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◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋GU~のようです 十三日目 午前

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17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:32:25.08 ID:aNle1FRK0



「あなたの好みのタイプは?」
――少なくとも君ではないかな。

「じゃあ、嫌いなタイプは?」
――それも君じゃない。


|゚ノ*^∀^)「もしもし○○?今すぐ来て!!」~助け屋グロウアップ~の、外伝のようです


「私のことはどう思ってるの?」
――どうでもいい。



十三日目 午前
『シッパイダン ――君に僕の相手は荷が重い―― 』





19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:35:24.44 ID:aNle1FRK0
予備動作、というものは致命的な隙になる。
一度でも何かスポーツを真剣に取り組んだことがある者なら、大抵、賛同する意見だろう。

レモナは戦闘中饒舌になる方である。しかも、『正体不明』のように撹乱目的ではなく本当に喋りたいから喋っているだけ。
加えてあろうことか、彼女は「戦う前には歌を歌う」という決め事までしている。
ここまで隙だらけな――相手を舐めた奴もいないだろう。


――そして、
それは今日も当然変わらない。

|゚ノ;^∀^)「えっと――、」


 クリスマスだし賛美歌にしようか。でもプロテスタントじゃないしむしろ冒涜してる方だし?
 そもそもそんなにクリスマスの歌なんか知らないしお兄ちゃんがボルシチ作りながら歌ってる「アヴェ・マリア」とかどうかな。
 でもあのフレーズって罪深い我等の為にとか諦め前提なのが凄く気に喰わないんだよなぁ――


というような。
どうでもいい葛藤を交えながら最初の一音節目を――英語版と思い込んでいるラテン語の原典バージョンを歌い始めた。



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:38:24.66 ID:aNle1FRK0
ヽiリ *^∀^ノi「――ふはははっ!!」

対し、スパムは――スパムの器に入っている何かは、どこからともなく鏡を取り出した。
手鏡などではない。青銅製。銅鏡だ。
『神獣鏡』と呼ばれる、神仙界の理想郷を象った呪物。

ヽiリ *゚∀゚ノi「血肉!沸き!踊る!――楽しいのう!!」

中空へ投げられた鏡は、世界を映し出して反射する。
鏡の向こう側の真逆の世界からもう一枚同じ形のものが出現し――そのまま、どんどんと増え続ける。
数にして、ざっと百枚。驚異的な速度で分裂した霊装。それらは方角と光の強弱を利用する三次元的な結界を描くように配置された。


|゚ノ;^∀^)「つぁ……!」

――突如として、吹き荒れる嵐。
公園の木々の枝が折れ、噴水の水が辺りに跳ね、その全てが無数の“向こう側”に接する度にまた弾かれる。

昼間の都市部。なのに都合良く誰もいない。
光が集められて作られるのは即席の反射集光方式の太陽炉か。巻き起こる突風は空気の温度差による副産物だろう。
最も恐ろしいのは――神の火。2000年以上前に古代ローマの軍船を焼き尽くしたと伝わるレーザー兵器。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:41:25.63 ID:aNle1FRK0


――だが。
終わりは唐突に訪れた。


ヽiリ;дノi「――くあっ……!!」


その時、手にしていた銅鏡が――落ちた。
それだけではない。結界を構成していた要素、宙に舞う霊装が片っ端から落下していく。

:ヽiリ;дノi:「なんじゃ……っ、これは……」

襲い来る痙攣。手先が大脳からの指令を受け付けない。
最初は手だけだったはずの震えが、次は腕、その次は足、――しまいには全身くまなく伝播してしまった。

ヽiリ;дノi「くそっ……!!」


|゚ノ;^∀^)「え? ええ……?」

レモナが呆然と見つめる中。
中身だけが入れ替わった少女は、為す術もなく、崩れ落ちた――。



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:44:25.19 ID:aNle1FRK0
「大脳ニューロンの過剰な放電により引き起こされる、随意運動が主となる反復性の発作」

|゚ノ ^∀^)「……?」

声に、振り向く。
少女が失神するのと同時に、現れた。


その女性はのどかな公園などにはあまりそぐわない独特の色気を持っていた。
しいて言えば、レモナが先日会った銀狐が近いだろうか。肉感的な見た目といい、自分の魅力を正しく認識してることといい。
しかし、神でありながら子供っぽさの残るキューとは違い、目の前の女性はどこか――ややもすると不自然なほどに完成されていた。

「『悪魔憑き』など憑き物系の霊的障害と混同されることが多く、実際、日本の狐憑きは多くがこれだったらしいわね」

聞くに彼女は昔からこうだった。
色っぽい上目遣いの視線。考え尽くされた仕草。絶妙に調整された服装。

全てが、職業柄故だろうか。
――それとも、全てが大事な人に振り向いてもらいたいだけだったのだろうか。

('、`*川「癲癇ってやつ。てんかん」

この国で十指――西部では間違いなく頂点に立つ情報屋。
後ろから現れたのは、バー「バーボンハウス」の主でもある伊藤ペニサスその人だった。



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:47:28.06 ID:aNle1FRK0
……………


|゚ノ ^∀^)「……え、なんでここにいるのかな?」

('、`;川「なんでって――私だって、毎日毎日お酒出して情報回してるわけじゃないわよ」

買い物だってしたいわよ、とは三十も近い大人の女性の一言。
アラフォーには十年ほど猶予があるが、かと言ってチンタラやっているわけにもいかない。
…女が女であることのできる時間は意外と短いのだ。

|゚ノ ^∀^)「そうじゃなくてさ、」

('、`*川「……いや。あんだけ派手にエーテル撒き散らしたらちょっと敏感な人間なら誰でも気づくわ」

見てみればペニサスの手には拳銃があった。護身用だろう。
ただ、この国では銃の携帯はライセンスなしでは禁止されているし、あろうことか機関拳銃である。
フルオート、グロック18。そもそも民間に流通してないはずなのだが……流石裏稼業。

('、`*川「まったく。少しは一般人のことも考えなさい。巻き添え喰らわせて無駄にドロドロした復讐劇に巻き込まれるのは嫌でしょ?」

|゚ノ;^∀^)「…能力使ったのは僕じゃないんだケド……」



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:50:26.38 ID:aNle1FRK0


('、`*川「さて、さっさと逃げましょうか」

倒れたままのスパムを背負い、周囲に視線を飛ばしながら言う。
無数に分裂したはずの神獣鏡はいつの間にか消滅していた。最初の一つも含め、残らずに。

|゚ノ ^∀^)「逃げるって……なんでなのかな?」

('、`*川「貴女の上司が来るからよ。ここなら……あと数分かからずにね」

――特務機関の誇る索敵システムは尋常じゃないほどに優秀だ。衛星と中継基地を使い、国内ほぼ全域をカバーしている。
一定レベル以上の魔術、超能力、その他雑多の事柄を行使すると、対異端の戦闘部隊である『FOX』が最寄の基地より直行するというわけだ。
たとえば、これが某「助け屋」が日頃やっているようなじゃれ合い程度のものならばいいのだが……

('、`*川「(物質の分裂と、反射……。随分極端な魔術っぽくない魔術)」

|゚ノ ^∀^)「……?」

('、`*川「嫌な予感がすると思わない?」

おそらくは、言葉はレモナに向けたものではなかったのだろう。
ありったけの皮肉を込めて、彼女は寒空を睨んだ。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:53:31.07 ID:aNle1FRK0
……………


――そこは都心から少し離れたオフィス街だった。
南ブロック、占い通り。荒稼ぎをしていた幽霊会社が潰れたところの、三番地。
帝都のあまり綺麗ではない部分を見渡せるビルの階段を登り、ノックを二回。ノブに手をかけ――

('、`*川「……あら、しまってる」

言うが早いか。
ペニサスは、背中で眠る少女を薄汚れた床に下ろし、懐から銃を取り出した。
そして、

ダンッ! ダンッダンッ!!


|゚ノ;^∀^)「うあ……」

――機関拳銃でドアノブごと吹き飛ばした。
堅牢なサムターン錠も、技術も何もない純然たるただの力技には無力である。
同じく、ドア本体も蹴り破られる運びとなった。



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:55:40.65 ID:ereY5wBTQ
なんか好きだなあ
支援!


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:56:25.64 ID:aNle1FRK0


中にいる人間には堪ったもんじゃない。
購入したばかりのアームチェアに腰掛け、仕事机に足を上げ惰眠を貪っていた主は真面目に――ブチ切れた。

( #゚∀゚)「あ、テメェふざけてンのかァ!ノックで出ねェからってドアブチ破るたァどんだけ非常識なンだよッ!!」

後ろで縛った茶髪を乱しながら、椅子から転げ落ちそうになりながら。
威嚇射撃でもしてやろうかと引き出しを開けるも、銃器の類は裏稼業を引退した時に売り払ってしまったのだと思い出す。
帝都で評判だった「殺し屋ジョルジュ」の面影は……もはや威勢の良い啖呵程度しか残されてはいなかった。


――少し前に彼を引退させ。
また、そもそもは彼を裏の世界へ引き摺り込んだ張本人でもある女性は、

('、`*川「まあまあ。押し掛け女房はラノベの王道、って言葉もあるじゃない」

( #゚∀゚)「どこの異世界の常識なンだよそれはッ!!?」

('、`*川「知らないのも無理ないわ。今作った言葉だしね」

昔よりは幾分か整頓されている室内は、ジョルジュ自身の顔色と比例しているようにも見える。
ドロドロとしたモノを取り去ってしまえば元通りとは行かずとも――それより、悪くなることなどないのだ。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 20:59:26.10 ID:aNle1FRK0
|゚ノ*^∀^)「あの、初めまして……」

手を顔の前で合わせながら、モジモジと挨拶をするレモナ。
――その仕草は何ら悪意も作為もない天然にして、老若男女問わず落とし堕としてしまう悪魔の魅力だ。
所詮人工は天然に勝てず、下賤は純血に勝てないことを残酷なまでに刻み付ける。


が、しかし。
ジョルジュからすると、問題はそこではない。

(;゚∀゚)「いやいやいやいや。ちょっと待てよォ、お前。もしかして……俺のこと忘れたのか?」

|゚ノ*^∀^) エヘッ

(; ∀)「……誰に教えられたのか知らねェけど、幾ら可愛かろうが許されないこともあるってことを覚えとこうな。後学の為に」

殴るまいと右手を押さえ込む。
小首を傾げる可愛らしい挙動もこの状況では腹立たしいだけだ。

(;う∀-)「あーヤベッ、ちょっと泣きそうだ……」

ドアを破られ、部屋を占拠され、病人を運び込まれ。
ついでに忘れられてると来た。本当の本当に踏んだり蹴ったりである。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 21:02:26.60 ID:aNle1FRK0


|゚ノ ^∀^)「――ふぅん。ちょっと前の大戦の時の登場人物、なんだ……」

ペニサスの大雑把な説明を聞き、思い出してみる。水面下でVIP国が壊滅寸前まで追い込まれた一連の騒動を。
出てきて、戦って、死んで。目まぐるしく入れ替わるキャラクターの中に――確かに、一介の殺し屋でしかない彼もいたのだ。

( ゚∀゚)「直接戦ったこたァねェがよ……交錯とかニアミスとかは、結構あったんだぜ?」

('、`*川「自称、トソンちゃんのライバル、だもんね」

|゚ノ ^∀^)「……ああ。そういう、縁なんだね」

“そういう”とは、つまり……“レモナにも関係する”ということ。
特に気にするつもりはないが。

|゚ノ ^∀^)「世界は狭いなぁ」

( -∀-)「…ハッ。狭くなんかねェさ。俺とテメェの縁は、もう終わってるンだからな」

――吐き捨てるように言った、かつての物語の登場人物。
彼等の因縁がどのようなものでどういった結末を迎えたのかは、当然また別のお話だ。
「助け屋」など少しも絡まない、全く別の、お話だ。



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 21:05:26.44 ID:aNle1FRK0
|゚ノ ^∀^)「…………そっか」

結局の所。
そこまで説明されても、レモナは特に何も思わなかったし、想えなかった。
彼女はそういう存在だった。


――ただ。
一つの理由もなく、僅かな決意もなく、あらゆる過去もなく、万別の大義もなく、あるべき意識もなく。
好意も敬意も誠意も作意も悪意も逆意も敵意も害意も隔意も真意も――最初からなんの意思も、その最低限すらない。

ただ、『最強』であるだけの。
闘争心と暴力が服を身に着けて気ままに歩いているだけの。
“人間”どころか、“生物”として成立しているのかさえ怪しい――そんな彼女には。


|゚ノ ∀)「僕には、分からないなぁ……」


普通、人間が塵を区別しないように。
この世界のほとんどの人間は、大体同じなのだった。

……そういう意味では――彼女も“天才”ならぬ、“天才”成れぬ存在。
“天災”と、言えるのかも知れなかった。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 21:08:51.56 ID:aNle1FRK0
……………


ヽiリ,, -ノi「……ぁ」

――やがて、少女が目覚めた。
小柄な彼女はゆっくりと室内を見回し、虚ろな瞳で一言――言った。

ヽiリ,, -ノi「私、また、“取られた”んだ……」

('、`*川「(“取られた”?)」

ペニサスは事情を聞こうと思っていた。仕事ではなく、単なるお節介として。
しかし、スパムの眼。雨が降り出す直前の曇り空のようなドロドロとした瞳を見てしまうと……それは、できなかったのだ。

ヽiリ,, -ノi「私、私……――っ!!」

震える手を見つめる少女。
――そこからの行動は随分と素早いものだった。
ソファーから跳ね起き、目の前にいたジョルジュを突き飛ばす。そして、かかる静止の声にも耳を貸さず一目散に部屋を出て行った。


残ったのは、呆然とする三人。
誰も、しらばくは声を発することすら叶わなかった。



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 21:11:29.12 ID:aNle1FRK0


('、`*川「…………」

――沈黙の中で女は考えていた。
あのドロドロとした瞳。見覚えがあった。

いや、

('、`*川「(見覚えじゃないわね。…アレは私、か……)」


……二十年ほど前の出来事。暗く、かび臭い部屋で転がされていた自分。
泣き疲れて、声を出すことさえままならない。
叫びたくなるような静寂と、たとえ叫んでみても全て飲み込んでしまうであろう暗闇が、身体を侵食していくようで――怖かった。


 怖くて、
 とにかく怖くて、
 誰でもいいから助けて欲しかった。


(ー *川「(誰でもいいから、ね。随分とまぁ……)」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 21:14:27.08 ID:aNle1FRK0
おそらく、自分と少女の境遇は違う。
むしろ似ているところの方が少ないくらいだと思う。
――それでも。それでも、多分、一番深い所は一緒なのだ。


 誰かに助けて欲しい
 もう一人なのは嫌なんだ――


('、`*川「……よし」

あの時自分を助けてくれたのは誰だったか。
手を差し出してくれたのは、誰だったか。

…そんな甘い過去を緩やかに回想しながら、伊藤ペニサスは動き出す。
彼のように上手にできるだろうか。一抹の不安と少しの勝算。多大なのは痺れるような緊張感。
恐怖も勿論ある。でも、


|゚ノ*^∀^)「ん? なにこれ?なにこれ?」


――今日の私には最強の女神様がついている。
思いつつ、ペニサスは心の奥底でそっと笑った。



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/01(土) 21:17:35.89 ID:aNle1FRK0



十三日目 午前



弱者の苦痛が強者に分からぬように。同じく強者の苦悩も弱者には分からない。
持ちえる者がかつて持たざる者だったとしても。
結局は誰かを傷つけるだけだ。

ならば、最初から定められた強者なら。
何を以て弱者を理解しよう……?



―― 勝者と敗者に祝福を ――





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