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◆ミ,,゚Д゚彡 はてしない物語のようです 第一話

インデックスページ/次の話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 18:14:14.33 ID:Vli2AR8W0
    




 
  これは 私と 彼女の物語だ。





    


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 18:20:30.68 ID:Vli2AR8W0
   

 朝8時20分。ざわめく街並み。
  
 茶の巻髪に、紺色のブレザー。
 背には、真っ赤なギターケース。


ζ(゚ー゚*ζ


 そう、私は音楽を嗜んでいる、通学途中の女子高生。

 逞しく青々と植物たちは生い茂り、晴れ渡る空の下でツバメが飛び回っています。
 あまりに青すぎる春の中で、まさに青春真っ只中のあたくし。

 そんな清々しい空の下で

 

ε-ζ(´o`*ζ「はあ」


 と、つい私は今日何回目か分からないため息をついてしまいます。
 ため息は、爽やかな風に流されて、春の中に溶けていきました。


   


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 18:26:42.62 ID:Vli2AR8W0
     
 
 そうなのです。
 何を隠そう私は、女子高生であると同時に悩める乙女。
 
 年頃青春まっただ中な私は、いろんな事に悩みます。


 同じバンドを組んでいるツンと、昨日ケンカをしてしまった事。

 大好きなモララー君とお近づきになりたいものの、
 恥ずかしがり屋な性格のせいで、今一つ接近できていない事。

 ツンも、きっとモララー君の事が好きな事。

 文化祭に向けての、曲の練習が一向に捗らない事。

 文化祭でのステージが成功したら、モララー君に告白しようと思ってる事。

 ツンも、きっとそのつもりな事。


ε-ζ(´o`*ζ「はぁ……」


 「ほんわかした娘だなあ」とよく人に言われますが、
 私だって、年相応に思い悩んでいるのです。


   


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 18:33:32.71 ID:Vli2AR8W0
     

 思い悩みつつも、歩は進みます。
 いつも使っている駅が見えてきました。

 
ε-ζ(´o`*ζ「はあ……」


 背のギターが、いつもより重く感じます。
 やっぱり、学校に行くのは気が進みません。

 私は、先程申したように、モララーくんが好きです。
 誰にでも優しくて、スポーツもできて、格好良いし。
 ほんのちょっとだけ、私にだけやさしければいいのにな、と思います。

 そして同じく先程申したように、
 同じバンドメンバーであるツンも彼の事が好きらしいのです。

 そう、恋のライバルという奴です。
 
 これが昼ドラであるなら
 双方ギヌッと睨み合い、威嚇しあい、ドロドロの思惑飛び交っていたでしょう。


 ですが、困ったことに、
 私は、モララーくんが好きであると同じくらい、ツンの事も好きなのです。
 

   


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 18:40:57.69 ID:Vli2AR8W0
     

 ツンとは、いつまでも仲良しでいたいのです。

 ちょっと短気で、周りの人を振り回してしまう事があって、素直じゃない子ですが
 本当は、誰よりも優しくて、弱虫な子だという事を私は知っています。

 ツンには、幸せになってほしい、そう思います。

 ですが、ツンがモララーくんと幸せになるというならば
 即座に手を挙げ、声を荒げ「待った」と言わざる得ないでしょう。 

 ツンには幸せになってほしいのですが、私だってモララー君の事が好きなのです。
 モララー君がツンの事を好きになり、二人が好き合ったとしたら、親友として祝福しなければなりません。

 でも、でもでも、私はそれほど人間が出来ていないのです。
 もしそうなったとしたら、素直に祝福できないでしょう。
 置いていかれた寂しさばかり感じて、私は二人から逃げてしまうでしょう。

 そして、それはツンと私が逆でもきっと同じ。 
 私とモララーくんが付き合う事になったとしたら、きっとツンは……


ε-ζ(´o`*ζ「はあ……」


 こんな事ばかり考えて、ため息を漏らしてしまいます。


   


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 18:47:21.53 ID:Vli2AR8W0
  

 昨日ツンとケンカをしてしまったのも、表面上はバンドの件での衝突なのですが
 きっと、その奥底にはこういう言葉に言い表す事ができない
 「もやもや」があったのだと、冷静な今考えると思います。

 酷い事を、たくさん言ってしまいました。

 本当、私ってイヤな奴です。


ε-ζ(´o`*ζ「はあ……」


 相変わらずのため息。
 改札を抜けた私は、駅のホームに立っています。
 
 もうすぐ電車がきます。
 ため息を漏らし、見つめる先に線路図。
 
 ジッと線路図を眺め、一人思索に耽ります。


 こっちに行けば、私の高校が。
 あっちに行けば、私の大好きな京都がございます。


 今、私が行きたいのは果たしてどっちでしょう。

   


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 18:55:06.39 ID:Vli2AR8W0
   
 そうです、私は何を隠そう京都大好き乙女。 
 古き良き日本の趣を残す、ほんわか綺羅びやかな街並み。
 街全体に漂う、ナントモ云えない情緒。

 現実に、少しばかり非現実を垂らしたような塩梅のファンタジィ。


 RiRiRiRiRiRiRiRiRi.......

 電車の到着を知らせるベルが、ホームに鳴り響きます。
 2車線同時に、電車が到着しました。
 

 こっちに行けば、私の高校が。
 あっちに行けば、京都がございます。


ζ(゚ー゚*ζ「あっ」

 私は、つい足を滑らせて、
 いつもとは、逆車線の電車に乗ってしまいました。うっかり。


ζ(^ー^*ζ

 乗り込んだ時の私の顔を見た人がいれば
 きっと満面の笑みを浮かべていた。と云うでしょう。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 19:02:56.19 ID:Vli2AR8W0


 ただの逃げだ!と言われれば否定はできません。
 それでも、私は京都行きの列車に乗り込んだ事で、幾分か気持ちが軽くなったのでした。

 今日はもう学校をサボり、京都を愉しみましょう。
 非現実に酔うのも、たまにはいいでしょう。


 座席に腰を落とし、京都に着いたら何処に行こうか。
 何か美味しいものでも食べたいな。などと妄想をぷんぷん、と膨らませていると

 突然、列車が真っ暗となりました。
 驚いた私は、思わず立ち上がってしまいます。

 よくよく周りを見ると、乗客は私だけではありませんか。
 通勤・通学ラッシュであるこの時間帯で私だけというのは、ナントモ不思議。

 そして、「ガタンッ」と一際大きな揺れと同時に、なんと列車が空に昇っていくじゃありませんか。

 私はζ(゚ー゚;ζ「アワワ」などと声を漏らしながら、気を失ってしまうのでした。

  
    


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 19:14:11.45 ID:Vli2AR8W0
     

ζ(゚o- *ζ「んっ……」


 気が付くと、私は京都のど真ん中にいました。

 しかし、そこは私が知っている京都とは、少し違います。
 空は赤黒いし、道の所々にニンマリと艶のある笑みを浮かべた小さく赤い招き猫が並べられていたり
 怪しい光を放つ提燈が、至る所におかれていて、ぽんわりと、甘く染みる煙で街が覆われているのです。

 そのせいで、ナントモ言えない怪しい雰囲気が充満していて、視界も判然としません。


 私は「一体どうかしたのかしら」と小首を傾げていましたが
 やがて、一体の赤い招き猫がコロコロと転がってきて、私の足先にぶつかりました。
 
 招き猫は陶器のようなもので出来ていると思っていたので
 てっきり硬いものだと思っていましたが、その招き猫はプニリとしていました。

 そして、プニリとしている招き猫が面をあげて、私に言葉をかけてきました。


(・∀ ・) 「やあ、人間かい?人間は物珍しいなあ、不思議だよ、ここにいるだなんて
     見たのは2と半世紀ぶりだ、いやあ、不思議で珍しい」
   
ζ(゚ー゚*ζ「そうかしら?私は招き猫さんが言葉を話す事のほうが不思議だと思います」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 19:19:06.75 ID:Vli2AR8W0
  

(・∀ ・)「そうかなあ、僕はそう思わない
     人間はすぐ自分の中のものさしでなんでも測ろうとするからツマラナイ
     人間以外が喋る事は、実は不思議でもなんでもないのだよ」


ζ(゚ー゚*ζ「そうなのですか、これは失礼しました」


 私はペコリと頭を下げると、ハイチュウをもっていた事を思い出し
 「お詫びです」と招き猫さんに渡しました。
 招き猫さんは「礼儀正しい子だなあ」とハイチュウを食べながら、褒めてくれました。



ζ(゚ー゚*ζ「しかし、京都は今祭かなにかしているのですか?
       私、京都はなんどか来た事ありますが、こんな京都初めて」


(・∀ ・)「いや、そうじゃないよ、たしかにここは京都だが
     君が知っている京都とは、異なる京都なのさ
     そもそも此処は怪なる者しか入れないはずなのだけど......」





26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 19:27:25.77 ID:Vli2AR8W0
     

 招き猫さんの話によると、此処は京都でありながら、京都でない
 私たち人間がいる人間界とは次元が異なる妖怪が集う京都である、らしいのです。

ζ(゚ー゚;ζ「あいや、これは失礼しました
       私なんかが来てはいいところではなかったのですね」


 私は、再度頭を下げます。


ζ(゚ー゚*ζ「すぐに帰ります、来る場所を間違ってしまったみたい、失礼しました」

 翻し、元来た場所に戻り、帰ろうとしたのですが、
 はて、どうやって此処に来たのか、よくよく考えると判然としません。


ζ(゚ー゚*ζ「……どうすれば、帰ることができるのでしょうか」

(・∀ ・)「うーん、普通は人間がこれる所じゃないからなあ、僕にも、ナニガナンダカ」

(・∀ ・)「ようし、わかった、着いておいで
     僕にどうにかはできないけれど、どうにか出来そうな人の所には連れて行ってあげよう
     君は礼儀正しい子だからね、礼儀正しい子はいい子と相場が決まっている
     僕は、妖怪だが、人間でもいい子は助けてやる主義なのさ」

ζ(^ー^*ζ「ありがとうございます!」

 そうして、私は赤くて小さな招き猫さんに連れられて、異なる京都の街を歩いていくのでした。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 19:31:52.27 ID:3zm8Kkh4O
雰囲気がなんか好きだ支援


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 19:37:43.83 ID:Vli2AR8W0
    

 コロコロ転がる招き猫さんの後をぽてぽて着いて行っていたのですが
 この異なる京都の変わった事と言ったら!


 店先で、七色に光る煙を楽しめる煙管や
 天にも届きそうな、大きく、白い八つ橋が売られていて。

 皆、それに夢中になっています。

 夢中になっている人たちも、ナントモ奇怪。
 首が伸びに伸びた女の人や、ずんぐりしたタヌキや大きくて目のギョロギョロした蜘蛛
 そんな人(?)ばかりです。まるでどこかで見た妖怪絵巻みたい。

 そんな異なる光景ですが、基本的な街並みは京都なのだから、余計に不思議。


ζ(゚ー゚*ζ「日常に、非日常を垂らした街、京都かあ」

ζ(゚ー゚*ζ「これじゃ、非日常に日常を垂らした感じですけどね」
  

 一人、そんな事を思いながら、歩を進めます。


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 19:51:47.62 ID:Vli2AR8W0
    

(・∀ ・)「ようし、着いたぞ、此処だ」


 着いた先は一番大きな通りに面した角地に堂々と立つ。
 石造の高塀で囲われた、豪奢なお屋敷。

 重厚な2階建ての瓦屋根の下には、怪しい光を放つぼんぼりが等間隔に並んでいて通りに面して下がっています、
 それに照らされた、朱塗りの2階欄干が目に目立ちます。
 
 招き猫さんの後を付いていき、唐破風をくぐって一歩足を踏み入れると、そこにはさらなる別世界。

 どこかの神社の社殿を模しているのか、それっぽい回廊式を持つ日本庭園が出迎えてくれ
 その先には、赤い毛氈の太鼓橋があります。

 門の左右には、木彫りの獅子や猫さんたちが、
 鳳凰を彫り抜いた極彩色の欄間が、とても綺麗。


ζ(゚ー゚*ζ「わあ、どこをみても豪華絢爛なんですね」
 

 私は状況も忘れ、雰囲気に酔いなんだか嬉しくなってしまい、
 くるりと一回転してしまいました。


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 19:58:48.83 ID:Vli2AR8W0
  

(*゚ー゚)「おねーちゃん、人間だー」

(*゚∀゚)「人間だー」


 くるくる廻っていると、1対の木彫りのネコたちが話しかけてきました。
 生きているみたいに、綺麗だなあとは思っていたけど、本当に生きているだなんて。


ζ(゚ー゚*ζ「ええそうです、わたしは人間
       私はいままで人間である事を、なんら変哲もないフツウの事だと思っていたけれど
       ここじゃ珍しい事なのですね、珍しくて、いいでしょ?」


(*゚ー゚)「うんー珍しいー」

(*゚∀゚)「でも良くはないなー」


ζ(゚ー゚*ζ「どうして?珍しい事は良い事でしょ?」


(*゚ー゚)「珍しい事は、たしかにいい事ー」

(*゚∀゚)「たしかに少し羨ましい」

「「でも、でもー」」 二人の声が、重なります・


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 20:02:19.02 ID:Vli2AR8W0
  

(*゚ー゚)「おねーちゃん、ペニサスさまに食べられちゃうんでしょー?」

(*゚∀゚)「いくら珍しくても、食べられちゃうのはいやだなー」


ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスさま?それはここの主人様の名前かしら?」

ζ(゚ー゚*ζ「食べられたりなんて、しませんよ
       私は、そこの招きネコさんに連れられて、元居た世界に戻るために
       協力を求めにきたのです、食べられる為に来た訳じゃないもの」



(*゚ー゚)「うっそだー」

(*゚∀゚)「うっそだー」


(*゚ー゚)「絶対ペニサスさまたべちゃうよー私にはわかるもん」

(*゚∀゚)「私にもわかるもん、だってペニサスさまだもん」


「「ねー」」

 二人の声が、また重なりました。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 20:10:42.63 ID:Vli2AR8W0
  

(・∀ ・)「コラ、お前たちいい加減な事をいうな」

 「あー怒られたー」「こわーいこわーい」 
 招きネコさんに怒られて、2つの小さな影は遠ざかっていきました。

 私は、というと否定はしたものの、この非日常です。

ζ(゚ー゚;ζ 

 少しだけ、ふわふわした気持ちに不安が交ざります。
 そう、ここは妖怪さんたちの街。妖怪はたしか人間を食べるもの。
 私が食べられない保証なんて、どこにも御座いません。
 
(・∀ ・)「大丈夫かい?あんまり間に受けないことだよ
     あの二人はイタズラものでねえ
     ………たしかにペニサス様は変わったところもあるひとだけれど 
     何の悪意もなく、紛れ込んだだけの人間をいきなり取って食ったりはしないはずさ、多分」


Σζ(゚ー゚;ζ「多分ですか!?」

(・∀ ・)「………多分きっとおそらく十中八九」

ζ(゚д゚;ζ 

 私は、やはりなんだか不安になってしまいました。


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 20:19:38.34 ID:Vli2AR8W0
     

 不安がっていても仕方ないので、ドキドキしながら太鼓橋をわたります。
 太鼓橋の先には、いくつも間があって、その一番奥の間に、ペニサスさんがいる間がありました。


(・∀ ・)「さあ、ここだよ」


 襖をあけると、独特の甘い匂いがする煙が流れ込んできました。
 私の緊張を撫でる、不思議な煙。


('、`*川「おいでやす」


 その風の先に胸元の開いた、
 艶衣装に身を包んでいるペニサスさんが居ました。
 
 ぷかぷかと、大きな煙管を吸っています。
 甘い匂いの煙の正体は、きっとこれでしょう。
 
 ペニサスさんの両脇に備え付けられている2つの提燈が視界に入ります。
 提燈の中で蝋燭が、じうじうと音を立てながら燃え、月明かりのような幻想的な光を投げかけてきます。

 そんな光の中で居るせいかペニサスさんがひどく神秘的な人に見えるのでした。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 20:25:41.33 ID:Vli2AR8W0
  
  

('、`*川「ふうん、君が紛れ込んだ人間の子、ねえ」

 
 値踏みするような、目線と、煙管の煙草を私に浴びせながら
 ペニサスさんがつぶやきます。


 私は、そういう視線も煙も慣れていないので、実を言うとやめてほしかったのですが
 話によると、ペニサスさんは九尾の狐という、ナントモ偉い妖怪さんらしく
 この異なる京都を統べるモノスゴイ人らしいのです。

 そんな凄い人なら、きっと私のような小娘一人くらい、なんとでも出来るはず!
 否が応にも、期待は膨らみます。


ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスさん、あの、紛れ込んじゃってすみませんでした
       私、元いた世界に帰りたいのですが……」


 脳裏にモララーくんや、ツンが過ぎります。
 嗚呼、そうです、そうなのです。

 朝はつい非日常に逃げこもうとしたのですが、やはり私にとって大事なのは現実。
 あの二人や家族、学校のみんなとずっと会えないだなんて、考えられません。 

  


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 20:38:52.17 ID:Vli2AR8W0
     

('、`*川「ふうん。帰りたい、ねえ......」


ζ* ゚ -゚)('、`*川 ズイッ


 ずいっ、と私に近づき、ペニサスさんはふうーっと息を吹きかけてきます。

 
 甘い甘い溶けるよう苺の匂いと、すぐそこにある暗闇の中で白く浮かぶ凛としたペニサスさんの顔 
 その状況に、なんだか酔ってしまい。
 間接がふわふわとゆるみ、ドキドキが止まらなくなりました。

 
 そんな私の様子を察したのでしょうか、ペニサスさんはくすっと笑い
 私の耳元で、擽るように、囁きました。



ζ* ゚ -゚)('o`*川「ざんねぇん......それはできないわ、
           だって、この紛れ込んだ人間はたべちゃう決まりなんですもの」


     


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 20:46:28.72 ID:Vli2AR8W0
      

ζ* ゚ -゚)('、`*川 フフフ


ζ;゚д゚)ζノシ「え゛―――!」 ジタバタジタバタ


ζ(;ー;*ζ「嗚呼、やっぱり私たべられちゃうのですね
        ツンとも仲直りできてないし、モララーくんに想いも伝える事ができてないのに」


::ζ(∩ー∩*ζ:: 「バンドだって、もっと続けていきたかったです......
           文化祭で最高のステージを開幕したかった..........
           でも、決まりなら仕方ありませんね、さあ、お食べください 
           でも私痛いのはいや、あまり痛くない方法で食してくださいまし.....」


('、`*川「いやね、冗談よ冗談
     私、肉よりお菓子や果物が好きだし」


ζ(;ー;*ζ「えっ?」


('、`*川「からかっただけよ、人間なんて見るの、私も久しぶりだったし」

('、`*川「変な子、そして可愛い子ね」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 20:50:13.57 ID:Vli2AR8W0
     

('、`*川「元の世界だっけ?戻せるわよ私なら」


ζ(;ー;*ζ「えっ?本当ですか?」


('、`*川「ええ、だって私妖怪を統べる、九尾の狐よ?
     そんな事朝飯前だわ」


ζ(゚ー゚*ζ「やったあ!それじゃぁ......!」

('、`*川「やった、じゃないわよ、出来ると、してもいい、とは話が別」


ζ(゚ー゚;ζ「えっ」


('、`*川「だって、だってそれじゃ」

('ー`*川「面白くないもの」


(;・∀ ・)(でたよ......ペニサスさまの悪い癖......)


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 20:59:40.60 ID:Vli2AR8W0
  

('、`*川「だってだってだって私は面白い事が好き。面白くない事はしたくないの
    面白くないことなんて、眼中にないわ、悪いけど、他をあたって頂戴」


ζ(゚ー゚;ζ「あうっ、そこをなんとか!」


('ー`*川「んふー、どうしようか」


 童話にでてくる、チェシャ猫のようないたずらな笑みを浮かべながら
 「ふふふ」とペニサスさんは再度近寄ってきます。


ζ; ゚ -゚)('ー`*川「面白くなくとも、君は可愛い子だものね。
          種には水を、可愛い子には旅を、そして夢ある貴方には夢を
           そうねえ、じゃあこうしようかしら」

 
('、`*川「近くに祇園祭という祭りがあるわ
     君たちの世界の祇園は、どんな祭かしらないけれど
     この世界の祇園祭は、いかに私をたのしませるか、っていう祭なの」


('ー`*川「そこで、私を一番楽しませてくれたら、考えたげる」


ζ(゚ー゚;ζ「えーっ!」


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:04:16.49 ID:Vli2AR8W0
    

 *    *    *    *



ζ(゚ー゚;ζ「どうしましょう……」

 
 話をし、屋敷を出た私は呆然としておりました。
 この世界の祇園祭。世界中の妖怪が集う出し物祭で「一番楽しませてくれたら帰らせてあげる」

 突きつけられた、あまりに過酷な条件。
 私にできるかしら、いや、出来るわけがありません。
 
 私なんて、なにも取り柄がないただの悩める乙女です。


(・∀ ・)「君も災難だねえ、あの人は、
    自分以外を自分が愉しむ為の玩具くらいにしか思ってないからね」


ζ(-д-;ζ 「うーん」


 その時、閃きました。
 そして、思い出したのです。背に背負ったギターケースの重さを。


   


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:07:57.71 ID:Vli2AR8W0
     

ζ(゚ー゚*ζ「そうです!私はバンド乙女!音楽でペニサスさんを楽しませればいいのですよ!
       人間の音楽は、きっと目新しくみえるでしょう!」


ζ(゚ー゚*ζ「そして、こんなに変わった妖怪たちがいる、この世界ですもの!
       色んな特技がある、彼らをバンドメンバーとして、勧誘していけば
       ナントモいえないおもしろ可笑しい音楽が作れるはず!」


ζ(゚ー゚*ζ「招き猫さん、あなたはなにか楽器ができますか?」


(・∀ ・)「うーん、そうだな口笛くらいかな」



ζ(゚ー゚*ζ「口笛!素敵です!バンドメンバー1人目は招き猫さんで決まりですね!


(;・∀ ・)(勝手にきめられた!?)


ζ(゚ー゚*ζ「そうときまると、私、俄然やる気が沸いてきました
       祇園祭までにメンバーを揃え、練習し、最高のステエジを見せてあげましょう!」


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:10:45.66 ID:Vli2AR8W0
   

 猛然と沸くやる気に押され、私は背にかかっているギターケースをおろします。

 そして中身を取り出s――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:12:51.86 ID:3zm8Kkh4O
ん?


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:21:36.21 ID:Vli2AR8W0

 ..............................................................................................

 ...........................................................................と、そこまでスレを進めた所で、僕はキーボードを打つ手を止めた。


 箱からマルボロ・メンソールを取り出し、紫煙を燻らせながら溜息交じりに一つ大きな煙を吐く。


 .................もういいだろう、この物語は、ここで捨ておこう、もう満足した。


 いつからだろうか、趣味であるはずブーンを書くのが苦痛になったのは。
 愛の無いセックスで生まれた子供が可哀想であるなら、惰性で生み出されたこの物語も、同じようなものだろう。
 
 垂れ流される、再放送のようなモノクロで虚ろな物語。
 完成を目指さない、空気のように空虚な物語を、どれほど僕が紡いできただろうか。

 最初は、ただただブーン系を書いて投下するのが楽しかった。
 自分が考え、素人なりに苦労した物語を読んでもらえるだけではなく、レスや感想、時には絵まで貰える......
 他では味わえない高揚感、私がブーン系小説の虜になるまで、そう時間はかからなかった。
 
 だが、人間とは欲深いものだ。
 1つに満足すると、どんどん壊れた油田のように欲が湧いてくるのだ。

 


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:22:47.23 ID:3zm8Kkh4O
えっ


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:26:29.75 ID:PvaKycyx0
ミ,,゚Д゚彡 ?


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:34:07.33 ID:Vli2AR8W0
    

 なんて斬新な設定なんだ、ものすごいオチを思いついた、
 これは傑作だ、ブーン系小説に革命を起こしてしまうかもしれない!


 なんてことを思いながら少し書き出してみると、
 すぐにそれが過去に読んだ何とかという作品に似ていることに気付いてしまう。
 その欠陥を修正するアイデアは出て来ないまま、始まらなかった物語を終えてしまう。


 いざ物語を作り、投下してみても反応や人気を他作品と比べてしまい、過剰に気にしてしまう。
 

 物語自体の、出来もそうだ。
 あれこれと比べては、ため息をつき、向上求めて書いてみるも、成長が伴わず、投げる。
 高望みと、諦めの中でグルグルさまよい歩き、やがて期待することすら、恐れてしまう。


 私が書いてきたブーン小説の中では、簡単に人が愛し合い、殺し合っていた。
 男女が出会えば当然のごとく恋愛を始め、肉体関係を持つ。自ら書いた物語の中に私はいない。
 私だけではなく、そこには人間が誰一人いない。

 私の好みに色合いで人工的に作られた血の通わないキャラクタアたち。ご都合主義のストーリー。人形劇。
 何か大切なことを言ったようで言っていない、どこがで拾い上げてきた台詞群。
 物語の外に飛び出さない思想。伸ばそうとしない手。負け犬根性。

 自分で作り出したキャラクタアなのに、顔が想像できない、想像の中で現れる彼らにはいつも顔がない。


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:35:27.14 ID:PvaKycyx0
わくてか


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:36:49.58 ID:3zm8Kkh4O
なんだなんだ


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:37:56.38 ID:Vli2AR8W0
      

「...............喉が乾いたな」

 長時間PCモニタを見つめていたせいか、喉の乾きと軽い疲労感に襲われた。


「水でも、とってくるか」


 そう思い、開いていたスレを閉じようとマウスを動かす。
 そうして、席を立とうとした、その時だった。


 デスクトップモニタ上、いやデスクトップモニタ画面の奥の方で
 ............デスクトップモニタ画面に対し‘奥行き’のようなものを感じるのはおかしい事だと自覚しているが
 ともかくそう感じたし、そうとしか文章表現できないので‘デスクトップモニタ画面の奥底で’という表現をさせてもらう。

 
‘モニタ画面の奥底で’青白いなにかがチラリと踊っているのが目に入った。


 いつもならなんてことない目の錯覚と決め付け、そのままPCを落とすのだが
 脳膜にこびり付いた‘モニタ画面の奥底で’チラリと見えた青白い光が胸を締めつけ、
 悪寒のようなものを帯び、私を数瞬思索に走らせた。


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:42:28.75 ID:Vli2AR8W0
    

「参ったな、モニタの故障かな」

 言いながらモニタの設定をイジるか、モニタの故障なんてものじゃない事には、実は私は気づいている。
 その言動は願望の現われだ、故障であって欲しい、奇奇怪怪な現象に遭遇なんてしたくない.........

 設定ボタンをイジっていると、モニタがおおげさに明滅し始めた。
 それに呼応するようにゆらゆらと明滅しだす部屋の照明群。
 焦った私はケータイで灯りをとろうと、スライド式ケータイをスライドさせて画面を見るも
 ケータイの画面にも青白い光が映っており、自己主張するかのようにヒラリヒラリと踊っているのである。


「ひっ・・・」

 思わず私はケータイを壁に投げつけた。
 壁とぶつかった衝撃で、光を失うケータイ。

 ふと安心して気づく、先ほどまで暗闇の中にいたはずなのに、自分の周囲だけ青白く明るい事に...
 焦燥感がぬるい汗が化し、背を伝う、焦燥に突き動かされるように、僕はデスクトップモニタの画面を見た。

 そこには青白く光る顔があった。

 先述した‘モニタ画面の奥底で’の状態より、若干手前に青白い光で模られたその顔はあるように感ぜられた。
 もちろん、先ほど記述したようにデスクトップモニタは平面的なものであるので、 今回も感覚的に‘遠い・近い’を判断し、表記している。
 モニタ上に現れた顔が発す青白い光に照らされて、僕は目を細めながらモニタにぽかりと浮いている顔を凝視した。
 顔だとなんとかわかるが、光がにじみ、どんな顔かまでは判然としない。


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:45:40.51 ID:Vli2AR8W0
     

 不思議と恐怖心は感じなかった。

 デスクトップ・モニタが発す光は、顔のパーツごとに光の濃淡があるように見受けられた。

 藍色の空に白くひかる雲が糸のように流れるように、顔を移動する光の濃淡。
 青白く、真白く渦巻どよめく光の波の間を遊び穢れ、時々興隆するそれらからは脈動に近いものを感じ、不思議と命を感じた。

 そんな奇妙で......生命力あふれる‘顔’がモニタ越しにこちらになにかを訴えかけているようだ。
 僕はゴクリと生唾を一つ飲み込み、手に持った火のついたままのタバコの存在も忘れ、‘顔’に視線を集めた。

 顔はどんどんと光を強め、よりハッキリしたものになっていく。
 ついには、どんな顔かわかるまでに........................


[(´・ω・`)]
 


「これは、私が携わっているブーン系小説のAAのショボン.........?」


 言葉にした瞬間、モニタが砕け散る。
 そして、実体を得た「ショボン」が悪意に満ちた目で、僕の前に立ちふさがっていた。


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 21:53:56.19 ID:Vli2AR8W0
   

(´・ω・`)「君はブーン系小説作者、失格だ」


 或いは、僕が一番欲しがっていたかもしれない言葉とともに、彼は私に視線を送ってきた。
 不思議な感覚だ、いままでスレッドの中で見たのと同じく二次元的であるのに、
 確かに私と同じ三次元空間に存在し、私と会話しているのだ。


「君は、私が知っている、あの、ショボンなのか?」

(´・ω・`)「詮索はよせ」

 私の問いに答えず、彼は厳しく叱るように言葉を返しくる。


(´・ω・`)「詮索はよせ、なにを期待しているのか知らないが
      君には、質問などする権利があると思うなよ
      この裏切り者が、ロクデナシが」


(´・ω・`)「今から、僕が言う事を、しっかり頭に刻め」

 
 私は、彼の迫力に圧され、コクリと小さく頷いた。


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:00:34.16 ID:Vli2AR8W0
  

(´・ω・`)「いいから聞け.....................
      読者を、そして物語を裏切り続けてきた裏切り者」


(´・ω・`)「お前が妄想し、物語を始めることで、その物語の世界が生まれる
      その物語の世界の神は、創造主である、お前だ
      その物語をどう展開させ、どう料理していくのも、お前次第である」


(´・ω・`)「そして、途中遺棄された物語はピタリと時間をとめる、
      そうなると残るのは永遠の孤独と、空虚だけだ」  


(´・ω・`)「その悲しみを、お前は想像できるか?」



 「出来るわけがない」と私は言葉を漏らす。


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:03:43.48 ID:dYwXvRMC0
ミヒャエルエンデのと関係あるの?


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:05:18.14 ID:Vli2AR8W0
  

(´・ω・`)「いいぞ、それでこそ失格したブーン系作者だ
     失格した神だ、失格した者は、そうでなければならない」


(´・ω・`)「人生には適切なタイミングというものがある、お前も知っているように
      人生という物語のページの中で、赤いダーマトグラフペンで丸を描き、
     「ここだ、ここ! ほれ、この瞬間」と叫びたくなるようなページが存在する。誓ってもいい。」


(´・ω・`)「それがいまだ、失格者、今こそ、断罪の時だ
     罪を償ってもらう..................と、言いたいところだが、
     君はさっき書いてた物語で、主人公にチャンスを与えていたね」


「チャンスが無ければ、そこで物語が終わってしまうからな」


(´・ω・`)「そうだ、終わってしまう、そこも肝心だよ」


(´・ω・`)「さっき君がしたように、僕も君にも、チャンスをやろう」


 ピィンと指を立てると、ショボンらしき、彼は僕を見据え直した。


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:11:28.13 ID:Vli2AR8W0
  

(´・ω・`)「さっき立てたスレッドの“物語”を
      キチンと完結させるんだ、どうだ、悪くない案だろ?」


「...............興味を失った物語を書くのは、好きじゃないけど、それくらいなら」


(´・ω・`)「話はまだ終わってない、よく聞け」


(´・ω・`)「物語の登場人物と同じく“AA”となって
      物語に登場してもらう、そうして、キチンと完結に導くんだ」



「そんな事、できる訳...」


(´・ω・`)「できるさ」


(´・ω・`)「ぼくが、逆をやってみせただろう
      それの逆をすればいいだけの、話さ」


78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:14:57.48 ID:Vli2AR8W0
  

 そうして、彼はパチンと指鳴りを始めた。
 乾いていて、よく響く、いい指鳴りだ。

 彼は、何度も何度も指鳴りを続けた。

 母の胎内の音など、聞き覚えはないが、
 もし今聞いたら同じ印章を持つだろうな、と思えるほどなめらかで、暖かなリズムと音だ。 


 彼の指鳴りを聞いていると、瞼が重くなってきた
 それに合わせて、視界もどんどん歪んでくる。

 身体と精神と世界の境界が、曖昧になってくる。

 どこまでが、私か、どこまでが世界か(はたまたショボンの指鳴りか)

 わからない、わからない。

 どんどんどんどん曖昧になってくる。。。。。。


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:21:42.01 ID:Vli2AR8W0
    

 そうして、気が付くと、僕はAAの身体を得ていた。
 さっき放棄したあの“物語”の世界にいることも、不思議と実感できた。


ミ,,゚Д゚彡「フサギコ、か」


 自分の身体を見渡してみて、そう判断する。
 見渡すと、噴水の前にデレがいる。さっき私が物語を放棄した場面そのままだ。


(´・ω・`)「さあ、物語にはいった、君にはたった一度のチャンスが与えられたんだ、有効活用したまえ
     ただ、1つだけルールがある、君が主人公に置いたデレと決して接触しないことだ
     主人公を操れると、すぐ完結までもっていけるからね、それじゃ面白みがない」


ミ,,゚Д゚彡「なるほどな、で、どう完結させろと」


   


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:26:41.01 ID:Vli2AR8W0
  

(´・ω・`)「思い出してみなよ、さっきまでの  
     作者失格になるまでの、神であった君はどうやってこの物語を動かしていた?」


ミ,,゚Д゚彡「そりゃ、キーボードを叩いて、
      セリフや文章を展開させて..........」


(´・ω・`)「だけど、君は作者失格になってしまった
     かつてのように、キーボードを叩くだけで好きに物語は動かない」

(´・ω・`)「もう神の力はないんだからね」


ミ,,゚Д゚彡「だったらどうすれば.........」


(´・ω・`)「もうすぐ、第一話がおわるんだったよね?
     どうやって第一話がおわるはずだった?」


ミ,,゚Д゚彡「えっと、噴水の前でとりあえず招き猫をバンドメンバーに加えたデレが
      嬉しさでギターをギターケースから取り出して、演奏するんだ
      で、演奏すると共に、背後で花火が打ち上がって、演奏に合わせて光がとびちっておわり、だったな」

(´・ω・`)「なるほど、現実じゃ凄く地味なのに、物語は無駄に華やかでファンタジーな所が君らしいね」

ミ,,゚Д゚彡「うるせえよ」


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:30:20.92 ID:Vli2AR8W0
  

(´・ω・`)「プロット通りにものがたりを進めてくれる道しるべである神は力を失った」

(´・ω・`)「なら、演奏と共に花火があがるだなんて、ご都合展開おこるわけないよね?」


ミ,,゚Д゚彡「おいおい...」


 ショボンが手に持つ花火を見て、一人納得する。
 そして舌打ち、もしかして......


ミ,,゚Д゚彡「プロット通りに話が展開するよう、おれが直々にうごけってか」

(´・ω・`)「理解したかい?じゃあ走っておいで」

ミ,,゚Д゚彡「うるせえよ」


 ショボンの手から、花火とライターを奪い取り、噴水の裏まで全力で駆ける。


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:40:02.10 ID:Vli2AR8W0

ミ,,゚Д゚彡「くそっ」

 デレの方を見ると、もうギターがギターケースから取り出されていた。
 まずい。時間がもうない。
 あれは、演奏と同時に花火が上がらなくては意味がない。
 そして、花火があがる位置だ。

 “物語”のカメラがデレの真正面にあるとしたら、
 デレの真背後で花火が打ちあがり、ギターから音色と共に光がでるような
 そういう演出描写なのだ、そうでなければ、ならない。

 そう決めたのだ。誰が?私が。
 
 物語をすぐ放棄するくせに、そういう細かいところでこだわる、だから書くのに疲れるんだ。
 読者は、そんな所みていない。もっとわかりやすくてキャッチャーなエンタメを求めている。 

 わかっているけど、やめられない、だからこそのこだわりなんだろう。

 やたら甘ったるい空気をかき分けて、途切れ途切れ視界に入る
 小さな虫どもの死骸が混じった薄気味悪い緑色の妖怪どもの死体を踏みつけ、足を動かす。

 腐った体液が飛び散る、服につく。物凄く不快だ。
 描写されない小説の裏側なんて、こんなもんだ。
 妖怪どもが跋扈する街だ、綺麗なものしか描写していなくても、こういうものはいくらでもある。

 間に合うかどうかギリギリだ、最近動いていなかったせいか、胸が、痛い。
 心臓が動くたびに苦しみを感じる。
 おれの咽喉がもう少し貧弱だったらこの場で嘔吐していたかもしれない。


97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:45:24.13 ID:Ao8JrYfD0
とりあえず
スレタイでものすごく期待したミヒャエル・エンデファンの俺に謝ってもらおうか


98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:47:07.64 ID:Vli2AR8W0
  

 肩がぶつかった、目の無い種痘がたくさんはえた
 ウーパールーパーのような醜悪な妖怪に呼び止められたが、応じている暇など無い。

 駆ける、とにかく駆ける。
 デレを見る、ギターをセットし、いまにもかき鳴らしそうだ。



 
 ギリギリスライディングで、目的地までたどり着き
 息も絶え絶えに、花火に火をつける。

 打ち上げようの花火だ、手にもってあげるものではないが、時間はない。

 もっとも、この手に持ってあげたとしても、間に合うかどうか微妙なのだが......


ミ,,゚Д゚彡「間に合え・・・っ!」

 

 火種がジジッ導火線を伝う。 そして次の瞬間。夜空に花が咲いた。


  


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:54:36.47 ID:Vli2AR8W0
   

  *     *     *     *



 猛然と沸くやる気に押され、私は背にかかっているギターケースをおろします。

 そして中身を取り出し、格好良くギターを掻き鳴らすのです。



ζ(^ー^*ζ ビビーン♪


 ギターが奏でるメロディと同時に、私の背後で大きく、美しい花火があがりました。
 ギターから、でてきたみたいで、とっても不思議で、綺麗です。

 モララーくんや、ツンの事も気になりますが
 赤い招き猫さんもかわいいですし、この異京都を暫く味わうのも、いいかもしれません。

 ペニサスさんが気に入るほどの演奏をすれば、きっと、文化祭のステージも成功するでしょう。


 恍惚の中で私は、もう一つギターをビィーンとかき鳴らしたのでした。



    


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 22:59:08.01 ID:Vli2AR8W0
    


 一体これから、どんな不思議な事があるのでしょうか。



 それを考えると、ナントモわくわく致します。


 相変わらず街は、甘く心地よい風が吹いていて、気分はとっても爽やかなのでした。


 未だ観ぬ、バンドメンバーに想いを馳せ。
 キラキラとした胸の高まりと共に私は夜の異京都の街中へ足を進めたのでした。




                                第一話 終



104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:00:16.19 ID:J7tEzEOK0
おつー


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:01:54.94 ID:PvaKycyx0
わお 

乙!


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:02:47.45 ID:dYwXvRMC0
おつ!!



107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:02:55.91 ID:Vli2AR8W0
  


  *     *     *     *





ミ,, Д 彡「はあはあ......」


 ドロドロになった身体をさすりながら、仰向けになり、喘ぐように呼吸をする。

 
 なんとか、間に合ったようだが、身体がズタボロだ。
 2回も、ギターをかき鳴らしたものだから、あわせて打ち上げ花火を2度も手で持ち打ち上げる必要があった。
 疲労や、コケた時の擦り傷も痛むが、火花によって生じた体中ヤケドも痛む。




 満身創痍。


 まさに、そうだ、満身創痍、今のおれの状況にぴったり。


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:03:29.68 ID:dYwXvRMC0
っと!?


109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:04:11.13 ID:PvaKycyx0
オウフwww


110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:06:51.94 ID:Vli2AR8W0
  

(´・ω・`)「よかったじゃないか、なんとか“物語”を一話完までもっていけたみたいだね」

 
ミ,, Д 彡「はあはあ......うるせえ......」


 肩で息をしながら、なんとか、答える。


(´・ω・`)「初回だから、今回は僕が花火を用意したけど
     次からは、展開に必要な道具も君が自分で用意するようにね」


(´・ω・`)「完結までのプロットは一応頭の中にあるんだろう?」

       .   .  .  
(´・ω・`)「 創 造 主 さん」


 その皮肉を言い残すと、ショボンは消えてしまった。



ミ,, Д 彡「ぜえぜえ.........」


 これを、“物語”が完結するまで裏側で、続けるのか。


111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:10:44.36 ID:Vli2AR8W0
   

ミ,, Д 彡「ちょっと、ハードすぎるだろう......」


ミ,,゚Д-彡「よっと」

 
 息を整え、なんとか立ち上がると
 先程の目の無い種痘がたくさんはえたウーパールーパーのような醜悪な妖怪がいる。
 
 やたらといきりたっているようだ。
 どうやら、肩をぶつけた事と、呼び止めてもシカトしたことを怒っているらしい。
 

「………」


ミ,,;゚Д゚彡「……あ、さっきはごめんなさい」


ミ,,;゚Д゚彡ギャー!!!!!


 私が“物語”の主人公であるなら、ここでなんらかの助けが入るのだろうが......
 “物語”のご都合主義恩恵を得られない私には、助けなど入ることもない。


114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:13:55.42 ID:Vli2AR8W0



 “作者”であったころの私はキーボードをピョコピョコ叩くだけで、いくらでも好きな展開を創造できたというのに
 いまの私は、余りにも無力だ。



 案の定妖怪に殴られ蹴られ、更にボロボロになった私は思い馳せる。
   

 一体これから、完結に至るまでどんな理不尽な事があるのだろうか。



 それを考えると、ナントモ死にたくなる。


 相変わらず街は、甘く腐った臭いのする風が吹いていて、気分は肥溜めより最悪だ。


 未だ観ぬ、展開を動かす為の労力。
 暗澹とした気分の落ち込みと共に、私は主役であるデレの姿を追って夜の異京都の街中へ足を進めたのだった。


116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:14:57.08 ID:Vli2AR8W0







 作者失格となり、物語の裏側で、自ら動くことでしか、話を動かせ無くなった作者の物語。






             


117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:15:37.65 ID:Vli2AR8W0
     




  これは 私と 彼女の物語だ。





    
                      


119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:20:46.26 ID:Vli2AR8W0
以上で終わりです。
読んでくれてありがとうございました。

レスで聞かれてましたが、スレタイの拝借元はミヒャエル・エンデのはてしない物語、です
共通点は物語の中に入り込む、くらいしかないのですが、好きな本なので、つい拝借しちゃいました。


スレで現れ、秋田と宣言したID:Vli2AR8W0は私ではありません。
いやID:Vli2AR8W0は私なのですが、あのID:Vli2AR8W0は私じゃありません、なんだこれ

ただのIDかぶりならいいのですが、家族だとしたらなんかいやだな・・・ よくIDかぶるのです。

あとめろんさんでもないです、ごめんなさい。


それくらいかなー、それでは、また機会があれば、よろしくお願いします。



120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:21:27.23 ID:J7tEzEOK0
おつ


121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:22:03.41 ID:3zm8Kkh4O
新鮮で面白かった



122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:22:23.11 ID:zQ/BVdj80



123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:23:37.01 ID:7lr2hYB+P
面白かった 乙


124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:24:50.99 ID:qTf9RhM70
つづく?


125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:25:39.78 ID:LDGo2SPS0

普通にメタネタだと思ったらひねりがあって面白かった
次も期待してる


126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:26:53.51 ID:pCP9pz7DO
エンデを期待して開いた


127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:27:23.80 ID:dYwXvRMC0
おつー
でもめろんちゃんでないというのは信じない


128 : ◆u.EqfSmOZzpL :2010/06/05(土) 23:30:11.30 ID:Vli2AR8W0
一応トリだしておきます。

覚えている方いるかどうかわかりませんが
( ・∀・)雨降りモララーくんのようですなど書いた事があります。ほんとに「めろんさん」ではないです……

一応続きもので考えてます。


129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:33:29.62 ID:I/XCZo3G0
おお、あんたか


130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:34:30.27 ID:qTf9RhM70
おつです
まってます


131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:34:47.81 ID:rP3sMDki0
期待しないで見てたらがっつり見てしまった



132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:38:25.49 ID:PvaKycyx0
あれも楽しんでみてたよ

おつ!期待する


134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:39:28.54 ID:LDGo2SPS0
おお、雨降りモララーくんの人だったのか
フサギコみたいにあんたも、物語を完結させてくれよ
楽しみにしてる


135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/05(土) 23:42:37.90 ID:o6r1pWku0
雨降りの人か



136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/06(日) 00:05:35.21 ID:5DKEV9C40
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_083.jpg

乙ー


137 : ◆u.EqfSmOZzpL :2010/06/06(日) 00:08:06.89 ID:GCl4INWh0
うわー!絵だ絵だ!
ありがとうございます!がんばります



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  1. ■Re: ミ,,゚Д゚彡 はてしない物語のようです 第一話 [くるくる名無しさん]

    森見登美彦読んでるのか?
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