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◆o川*゚ー゚)oは残像のようです 第三話 熱くなれるだけ熱くなればいい

前の話/インデックスページ/次の話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:04:19.08 ID:BVDEkddk0
はじまるよー


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:06:42.24 ID:VIzLHb3v0
まとめ

ブーン速。
http://hoku6363.fool.jp/

くるくる川 ゚ -゚)
http://kurukurucool.blog85.fc2.com/

第三話投下します


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:10:06.97 ID:VIzLHb3v0
夏と勘違いしたかのような強さで太陽が輝く。
じめじめした空気と相まってやたら不快だ。
その空気を切り裂いて、白線の向こうまで駆け抜ける。

(;・∀・)「はぁっ……ぶはっ……」

今のはなかなか速かったんじゃないだろうか。
タイムを確かめるべく記録係の元へ歩いて行く。
そうしている間に、スタートの合図である火薬の炸裂音が響いた。

(;>∀<)「うあっ! 眼があっ! 眼があああああああっ!」

聞こえたと思った瞬間、目の前の砂が一気に舞い上げられた。
為すすべもなく、僕の眼は砂による奇襲を受けてしまう。
痛む眼を押さえていると、怒鳴り声が聞こえて来た。

「素直さん! そのスピードで走られたらタイムが計れないって言ってるでしょう!」

「で、でも思いっきり走ると出ちゃうんですよ!」

(#>∀<)「あんにゃろう……」

季節はもうすぐ梅雨。
高校生活初めての体育祭が迫っていた。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:11:32.82 ID:VIzLHb3v0













o川*゚ー゚)oは残像のようです

第三話 熱くなれるだけ熱くなればいい
















9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:15:07.52 ID:VIzLHb3v0
( ;∀;)「いたたた……」

かなりの量の砂が入ってしまったらしく、涙が止まらない。

( ;∀;)「先生すいません……眼洗ってきます」

(   *川「分かったわ、いってらっしゃい」

輪郭しか見えない先生に了承を得る。
それから、ぼんやりとした視界を頼りに水場へ歩いて行く。

( ;∀;)「えーと……あったあった」

手探りで蛇口を探し当ててひねる。
なんとも微妙な温度の水が腕にかかるのを感じた。
少しすくい上げて、そこに眼を突っ込んでまばたきを数回。

( ・∀;)「ああ……かなり楽になった」

顔を上げて目元を拭って、周りを見てみる。
異物感が少しあるけど視界はかなり鮮明になっていた。
おかげで、
  _
( ゚∀゚)「よっ」

(;・∀;)「うおああっ!!」

いつの間にか隣にいたジョルジュの顔もはっきりと見えた。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:18:09.61 ID:VIzLHb3v0
(;・∀;)「なんでいるんだよ! ていうかいつからいた!?」
  _
( ゚∀゚)「お前が水場に向かってから、ずっと後ろを尾けていた。
     つまり、最初からって事になるな」

要するに、授業をサボって僕を驚かせに来たようだ。
別にジョルジュが怒られるのはどうでもいい。
だけど、今頃先生は怒ってるんじゃないだろうか。

(;・∀;)「堂々と授業抜けてくるなよ……」
  _
( ゚∀゚)b「いや、モララー君が危ないので着いて行きますって言っといた。
    これで授業もサボれるし、先生からの評判もアップだ」

( ・∀;)「僕をサボるのに利用しただけじゃん……
      でも、びっくりしたよ。てっきりジョルジュまで残像使い始めたんだと……」
_
(;゚∀゚)「あれは……無理だろ」

ジョルジュらしからぬ低いテンションで否定する。
例え、冗談でも出来るとは言えないほどの物なんだろう。
  _
( ゚∀゚)「そうだ、モララー。キューちゃんの事なんだけどさ……」

( ・∀;)「んー?」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:21:11.74 ID:VIzLHb3v0
蛇口から直接水をかけて眼を洗っていると、ジョルジュが話しかけてきた。
呼びかけに応じて顔を上げると、真剣な顔で僕を見ていた。
ただならぬ空気を察したので急いで眼を拭い、次の言葉を待つ。
  _
( ゚∀゚)「キューちゃんってさ……おっぱいでかくね?」

真面目な顔で、真面目な声で切り出された話題。
それは、張り詰めた空気を完全に壊すには充分なものだった。

( ・∀・)「保健室に行ってバカの治る薬でも貰ってこい」
  _
( ゚∀゚)「待て、その言葉そのまま返させてもらおう」

出来る限り冷たくあしらって、お引き取りを願う。
しかし、逆にジョルジュは僕に噛みついてきた。
  _
( ゚∀゚)「知ってるか? おっぱいには夢が詰まっている。
    大きければ大きいほど、夢も大きくなる。
     男なら大きな夢を見るだろう? いや、見るんだ。絶対に。
     キューちゃんのおっぱいにはそれがはちきれんばかりに詰まっているんだ。
     お前はあれを見て何も感じないのか? そんな事はないだろう?
    男なら大きな夢に一心不乱に向かって生きていきたいだろう?
     男ならキューちゃんのおっぱいを一心不乱にぱふぱふしたいだろう?
     さあ、モララーはキューちゃんのおっぱいを見たら目が離せなくな~る……
     飛び込みたくて仕方なくな~る……」

(;・∀・)「危ない団体みたいな洗脳しようとするな!」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:24:07.37 ID:VIzLHb3v0
  _
( ゚∀゚)「何が危ないんだ? 俺はただおっpp――」

ジョルジュの熱弁を遮るようにチャイムが鳴った。

(;・∀・)「あっ、授業終わっちゃったじゃん!」
  _
( ゚∀゚)「ちょうどいい、たっぷりおっぱいの魅力について教えてやる」

そんな事はお構いなしと言わんばかりに、話を再開するジョルジュ。
このままじゃ一日中授業そっちのけで語られそうだ。
何とかして逃げ出す方法を考えていた時だった。

「おーい、モララー! ジョルくーん!」
 _
(*゚∀゚)「こ、この声はっ!!!」

校庭の方から聞こえた声に、嬉々としてジョルジュが振り向いた。
その顔は、おもちゃを与えられた子供のように輝いている。

o川*゚ー゚)o「ごめんねジョルくーん、うちのモララーが迷惑かけてー!」

声のした方向へ振り向くと、キュートが小走りでこちらに向かって来ていた。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:27:09.08 ID:VIzLHb3v0
(#・∀・)「誰のせいでこんな目にあったと思ってるんだよおおおお!!!」

o川*゚ー゚)o「だからごめんって言ってるじゃーん!!!」

(#・∀・)「ジョルジュじゃなくて僕に謝れええええ!!!」

o川*゚ー゚)o「ごーめーんーなーさーいー!!!」

言葉の遠距離キャッチボールをしながら、キュートは徐々に近づいてくる。
顔もはっきり見えるほどの距離になった時だった。
  _
( ゚∀゚)「モララー、よく見るんだ」

( ・∀・)「何をだよ?」

ジョルジュが横から何やら言ってきた。
その視線はキュートを真っ直ぐに見つめている。
  _
( ゚∀゚)「胸元を見てみろ。あの柔らかそうに揺れる、たわわに実ったふたつの果実を。
     あれを見て、それでもおっぱいの素晴らしさを理解出来ないと言えるか?」

o川;´д`)o「つ、疲れたぁ……叫びすぎたぁ……遠いよぉ……」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:30:06.49 ID:VIzLHb3v0
死にそうな顔になりながら、ふらふらと歩いて来るキュート。
その胸に抱えられているふたつの膨らみ。

( ・∀・)「……」

大きさはキュートの顔くらいだろうか。
彼女の顔が小さい事を差し引いてもかなりの大きさだ。

o川;´д`)o「も、もうちょい……」

相変わらずキュートは右へ左へ危なっかしくこちらに向かってくる。
それにつられるように左右に胸も揺れている。

o川;´д`)o「着いたー……水ぅ……」

僕の横をすり抜けて、水場に真っ直ぐに向かって行く。
横から見た胸は重力に負ける事なく、お椀の形を保っていた。

o川*゚ー゚)o「ふいー、生き返ったー!」

いつもの元気を取り戻したキュートは、僕の正面へ歩いてきた。
近くで見るとなかなかの迫力だな、なんて考えが頭をよぎる。

o川*゚ー゚)o「……いつまで胸見てるの?」

(;・∀・)「はっ!?」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:30:39.79 ID:Vbdhv3lX0
おっぱああああぁああぁぁぁぁい!!!


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:32:37.19 ID:48/giFr3O
性春の話か


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:33:08.26 ID:VIzLHb3v0
(;・∀・)「そ、そんな事……」
  _
( ゚∀゚)「キューちゃんがこっち来るまでの間、
     『キューちゃんのおっぱいちゅっちゅしたいよぉ~』
     って散々言ってたくせに」

(;・∀・)「言ってなあああああああああい!」

ジョルジュがいつか見せた似てない僕の物真似をする。
内容は相変わらず僕の心の内の捏造だ。
今回は本当に少しだけ真実が含まれているけど。

o川*゚ー゚)o「あー、モララーったらキューちゃんの胸見てえっちな妄想してたんだー。
      いーけないんだーいけないんだー、せーんせーに言っちゃーお」

(;・∀・)「やめろおおおおおおおお!!!」
  _
( ゚∀゚)「す、素直さんどうしたんですか!? 急に泣き出したりして!」

o川*゚ー゚)o「ひっぐ……同じクラスのモララーくんが……
      モララーくんがわたしの胸をいやらしい目で見てきて慰め物に……」

(;・∀・)「胸じろじろ見てごめんなさいいいいいいいいいいい!!
       謝ったんでやめてくださいお願いしますうううう!!」

ジョルジュが先生のような口調でキュートに話しかける。
それにキュートは泣き真似をしながら答えた。
事実を若干どころじゃなく誇張して伝えるおまけ付きだ。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:36:07.26 ID:VIzLHb3v0
o川*゚ー゚)o「許すっ! ただしジュース1本でっ!」

(;・∀・)「ぐっ……分かった……」

ビシッ、と人差し指を僕の目の前に突き付けてくる。
ここで要求を飲まないで、変な噂が流れたとしよう。
その相手は今やクラス内ならず、学校内でも人気者になりつつあるキュートだ。

(;・∀・)(本当に刺されたりしそうだもんな……)

慎重に慎重を重ねて間違いはないだろう。
  _
( ゚∀゚)「俺アクロリアスがいいわ」

(;・∀・)「なんでお前の分まで……」
  _
( ゚∀゚)「えー!? クラスのアイドルの素直キュートさんがモララーにしk」

(;・∀・)「分かりましたジョルジュにもおごりますうううう!」

o川*゚ー゚)o「キューちゃんズ大勝利ー!」
  _
( ゚∀゚)「勝利の祝杯だー! イエーイ!」

僕に見せつけるかのようにハイタッチをかわすふたり。
少なくとも今日一杯はこのネタで脅されそうな気がした。

~~~~~~


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:39:06.56 ID:VIzLHb3v0
着替え終わった僕らは、自販機の前に集まっていた。
500円渡したら、ふたりとも買ったのはペットボトル。
あまりの図々しさに、もはやため息しか出てこない。

  _
( ゚∀゚)「いやー、他人の金で飲むアクロリは最高に美味いな!」

(;・∀・)「お前に遠慮という物を教えてくれる人はいなかったのか……?」

o川*゚ー゚)o「いやー、モララーのお金で飲むポコリ最高!」

(;・∀・)「……キュートにも同じ言葉を贈ってやるよ」

余った200円で買ったレモンスカッシュを、乾いた喉へ流し込んだ。
それからふたりの方へ向き直った時、その光景に何故か違和感を覚える。
二、三回視線を往復させてから、しばし考え込んでその正体に気付いた。

( ・∀・)「なあ、キュート」

o川*゚ー゚)o「なあに? キューちゃんのポコリ飲んで間接キッスしたいの?」

(;・∀・)「はあ……一回くらい頭の中を覗いてみたいもんだな。
      ところで、なんでお前疲れてるんだ?」


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:42:20.89 ID:VIzLHb3v0
以前、僕と何十分も追いかけ合いをした時は、息ひとつあがっていなかった。
しかし、今は頬は朱色に染まり、前髪が額にくっつくほど汗をかいている。

o川*゚ー゚)o「んー、ちょっと張り切りすぎちゃってねー」

( ・∀・)「たかが体育の授業で?」

o川*゚ー゚)o「もうすぐうちの高校体育祭でしょ?
       実はこういう学校行事っていうの、初めてなんだ」

( ・∀・)「高校一年生にもなって学校行事が初めて?」

o川*゚ー゚)o「恥ずかしながら家の手伝いしてるんでねぇ……」

そう言うとキュートはばつが悪そうに笑った。
知らなかったとはいえ、無神経だったかもしれない。

(;・∀・)「あの……ごめん」

o川;゚ー゚)o「い、いいよ! 別に全然重い話じゃないし!」
  _
( ゚∀゚)「キューちゃんがそう言ってるんだ、いいじゃねえか」

( ・∀・)「そうだな……」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:44:57.12 ID:VIzLHb3v0
ジョルジュはああ言ってるけど、もやもやする。
学校行事にも出れないような家の手伝いって……何だ?
しかし、それを考える時間を奪うようにチャイムが鳴った。

o川;゚ー゚)o「やばっ、次の授業トソン先生じゃん! 急がないと!」

そう言うと、真っ直ぐ伸びた髪がふわりと揺れた瞬間、キュートは消えていた。

(;・∀・)「って、お前だけずるいぞおお!」
 _
(;゚∀゚)「畜生! 文句言いたいけどもういねえ!」

仲良く遅刻した僕らは、みっちりと先生に怒られてようやく席に着く事が出来た。
ぶりっ子しながらごめんね、とキュートが言ってきたので頭を教科書で叩いてやった。
それを見た先生にまた怒られたのは、言うまでもない。

~~~~~~

(゚、゚トソン「今日から体育祭の練習が始まります。
    特に用事が無い人はなるべく参加してください。
    それではこれでHRを終わります」

みんな席を立ってぞろぞろと廊下にあるロッカーに向かって行く。
僕も例に漏れず、体育着を取りに行こうとした。

o川;゚ー゚)o

その時、カバンを胸に抱えて気まずそうなキュートが視界に入った。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:46:28.93 ID:ULhzUzkqO
おやおや


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:48:07.27 ID:VIzLHb3v0
( ・∀・)「どうしたんだよ、キュート。早く行こうぜ」

o川;゚ー゚)o「ん、いや……今日はちょっと出れなくて……」

廊下から聞こえる喧騒に消えそうな声でそう呟いた。

「えええええええ! キューちゃん出れないの!?」

「キューちゃん全員リレーのアンカーなのに!」

「組織と戦いに行くんですね! 連れてってください!」

それなのに、廊下にいたクラスメイトがここぞとばかりに集まってきた。
よく見ると同じクラスじゃない人間まで混ざっている。
もはや学校内では芸能人レベルの人気と言っても過言じゃないかも。

o川;゚ー゚)o「えーっと、今日は家の手伝いしなきゃいけなくて……」

僕とジョルジュに言ったのと同じようにキュートは説明する。
体育祭をすごく楽しみにしているキュートが、それより優先する事。
話を聞いただけじゃピンと来なかったけど、彼女の中では相当重要な事らしい。

「なんとかならないかな? アンカーいないのはさすがにちょっと困るかも」

「ピンチになったら隠された力が目覚めるから! 連れてって!」
  _
( ゚∀゚)「走るキューちゃんの揺れるおっぱい! おっぱい!」


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:51:06.50 ID:VIzLHb3v0
o川;゚ー゚)o「あー……」

(;・∀・)「み、みんなキュートが困ってるだろ!」

困惑するキュートを見ていられず、思わず間に割って入る。

( ・∀・)「とりあえずさ、キュートの言いたい事を聞いてやろうよ。
      あと、どさくさに紛れて何言ってんだジョルジュこの野郎」

o川;゚ー゚)o「あの……今日はどうしても手伝わないといけない日で……
       家に帰ったら母さんに頼んでみるから、今日はごめん……」

「そっか……じゃあみんな、仕方ないけど今日はキューちゃんなしで」

「俺達を巻き込まないために……惚れ直しました!」
_
(;゚∀゚)「ちょっ、変な事言って悪かった! 謝るから助けぎゃああああああ!!!」

何か変な声も多々聞こえてくるけど、分かってくれたようだ。
数分前と同じように、みんな廊下へと出て行く。
教室に残ったのは僕と、キュートと、何故かボロボロのジョルジュだけになった。

( ・∀・)「ふう……一件落着」

o川*゚ー゚)o「あ、モララー……」

( ・∀・)「ん?」

後ろからの呼びかけに、振り向いて答える。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:54:06.57 ID:VIzLHb3v0
o川*^ー^)o「ありがと」

( ・∀・)「……お安いご用さ」

面と向かって感謝されると、なんだかくすぐったい。
それを誤魔化すかのように、頭を掻きながら返事をした。

o川*゚ー゚)o「んじゃあ、お母さんと交渉してくるねっ」

( ・∀・)「大丈夫なのか?」

o川*゚ー゚)o「108の言葉を持つキューちゃんに敵はないっ! じゃあねー!」

肩まで真っ直ぐ伸びた髪を翻して、キュートはドアの方へ向き直る。
108ってボキャブラリー少なくないか、と思った時にはその姿は残像になっていた。
_
( ゚∀゚)「なあ、もう死んだふりやめていいか?」

(;・∀・)「うおっ!!」

この後、ひたすらジョルジュの愚痴に付き合わされた。
そして、本日2回目の遅刻をしてがっつり怒られたのはやはり言うまでもない。

~~~~~~



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:57:06.89 ID:VIzLHb3v0
次の日の放課後。

o川*゚ー゚)o「キューちゃんが~」

o川*゚ー゚)o「お母さんの許可をもらって~」

o川*>ー<)o「キタ――――――!!!!!」

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

「いやっほおおおおおおおおう!!」

「「「キューちゃん!! キューちゃん!! キューちゃん!!」」」

(;・∀・)「……なんだこれ」

教室はこれでもかというほど盛り上がっていた。
キュートが放課後の練習に参加できる事になったからだ。
どこからかコールも聞こえてくる。ここだけW杯開催中なんじゃないか?

( ・∀・)「とりあえずよかったな、キュート」

o川*゚ー゚)o「なんかね、お母さんに頼んだら……」

o川*゚ -゚)o『なんでもっと早く言わなかったんだ。
       こっちはいいから明日から参加してきなさい』

o川*゚ー゚)o「っていう感じであっさりオッケー貰えたの」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 20:59:59.06 ID:VIzLHb3v0
澄ました顔をして、落ち着いた声で誰かを真似て説明する。
きっとキュートのお母さんの真似なんだろう。
性格は娘に一片を受け継がれなかったらしいけど。

o川*゚ー゚)o「よーっし! 走るぞー!」

(;・∀・)「あっ! おい、キュー……」

そう言うなり、キュートは残像を残してその場から消えた。

( ・∀・)(今日はリレーじゃなくて、大縄の練習なんだけどな……)

その後、校庭で出会ったキュートはこの世の終わりのような顔をしていた。
そして僕を見つけるなり、どうして教えてくれなかったのか、と理不尽に怒られた。
反論して喧嘩になったところを、ふたりとも先生に怒られたのはもはや言うまでもない。



というか、最近怒られてばかりの気がする。



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:03:06.90 ID:VIzLHb3v0
~~~~~~

校庭に自分の椅子を運び出し、クラスの場所に置く。
上を見上げると、五月最後の週末の空は青く澄みきっていた。
今日は、まさに絶好の体育祭日和と言えるだろう。

( ・∀・)「ついにこの日が来たな……」

o川*゚ー゚)o「ある時はリレーで残像が残るほどのスピードで走ってしまい。
       ある時は大縄で引っかかりまくってテンション最低になって。
       またある時は先頭なのにむかで競走で全力で走ってみんなを引きずって。
       色んな困難を乗り越えてここまで来たね、モララー!」

僕の隣に椅子を置いたキュートが、やる気満々な顔で語る。

(;・∀・)「今言ったの、全部キュートがやらかした事だろうが」

o川*゚ー゚)o「ありゃ、ばれた?」

(;‐∀‐)「あれだけやらかせば忘れられないよ……」

o川*゚ー゚)o「あの時見たキューちゃんの体が忘れられないなんて……」

(#・∀・)「怪我して体育祭出れなくなっていいのなら、その先を言うんだな」

o川;゚ー゚)o「あわわわ、冗談だからそんなマジな顔しないでぇ……」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:06:07.28 ID:VIzLHb3v0
『これより、開会式を始めます。生徒は校庭に整列してください』

スピーカーからノイズ混じりの放送が流れて来た。
ぞろぞろと周りの生徒が校庭の真ん中に向かって行く。

( ・∀・)「ほら、行くぞ」

o川*´へ`)o「えー、面倒くさいからやだー。早くリレーやりたいー」

さっきまでとはうって変わって、残念な顔になっているキュート。
どうやらリレーが待ち遠しくて仕方ないらしい。
しかし、もう個人競技にも登録してるので出てもらわないと困る。

(;・∀・)「最初っからクライマックスでどうすんだよ!」

o川*´へ`)o「いーじゃーん、そんなのどっかで聞いたもーん」

(;・∀・)「いいから行くぞ!」

o川*´へ`)o「モララーのいじわるぅ……」

強引に腕を掴み、引っ張ってクラスの列に向かう。
僕の高校初の体育祭は、駄々をこねる子供のお守から始まった。


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:09:09.65 ID:VIzLHb3v0
――――

o川*゚ー゚)o『ほらっ、もっとはきはき体動かすっ! 怪我するよっ!』

(;・∀・)『さっきまでたれぱんだみたいになってた奴が言うな!』



o川*゚ー゚)o『そーれっ、いっちに!いっちに!』

(;・∀・)『いっちに!いっちに!』



o川;゚ー゚)o『じゅーご、じゅーろっ、ああっ!!!』

(;・∀・)『あっちゃー、ドンマイ! もう一回いこう!』



o川*゚ー゚)o『ふははははっ! キューちゃん100m走一位!
       これがキューちゃん最速伝説の幕開けだっ!』

(;・∀・)(とっくに世界最速だと思うんだけどな……)



――――



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:10:12.75 ID:ULhzUzkqO
たれぱんだ懐かしいな


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:12:09.57 ID:VIzLHb3v0
( ・∀・)「もう僕らは最後の種目か……」

楽しい時間ほど速く流れる、というのはどうやら本当らしい。
未だに和らぐ気配のない日射しは、残り少ない体力を容赦なく奪っていく。
それでも、誰一人として疲れたと言う人間はいない。

o川*゚ー゚)o「リレーまで、長かった。あまりにも、長過ぎた」

隣で太陽にも負けないほど目を輝かせるキュートは、その代表格だ。
どこかで聞いた台詞を呟きながら、入場の合図を待っている。
そんな横顔を見つめていると、キュートもこちらを向いた。

o川*゚ー゚)o「勝とうね! ぜっっっったい勝とうね!」

現在僕らのクラスは学年二位。一位との差も、三位との差もわずかだ。
つまり、優勝はこのリレーの結果次第で決まる。
神様はなんてドラマチックな舞台を用意してくれたのだろう。

( ‐∀‐)「……ああ、勝とう。絶対に」

ここまで来たら勝敗を分ける物は、ただひとつ。
熱くなれるだけ熱くなれたもん勝ちってやつだ。

先生が生徒達に立つように指示を送った。

『それではプログラム24、「全員リレー」の選手の入場です』

アナウンスの声に背中を押され、手作りの入場ゲートをくぐった。


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:15:09.67 ID:VIzLHb3v0
校庭の中央で、偶数組と奇数組に列は分かれていく。
40番目でアンカーのキュートと、3番目を走る僕は別々になった。
中途半端に早い奴の宿命で、僕は26番目も走る事になってるけど。

o川*゚ー゚)b「キューちゃんの見せ場のために最下位でよろしく!」

(;・∀・)「それがさっきまで絶対勝とう、って言ってた味方に言う台詞か!?」

親指をグッと立てながらキュートは反対側へと歩いていった。
言う事を聞くのも癪だから、絶対に上位でバトンを繋いでやろう。

( -∀‐)「……」

( ・∀・)「……よしっ」

少しの間、目を閉じて深呼吸をする。緊張を息と共に吐き出す。
胸を締め付けていた物が、すうっと消えていく。
目を開くと、第一走者がスタートの姿勢をとっていた。

「用意……」

審判の先生の声が途切れて、一瞬が過ぎたと同時に火薬の破裂音が響いた。



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:18:08.02 ID:VIzLHb3v0
カーブに差し掛かるのを横目で見ながら、バトンゾーンへ向かう。
軽く屈伸をしているうちに、バトンは第二走者へと渡った。
今の順位は7クラス中、3~4位あたりだろうか。

頭一つ抜け出した1位のクラスが、いち早くバトンを受け渡した。
そして、少し遅れて僕のクラスを含めた3つのクラスが一気になだれ込んできた。

「行けっ!」

第二走者の声を合図に、振り向かず全力で走りだす。
真っ直ぐ後ろに突き出した右手に、バトンが押し付けられる。
それを落とさないようにしっかり握りしめると、腕を大きく振って加速した。

(;・∀・)「くっ……」

最悪な事に、バトンで差を付けられて内側に入られた。
さすがに第三走者だけあって、簡単には抜かせてくれない。
なんとか離されずに次の走者へバトンを渡すので精一杯だった。

(;・∀・)「くそっ……」

痛む心臓に鞭を打ちながら、次の順番のため列に向かう。
その途中、僕を見つめるキュートに気付いた。
その眼差しには、何故かさっきまでのやる気は見て取れない。



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:20:00.52 ID:mj3l2TPM0
リレーは燃えるけど責任感じすぎ支援


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:21:06.45 ID:VIzLHb3v0
(;・∀・)「どうしたんだよ……そんな顔して」

ただならぬ気配を感じて、近づいて話しかける。

o川; ー )o「いや、なんか……あんな事言って悪かったな、って」

(;・∀・)「なんで?」

体育座りのまま視線を落として、ぼそぼそと喋るキュート。
やる気どころか、普段の元気すらなりを潜めてしまっている。

o川; ー )o「モララーだって、みんなだって頑張ってるのに……
       他の学年の人も一生懸命応援してくれてるのに……
       みんなで走るものなのに……わたし、最下位でいいとか――」

( ・∀・)「……」

( ・∀・)「ていっ」

o川;゚ー゚)oそ「んむぅっ!?」

言い終わる前に、両手で頬を挟み込んでやった。
キュートは目を丸くして、呆然と僕を見つめている。

( ・∀・)「らしくないな、キュート。そんな事気にするような奴だったっけ?」

o川;゚ー゚)o「で、でも……」


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:23:17.23 ID:ULhzUzkqO
周りから見たら、すでにモララーは刺されてもおかしくないくらいイチャイチャしてるな


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:24:06.58 ID:VIzLHb3v0
キュートの柔らかい頬をこねくり回しながら、話を続ける。

( ‐∀‐)「そうだな、確かに気にしないのもどうかと思うな」

o川;゚ー゚)o「でしょ!? だから……」

( ・∀・)「だったら絶対1位になってこい、それで許してやる。
      あと、いつものキュートに戻れ。元気無いと違和感たっぷりだ」

o川*゚ー゚)o「……」

言いたい事を全部言い終わると、ちょうど僕の順番がまわってきた。
一走目と同じように閉じて深呼吸をする。体力も問題なさそうだ。
バトンゾーンへ向かう途中、後ろから聞きなれた元気な声が聞こえてきた。

「かっこいいとこ見せてこいっ、モララー!」

僕は振り向かずに、右手を軽く挙げて答えた。



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:27:12.34 ID:VIzLHb3v0
いつの間にか僕のクラスは、最下位争いを繰り広げていた。
1位との差は半周近くにまで開いてしまっている。

( ・∀・)(ここで差を詰めておきたいな……)

幸い、僕と一緒に走る他のクラスの走者は速くはない。
あわよくば、順位を上げてから次の走者にバトンを渡したいところだ。

「頼むっ!」

( ・∀・)「おうっ!!!」

絶好のタイミングでバトンパスに成功し、すぐ後ろの走者を引き離す事が出来た。
前には抜けそうなクラスがあとふたつ。一気に順位を上げるのも夢じゃない。

(#・∀・)「……っ!!」

ぐんぐんと差を詰めて、カーブで外からひとり抜く事が出来た。
その勢いのまま、直線入り口でもうひとりを捉える。

(#・∀・)「行けええええええっ!」

横一線になってバトンゾーンへと入った。
次の走者にはっきり聞こえるように、大きな声で合図を送る。
大きすぎたのか、少し驚いた表情を浮かべたがすぐに走りだしてくれた。


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:30:06.36 ID:VIzLHb3v0
ふと、視界の隅に隣で競っていたクラスが映る。
すこしタイミングを誤ったのか、受け渡しにもたついていた。

(#・∀・)(チャンスッ!)

差し出された右手にバトンをしっかりと押しつける。
握りしめられたのを確認してから、手を離す。
次の走者は、隣のクラスより体ひとつ分抜けだして走っていった。

(;・∀・)「はあっ……はあっ……んぐっ……」

よろよろとトラックの内側に戻ると、そのまま尻もちをつくように座り込んだ。
心臓が誰かに鷲掴みにされてるかのように、ずきずきと痛む。

(;・∀・)「っ……はあっ……」

喉に絡みつく唾を吐いて、空を仰いでいた視線をトラックへ向ける。
4位をキープしたまま、向かい側でバトンが渡されるのが見えた。
後は応援しながら見守る事しか出来ない。みんなを信じるしかない。
  _
( ゚∀゚)「お疲れさん、大活躍じゃねえか」

(;・∀・)「どうも……」

早々に出番を終えたジョルジュが声をかけてきた。


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:33:09.19 ID:VIzLHb3v0
  _
( ゚∀゚)「よっと、失礼するぜ」

ジョルジュは隣に座ってきて、リレーの行方を一緒に見つめる。
女子の羨望と妬みの混じった視線を、ぴりぴりと背中に感じた。
  _
(#゚∀゚)「行けえ! そのままそのまま!」

(#・∀・)「頑張れええええ!」

舞い上がる土煙、飛び交う声援。夏の始まりのような日射しで校庭を照らす太陽。
いつかフラッシュバックした時、笑顔になれそうな青春の1ページが刻まれていく。

そして、体育祭最後の1ページを刻むべく――

o川*゚ー゚)o「……」

( ・∀・)「……」

キュートがゆっくりとバトンゾーンへ向かって行った。


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:36:10.27 ID:ULhzUzkqO
なんかオーラがでてそうだwww


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:36:16.35 ID:VIzLHb3v0
  _
( ゚∀゚)「おっ、ついにキューちゃん登場だ!
     いくぜ、みんな! せーn」

(#・∀・)「キュートおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
  _
( ゚∀゚)「」

ジョルジュの合図を待たずに、自然と声が出ていた。

o川;゚ー゚)oそ「!!!」

相当驚いたのか、慌てて僕の方へ振り向くキュート。

(#・∀・)「全員抜いてこおおおおおおおおおおおおおおい!!!!!」



o川;゚ー゚)o



o川*゚ー゚)o



o川*^ー^)o

キュートはただ笑って、右腕を高く突き上げた。


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:39:06.97 ID:VIzLHb3v0
  _
(#゚∀゚)「いよっしゃあああ! みんなモララーに負けんなよおお! せーのっ!」

仕切り直して発せられたジョルジュの合図。
堰を切ったかのように大きな、様々な声援が僕を飲み込む。

「キューちゃん頑張れええええええええええ!!!」

「全部キューちゃんに託したぜえええええええええ!!」

「残像拳じゃああああああああああああああい!!!!」

そして、みんなの思いが詰まったバトンを、

o川#゚ー゚)o「っ!!!」

キュートはその手にしっかり握りしめて、最後の一周を走りだした。



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:42:06.25 ID:VIzLHb3v0
現在の順位は変わらずに4位のまま。
だけど、1位との差は確実に詰まっていた。
直線距離に直すと、50mくらいだろうか。

o川#゚ー゚)o「っ!!」

バトンゾーン内で競っていた3位のクラスを、あっという間に置き去りにする。
当たり前だが、他のアンカーはみんなクラスで一番速い男子だ。
しかしキュートは、自分より頭ひとつほど大きい相手を完全に圧倒していた。

o川#゚ー゚)o「~~~~!!」

カーブに差し掛かっても、2位のクラスにぐんぐんと迫っていく。
カーブが終わり、直線に向いたところで外から並びかけ、一気にかわした。

「きゅううううううううちゃあああああああああああああん!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

目の前で繰り広げられるごぼう抜きに、クラスのボルテージは最高潮になる。
応援しているつもりだろうけど、言葉にすらなっていない応援がほとんどだ。

(#・∀・)「きゅううううううえええええああああああああ!!!」
_
(#゚∀゚)「おっぱああああああああああああああああ!!!」

それは、もちろん僕らだってそうだった。



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:43:12.35 ID:gyjtFA5PO
支援、超支援!


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:44:21.17 ID:ULhzUzkqO
いけえええええええ


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:45:16.60 ID:VIzLHb3v0
前に残るのは陸上部のホープにして、総合得点1位のクラスのみとなった。
一周走る事もあり、疲れる後半は抜かすのも難しくなってくる。

o川#゚ー゚)o「っ!! っ!!」

それでも、キュートは差をみるみる縮めていった。
ついにカーブの中ほどで、真後ろに追い付く。
これなら抜ける、そう思った瞬間だった。

o川;゚ー゚)oそ「!?」

(;・∀・)「ああっ!?」

全力で振られる腕と腕が、ぶつかった。
体格で劣るキュートはバランスを崩して、大きく外に膨らむ。
その間に差は5mほど開いてしまう。

o川#゚ー゚)o「~~~~!!」

体勢を立て直して、必死で差を詰めるキュート。
すさまじい速度で、後1mぐらいまで差は詰まった。



しかし、その1m先で無情にもゴールテープは切られた。



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:48:07.30 ID:VIzLHb3v0
o川; ー )o「……」

一瞬だけ遅れて、ゴールテープのあった場所を通り過ぎた。
勢いで数m先まで走ってからキュートは止まる。
そして、とてもゆっくりとトラックの外へ出てから力なく座り込んだ。

(;・∀・)「……っ」
  _
( ゚∀゚)「やめとけ、モララー。お前はここから動けない。
     動けても……今のキューちゃんにしてやれる事なんて、ねえよ」

立ちあがろうとした僕の肩を押さえつけて、ジョルジュは言う。
競技が終わるまで、自由に歩いてはいけない。
だから、僕は見ている事しか出来なかった。





体を丸めて、遠くから見ても分かるほど震えている、キュートの背中を。


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:51:11.78 ID:VIzLHb3v0

キュートを心配したのか、近くにいた先生が近付いていく。
しばらくしてふらりと立ちあがったキュートは、先生と一緒に校庭の外へ消えた。

「ううっ……ひぐっ」

「くそ……くそっ……」

はしゃぐ1位のクラスの幸せそうな喧騒。
それに飲み込まれる、すすり泣く声。
その対比が、お互いを際立たせ合っていた。
  _
(  ∀ )「行くぞ……集合だ」

悔しさを噛み殺すかのような、ジョルジュの声がした。
その声に反応して、更に男女問わずに泣き声が広がる。
それでも、整列するために歩いていかなければならなかった。

(  ∀ )「……ああ」

キュートをたったひとり残して、歩いていかなければならなかった。

~~~~~~


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:51:20.42 ID:ULhzUzkqO
おうふ……


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:52:37.47 ID:gyjtFA5PO
支援……


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:54:30.23 ID:VIzLHb3v0
『それでは、結果発表です』

やたら丁寧な口調で放送委員がそう言った。
行儀よく敗北宣言を突き付けられる身にもなってくれ。

『最初に、失格になったクラスがある事を報告します』

にわかに周囲がざわつく。
下を向いていた誰もが、顔を上げた。

『7組はバトンゾーンをオーバーした事により、失格となります。
これにより、2位に入った2組が繰り上がりで1位となりました』

( ・∀・)「……え?」

今、なんて?
1位のクラスが失格?
僕のクラスが、繰り上がりで1位?

(*・∀・)「やっ……」
  _
( ;∀;)「やったあああああああああああああああ!!!」

「マジで!? マジでか!?」

「うわああああああああん!! うわあああああああああん!」



76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:57:19.23 ID:VIzLHb3v0
僕が全てを理解するより早く、クラスメイトが一斉に歓声をあげた。
さっきは泣いていなかったジョルジュもぼろぼろと涙をこぼしている。
  _
( ;∀;)「勝ったんだよ! 俺達勝ったんだよ!」

(*・∀・)「ああ、勝ったんだ! 優勝したんだ!」

泣きながら抱きついてきたジョルジュと、肩を組みながら跳ねて喜ぶ。
  _
( ;∀;)「みんなでバトンを最後まで繋いだから!
   それでキューちゃんが頑張ってくれたから!
   だから勝った! 優勝出来たんだよ!」

組んだ肩をほどいて、みんなへ語りかけるジョルジュ。
しかし、その中にキュートの姿はなかった。

( ・∀・)「そうだ、キュート……」

キュートはこの結果をどこかで聞いているだろうか。
そう思い、消えていった方へ体を向けた時だった。

o川*^ー^)o「モララーっ!!!」

(;・∀・)「うおおおおおおおおっ!!」

満面の笑みを浮かべたキュートが飛び込んできた。


78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:00:06.90 ID:VIzLHb3v0
リレーでは見せなかった全速力でぶつかられ、僕の体は宙を舞う。
しばらく鳥になった後、したたかに地面に背中を打ちつけた。

(;・∀・)「いってええええ! 超いってえええええええ!」

o川*゚ー゚)o「勝ったんだよね!? わたしたちが勝ったんだよね!?」

(;・∀・)「ああ……誰かさんが頑張ってくれたおかげでね」

仰向けになった僕の上で、キュートは目を輝かせながら聞いてくる。
荒くなった吐息がかかるほど近付いた砂まみれの顔には、ふたつの筋が残っていた。

o川*゚ー゚)o「ごめんね……全員抜けなかった」

( ・∀・)「いいんだよ、1位になれば全部許すだって言ったろ?」

o川*゚ー゚)o「でも……」

o川*//ー/)o「モラ――はちゃんとかっ――いとこ見せ―――たのにさ……」

(;・∀・)「え? ごめん、今なんて――」


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:03:11.55 ID:VIzLHb3v0
  _
( ゚∀゚)「いきなり公衆の面前で何やってんだか」

(;・∀・)「うわっ!?」

ジョルジュの声で我に帰ると、クラスメイトが僕らを囲んでいた。
  _
( ゚∀゚)「いきなりキューちゃんはモララーに抱きつくし。
    抱きついたかと思ったら今度はいちゃいちゃし始めるし。
    あーあ、モララーだけ死ねばいいのに」

「俺ちょっと黒魔術かじってるんだ。試してみようか?」

「あ、それ名案だな。とびきりひどいの頼むわ」

「キューちゃんどいて! モララー君殺せない!」

さっきまで同じ目標に向かって頑張ってた仲間が手のひらを返す。
返しすぎて、もはや関節を無視して何回転もしてそうな勢いだ。
  _
( ゚∀゚)「ま、モララーは後で体育館裏として……
    みんな! キューちゃんを胴上げだ!」

o川;゚ー゚)o「う、うぇぇっ!?」

僕から引きはがされて、人混みの中へ消えていくキュート。



81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:06:06.41 ID:VIzLHb3v0
「よーっし、いくぞ! せーの……わーっしょい!わーっしょい!」

「うわあっ、高いよぉっ! ちょっ……怖っ!」

「こらー! 何やってんですか!」

「よかった! 先生、これやめさせないと邪魔に……」

「私も混ぜなさい!」

「ええええ!? 先生ちょっとおおおおお!」

「教え子がこんな時に大人しくしてられますか!」

「こんな場面じゃなきゃいい言葉だったのにいいいい!」

「それじゃあ先生も一緒に! わーっしょい! わーっしょい!」

「わーっしょい! わーっしょい!」

「だああああああ! もうめちゃくちゃだああああああ!」







o川*^ー^)o「あはは、もうっ! みんなぁー! 怖いよぉー!」



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:08:22.76 ID:VIzLHb3v0













o川*゚ー゚)oは残像のようです

第三話 熱くなれるだけ熱くなればいい

終わり














85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:11:51.05 ID:ULhzUzkqO
乙でしたー!


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:12:08.99 ID:VIzLHb3v0
ここまで見てくださった皆様、ありがとうございました
先週には書きあがっていたのに規制でした
お試し●さまさまです

第四話は十日前後で投下出来るかと思います
最後に感想、質問、批評などありましたら自由に書いていってください


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:20:31.74 ID:uIeQZc1+O
乙。次回もたのしみにしてるよー


88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:28:21.58 ID:48/giFr3O
乙でした!


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:34:02.51 ID:M8hOPj6RO



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:43:49.23 ID:gyjtFA5PO

現行で一番期待してる



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