布へと注がれる。



93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:44:35.62 ID:lpgaWtqf0
 

(’e’ ) 「……」

(・3・ ) 「……」

('A`)



(* ’e’) フッ

(* ・3・) ニヤリ



('A`)



95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:46:15.20 ID:lpgaWtqf0
 
('A`) 「……」

(゚A゚) 「うおおおおおお!!!」 バリバリバリバリ

Σ(;*゚ー゚) 「へ!?」


 俺は再び財布を開くと、中の小銭を勢いよくひっつかんだ。


(゚A゚) 「はいやあああああああ」 チャリン

(;*゚ー゚)ノ 「あ……え……」

(;’e’) (おい、やっこさんやる気だぞ!) ボソボソ

(; ・3・) (くっ、どうもそのようだNA) ボソボソ

(;’e’) (リア充に舐められたまま、おめおめと逃げ出していいのか!?) ボソボソ

(; ・3・) (せ、拙者が逃げを打つなどTO……) チラッ


 今一度交わした視線には、見えない火花が散っていた。



97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:48:29.80 ID:lpgaWtqf0
 
(゚A゚) 「ああああああああああ!!」 チャリン ウィーン チャリン ウィーン チャリン

(#’e’) 「行け! 帝国の本気を見せてやれ!!」 チャリンチャリンチャリン

(# ・3・) 「言われずともそのつもりだZE!!」 ウィーンウィーン


(#゚A゚) 「ううおおおおおおおお!!」 チャリン ウィーン チャリン ウィーン チャリン

(#’e’) (# ・3・) 「るううううううあああああああああ!!」  チャリンチャリンチャリンウィーンチャリンチャリン


(;*゚ー゚)ノ 「あ、あのぅ……」


 ── 聖戦勃発。


 ~ ~ ~



101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:51:05.51 ID:lpgaWtqf0
 
::i||! orz i||!:::   
        (( (’e’)  ((( (* ・3・)□
        (( (っ□  (( (つ□□□ 


 十数分後。
 己のプライドを賭けた戦いは、ヒデヨ三人の犠牲とともに幕を閉じた。


(;'A`) 「す、すまないしぃちゃん……一個も取れなかった……」

(;*゚ー゚) 「もうっ、負けず嫌いなんだから」


 肩を落とす俺の前で、しぃちゃんは溜め息混じりにそう呟く。
 違うんだ……ちょっと肩に力が入りすぎていただけなんだ。 きっとそうに違いないんだ。

 そうやって心の中で弁解していた時、
 脇を通り過ぎようとした金髪の男が、俺達の隣でぴたりと立ち止まった。


(,,゚Д゚) 「ん」

(*゚ー゚) 「えっ」



102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:51:51.27 ID:oUbVVODAO
ですよねーwwwwww


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:53:24.72 ID:lpgaWtqf0
 
(,,;゚Д゚)σ 「あ、あぁーっ!?」

(*゚□゚) 「ぎ、ギコ君!?」


 出くわした兄妹は、素っ頓狂な声を上げてお互いを指差し合う。
 あれ、確か今日は、友達と遊びに行くのだと聞いたような気がするが……。

 しぃちゃんと俺のほうを交互に見やるギコに対し、
 俺は、出来る限り平静を装いつつ、気軽な挨拶を試みた。


(;'A`)ノ 「や、やあ……」

(,,;゚Д゚) 「やあじゃねーよ! ドクオさん、なんでこんなトコに居るのさ!?」


 ……まあ、それが普通の反応だろう、うん。
 そんな俺達の横で、しぃちゃんはしきりに辺りをきょろきょろ見回している。


(゚ー゚*;)彡 「あの……ひょっとして、斉藤くんも?」

(,,゚Д゚) 「いや、あいつとは2時に駅で待ち合わせだから」

(*゚ー゚) 「そっかぁ、よかっ……って、駅?」



105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:55:53.44 ID:lpgaWtqf0
 
(,,゚Д゚) 「伝えたじゃねーか。 肝試し行くんだって」

('A`) (……肝試し?)


 二人の会話から聞き覚えのある単語が耳に入る。
 肝試しって……もしかして、そのメンバーにはブーンも加わっているのか?


(;*゚ー゚) 「ほえ? ……その洋館って、どこ?」

(,,゚Д゚) 「ラウンジだよ」


 「ええええっ」 と、調子はずれの声が辺りに響いた。
 なにかしら、彼女にとっても想定外の事象がギコの返答に含まれていたらしい。

 その後の話の流れで、ギコがブーンを交えた友人数名で、
 隣の市の 『 幽霊屋敷 』 へ遊びに行こうとしているのだと知った。
 若いっていいよな……などと無意味に年齢差を噛み締めつつ、俺は彼に問いかける。


(;'A`) 「あれ? んじゃあ、ブーンの奴もここにいるっての?」

(,,゚Д゚) 「ん。 ああ、さっきまで一緒に格ゲーで対戦してたんだけどさ……」



107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/12(月) 23:58:20.73 ID:lpgaWtqf0
 
 そう言うとギコは周囲を見回し、


(,,゚Д゚)σ 「ああ、いたいた。 ほら」


 少し歩いたところで、音楽ゲームの大型筐体が並ぶ一角を指で示した。


( ^ω^)


「おい……あれ “ 和尚 ” じゃないか?」

「まさか。 奴は所詮 “ 檀家 ” レベルに過ぎん……!」


 見ると、座布団のついた台座の上で正座し、
 花輪に囲まれたモニターを見つめる、肉付きのよい男子がひとり。



109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:00:30.03 ID:lpgaWtqf0
 
「いや……! 待て。 あれはひょっとして “ 免許皆伝コース ” ……?」

「なっ!? ……そ、そんなはずは……!?」

 
( ^ω^) 「……」


( ゚ω゚) カッ


 数名のギャラリーが取り込む中、
 格調高い毛筆の書体で 『 木魚マニアックス 』 と書かれた筐体において、
 そのプレイが、ハードに、かつおごそかに開始された。



110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:02:14.64 ID:e72HrhYQO
木魚wwwwwwwww


111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:02:57.53 ID:t1acJ6qz0
 
         ♪           ♪
(# ゚ω゚) ポポクポクポク! ポポクポクポク!

        ♪  ♪   ♪  ♪   ♪   ♪
(;; ゚ω゚) ポクポポ!クポポク!ポクッポ!ポポポン!


 ダンサブルにアレンジされた般若心経のメロディーに合わせ、
 髪を振り乱し、ほとばしる汗とともに、幾つも配置された木魚をばちで奏でる男。


(;;^ω^)σ∩゙ チーン


 曲の締めに、鉢形のおりんが優艶な音色を響かせた。


゜+.( ‘ω‘)゜+.゜   【  住職 Level AAA (SONSHI)  】


「おお……!」 ざわ・・・

「や、やべえ……!」 ざわ・・・

「なんだあのスコア……!」 ざわ・・・

「 “ 尊師 ” きた……! “ 尊師レベル ” きたよこれ……!」 ざわ・・・



112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:04:24.96 ID:5eBJHN73O
しぇーん


113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:05:03.03 ID:dv4cIuvuO
こち亀にそんなのあったなwww


114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:05:07.63 ID:e72HrhYQO
SwwOwwNwwwSwwwIwwwwwwwww


115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:05:54.29 ID:nLtTOcpq0
そwwwんwwwwしwwww


116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:06:21.51 ID:t1acJ6qz0
 
(;'A`) 「……」 (;*゚ー゚)

(,,;゚Д゚) 「……キメェ……」


 プレイ終了と同時に、ギャラリーから謎の歓声が上がる。
 その中心、『 いい仕事をした 』 とばかり、満足げな様子でモニターを見つめる一人の男。

 呆気に取られる俺達の前で、彼はしたたる汗を輝かせながら振り返った。


(;;^ω^;)彡 「おふ、おうふ……」 クルッ


(;*゚ー゚) (|||'A`)


(;;゚ω゚;;)そ 「お!? に、ニーチャン!?  なぜここにいるお!???」


 しぃちゃんの腕をぐい、と引き、俺はそのまま早足でゲーセンを後にした。


 ~ ~ ~



117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:07:22.50 ID:e72HrhYQO
ブーンキメェwwwwwwwww


118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:09:17.06 ID:t1acJ6qz0
 
(;'A`) 「え? やめる? なんで?」


 彼女の一言を聞いた途端、俺の口から頓狂な声が漏れる。
 俺は道端で立ち止まると、傍らのしぃちゃんに疑問の視線を投げかけた。


(;*゚-゚) 「ごめんなさい、本当に……すみません」


 しぃちゃんはそう言って深く頭を垂れる。
 街路樹の立ち並ぶこの通りは、昼前に比べて明らかに人の往来が激しくなっていた。

 彼女によると、我々がこれから向かおうとしている場所はラウンジにあるのだという。
 まあ確かに、このまま行くとVIP駅もしくはラウンジで、
 もう一度ギコ達に鉢合わせする可能性もある。
 当然、次に遭遇となると、彼女が苦手とするギコの友人も一緒なのだろう。


(;'A`) 「うーん、わかったよ。 じゃあまた今度ってことで」


 しぃちゃんがそうも嫌がる相手……ほんの少し興味も湧いたが、
 何にせよ、俺にはそう答える他なかった。



121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:11:54.85 ID:t1acJ6qz0
 
(*´-`) 「あの、その……すみませんでした」

('A`) 「いや、別にそれは気にしなくていいけどさ……。
    どうしよっか、これから」

(*゚ー゚) 「あ、あう……」


 つまり、今この時点で
 “ 先生のところへ行く ” という我々の第一目的はキャンセルされたことになる。

 しぃちゃんは大きな目をさらに大きくして、せわしなく視線をめぐらせている。
 彼女のまごついた様子に、俺のほうも二の句が継げなくなった。
 このまま帰宅の流れになるのであれば、途中まで送らなければならない……かな。


(*゚ー゚) 「ドクオさん、まだ時間ありますよね……?」

(;'A`) 「あ、うん」


 最初に言ったけど、今日はもともと休みだからね。
 そう付け加えると、しぃちゃんはぱっと顔を上げ、提案した。


(*゚ー゚) 「それじゃあ、今からショッピングなんてどうですか?
     服、見に行きましょう!」



123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:14:15.01 ID:t1acJ6qz0
 
('A`) 「服って……」


 俺はぽりぽり頬を掻いた。
 しぃちゃんの服装がなんとなく可愛いということはわかるが、
 女の子の、それも彼女たちのような年代におけるファッションがどのようなものなのか、
 俺にはさっぱりわからないし、アドバイスなんてとてもしてやれそうにない。


('A`) 「構わないけど、俺なんかが……いいの?」

(*゚ー゚) 「何を言ってるんですか? ドクオさんじゃないとダメですよっ」

('A`) 「へ?」


 その言葉の意味は、実際はほんの少し考えればわかる程度のものだったが。
 “ 俺じゃないとダメ ” というフレーズの新鮮さと、
 歩き出す彼女のタイミングがあまりにも唐突だったもので……。

 ちょっとした勘違いに、どきまぎした気持ちのまま、俺は目の前の女の子を追った。


 ~ ~ ~



125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:16:51.57 ID:t1acJ6qz0
 
 クオリティデパートは、駅から十分ほど歩いた道沿いの、
 オフィス・ビル街の入り口にある百貨店である。

 店内は多くのテナントで構成されており、デパートという名を冠してはいるが、
 実質はほぼショッピングモールに近い形態で、
 安い価格帯のカジュアルな服飾専門店が幾つも並んでいた。

 メンズ衣料品をメインに扱う、4階のフロアに我々はいた。


(;'A`) (お、俺の服を見繕ってくれるってことね……)


 この店で既に三軒目。
 とあるショップのとある一角において、
 俺は陳列用のハンガーラックに並ぶジャケットを手に取ったり戻したりしていた。

 そんな俺の隣にいたしぃちゃんが、にこにこ顔で一枚のTシャツを広げ、聞いた。


(*^ー^) 「これなんてどうですか? たぶん似合いますよ」

('A`) 「ああ……ええと……うん」



127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:19:30.76 ID:t1acJ6qz0
 
(*゚ー゚) 「あ、それともこっちがいいかな? ドクオさん細身だからなあ」


 彼女は先に寄った下の階で、チェック柄のスカートを一枚購入していた。
 秋物と銘打ってはいたが、どちらかといえば華やかな印象を受けるプリーツ・スカートだ。

 しぃちゃんの纏うほんわかした雰囲気と、大人しめな今日の服装からして、
 少しだけ意外な感じを受けたことは内緒にしておく。
 試着した姿を見せてくれなかったので、
 彼女のそれを着ている姿が、どうにも想像できない、というのが本音だ。

 もとよりファッションに疎い喪男が、女性の服選びに同行させられたところで、
 「うん、いいんじゃない?」 「いいと思うよ」 と曖昧に肯定し、
 相手の購買意欲を微妙に後押ししてやる以外に役割などないのだ。

 そして、それすらさせてもらえなかった俺の存在って何なのだろう。


(;'A`) 「合わせ方とか、それ以前に何がいいとかも、よくわからなくて。
     その……」

(*゚ー゚) 「今持ってるジャケットとなら、色合い的にも大丈夫だと思いますー」

('A`) 「あ、ああ……これね」


 あまり買う気もなく、適当に眺めていただけなのだが。



129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:22:40.91 ID:t1acJ6qz0
 
(*^ー^) 「ハインさんも、きっとドクオさんの事を見直しますよ」

('A`) 「えっ」


 しぃちゃんはそうやって不意打ちのジャブを浴びせてきた。
 ……普段の彼女は癒し系かとばかり思っていたが、
 実は考えていた以上にしたたかな部分を秘めているのではないだろうか。


(*゚ー゚)o゙ 「ドクオさん、わたし、応援してます。
      ハインさんに想いが伝わるといいですね」

(*'A`) 「あ、うん……ありがとう」


 まあ、それでもやはりしぃちゃんは……いい娘、だな。
 俺は率直にそう感じていた。

 俺は決して女性に好かれるほうではないし、どちらかと言えば初対面でキモがられ、
 日々の付き合いでどんどん避けられるように……とまあ、そういうタイプだ。
 そうやって、女性どころか人付き合いそのものから縁遠い人生を歩んできた。
 ──大学を中退したのだってそのせいだ。



131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:25:16.32 ID:t1acJ6qz0
 
 そんな童貞魔法使い予備軍男にも、掛け値なく、分け隔てなく接してくれる女の子。
 ハインさんという存在を知る以前の俺なら、きっと驚愕していたことだろう。
 年齢差など考えることなく、……まあその、惚れちゃったりなんだりしていたかもしれない。


(*^ー^) 「試着室、あっちですよ。 ほら」


 はじめの夜、ブーンが呼び出しのメールをもらってあれだけ浮かれてたのは、
 しぃちゃんのこういう人物像をあらかじめ知っていたからだろうか。
 だとすればあいつも見る目がある。  同時に、ドンマイ。

 ……いや、弟よ。 駄目元で再チャレンジする価値はあると思うぞ。 俺が保証する。
 帰ったらブーンにそう告げてやろうかな。

 そんな事を考えつつ、ジャケットを抱えて移動しようとした、その時のことだった。


「ンだコラぁ!! ああ!?」

(;'A`) 「?」


 エレベーター近くの通路から、けたたましい怒鳴り声が響いてきたのは。



133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:27:55.11 ID:t1acJ6qz0
 
「ですからね、ちょっとだけ見せていただければわかることで……」

| ^o^ | 「うるせえ! 違うっつってんだろうが!!」


 我々がいる店のすぐ外で、何やらトラブルが発生しているようだった。

 問答しているのは、スーツ姿で厳つい形相の男性、40代くらいのおばさん、
 それから灰色のトレーナー上下を着た大男という、謎の組み合わせだ。
 大男は帽子の鍔を思い切り下げ、付きまとう男女を恫喝している。


(*゚ー゚) 「な、なんでしょう……?」

(;'A`) 「……万引きじゃないかな?
     いわゆる私服警備員だと思うよ、うん」


 聞こえてくる内容からして、なんとなくそう感じた。


(*゚ー゚) 「万引きGメン……っていうやつですか?
     それって、店内で声かけすることってあるんですかね?」

('A`) 「………さあ~?」



135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:30:21.96 ID:t1acJ6qz0
 
(*゚-゚) 「む~? 信用ならないなぁ」

('A`) 「信用? あれ?
    “ 責任をもって、先生のところまでエスコートしますから!”
    ……って言ってたのは、どこの誰で……」

(;*゚ー゚)ノシ 「わあ、それは言いっこなしですよぅ」


 などとのん気なやり取りを交わしていた我々だったが、そんな平穏も束の間だった。
 次の瞬間、店の外から、がしゃんという音が聞こえてきたかと思うと、


「きゃぁあああ!!!」

Σ(;'A`) 「!?」


 店内BGMを消し去るがごとく、甲高い悲鳴が辺りに轟いたからだ。



137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:32:46.91 ID:t1acJ6qz0
 

         / ̄\
         | ^o^ |
         \_/
         /   ヽ   
        | |   | |
        | |   | |     
        ||   ||
        し|  i |J=二フ
          .|  ||    :
         | ノ ノ     :
         .| .| (     
         / |\.\   :
         し'   ̄


     _
       |  / ̄\
        ̄|    |
     _| ̄ \_/        ※AAはイメージです




138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:35:05.99 ID:e72HrhYQO
シリアスなのに吹くwwwwww



139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:36:25.48 ID:t1acJ6qz0
 
Σ(;*゚-゚)

Σ(;゚A゚) 「なっ……!?」


 入り口にある陳列棚の向こうで、惨劇は繰り広げられていた。

 テナントを取り囲む壁にもたれ、うずくまって呻きを上げるスーツの男性。
 それだけ見た限りでは、起こっている事態への理解が及ばなかったが──、
 息を荒げた大男の手には、赤い液体の滴る刃が握られていた。

 俺の顔から血の気がひいていくのがわかる。
 しぃちゃんの顔も、やはり青ざめていた。


| ^o^ | 「……何見てンだコラぁぁああ!!」


 辺りにいた買い物客が、蜘蛛の子を散らすように逃げてゆく。
 流石に買い物どころではない。
 適当な棚に商品を戻すと、俺達もすぐさま店から飛び出した。



141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:39:20.03 ID:t1acJ6qz0
 
「110番! 何やってる、早く警察だ!」

「刺された! 人が! 刺されたぁ!」


 辺りの店から一斉に人々が顔を出す。
 騒乱の原因に気づいて悲鳴を上げる者、逃げ出す者、
 そして、遠巻きにその様子を見守る数名の客・店員たち。


| ^o^ | 「くそがぁぁあああ!!」


 が、大男がナイフを振り上げて走り出したことで、騒動は一気に加速した。
 辺りを包む悲鳴。 混乱。 紛糾。

 その隙に、刺された男性のもとへショップの店員らしき女性が駆け寄るのが見えた。
 だが、男がすさまじい形相でUターンしてきたため、
 ヒステリックな悲鳴を上げると、男性を置いて逃げていった。


Σ(;'A`) ハッ


 と、俺もこんな悠長なことをしている場合ではない。
 エレベーターは我々がいた店の近く、つまり大男の後方にある。
 しぃちゃんの手首を掴むと、俺はエスカレーターのある逆側へ走り出した。



143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:43:22.07 ID:t1acJ6qz0
 
 騒ぎを聞き、制服を着た警備員が数名駆けつけてくる。
 だが、彼らとすれ違ってから数秒も経たないうちに、
 轟音と振動がフロアを揺らし、後方から幾つもの悲鳴が発せられた。


ミ(;'A`) 「え……?」

Σ(;゚A゚) 「なっ……!?」


 ──非日常は、俺のすぐ隣に大口を開けていた。

 振り返った俺は、目に映る光景のあまりの理不尽さに、
 何が起こっているのか、即座に理解ができなかった。


|  ^o^ | 『 ─── 』


 大男が、雄叫びを──、
 いや、金切り声のような、奇怪な声を上げながらフロアを走り回っている。
 そして彼が手で触れるたびに、
 フロアに設置されている物体が、次々と吹き飛ばされているのだ。

 巨大なショーケースが、ディスプレイ用の陳列台が、商品棚が。 マネキンが。
 仕舞いには、エレベータ脇に設置されていたベンチまでも。



145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:47:02.29 ID:t1acJ6qz0
 
 そこにある何もかもが、大きさも重さも、商品が積まれているか否かも関係なしに、
 男の押し出す動きに合わせ、前方へ吹き飛んでゆく。

 ──いや、違う。 投擲しているのではない。
 大男が物体に触れると同時に、
 まるでスケートリンクにいるかの如く、その物がつるつると床を滑走していくのだ。
 当然ながら、それらの設備の殆どには、キャスターなどがついている様子はない。


「あがっ」

「ぐあっ」

「ぎゃあああ……」


 残っていた客と警備員が、見る間に惨事へ吸い込まれていく。
 ある者は陳列棚が激突し、ある者はテナントの壁に挟まれ、
 またある者は雑貨の雪崩に巻き込まれて……。


(;゚A゚) 「あ、あ、なっ……!?」


 滅茶苦茶に散乱する商品と店舗用設備、負傷者の悲痛な呻き。
 フロアはたちどころに阿鼻叫喚、狂騒の坩堝と化した。



147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:49:54.05 ID:t1acJ6qz0
 
「ご来店のお客様へ、き、緊急のお知らせを申し上げます。
 当館4階フロアにおきまして、刃物を持った男が暴れているとの情報がありました。
 危険ですので、従業員の指示に従い、速やかに避難してください。
 繰り返します……」


 ──館内に響いたアナウンスに、一瞬、気を取られたのが命取りだった。


Σ(i||゚A゚) 「うわぁぁあぁああっ!?」


 気づいたときには、もう、遅い。

 スーツのディスプレイ用で、
 かつ、フロアでも特段巨大なそれ……。

 猛スピードで滑走する直方体のガラスケースが、
 既に、俺のすぐ眼前に迫っていたのだった。



 (続く)

 


148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:51:03.91 ID:e72HrhYQO
乙です!!


149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 00:51:07.27 ID:V8K5Mam1O
乙ー





164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 01:05:18.02 ID:t1acJ6qz0
 
゜+.( ‘ω‘)゜+.゜ < 支援ありがとね!  寝ろ!!



165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 01:05:50.17 ID:e72HrhYQO
改めて乙!!


166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 01:06:17.61 ID:tDBLFkff0
乙w


167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 01:08:28.60 ID:V8K5Mam1O
今度こそ乙!


168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/13(火) 01:10:44.62 ID:Y1hKjh8FO
乙!




前の話/インデックスページ/次の話

■この記事へのコメント

    ■コメントの投稿

    管理者にだけ表示を許可する

     

    検索フォーム

    お知らせ

    管理人へメール

    トップバナー画像をうざったい感じにしてみました。

    カレンダー

    06 | 2017/07 | 08
    - - - - - - 1
    2 3 4 5 6 7 8
    9 10 11 12 13 14 15
    16 17 18 19 20 21 22
    23 24 25 26 27 28 29
    30 31 - - - - -

    Team 2ch @ BOINC

    待ち続けている人がいる。
    だから僕らは回し続ける。
    ~まだ見ぬ誰かの笑顔のために~

    banner-88.gif
    CPUの時間
    ちょっとだけ
    貸してください
    (BOINC Team 2ch Wiki)

    ブーン系“短編”小説更新状況

      プロフィール

      kuru

      Author:kuru
      特に何も無いよ。

      カウンター

      トータルアクセス:
      ユニークアクセス:
      閲覧者数:



      クリックで救える命がある。
      上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。