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◆弟者が二階から落ちてきたようです ( 1、重力に負けて )

弟者が二階から落ちてきたようです インデックスページ

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:01:19.56 ID:PxWr9RdYP








弟者が二階から落ちてきた。








9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:02:38.80 ID:PxWr9RdYP






そして、俺の後頭部に重大なダメージを与えたのだった。






10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:03:52.04 ID:PxWr9RdYP

( 1、重力に負けて )


(´<_` )「正直すまんかった兄者、しかしこれには海よりも山な理由があるのだ」

( ´_ゝ`)「そんなもの聞きたくもない」

(´<_` )「なんと。兄者はその身をがっつり入院にまでいたらしめたその理由を知りたくないと」

(#´_ゝ`)「俺が入院したのはお前が二階から落ちてきて俺の後頭部に直撃したからだこの愚弟めが」

(´<_` )「正直すまんかった」

二度目の謝罪を右から左へと受け流し、弟の持ってきた花を見やる。
鼻につく匂いを発する白い百合の鉢植えに、俺は顔はしかめた。




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:05:46.84 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「ときに弟者、お見舞いの際に鉢植えは適さないのだと知っていたか」

(´<_` )「勿論だ兄者。鉢植えは花が根付く、それが床に伏せるほうの寝付くを連想させ縁起が悪いそうだ」

この前家族全員で見てた常識クイズ番組で得た知識だろうに、よくもまあそうも偉そうに解説できるものだ。
補足すれば、白色はお悔やみを連想させるから、また百合は香りが強すぎるからアウト。
つまりこいつはトリプルアウトフラワーを、それを承知の上でわざわざ選んできたわけで。

( ´_ゝ`)「……何故持ってきた」

(´<_` )「兄者には、縁起など気にしない強い子に育って欲しいという願いをこめて」

( ´_ゝ`)「だからといってわざわざ縁起の悪いものを持ってくるのは違うと思うぞ」

(´<_` )「流石兄者、そこでブチギレない!そこにしびれるあこがれる!」

(;´_ゝ`)「お前はそんなんだから友達が居ないんだって…」



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:08:27.35 ID:PxWr9RdYP

(´<_` )「この高度なギャグがわからんような友達はいらんのです。リア充はそれがわからんのですよ」

(;´_ゝ`)「やったのか?!誰かにやったのか?!」

(´<_` )「うむ。前に頭に怪我して帰ってきたことがあっただろう」

( ´_ゝ`)「……投げられたか」

+(´<_` )「いかにも」

(;´_ゝ`)「威張るな!」

不良が万引き経歴を武勇伝化して話すのと同じ匂いを感じる。
多分本人にとっては輝かしい歴史なのだろう。理解したくもないが。

同じ病室の方々は、むせかえるような百合の香りを咎めることもなく、俺たちを微笑ましげに見つめている。
そりゃあ今のこの光景は、理由さえしらなければ微笑ましいものだろう。

何の因果か同じ卵から生まれてしまった俺たちは、一目見ただけで兄弟とわかってしまう。
兄の入院に甲斐甲斐しく見舞いにきた弟、なんて仲の良い兄弟!

しかしその実態は、加害者と被害者なわけである。
したがって今のこの状態は、例えるなら交通事故をしでかした馬鹿なドライバーが、
見舞いにミニカーを携えてきたようなもんだ。




17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:10:41.61 ID:PxWr9RdYP

(´<_` )「ところで話は戻るが兄者よ、俺にも弁解の機会を与えてはくれまいか」

( ´_ゝ`)「弟者よ、俺も鬼ではない。お前が真に反省しているならそれを与えないわけがないだろう」

(´<_` )「兄者…」

( ´_ゝ`)「だけど今のお前から、反省だとか後悔だとか、マイナス方面の感情が全く感じられんのだ」

+(´<_` )「流石だな兄者、お察しの通り反省も後悔もしていない!」

(#´_ゝ`)「帰れ!」

(´<_` )「まあ聞け兄者、俺はあの日の夜中にある本を読んでいたんだ」

(;´_ゝ`)「やっぱりか!」

(´<_` )「やっぱり、とは?」

( ´_ゝ`)「……重力ピエロ、だろう」

(´<_`*)「兄者……」

恍惚とした表情を浮かべる弟の顔面に右ストレートを食らわせる想像をして、俺はなんとか気を落ち着かせた。

d三d(´<_`*)「やっぱり兄者は最高だ!エスパーだ!」

( ´_ゝ`)「そうか、弟者は最低だと思うよ、下種だ」



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:14:45.95 ID:PxWr9RdYP

重力ピエロ、というのは伊坂幸太郎という作家が書いた、
ミステリーにしてはちょっと簡単、でもフツーの文芸作品とも呼び辛い、まあそんな小説のタイトルだ。

こんな風に言うと、俺がこの作品を軽んじているという誤解を与えてしまうかもしれない。
だから言っておくが、本はもっぱら図書館でかりて読む派の俺が、
珍しく文庫を買ってしまう程度には、この本が好きだ。つまり、かなり好きなのだ。

だから俺が弟を最低と言ったのは、やつが重力ピエロを読んだことに対してではない。
俺のかばんに入っていた筈のそれを勝手に漁って読んだことに対してですら、ない。

その小説はこんなフレーズから始まる。

(´<_` )「――”春が二階から落ちてきた”」

( ´_ゝ`)「……」

(´<_`*)「なんとブンガク的な響き…!俺は感銘を受けた!」

(;´_ゝ`)「だからってお前が二階から落ちてきてどうする!」

(´<_` )「ブンガクは爆発だ、兄者!」

(#´_ゝ`)「それはゲイジュツだばかやろう帰れ!」

もう妄想だけでは抑えられないこの憤り。
ささやかな具現化として投げた枕は弟者にぶつかって落ちた。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:17:51.13 ID:PxWr9RdYP

(´<_` )「兄者、枕は投げるものじゃないぞ」

(#´_ゝ`)「二階は飛び降りるものじゃねえ!」

(´<_` )「それはブンガクだからいいんだ」

枕をぱんぱんと叩いたあと、弟者は枕をあるべき場所に戻した。
そして花に当たったら危ないだろうとぼやく。
だから避けれたはずなのに避けなかったのかと思うとなんだか力が抜けた。

(;´_ゝ`)「……ああそう…」

(´<_` )「ところでなんで枕を投げたんだ?」

( ´_ゝ`)「ささやかな妄想の具現化に」

(´<_` )「……やっぱり俺ら兄弟だな」

( ´_ゝ`)「は?」

(´<_` )「そうだ、具現化なんだよ。俺もそれをしたくて飛び降りた」

d(´<_`*)「ブンガクの具現化だ」

抜けた力が帰ってこない。誰か新しい顔を持ってきてくれ。




27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 21:21:00.14 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「つまり、なんだ」

( ´_ゝ`)「お前は、本を読んだ。そして凄い!面白い!俺もこんな風になりたい!と思った」

弟者は頷く。
幼稚園児が戦隊ヒーローに憧れるようなものなのだろうか。
それにしては微笑ましくない。

( ´_ゝ`)「お前はあの話と同じことをしたかったんだな。それで俺にぶつかった、と」

(´<_` )「それは少し違う、そんな短絡的なものじゃあない」

( ´_ゝ`)「へー?」

+(´<_` )「とりあえず二階から落ちたら何か始まるかもしれないと思ったんだ、ブンガク的な何かが」

( ´_ゝ`)「……」

バタコさーん。




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