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◆(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!」~助け屋GU~のようです 十五日目 夕刻

前の話/インデックスページ/次の話

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:28:09.10 ID:LzNfagRH0



Where the hell can you be ?

Wherever you are may be, remember that we will be thinking of you.


―― Found you.



(,,゚Д゚)「もしもし○○?今すぐ来て!!」~助け屋グロウアップ~のようです



十五日目 夕刻
『Reset me? 「さよなら」じゃなくて「また明日」!』





58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:31:12.16 ID:LzNfagRH0


――カラオケボックス。
二十四号室は大人数用らしい。ほとんどが集まった今でも、まだスペースが余っていた。


o川*^ー^)o「『Dear sweet heart』うたいまーす!」

(;^ω^)「――ここぞとばかりに恋愛状況に合わせてきたっ!?」

イ从゚ ー゚ノi、「それは。皆が揃った後にしよう。今はとりあえずパラレルパラレマ大冒険だ」

(;^ω^)「――そして本質的には何も変わってねぇ!!」

川*д川「さーこい!抱きしめちゃうぞ!」

(;^ω^)「――ああもうっ!突っ込みが追いつかんお!!」


――シーンが外の空気を吸いに行き、ビッコが先に帰り、フサがトイレに立った後。
じぃが寝てしまい、突っ込みが西川一人になり、てんてこ舞いだった。



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:34:14.01 ID:LzNfagRH0


( ・-・ )「……おや、」

――カラオケ店の外。
外の自販機までコーヒーを買いに来ていた夜行は、面白い人に遭遇した。

|゚ノ ^∀^)「ん、」

レモナだった。
軽く頭を下げる少女に、挨拶代わりでジュースを買ってやる。

( ・-・ )「どうしたのだ。ご学友の冷やかしか?」

|゚ノ ^∀^)「そのつもりだったんだけど……葵ちゃんがね、」

( ・-・ )「葵ちゃん?」

|゚ノ*^∀^)「僕の――好きな人かなぁ」

それは恋愛対象としてか、それとも戦闘対象としてか。
単に慕っているだけなのかは判別としなかったが、「ほう」と相槌を打っておく。



60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:37:12.16 ID:LzNfagRH0
( ・-・ )「その、“葵ちゃん”に注意されて帰る途中、ということかな?」

|゚ノ ^∀^)「ううん。葵ちゃんは注意なんてしないし、僕に話しかけたりもしないよ。多分、お兄ちゃんが一緒だった所為だ」

( ・-・ )「お兄ちゃん、は……あの当主様か」


――瞬間だった。
レモナの持っていたオレンジジュースが、真っ二つに裂けた。次いで――空中で凍結した。

いや、違う。
彼女が後方に跳んだことからも分かるよう――狙いはレモナ本体なのだ
峰打ち……としては厳し過ぎる一撃に、刀を抜く。


「僕がお前を感じるように、お前も僕を感じるのか。不幸な宿縁だな、レモナ=エルシール」

詩を読み上げるが如き流麗な声が響く。
正体不明の威圧感が辺り一面に満ち、心臓を締め付けた。

|゚ノ ^∀^)「……あ、アレが葵ちゃんね」

指差す先には、少年がいた。
血の凍るような美少年だ。同時にその構えた刀によって、見るものの背筋まで凍らせている。



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:40:08.26 ID:LzNfagRH0
イ从゚ -゚)「僕が何故お前を嫌っているかは――分かってるんだろう?」

細身で反りが高い、極めて優美な黒漆太刀。
自身を顕現させたかのような刃。その切っ先を少女に向ける。

|゚ノ ^∀^)「さぁ、ね。僕は葵ちゃんのこと、いつでも大好きだけど?」

イ从 -)「……お前のそういう所が嫌いだと言っているだろうに」

目的は単なる警告だったようだ。
大人しく刀を納め、そのまま虚空に消し去り、立ち去ろうとする。


( ・-・ )「――待て。喧嘩に口を出すつもりはないが、訊ねておきたいことがある」

――それを、シーンが呼び止めた。
振り返らず足だけを止めた少年に向かい、問うた。

イ从 -)「…………」

遡ること数年前。その梅雨。
彼と良く似た人物に――この夜行は会っていた。

( ・-・ )「主……その刀を、何処で手に入れた?」



62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:43:08.66 ID:LzNfagRH0
……………


(ノリ -ノリゝ「――っ。ばか……」


――走る。

行く当てなどない。
滅茶苦茶に、ひたすらに、走る。


(ノリ -ノリゝ「バカ。馬鹿馬鹿……。なんで、あんなこと言っちゃうんだよぉ……」


いくら走ったところで、自分から逃れることはできないけれど。
それでも、過去を振り切らんばかりに――走り続ける。


(ノリ ; -;ノリゝ「末者の、ばかぁぁぁあああああ!!!」


何かが変わるとは思わなかったけど。
もしかしたら――変わらずにいられるかもしれないと思って。



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:46:11.68 ID:LzNfagRH0


――人目を憚らず涙を流し続けながら。
誰もいない街を、気の向くままに角を曲がり、迷い込んでいく。

 頭が揺れる、
 視界がブレる、
 ぐちゃぐちゃで、ぐずぐずだ。

しっかりと働かない頭で、通行人とぶつからないのが不思議なぐらいだ――と。
そう思った、その時だった。


「――っ!」

何度目かの三叉路で、出会い頭に誰かに受け止められた。
咄嗟に謝ろうと顔を上げて哀朱は驚愕した。


ミ*^∀^彡「通りすがりの――生徒会長だ。覚えておけっ!……なーんて」


ぶつかったのは、顔見知りで。
右腕に大袈裟なギプスをつけた生徒会長、津出諷だった。



65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 21:49:12.68 ID:LzNfagRH0
……………


( ^ω^)「次誰だおー」

ミ,,゚Д゚彡「あ、俺だ。今宵月が見えずとも~」

戻ってきた狼男がマイクを貰い、歌い出す。
シーンに言っていたことは嘘ではなかったらしい。歌を聴いた西川の感想。

(;^ω^)「――なにコイツ!うまい!!」

――馬鹿みたいに上手かった。
ビブラートかけ過ぎの感情入れ過ぎだった。

イ从゚ ー゚ノi、「平時からそのぐらい真面目なら良いのに……」

人間には何か一つぐらい取り得があるもので。また、何か一つぐらいは譲れない拘りもあるものなのだろう。
……それが、カラオケだと言われると中々に釈然としないものがあるが。

川*д川「おー。……次はー?」

o川*^ー^)o「私私ー」



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:18:13.23 ID:LzNfagRH0
先ほどまでは電波な歌をチョイスしていたキュー。
今回は、割と真面目なものに。

o川*-ー-)o「――求めずにはいられないよ どんな未来がこの先にあっても~♪」

ミ,,゚Д゚彡「(お、マジだ)」

川*д川「キレー……」

こちらも酷く心を込めた、染み入るような歌い方だった。
普段の気性とはまるで合わないゆったりとした曲調。“らしくない”と言えばそうなのだが……、

( ^Д^)「(どっちかってーと、こっちが本当かな……)」

切なく、儚く、――愛おしい。
健気で一途で真っ直ぐな。しっとりとした真実。


( ^ω^)「……お、フツーに『特別な夜は平凡な夜の次に来る』とか入れてるのは、」

イ从゚ ー゚ノi、「我だ。思い出の曲なのだ」

ちなみに、前の彼氏の。
昔はあんなんじゃなかったのだ――とは、元彼女の弁。



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:21:10.08 ID:LzNfagRH0
( ^Д^)「悪い、先に歌っていいか?」

イ从゚ ー゚ノi、「構わぬ」

会釈し、曲目を割り込ませる。
マイクを受け取って、八咫烏のプギャー、一曲目だ。

( ^Д^)「――ピースフルな理想掲げ イキってみても~ 誰かが許してくんなきゃ進まない~♪」

o川*゚ー゚)o「(またイメージ通りだ……ん?)」

――湧き上がる一つの疑問。
即効で端末画面を動かし、曲を停止させる。

o川;゚ー゚)o「――ちょっと、ギコ君どうしたのよ!」

よくよく考えれば、プギャーは追跡を続けるギコと一緒にいたはずである。
こんな所で普通にカラオケしているのはおかしい。

( ^Д^)「ん、ああ……置いてきた」

o川;゚ー゚)o「置いてきたって!いや、――置いてきたって!!」

( ^Д^)「あのパターンは、俺なんかよりご主人の方が向いてるって」



68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:24:07.85 ID:LzNfagRH0


――そんなやり取りが行われるカラオケボックスの近く、自販機付近。
通行人の目には留まらない路地裏。

シーンは、再度問いかける。

( ・-・ )「……もう一度、訊く。その刀は何処で手に入れた?」

恐ろしいのと、美しいのが、混じってしまったような雰囲気も。
緩やかで柔らかな身体の線や漆の如き艶やかさを孕む黒髪も。その他の項目も。


仮面こそ付けておらず、身長もやや伸びているが。
それでも、同一人物だと分かる。いつだったか彼が遭遇した『死線』という人斬りと――。

イ从 -)「…………」

( ・-・ )「答えにくいなら質問を変えよう。……主、あれで人を斬ったことはあるのか?」

もしそうなら、今では見過ごすわけにはいかなかった。
ギコと出会ってしまった今では、人が人を傷つけるというのが悪いことだと、理解しているのだから。
……相手がレモナのような存在なら例外だが。



69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:27:15.01 ID:LzNfagRH0
少年は――答えない。
黙ってまま。それは肯定を意味する沈黙か。

|゚ノ ^∀^)「――あのね、えっとね、」

と、唐突にレモナが口を挟む。言葉を選びながら、慎重かつ丁寧に。
ある意味では、この血の凍るような美少年を誰よりも理解しているからこそ。

|゚ノ ^∀^)「もう、いいんだよ、それは」

( ・-・ )「いい? ……どういうことだ?」

|゚ノ ^∀^)「そんなのは、ずっと前に終わっちゃったことなんだからさ」


イ从 -)「――――っ」

彼女の言葉は琴線に触れたのか。
何を感じさせたのか。何を思い出させたのか。

踵を返し、黙ったまま立ち去る。
シーンは引き止めない。
いくら夜行と言えど、その小さく震える背中を見て、まだそんなことができるほど、心ないわけではなかったのだ。



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:30:21.33 ID:LzNfagRH0
……………


――どれくらい立ち尽くしていたのだろう。
散切り頭の少年は、背後からの呼びかけでやっと、意識を取り戻した。

( ´_>)「――ああ。助け屋、さん」

(,,^Д^)「こんちわ。哀朱ちゃん、探しに行かなくていいの?」

( ´_>)「そうですねぇ……。でも……アイツがなんで怒ったのかも、何処へ行っちゃったのかも、分からないですから」

もう駄目ですよ――と。
末者は、平然とした様子で呟いた。

( ´_>)「元々、俺にデートの相手なんて無理だったんだろーなぁ……」

(,,゚Д゚)「…………」

(;´_>)「哀朱の方だって仕方なく付き合ってただけで、全然楽しくなかっ――――っ!!」

少年の声が途切れたのは、強い力で胸倉を掴まれた所為だった。
普段の、彼。いつものギコール・ハニャーンにはありえないほどに、強い力で。



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:33:08.78 ID:LzNfagRH0
腕を引き、小さな体躯を引き寄せる。
全く抵抗する気がない、力が抜けてしまっている末者に、ギコが言う。

(,,-Д-)「……俺、説教とか苦手で、他人に物教えるのも苦手で、それは馬鹿だからなんだけど……」

( ´_>)「…………」

(,,゚Д゚)「でも――これだけは、分かる」

――その言葉は。その重みは。
何かを失くしたことのある人間にしか出せないものだったのだろう。

ギコール・ハニャーンという人間の人生において最も大きな傷と後悔を残した――高校時代の、ある夏の日。
神様が願いを叶えてくれるのなら、彼はこう願う。


 ――――あの日に戻して下さい。


たった、一言。
どんな状況でも、幾ら時が流れても。たとえ寸分違わず同じ結果になるとしても――なお。
そう願わずにはいられないのだ。





72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:36:14.11 ID:LzNfagRH0


それでも前に進み続けて、ここまでやってきたけれど。
あの日学んだことを、忘れたことは一度もない。


(,,゚Д゚)「君が、自分のことをどう思うかなんて勝手。でも――人の気持ちを勝手に決めるのは、駄目だ」

(  _>)「…………」

(,,゚Д゚)「君が哀朱ちゃんの想いを勝手に決め付けるのだけは、駄目なんだ」

……トン、と肩を押す。少年はよろよろと二、三歩後ずさった。
まだ「何処行ったか分からないし」や「何言えばいいか分からないし」などと小さな声でほざく末者に、ギコは優しく笑いかけた。

いつかの後輩のように微笑みかけ。
いつかの後輩のような口調で、彼女が好きだった文句を言った。


(,,^Д^)「末者君。――『運命』って、信じてる?」


気休めにもならない曖昧な言葉。
でも。それでも、その何気な一言は――――。



73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:39:12.69 ID:LzNfagRH0
……………


ミ*-∀-彡「ねぇ、『大数の法則』ってあるじゃん」

(ノリ ゚ -゚ノリゝ「え?」

ミ*゚∀゚彡「完璧なサイコロを振り続けていれば、それぞれの目の出た統計は理論値に近づくー、ってやつ」

自由な左手でコインを弾く。綺麗に回転をし舞い上がった硬貨を右手で受け止める。コイントスだ。
「いてて……」と怪我した腕で受け止めたのだから至極当然のことを言いつつ、確認。

 硬貨は表だった。


ミ*-∀-彡「んで、因果応報とか自業自得とかあるじゃん」

哀朱は何のことか分からず、ぼうっと相槌を打っている。
再び、指先で弾く。確認。

 硬貨は表だった。





74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:42:09.74 ID:LzNfagRH0
ミ*゚∀゚彡「仏教だと、『因』っていう直接的原因と、『縁』っていう間接的条件が重なって――『果』が生み出される」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「は、はぁ……」

そんなことは知っているし――とは、あえて言わない。
このコイントスをしている生徒会長は、やや遠回りな所があるが、最後にはちゃんと結論を出す人間だ。
で、確認。

 硬貨は表だった。


(ノリ;゚ -゚ノリゝ「(そう考えると、流石スイッチのコーナーみたいな人なんだよなー)」

ミ*-∀-彡「だから、因がないなら言わずもがな、因があっても縁がなければそれまで、って話。悲しいよね」

つらつらと話を続け、傍らでコインを弾く。
確認。

 硬貨は表だった。


ミ*゚∀゚彡「あと、『コペンハーゲンの解釈』ってあるじゃん。『多世界解釈』と共にSFではお馴染みの」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「寡聞にして知らないです……」



75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 22:45:11.54 ID:LzNfagRH0
量子力学の話だよ、とまた指先を動かした。
キィンと一際気持ちの良い音。また――確認。

 硬貨は表だった。


ミ*-∀-彡「世界はナノ・ピコ・フェムト・アト……あとなんだっけ、まぁそのレベルで確率的である!カルヴァン主義の予定説を否定したんだよねー」

現代の科学分野でも尚、宗教が関係する良い証明である。
それが正しいのかは分からないけど。そんな風に断りを入れて――弾く。確認する。

 硬貨は表だった。


ミ*゚∀゚彡「それで、あと……ああ、そうそう。『アレイスター・クロウリー』っているじゃん。二十世紀最大の魔術師の」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「それぐらい流石に。僕ちんだって」

ミ*-∀-彡「あの人がアストラル界と交信して見つけた真理は“True will”。……宇宙を支配する絶対法則、『真なる意思』ってやつだね」

(ノリ ゚ -゚ノリゝ「確か星の軌道と運行に喩えたんだよね?」

ミ*^∀^彡「そうそう。ギリシャ神学における『クリナーメン』と同義っぽい感じ?」



77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:07:53.19 ID:LzNfagRH0
笑いながら、今までで一番力を込めて、空へと飛ばした。
コインが舞い落ちる。
そして、ふーは確認した。

 硬貨は、――やはり表だった。


ミ*゚∀゚彡「これぐらいでいいかな……。七回もやったしね」

七回コイントスを続け、全て表が出る確率は――二の七乗分の一。百二十八回のうちに一回程度。
ありえない確率ではないが、それでも不思議がり、訝しむ哀朱。
その肩を笑って叩きながら彼女の友人の一人は言う。

ミ*-∀-彡「人間は八以上の数は漠然と“多い”としか認識できないらしいよ? だから、これぐらいでいいね」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「え? ああ……。確かに漢数字の“八”も“漠然と多い”って意味だけどさ……」

ミ*-∀-彡「アラビア数字の“8”だって、横に倒せば“無限大”だ!」

――そう考えてみると。
喩え確率的にはありえるとしても、この世は不可解なことで満ちている。
世界なんてそんなもの――と。ふーは笑って言った。




78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:10:27.43 ID:LzNfagRH0
ミ*゚∀゚彡「――このことから君が得るべき教訓は、『十万回に一回しか起きないことは一回目に起きる』ってこと」

――滅茶苦茶に走り過ぎた所為で、ここが何処なのかも分からない。
元の位置には戻れない。最後の場所には行けなくて。彼だってもう帰ってしまったかもしれない。

 でも。それでも。
 彼女と彼が出会う運命ならば――。

三叉路や十字路に何度ぶつかっても、進んだ先が行き止まりだったとしても。
ちゃんとした因があって、想いが粒子の動きを変えて。気紛れな神様だって適当な世界だって――味方をしてくれるかもしれない。

きっと、そうだ。
きっと――そうなんだ。


(ノリ -ノリゝ「私……私、はっ…………」

ミ*^∀゚彡「さぁ、行ってらっしゃい。この狭い街中で、門限までに出会えないってことは……ないと思うよ?」

(ノリ*゚ー゚ノリゝ「――――はいっ!!!」

幽屋哀朱は走り出す。
それは、彼女が見つけたい人が進み出したのと、ほぼ同時だったという――。



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:13:07.26 ID:LzNfagRH0
……………


(; _>)「はぁ、はぁ、はぁ……っ」

――いくつ道を間違えただろう。末者は思う。
移動する目的地。

彼女は何処にいるのだろう。



(ノリ; -ノリゝ「くっ――あぁ、つらっ!」

――いくつ正解を選んだだろう。哀朱は思う。
帰ってないといいんだけど。

彼は何処にいるのだろう。





80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:16:03.19 ID:LzNfagRH0



右に曲がって左に曲がって。進んで戻って立ち止まる。
頭が揺れて視界がブレる。


静止したような時の中。
走って、走って、走り続けて。

――そして。



(;´_>)「――あっ!」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「――おっ!」


紛れもない彼等の業力か。それとも、誰かが味方をしてくれたのか。
なんにせよ出会った二人は――ほとんど同時に謝り合って、笑い合ったのだった。





83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:19:09.27 ID:LzNfagRH0
……………


(;´_>)「…………」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「…………」

商店街には不釣合いなほど立派な観覧車の中だった。
謝り合ったは良いものの……どうにも、バツが悪くて仕方がない。
お互いに朴念仁で不器用で、素直じゃないのだ。

その二人のうち、一人。
幽屋哀朱が意を決して切り出した。

(ノリ -ノリゝ「あの……あのね、王様ゲームのことなんだけどさ……」

( ´_>)「あ?」

(ノリ;^ -^ノリゝ「アレって実は、末者を嵌めるための逆ドッキリでしたー、なんて……。あはは……」

( ゚_>)「」

末者、絶句。
仕掛け人・末者以外全員。



84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:22:15.63 ID:LzNfagRH0
(;´_>)「ま、まあ? 俺は楽しかったしいいけど…………疲れたが」

(ノリ;^ -^ノリゝ「あははー。僕ちんも楽しかった…………疲れたけど」

走り回り過ぎである。
観覧車の頂点も近づいて、やっと動悸も治まったところだ。

時間は、午後五時。もうそろそろ帰る時間。
そう思って外を見ると、いつもの街並みの何処かノスタルジックだった。


(ノリ -ノリゝ「あの、さ……」

( ´_>)「……なんだよ」

(ノリ -ノリゝ「質問なんだけどさ……」

少女はキャラ作りも忘れて、言葉を選び。
少年はキャラがいつもと違うことにも気づかないほど、集中し。

(ノリ -ノリゝ「もし。もしなんだけど……」

( ´_>)「…………」



85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:25:07.84 ID:LzNfagRH0


(ノリ ーノリゝ「もし――私がどっかに行っちゃっても、遠くに行っちゃっても、今日みたいに探しに来てくれる?」

――搾り出した問いは、あまりにもか細く。
普段の彼女の在り様からは信じられないほど、頼りなく弱々しかった。

小刻みに震える身体。
一体何を思っているのだろう。


(ノリ -ノリゝ「末者、私は……――――」


( ´_>)「――お前は、」

小さな声を遮った。
些かウンザリしたように。当然と言わんばかりに。

( ´_>)「俺が、お前の欲しい答えを言えない程度の奴だと、思ってんのか?」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「……え?」



88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:28:10.42 ID:LzNfagRH0
( ´_>)「答えなんて一つだろう。それを、俺がわざわざ伝えないといけない程度の信頼なのかって訊いてる」

(ノリ ゚ -゚ノリゝ「…………」


(ノリ*^ -^ノリゝ「――あは。素直じゃないなぁ、もうっ」

頬が綻ぶ。破顔一笑だ。
問いの答えは――「そんなこと答えるまでもない」だった。


そして末者は告げる。
それにな、と最初に前置いて。

( ´_>)「俺だけが探すのは不公平だろう。どっかに行ったんなら、お前だってこっちを探せよ。――戻ってくるように、努力しろよ」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「え、ああっ、そっか。そうだよねっ」

( -_>)「どっちも間違わずに探せば時間は半分だ。他の奴等を巻き込めば、もっと早いだろ」



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:31:04.70 ID:LzNfagRH0
馬鹿らしい――と。吐き捨てるように言って、末者は目を閉じる。
けれど、哀朱には分かっている。
それが単なる照れ隠しだと。同じように素直じゃないから、分かるのだ。

だから彼女は。
こっそりと向かい側から隣に移動して。
男としては小さな体躯に、でも頼りになる彼に、その肩に、頭を預けた。


(;´_>)「お、おい……っ」

(ノリ* -ノリゝ「このまま。ずっと、このままとは言わないけど……」


――この後、二人は駅まで歩き、そこで解散する。
いつもの友達同士に戻って、いつも通りに「また明日」と交し合って。
なので、この直後の一言。それを以て――彼等の初デートは終了したことになるのだろう。


(ノリ* ーノリゝ「――――時間が、止まっちゃえばいいのになぁ……」


迷ったらまたここに戻ってこよう。二人は、そう思った。
観覧車を降りるまで。残り半分のはずのひと時は、とてもとても――まるで誰かが許したかのように、ゆったりと流れていく。



91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/03(土) 23:34:03.07 ID:LzNfagRH0



十五日目 夕刻 終



 あなたは何処にいるんだろう?

 でも、あなたが何処にいようとも私達はあなたのことを想っているってことを、どうか忘れないでね。


 ほら――ちゃんと、見つけたよ。



―― Try not to lose anything that is dear to you.





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