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◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋GU~のようです 十三日目 暁

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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 19:50:18.48 ID:aNle1FRK0


どこかの世界の、いつかの時間。
道行く誰もが振り返るような壮麗な美貌を持つ傾国、ある少女がいました。
彼女はよく分からない機械で作られ、つまりは普通ではない人工的な方法で生をうけて、以来ずっと――独りでした。

…彼女は生まれついての『最強』で。
誰も並び立つことのできない、純粋で、十全で、完璧な、ただの“出来損ない”。
独走独歩。戦いを愛し戦いから愛された一人の少女。


――これはその少女のお話。
どこにでもある悲劇的な出来事も、ありふれた喜劇的な一幕も、一山いくら十把一絡げの歌劇的な日々も。
結局、同じことです。


|゚ノ*^∀^)「もしもし○○?今すぐ来て!!」~助け屋グロウアップ~の、外伝のようです



十三日目 暁
『ヨリミチチュウ ――無邪気な最強―― 』





2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 19:53:25.75 ID:aNle1FRK0
――どこかの世界のいつかの時間。
言ってしまうと、「助け屋」なんかのボロアパートとは比べ物にならない高級マンションの六階。
その最上階。フロア丸ごと占拠している少女がいたりいなかったり。


|゚ノ; ∀)「はぁ……っぅ……」


レモナ=アルテミス=エルシール。
もっとも、これは戸籍上の名前なのだが。彼女は名前に興味を持たれるような環境で生きてきてはいないのだ。
今日も、ちょっとした殺し合いの後である。

彼女の名誉の為に(まあ彼女はそんなものどうでも良いのだろうが)言っておくと、別に殺すつもりはない。
行いたいのは競り合いであり、正々堂々な決闘。
それが――結果的に、相手の死に繋がっているだけで。レモナに悪意など存在しない。



この日は珍しく、踊ったお相手も無事だった。神話の英雄というのは本当らしい。
向こう側がこれからどうなるのかは分からないが……そんなこと、彼女は知ったこっちゃない。

悪意はない。
しかし、好意だって興味だって同じだけないのだった。



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 19:56:25.75 ID:aNle1FRK0


――さて。
今現在彼女は、年不相応に艶かしい肉体を存分に曝して、つまり全裸で、普段は使われてない小さな部屋に横たわっているのだが。
それを覗く者がいたりいなかったり。


('(-∀-∩「…………」

( -∀・)「……変態だ」

('(゚∀゚∩「男として当然なんだよ」

N| "゚'` {"゚`lリ「妻帯者としては当然でないと思うが」

('(゚∀゚;∩「うっ……いづなとは、もうそんなんじゃないんだよ。プラトニックな関係で――」

( -∀・)「キスしてたのにね」

N| "゚'` {"゚`lリ「ここぞとばかりに格好つけてな」

('(゚∀゚;∩「――うるさいっ!!」



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 19:59:22.63 ID:aNle1FRK0
( -∀・)「……まぁ、いいけどさ。覗くくらいは」

言って、青年は――かつて「朝比奈もらの」と呼ばれていた彼は、スライド式の扉を開け、中に入る。
そして些か面倒そうに腰を下ろした。


レモナの隣に、である。

( -∀・)「じゃあ、始めるし」

|゚ノ* ∀)「……ん、くぁ――っ」

俯けになった身体。白く透き通るような肌。
背中、肩甲骨の辺りからじっくりと焦らすように――愛撫していく。
少女の方はだんだんと息遣いが荒くなっていくが、やっている方である彼は涼しげな顔だ。

マッサージを交えながら、全身を触診。
一通りの後。

( -∀・)「うん。今日はちゃんと再生してる」

|゚ノ* ∀)「……良かった」



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:02:21.13 ID:aNle1FRK0
――「不死性」というものがある。
簡単に言えば、“死なない”という形容詞のレベルだ。

たとえば、吸血鬼。数多くの怪異の中でも頂点と言われる彼等は、――死なない。滅多に死なない。
無様にも弱点をつかれたりしない限りは、あらうる傷を瞬時に再生することができる。
彼等にとっては身体の組織はさして重要ではなく、むしろ循環する血液が生命……というより“存在の維持”に関わると伝わっている。


……で。
レモナも“死なない”類の存在だが、それは吸血鬼のそれとは異なるのだ。

( -∀・)「だいぶ上手く治せるようになったね。えらいえらい」

|゚ノ*^∀^)「えへへ」

再生能力ではなく、構築能力。
先の戦いで吹き飛ばされた腕は――単に“ゼロから作り直しただけ”なのである。

自己修復機能を持つ存在は一々考えない。自動的に再生してしまうからだ。
…が、彼女は違う。どの機関がどんなの細胞でどういう風に作られているか。それらを把握し、作り直さなければならない。
まぁ大まかな流れは青年より、――『正体不明』より、半ば無意識下に教え込まれているのだが。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:05:22.50 ID:aNle1FRK0
――そしてもし、何かのミスをした場合。
こうなる。

( -∀・)「………でも、肩の接合部が若干おかしいかな。え、なにこれ。骨の形が違うよね?」

|゚ノ; ∀) ギク

( -∀・)「――“やり直すか”」

一言呟くと、頭を撫でていた右手を離す。宙を漂う手の平が行き着いたのは――鋸だった。
鋸――木材・石材・金属等を切るのに用いる薄い鋼板の縁に多く歯を作った工具。ホームセンターで販売されている。
当然、人の腕くらいなら、普通に切れる。

|゚ノ;^∀^)「待って!ちょっと待って!!」

( -∀・)「待たない。はい、じゃあ切り落としまー――」

|゚ノ;^∀^)「ヤダっ!!ヤダヤダヤダーーー!!!」

( -∀・)「脱臼とか、ちゃんと直さないと後まで残るんだよ? 変なまま放っておいたら取り返しのつかない……まぁ、その時はまた千切るか」

…えらく不穏な言葉を呟きながら、床に備え付けられた金具に少女の身体を固定していく。
防音の角部屋。通称「拷問室」。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:08:21.41 ID:aNle1FRK0
|゚ノ;^∀^)「痛いのやだ!!痛覚きってっ!!」

( -∀・)「大丈夫。気絶できない程度に痛いだけだから」

――それはむしろ駄目なんじゃないか?……とは言えなかった。
不自然な形に再構築された間接を力任せに外され、抗議の声がただの悲鳴に変わったからである。

|゚ノ ;∀;)「やだよぉ……痛いの、やだぁ……」

( -∀・)「じゃ、今度からはちゃんと直せ」

引き締まった肩に銀の刃が添えられる。泣き出したレモナを特に気にすることなく自然に前後に動かされる。
その嗚咽までどうしようもなく陶然で官能的だった。
じゅぶり、じゅぶりと鋸は肌を突き抜け、筋繊維を引き裂いていく。辺りの景色を反射する紅い円が広がっていく。

( -∀・)「ごめんねー。斧とかで、スパッとやってあげればよかったんだけど。微調整がきかないし」

切断面がズレたのか、あるいは意図してか、肉片が飛び出た。血の池に落ちた欠片は奇妙に魅力的で、少女虐待の現行犯はそれを細く長い指先で掬う。
そして、同じくらい紅い舌先に乗せる。丁寧に転がし、咀嚼し、飲み込む。
肉の味を堪能し引き裂いたように笑うさまは冴え冴えと美しかった。もはや身動き一つしない少女もまた同じくだ。


……凄惨な恐ろしい場面だった。
何より、この目を背けたくなる光景が割と日常的なのだから恐ろしい。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:11:21.57 ID:aNle1FRK0
……………


|゚ノ う∀)「うぅ……お兄ちゃん、最低……」

――身を切り裂くような冷たい風が吹き抜ける、十二月某日。
季節定例イベント的には、“独り身”の身をピンポイントで切り裂く……つまりはクリスマスが近づいて街が浮かれ始めた頃。
思わず、父か救世主。そのどちらかが誤植でもしたんじゃないかと錯覚してしまうような美少女が、てくてくと歩いていた。

|゚ノ う∀)「絶対女の子泣かせだったし……」

包帯の巻かれた傷跡、もとい治療痕をコートの上から押さえながらの呟き。
「女の子泣かせ」な彼が意図して女の子を泣かせるのは、実はかなり頑張った結果だったりする。
情緒不安定で元々ヘタレなのだ。とても、近しい存在しか知らない事実。


|゚ノ ^∀^)「…思わず家飛び出してきちゃったけど……行くトコないなぁ……」

くっつけた腕がジクジク痛むわ、かと言って帰るのは癪だわ。
踏んだり蹴ったりだ。

…まぁ。
どちらも、そもそもはレモナが悪いわけだが。
普通の人間なら千切れた腕は再生しない。普通、ならば。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:14:22.07 ID:aNle1FRK0


――で。

|゚ノ*^∀^)「――来ちゃった♪」

(;-_-)「来るなよぉぉぉおお!!怖い!人間じゃねぇっ!!」

帝都VIP。
ひたすらに広く淀んだ大都市を四分割したうちの一つ――南ブロックの占い通りでの会話。
中央駅から伸びる大通りを進んで、小さめ通り。洒落たカフェが立ち並ぶ、その先にある場所だった。

|゚ノ*^∀^)「寂しかったんだもん」

(;-_-)「可愛い顔で媚びても駄目!君こないだミサイル素手で受け止めてただろ!?」

|゚ノ ^∀^)「受け止めてないよ。ただ――」

手の前でお願いのポーズ――しなを作り。
道行く人達の魂を根こそぎ全て抜き去ってしまうような笑顔で言う。

|゚ノ*^∀^)「――ただ、乗っただけ」

(;-_-)「より悪いわ!!なに、君の世界設定はドラゴンボールかなんかなの!?」



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:17:24.20 ID:aNle1FRK0
(;-_-)「だ、大体っ、ここまで距離がありすぎるだろ!空でも飛んできたの!?」

|゚ノ ^∀^)っ「普通に電車で。ほら、」

ポケットに手を入れ取り出したのは黒すぎるほど黒いカード。
特務機関専用のクレジットカード。これを配布されるのは、『FOX』か『運営』の特殊な会員のみという。

(;-_-)「だぁぁぁああ!ブラックカード!!?高校生の分際でシルバーゴールドプラチナ通り越して!!?」

|゚ノ ^∀^)「あ、これが噂の? てっきり、僕、便利な万能定期券か何かだと思ってたよ」

(う_;)「なにこの子……。国民の税金が暇潰しに使われていく……」

一個艦隊を単独で潰す最年少の最強兵器に使われるならば血税も本望だろう。
もっとも、レモナは基本的に、異能VS異能の時代錯誤なタイマン勝負でしか使われることはない。
そして相手取ることができるのは同じく『最強』――彼女と類う存在のみ。


どうやっても手加減をしてしまう。なにをしても卑怯になってしまう。
それが強いということ。考える必要がないほど圧倒的に、最強だということ。

|゚ノ ^∀^)「…退屈だなー……」

もう上がない、行き詰った頂点というのは――退屈なものだった。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:20:22.93 ID:aNle1FRK0
……………


|゚ノ ^∀^)「……あれ?」

――それは、電車で座った席の隣に、昔転校していった友達がいた時のような。
随分と素っ頓狂な。けれども悪意が微塵も存在しないレモナにはよく似合う声で、少しだけ語尾を上げた。

目のクリクリした同級生はクリスマスプレゼントの為にマフラーを編んでいるので、ここにいるはずはない。
一方的に弄られ続けている占い師には秘密――いや、それは今いい。
…友達が多い方ではない。だから、バッタリと街で知り合いに出会うことも多くはなく、むしろ少ないぐらいである。


しかし。
レモナがその少女を見て感じたのは親近感と、強烈な既視感。


ヽiリ,, -ノi


首に乗っかる頼りないデータベースで何度調べてみても、該当する人物はいない。
間違いなくの初対面。
彼女とレモナは会ったことが――ない。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:23:25.25 ID:aNle1FRK0
ヽiリ,, -ノi スッ


|゚ノ;^∀^)「あっ……!」

昼前の人混み。リーズナブルな飲食店を探す若者や会社員達に紛れて行く。
思わず、走り出していた。
ヒッキーが何か言っていた気がしたが、どうでも良かった。




――走る。
走る走る走る走る走る――!!


来た道を戻り、大通りに出る前で右に曲がる。
常緑樹が並ぶ道。追いついても良い頃合なのに一向に差が縮まることはない。

|゚ノ;^∀^)「はっ、ん………んん? なんかおかしいぞー?」

まるで深い霧の中で迷ってしまったかのように。
曲がりなりにも『最強』の高校生は――誘い込まれていく。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:26:25.27 ID:aNle1FRK0


やがて。
緑の穴のような大きな公園に内包された、小さな広場の噴水の前。

「――なんじゃ」

そこでやっと――レモナは思い出した。
一総だけ真っ白な頭髪を束ねた髪型。小柄な体躯。二つ隣のクラスで、選択授業が同じなので見たことがあった。
名前は公卿姫御子。あだ名はスパム。ニコニコとした笑顔だけがよく目立つ、普通の子。
ただし――、

ヽiリ *゚∀゚ノi「あはははははっ!!久しぶりに外に出れたと思うたら、お前さんみたいな“バケモン”と共鳴した所為か!あははっ!!」

口調がまるで違う。いや、雰囲気も表情も眼つきもその全てが違い過ぎる。
恐らくは無意味に。彼女は哄笑した。どろどろと濁った瞳で睨みつけ、見せつけながら。


それは、まるで、

ヽiリ *^∀^ノi「楽しいのう!これだから――やめられんわ!!」

あたかも。それは、あたかも。
“イレモノ”だけ同じで“ナカミ”をそっくり違えてしまったかのような――そんな、どこかで見たような豹変だったという。



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:29:25.53 ID:aNle1FRK0



十三日目 暁



――レモナからしてみれば、ほとんどの人間など大体同じだった。
だから、向かってくるならば倒すだけのつもりだった。
それが相手を殺すことになっても、全く構わない、彼女はそんな存在のはず――だった。

“だった”
その日、その時、その瞬間までは。



―― 勝者と敗者に祝福を ――





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