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◆弟者が二階から落ちてきたようです ( 3.こころの寝床 )

弟者が二階から落ちてきたようです インデックスページ

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 22:40:41.76 ID:PxWr9RdYP

( 3.こころの寝床 )

病院の消灯時間は九時だった。
今時小学生でもそんな時間に寝ないだろうに。金曜ロードショーも見れないじゃないか。

自覚はないまでも丸一日寝ていた俺が寝れるか!と思っていたが、
意外にすぐ寝付いてしまったようで、翌朝は非常に爽やかだった。

しかし爽やかな朝をぶち壊すアクシデントがひとつ。

(´<_` )「おはよう兄者、よく眠れたか」

( ´_ゝ`)「……学校は」

(´<_` )「兄の命と学校を天秤にかけろと言うか、非情だな」

( ´_ゝ`)「ブンガクと兄の命は平気で天秤にかける癖に」

(´<_` )「それは違う。兄者がブンガクなんだ」

( ´_ゝ`)「……」

双子でお互い同じ考えを相手に抱いているというこの事実は、多分ブンガク的なのだろう。
だから俺はあえて言わないでおく。むかつくし。




72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 22:43:21.21 ID:PxWr9RdYP

(´<_` )「しかし兄者のブンガク性に頼りきっていてはいけないと思って」

( ´_ゝ`)「お前にしては殊勝な心がけだ。そしてお前がまともなことを言うときは全然まともじゃないんだ」

(´<_` )「なんと、パラドックスか兄者。流石兄者はブンガク性に優れている」

と、言いながら弟者が差し出したのはノートだった。

( ´_ゝ`)「何これ」

+d(´<_` )「ブンガク」

( ´_ゝ`)「……」

嫌な予感をこれでもかというくらい感じつつも、めくってみる。
裏表紙にHOW TO USEと書かれていることもない、ごく普通のノートだ。
そこに見知った癖の文字がずらっと並ぶ。



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 22:45:49.58 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「小説?」

(´<_` )「うん。書いてみた」

( ´_ゝ`)「一日で?」

(´<_` )「ああ。つい夢中になってしまって、寝てない」

(;´_ゝ`)「そうか…」

弟者が早起きするなんて珍しいと思ったらそういうわけか。
寝坊しない究極の方法は寝ないこと、とは誰が言ったことだっけ。

( ´_ゝ`)「テーマは、」

(´<_` )「友達」

( ´_ゝ`)「つまり、これにはお前の願望が綿密に描かれていると」

(´<_` )「そうだ。俺の理想の友達がブンガク的に書かれている」

姉と一緒に姉弟三人で習字に通っていたので、弟者の字は性格に似合わず綺麗だったりする。
また、漢字が好きなので字の間違いも無い。
俺の影響で本も読んでるので文法的に凄くおかしいところもない。
携帯小説のような不快感もなく、すらすら読める。読めた。読めていた、最初の二三行は。




75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 22:48:25.61 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「……あのな」

(´<_`*)「うん?」

目をキラキラさせるんじゃない、マジで殺意が湧くわこのクローンめが。

(;´_ゝ`)「お前、俺を書いてどうする」

(´<_`*)「何故わかった?!カモフラージュとして女にしたっていうのに!
       兄者はもしや対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースなのか?!」

(#´_ゝ`)「俺以外のどこの誰が毎日ブラクラゲットしてロリ画像の為に徹夜して濡れ場アリの厨二小説かいて
       挙句二階から落ちてきた弟に入院させられるってんだよ!?
       っていうかお前マジなんだ俺の小説引用しやがって死ねよ!いっそ死ねよ!」

+(´<_`*)「何をいう、素晴らしい小説を引用したくなるのは当たり前じゃないか」

(#´_ゝ`)「てんめええええええ!」

(´<_` )「兄者、傷にさわるぞ」

(#´_ゝ`)「誰がこさえた傷だ!」




76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 22:51:52.08 ID:PxWr9RdYP

(´<_` )「で、批評してくれ」

( ´_ゝ`)「……はあ。繰り返しいうが、俺を綿密に書いてどうする」

弟者が一夜で仕上げたそれは、
これだけブンガク的な弟者が書いたとは思えないほど、ラスト以外は普通の話。

女であることを除けば完全に俺であるAと、
ごく普通の少年と称されたBがひょんなことで出会い、友情を育む。
最後には何故か怪獣を倒して永遠の友情を誓う。

(´<_` )「実をいうと俺は兄者のような友達が欲しいのだ」

( ´_ゝ`)「俺みたいな友達って…」

(´<_` )「出来れば兄者が他人になってくれれば一番いいのだが」

(;´_ゝ`)「お前は何を言っているんだ…」



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 22:57:32.72 ID:PxWr9RdYP

(´<_` )「だって、兄弟では友達にならないだろう。それは兄弟だ。俺は同年代の友達が欲しいんだ。
       でもどいつもこいつもつまらないしすぐ怒るし、つまらない」

( ´_ゝ`)「俺だって怒るだろうが」

(´<_` )「でも話題が変わればすぐに話してくれるだろう。他のやつらはそうはいかないんだ。
       年上ならそういう人も居るけど、それは友達というには少し違う」

( ´_ゝ`)「お前の身近な同年代は俺しか居ない、と」

(´<_` )「うむ。でも俺は兄者は実に流石だと思っているぞ、勿論。そうでなくば飛び降りたりするものか」

( ´_ゝ`)「そうかい……」



80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:00:41.10 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「はあ、で、だな。まあ文章力はおいておいて、これは圧倒的に不自然な点がある。まあひとつはラストの怪獣だが」

(´<_` )「なんと。意外性を狙った高度ブンガク的テクニックだったのだが」

多分これはギャグのつもりなのだろう、と判断し無視して話を進める。
コイツときたら、本気のときもネタのときも全く同じ調子で言うもんだから実にわかりづらい。

( ´_ゝ`)「まあ、お前はカモフラージュでそうしたんだから仕方ないが……」

(´<_` )「どういう意味だ」

( ´_ゝ`)「男と女に友情は生まれん」

(´<_` )「何故だ」

( ´_ゝ`)「穴があって棒を持っていたら突っ込むのは必然だ。そしてその必然が産むのは友情ではない」

(´<_` )「なるほど」

(´<_` )「やっぱり兄者は凄いな。世界で一番流石かもしれん」

心底感心しているものだから、悪い気はしない。

(*´_ゝ`)「そ、そうか?」

(´<_` )「経験してないことを言ったって書いたって重みはない、実にその通り」

( ´_ゝ`)「てめえ…」



81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:04:03.99 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「あー、しかし、病院飽きた早く帰りたい」

(´<_` )「今日帰れるんだろう?」

( ´_ゝ`)「検査が夕方で帰れるのは九時とかだってよ。大袈裟なんだよな…」

(´<_` )「兄者、頭を打ったんだぞ。頭には脳がある。脳は大切だ。大袈裟すぎるということはない」

( ´_ゝ`)「その大事な頭を狙って落ちてきたお前はなんなんだ」

(´<_` )「いわゆるひとつのブンガクの形だ」

( ´_ゝ`)「……はー…。まあ、脳は大事ってのはそうだな。知ってるか、ロボトミー手術ってやつ」

(´<_` )「なんだそのフェブラリーは」

( ´_ゝ`)「いやそれじゃなくて。なんか脳みその大事な部分を切り取っちゃうしゅじゅちゅ……手術なんだけど」

(´<_` )「なんでそんなことをするんだ?」

( ´_ゝ`)「なんかチンパンジーで試してみたら、精神病に効果があったからやってみた、って話なんだが」

(´<_` )「その言い方だと、人間には効果がないようだ」

( ´_ゝ`)「いや、まあ効果はあった……らしい。どれくらいかは知らないが」

(´<_` )「まあ絶大な効果はないんだろう。あったら今でも広く知られているはずだ」




82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:07:46.42 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「まあ効果はさておき、俺が言いたいのはその副作用だ」

(´<_` )「手術の効果をさておくとは、流石だな兄者」

( ´_ゝ`)「その副作用とは」

(´<_` )「ジャジャン♪」

( ´_ゝ`)「重大かつ不可逆的な人格の変化、とかあと色々」

(´<_` )「あと色々気になる」

( ´_ゝ`)「ググれ」

(´<_` )「うむ」

( ´_ゝ`)「とにかく、人格の変化だ。これがかなり切実で、無気力になるわ怒りっぽくなるわ感受性は低くなるわ」

(´<_` )「そこまでいくと違う人じゃないか」

( ´_ゝ`)「人格の変化だといってるだろう」

(´<_` )「副作用ってレベルじゃねーぞ、だな」



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:10:22.68 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「まったくだ。でもこのちゅ、手術は第二次世界大戦後くらいには、日本でも積極的に行われていたらしい」

(´<_` )「なんでまた…」

( ´_ゝ`)「さあ。俺もネットで見てちょっと調べただけだし。でも昔って今よりずっと精神病の人に冷たかったっていうか、人扱いしてないっつーか」

(´<_` )「実験体か」

( ´_ゝ`)「想像だけど、どうなってもいいと思ってたんじゃねえの」

(´<_` )「酷い話だ」

( ´_ゝ`)「なんか騙されてそのしゅじゅっつ受けさせられて、人格変わって仕事できなくなって、医者の家族を殺した人とか居るらしい」

(´<_` )「それは…」

( ´_ゝ`)「無期懲役だって」

(´<_` )「非ブンガク的かつ非人道的な話だ。腹が立つ上にむしゃくしゃしてきた」




84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:13:37.17 ID:PxWr9RdYP

( ´_ゝ`)「まあ、確かに胸糞悪い話だわな。でも、俺が思ったのは、人格が変わるってどれほどのアレかはわからんけど、
       俺たちは自分の人格はこころに起因すると思っているのに、違うだなって思ってさ」

(´<_` )「こころ、か。確かにそうだな。脳が人格という目に見えないものまで左右してしまうのだな」

( ´_ゝ`)「なんか無意識にこころって胸の辺りにあると思ってたけど、脳にあるのかもしれないな」

(´<_` )「そもそも、こころはあるのか」

( ´_ゝ`)「あるって証拠もないって証拠もない、ただ」

(´<_` )「ただ?」

( ´_ゝ`)「あるほうがブンガク的だ」

(´<_` )「確かに」



85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:16:19.51 ID:PxWr9RdYP

弟者はハナから学校をサボるつもりだったらしく、延々と話を続けている。
生まれてから毎日ほぼ24時間同じような場所に居るってのに、何故話題が尽きないのか疑問だ。

言っておくが、こいつに兄の退屈を紛らわしてあげたい、なんていうボランティア精神は全く無く、
むしろ俺の退屈を紛らわす格好の鴨ハケーン!くらいの心意気なのだ。

朝が昼に変わり、昼になり、夕方に差し掛かったころ、
弟者以外は大体静かな病院にイレギュラーが出現する。

( ^ω^)「おっ、ここだお!203号室!ほら、兄者の名前があるお!」

(;'A`)「ばっかてめー病院なんだから静かにしろ」

( ^ω^)「おっおっ、すまんおwwwコンコンしたほうがいいかお?」

この会話の「おっ、ここだお」の時点で弟者は跳ねるように立ち上がり、窓へ向かった。

(;´_ゝ`)「ちょ、お前どこに」

(´<_` )「また来る」

(;´_ゝ`)「え?」

二階から弟者が落ちていった。



86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:18:28.93 ID:Hy83CPoWO
えええええええ


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:19:10.17 ID:HbwrYDWvO
えっ


88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:20:05.56 ID:m06Krg8jO
ちょwwww


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:21:16.22 ID:PxWr9RdYP

本日分は終わりですが、これで終わりじゃないですよwwwそんな長い話でもないので、次の投下分で終わり。

最初の雰囲気を壊したくなかったので、原作というか元ネタ?である作品の紹介をここでさせていただきますと、
伊坂幸太郎著「重力ピエロ」を読んでこれ流石兄弟っぽくね?と思ってたらこんなん出ました。
なんかありましたらどうぞ。なかったらお疲れさまでした。支援ありがとう。



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:23:04.99 ID:Hy83CPoWO
ここで区切るのかあぁぁ!
乙!


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/14(日) 23:28:14.65 ID:WJXIvcAS0
終わりかと思ってびびったわww
乙!続き待ってる



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