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◆o川*゚ー゚)oは残像のようです 第二話 ため息つく顔は笑っている

前の話/インデックスページ/次の話

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:34:42.66 ID:1fDyPVtN0
一番窓際の列の、ちょうど真ん中の席から外を眺める。
校舎に半分ほど隠れてしまっているが、さっきの桜の木が見える。
入学式の呼び出しを待つ教室は静かだ。

「――なんだよな! それでさ――」

時々耳に入ってくる会話は、どれも親しげに聞こえる。
きっと同じ中学の知り合いや友達に違いないだろう。
そうでもなければ、入学早々仲良さげに話しかけてくる人間なんていない。



o川*゚ぺ)o「ねーえー、ちょっとモララーこっち見てよー。
       こんな美少女と超至近距離で見つめ合って会話できるんだよ?
       それなのに外ばっか見てるってどういう事ー?」



前の席から振り返って、僕の席に突っ伏してすねてるキュート以外は。


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:38:16.60 ID:1fDyPVtN0













o川*゚ー゚)oは残像のようです

第二話 ため息つく顔は笑っている
















60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:41:27.12 ID:1fDyPVtN0
~~~~~~

o川*゚ー゚)o「んーっ、なんで校長はあんな長く話せるんだろうねー」

入学式が終わって体育館からの帰り道。
大きく伸びをしたキュートが振り返って呟く。

( ・∀・)「それより、男女に分かれて並んでたのになんでキュートが僕の前にいるのか。
      その理由の方がよっぽど僕は気になるね」

o川*゚ー゚)o「バレた? てへっ」

自分の頭を軽く小突いて、ドジっ子だとでも言わんばかりのリアクションを取る。
誰も注意しないのはあまりに自然すぎたからか。
それとも、面倒くさい事になるのを察知したからか。

( ・∀・)「初っ端から好き勝手やってると友達出来ないぞ」

o川*゚ー゚)o「いーもん、モララーがいるもんっ」

あっさりそう言い放つと、前へと向き直る。
正直、たくさんいてくれた方が僕の負担も減ってありがたいんだけど。

( ・∀・)(あんま期待してないけどさ……)

列の前の方へと視線を向け、そこから後ろまでぐるりと見渡す。
色んな場所から来ているだけあって、色んな人間が見て取れた。
この中に、どれだけ彼女を理解してくれる人間がいるだろうか。


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:44:05.91 ID:1fDyPVtN0
~~~~~~

(゚、゚トソン「今日から皆さんの担任になります、トソンといいます。
      私も今年からこのVIP高校に赴任してきたので皆さんと同じ一年生です。
      お互い助け合って学校生活を送っていきましょう」

教室に大きな拍手の音が鳴り響く。
トソン先生が若くて凛とした美人だからだろうか。
特に男子の拍手が大きく聞こえる。

(゚、゚トソン「それでは、出席を取るのも兼ねて自己紹介をしてもらおうと思います。
     名前を呼ばれたら立ち上がって返事と、趣味や特技を教えてください」

( ・∀・)(遂に来た……)

これからの高校生活を左右すると言っても過言ではない自己紹介。
僕は当たり障りのない自己紹介をするとして、

o川*゚ー゚)o「トソン先生美人だねー、綺麗な人の代名詞って感じ!
       キューちゃん可愛い系だから被らなくてよかったよ」

未だに呑気に話しかけてくるキュートをどうするか。


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:47:08.21 ID:1fDyPVtN0
すでに何人かは自己紹介を終えている。
この分ではキュートの番が回ってくるのも遠くない。
周りの邪魔にならないように小声で耳打ちする。

( ・∀・)「なあ、キュートはなんて自己紹介するんだ?」

o川*゚ー゚)o「えー? 残像の事」

当たり前のように言ってのける。
どうもよっぽど自慢の特技らしい。
しかし、それだけは言わせる訳にはいかない。

( ・∀・)「いや、それ以外で」

o川*゚ー゚)o「えーっと……思いつかない」

今までどんな生活をしてきたら残像以外思いつかなくなるんだろうか。

(;・∀・)「残像じゃ色々まずいからさ、なんとか他の……」

o川*゚ぺ)o「別に何言ってもいいじゃん、モララーのけちんぼ!
       分かった! キューちゃんを独り占めしたいんだなっ!
       草食系な顔して心はオオカミさんなのねっ!」

キュートはむっとした顔で自分の席の方へ向き直ってしまう。
どうやったら僕の発言をそんな都合よく捉えられるのか。
そんな事を考えてあきれ返っていた時だった。


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:50:08.80 ID:1fDyPVtN0
(゚、゚トソン「それでは……素直キュートさん」

トソン先生の澄んだ声で、キュートの名前が呼ばれた。

結局キュートは聞く耳を持ってくれなかった。
ここまで来てしまったら、もう僕に出来る事は無い。
後は彼女の気まぐれに祈るしかなかった。

(;・∀・)(頼む! 急に気が変わってくれ!)

効果があるかは分からないけど、力を込めて両手を合わせる。
その目の前でキュートが勢いよく立ち上がった。
公園で聞いたのと同じ、よく通る声で自己紹介を始める。

o川*゚ー゚)o「素直キュート、シベリア中学出身でっす!」

(;‐∀‐)(神様あああああああっ!)

ぎゅっ、と目を閉じて組んだ指を額に当てて祈る。
自分以外のためにこんなに真剣に神様に祈ったのは初めてだった。


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:53:06.42 ID:1fDyPVtN0
「特技は残像でっす!」

僕が目を閉じるか閉じないかという瞬間、何かを強く蹴ったような音が聞こえた。
その音とほぼ同時に、キュートの声が遥か前方から聞こえた。

(;・∀・)「……」

恐る恐る開いて見えたのは、



(゚、゚;トソン



唖然とした表情のトソン先生と、



o川*゚ー゚)o



その眼前に立つキュートの姿だった。


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:56:06.89 ID:1fDyPVtN0
まだ何が起こったのかみんな理解出来ていないのだろうか。
教室は、キュートの声を最後に完全な無音になった。
隣の教室の声が、はっきり聞き取れるほどに。

(;・∀・)(おいおい……洒落にならないぞ……)

誰かが騒ぎ出したら、みんな一斉にパニックになってもおかしくない。
そうなれば、キュートに危険が及ぶ可能性だってありえる。
そうなる前に僕がしなくてはいけない事は、ただひとつ。

(;・∀・)(キュートを連れて……ここから逃げる事!)

そう考えた瞬間、無意識のうちに僕の体は勢いよく立ち上がった。
誰よりも速く彼女の元へたどり着こうと、床を思い切り蹴って駆け出した。
味方として、大勢の敵から彼女を守るために。

(;・∀・)「キュー……」

僕に気付かせようと、名前を呼ぼうとした時だった。

「すっげえええええええええええええええええええええええええ!!!」
「かっこいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「かっこかわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
「謎の美少女ktkr!!戦いに巻き込まれてその中で愛が芽生えるフラグktkr!」

(;・∀・)「うぼあああああああああああ!!」

後ろから迫ってきた歓声と人の波に、僕は飲み込まれた。


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 21:59:05.77 ID:1fDyPVtN0
~~~~~~

(;・∀・)「なんだこれ……」

僕はキュートのいた場所に出来た人混みを呆然と見ていた。
もう誰も机に座ってなんていない。
クラス中の人間がキュートの元へ集まっていた。

「どうやったの!?今のどうやったの!?」

「なんで出来るの!?」

「キュートさん可愛いね!連絡先交換しようよ!」

中心にいるであろうキュートに次々と質問が畳みかけられる。
しかし、声と声が重なり合ってまともに聞き取れるのはごく一部だ。
静まり返っていた時間を取り戻すかのように、教室は喧騒に包まれていた。

「地面を思いっきりばーんっ!!!って蹴ったの!」

「もうこれで歩けなくなっても構わないという覚悟したからっ!」

「こらー、いくらキューちゃんが可愛いからってあんまがっついたらめっ!」

それでも、時折キュートが慣れた様子で質問を捌く声が聞こえる。
どうやら全ての質問を聞き分けて答えているらしい。

(;・∀・)(聖徳太子の専売特許が……)


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:02:24.44 ID:1fDyPVtN0
(゚、゚;トソン「な、なななな何なんですかあの子は……」

完全にパニック状態のトソン先生が、僕に問いかける。
さっきまでのクールな雰囲気はすっかり失せてしまっている。

(;・∀・)「あ……ちょっと残像が出せるらしいです……」

こう説明するしかないけど、我ながら何を言ってるんだろうと思った。

(゚、゚;トソン「そそそそんな事ありえなくぁwせdrftgyふじこ」

(;・∀・)「先生! 気をしっかり持って!」

卒倒してしまった先生を慌てて支える。
もっと遠まわしに説明すればよかった、と罪悪感を感じた。

(;・∀・)「ど、どうしよう……」

先生はこの調子だとしばらく目を覚まさないだろう。

「頑張って能力に目覚めるので付き合ってください!」

「女の子同士でも構わないと思います!」

(;・∀・)「……」

そうなると、質問タイムを終わらせる人がいない。


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:05:08.69 ID:1fDyPVtN0
(;・∀・)「とりあえず先生を保健室に連れて行こう……」

かなり予想外だったけど、キュートもあの様子なら大丈夫だろう。
賑わう人混みを横目に、先生をおぶって教室を出た。

~~~~~~

「キューちゃんお昼食べよー!」

o川*゚ー゚)o「いいよー!」

キュートの席に椅子と昼食を持った女の子達が集まってくる。
そして、楽しげな声がすぐに飛び交い始めた。
これが巷で噂のガールズトークというやつだろうか。

( ・∀・)「……」

その様子を眺めながら、パンを頬張る。
ふと、窓の外へ視線を移してみる。
公園の桜の木は、すっかり新緑に染まっていた。



あの波乱の入学式から一ヶ月が経っていた。


80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:08:06.06 ID:1fDyPVtN0
「おいおい、何枯れてるんだよ?」

後ろから聞こえた声に反応して振り返ると、鮮やかな金髪が視界の隅に見えた。
こんな色の頭で、僕の知り合いと言えばひとりしか知らない。

( ・∀・)「……なんだジョルジュか」
  _
( ゚∀゚)「そんな心底どうでもよさそうに言わないでくれよ」

そう言いながら、ジョルジュは近くの誰もいない席から椅子を持ってくる。
そして、僕の机の横にどっかりと腰掛けた。

( ・∀・)「お前は僕よりキュート目当てだろ」
  _
( ゚∀゚)「いやいや、ちゃんとモララー目当てだぜ?
     ただ、キューちゃんに時々目が行ってしまうだけだ」

(;・∀・)「さっきから僕に話しかける時以外はずっとキュートを見てるくせに!」

話すのが得意じゃないから、こうやってよく喋ってくれるのはありがたい。


82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:11:05.02 ID:1fDyPVtN0
  _
( ゚∀゚)「しっかしまあ……」

( ・∀・)「なんだよ?」

キュートの背中を見つめながらジョルジュが呟く。
ついに話しかける時も僕を見なくなったか。

  _
( ゚∀゚)「最近キューちゃんと一緒にいないよな。
     これじゃせっかくモララーと仲良くなったのにキューちゃんとお近づきになれないぜ」

(;・∀・)「お前やっぱりキュート目当てじゃん!」
  _
( ゚∀゚)「いや、モララーはいい奴だし好きだぜ?
     でも、キューちゃんの方がもっと好きなだけだ」

(;・∀・)「弁明になってない!ぜんっぜんなってない!」

キュートと一緒にいないのは本当だ。
入学式での一件以来、キュートはあっという間にクラスの人気者になった。
そうなると、たくさんの人が彼女に近づいて来る。

最初は昼休みは僕と一緒に昼食を食べたりしていた。
だけど、今はもっぱら女友達と食べるようになっている。
キュートと接する時間は目に見えて減っていった。


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:12:14.33 ID:2k+O4uV9O
青春だなあ


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:14:12.11 ID:1fDyPVtN0
  _
( ゚∀゚)「そんなモララー大好きっ子な俺から一言ある」

ジョルジュが急に真面目な顔になって、話を切り出した。

( ・∀・)「……?」
  _
( ゚∀゚)「お前が枯れてるって言ったろ? 冗談で言った訳じゃないぜ」

何を言ってるのかいまいち分からない。
それを知ってか知らずか、ジョルジュは話を続ける。
  _
( ゚∀゚)「最近のモララーは何か違うんだ。
     何が違うか、って聞かれても上手く言えないけどな。
     ただな、キューちゃんと一緒にいないようになった頃からそんな感じがする」

( ・∀・)「……」

そんな事はないと思ってはいても、何故か口に出せなかった。
騒がしい教室の中で、僕らだけの間に静寂が訪れる。
  _
( ゚∀゚)「ま、俺にはそう見えるってだけだ」

しばらく経ってから、ジョルジュはそう言って話を切り上げた。
真面目だった顔は早々に崩れ、今はニヤニヤしながらキュートの背中を見ている。


85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:17:05.18 ID:1fDyPVtN0
特に何もする事がないので、僕もなんとなくキュートの方へ視線を向ける。
栗色の髪の向こうに、楽しそうに喋る横顔がちらりと見えた。

( ・∀・)「……」

僕は何故、さっきジョルジュに何も言わなかったんだろう。
そんな事はない、と口に出せば全て否定してしまうからだろうか。

( ・∀・)「……」

僕は何を否定する事を恐れたんだ?
僕が最近枯れているという事を?
枯れていないとしても、何か違うという事を?

( ・∀・)        o川*゚ー゚)o

キュートと一緒にいないようになった頃から、という事を?
否定してしまえば、キュートがいなくても平気だと。
そういう事になってしまうから?


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:20:07.21 ID:1fDyPVtN0
「あー、ジョルジュ君がニヤニヤしながらこっち見てるー」

「やーらしー」

前から聞こえて来た声で、ふと我に帰った。
キュートと一緒にいた女の子達がこっちを見ている。

  _
( ゚∀゚)「待て、誤解だって。決していやらしい事は考えてない。
     ついみんなの可愛らしさに見とれてしまっていたんだ」

「どーせキューちゃん見てたんでしょ?ちぇー」

ジョルジュの嘘100%で出来た軽妙な言い訳が炸裂する。
もちろん通用せず、女の子のひとりがつまらなさそうに唇を尖らせた。
これもジョルジュの端正な顔立ちと、明るい性格の為せる技か。

o川*゚ー゚)o「こーらー、キューちゃんに見とれるのはいいよ?
       でもキューちゃんのお友達に迷惑かけちゃめっ!」

当の本人は相変わらずの鬱陶しさを発揮している。
この性格で女の子と仲良くなれるものなんだろうか。
もっとドロドロしてるイメージがあるんだけど。

o川*゚ー゚)o「お? もしかしてモララーも見とれちゃってた系?」

ジョルジュ達のやり取りも見ていた僕に、キュートが話しかけて来た。


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:23:16.06 ID:1fDyPVtN0
(;・∀・)「系も何も最初っから見とれてません!」
  _
( ゚∀゚)「すっかり見とれてボーっとしてたくせに」

(;・∀・)「考え事してただけだ!」

ジョルジュが意地の悪い笑みを浮かべながら、僕を巻き添えにしようとしてくる。
勘弁してくれ。僕はお前みたいに顔も良くなければ、社交的でもないんだ。
女子に対する受けってやつに、越えられない壁があるんだよ!

o川*゚ー゚)o「何考えてたのかにゃ~?」
  _
( ゚∀゚)「『僕、キューちゃんがいないとさみちいよぉ~』とかじゃね?」

(;・∀・)「僕の心の内を捏造するなあああっ!」

ジョルジュと全く同じ笑みを浮かべたキュートが、わざとらしく聞いてくる。
それに僕の声真似だろうか、妙に甲高い声でふざけた返答を返すジョルジュ。

o川*゚ー゚)o「やっぱりかー、でも仕方ないね。
       もうモララーはキューちゃんなしじゃ生きていけない体だもんね」
  _
(;゚∀゚)「Oh……Morara is not cherry boy……」

(#・∀・)「しれっと誤解を招くような発言をするなあああああ!!」


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:26:30.90 ID:1fDyPVtN0
o川*^ー^)o「あははは、ゴメンゴメン
  _
( ゚∀゚)「可愛いフリしてモララー割とやるもんだねと~♪アハハハハハ」

(;・∀・)「戻ってこいジョルジュううううう!!」

キュートと関わると、途端に急に賑やかになる。
僕が否定したくなかったのは、こんな日常なんだろうか。

( ・∀・)「……」

o川*゚ー゚)o「……」

~~~~~~

(゚、゚トソン「それではこれでHRを終わります」

トソン先生の声を皮切りに、教室の静寂が破られる。
入学してすぐ、キュートが騒ぎすぎて本気で先生が怒って以来ずっとこんな調子だ。

( ・∀・)(キュートを誘って帰るか……)

元々はキュートが、

o川*゚ー゚)o『キューちゃん美少女だから何かあったら困るでしょ!?
       だから一緒に帰ろうよ! ポロリもあるかもよ!?」

とか言っていたから渋々と一緒に帰っていた。
しかし、最近は女友達数人と帰るようになっていた。



92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:29:06.88 ID:1fDyPVtN0
それはそれでよかった。よかったんだけど。

( ・∀・)(ジョルジュのせいだ……)

昼間のジョルジュの指摘のせいか、何だかもやもやする。
その正体を確かめるには、キュートと接触するのが手っ取り早い。
そう結論付けて、放課後に至った訳だ。

( ・∀・)「なあ、キュート」

o川*゚ー゚)o「なあに? 写真なら撮っていいけど売っちゃダメだよ?」

帰り支度をしている前の席のキュートに声をかける。
反応はしてくれたけど、余計かつイラッとくる一言が付いてきた。
いつもならツッコんでやるけど、今回は話をさっさと進めたいからスルーする。

( ・∀・)「今日何も予定が無いなら一緒にk――」

「キューちゃん一緒に帰ろー!」

「駅前の美味しいスイーツのお店行こう!?」

「こないだ雑誌に出てたとこ! 行きたいって言ってたよね?」

僕の声は、割って入ってきたより大きな声にかき消された。


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:32:11.35 ID:1fDyPVtN0
「あ、ごめんモララー君。何か話してた?」

(;・∀・)「ああ、いや……いいんだ。大した用事じゃなかったし」

勢いに気圧されて、ついそう言ってしまった。
みんなそれを聞いて満足したのか。
キュートを囲んで、早く行こうと催促する。

o川;゚ー゚)o「え……あ……」

キュートは僕の方を困ったように見ながら、為すがままに連れて行かれる。
その姿が教室のドアの向こうに消えてから、誰にも聞こえないように呟いた。

( ・∀・)「……ひとりで帰るか」

きっとこれでよかったんだろう。そうに決まっている。
気の合う女友達を大事にするのは間違ってなどいない。
あれこれ考える前に、カバンを肩に抱えて教室を出た。

( ・∀・)(綺麗だ……)

校門を出た所で、空を見上げてみた。
真っ赤な夕日が、目にしみるほどに輝いていた。


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:34:47.42 ID:2k+O4uV9O
かわいいよ!


95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:35:07.51 ID:1fDyPVtN0
おもむろにその夕日の方へと歩き出す。
目的は公園前の自販機のレモンスカッシュだ。
晴れない気分を、文字通りスカッとした物にさせてくれるだろう。

「おーい!!!」

そんな事を考えていた矢先に、聞き覚えがある声が遠くから聞こえた。
直後、背後に吹いた一陣の風と共に、何か柔らかい物が背中にぶつかった。
そして、首に回された白い手と耳元から聞こえる声は、





o川*゚ー゚)o「つっかまえた! ふいー、よかったー間に合って!」

キュートのものだった。


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:38:10.56 ID:1fDyPVtN0
身長の関係上、必然的に僕は後ろの方へとのけぞる様な体勢になる。
しかし、そんな事はお構いなしと言わんばかりにキュートはまくしたてる。

o川*゚ー゚)o「いやね、さっき何言おうとしてたか気になって気になって。
       それにお昼も何か元気無さそうで変だなって思ったし。
       だから今日はゴメンってお誘い断って追いかけてきちゃった」

そう話すキュートの吐息は少しばかり荒れている。
そんなに急いで追いかけて来たんだろうか。
たったそれだけの用事のために。

o川*゚ー゚)o「それで? このキューちゃんにどんな恋の相談?
       実はキュートの事が……なんて展開でもオッケーだよっ!」

( ∀ )「……なんで」

o川*゚ー゚)o「ふぇ?」

( ∀ )「なんで僕なんかを追いかけて来たんだよ。
     他に仲のいい奴なんてたくさんいるだろ。
     そっちのを大事にした方がいいよ」

人の気も知らずに、いつも通りのキュートにいらついて語気が強くなってしまう。
それを聞いたキュートは首から手を離すと、僕の正面に回ってきた。

o川*゚ー゚)o「なんでって……モララーはわたしの味方でしょ?」

( ∀ )「……ああ」

もう必要ないだろうけど、と続けようとした時だった。


97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:41:19.89 ID:1fDyPVtN0
o川*゚ー゚)o「だったらわたしもモララーの味方だよ。味方が困ってたら助けるでしょ?
       まあ、そもそも困ってるのかは全然分からないけど」

( ・∀・)「……」

o川*゚ぺ)o「んー、それにモララーは他の人と違うってゆーか……」

o川*^ー^)o「上手く言えないけど……特別だよ」

ひとしきり悩んで見せた後、満面の笑みでそう言い切った。
この一ヶ月で僕はすっかり忘れていたようだ。キュートはバカなんだ。
特別な、大事な人間のためなら損得も考えず動くような。

そして、僕は彼女にとってそんな存在だったようだ。

( ・∀・)「……キュート」

o川;゚ー゚)o「ま、またプロポーズ?」

( ・∀・)「ありがとう。もう悩みは解決したよ」

o川;゚ー゚)o「えー? キューちゃんまだ何もしてないよ?」

分からなくても、充分してくれたよ。


99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:44:12.92 ID:1fDyPVtN0
「お礼にレモンスカッシュおごってやるよ」

「も、もしかして後で『代金は体で払ってもらうぜぐへへ』とか……?」

「はあ……何をどうしたらそんな結論になるんだよ?」

「……ぷぷっ」

「今のどこに笑う要素があるんだ?」

「モララーって変だね」

「なんでさ?」

「だって……」








「ため息ついてるのに笑ってるんだもん」


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:46:44.50 ID:1fDyPVtN0

















o川*゚ー゚)oは残像のようです

第二話 ため息つく顔は笑っている

終わり










102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 22:48:55.41 ID:2k+O4uV9O
乙でした!


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:02:28.33 ID:1fDyPVtN0
最後の最後でさるった……

以上で終わりです。
続きはまだまだ先になりそうです。

ここまで見てくださった皆様、支援等ありがとうございます。
スレ立てて投下は初なのでレスひとつひとつがすごく嬉しかったです。
次見かけた時も読んでくださると泣いて喜びます。

何か質問や感想などありましたらなるべく答えます。


104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:04:40.49 ID:tptqGchiO

全何話予定?


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:09:42.38 ID:jIw5b4rVO
これが処女作ってことか

乙でした!


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/19(土) 23:13:04.28 ID:1fDyPVtN0
>>104
今のところ全9話の予定です

>>105
先月の5レス短編祭りで一応書いた事はあります



前の話/インデックスページ/次の話

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