◆スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋GU~のようです 十四日目 午後

前の話/インデックスページ/次の話

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:04:32.70 ID:05DdPa2d0




――地はそこに住む者のゆえに穢された。
彼等が律法を犯し、掟を破り、永遠の契約を捨てたからだ。



(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!!」~助け屋グロウアップ~のようです



十四日目 午後
『戦う存在であるということ ――勝利を欲しない勇気―― 』





181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:07:26.04 ID:05DdPa2d0
――瞬間、火花が爆発した。
衝撃波が無尽蔵に撒き散らされ、木々を薙ぎ倒した。

<#゚ _・゚>「ぐっ、ぅぅぅうう……っ!!」

从//ー^从「やっぱり、全然ね」

最初の前進――突撃のエネルギーと体重を乗せた袈裟斬り。
もはや、「斬る」よりも「殴る」の方が幾らか正確であろう二メートル強の大剣による殴打。

それをあっさり受け止め、渡辺はなお嗤う。嘲笑う。
歯車のように噛み合った鍔迫り合い。純然たる力と力の勝負だ。

从//ー'从「所詮、貴方は身体強化された“だけ”なのよ。効率的な足運びや体重移動の仕方も、安定してない」

<#゚ _・゚>「こ、のぉぉぉ……!!」

从//ー'从「……それでも、普通の人間でここまでやるのは凄いと思うのだけど」

言いつつ、刃を掴んでいた右手――既に竜化している化物の腕――を思い切り、後ろへ引く。
添えていた左手も離す。前に出していた片足も下げ、腰を回転させる。
半回転して後方へ下がる機構。騎兵で言うところの「カラコール」の動きで、コイヌを吹き飛ばす。



200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:10:32.37 ID:05DdPa2d0
<;- _・゚>「つぁ――!!」

力を転換させられ、大きく前へ転倒。
なんとか体勢を立て直すも、視界が一瞬、塞がった。

その、一秒を十にも二十にも分割したような時間――よりも、なお“速く”。
右手による竜の噛み付きが襲い掛かってきた。握力で言えば200強だ。
狙いは顔面、当たれば即死。反応する暇さえないほど速く。痛みすら感じさせぬほど速く。

从//ー'从「……あら?」

<#- _・->「うおぉぉぉぉおおおお!!!」

……何とか防ぐことができたのは、奇跡としか言いようがなかった。
眼前に迫る顎門を逆袈裟に斬り上げる。
崩れた状態ではまともな斬撃は繰り出すことなど不可。攻撃を受け止めたエネルギーを利用し、真逆の方向から首を落としにいく。

从//ー'从「ふふ。安心したわ」

対し、渡辺は焦らなかった。
そのまま右腕を振り抜き地面に衝突させる。軽い地震と共に、真上に向かうベクトルが発生した。
そして、空中で前方回転をするように力の向きを変え、斜め前の空へと飛んだ。





206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:12:42.30 ID:D+xaT02dO
渡辺さん強いな


207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:13:26.08 ID:05DdPa2d0
咄嗟に、コイヌは剣を振り下ろす。だが容易に避けられてしまった。
距離を取ったケルトの巫女は、ちょうど良い位置にあった木の枝の上に着地する。

彼女はまた目を細め、戦闘中とは思えぬおっとりとした口調で、

从//ー'从「やるようになったじゃない」

< _・>「…………」

敵対者は答えず、またもゆらりと大剣を構え直す。
その立ち姿は誇り高き騎士というよりも、むしろ死をも恐れぬ狂信者、といった趣だ。
馬にこそ乗ってはいないが、まさにかつての英国での革命において活躍した騎兵隊を彷彿とさせた。

もう、そこに先ほどまでの動揺はない。
勇猛果敢で獰猛。狙った獲物は逃がさない、FOXの誇る猟犬がそこにはいた。


从//ー'从「……訂正するわ。貴方は随分変わった」

木から飛び降りた渡辺――狩られる側だった者の子孫の女は、優しげに微笑んで呟いた。
「本当に、変わった」と。もう一度繰り返した。
唇から流れ出た言葉は何故か寂しげで。言われた方も少し――本当に僅かな時間ではあったが――正気を取り戻しかけてしまった。

<;- _・->「(危ない危ない……)」



208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:16:26.04 ID:05DdPa2d0
そもそも考えてみれば自分の相手は彼女ではない。
冷静さを取り戻した頭。さっさと切り抜けて、捜索の続きを行うことに決める。

从//ー^从「……さて。その物々しい武器の真価を見せてちょうだい?」

< _・>「勿論です。なぁに、ちょっと奇蹟を模倣するだけだ、……なんてね」


ある賛美歌が、聞こえた。
……しかし。それは、あまりにも冷たい響きを持つ詠唱でもあった。

< _・>『……His dying crimson, like a robe, Spreads o'er His body on the tree ――』

様々な色の呪力が繚乱。渦を巻き、虚空を抉り取りながらも、一つのカタチを作り上げていく。
天き主の威光が世界を侵食していく。
太陽のように。あるいは血のように輝く力が、竜を殺した剣へと集まる。


从//ー'从「……なるほど。そう言えば清教徒だったわね」

詩篇突撃の前段階に納得したように頷く渡辺だが、状況は刻一刻と悪化している。
たとえ模造品でも。たとえ御伽噺でも。それに力を持たせるのが『魔術』だ。
竜を殺し囚われの姫君を救った聖人の武器。主と敵対していた竜が四分の三を占める彼女には、最悪の相手とも言えた。


210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:19:41.35 ID:05DdPa2d0


< _・>『―― Then I am dead to all the globe, And all the globe is dead to me――!!』

フレーズが終わると――同時。
またも雄叫びを上げながら、騎兵は突撃した。

正面切っての特攻だ。刃に集まった光は紛れもない竜殺し。
もう、科学の力などには頼らない。自らの持ち得る全ての力を剣に乗せて――ただ、斬る。
何十ものパターンを組み合わせ。今までと同様に――ただ、純粋に。

<#゚ _・゚>「――秩序の為に、消えろ! 異教の化物がっ!!」

挑発の文句を言い放った騎士に向かい、女は両手を広げた。
大きく、大きく。まるで存在しない両翼を示しているかのように。抱擁でも交わすかのように、両腕を広げた。

穏やかな表情と靡く茶色い髪。
昔と変わらない姿で、“変われない姿で”言った。


从//ー^从「――人間風情の貴方が、私を殺してくれるのかしら?」


そして再度、攻防が始まる――。


209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:17:47.17 ID:D+xaT02dO
え……えいご読めない……


支援


211 :>>209 最後に訳を:2010/06/05(土) 22:22:54.85 ID:05DdPa2d0
……………


〈:メ゚-゚〉「――どうにも、風がおかしいです」

屋敷の周りを見回っていた窮北相仕だったが、何らかの“気配”を悟り、森へ入ることにした。
この組織――おそらくは道教・太平道か五斗米道辺りの宗教結社の末裔だろう――に特に興味はなかったし、思い入れもなかったのだ。
そもそも、自分は主の命令に従っているだけ、という考えが大前提にある故、のことである。

早河諷の“ルール”が『運営』であり『津出蓮』ならば、
彼女、窮北相仕にとってのあらゆること、“全て”が早河諷だった。


〈:メ゚-゚〉「忍なんて、今時流行らない……」

いや、別に流行る必要性はどこにもないのだが。
それでも、衰退の一途を辿る四の大家を見ているとそう思わずにはいられないのだ。

〈:メ゚-゚〉「……使って下さる主様に感謝です」

彼女は忍の成り損ない。価値もないし、意味もない。
何者でもない彼女を引き取ったのが津出蓮で、現在の使用者が早河諷。



213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:25:25.59 ID:05DdPa2d0
「“人殺しの道具”でしかない自分を拾って下さった」
……そのような、一種の崇拝にも近い感情を相仕は抱いていた。

〈:メ゚-゚〉「……けれど、もしかすると。攫われたというその人も、私と同じだったのかもしれません」

どういう想いでどういう感情か、ということは、たとえ独り言でも声には出さない。
職務外の事柄をわざわざ行う必要は、どこにもないからだ。

――いや。
本当は違うのだ。


 それを口に出してしまうと――止まらなくなってしまいそうで。


心の内に残る、僅かな人間らしさが言っていた。
もういいじゃないか、と。私はあの人が好き。それだけでいいじゃないか、と。

〈:メ ー〉「……ふふ。存外、私も心許ないです」

要するに、彼女は怖かったのだ。
一緒にいられなくなってしまうことであったり、傍にいられなくなってしまうことが。
これ以上求めるのは欲張りだ。……そんな風に自分を納得させる。


215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:28:31.84 ID:05DdPa2d0
〈:メ゚-゚〉「けれど、そうするとこの一件は“誘拐”ではなく“駆け落ち”でしょうか……」

そうなると、何ら問題がない。
小間使いの一人や二人が惜しい零細企業ではないはずだ。
むしろ、それで竜一匹を大人しくさせることができるならば随分と安い買い物とも言える。

木を伝い、移動しつつ頭を働かせる。
これも職務外のことと言えなくはなかったが……それで任務に影響が出るはずもない。

〈:メ゚-゚〉「…………ああ、どうにも上手く行きませんね。そういう劣情は」


――十分ほど森へ入った頃。
一応の結論は出た。

 何故、駆け落ちするような状況になってしまったのか。
 何故、それを必死で止めようとするのか。

答えが出てしまえば、――なんてことはない。
実に『魔法使い』らしい考え方である。確かにこれは阻止したいところだろう。

〈:メ---〉「……損な役回りですね、主様」

呟き嘆息し、そして笑った。
それは、感情を表に出さない彼女には珍しいことだった。


216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:31:25.41 ID:05DdPa2d0


――と、そこまで考えたところで。相仕はあっさりと目標を見つけてしまう。
小柄な女を背負った男――蛟であるノーネを。

(;ノAヽ)




〈:メ゚-゚〉「…………っと。割と簡単に見つけてしまいました」

スッと木の陰に隠れ、様子を伺う。
ずるずると両足を引き摺るようにしている。とりあえずは、彼で間違いはないだろう。

相仕が発見できてしまったた理由は、ノーネが追っ手の裏をかくように移動し続けていた所為だった。
彼が想定している『敵』はシナーを初めとする魔術結社の人間であり、その筋の専門家でもある秘匿機関の構成員ではなかったのだ。
この点では、彼は相当についてなかったと言える。

〈:メ゚-゚〉「どうするべきか……」

優先すべきは「攫われた人間の確保」であり、必ずしも、蛟を殺す必要はない。
進むべきか、退くべきか。
それが問題だった。



218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:34:26.81 ID:05DdPa2d0
……………


――早河諷は、元よりこの作戦に乗り気ではなかった。
事前に貰っていた資料や、また独自に調べた結果、敵である蛟がギコの友人であることを知っていたからだった。

その当時ふーは「助け屋」など名前が聞いたことがある程度。
けれど、報告書を見る限り……彼等の仲間が、人攫いを行うなど思えなかった。

ミ*-∀-彡「(実際に会っても、やっぱり思えなかった)」

子を見れば親が分かるし、友人を見ればその人が分かる。
ギコール・ハニャーンと会った感想は、「お人好し」。たった一言で表せる単純性。

彼の仲間が、それこそ神話の悪竜のように人を傷つけ女を攫うなど、考えられなかったのだ。


そんなふうに感じるのは――人を信頼するのは、久しぶりだ。
利用はしても、信用はしない。たった一人の姉がいなくなった後、その傾向はより一層強くなっていた。
それなのに。……あの少年を見ていると、もう一度人を信じてみる気になってしまう。

ミ*-∀-彡「おっそろしー才能だ」



220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:37:26.00 ID:05DdPa2d0
だから、ふーが任務を真面目にこなさず散歩を始めていたのは、当然と言えば当然だった。
むしろ邪魔したいくらいだった。
それをしないのは、かの「助け屋」が本当に“助ける”ことができるのか、と。そんなことが気になった所為に他ならない。


 ――しかし、何にせよ。彼が森林近くにいたことは幸いだった。
 そうでなければ、身を竦ませるおどろおどろしい叫びも聞こえるはずはなかったからだ。


……あらゆる“人ならざるモノ”の中でも、更に希少種な『竜』の絶叫。
聞き間違えるはずもない。
問題なのは、響く声が慟哭ではなく憎悪や憤怒を混ぜこぜにした――激情から出るものだったことである。


ミ;*゚∀゚彡「いし、マズッたか……!?」

――それからの行動は迅速だった。
武器を取りに行く暇すらも惜しみ音源に向けて走り出す。自己領域を展開。目標までの最短ルートを走り抜ける。

そもそものところ彼の能力はあまり使い勝手が良いものとは言えない。対価も大き過ぎる。
……しかし、だからどうしたと言うのだ。自分の仲間が死に掛けているかもしれないのに――なりふり構っていられやしない。

だから、こんなところで躊躇ってはいられない。
今日で自分の命が尽きるとしても、立ち止まっては――いけないのだ。



222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:40:28.71 ID:05DdPa2d0
……………


(#ノAヽ)「――――うぉぉぉぉおおおおおおおおんんっ!!!」

〈;メ -〉「くぅ、ぁぁ――!!」

――力任せの一撃を食らい、真後ろに吹き飛ばされる。着地地点に木がなかったのは不幸中の幸いだ。
殴られ、蹴られ、嬲られて森の中を転がされていく。
既に最初の地点からは随分離れてしまっていた。その距離は彼女のダメージ量とも比例する。

全身の骨が軋んでいた。体勢を立て直しつつ咳き込むと吐血――否、喀血が。
マフラーが血で汚れぬよう配慮しながら、前方の竜を睨みつける。

〈;メ---〉「まさか、これほどとは……っ」

まず最初は予想通りだった。
背負う蛟の気を逸らし、女を奪還したところ――までは、予想通りだった。
……問題だったのはその次である。


その――次の瞬間。
蛟は、気が触れたかのように絶叫し、擬態を解き、相仕に向けて躍り掛かってきたのだ。
初撃でほとんどの武装は崩壊した。そこから先は逃げ回るだけ。現在、五体満足なのが不思議なぐらいだ。



224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:43:30.09 ID:05DdPa2d0
窮北相仕は定められたプロのプレイヤーである。
多少の状況の変化で動揺することはないし、能力を発揮できないことはない。
けれど。

〈;メ゚-゚〉「どういうモチベーションなんですか、一体……っ!!」

戦慄。向けられる塊のような殺意に、ぞっとした。
いかに“竜”と言えど時間稼ぎぐらいはできる自信があった――なのに。
……理屈も何もない、原初の暴力で相仕は圧されていた。

(#ノAヽ)「――――うぉぉぉぉおおおおおおおおんんっ!!!」

技術的な問題ではなく、迫力の問題だ。物理的には不可能。ならば、不可能を可能にしているのは何の力か。
この蛟にとっての逆鱗は愛しい女の存在だったか。


 それはただの。
 見栄であり、虚勢であり、根性であり、気合であり――ただの単純な愛だった。


〈;メ -〉「――こんな人なら、」

逃げ回るのも限界だ。少女は――目を閉じ呟いた。
こんな人なら、確かに一緒に駆け落ちもしたくなるなぁ……と。



226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:46:31.02 ID:05DdPa2d0


――筋肉が裂ける音と、骨が砕ける音が響いた。
蛟の突進は止められていた。たった一人によって。見てくれ的には普通の、高校生によって。


ミ;* ∀彡「はぁぁぁ……っ」

(;ノAヽ)「!!?」

噛み付いたノーネの方が驚いていた。
割り込むように飛び出してきたその男は、衝撃の瞬間――自ら前に右腕を出し、無理やりに突撃を止め得たのだ。
ちょうど猿轡を噛ませる具合に。腕一本を犠牲にして。

(;ノAヽ)「(それも正気じゃないけど……でも、人間の身体で耐えられるか!?)」

勿論、人間の身体では無理だ。
今回だって噛み千切られるのがオチだっただろう。

ノーネが飛び掛ろうとした瞬間に――“幸運にも”地震が起こらなければ。
また、それにより“幸運にも”溜めた力が分散しなければ。
更に付け加えれば、この場面にふーが間に合ったことも――非常に“幸運”だと言える。



227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:49:28.21 ID:05DdPa2d0
思わず、二歩三歩と後退する白き竜。
その理由は悪運ではない。自分と同等であり同様の――プレッシャーによって、気圧されたのだ。

(;ノAヽ)「お前……」

ミ;* ∀彡「フー……はぁ…………」

すっかり変形してしまった右腕を、だらりと、下げる。
息が、荒い。頭に血が回ってないんじゃないかと錯覚する。汗びっしょりなのは走った為ではなく、能力の使い過ぎだろう。


 だが、その程度で退くわけには、いかない。
 後ろには――自分の女がいるのだ。


ミ;* ∀彡「おかしなもん、ですよね……」

距離を見定めながら、ふーは話し出す。
ギラギラとしているのは眼光。時間稼ぎでありながら――威嚇でもあった。

ミ;* ∀彡「真っ直ぐ進んで来たつもりが、いつの間にやら血だらけだ……」

〈:メ -〉「…………っ」



230 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:52:46.92 ID:05DdPa2d0
――その独白は。
今現在戦っている全ての人間の心の声の代弁だった。

ミ;* ∀彡「出した犠牲が多過ぎる。今更戻ろうとも思わない……」

好きな人を守りたい。自分の居場所を守りたい。
彼にしろ、控える忍の少女にしろ、敵対する蛟にしろ、守られている女にしろ。
……おそらくは。約束を守り続ける歌姫も、始まりに続こうとする騎士も、同じだった。


ミ;*^∀^彡「――それは、貴方だって同じでしょう?」


ふーはうっすらと笑った。
ノーネも、「ああ」と短く返事をして同じように笑い返した。

(;ノ∀ヽ)「もう、くそっ……やっぱり争いごとは向いてない……。家で寝てる方が、ずっと、楽だ……」

ミ;*-∀-彡「それは残念です。もし、二人ともが生き残ったのなら――夕食でもご馳走しようかと思っていたんですが」

どちらとも、また笑った。
「残念だな」「ええ残念です」と久々に会った友達と、軽いジョークを言い合う風に。和やかな雰囲気で。
そして言うまでもないことだが――両者共、手加減をするつもりなど更々なかった。



232 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:55:28.29 ID:05DdPa2d0


――二人が間合いを計り、激突を控えたまさにその時だった。
慇懃にして無礼。高圧的な印象が声だけでも分かる男が、配下を引き連れて――現れた。

( `ハ´)「――いや、ご苦労様でした」

血だらけの助っ人に形だけの労いを。
シナーにとっての目的はあくまで竜であり、彼が攫った女であり、詰まる所他はどうでもいいのだ。
ノーネの威嚇、ふーの訝しむような視線を受けてもなお、平然としていることからも首領の風格が伺えた。

〈:メ゚-゚〉「露骨に美味しい部分を取りにきましたね……」

ミ*-∀-彡「いし……」

( `ハ´)「はは、これは手厳しい。しかし我々は無力な道士集団でしてね」

そう言い、感情の色がない瞳で辺りを見回す。
片手に持った杖で地面をつく。敵は、多くても三人。
……彼の見立てでは万が一『運営』の二人が反抗してこようとも、数で押さえつけられるはずである。

( `ハ´)「正直、猫の手も借りたいところなのですよ」



234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:58:27.06 ID:05DdPa2d0
そして、連れて行け、と部下に短く指示を出す――ことにはならなかった。
直後に声が聞こえてきたからだ。

(#゚;;-゚)「――貸しましょうか。猫の手でよろしければ」

(;`ハ´)「!!」

少し素っ気無いような。だがそれでいて、シナーの遥か昔の友人を思い出させるような流れる声音。
その形容は正しく、口を挟んだ彼女はかつての友人の孫だ。
簡素な着物を見につけた猫の耳と尾を生やした少女。奥ゆかしい美少女が、いつの間にかいた。

シナーは合縁奇縁の因果に気づけぬままだ。
対し、彼等は実にいつも通りで、自由に好き勝手に続ける。

イ从゚ ー゚ノi、「狐の手もある。少し。小さいが」

ミ,,-Д-彡「狼の手だってあるぜい。細かい仕事は向いてないけどな」

( ^Д^)「手、っつーか足なら三本ですね。自分は」

o川*^ー^)o「じゃあ、私は手を貸すまでもない?」

次々と――姿を現す人外達。
シナー達が響動めき、動揺が広がっていく。



235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:59:12.12 ID:D+xaT02dO
きたぁぁぁぁぁぁ


236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:01:30.68 ID:05DdPa2d0
都合良く彼等が登場できたのは必然のような偶然であった。
あるいは――“幸運”だったのか。

“幸運”なことに今日は晴れていて星の巡りがよく、八咫烏の占いや件の予言の調子が良かったこともまた“幸運”、
数分前の地震で張り巡らされていた結界や罠が“幸運にも”破壊され、極め付けに“幸運”だったのがノーネが暴れたおかげで道が開けていたことだった。

――まぁ、そんなことは。
当事者と勘の良いたった数人を除いて、誰も知ることがないことなのだが。

(;ノAヽ)「おまっ――あんたら、何しに来たんだ!! ちゃんと伝言――」

(,,-Д-)「――シナーさん。さっきの今ですいませんけど、俺達が『手を貸す』のは無理そうなんです」

ノーネの言葉も聞かず、現れた集団の中心――ギコが前に出る。
滅多に見せない、精悍な顔つき。それは先ほどの蛟と同じ心境であり、同じモチベーション。

(,,-Д-)「何しに来たんだ、だって? ……本当にそんなこと聞いてるの? ノーネちゃんは」

道中で保護した女を背に負った彼は、当たり前のように、言う。
まるで――まるでその様子は――彼に相談しなかったことが、思わず馬鹿らしくなってしまう当然さだった。


(,,゚Д゚)「――君に手を貸して、黄泉路の旅を引き止めにきたんだ」



237 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:04:27.33 ID:05DdPa2d0



十四日目 午後



登場人物は出揃った。
必然のような偶然――いや、“偶然のような必然”によって。
待ちが長く、出所を心得た主人公が発する想いとは。



―― できることならば、互いに幸せに終わる物語を ――






前の話/インデックスページ/次の話

■この記事へのコメント

    ■コメントの投稿

    管理者にだけ表示を許可する

     

    検索フォーム

    お知らせ

    管理人へメール

    トップバナー画像をうざったい感じにしてみました。

    カレンダー

    08 | 2017/09 | 10
    - - - - - 1 2
    3 4 5 6 7 8 9
    10 11 12 13 14 15 16
    17 18 19 20 21 22 23
    24 25 26 27 28 29 30

    Team 2ch @ BOINC

    待ち続けている人がいる。
    だから僕らは回し続ける。
    ~まだ見ぬ誰かの笑顔のために~

    banner-88.gif
    CPUの時間
    ちょっとだけ
    貸してください
    (BOINC Team 2ch Wiki)

    ブーン系“短編”小説更新状況

      プロフィール

      kuru

      Author:kuru
      特に何も無いよ。

      カウンター

      トータルアクセス:
      ユニークアクセス:
      閲覧者数:



      クリックで救える命がある。
      上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。